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参考人(
槌田敦君)
理化学研究所労働組合の
委員長の
槌田敦でございます。
四十三
年度の
ベアの
交渉というのは、四十三年六月二十日、
理化学研究所労働組合から
理化学研究所に対して出した
統一要求書で始まるのです。それからずっといままで
交渉が続いているわけですが、その初めの
段階でどのようなことになったかといいますと、六月二十日から七月のたしか十五日に
団体交渉があったわけですが、そのときに、
所側の申しますのは、
人勧が出るまでは何とも言えないということなんです。
人勧が出ますと、今度は、
人勧は出たけれども、
閣議決定が
済むまではどうしようもない、
閣議決定が出たから、じゃ何とかしてくれと申し込みますと、いや、
内示が出ない以上はというふうに、ぬらりくらり無意味な
団交を
——所は
団交には応じはするのですが、
団交の
内容というのは、次から次へと時期がたってもことばづかいは変わってきても、言っておること、
内容は同じというのが連続して行なわれたわけであります。
それで、十月八日に
内示が出まして、このときは
要求後大体三カ月余りたつておるのでありますが、その
内示の
内容というのは、
人件費の総
ワクが七・九五%
上昇、それから
初任給の
引き上げ額が二千四百円それから
実施時期は八月にするというような
内容の
内示が出たわけですけれども、これで話が進むかと思って、
組合のほうは、
賃金表は
公開でつくれ、
団交の場でつくれというふうに申し入れたのですけれども、所のほうはしばらく待てと繰り返すばかりです。
組合のほうも
団体交渉で、
賃金表はここでこしらえなければ
労使対等ではないのだと非常に強く主張したのですけれども、何度言ってもしばらく待てとしか言わない。で、十一月七日になりました。
要求を
提出後四カ月余りたっているわけですけれども、所のほうでは第一次
回答を
賃金表の形で出しました。この
賃金表の形で出た第一次
回答というのは
二つの点で不合理である。
一つは、
年齢の点では大体三十二、三歳まで、
若年層といいますか、
中堅までといいますか、その
人たちの
給与の
上昇率が極端に悪い。ほかのほうの
部分は八・何%というところまでいっているのに、この
部分では八%以下のところもかなりある。
金額にして言いますと数百円くらい値切られていることになります。
それから、もう
一つの不合理な点は、
主任研究員及び
部長クラスのところ、ここでは
上昇率が一一・一%というべらぼうなのがある。額にして言いますと、一万七千円も一挙に上げようとしております。こういうことを
組合のほうはちゃんと分析しまして、
資料をそろえて
指摘したわけですけれども、所の
答えは、この
指摘を何ら
団交で乗せてくれない。
指摘には
答えないで、ことしはこれで通します、一発
回答です。これを何回も繰り返すばかりです。
組合のほうでは、そういう
答えを聞いてさっそく去年の
調査を始めた、おととしの
調査も始めた。そうしますと、四十二
年度のほうも若い層に対して、やはり同じ三十二、三歳までの
部分が数百円値切られているということが明らかになったわけです。特にこの点は非常に大事な点ですけれども、
大蔵省の
内示で四十二
年度もやはり二千四百円の
引き上げ額を認めている。それを
理化学研究所では二百円値切って、二千二百円しか
初任給を上げない。そのことのため、ことし目一
ばい二千四百円上げても、やはり去年と同じように、ほかとの差がついてくるわけです。具体的に言いますと、第一次
回答では、
科学技術の
理化学研究所の
初任給は三万一千八百円です。ですけれども、ほかの
特殊法人のどこをとってみても三万二千円です。もっと多いところもあります。しかし、おととしまで同じだった
初任給を去年から二百円値切られている。要するに連続して
若年層の
初任給を値切って、それを
主任研究員、
部長クラスのところへ積み上げている。そのことが今度の
理化学研究所労働組合にとって
不満の
最大の
原因です。これは去年、ことしだけの問題じゃなくて、おととしも、その前もあった。こういうことの話になっているわけです。そういうふうに値切られた結果どういうことになったかということを
組合で
調査しました。そうしますと、これはほかの
特殊法人に比べてずいぶん大きな
格差が出てきます。たとえば
通産省関係のある
