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国務大臣(
斎藤昇君) 潜在
看護婦の顕在化の問題は、いままで
政府の予算は少ないとおっしゃいますが、それは少ないと思います。しかしながら、私は実際問題としましては、やはり
看護婦という職場に魅力があるということでなければ、幾ら金を注いでも、そしていま何か他の仕事についている人に休業手当を出して再教育をするからと申しましても、つとめ先に魅力がなければ応じてこないというのは当然だと思うわけです。私が、アメリカは金があると申しましたのは、たとえば人がないと思えば、とにかく病院はうんと
看護婦の給料を上げる、そして病院の診療費も上げるということのできるような
制度になっておりますから、金持ちは幾らでも、どんな高くても病院へ入ってくるというようなことから、そこらの組織も違うからと私は申し上げたわけでございます。先般も、
看護婦の二・八問題で争議をやっているところもありましたし、私は福岡に行ったときにも、そういった
看護婦さんの団体の方にもお目にかかりましたが、県に対して、県立病院の
看護婦を三カ年以内にどれだけ増せ、毎年どうだこれだけ増してくれという要求もしておられます。私は、それじゃ県が金を出したら、あんたたちいま
看護婦をやめている人に連絡をとって、そうしてみんな働いてもらうために、出てきてもらうだけのあれがあると思いますかと、私自身が聞いたわけなんです。幾ら金を出しても、なり手がなければしょうがないんじゃないでしょうか。しかし潜在
看護婦さんが相当あると聞いている。あなたらの知っている人たちにも相当仲間があるだろう、そういう人があるだろう、それらの人を呼び戻せますかと言いましたら、呼び戻せる自信があると、みな異口同音に言われたわけであります。そうしますと、
政府が潜在
看護婦を顕在化するためにいろいろと言うよりは、私立病院でも
看護婦を雇えるだけの原資があり、そうして募集広告をする、あるいはまた現在の
看護婦なり、いままでいた
看護婦をたどってやるというのであれば、処遇がよく、その職場がいいなら堀り起こすことができるんじゃないか、日本の
現状では、そうではなかろうかという気がするわけであります。したがって、まず第一の処遇の
改善が何よりも退職者を少なくし、潜在
看護婦を呼び戻してくるのに必要なあれではないだろうか。それなしに幾ら
政府で鐘をたたいたところで潜在
看護婦を呼び戻せない、かように思うわけでございます。したがって、
政府の潜在
看護婦に対する施策の金も、まあ昨年はこの
程度であったと、ことしもこの
程度であろう、それを再教育をするための費用というわけでやっているわけでありますが、
政府の呼びかけに応じて来られる人が多くて、再教育をするための金がもっと要るというのであれば、これは幾らでもそんな
程度のものは私は出し得ると、根本はそこにあると、かように考えます。そこで先ほど申しましたように、診療報酬
制度の問題なり、それから
国立病院、公立病院等における給与
改善の問題、これを人事院にもよくお話を申し上げて、そうして魅力のあるような職場にしてまいりたい。民間の病院における
看護婦と、それから
国立病院、公立病院にある
看護婦との給与差をもってそれでベースアップをするということでは、民間自身が他の職場に比べて非常に低いのでありますから、一般の
公務員の場合の、民間の会社等における職員の給与ベースとの開きを
公務員に積み重ねるということを、
看護婦というその職種だけにおいて民間と比べてやられるということでは足りないであろう。その点は人事院と特に御相談を申し上げたい、かように思っているわけであります。