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1969-06-13 第61回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十三日(金曜日)    午後二時二十四分開会     —————————————   委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     千葉千代世君      加藤シヅエ君     山崎  昇君  六月十二日     辞任         補欠選任      柳田桃太郎君     木島 義夫君      千葉千代世君     加藤シヅエ君  六月十三日     辞任         補欠選任      山崎  昇君     田中寿美子君      多田 省吾君     小平 芳平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         瀬谷 英行君     理 事                 大谷 贇雄君                 黒木 利克君                 松澤 兼人君                 内田 善利君     委 員                 青木 一男君                 木島 義夫君                 土屋 義彦君                 村上 春藏君                 山内 一郎君                 渡辺一太郎君                 小平 芳平君                 田渕 哲也君                 小笠原貞子君    政府委員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        警察庁交通局長  久保 卓也君        法務省矯正局長  勝尾 鐐三君        消防庁次長    山本  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        通商産業省重工        業局次長     山下 英明君        運輸省自動車局        整備部長     堀山  健君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (交通対策に関する件)     —————————————
  2. 瀬谷英行

    委員長瀬谷英行君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨、十二日、柳田桃太郎君が委員辞任され、その補欠として木島義夫君が選任されました。  また、今十三日、山崎昇君及び多田省吾君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君及び小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 瀬谷英行

    委員長瀬谷英行君) 次に、産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、本日は交通対策に関する件について調査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。松澤君。
  4. 松澤兼人

    松澤兼人君 きょうは法務省矯正局長に出席していただいておりますので、ほかの委員の方からはおそらく質問はないと思いますが、私が済んだらいつまでもいていただかないでもよろしいですから、さきに矯正局関係質問をいたしたいと思います。  この間新聞で拝見いたしましたが、千葉県の市原ですか、交通刑務所が、いわゆるかきねのない刑務所として、非常にクローズアップされているという事実を拝見いたしました。これは、私前からそういうことを聞いておりましたし、はたしてかきねのない刑務所というようなものが成り立つかどうか、あるいはまたは、はたして付近方々がどういうように受け取るだろうかという問題について、いろいろと自分ながら考えていたわけであります。この交通刑務所の問題は、いずれ当委員会としても実地に視察する価値のあるところではないかというふうに考えているわけでありますが、その現況なりあるいはまたは、そういうかきねのない刑務所というものがどういう発想で生まれたのか。さらに、受刑者が一定の刑期を終えまして出所いたしまして、その後の交通安全運転、そういういわゆる昔のことばで言うと悔悟の実績が上がっているのかどうか、あるいはまた、もう一度再犯して入所するというような事例があるのか、まずその辺のところからお話を聞きたいと思います。
  5. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) お尋ねの交通事犯受刑者に対する処遇の問題でございますが、一つは、交通事犯受刑者に限らず、戦後人間に関するもろもろの科学が発達してまいりましたことに伴いまして、いわゆる犯罪者を従前のようなへいの中に長期間拘禁をしておくということが、はたして受刑者社会復帰に対して効果的であるのかどうかという点がいろいろな角度から検討をされまして、世界的に、犯罪者といえども終局には一般社会に帰っていくということになれば、目的拘禁ということよりも本人が健全に社会復帰できる、その目的に集約していろいろな処遇考えるべきである、こういうような世界的な矯正流れがございまして、その思想流れに沿いまして、適格者分類いたしまして、いわゆるへいの中に閉じ込めなくても、また閉じ込めるよりもできるだけ一般社会に近い環境において処遇を行なうのが適当であるという者を選びまして、そういう者につきまして、ただいまお話がございましたように、物理的なへいで囲うよりも、本人自立心と申しますか、責任感と申しますか、それによってみずからへいを築く、自分自分の中に従来のへいにかわるものを築いて、環境的には一般社会に近いところで処遇をするということが適当である、こういう結論が一応出まして、わが国におきましてもいま言った方向をぜひ採用したいということを考えたわけでございます。ところが、いま御指摘がありましたように、そういう処遇をする際に一般社会がどう受けとめるか。特にそういうへいのないいわゆる刑務所付近住民がどのように理解をしてくれるかという問題が現実問題としてございまして、まず第一歩として、交通事犯禁錮受刑者というものを取り上げたいというのがそもそもの発足でございます。で、交通事犯禁錮受刑者を最初に取り上げましたのは、いわゆる犯罪過失犯であるということ、それから一般窃盗とか強盗とか詐欺とはいわゆる若干性質が異なりまして、一般地域住民も、詐欺をそういう形で処遇するならば危惧の念を抱く公算が多うございますが、このような過失犯についてそういう施設をつくるということについては理解を得ることが可能であろうという結論に達しまして、昭和三十九年から自動車運転による犯罪で、禁錮に処せられた者の中から適格者を選び、いわゆるただいま申し上げましたへいのない刑務所処遇をするという試みを始めたわけでございます。で当初、千葉県の習志野市に所在いたしますいわゆる習志野刑務所で試行的に始めましたところ、結果が非常に良好であったということでございます。  習志野刑務所発足以来扱いました禁錮受刑者の総数は、千三百五十名余でございますが、そのうち、いわゆる再び犯罪を犯して再入をしてきたという者は千三百五十余名のうち、一名だけであるという結果が出たのでございます。この結果をさらに検討いたしまして、この種の処遇全国的にやってみたいということから、習志野市以外になお、関西地方では加古川刑務所中部地方では豊橋の刑務所九州では佐賀の刑務所東北地方では山形の刑務所、さらに中国地方では広島刑務所尾道支所、ここに習志野に次いで相始めた次第でございます。  現在までの結果は、ただいま習志野について申し上げましたと同じ好成績をあげているという現状でございます。  市原刑務所支所につきましては、先般六月四日に正式に開所いたしましたが、開所時当日の収容人員は三百十六名でございます。この三百十六名につきましては、関東管内の裁判所で交通事犯禁錮刑の言い渡しを受けた昔の中から適格者を選んで収容しているものでございます。で、適格者と申し上げますのは、簡単に申し上げますと、窃盗とか詐欺といったほかの犯罪による懲役刑をあわせ持っていない、いわゆる交通事犯だけであるということ、さらに前刑を持っていない初犯者であるということ、それから心身に著しい故障がないということ、それからさらに逃走あるいは同僚とけんかをしたりしない、いわゆる管理上支障のおそれがないことと、それから刑の期間につきましては、教育上の都合でおおむね三月以上、大体以上のような者を中野刑務所心理学医学精神医学教育学専門技官が鑑別をいたしまして、いま言った適格者を選んで市原刑務所に送っているわけでございます。建物特徴は、御指摘のように、コンクリートによる外へいは全くございません。一般工場等に見受けられますいわゆるフェンスが回りにあるだけで、フェンスの高さも収容者が寝泊まりをしますいわゆる居室関係建物については、そのフェンスの高さも一メートルそこそこというフェンスをめぐらしてあるだけということでございます。さらに収容者が住居いたします居室とか食堂だとかあるいは工場だとか、あるいはいろいろな学科を受ける教室等については一切施錠をしないという仕組みになっておりまして、これが従来の一般刑事施設と全く異なる特徴を持っているわけでございます。したがいまして、収容者に対する教育と申しますか、処遇もまずもって責任感の観念の涵養、それから順法精神涵養、それから責任感に基づく自治性を多く取り入れまして、日常生活を通じての生活指導を重点的に行なっていくというのが特徴でございます。それからなお収容者全員につきましていま言った知能あるいは心身上の欠陥があるかないかといったようなこと、さらに本人希望等を調べてみますと、おおむね三〇%が、もう二度と運転をしたくないということでございます。それから約三〇%が運転をしようかしまいかということで迷っております。それから残り四〇%が出所後もやはり生活の手段として運転を続けると、こういう分類になっておりますので、運転をしない、あるいは運転適性において問題があるという者につきましては、この施設においては転職に必要な職業情報の提供あるいは基礎的な職業指導に重点をそそいでおります。それから運転をしなければならないという者につきましては、施設の中に運転の訓練をする設備を設けまして、そこで運転実務さらに部外の協力を得まして、交通法規あるいは自動車構造学といった面の点についての職業指導と申しますか、実務並びに学校関係指導をやっているというのが実情でございまして、現在までのところ再犯者もまあ千数百名のうち一名ということで良好な成績をあげておるというのが現状でございます。
  6. 松澤兼人

    松澤兼人君 よくわかりました。その千三百五十名のうち一名が再犯で再入所をしたということは、やはり交通事犯で入ってきたわけなんですか。
  7. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) その一名というのは、交通事犯でございます。
  8. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあそういう趣旨でつくられているとすれば、再犯で入ってくる人はやはり交通事犯以外の人は入れないと、したがって、まあ再犯で入ってこないとすれば、もう全部が非常にいい成績をあげているというふうに考えてもいいと思いますが、先ほどちょっとお尋ねいたしました、また局長からもちょっと触れられましたが、付近の人がこういうかきのない刑務所というものに対してどういう感情を持っているか、あるいは設立以前に話し合いが行なわれたのか。あるいは設立付近方々がどういうような反響を持っているか、その辺のところをちょっと承りたい。
  9. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 設立以前にいわゆる施設候補地というものがおおむね固まりました段階で私のほうからその地域に出かけまして、付近方々に適当な場所にお集まりを願うというような方法で、設立趣旨並びに収容者がどういうものが入ってくるか、そこでどういうようなことを行なうかといったような実情と申しますか、構想を話しまして、これは一回では終わっておりませんが、数回にわたりまして、地元の方々と懇談の機会を持つ等の努力をいたしまして、御理解をいただいた上で工事に着工している状況でございます。
  10. 松澤兼人

