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1969-04-28 第61回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月二十八日(月曜日)    午後二時六分開会     ———————————    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     渋谷 邦彦君  四月三日     辞任         補欠選任     渋谷 邦彦君      多田 省吾君  四月二十三日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     渡辺  武君  四月二十八日     辞任         補欠選任      奥村 悦造君     船田  譲君      河口 陽一君     八田 一朗君      前川  旦君     松井  誠君      渡辺  武君     河田 賢治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 佐田 一郎君                 佐藤  隆君                 武内 五郎君                 塩出 啓典君     委 員                 上田  稔君                 八田 一朗君                 船田  譲君                 森 八三一君                 沢田 政治君                 松井  誠君                 多田 省吾君                 河田 賢治君    国務大臣        建 設 大 臣  坪川 信三君    政府委員        総理府総務副長        官        鯨岡 兵輔君        林野庁長官    片山 正英君        建設省河川局長  坂野 重信君        消防庁次長    山本  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     川上 幸郎君        文部省大学学術        局審議官     渋谷 敬三君        農林大臣官房参        事官       荒勝  巖君        自治大臣官房調        査官       角田 直方君     —————————————   本日の会議に付した案件災害対策樹立に関する調査  (新潟県における地すべり等による災害対策  に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。  本日、奥村悦造君及び河口陽一君が委員辞任され、その補欠として船田譲君及び八田一朗君が選任されました。     —————————————
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  新潟県における地すべり等による災害対策に関する件について調査を行ないます。  まず、政府当局から被害状況等について説明を聴取いたします。初めに総理府にお願いいたします。鯨岡長官
  4. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) 新潟県の広神村の地すべり災害による被害状況につきましては、今日まで判明したところについて、後ほど建設大臣より御説明があることと存じますが、総括いたしまして、私どものほうから概要を御説明申し上げたいと思います。  去る四月二十六日に、新潟県の北魚沼広神村におきまして発生いたしました地すべり災害による被害状況につきましては、すなわち二十八日の午前十時現在県の報告によりますと、地すべりの規模は二十五ないし二十八万立方メートルの土砂がくずれ落ちて、これによって一般被害は、なくなられた方二名、行くえ不明者六名、軽傷者一名。住家全壊十戸、それから人が住んでおりませんけれども家の全壊四戸の被害発生し、また施設等被害といたしましては、農地の埋まりましたもの三・八ヘクタール、それから山林の流れ埋まりましたものが五・〇ヘクタール、それから河川の破損一カ所、砂防設備一カ所、町村道一カ所などでありまして、被害額その他被害の詳細につきましては、現在いまだ調査中であります。  この災害発生後、直ちに地元広神村及び新潟県は、それぞれ災害対策本部を設置いたしまして、行くえ不明者捜索、それから埋まった川の水路の確保等応急対策実施し、本日も引き続き地元消防団員六十名、それから自衛隊員二百二十四名、警察官四十二名、それから建築業者等三百九十名合計いたしまして約七百名を動員いたしまして、申し上げましたように主眼を、行くえ不明者捜索に当てて、応急対策に万全を期しているところであります。なお、政府といたしましては、関係各省係官を直ちに現地に派遣する等、各種対策に遺憾なきを期しておるところでございます。以上でございます。
