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説明員(矢島嗣郎君) お
手元に
縦書きの
資料で「
昭和四十四
年度通商産業省の
公害対策について」というのがございます。これに基づいて御
説明いたします。
最初に第一ページをお開き願いまして、ここに
予算、
財投、税制につきまして柱が書いてあります。一応この六本の柱をごらん願いますと、第一は
産業公害総合事前
調査の拡充、これは
公害対策基本法第十四条の一、二番目が
公害防止計画の策定のための
調査の充実、これは基本法十九条の
関係でございます。
それから三番目の「
公害に対する規制の
強化」は基本法第九条の
実施でございます。
それから四番目が「
公害防止技術の開発促進」、
大気汚染防止法第十五条の
関係でございます。
それから五番目が「
公害防止
施設等に対する助成の
強化」、これが二十四条の
指定でございます。
六番目が「工業立地適正化
対策の推進」、十一条の関連でございます。
そこで、二ページ以下にまいりまして、詳細は最後のページの折り込みに書いてあるわけでございますが、それはちょっと複雑でございますので、この二ページ以下の
縦書きで御
説明いたしますと、
第一の柱の「
産業公害総合事前
調査の拡充」は、前
年度の八千五百万円から一億二百万円にふえておるわけでございますが、これは実は通産省では四十
年度から
実施しておりまして、ちょうど来
年度は五年目になるわけでございますが、ここに書いてありますように大規模な工業地帯等における
産業公害を未然に防止するために、その
地域の自然条件等について科学的、総合的な
調査を
実施するということで、おおむねこういう大規模な工業地帯における今後五年ないし七年ぐらいの
企業の新増設状況を全部集めまして、それの結果、どういうふうな
大気汚染になるか、どういうような
水質汚濁になるかを電子計算機によって理論計算をいたすと同時に、それを全部模型につくりまして、ここで実験を行ないその結果に基づいて、いろいろ問題があるところがあるので、会社を全部指導いたしまして、工場の立地場所をかえてもらったり、あるいは
施設をかえてもらったり、煙突を高くしてもらったり、あるいは燃料を調整してもらうというような、きめこまかい
対策を講じて、もって五年ないし七年後において
公害が起こらないような総合的な計画をつくる。こういうようなものでございまして、来
年度につきましては、そこに書いてありますように、大気が七
地域、
海域が五
地域、河川が一
地域。カッコ内は本
年度の各
地域であります。
二番目が、
公害対策基本法に基づく
公害防止計画策定のための
調査の充実でございまして、本
年度に比べまして来
年度は大幅に拡充してまいるわけでございますが、特に三行目以下に書いてありますように、
産業公害総合事前
調査、一のほうの事前
調査を
実施していない既成工業地帯については、前
年度に引き続き
調査を
実施するとともに、事前
調査を
実施した
地域については、新たに、
調査後の立地計画の変更によって生ずる
公害面への影響を電子計算機を用いて訊速に
調査するということでございまして、ここが来
年度の新しい点でございます。すなわち、立地条件あるいは気象条件、あるいは工場のレイアウト、あるいは煙突の数、燃料の使用状況、その他を全部電子計算機に覚え込ましておきまして、その後、工場が
一つふえた、あるいは工場の煙突が
一つふえた、あるいは場所がちょっとかわったというようなことによって、直ちにその影響なり結果がわかるというふうにいたしたいと思っておるわけでございます。
三番目の「
産業公害に対する規制の
強化拡充」、これはおおむね従来やっておる規制措置に必要な
予算でございますので、詳細は省略いたしますが、ただ
一つ、三番目にある
騒音、振動、悪臭
対策費として三百万円が千三百万円と大幅にふえておりますが、いま問題になっております
騒音につきまして、全国三
地域につきまして第一の事前
調査的なものを
騒音について特にやりたい、こういう点が織り込まれておるわけでございます。
それから次が(二)の「
水銀公害の防止のための
調査」、四ページにまいりまして、メチル
水銀の問題が、非常に問題でございますので、諸般の施策を講じておりますが、さらにその一そうの完璧を期するために、
水銀を使用する工場に立ち入り検査をして
水銀処理施設――メチル
水銀を出さないようにするためにはいろいろな
施設あるいは機械を要するわけですが、そういうものを整備させるための指導を行なうということでございます。
(三)は、砂利
公害の防止
対策。先般の前国会で新砂利採取法ができたわけでございますが、その厳正な運用を行なうとともに、骨材の賦存状況、砂利のみにたよらないで、ほかの骨材がどういうふうに取れるかという状況を