    松澤兼人君 設立後、実際に開設をされてから、その現状付近の人が見聞きをして、運営上、その他何らかの不満なりあるいは不平なりというものを、その刑務所なり、あるいは矯正局のほうに持ってこられたということもありませんですか。
  11. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) その点につきましては、開所にあたってささやかな式典を開いたわけでございますが、御案内をさしあげるにあたりまして、地域方々を優先的に御案内をすることにいたしまして、付近方々約百名近く御案内をいたしまして、おいでをいただきまして、なおつぶさに内容を見ていただきましたが、率直な御感想を聞きましたところ、実は刑務所がくるということで、一応は賛成はしたものの内心はいささか不安でもあったのであるが、こういうふうな設備ならば非常にけっこうだということで、かえって御安心をいただいたと申しますか、非常に歓迎の意を表したといってさしつかえなかろうかと思っております。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 それで千三百五十人、そこに入った。それはいろいろ先ほどお述べになりましたいろいろの条件で、心理学あるいは医学、そういった専門家によって分類といいますか、あるいは識別をして、この人ならば市原かきのない交通刑務所に入れてもさしっかえはないという厳選の結果そこへ入所させているわけでありますから、いわばほんとうにかきねのない刑務所生活するということに厳格な大きなふるいでもってふるった結果でありましょうから、再犯で入ってくる人が一名にすぎなかったといういい結果が得られているのだろうと思いますが、逆にいって、千三百五十人以外の交通事犯者は、必ずしもまあほかの犯罪を持っているとか、あるいはまたは前科を持っているとかいうような行刑上の資格からいって入れない者が全部でない、やはりこういう資格を持った人がほかにもいると考えていいですか。
  13. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 現在いわゆる交通事犯の罪名をもって自由刑の確定いたしておりますのは、全国でおおむね千八百名ございます。そのうち刑期のいわゆる三カ月未満という短いもの、それからいま御指摘のありました他の一般犯罪を併有している者という者の数は、おおむね千八百のうち九百ぐらいであろうと思っております。したがいまして、千八百のうち、先ほど申し上げました基準から漏れる者の数というのが、大体半数ぐらいというようにつかんでおります。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこで同じ交通事犯だけで、いってみれば、天国のような刑務所に入れる人と、それからまた逆に、それこそ高いコンクリートのへいで囲まれている人と、法のもとに平等というようなことからいうと、ちょっと差別待遇のようなことが結果的に出てくるように思いますが、そこで先ほど局長の言われましたように、市原交通刑務所成績をあげれば、順次これを各ブロック的に考えて、それを一カ所ぐらいずつ全国にふやしていきたいという、そういうお考えのようですけれども、現状として市原交通刑務所というのは、これでもう成績があがっている。次には適当なところをこういう形の刑務所にして、おっしゃるような適格者かきねのない刑務所に入所させたい、そういうお考えでいらっしゃるわけですか。
  15. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 御指摘と、全く私も同じ考えでございまして、いわゆる市原式開放処遇というものを逐次全国的に、ブロック一つぐらい整備をしていきたい、このように考えております。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 請願一つ出ております。これはあまり具体的なことで、どうも私も言いにくいことなんですが、この委員会に付託されているかと思っていろいろさがしてみましたら、行刑の問題、矯正の問題だということで、法務のほうに回っているようであります。加古川刑務所を、交通専門市原式刑務所にかえてもらいたいという請願が出ているようでありますけれども、原則的にいえば、いろいろ予算の問題や、手続の問題や、保安の状況は別としまして、原則的にはいま局長がおっしゃったように、加古川もその一つ候補地として考えられているというふうに了解してよろしゅうございますか。
  17. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 関西地区市原式開放処遇をする施設整備をしたいという方向検討いたしておりますが、その場合に、いま御指摘加古川刑務所がその検討対象ということは、御指摘のとおりに考えております。
  18. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまのところはまだ市原が済んだだけですから、予算的にどうこうということは言えないと思いますが、いまのお話ですと、まあ金の都合がつけば年次的に順次各ブロックに一カ所ぐらいずつ、先ほどお述べになりましたようなものをやっていきたいという気持ちがあるわけですね。
  19. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 御指摘予算の問題もございますけれども、なお、若干技術的な問題になるわけでございますが、御案内のように、禁錮受刑者強制労働ではなしに、本人請願による作業という形態をとっているわけでございます。したがいまして、私のほうといたしましては、その請願対象になる作業というものが、どういうものが禁錮という刑に対して適当であるだろうか。いわゆる懲役強制労働という場合に比較いたしまして、禁錮受刑者に対する請願作業の適当なものをどのようにして選ぶかという問題、それから対象収容者の分布の状況でございまして、非常に極端な言い方を申し上げますならば、懲役囚であるならば、たとえ北海道で確定した懲役囚であっても、作業その他の都合九州刑務所で服役させるということも可能ではあるんでございますが、禁錮の場合について、どの範囲までいわゆる動かせるかというような問題等もあわせて検討をいたしておりますが、とにかくおおむね一ブロックに一施設という方向検討を進めたいと、このように思っております。
  20. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つお聞きしたいんですが、先ほどちょっとお話がありました、外の何か特殊の工場ですか、あるいは産業と話し合われて、そして、通いで、通勤でそういうところの工場に行くというようなことをちょっとおっしゃったようですけれども、それはあれですか、集団的に行くわけですか、あるいは個人個人通勤というような形で行くのか。集団で行くとすれば、いかにも受刑者らしいように外の人から見られるようなことなしに行くようなことを考えておられるのか、その外へ出ること、それから入ってくること。それから刑務所ですから、外出とかというようなことは、やっぱりほかの刑務所と同じようになっているんじゃないかと思いますけれども、何か特別に自由に休みの日があって、それで外へ出て、門限までに帰ってくるというような処遇をされているんですか、その辺を……。
  21. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 現在やっておりますのは、たとえば加古川刑務所の例をとりますと、加古川市内自動車修理会社と契約をいたしまして、その外の自動車修理会社からバスをもって刑務所に来ていただく、それに収容者一般工員と同じ服装をさせて、弁当を持たして乗せてやる。そして作業が終わりましたら、やはりそのバス刑務所まで戻ってくる、こういう形態をとっております。その場合に、これは現行の法制上の制約もございまして、必ず刑務所職員が付き添っておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、将来はいわゆる完全な通勤制と申しますか、朝弁当を持って刑務所職員の付き添いなしに自分工場に通い、仕事が終わったならば自分刑務所に帰ってくる。これは完全な通勤制と言われておりますが、こういう形態処遇というものを考えたいと思っております。これはすでに現に世界の幾つかの国で実行をしているところでございますが、これにはやはり冒頭に御指摘がございましたように、一般国民理解、特に地域社会協力、それに最小限度の法律的な手当てもしなければならないのではないかと思っておりますが、将来の方向としては、そういう形態をぜひ考えたいと、このように思っております。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこで、交通事故全体の問題ですけれども、ことしの交通安全運動というのは成績があがらなかったように感ずるのですけれども、昨年の同期と比較してみてことしの交通安全運動成果というものはどういうものなんですか。
  23. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 春と秋の二度にわたりまして全国的な安全運動を行なうわけでございますが、この成果をどういうふうに評価するかということは非常にむずかしいことでありますが、通常マスコミ関心はその期間中における死傷者の増減に関心が向けられておりますが、私はあとで申し述べる理由によりまして必ずしも賛成ではございませんが、一応数字を申し上げてみたいと思います。  この春の安全運動期間中の死者が三百二十六名、昨年の春がやはり同じ十日間でありますが二百八十一名でありまして四十五名ばかりふえております。ただ本年は昨年と非常に違った状況がありまして、昨年は、昨年一年と一昨年一年と死者の、事故伸び率を見ますと四・七%昨年はふえておりました。ところが、今年は一五、六%の増ということになっておりまして、死者全体が非常なふえ方になっております。したがいまして、この三百二十六名と申しますものの、今年の四月までの一日当たりの平均死者数は四十人でありますので、これをかりに一日平均といたしますと三十二名ということになりますので、数字から申せばまあまあの成果があがったということになります。  ただ私がここで強調申し上げたいのは、これは宮崎室長からもお話があろうかと思いますが、この期間中だけ死者なり事故を減らすということでなくて、こういう連動を契機として交通安全の思想全国民に普及し、何とか事故ふえ方を抑制するというところにねらいがあるのじゃなかろうかというふうに考えるわけです。ただそういう観点からも、それではいい成果があがったかということになりますと、いろいろな要素がからみ合わされますので、春の安全運動がどういう成果であったかということを申し上げるのはなかなか困難かと存じます。
  24. 松澤兼人

    松澤兼人君 いま死者の話が出ましたけれども、交通で傷害を受けられた死傷者のうち、傷者という部類の人はどのくらい、昨年に比較してみて。
  25. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 事件の数でまず申し上げますと、昨年は一万四千六百五十二名でありましたものが、本年は一万七千五百六十名と増になっております。それから負傷者、けが人は昨年が一万八千五百三十八人でありましたものがことしは二万三千百六十五人、かようになっております。この傾向は、昨年の伸びに比べてやや落ちているというところであります。ちょっとパーセンテージは出しておりませんが。
  26. 松澤兼人

    松澤兼人君 それは冒頭局長が言われましたように、単に死傷者の数あるいは事件数だけで判断することはできないことはよくわかるのですが、やはりパーセンテージをとる場合には、車のふえ方とか、あるいは交通量とか、まあいろいろそういう副次的と申しますか、ほかの事情でふえることもあると思いますけれども、パーセンテージを出したって必ずしもそれは的確あるいは正確な数字ではない。これはよくわかる。まあ、この交通安全運動期間中でもあまり減少しなかった。それからその安全運動が済んだとたんにまた急増したというような事態はどういうふうにごらんになりますか。
  27. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) この安全運動期間中は、警察側といたしますると、取り締まりということよりも、地方公共団体及びその他の関係団体にできるだけ動員をして安全運動をやる場合の協力といいますか、陰の支援として働く形でありますが、それにいたしましても、毎日約六万人の警察官を出しておりまするし、パトカーその他の車を合わせまして九千台出ております。それから一般方々も、ちょっと数字は忘れましたが、延べ六十万人以上の方々が動員されているわけでありまして、そういうことからしまして、やはりどうしても警察官が街頭にたくさん出ている。それからまた、安全運動期間中ということでみんなが警戒し、事業団体その他でも中でそういった引き締めの運動をされ、かつまた、民間の方々が外に出て交通安全の指導、取り締まりをやっておられるということで、相対的にどうしても死者の減ということになってくる。そういった姿が解除されますと、心のゆるみといいますか、あるいは警察官も姿を見せなくなるということで、死者がもとの姿になってきてふえたのではなかろうかというふうに考えます。
  28. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ、警察官が街頭に立って、陣頭指揮という形でやられるということは、交通事故を減らす上からいって非常に必要なことだと思いますけれども、まあ具体的に申しまして、ただ警察官が道路のわきに立っているというだけで、本気で交通安全運動をやっているのか。取り締まり、指導をやっているのか。あるいはただぼやっと立っているのか、その辺のところがわからぬことがあるのですけれども、それはやはり立っている限りにおいては歩行者なりあるいは車のさばきとかいうことに責任を持ってもらわないと……。早い話が、ここの前の会館とこっちのほうに麹町の警察から来ている人がおりますが、ほんとうに専門の交通巡査だったらそれはもうちゃんとやりますけれども、こちらのほうの陸橋のほうのいわば詰め所といいますか、詰め所じゃない、あれは番小屋みたいなもの、そこにいる人が、たまたま歩道の先に、つまり車道のそばに来て立っている。それはこちらのほうは、そこに警察官が立っているから何とか交通の整理をしてくれるのかと思えば、そうでもない。自分でやはり手を上げて渡らなければならない。こういうことは単にここだけの話ではなくて、実際に国道筋なんかでも、そこに交番がある、駐在所がある。その前に立っている。本気で交通整理をやっているのか、わからぬわけです。で、ひょっとしてこちらが車で行こうとする。そうすると歩行者があるとか、あるいは向こう側に歩行者がある、そういう場合に手を上げて車をとめる。急にとまらない。そうすると、交通違反だということでぎゅうぎゅう、ちょっと交番まで来てくれというような話になります。こちらはそこに警察官が立っているから何とかしてくれると思うので、それは本気に交通の取り締まりなり指導をしておると思っておりますが、案外そうではないという場合がある。やるならやるで徹底してやってもらいたい。ただ警察官の動員だけで交通安全ということはできないと思いますけれども、それは警察庁の交通局としてはその場合どういうような指導をなさっていらっしゃるのですか。
  29. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 国会周辺におりまする警察官は、先生方の御安全と国会の警備そのものを担当しておりますので、一般となかなか同一にはまいらないと思いますが、しかし、いま御指摘のような事態が間々あるということは、むしろわれわれ部内でも反省しておるところでありまして、そこで本日も全国交通関係の課長会議がありまして、私が指示をし、さらに同種の内容を近く通達で出す予定にしておりますが、その中の趣旨と申しますのは二つに分かれます。一つは悪質な違反についてはどしどし厳重な検挙、処罰を行なうという方向のもの、もう一つは軽微な違反がある、あるいは危険な運転をしておる、危険な歩行者——老人やら子供か横断歩道のところでうろうろしている、車が来る、そういった場合に警察官は積極的に保護、誘導をしなさい。行政というものは本来サービスということでありますし、警察の場合には司法警察的な面が相当ありますので、ややともすると、警察の組織内で行政はサービスであるということを忘れがちである。そこで行政はサービスであるという本来の性格からいって保護、誘導あるいは間違った運転をしておる、あるいは間違った歩行をしておる者に対しては指導、警告をする。そういうことによって繰り返し繰り返しそれを行なうことによって交通のマナーを運転者やら歩行者に植えつけていく、それが重要じゃないか。一般的に申し上げますると、現在警察の第一線では点数主義というものをとっておりませんけれども、しかし、やはり警察官というものは本質的に検挙をしたいという感じが非常に強いのでありまして、私がいま申し上げましたような表面的な数字にあらわれてこない保護、誘導、サービス、警告、指導といったような事柄はなかなか行なわれにくいのでありますが、私どもとしては、何とかこの点を強調してみたいというふうに考えております。
  30. 松澤兼人