  5. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に建設省にお願いいたします。坪川建設大臣
  6. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 被害状況を御報告をいたすに先だちまして、まずもってこのたびのまことに不幸な事件によって、とうとい人命を失われましたみたまに対しまして、つつしんで哀悼まことをささげ、御遺族の皆さまに対しましても、深く哀悼まことをささげたいと思う次第であります。  いま総務長官が御報告されましたごとく、四月二十六日の午前七時十分ごろ、新潟北魚沼広神大字水沢新田の通称てっこう山に、幅約三百メーター、長さ約八百メーター土量約二十八万立方メートルに及ぶ崩壊性地すべり発生いたしまして、死者二名、行くえ不明六名、家屋全壊十戸、田畑山林の埋塞六・五ヘクタールのほか、河川道路の埋塞等大きな被害を生じました。  この現象は、二十五日夜半からの約二十ミリメートルに達する降雨と気温の上昇による融雪が重なったために発生したものと考えられます。  建設省といたしましては、被害発生と同時に、直ちに被害状況調査等に当たらせるために、河川局砂防課長を二十六日現地調査派遣いたさせました。また昨二十七日は、私みずから河川局長を伴いまして被災地に参りまして、現地惨状をつぶさに調査いたしますとともに、自衛隊並びに消防団並び関係市町村各位十分検討もいたし、また激励もいたしつつ、その対策の万全の措置指示もいたしまして、昨夜戻ってまいったような次第でございます。  具体的な被害状況並びに直ちにとりました応急措置等につきましては河川局長をして説明いたさせますが、私といたしましては、現地で痛感いたしましたことは、さしあたり、再び追っかけの地すべりのなきよう一つ対策を講ぜなければならない、またあの河川の問題、道路の問題、罹災者住宅の問題、これ等が緊急を要する措置であることを思いますときに、直ちにそれぞれのこうした重要なる緊急措置指示をいたしますとともに、まだ埋没されております御遺体が早急に発見されることをお祈りもいたし、またお願いもいたしまして、御遺体の安全を考慮しながら十分努力していただくよう指示もいたして帰ったような次第であります。具体的な点につきましては河川局長をして御説明させます。以上。
  7. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) まず公共土木施設関係でございますが、現在までに判明しております建設省所管公共土木施設被害額は、河川及び道路の閉塞でございまして、三カ所で一億三千八百万円でございます。応急復旧といたしましては、一級河川小屋柄川については、自衛隊が鋭意開さくいたしました小さな仮排水路をさらに断面を拡大いたしまして、ワク工、じゃかご工等で補強して次期出水に万全を期すほか、村道茂沢——水沢線がございますが、これにつきましては、約三百メートルの埋塞区間に仮道を設置して、交通を確保することといたしております。  恒久的な対策といたしましては、現在いろいろ調査しておりますが、地元関係者協議の上、小屋柄川の法線を決定し、三面張り工法によって約四百メートル復旧することにいたしております。また、崩壊出口付近土砂どめの砂防堰堤、高さ八メートル、長さ八十メートルぐらいのものを設置いたしたい。なお、恒久対策として、砂防区域拡大をはかるとともに、地すべり防止区域指定を考慮いたしまして、また、開さく工事につきましては十分検討いたしますとともに、必要に応じて、砂防施設によって流出土砂を防止するようなことを考えてまいりたいと思います。  県の対策といたしましては、先ほどお話のございましたように、被害の容易ならざるにかんがみまして、新潟県におきましては、直ちに関係部課長現地に派遣いたしまして、自衛隊の出動を要請し、地元消防団等と協力して行くえ不明者捜索に全力をあげておるとともに、天然ダムの決壊による、もし天然ダムが決壊した場合には下流地区被害が襲うおそれがございますので、それを防止するために、ポンプによる排水作業及び仮排水路の掘さくを実施いたしました。仮排水路は二十六日の夜半に完成しております。  なお、罹災者救援等につきましては、避難所の開設、応急たき出し等実施中で、応急仮設住宅八戸につきましても、二十八日に着工いたしましておおむね一週間以内に建築予定でございます。  なお、参考のために、避難態勢でございますが、広神村の水沢新田地区につきましては、砂防指定地として指定をしております。また土石流の危険渓流指定いたしまして、新潟県の地域防災計画等広神村の防災計画にも取り上げておりまして、避難態勢の一応の態勢ができておったわけでございますが、今回の災害の容易ならざるにかんがみまして、被害拡大防止、特に人命の犠牲は絶対に防止しなければならないので、目下危険家屋が八戸崩壊した場所の下流側にございまして、それにつきましては安全地帯避難させるとともに、崩壊地すべり警戒等について万全を期しているという状態でございます。
