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政府委員(
鯨岡兵輔君) 佐藤先生からしばしばにわたってこの問題は提案され、私どもといたしましても非常にその御熱意に対し感激をすると同時に、国のほうが
中心となって
考えるべきことであると受けとめまして、従来かなり積極的にこの問題に取り組んでおるわけでありますが、現在の時点として、遺憾ながら御満足していただけるような御返答のできないことを、まず冒頭におわびを申し上げておかなければなりません。
政府としては御案内のとおり従来から、個人の
災害は個人の自主的な回復を前提としておりますことは、御案内のとおりであります。ただ大きなものになりますれば、
災害救助法が適用されたりいたしますけれども、これは例外といたしまして、普通の場合でも
世帯更生資金とか、それから母子福祉資金とか、生活保護とか、
災害復旧住宅融資、さらには
被災者の
公営住宅の
建設資金、さらには税金の面では租税の免税、そういったようなものがありますけれども、それと別に、ただいま先生御
指摘のように、不幸にしてこういう天災地変によってなくなられた方に対して、だれがだれに一体恨みを言うたらいいのか、だれにも恨みの言いようがないではないか、だから国がこれに対して見舞い金というような簡単なものでない、かなりまとまったものを出して、そしてその霊を慰め、遺族の更生の資にすることは当然ではないかという
お話でありますが、この点につきましては冒頭申し上げましたようになかなかむずかしい問題がありまして、結論がついておらないのであります。
政府はこのようなことを十分考慮いたしまして、最近におきましては、去る四月の四日に、
関係各省庁の
関係者を集めまして、私が議長になって、そうしてこの基本的な問題を検討をいたしたのであります。ちょうどたまたまそこへ佐藤先生別なことで私をたずねて来られたときにそれをやっておったわけであります。これはまさに偶然というにはあまりにも偶然であります。やはり何かのお引き合わせのような感じもいたしまして、その話も出て、さらに検討を深くいたしたのでございますが、しかしながらなかなかこの基本的な問題につきましては、
災害共済についてもなかなかむずかしく、今後とも検討していかなければならないということで各省庁に検討をお願いし、さらにそれを持ち寄って最近において会議を開こう、こういうことになっておるわけであります。市町村の交通
災害共済の
運営などもやっておりますが、これらとあるいは関連して
考えられないものだろうか、どうだろうか。そういうものがどういう
運営状態にあるか、これらのものも参考にしていきたいというので、それらの
状況を見守っておるわけであります、なおそのくらいの御答弁では従来と
一つも進歩がないではないかというおしかりもあろうかと思いますが、そこで各省から出ました意見を網羅いたしまして、いまの
ところ答えは出ておりませんが、これらのことについてひとつ検討してみようということになりました点について御開陳申し上げ、御参考に供したいと思います。
それは申し上げましたように、私有
財産制の原則をたてまえとしている現状においては、一体個人の
災害について、それは個人の責任だといっていることは間違いではないかどうか、もう一ぺんひとつ真剣に検討してみよう、この問題であります。それから死亡の場合に現行保険制度の範囲で特約事項として
実施されているが、これらの問題についてはどう
考えたらいいのかという問題であります。さらには高い所得、低い所得同一視して、これに対して
補助するというようなことは不合理ではないだろうかどうだろうかという問題であります。さらには、自然
災害による死亡だけを対象として
補助するということはどうであろうかという問題であります。そして最後に、共済制度は
災害が局地的であるので、その局地的ということを
考えたときに、この問題は成り立つであろうかどうだろうかという問題であります。まだまだ問題もあろうかと思いますが、現段階でわれわれが問題点として
指摘いたしましたのは以上申し上げたような点であります。
これらの問題を各省庁持ち帰ってさらに検討を加えた上、私を
中心として会議を重ねていきながら、できるだけ先生の御趣旨に沿うような結果を持ちたいものだと
考えておる次第でございます。