調査する。
(四)は、石油精製業の
公害対策で、ここに書いてあるように、
新規には重油の集中脱硫の
調査、これは石油業の
公害対策として非常に重要な問題に将来相なるわけでございますが、来
年度におきましては、その可能性について
調査する。
(五)は、火力発電所の
公害防止
調査、火力発電所につきましては、諸般の施策を講じておりますが、何分にも一番大きな発生源でございますので、さらに一そうの完璧を期するために所要の
調査を行なう。
四は、
産業公害防止技術の開発促進ということでございますが、これは
金額が減っておるわけでございますが、十三億から九億七
千万と、三億ばかり減っておるわけでございますが、それは、その次の大型プロジェクト
研究開発費、これが減っている分だけ減っているわけでございます。と申しますのは、次に書いてございますように、防止技術の開発を促進するために、いわゆる大型プロジェクトの
研究制度でもって排煙、脱硫と重油脱硫をすでに四十一
年度からやっているわけでございますが、そのうち排煙脱硫つきにましては、ここに書いてある、カッコして活性炭法というのがございますが、それ以外にもう
一つ活性酸化マンカン法――具体的に言えば活性炭法は
千葉の五井でやっているわけでございますし、もう
一つここに書いてない活性酸化マンガン法は四日市でやっているわけですが、その
あとのほうの四日市の活性酸化マンガンのほうは本
年度でもって終了いたすわけです。また活性炭のほうも来年の九月末に一応終了するわけで、この大きな排煙脱硫のほうがほとんど来
年度の
予算では要らなくなったわけでございまして、もっぱら
あとのほうの重油脱硫――重油そのものから脱硫するというほうに重点が置かれているためでございます。なお、大型プロジェクト以外には排水
処理問題あるいは自動車の
排気ガス処理対策、その他のものが前
年度に引き続き五億円ほど行なわれているわけです。
それから、五の「
公害防止
施設等に対する助成の
強化」がございますが、(一)の
公害防止事業団の
関係は、先ほど
厚生省から御
説明がありましたので、
説明は省略いたします。
したがいまして六ページにまいりまして、(二)の「開銀等金融上の助成措置の拡充」ということで、一番大きいのは(イ)の重油脱硫
施設に対する開銀融資ということで、先ほどの技術開発のところで重油脱硫を大型プロジェクトで大いにやっていこうということでございます。あれは国産技術が確立してないので国産技術を早急に開発し、実用化しようということでございます。それとは別に、すでに間接脱硫等につきまして、技術導入によりまして各社がやっておりますし、またこれは環境
基準も近くできることでございますので、早急にこれを推進いたさなきやならぬということで、亜硫酸ガス
対策の最も重点を置かるべき施策でございますので、従来は開銀の
一般ワクでもって見ておったわけですが、いよいよ本番に入るので、来
年度からは特利特ワクということで要求いたしまして、それの特利特ワクを一応大蔵省のほうで認めていただいたわけでございます。
金額は四十億円でございまして、金利は当初三年間七%、以降七・五%ということでございます。要求は六・五%でございましたが、とりあえず七%、七・五%で出発するわけでございます。それから
中小企業金融公庫二十四億円、これは従来の
金額をふやしたわけでございます。
中小企業振興
事業団につきましては、従来からこのワクでもって共同の排水
処理施設を見られることになっているわけですが、なかなかその事業のほうが進捗いたさないわけでございまして、来
年度は
金額的に減っておりますけれ
ども、これは確実なものだけをここに書いてあるわけでございまして、振興
事業団そのものは百億以上の大ワクを持っているわけで、実際に適用する事例が出て来次第、その運用でもって
処理する予定でございます。
それから、(三)が税制の問題でございますが、これにつきましても非常に改善されまして、ばい煙
処理施設、汚水
処理施設、
騒音防止施設というような
公害を防止する
施設につきましては、従来は耐用年数の短縮ということでもって優遇措置を講じてきたわけでございまして、たとえばそういう機械が普通であれば十五年ということになるものを、陳腐化も激しいし、あるいは
公害の
関係で腐敗腐蝕も激しいということで七年くらいにしておったわけですが、そういう耐用年数は原則としてそのまま据え置きまして、それにさらに初
年度三分の一の特別償却をオンするということにやったわけです。重油脱硫につきましては適用期限の延長でございますが、次に
地方税の
関係につきましては排煙拡散用の高煙突等につきまして固定資産税を二分の一に軽減するということで、これも画期的な措置ではなかろうかと思います。
最後に、工業立地適正化
対策のために、従来に引き続きまして
予算を計上してございます。
以上でございます。