    松澤兼人君 それから四月の二十九日に始まるいわゆる連休ですか、飛び石連休ですか、この期間中に起こった交通事故それから死傷者、それから前年同期に比しての増減、これはわかりますか。
  31. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 本年の十日間におきまする死者は四百七十七人で、昨年の同じ期間におきまする死者は三百八十六人でありました。たしかこれは毎日の日報でとりましたので、当時の整備では負傷者はあがっておらなかったと思います。
  32. 松澤兼人

    松澤兼人君 それではごめんどうですけれども、いわゆる四月の二十九日からのゴールデン・ウイークというか、この連休の間における交通事故、それから死傷者、それから前年と比較した増減、さらに事故分類あるいは原因、こういうようなもの、もしできますならばあとで書類にしていただきたいと思います。お願いいたします。  それから東名高速ができまして、非常にいろいろの問題が出てきております。これはとても私たちのこの委員会だけで処理することのできない建設の問題もありますし、消防の問題もあるし、あるいは車自体の問題もありますし、あるいは運転者の熟練、技術、そういうものもありますし、さらにいわゆる不法運転というものもあるでしょうが、東名高速ができましての死傷者事故件数、これももしおわかりでしたらおっしゃっていただくし、もしわかっていなかったら先ほどの資料と一緒にあとからいただいてもけっこうです。
  33. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 資料は別に差し上げますが、手元にある資料で概数で申し上げておきますると、四十三年中の東名は事件が、これは物損を含めまして三百五十件、うち物損事故は二百十七件、それから人数で申しますると死亡が十三人、それから負傷者を含めまして二百五十一人、これが東名であります。中央高速では件数で百十六件、人員で五十七名、名神は件数で千五百八十七件、人員で千四百五十五人であります。さらに東名の開通いたしました五月二十六日から、私の手元にありまするのは六月八日まででありますが、この間におきまする事故件数は人身事故で合計三十九人、死者が四名、負傷者数が七十四名、物損事故が六十六件になっておりますが、それぞれ開通時期が異なっておりまするし、距離その他それぞれ違っておりますので、データは後刻そろえて差し上げます。
  34. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防庁にお尋ねいたしますが、この東名高速道路ができまして、救急業務に非常に忙しくなってきて、しかも消防本部の所管がそれぞれの市というふうに分かれていて統一的な救急業務ができにくいという、そういう話を聞いておりますけれども、特に東名高速の場合に各市の消防本部がやっております救急業務というものはどういう実情なのか、それからまずお尋ねしたい。
  35. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 御承知のように、救急業務は消防の所管ということになっておりますので、消防は市町村消防でございます。高速道路は市町村の区域を越えまして広域的に有料で、しかもインターチェンジしか出入ができないという特殊な道路でございます。こういった関係から昨年の四月に東名高速道路の一部開通に先立ちまして、私ども消防庁と道路公団側と協定をいたしまして、市町村の消防機関が高速道路上において救急業務を実施いたします場合における道路公団側の協力なり、あるいは便宜供与について協定をいたしたのでございます。それに従いまして公団側は、東名につきましては救急自動車、これはB級でございますが、救急自動車を沿線インターチェンジ所在の消防機関の必要なところに九台貸与をいたしております。なお、東名高速道路について救急業務は貸与救急自動車のみによって行なっているわけではございません。それは東名高速道路において市町村消防機関が使っております救急自動車のほんの一部ではございますが、そういった形で公団が協力をいたしておるという状況でございます。そして市町村消防であるたてまえ上、広域的に処理しなければなりません。したがって、各消防機関相互におきまして応援協定を行なう、また一部事務組合をもって行なう、あるいはまた、知事の要請によって救急業務を実施している消防機関が、いまだ救急業務を実施していない町村に対する要請に対して救急業務を行なう等々、広域処理体制と申しますか、共同処理方式を採用いたしましてこれに対処いたしておるのでございます。同時に、こういった府県間の道路でございますので、各市町村消防機関の共同処理方式のほかに、各都県ごとに、都県が入りましてその都県内の連絡協議会というものをつくらしております。そしてまた、全線一本の救急業務の連絡協議会というものを設けまして、広域救急体制に備えておる次第であります。
  36. 松澤兼人

    松澤兼人君 いま承りますと、市と市の間で一部事務組合でやる方式もあり、それからあるいは協議会でやるという方式もある。これらはいずれも地方自治法ですか、二百五十二条によるものと思いますけれども、そうでなくて救急協定というような形で自治法に基づかない方法での援助協定というものもあると思いますが、非常に各市間の、市町村ですけれども、協調態勢というものは、いろいろ根拠法規、法令、形式、違っているように思いますけれども、それを何か一律というかあるいは調整できないものなんですか。
  37. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 御指摘のように、あるいは一部事務組合、あるいは相互応援協定あるいは委託、また要請といういろいろ形を申し上げまして混乱をさしておると思いますが、ただ、いろいろ各消防機関が共同処理方式を行なう場合におきまして、その地域においてとりやすい方式、これを採用しておるわけでございまして、あながち全部が、一部事務組合でやれ、あるいは何々の方式によったほうがいいというわけでもないと私は思うのでございます。形はいろいろございますけれども、実際に行なっておる姿はお互いにそれぞれ自分の区域を越えてインターチェンジを中心にいたしまして他の地域までカバーをし合っておるという体制は一つでございます。
  38. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは警察の場合でも同じことじゃないかと思いますけれども、各県から東名道路に対するパトロールを出している。あるいは事故があったら、たとえ自分の警察の管轄外でも事故調査に行ったりいろいろする。そういうような一つのシステムができていると思うのです。警察の東名高速道路に関する限りの機構なりあるいは運営なりというものはどうなっているんでしょうか。
  39. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 警察の場合には、名神も東名も同じ方法をとっておりますが、たとえば名神の場合には、関係府県に、六府県でありますが、これが愛知県の一宮に名神連絡室というものを設けて、そこに人を出し合って、パトカーに対する指令もそこからやるということになっております。ただ各県から車を拠出いたしておりまして、そしてそれぞれの担当するところは次のインターチェンジまでということで、法律上は高速道路については隣県の二十キロまでを責任区域となし得るということにいたしておりますので、この連絡室でもって調整が行なわれておる。同様に東名の場合も三県、これは東京は神奈川に責任を譲っておりますので、三県が川崎に集まっております。連絡を密にするために一人警視庁からも連絡員が派遣されておりますが、いずれにいたしましても、この川崎にある連絡室でもって三県に対する連絡をやっている。二十キロまでの権限は双方がダブって行なわれるわけでありますが、しかし、インターチェンジがありますので、その辺は調整をしながら行なわれるというのが実態でございます。  なお、それぞれの県の間では、公安委員会同士での協定を結んでおります。
  40. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは思いつきではないですけれども、前から私、そういう高速道路については独自の警察機構といいますか、あるいは消防もまた同様ですが、高速道路全体の一つの警察、消防というようなものでカバーできないものか。もちろん警察法の改正や消防組織法の改正とかいろいろありますが、しかし、これはまあ交通だけの問題ですから、非常に思想的な問題ではないと思う。それが機構上制度上直ちにできないとすれば、それに近づくような警察はその道路を一本というようなことを——少なくとも東名は東名、名神は名神というようなふうに分けてもかまわないと思うのです。そこに協力が——交通、消防というヘッドクォーターをつくる。そこには道路公団もやはり一緒になるというようなふうに交通安全を確保するというような、そういう警備、救急、そういう業務を一体にするということができないものかと思うのです。すぐにこれは局長なりあるいは次長なりはっきりと言われないと思うのですけれども、もし言われなければ、今後そういうものを考えていただけるかどうか。これに対して交通安全対策本部長の御意見を伺いたいと思うのです。
  41. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) 高速自動車国道におきます交通の取り締まり、事故処理、それから救急体制につきましては、従来から御指摘のような御意見のあることは承知しております。実は私ごとで多少恐縮でございますが、ちょうど名神が全線開通いたしました当時、私は警察庁におきまして交通の主管課長をいたしておりました。そのときにまさに御指摘のような問題を議論いたしたわけでございます。ただ、なぜそれを採用しなかったかと申しますと、現在いろいろまた別な御意見があるかと思いますが、なるほど高速自動車国道は広域にわたっておりますが、反面、日本は全体の国土が狭うございまして、都道府県警察以外にそういう高速自動車国道のみのために直轄の何か警察隊をつくるということは、屋上屋を架することになるのではないか、こういう疑問——これは相当大きな疑問として出てまいったわけでございます。御承知のように、アメリカあたりは非常に国土が広うございまして、アメリカの警察は原則的には市町村警察でございますが、それ以外に州警察というものがございまして、アメリカのハイウェーはこの州警察が俗にハイウェーパトロールという名前で呼ばれておりますが、担当しておる場合が非常に多うございますが、これはアメリカのような非常に広い地域でございますと、その点の効率がそれほど悪くはないのじゃないかと思います。日本ではいかがであろうかという、こういうのが主たる疑問であったかと私は承知しております。ただ、それにかわるものといたしまして、当時道路交通法を改正いたしまして、これは百十条という規定でありますが、高速自動車国道の交通取り締まり、事故処理につきましては、原則的にはもちろん都道府県警察がこれを実行すべきこととし、非常に問題があります場合には、国家公安委員会が指示をするといういわば警察法の一般規定の例外的な規定を設けたわけでございます。この指示権は、私の承知しております限りにおきましては、まだ働かしたことはないようでございますが、最終的にはそういうことによって、その高速自動車国道における交通警察の斉一性の担保をはかりたい、こういうように考えた経緯がございます。  それからまた、救急問題につきましても同様な説が、最近いろいろ御意見があるようでありますが、この点はかりに高速自動車国道の救急を一元的にやるといたしましても、その実施主体がどこになるかによって、また同じように法律の問題が出てくるのではないかと考えます。特に現在消防のやっております救急は、交通事故負傷者を救急する場合も相当多うございますが、それ以外に、たとえて申しますと、学校で集団中毒が起こったとか、いろいろその他もろもろの救急業務をやっておるわけでございまして、かりにこれを交通事故防止や高速自動車国道の交通事故のみのための救急隊を置くということになりますと、これまた法律の点で非常に問題が出てくるわけであります。  したがいまして、いずれにいたしましても制度の改正、法律の改正等の問題がございますので、今後それらの御意見について、ほんとうに効果的にそういう実施できる方途があるかないか、それらの点からさかのぼりまして検討いたしたい、かように考えております。
  42. 松澤兼人