  8. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、農林省にお願いいたします。荒勝参事官
  9. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 農林省におきましても、二十六日に直ちに県の農地部長現地へ派遣させまして、そして地質関係防災関係担当官も行っております。それからなお、林野庁からも担当官が直ちに現地へおもむきまして、被害状況の把握につとめております。  それで、大体いまのところ入っております被害状況は、農地関係では田畑合わせまして約七ヘクタール、それから農業用施設といたしまして用排水路約三千メートル、それから農道約三千メートル、それから保全施設が一カ所やられまして、大体一億円ぐらいの施設がやられていると理解しております。そのほか農畜産物被害につきましては、保有米とか家畜飼料被害状況はまだ把握いたしておりませんが、乳牛が八頭、それから鶏が六十羽、それからヤギが二頭、そのほか、共同利用設備といたしましては、有線放送が三回線ほどやられております。  こういったことで、土砂崩壊によりまして、先ほど建設省からも御報告がございましたが、約三ヘクタールほどの人口池ができておりまして、この応急排水のため自衛隊とか消防団の御協力を得て、二十九日じゅうには排水工事が完了するものと思っております。こういった関係で、苗しろとかなんとか今後被害状況がはっきりいたしますれば、直ちに予備的な苗しろ等を動員いたしまして、農作物の被害に今後遺憾のないようにいたしたい、こう思っております。
  10. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 以上で説明を終わりました。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  11. 武内五郎

    武内五郎君 新潟県の広神村の地すべり災害について、建設大臣はじめ現地をいち早く御調査されましたこと、われわれ感謝いたします。この際、あの惨たんたる状態をつぶさに視察されて、強い御決意をもって復旧と、災害を再び起こさざるような施策を、この際強くお願い申し上げたい。  そこで私は、時間の関係もありまするので、いろいろ申し上げたいことはたくさんありまするが、まず第一に、いま建設省並び農林省から御報告があったのでありますが、まず現在の災害をこれから拡大しないように、応急措置をとってもらいたい。また私がちょうど二十六日に現地に入りましたときには、まだこれから数ヘクタールの土砂が流れ落ちるんじゃないかといって土地の人人が心配しておりました。事実そういう危険がわれわれにも感得されるほどの状態でございます。  そこで私は、その災害を再び起こさない、拡大しないように、まず第一にその措置をお願いしたいんです。どういうふうにとられるか。  それから、幸いいま農林省から報告がありましたが、流れ出た土砂が川をふさいでおりますので、上流は池になっておる。水があるいは温水し、あるいは水圧で堰堤のように積もった土砂を押し流して、下流に突っ込んで今度は大きな災害をもたらすんじゃないかというおそれがあったんです。幸いその排水工事を早急に進めることに努力されるということでありまするので、これはもうぜひやっていただきたい。  それから、被災者住宅十戸は完全に土砂の中に埋没して、屋根すら私の行った当時は出ていなかった。それをだんだん、半日かかって掘り起こしてまいりますると、そこは非常に高い土地にあった家でありますというのが大体五メートル以上の深さで、屋根がようやく見えてきた。それほどとにかく土砂が非常な深さで積もっておった。そこで、再びそういう土地住宅建設するということは、これはもうやってくれたってできるものじゃありません。そこで安全な個所にこれを移す必要がある。一応さしあたり仮設住宅建設もやりたいと村長は言っておりましたが、仮設住宅仮設住宅で、いずれ本住宅建設に移り、そこに住居を移さなければならんじゃないかと思いますので、安全な土地家屋を移す必要がある。そのためのいろいろな助成等施策が必要になってくると思うんでありまするが、それらについての施策をひとつお伺いしたい。一応それだけひとつ。
