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説明員(長瀬恒雄君) ただいまの御
指摘につきまして、国鉄の役割りという点につきましては、ただいま運輸省から御
答弁がございました。国有鉄道といたしましては、現在の客貨の輸送業務は、これをどうしてさばいていくかということが問題でございます。したがいまして、御承知のとおり、第三次長期
計画を
昭和四十年から樹立いたしまして、総額二兆九千億の資金を投入しようという
計画になっているわけでございます。その間におきまして、ただいま御
指摘のように、現在鉄道が二万八百キロ延長がございます。そのうちで、複線になっておりますものが全体のまだ二〇%程度でございます。したがいまして、幹線でもまだ複線になっていないというところが多々ございまして、これにつきましては、現在逐次、輸送の面から
考えまして複線化する、これによって容量をふやしていくという
考えでございます。さらに、大都市におきます通勤問題にいたしましても、東京付近では乗車効率三〇〇%というような
状況でございますから、これは結局、線路をふやしていく以外には
方法がないわけでございます。東海道をはじめといたしまして、現在各方面に、複々線、複線という工事を行なっているわけでございます。それによって、交道の安全、さらに通勤輸送の緩和ということを
考えております。
そういうように、全体としての拡大と申しますか、国鉄の役割りとして拡大しなければならないところにつきましては、今後の新幹線の構想を含めまして、逐次
改善をしていくという
考えでございます。
ただ、問題になりました、御
指摘のローカル線との関係につきましては、これは、昨年の九月四日に、国有鉄道の総裁の諮問機関でございます諮問
委員会というのがございます。この諮問
委員会の
意見書によりまして、ただいま運輸省の
説明がございましたのと同じでありますが、鉄道が唯一の交通機関であったという時代には、全国津々浦浦に鉄道を敷くということは、これは間違いでなかったと思うんです。しかし、モータリゼーション、その他道路の整備によりまして、逐次自動車のほうに需要が移ってきている、これは、現実に各線を
調査いたしますと、自動車に移ってきているのが現状でございます。幹線におきましては、中距離、長距離につきましては鉄道のほうの需要というものは相当ございますが、近距離につきましては自動車に転換しつつあるというのが、統計的にもはっきりいたしているわけでございます。そういう面をとらえまして、地元の
住民の便益性と申しますか、その点から、自動車のほうがいいという地帯につきましては自動車に転換すべきである、こういう
意見書が出されたわけでありまして、線の輸送と点の輸送という表現がございますが、私
ども鉄道は線の輸送であるというふうに
考えております。自動車の便利さというものも、これは確かにあるわけでございます。鉄道でございますと、一日せいぜい五、六回と、停車回数も少ない。それが、自動車でございますと、回数もふえる、あるいは停車場もふえるということで、地元の便役さがどちらが有利であるかという点について、この
判断を下した結果におきまして、八十三線という数字を出した。もちろん、同時に、国鉄の財政も、御承知のとおり、借り入れ金だけでも二兆円になり、今後償却さえ赤字になるというような事態を踏まえまして、これを、ローカル線の問題を踏まえましても、むしろ自動車にやったほうが有利であるという面が二つでございまして、この問題が提起されたわけでございます。
国鉄といたしましては、この点につきまして、
意見書の
指摘されました八十三線につきまして、目下、沿線の
市町村の人口の動態、あるいは
地域におきます一次、二次、三次の
産業の状態、あるいは旅客の流動状態、あるいは道路の状態、その他貨物の流動状態、あるいは民間のバス会社の運行状態、あるいは運賃そのほかこまかい
調査を行なっている段階でございまして、これによりまして一応の
調査を現在いたしまして、さらに、地元の
市町村とひざを交えて協議いたしまして、先ほど申しましたように、自動車、それから鉄道というものとの比較論をするように
考えております。この
時点においての議論になろうかと思われます。
それで、八十三線につきましては、諮問
委員会の
指摘しております
基準と申しますのは、バスあるいはトラックにたえられるかどうか、これがまず
一つの
基準でございます。それから、バス、トラックが便利であるという点が第二の
基準でございます。それから第三の
基準は、その線の将来性がどうであるかという点について
一つの
基準を設けまして、たとえば通勤でございますと、十五キロにわたりましての断面交通、これが三千人という
基準をとっておりまして、したがいまして、それぞれの線におきます三千人以下の線については、この八十三線の中へ入っているわけであります。それでは、三千人というのはどういう概念かと申しますと、たとえば、別な
地区に現在一万三千人ぐらいの通勤輸送を自動車が運んでいる事態がございます。そういう状態から、三千人と申しますと、バスで十分輸送ができるというような観点から、そうした
判断を下されたんだと思うんであります。したがいまして、先ほど御
指摘のように、学校あるいは通学の問題にいたしましても、バスにたえられるかどうかというのが
一つの大きな
基準でございます。また同時に、通勤、通学というものは一時に殺到するという点から、この点にポイントが置かれていると
考えるわけであります。それらの点を勘案いたしまして、今後、先ほど申しましたような
調査をいたしまして、さらに
調査の終了後におきましては、地元と十分国鉄が協議いたしまして、地元の御
納得をいただいた上で運輸
大臣にバスに転換する申請をいたしたいと、こう
考えているわけでございます。
それからもう
一つ、道路の問題につきましても、先ほど御
指摘ございましたが、現在の道路がはたしてバス輸送にたえられるか、あるいは道路の
状況がどう改良されるかというような点も、当然考慮の段階に入ると
考えるわけでありまして、私
どもといたしましては十分慎重に
調査いたしまして、この方向へ持っていくような
考え方でございます。