    松澤兼人君 それは懸案として今後検討していただくことにして、警察庁にお伺いいたしますが、たしかドライブインにおける酒類の販売を行政指導で遠慮してもらうようなことがあったと思うのですけれども、これはどういう趣旨になるのですか。それと、その業績がどうもあがっているとは思えませんけれども、業績がどのようになっているのかです。
  43. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) 御指摘の点は、実は自来いろいろ問題になっておりましたので、関係省庁といろいろ協議いたしまして、本年の五月八日に、総理府の交通対策本部におきまして、当面のドライブインの酒類販売の抑制について決定いたしております。もちろん根本的な問題はいろいろございますが、当面私たちもできる限りのことをしてみようということで、現行法のたてまえに乗っかった対策でございますので、勢い御指摘のような行政指導がその内容の大部分でございます。  なお、その効果につきましては、いまのところ、ちょっとまだ格別の効果測定をいたしておりませんので、ちょっと数字をあげて申し上げることができません。まことに申しわけございません。
  44. 松澤兼人

    松澤兼人君 この請願のあれを見ますというと、ほとんどがもうドライブインにおける酒類の販売規制といいますか、その請願のほかにむち打ち症がございますけれども、私もこの請願者の請願趣旨をくんで、何か法的に措置ができるような見込みがあるならば、ひとつこの委員会でそういう立法作業をやってみようかというふうに考えまして、調査室にいろいろと検討していただいたのですが、現在の時点ではほとんど不可能なようなことで、またドライブインという名のつくところだけで酒類売っちゃいけないと言ったって、モーテルみたいなものがありますし、普通のうどんと一緒に酒売ってるところもありますし、料理飲食店というものもあるし、つかみようのない状態で、しかし、これだけたくさんの請願が出ているとすれば、効果があがっているかあがっていないかわからない総理府からの通牒だけで済ましておくわけにいかないと思うのです。これもひとつ懸案として、もっと的確にやれるような方途があるか、考えていただきたいと思います。
  45. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) 実は率直に申し上げますが、現在飲酒運転——酔っぱらい運転事故を起こしているケースは相当あるわけでございます。しかしながら、その場合に、俗にいわゆるドライブインで酒を飲んで事故を起こした件数というそのもの自身が的確につかめておりません。サンプル調査的なことはいたしたことはございますが、その場合は比較的その件数が少なかったかと記憶いたしております。そういったわけで、実態の把握が必ずしも的確にできておりませんものですから、法律で規制するということになりますと、いろいろ技術的な問題が出てきている。私たちも多少検討はしたことはございますが、現在の段階ではそういうことでございます。したがいまして、当面はあるいは御趣旨に沿わないかもしれませんですが、行政指導を今後も引き続き強力に継続するということで何とかドライブインにおきます飲酒の抑制をいたしたいと思っておりますし、また、これは一つには、運転者、飲むほうの運転者の自覚によるところもございますので、そういうPRを通じて、そういう雰囲気、ドライブイン等でドライバーが酒を飲むという空気、雰囲気を何とかなくしてまいりたい、このように考えております。
  46. 松澤兼人

    松澤兼人君 運輸省の方にお尋ねいたしますけれども、自動車局長の名前で「自動車の構造、装置に起因する事故の防止について(依命通達)」というものが出ております。これはどういう趣旨のもので、どういう効果をねらっておられるか、まず第一、ここから質問をいたしたいと思います。
  47. 堀山健

    説明員(堀山健君) 事の起こりは、アメリカで日本の二つのメーカーがいろいろ車両欠陥事故を起こして政府に届け出たけれども、アメリカの習慣としてはこれは一般に公表する、ユーザーにわかるように公表する、こういう習慣がございますが、日本ではそういう習慣がないのでそれをしなかったということをアメリカで非難されたわけでございます。そういう経緯がありまして、日本でもいろんな車に欠陥があるということは、メーカーとしては当然その欠陥に対して、何と申しますか、欠陥したものを回収すると同時に、やはり一般に公表して注意を促すべきではなかろうか、こういうことから、私どもといたしましても、従来いろいろ事故がありますと、その事故を解析いたしまして、これが車の欠陥であるということが断定できますと、事故警報という形で私ども処置をいたしまして、これを私どもの下部機構でございます陸運局、陸運事務所、あるいはメーカー、あるいはユーザーの諸団体に通報しておったわけでございます。しかし、いろいろ考えてみますと、一般に知らせるにはそれでは必ずしも十分ではないということでありますので、やはり手続上の問題もそれぞれ考えましてこのような措置をとったわけでございます。  この措置の内容は、一般に使われております車は、いわゆる量産車として、型式指定という制度がございまして、いわゆる代表的な車を私どもが検査いたしまして、それでよろしいということになりますと、それをメーカーのコンベアラインに乗せてつくって、それをメーカーの検査設備と検査員がそれぞれチェックをいたしまして、それで世の中に出す。そして完成検査証明書というものを発行いたしまして、その証明書を私ども現場の機関に持ってまいりますと、そこで書面で検査をする、こういう制度になっておるわけでございます。したがいまして、従来そういう型式指定をやっております車につきまして、構造、装置の面で変更があった——それは性能をよくするための構造、装置の変更もございますけれども、いわゆる欠陥があって、そのために構造、装置を変えるという場合も相当ございます。したがって、そういう場合には、従来規定面で当局に届け出て、その承認を得て、そして構造変更をする、こういうたてまえになっておりますので、その第一項にございます従来からの制度はそのまま厳に制度どおり行なう。  それから二番目に、これが通達を出しました一番大きな眼点でございますが、構造、装置面で必ずしも届け出を必要としないというものがございますが、それが実は事故を発生し、あるいは事故を発生するおそれがあるというものが多くございます。したがって、こういう場合におきましても規定面ではそういう届け出の義務がございませんけれども、いま申しましたように、事故になるおそれがあるというようなものにつきましては当局に届け出て、その安全について確認を得てから装置を変える。こういうことにしたわけでございます。  三留目は、したがって、そういうような構造なり装置面で欠陥または改善措置をした場合には、できるだけ早く車を持っておられる方々に周知徹底するための適切な処置をとる——簡単に言いますと、新聞公表する。こういうことが一つの例だと思いますが、そういうことによってできるだけ車の欠陥というものは、規定にあってもなくても、現実に事故につながるおそれのあるものは当局に届け出て、その安全性について確認を求め、その結果を一般に周知徹底する。こういうことを要望したわけでございます。
  48. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまお話しになりました第二項、あなたは届け出を必要としない場合でもとおっしゃったけれども、これでは承認を必要としない場合でもすみやかに届け出なさいと、こういうことですから、このとおりならば、あなたは届け出を必要としない場合でも云々で、届け出しなさいと、こういうふうにおっしゃった。そこのところはその通達のとおり、承認を必要としない場合でも届け出なさいと、そういうことなんでしょう。
  49. 堀山健

    説明員(堀山健君) ことばが不十分でございましたが、おっしゃるとおりでございまして、制度上届け出は必要がなくても、事故になるおそれがあるものにつきましては届け出なさいということでございます。
  50. 松澤兼人

    松澤兼人君 第一項は承認を必要とするということでしょう。
  51. 堀山健

    説明員(堀山健君) はい。
  52. 松澤兼人

    松澤兼人君 それから第二項は、前項の変更の承認を必要としない場合にあってもすみやかに運輸大臣に届け出なさいと、こういうことですね。第三項はもう御存じのとおり。承認を必要とするものは一項にあって、承認を必要としないものにあっても早く届け出なさい、そういうことでしょう。そういうふうにお聞きしてよろしいですね。
  53. 堀山健

    説明員(堀山健君) そのような意味でございます。
  54. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこで、この第三項に、早急に自動車使用者に対して周知徹底をはかるための適切な措置を講じなさい——これは通産省でもやはり同じことをやっていらっしゃる。ユーザーに対して変更あるいは欠陥等について周知徹底しなさいという、そういう通産大臣か何かの名前で通牒をお出しになったんじゃないですか。
  55. 山下英明

