○
説明員(
橋本道夫君) まず初めに、本年二月十八日の衛生
部長のお話の点でございますが、これは長崎県がこれを審査するための
専門家の
委員会をつくりまして、全員十三名で構成されておりまして、そのうちの六名は地元長崎大学の医学部の
専門家及び原子力障害
関係の
専門家の方が加わりまして、整形外科の方、あるいはじん臓内科、そういう
観点からの方がすべて加わった
委員会を構成してやっておったわけでございます。で、おっしゃいました二月の十八日は最初の日でございまして、もう一度三月の十五日にいたしまして、そして三月になりましてこれを最終的に発表いたしております。その発表した内容の概要を申し上げますと、先ほど
先生のおっしゃった、精密検査を要する、そうしてレントゲンの写真をとった結果といたしまして、老人性の骨の変化と見られるものが中にあるということを言っております。この点につきまして、今後どういう問題が出てくるかという論議がいろいろあろうかと思われますが、一応この
段階では、老人性の骨の変化だというぐあいに整形外科及び放射線
関係の
専門家は診断しております。それから尿のテストにつきましては、たん白と尿の陽性率が比較的高い、しかも
両方とも陽性というものがあるという点を
指摘しておりました。じん臓障害があるが、これがはたしてそれだけではカドミウムによるものかどうかということにつきましては、さらに今後
研究を進めなければ鑑別がなかなかむずかしいということを言っておるわけでございます。そういうことでございまして、この
委員会がやりました、この健康診断
基準といいますものは、富山県のイタイイタイ病のために設けられておりますイタイイタイ病審査会というのがございまして、それには金沢大学と、それから富山県の中央病院の院長さんと萩野
先生と、みんなが加わりまして、それらの
専門家の合意のもとにきめられた健康
基準というのがあるわけでございます。その診断
基準によって判定されたということでございまして、ここに加わられた大学の
先生方はすべて高度の
専門家でございます。レントゲンの読影にせよ、あるいはその他整形外科の問題にせよ、衛生の問題にせよ、薬理の問題にせよ、高度の
専門家でございまして、医学の診断というものは、やはり大方の
専門家の合意した診断
基準を採用して
専門家が行なうということは私
どもは適切なことではないか、そういうふうに思っております。そういう
意味におきまして、この
地区につきましては、私
どもは要観察
地区ということを申しておるのでございまして、
厚生省の発表と矛盾するという点は、ちょっと私十分……あとでまた御意見があろうかと思われますが、私
どもといたしましては、県がやった結果として、その骨の複雑な症状に及んだような、明らかにあれはイタイイタイ病だ、従来のイタイイタイ病の診断
基準から見て診断されるというものが現時点においてなかったということは、これは権威のある
判断であろうかと思っております。しかしながら、じん障害としてあらわれておる少し高いというものが、はたしてカドミウムによるものかどうかということにつきましては、
厚生省見解の中でも述べておりますように、鑑別診断の要ありというような
判断をいたしておるわけでございまして、私
どもは、そのような骨に及ぶというものがすぐ出るとは考えられない。しかしながら、それだけで置いておいてはたいへんでございますから、鑑別診断を進めるということを頭に置き、それから患者がいようがいまいが、とにかく
汚染がある、とにかくそういうものを食べているということを
中心にして
対策は徹底的にいまからやるべきだ、そのような考えのもとに進めておるわけでございます。