特殊法人と比較いたしますと、
平均月額にして二千二百円の差がついています。
初任給から六年間の
部分の
平均月額にして二千二百円の差がついている。それから、これはたしか三年目だったと思いますけれども、
ジグザグになっていますから変わっていますが、
最高で五千四百円も差がつく。六年間合計いたしますと、いろんなものへの
はね返りを含めて二十五万円もほかの
特殊法人と
理化学研究所の間には差がついているわけです。
そこで、
組合のほうでは、この
値切りの
回復を
今期の四十三
年度の
賃金の場合の
最大の
要求にしまして、この
回復について非常に強く
交渉したわけです。けれども、所のほうは一発
回答である、ことしはもう変えませんということを繰り返すばかりなんです。ではなぜ変えないかと聞きますと、それは
原研や、
情センや、
動燃や、ほかの
特殊法人との
つき合いもある。要するに
つき合いで
賃金がきめられている。このことにぼく
たちは非常に憤慨するわけです。その
つき合いとはどういうものかといいますと、
科学技術庁関係の
特殊法人の
理事の
集まりで、「二
水会」と呼ばれていますが、その「二
水会」で話し合って
賃金をきめている。その
統一賃金で
理化学研究所だとか、
原研だとかの
賃金をきめるというようなことをやっている。その
統一賃金の
規制の
範囲というのは
初任給からほぼ六年の間です。
組合のほうでは、そのようなことは不当である、
労働法が適用されている以上、
理化学研究所と
組合との間だけで
賃金はきめるべきもので、そのほかの
特殊法人のかってにきめてきたものの
つき合いで
賃金をきめるのは、これは
労働法の
違反だと主張したわけです。そうしますと、所のほうでは、今度はその
つき合いを
理由にしなくなるのです。「二
水会」を
理由にしたし、非常に敬意を払っておるものでありますが、その中には、いま紛争になっているような、ほんとうに何と申しますか、基礎的な問題が非常にうまくいっていない。一方では
科学の
先端をいく
研究がなされておる、一方では
労使間の問題がこじれておるというような、非常に
科学の
先端をいくところで、そういうふうな見にくい
状態があることは、非常に嘆かわしい日本の
状態ではないかと思うわけでございます。特に、私は副
理事長にお尋ねを申し上げたいと思うのでございますが、第一番目には、
給与を
改定するような場合、やはり
労働者側の
意見を聞き、
話し合いをしながら進めていただくという
根本条件が必要ではないか。しかし、この
特殊法人の
給与の問題ということに対しては、私どももわからぬわけじゃありません。ですが、その
段階においてやはりそうしたことが十分
配慮されなければならないにもかかわらず、しかもその
給与に大きな
格差が出てきておる。先ほど
指摘されましたが、他の
特殊法人に比べて二千何百円、四千円というような大きな開きができてくるということは、やはり
理事者側としての
配慮が足りないのではないか、あるいは何が
原因でそうなっているかということを副
理事長の側から
お答えをいただきたい、それが第一点。
それから、いままでの
団交の中で、いまのお話では三月七日に
団交をして、
組合側と
話し合いをして、そして
給料表の
改定をするという約束をした、それは副
理事長もそうおっしゃいましたからそれはあったんでありましょうが、いま
組合側から聞きますと、このときにはやはり
給与表の特に
改定部分、いわゆる三等級のところなんかも三万四千百円を三万四千三百円にすると、それからこの九
号俸ですか、三万六千六百円を三万六千八百円にする、十三
号俸の三万九千八百円を四万円にする、それから十七
号俸のところの四万二千六百円を四万二千九百円にする、二十一
号俸のところでは四万五千四百円を四万五千七百円にするということを明示されたと言っておりますが、口頭であるかどうか存じませんが、それがあったかどうか。それはどのようにしてお話になったかということを御
回答願いたい。
それから、また第二次
回答を出したのならば、これはどういうふうな形で
回答されたかを聞くと同時に、その後の処置は、どういうふうに
研究所側ではこれを処理されたか。あなたのお話だと何も出さなかったというお話でありますが、これに対して、
科学技術庁のほうにどういうふうに上申されたか、あるいはまたどういうふうに
努力してこれに対して処置されたかという、この四点について御
意見を伺いたいと思います。