    説明員(山下英明君) 重工業局長名の通達を出しております。その内容を申し上げますと、第一点として、設計面及び製造面で安全が確保されるよう留意してほしい。そのために研究開発——安全のための研究開発に一そう努力を払うこと。第二点は、国内の販売車、これはもちろんのこと、輸出車の場合も万一欠陥が発生したら、その車の点検、修理、部品の交換等をすみやかに行なう体制を整えてほしい。そして三番目に、事故発生の場合には、欠陥の発生した状況、それと改善対策と点検、修理、部品交換等の進捗状況を報告してほしい、通達の内容は以上三点でございます。
  56. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは、自動車行政ということから言えば当然かと思いますけれども、先ほど運輸省から出された依命通達の中にも、ユーザーに対して周知徹底させなさいということがある。こちらの通産省のほうにもやはりそういうことがある。それぞれやはり行政の関係からこういうふうになるかもわかりませんけれども、しかし、重複しているといえば重複しているし、また、重複していてもやったほうがいいということならば、これはよろしいと思いますけれども。そこでお尋ねしたいのは、元来この機構上の問題、あるいは運転の装置の問題、それだけの問題ならばこの公害交通特別委員会で取り上げるべき問題じゃなくて、あるいはメーカーに対する問題ならば商工委員会、あるいは整備に関する問題ならば運輸省とかというようなことで、本来ならばここの所管外かと思います。警察のほうで、こういう欠陥車が交通事故に結びついているかもしれないということで、あらためてこれまでの何万件かの交通事故をそういう見地から全部洗ってみるというような決意をしたとか、あるいは決定をしたとかということでありますが、その点はいろいろ新聞等で欠陥車の問題が大きく取り上げられてきたから、従来の、整備上のミスで事故が起こったというように考えられていたものが整備ということに関係なく、機構上の本質的な問題として事故が起こったかもしれないということを再認識されて、あらためて認識されて、それぞれ交通事故を総洗いに洗ってみるということになったのですか。
  57. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私どもは、この種の車の欠陥というものは全然存じておらなかったわけでありますので、昨日——その前から新聞その他で承知しておりますが、昨日具体的に業者の方からお話も伺ったわけでありますが、その結果、交通事故につながる可能性はある。必ず交通事故が起こるというものではありませんけれでも、可能性はあるということで、従来われわれがそういう事態を知らなかったためにほかの——たとえば単に整備不良の車両とそれの違反ということで事件を生じたものがあるかもしれないということで、さしあたって本年の一月以降の分について調査をしてみたい、そういうふうに考えております。
  58. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは運輸省、通産省及び警察庁全部に関係のある問題ですけれども、先般も二回にわたって三島−函南のところで貨車の転覆事故が起こった。これも一つ一つの原因であれば貨車が転覆するというところまでいかないけれども、いわゆる競合脱線という形で、脱線に至る原因というものが幾つかあって、それがある瞬間に競合して脱線という事故を引き起こす、こういったような、いわゆる競合脱線ということが以前にも鶴見かなんかでありましたけれども、あらためてこの問題について競合脱線ということがどういう意味のものか。脱線の原因がどういうところにあるかということをいろいろと研究されるという話を聞いております。この自動車の場合にもやはり単一の、いわゆる欠陥というものが大きな、あるいは大きくなくても自動車事故にあるいは交通違反に結びつくものか、あるいはその一つの機構上のミスというものが、必然的に不可避的に事故に結びつくものか、なかなかこれは御判断に困る問題じゃないかと思うのです。そういう点では警察庁としてはどういうふうにお考えですか。あるいは運輸省としてどういうふうにお考えになるか。それで交通事故の因果関係で、機構上の、構造上のミスというものは大きな、あるいは小さな交通事故に結びつく可能性なり、あるいはおそれなりということについてどのようにお考えになっておりますか。
  59. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) この車の欠陥そのものが——ただいま提示されました欠陥そのものが事故にどのように結びつくかということは、運輸省のほうから御説明いただいたほうがよろしかろうと思いますが、私どもの立場からいたしますと、問題が二つあるように思います。  一つは、車の欠陥による事故であるのに運転者にしわ寄せされていないか、責任が運転者にいっていないかという問題があります。この点は最高検も言っておりますように、裁判上で、運転者側にも何らかのミスがあるということで判決がおりておる以上、その点は問題がないのじゃなかろうかということであります。  その次には、従来われわれが整備不良車両といっておりますけれども、それがほんとうはこちらのほうの事故であったかもしれないという問題があるかもしれません。警察官はあまり技術的なことについては十分な知識がありませんので、技術的にむずかしい問題につきましては必ず、陸運事務所と一緒に事故調査をやっておりますので、今回の問題にしましても、書類の上でさしあたってチェックいたしますけれども、問題があれば陸運事務所と相談しながら調べてみないとわからないと考えます。
  60. 堀山健

    説明員(堀山健君) 事故の場合、私ども事業用の車でよく大きな事故がありますと、直接、警察の捜査とあわせて十分原因追及することがございますが、やはり、ドライバーの条件と道路、あるいは交通標識、制限、そういうものがいろいろ競合する場合が非常に多うございます。車の本体だけで、確実に事故の主たる原因が車両欠陥であるというように判定したのも従来ございます。しかし、どちらかといいますと、競合したほうが多いというふうに考えます。  従来、私どもがいわゆる重大事故として取り上げましたのが、昭和三十九年以来十七件ばかりございます。これはいずれもいろいろ原因があろうけれども、車体欠陥によるウエートのほうが大きいという意味で、事故警告を出したものがございます。今度その通告によりまして日産とトヨタはそれぞれ私どもに実は報告をしましたし、それから新聞にも出しました。あの中の二件につきましては、従来私が、これはいままでの事故の例から見て、欠陥のウエートが大きいのではないかというふうに判断したのでございます。
  61. 松澤兼人

    松澤兼人君 運輸省からいま御答弁いただいたのは、事故があった場合に、検査してみたら機構上の、設計上のミスというか、構造上のミスであると思われるものが、実際、自動車がメーカーの工場から出て、これが普通は代理店等いわゆるディーラーの手に渡って、それからユーザーの手に渡るわけです。その間、普通、輸出品なんかでは、抜き取り検査というような方法で品質あるいは数量等の検査をするというようなことがあるわけなんですが、先ほどのお話ですと、ベルトコンベヤーから離れて完成車として出てくる。それは工場内のあるいは工場外の何と申しますか、運転場のところで専門家が一応ある時間乗り回してだいじょうぶだということで工場から外に出される。そこで官憲と言いますか、あるいはまたは所官庁として抜き取り式の検査というものは全然行なわれていないわけですか。私は何かそこら辺にこう欠陥があるんじゃないかと思うのですけれども、検定検査あるいは認定、そういう手続は工場の中、メーカーのところだけでやっておられるのか、あるいは権限を持っている運輸省なりあるいは通産省なりが外部の力でチェックするという方法がとられているのですか。
  62. 堀山健

    説明員(堀山健君) 輸出向けの車はよく承知しておりませんが、国内向けの車につきましては、私どもこの指定自動車につきましては、いわゆる定期監査というものをやっております。そして初め承認したと同じものが、私どもきめた検査の規格、検査の機械を使ってどのようにして行なわれておるかということを監査するというシステムによってそれをチェックしております。
  63. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、最初の指定型式の車は、最初に承認されれば、その後手抜きがあってもそれを運輸省でチェックする方法は何もないということですか。
  64. 堀山健

    説明員(堀山健君) 私どもが直接工場に立ち入って実際に見るというのは監査という制度によって行なっておる、あとはメーカーの中で内部的にいろんな検査規格をつくっております。これはもちろん私ども承認しておるわけですが、どこの場所ではどういう機械を使ってどういう検査をすると、そして各セクションごとに何と申しますか、ある品質管理と申しますか、承認したと同じものが出るように、これは人間の判断だけでは困りますので、機械とどういう資格の人間がそこで見ると、それが最終的にコンベヤーラインで組み上げられますと、そこで最終ラインでは私どもの検査場と同じように最終検査をして、さらにあるロードテストをして、そして最後に工場としては検査が完了する。そういう内部で一人の人が見るのでなくて、数多くの人がいろんなセクションでいろんな機械を使って見るということを、私どもがそういう検査のシステムを使うということを前提に、先ほど言いましたような検査システムを認めておるわけでございます。それから具体的には、私どもが直接立ち入りますのは監査という形式で立ち入って、実際にその状態が間違いないかを見る、こういう形をとっております。
  65. 瀬谷英行

    委員長瀬谷英行君) 先ほど松澤委員質問の中で、抜き取り検査という形を行なうのかという質問がありましたが、いまのお答えの監査という制度はその抜き取り検査のような方法をとっているわけなんですか。
  66. 堀山健

    説明員(堀山健君) 当然抜き取りも含まれるわけでございます。
  67. 松澤兼人

    松澤兼人君 どうもその辺のところがこういうふうに欠陥車の問題が大きく出てまいりますと、どこかこう手抜かりがあるような気がしますけれども、運輸省としては、これまで長い間そういう欠陥車というものが出ているにかかわらず、今回初めてこれが新聞等で取り上げられて気がついたというのはおかしいですが、そういうこともあるかということを認識されているんじゃないですか。これまで長い年月の間、運輸省としては欠陥車が出るかもしれないというような疑問をお持ちになったことないですか。
  68. 堀山健

    説明員(堀山健君) 当初申し上げたかと思いますけれども、事故があってその事故を解明した結果、車の欠陥があるというふうに認定いたしまして、それに対しては事故警報を出すという制度もございますので、その制度に乗っては従来からしておったわけでございます。ただ、今度の報告その他から見まして、それは今度のトヨタ、日産から出てまいりましたものは、これはどちらかと言いますと、事故があって欠陥があるということを発見したのは三件でございまして、一つは私どもの車検場で欠陥を発見した。それから自分の会社で車を売ると同時に、その会社自身ももちろん売り出す前にいろんなテストをするわけでございますけれども、売ったあとでもさらにいろんな追跡テストをやっておるわけでございまして、そういう場合に発見した、あるいはお客さんが車を使っているうちにこれは少しどうもおかしいじゃないかということでいわゆるクレームと申しますか、そういう形で販売店を通じてメーカーにクレームをした、こういうものが数から言えば非常に多うございます。事故があったからというケースよりも、事故はなかったけれども自分が使っているうちに、会社として使っているうち、あるいはお客さんが使っているうちにこれはどうもおかしいのじゃないかということから発見したケースが大部分でございます。したがって、従来私どももそういう点についていろんな発見に努力したわけでございますが、ただこういう結果から見ますと、そういう外に事故としてあらわれてないけれども、これは直すべきだということから始まって、しかもこれをないしょにやったということで、私ども知る機会が従来はなかったということでございますので、これは非常に残念なことなのでございますので、今度通達を出して制度上届け出する義務がないものであっても事故につながるおそれのあるもの、そういうものについては届け出て安全についての一般の公表もあわせてやると、こういうことを希望したわけでございます。
  69. 松澤兼人

    松澤兼人君 誠意のほどはわかりますけれども、しかし、これで欠陥車を絶滅することができるかどうか。私はやはり法律の改正あるいは政令の改正等を通じてもう少しいわゆる監督官庁というものがメーカーの生産そのものについても、あるいはメーカーの工場から出た自動車についても、先ほど申しましたように、アトランダムに自動車をつかまえて、もう少しユーザーの手に渡るまでに運輸省というか、あるいは陸運事務所というか、そういうところでチェックする道を開いておかなければいけないと思います。現在の陸運事務所でも、また運輸省それ自体でもそういう進んだと言いますか、専門的な技術を持っておられる職員がそうたくさんいるとも考えられませんけれども、何か法令の改正によって少なくともあなたのところは監督官庁、あるいは通産省が監督官庁であるとすれば、もう少し——これだけ長い間ユーザーが変だ変だと思いながら使っていた、これが全然、それがあたりまえのものだと、こう考えながら使っていた、ほかからこういう問題が出てきて初めてその真相がわかったというようなことでは、これは行政上少なくとも監督官庁としては責任があるんじゃないかと思います。これはあなた方に大きな声で言ってみても、それはなかなか権限の問題でむずかしいことがあるかと思いますけれども、少なくとも省議等において積極的にもう少し監督官庁としての責任を果たすように、ユーザーに心配をかけないように、ひいてはまた、陸上の交通事故につながらないように責任を持っていただきたいと思います。これは要望だけいたしておきます。
  70. 内田善利

    ○内田善利君 同じ問題で引き続き質問したいと思いますが、まず第一に、いまの点ですけれども、整備部長は、事故が起こってみて欠陥車であるかどうか判定したということですけれども、これは人間尊重の意味からいって、人命尊重の意味からいってたいへんな問題だと思うんですけれども、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  71. 堀山健

    説明員(堀山健君) 実は制度的に先ほども触れましたけれども、事故報告書というものがございまして、事故が発見された場合には、車の持ち主、具体的に申しますと道路運送事業、いわゆる営業免許を受けたもの、あるいはある一定の両数以上を持ったものは運輸省にその事故の内容を報告する義務がある。その事故の内容から、これは運転のミスである、あるいはこれは整備上のミスである、これは車両欠陥である、こういうことをより分けまして、そしてそれぞれその事故の結果を行政に反映させておるというのが、残念ながら従来こういうものに対する一つのやり方と申しますか、そういうことであったわけでございます。しかし、いろいろ考えますと、それだけでは十分ではございませんので、今後通達その他によってできるだけ多くの事故を予見するものを含めまして、情報を集めましてそれぞれの処置をしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  72. 内田善利

    ○内田善利君 いまの松澤委員からの質問がありましたように、事故が起こってから車の欠陥を知るという考え方は、監督官庁として改むべきではないか、そのように思います。今度のような対外関係、国際関係の信用を落とすようなそういうことを見落としているわけですから、やはりメーカー自体でそういうことをなくするとか、あるいは車検のときにはもっと厳重にしていくとか、あるいは運輸省でやる監査ですか、そういった面をもっと強化していく、そういうふうにやるべきであって、事故が起こってからその車の欠陥を知るというふうなそういう考え方は改むべきであると、このように私は言っているわけです。この点についてもう一度確認したいと思います。
  73. 堀山健

    説明員(堀山健君) おっしゃるとおりでございます。ただ制度的な面では確かにそのとおりでございますが、実は運輸省では、従来大量輸送をするいわゆるバスでございます。これに対してはバスの業界内部の技術者を集めまして、いわゆる使用者という立場で、バス会社というのはわりあい多くの車を持っておりますし、企業としてもしっかりしております。また、技術者もそろっております。したがって、車を使うという立場からいろんな注文がメーカーにあるわけでございます。これは事故につながるものもございますし、必ずしも事故にはつながらないけれども、こうしたほうが車を点検、整備するのに非常に都合がいいというものもございますし、それからこうしたほうが車を使う上に経済的であると、いろんな要素があると思います。これらの要素につきまして定期的に会合いたしまして、それぞれ持ち寄った結果を個々の車種ごとにメーカーに要望する、そしてそれに対してメーカーはそれを改善する、こういうことをもう過去十数年やっております。運輸省といたしましては、そういった意味の行政指導を通じてメーカーに通告するという制度は、いま言いましたように、大量輸送をいたしますバス、これはきわめて、一番ウエートが高いということで、これに対しては当局もバックアップして強くやってきたつもりでございます。ただ、それはあまりにもバスあるいは大型自動車に重点が向き過ぎて、現在普及しております一般の小型の乗用車あるいは今後ふえるオーナー族、こういうものに対しましては確かに行政的に抜けておった面が多々あると思います。これを機会に私どももいろいろな機会を利用いたしまして、事故が発生してからということでなくして、発生するおそれというものをなくしていくということに努力してまいりたいと思います。
  74. 内田善利

    ○内田善利君 もう一つ関連質問としまして、輸出入の検査はよくわからないということでしたが、このブルーバードにしてもコロナにしても、輸出の場合の検査機関、どこでチェックされておるか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  75. 山下英明

    説明員(山下英明君) 輸出検査は、通産省は輸出検査法という法律で品目を指定してやっておりますが、自動車はその対象に入れておりません。おりません理由は、輸出検査のそもそもの趣旨が、日本から輸出します品物で品質の悪いもの、そういうものが国外で汚名を浴びせられて日本の輸出に非常に弊害になるという過去の苦い経験から生まれたわけですが、それによって雑貨、軽機減等の製品に品目が指定されております。しかしながら、輸出検査の長い経験から申しまして、日本側のメーカーが非常に多数であったり、また、中小企業が多いようなものにつきまして政府が進んで検査をするということが効果があるわけですが、自動車の場合はメーカーが大企業であること、また、それぞれのメーカーが自分のマークをつけまして外国で売るわけでございまして、雑貨その他の品物に比べて製造業者の責任体制ということがきわめてはっきりしております。  次に、今度検査能力でございますが、一般的に政府機関の検査は、先ほど松澤先生からも御指摘のありましたように、誠心誠意、かつ、非常にレベルの高い技術者をもってやりましても、抜き取り検査その他いろいろな方法があるわけでございますが、効果に限界がある。それに比べて自社検査、つまり製造業者が自分で責任をもって検査するということのほうが効果としては非常に強いのでありまして、カメラその他の商品でも漸次そういう自社検査方式に移行する傾向にございます。さらにつけ加えますと、自動車は安全に非常に関係がございますので、輸出先のアメリカをはじめ各国でそれぞれの保安基準、安全基準を設けて輸入の際に厳格な検査をする仕組みになっております。これらの点をかね合わせて検討の結果、対象品目に入れてないものと思います。
  76. 内田善利

    ○内田善利君 わが国の、日本の自動車産業の安全性とアメリカにおける安全性の相違点があれば、それを具体的に教えていただきたいと思います。
  77. 堀山健

    説明員(堀山健君) 車の安全性につきましては、いわゆる安全基準というものが——国によってことばの表現は違いますが、わかりやすいことばで言いますと、いわゆる安全基準というものがそれぞれきめられております。で、日本の場合は、昭和二十六年から保安基準という名前できめられております。で、従来日本の場合は、事故のいままでの実績から、いわゆる低速で起こる歩行者対策というものに重点がきめられておりまして、その面の規制が多うございます。しかし、一昨年以来やはり高速における事故ということが道路の発達とともに必要性が高められましたので、昨年以来いわゆる高速で走る場合の事故対策ということで、ベルトだとかまくらだとか、あるいは補助方向指示器とか非常点滅表示灯、そういった高速対策の項目をつけ加えておるわけでございます。アメリカの場合は一般的に速い速度で走る道のほうが多いし、実際にその道を走っているわけでありますので、どちらかといいますと、そういう高速で起こる事故をどう防ぐか、起こった場合にどのように被害を軽減するかということに重点を置いた基準になっております。
  78. 内田善利

    ○内田善利君 アメリカの場合はわかりませんか。アメリカの場合です。
  79. 堀山健

    説明員(堀山健君) 後段で申しましたのがアメリカの基準でございまして、アメリカでは速い速度で走ると、道の発達が日本と比べるとはるかによろしいために高速で走るということを前提に置いた、その場合に起こる事故を予防する方法、それから起こった場合に被害を最少限度にとどめるような項目について規定をしております。日本の場合は、いわゆる歩行者事故、歩行者と自動車が、過去から現在にわたりまして道路上で歩行者あるいは自転車と自動車がぶつかる、こういう事故のケースがはるかに多いわけでございます。したがって、この面の手当てをしたのが日本の基準でございますが、一昨年以来、日本でも名神、東名というふうにそういう道もできましたので、いわゆる高速型のそれぞれの基準を順次つけ加えまして現在に至っておるわけでございます。
  80. 内田善利

    ○内田善利君 よくわかりましたが、やはり高速度化する、あるいは車両が多くなってくる、そうなりますと、どうしても道路幅とか環境にとらわれやすいですから、あくまでもドライバーの人間尊重、また通行人の人命尊重と、そういう立場からひとつ規制していただきたいと、かように思います。今度の場合におきましても、米国においては、メーカーが生産車に欠陥が生じたと、欠陥があるということがわかった場合には直ちに当局に届け出ることが義務づけられておりますし、さらにメーカーは、新聞、テレビを通してその事実を公表すると、そのようになっている。ところが、今回の車の欠陥は公表されなかった。そして秘密裏に回収が行なわれておったというようなことは全く納得のいかない行為でありますし、国際信用を失墜したということでも非常に大きな問題だと思うんですが、この点について監督官庁の運輸省としては、ひとつこういうことが今後起こらないようによく監督していただきたいと、そのように思うわけですが、この点について御意見をもう一回お願いしたいと思います。
  81. 堀山健

    説明員(堀山健君) メーカーが車の欠陥を発見した場合に、アメリカの場合でございますと、政府に届け出て同時に、これは義務ではないそうでございますが、新聞その他に公表するということに習慣としてなっておるということでございます。で、アメリカ以外の国では、そういうことを政府は義務づけておらないのでございます。しかし、日本のいまのモータリゼーションから考えまして、やはり欠陥がある、あるいはこういう点について注意すべきだという点については、できるだけ広く車を持っている人に教えてそれぞれの注意をしてもらうと同時に、できるだけ早く回収をして部品を交換するということは交通安全上最も適切な措置と考えまして、先ほどから議論いただいてきておりますように、六月六日に、これは依名通達でございますが、自動車局長から団体を通じて各メーカーにそれぞれ要望したわけでございます。ただいまのところ、トヨタと日産がいままであったそれぞれ欠陥車についての対策について報告が出ました。これについては新聞にも公表されておりましたので御存じかと思いますが、その他のメーカーについても現に手当てをしているもの、過去の対策済みのもの、こういうものについても近く届け出ることになっておりますので、しかるべき方法で公表したいと思っております。
  82. 内田善利

    ○内田善利君 現在の車検制度についてお聞きしたいと思いますが、今回運輸省当局としては増員を考えておられるということですけれども、具体的にどのように進めていかれるのかお聞きしたいと思います。
  83. 堀山健

    説明員(堀山健君) 車の検査は大ざっぱに言いまして二種類ございまして、一つは先ほどから申し上げております型式指定という車、要するに、まあ何と申しますか、最近は特に小さい車につきましては量産されておるわけでございます。そうして、コンベアに乗せて流していくと、いわゆる量産と申しますか。それから大きい車は、これはバスとかトラックのようなものは、これはどちらかといいますとオーダーメードで、お客さんの要望によって一台一台仕様が違うということでございます。それで、まあ車全体からいいますと、そういう型式指定を受ける車が大部分でございます。そのかわり、一つの型式指定を受けますと、それに対しては年間五万台出すとか十万台生産するとか、あるいは二十万台生産すると、こういうことになっております。そこで、その型式指定につきましては、私どもできるだけ多くの時間をかけて綿密にやる必要があると思いますが、現在私どものまあ職員、これは必ずしも十分な配置ができておりませんで、数多くの型式指定の審査、これに非常にまあ苦労しておるわけでございます。したがいまして、この面の手当て、まあ簡単に言いますと、増員と申しますか、これを現在積算中でございます。同時に、今度は一たん登録された車が、定期検査と申しますか、こういった面で、たとえば一年に一回、二年に一回、車によって違いますけれども、検査をするわけでございます。これにつきましても、一部民間に検査をやらせる制度はございますけれども、その面についてまあ車のふえ方が非常に多いために、なかなか従来の予算要求の成果におきましては十分取れなかったという面もございますので、まあこのような機械がさらに改善されるために、例年になく、これを改善するためにさらに要求していきたいと思います。  それからもう一つは、事故を起こさないということが一番大事なことでございまして、まあ一つの方法は、起こった結果、たとえばある会社がそういう事故を起こしても、それに見合った、よその会社の車であっても、それにまあ近いような車はやはり同じようなそういうことがあるのではないかということも考えられます。また、事故を起こしたあとの処置が改悪になっても困ると思います。したがいまして、いろいろな複雑な条件で事故が起こるわけでございますが、それについてのいろいろな解析をして、今後そのようなことがほかの車においても起こらないということを検討しなければいかぬわけでありまして、したがって、行政のほうにつきましても整備する必要があると思いますけれども、同時に、当省の研究機関のほうにつきましても、そういう事故の予防、解析というものについてのセクションを設けて前向きに検討を進めていく必要があるのじゃないかと思っております。たまたまいま予算を積算する時期でございますので、どのような形で何にどうするというようなことにつきましては、ただいま事務的に検討しておるところでございまして、いま、ちょっと数字お話しする段階ではございませんので御了承いただきたいと思います。
  84. 内田善利

    ○内田善利君 現在の車検制度といいますか、こういう制度はいつからできた制度ですか。
  85. 堀山健

    説明員(堀山健君) 現在の制度は、記憶がちょっとさだかではございませんけれども、大正……、かなり昔からあったと思います。ちょっとはっきりと記憶しておりません。現在の運輸省は、二十二年ですか、旧内務省が前にやっておりまして、それを運輸省が引き継いだということでございます。現在の法律制度は、昭和二十七年に道路運送車両法というものができまして初めてこういう保安面についての体系づけができたということでございます。それ以前は内務省で、個々の車に対する検査をしておったというわけでございまして、日本で初めてやった具体的な日にちを記憶しておりませんので御了承願いたいと思います。
  86. 内田善利

    ○内田善利君 非常に古いお話ですけれども、現在の車検制度では、この欠陥車が発見できなかったというこの事実から、ひとつ抜本的な積極的な対策を講じていただきたい。こういう欠陥車を発見できるようなそういう制度にしていただきたいと、このように思います。  次に、自動車の整備工場の認可はどうなっておるのか教えていただきたい。
  87. 堀山健

    説明員(堀山健君) 道路運送車両法の中に、整備工場を営む場合には認証を受けなければならないと、いわゆる分解整備をする場合には認証を受けなければならないという規定がございます。これは、車の、いわゆる重要保安部品といいますか、エンジン、ミッションあるいはブレーキとか、そういった部分を分解いたしまして整備をする、こういうような仕事をする場合には陸運局長の認証を受けなければならないという制度になっております。具体的にどういうことかと申しますと、ある一定の面積、ある一定の機械、そこで整備が終わりまして、最終検査をしてお客さんに渡すということでありますので、検査主任者という制度がございまして、その検査主任者が整備した結果を確認いたしまして検査をして、そしてお客に渡すということで、面積とそれから人の数と機械の種類とそれから検査主任者がおるということ、おもだったこういったことを条件に認証という制度がございます。
  88. 内田善利

    ○内田善利君 この自動車整備工場の技術の面ですけれども、質的な面で陸運局が指導しておると思いますけれども、これで、現在のそういうやり方でいいのかどうか。このように高速道路が整備されてきましたし、やはりそういった面に対する指導、助言、そういうことはどのようになされておるか、またなされるつもりであるか、お聞きしたいと思います。
  89. 堀山健

    説明員(堀山健君) 先ほど少しことばが足りませんでしたけれども、整備工場を営むための最少限度が認証という制度でございます。その上に大臣の認定制度というものがございます。数多くあります整備工場の中で、経営的にも技術的にも優秀な工場について大臣が認定をするという制度がございます。その次に、認定された工場の中から陸運局長が指定いたしますと、本来国でやるべき車の定期検査、これをその工場でやってよろしいという制度もございます。そういうぐあいに工場のレベルの高いものに対してはその民間の能力を活用していく、ただし、先ほど言いましたような工場の認定、指定ということになりますと、そのつど設備なりあるいはそこで働きます整備士の数が何人でなければいかないとか、あるいは指定工場でございますと最終検査をいたします検査員は私どもの政府の検査官と同じ資格である、したがいまして、もし間違いを起こしますと刑法上の罪に問われる、こういうようなきびしい指定工場もございます。それでまあ日本の実態からいいますと、車のユーザーは何と申しますか、車のことはあまり、特に一般のオーナー族でございますが、車の知識が低いために故障が起こったらとにかく工場に持っていく、工場でやってもらう、自分で判断して自分で修理する、自分で足らぬところは工場にたのむということでなく、もう一気に全部まかせる、こういうことになっておるのが実体でございます。したがって、ユーザーのそういう期待にこたえるためには、やはり整備工場自体が技術的にもレベルを上げなければいけないということになるわけでございまして、これにつきましては、昭和四十年から中小企業近代化促進法の業種指定を受けまして、経営面におきましても技術面におきましても非常に整備工場のレベルが上がるようにということで、ことしはたまたま最終年度でございますけれども、技術的にも経営的にもレベルを上げる努力をしておるわけでございます。それから保安上のいろいろな行政指導につきましても一般に広く公知する方法として、団体あるいはそれぞれ私どもの出先機関を通じて、地域的にあるいは中央の団体を通じてそれぞれPRしておるわけでございますが、やはり先ほど申しましたように、車のユーザーの方は、まあ技術のことは全部整備工場にまかせるというのが現実に多いわけでございますから、その整備工場については、特に私どもも、たとえユーザーの方がお気づきにならなくとも工場としてはよくお客さんに、政府の何といいますか、保安上のいろいろな政策をよくお伝え願って、そういう機会にできるだけ知られなくても教えてあげるようにということで指導一般のPRの助けにしていくということでございまして、そういう意味では、整備工場自体のレベルの上げ方と同時に一般のPRの一つの窓口にも使ってまいるということにしております。
  90. 内田善利

    ○内田善利君 よくわかりました。  次に、今回運輸省から出された欠陥車対策としての届け出制度ですけれども、メーカーからいろいろ言い分があるようですけれども、この点についてどうお考えになっておるか、また、そのギャップはどう埋められるつもりか、お聞きしたいと思います。
  91. 堀山健

    説明員(堀山健君) 事が安全ということでございますので、販売その他についてあるいはいろいろあろうかと思いますけれども、われわれとしては、まあ安全面からして健全なモータリゼーションができるようにということで、その辺は割り切っていただきたいというふうにメーカーにはお話ししているわけでございます。それでたまたま十二日の日に一般には公表されましたけれども、それ以外のメーカーにおいてもやはり同じような欠陥があるというふうに見ております。これについては近くトヨタ、日産と同様に当局に届け出があることになっておりますので、同じような方法で公表したいと思います。でありますから、特定の会社だけをどうこうするということではなくて、そういう欠陥がありましたらすべて平等に扱うということでございますので、当面はいろいろ反響はあろうかと思いますけれども、これがいい意味で世の中に定着すると申しますか、ことになればそれでいいのではなかろうか、あるいは公平に扱われるだろう、かように考えております。
  92. 内田善利

    ○内田善利君 次に、高速道路でのフロントガラスの事故なんですけれども、通産省関係かと思いますけれども、昨年は一年間に中央高速の場合二十七件、ことしは四月までに三十五件と激増しておるわけですが、東名高速でも大体一日約三台近くの車が窓割れ事故を起こしておる。このようなことがありますが、スピードが増してきましてフロントガラスが割れますと、運転手の目が見えなくなるということからストップする、そうすると追突事故のおそれがありますけれども、この点についてどのように考えられるか、どう指導されるんですか、お伺いしたいと思います。
  93. 堀山健

    説明員(堀山健君) 高速道路でフロントガラスが割れるということをよく聞くわけでございますし、私どももいろいろ関係の方々検討してまいっておるわけでございますが、なかなかこれという原因が解析されないのが現状でございます。しかし、今般保安基準を変えまして、割れても差しあたり運転に支障がないというガラスに変えるということにいたしました。現在の日本の保安基準では、車の前のガラス、これはいわゆる合わせガラス、二枚のガラスの中に接着剤を使って合わせたガラスかあるいはまたは強化ガラスでなければならないということになっております。問題になっておりますのは、強化ガラスのほうでございます。ある衝撃を与えますと、一瞬にして小さな網の目のように一瞬に広がって、瞬間的に前が見えなくなる、合わせガラスのほうですと、二枚のガラスを接着するんですから、星型に割れる、そうしてとにかく割れておるけれども前は見えるということでございます。それでそれは従来ともよろしいが、強化ガラスにつきましては、部分強化ガラスを使うということに今後切りかえるということにいたしました。このガラスでありますと、運転席の前は同じ割れても大きく割れる——大きく割れるというか、ひびが入る、従来ですと、非常に小さいひびが入ったために瞬間的に前が見えなくなる。今度の規定では、運転席の前の部分に大きくひびが入る、そういたしますと、ある速度で走っておりましてもとりあえず緊急避難ができるということができようかと思います。したがって、今後——これはたしか一年間の経過措置を置いておりますが、来年の六月一日以降の車についてはこれを全面的に採用するということにしております。
  94. 内田善利

    ○内田善利君 次に、交通難解消の一策としてモノレールを東京都につくったらどうかと、このような提案があるわけですが、この点について運輸省当局はどう考えるかお伺いしたいと思いますが、もしこういった考えがあれば、どのようにされるつもりかお伺いしたいと思います。
  95. 堀山健

    説明員(堀山健君) 実は私担当でございませんので、ちょっとお答えできませんですが……。
  96. 瀬谷英行

    委員長瀬谷英行君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 瀬谷英行

    委員長瀬谷英行君) 速記をつけて。
  98. 内田善利

    ○内田善利君 では以上で質問を終わります。
  99. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 欠陥車の問題で若干お尋ねしたいんですけれども、今回欠陥車の回収の方法を公表制度にしたということなんですが、先ほど堀山部長のお話ですと、現在公表制度をとっているのはアメリカだけだ、ほかはないと言われましたけれども、他の先進諸国ではどういうふうにしてこれをやっておるのか。従来の日本と同じか、あるいはその他特殊な方法でこういう手段をとっておるか、その点お聞かせください。
  100. 堀山健

    説明員(堀山健君) 私の承知しておる限りでは、アメリカは現在、メーカーに直接義務はないけれども、そういうことが善であるというか、そのほうがむしろよろしいということで積極的にPRしておる。それからヨーロッパでは、そういうことを義務づけるという制度はないように聞いております。日本の場合は、これは秘密秘密とよく言われますけれども、メーカーによっていろいろやり方は違うと思いますけれども、少なくとも売った先へは、各販売会社の販売リストからしてだれに売ったということがわかりますので、そういう事実がわかりましたらそのリストをもとに、そのお客さんに手紙を出すあるいは巡回してサービスする、そういう方法を一般的にとっておるんじゃないかと思います。
  101. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 日本も自動車が非常にふえまして、モータリゼーションが進んでおるわけですけれども、アメリカの公表する一つの習慣というものが非常に迅速にかつ広範に周知徹底するという面では世界の中でも非常にすぐれた制度じゃないかと思うんですが、ただこの場合に、従来から日本の自動車がどんどんふえるに従って、メーカーの欠陥車の周知の方法をアメリカのような制度にしたほうがいいというようなことを検討されたことがございますか。
  102. 堀山健

    説明員(堀山健君) 先ほど触れましたけれども、私ども営業用、特にタクシーとかバス、こういうものについては有償でお客さんを運んでおるわけでございまして、特にバスになりますと、ちょっとしたほんのささいなことであっても事故としては大きく影響するということで、これに対してはユーザーとともに、使うほうの立場から、先ほど触れたと思いますけれども、その場所を改善しなければ危いとか、それから危険ではないけれども、日ごろ点検調整しなければいかぬが、それがつける場所が悪いために非常にしづらい、したがってついおろそかになる、あるいはこういう場所につけたほうがやりやすい、点検しやすい、あるいはこうしたほうが経済的であるとか、いろいろなものがユーザーとしてあるわけです、車に対して。したがって、バスにつきましては、毎年おおむねラウンドで大体三百点ぐらいずつメーカーに対して要望をしておるわけです。たとえば何社の何型の何型式の車についてはどこがどうだということを一件一件全部洗いまして、それをメーカーに改善要求をしておる。したがって、こういうのは一般のPRというよりも、ユーザー自体が一人で言うよりも大ぜいの力で言ったほうがより強くメーカーに反映するわけでございますし、行政にも反映するということで、バスにつきましては、ユーザーの立場からメーカーに場所を指摘して、どういう理由でどう変えなさいということを言っている。トラックにつきましてもそういうシステムがございますが、いま日本では、バスほど勉強が十分でないという点はございます。しかし、私どもいままで重点的にバスということにウエートを持っておりましたけれども、しかし、いわゆる自家用の乗用と申しますか、オーナー族と申しますか、これは、従来日本の自家用の乗用ですと会社とか官庁とか、いわゆる車を使っているけれども、ドライバーはいわゆるプロである。ところが、ここ数年非常にいわゆるアマチュアがふえてきた。今後ふえる層もアマチュアのほうが多いということでございます。そうしますと、従来のような私どものいわゆるPRのしかたといいますか、組織を通じてPRをするとか、あるいは私どもの現地機関がいろんな機会に地元にPRする、あるいは中央で雑誌その他専門誌に載せるということだけでは、そういう方々に十分なPRができないといううらみが出てきたわけであります。たまたま今度アメリカでそういう議論が出ましたのと、ちょうどわれわれは、何かそういう自家用を一台持ってあまりそういう専門誌も読まないし新聞も読まないという方々には、何かしかるべき方法をとらないと徹底が期せられないというふうに考えておったのとたまたま一致したわけでございます。したがって、この通達自体は、通達でございますけれども、相手はれっきとしたメーカーでございますので、いまの段階ではこれは法制化しなくても、この通達で十分効果があるのではなかろうかというふうに考えております。で、またその効果が出ないということであれば、その段階で制度化するかどうかということを検討したいと思います。で、実績的には十一日の日に私どものこの要望に対して当面、トヨタ、日産の両社がリストを出しまして、ほかのメーカーも近く同じように出すということを言っておりますので、たぶんこの制度といいますか、この通達で実効があがるのではなかろうかというふうに考えております。
  103. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回のこの制度に変更していくというきっかけは、ニューヨーク・タイムズの記事がきっかけになって、非常にハプニングのようなできごとでこういう問題が出てきたわけですけれども、もちろんこれは監督官庁だけの責任でなくて、自動車業界も含めて、この日本のモータリゼーションの進行や交通災害の増大に見合って、この新しいそういう社会の変化に適合した習慣とか制度とかいうものをつくっていかなければならないと思います。ただ問題は、この自動車業界についていえば、企業競争がきびしくて、特に欠陥車の問題でもそういう公表するということが非常にためらわれる、いわゆる販売競争の具にされて、なかなかそういう業界の中で意見を出しにくい。あるいはイニシアチブをとりにくいという事情もあると思います。したがって、こういうような場合に、やはりできるだけ監督官庁が主導権を持って日本のモータリゼーションの進行に適合したような新しい習慣なり制度を取り入れていくことが必要ではないか、こういうふうに考えております。今回、たまたま運輸省のほうでもこういうことを考えておられたやさきにこういう事件が起こって、非常にそれはタイミングがよかったといいますか、それをきっかけに踏み切ることができたということをお答えいただきましたけれども、今後とも、この制度で公表することを今回やっただけで、必ずしも実効があがるとは私は思わないわけです。なぜならアメリカの場合は非常に古い習慣でありまして、現在はどんなささいなことでもみな進んでこれを公表する、むしろそれがかえって逆にユーザーに対する信用を確保するもとにもなっておる。ところが、日本の場合には、まだそういう習慣がなかったところですから、へたに発表すれば自分の会社の信用を落とすことになるのじゃないかということで、各メーカーも逡巡する気持ちが強いと思います。そういうことで、できるだけこれは発表する基準とかそういうものについては、監督官庁から適切な指導をしていただいて、こういう一つの習慣というものを定着させなければ、ほんとうの意味の実効があがらないと思いますが、この点よろしくお願いしたいと思うのです。  それから構造欠陥による事故がどれくらい起こっておるか。これはけさの新聞で、大体五・二%という数字が出ておったようでありますけれども、これは間違いないわけですか。
  104. 堀山健

    説明員(堀山健君) 一般にこの事故の統計というのは、警察庁でまとめられた統計を普通使うわけでございます。したがって、ちょっといま手元に正確なものがございませんので……。
  105. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど警察庁の方のお話ですと、事故のいわゆる構造欠陥による事故、そういう見方では従来していなかったので、これからそういう調査をして結果をまとめるというお話ですから、これは結果が出たらいただきたいと思うのですが、けさの新聞によれば、大体五・二%くらい構造欠陥による事故が起きている。しかもそれはいわゆるメーカーでつくった車の構造上の欠陥によるものもあるけれども、整備不良によるものもかなりある、こういうことが出ておりました。私は、メーカーに責任があるものは、その責任の所在さえ明確になれば取り締まりもしやすいと思うのですが、整備不良については非常に対象車が多いといいますか、取り締まりも非常に困難であるし、また、責任の所在も不明確になるおそれがあると思うのです。現在、道路運送車両法の中に、第四十七条に、仕業点検の義務づけ、さらに第四十八条には、定期点検整備の義務づけもあるのですけれども、実際問題としては、これがなかなか確実に行なわれていないのじゃないかという気がするわけです。特に最近は、自動車の大衆化が進んで、なかなか自分で車を見るという人はないのじゃないか。したがって、こういう仕業点検とか定期点検整備、こういう義務づけをされても、なかなか守られていないのが現状じゃないかと思うのですが、これについて現状どういうふうに見ておられますか。
  106. 堀山健

    説明員(堀山健君) この仕業点検とか定期点検というのは、車を持っておられる方あるいは運転される方が自分の身の安全を保つためという要素が強いのじゃないかと思います。したがって、罰則がついてございません。車といいますのは、御承知かと思いますけれども、いろいろな部品の組み立てでございまして、中にはもう消耗品といいますか、たとえばブレーキのライニングとかタイヤとかいうのは、いわば一種の消耗品でございます。あるいはゴム製品は、ある年数がたちますと自然に老化してしまうのでありますから、ある時期になりますと、当然交換しなければならぬ、で、ものによっていろいろな寿命の長いもの、短いものと、いろいろなものが組み合わされておる。したがって、それを部分部分によってやはり適当な時期にそれを見て、いわゆる点検するといいますか、そうして、劣化の状態、あるいはゆるんでいるとか、ひびがいっているとか、そういうものを場所ごとに見て、そうして間違いないことを確かめて乗るということが、一番合理的な方法ではなかろうかと思います。車両検査といいますのは、これは半年に一回とか、しょっちゅう政府の目でどんどん見るのがあるいは一つの方法かもしれませんけれども、これは実は国家的にも相当予算も要りますし、ユーザーの方にもいろいろなわずらわしさが出てまいりますので、したがって、一年とか二年というのが、大体、いわゆる私どもがやります車両検査というものの適当なピッチと申しますか、時期ではないだろうか、かように考えるわけであります。その間はやはり点検ということで、車を持たれる方あるいはドライバーの方が、それぞれ判断なさってやる、これはぜひ必要なことだと思います。で、これは自分の身を守るためにぜひやっていただきたいものであるというふうに私ども理解しております。
  107. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 特に最近は自動車が非常に大衆化して、しろうとの人が乗る。むかしは運転手といえばある程度の整備の技術も必要とされたのですが、最近はそうではなくなっています。したがって、車に乗る一般の人は、故障しないものである、検査を受けるまではさわらなくてもいい。その間にさわるとするならばどこかぐあいが悪くなってさわる。それ以外はさわらなくてもいいというのが常識じゃないかというふうに考えていると思います。したがって、これは仕業検査なんていうのはほとんど実際問題としてむずかしいのじゃないか。したがって、点検整備というものはもう少し法的に強く義務づける方向に変える必要があるのじゃないかと思うのですが、そういうお考えはありますか。
  108. 堀山健

    説明員(堀山健君) そういう御意見が相当多うございます。これを罰則をつけるという形につきましては、非常にむずかしい問題があるのではなかろうかということで、私ども内部的には検討しておりますが、これはどちらかといいますと、先ほど申しましたように、車を持っておられる方あるいはドライバーの方が、こういうことをすることがいいことなんだ、安全を保つためにいいことなんだという、一つの目標といいますか、というふうに、われわれはできるならばそう理解したいというふうに思います。それから一つは、最近御承知かと思いますけれども、整備工場の中でもいわゆるカー・ケァ・センターというものがだんだん普及してまいりまして、やはりわれわれの承知している範囲では、たとえば高速道路に乗って押しかけていく。その場合に、いまの車の条件ではたしていいだろうかということで、それをチェックしてから乗るという方もふえているように聞いております。それで、ことに高速なんかになりますと、タイヤのバランスがとれてなければだめだとか、あるいはブレーキはただきけばいいというのじゃなくて、右と左のバランスがとれていなければいかぬとか、従来の整備とちょっと違った角度で見なければいかぬ、そのためにはより精度の高い機械と技術者の目を通してチェックして、そのかわり車の性能に合った運転をする、こういうことがだんだん普及することをわれわれは期待しているわけであります。
  109. 瀬谷英行

    委員長瀬谷英行君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十二分散会