  12. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 日ごろ非常に地すべり問題あるいは急傾斜地区対策等について非常な御配慮をわずらわしており、この問題に真剣に取り組んでいただいている武内委員が、事態発生と同時に現地においでいただいて、つぶさに現地惨害状況をあらゆる角度から御検討いただきました御努力に深い敬意を表したいと思います。私も参りまして県の土木部長、あるいは副知事、あるいは北陸地建局長等を招致いたしまして、小出町の土木出張所においてその対策について、河川局長とともに協議もいたしたのでありますが、いま御指摘になった諸般の問題の緊急措置につきましては、やはり何といっても罹災者世帯に対する住まいの問題であろうと思うのであります。これにつきましては、本日も住宅金融公庫から係員を派遣いたしまして、さしあたりまして、これらの十世帯に対しまして応急仮設住宅八戸建設することに決定をいたしております。また係官を派遣いたしまして、住宅復興資金の融資についても指導をいたすよう措置を講じておりますとともに、今後も罹災者地方公共団体等からの要望を待ちまして必要と認めましたときには、公営住宅の割り当ても行ないたい、また住宅金融公庫からの個人住宅特別貸し付けも行なう予定でおるようなわけでございますので、さしあたり、住宅の問題に緊急な措置を講ずることの必要性武内委員と全く同感でございますから、そうした方針でこれは指導をいたしておることで御了解いただきたいと思います。また河川道路の問題に対する緊急措置につきましても、県の対策本部と連絡を密にいたしまして、緊急措置対策災害復旧工事としての実施をいたすとともに、小屋柄川の砂防指定地拡大及び同地すべり防止区域指定に伴う砂防工事の計画いたしたいと、さしあたり中腹における砂防の問題にも取り組みながら、再びこの地区におけるところのかかる不幸のないような緊急措置を講じてまいりたいと、こう考えておる次第であります。
  13. 武内五郎

    武内五郎君 次に、現地には八百名に及ぶ隣接町村からの応援が入っているわけでありますが、私が二十三日、二十七日、このころは約一千名に及ぶ消防団警察官あるいは自衛隊等が入っておりまして、狭い谷川が人間と車で一ぱいになって身動きができない状態でおったのでありますが、私は隣接町村消防団の人々や、あるいは警察官自衛隊の非常に建設的な働きには、全く感謝して参りました。そこで私は実はこの問題で、地元町村負担が非常に大きくなり、災害復旧施策費のほかに、いろいろなこういうことについての直接、間接の費用が大きくかさばってくるおそれがある、現にそれについて心配しているのであります。これについて自治省では何らかの助成補助起債等対策があるかどうか一応明らかにしていただきたい。
  14. 角田直方

    説明員角田直方君) お答えを申し上げます。従来災害に関連いたしまして、災害復旧事業に関する地方負担分については起債なり普通交付税考えているわけでございますが、いま御指摘のございましたような応急措置につきまして、なお特別交付税による措置をいたしているわけでございます。それで特別交付税措置は、いまお話にございましたような補助とか負担という考えではないことは御承知のとおりでございます。やはり一般財源を補てんする意味で厳格なルールを設定いたしましてそれに基づいて算定をし交付をしてまいる、こういう措置を講じておるわけでございます。
  15. 武内五郎

    武内五郎君 御承知のとおり、あの地域は、砂防指定もない、それから災害救助法を施行する状態条件にもなってない。けれども、災害を受けた事実は非常に深刻だ。そういう事実を私は無視してはならないと考えます。そこで一段とその点は、しかも新潟県では災害救助法をしく条件ではないが、県条例の特例をもって災害地に対する対策を立てておる。その点は本省の自治省としても十分了解して対処していただかなければならぬと思うのです。その点はいいですな。
  16. 角田直方

    説明員角田直方君) お答えを申し上げます。いま御指摘のような、地元自身で単独で行ないます災害復旧事業、これは大体一〇〇%の起債を充当いたしまして、これの元利償還額について交付税に算入するという措置をわれわれ講じてまいっておるわけであります。災害でございますので、地元町村財政力その他にやはり相当多大な影響を及ぼすことは御指摘のとおりであります。われわれはその点にも十分配意をいたしまして、財政運営に支障を来たさないような指導を行ないたい、こういうふうに考えております。
  17. 武内五郎

    武内五郎君 なおいろいろ突っ込んでお伺いしておかなければならぬのですけれども、時間の関係から、一応この辺で、この次また連休明けの機会にもう一度お願いしたいと思います。  そこで一応建設省にお伺いしますが、御承知のとおりいまの災害地は、先ほど申し上げましたように、地すべり指定地域になっていない。ところがあの辺の地層は、ずっと地すべり地帯が連続しておる。昨年の春、古志郡の山古志村で大きな地すべりがありました。それからその前年には同じ広神村で小平尾という部落の中で地すべりが起きております。あの辺はずっと地すべり地帯、その調査も明確ではなかった。したがって地すべり地域としての指定もなかった、こういう地域であります。私は御承知のとおり、新潟県は全県を通じて地すべりの集中されている県である。高田を中心とし、新井糸魚川等が集中された地方中越地方——信濃川中心とした地域もやはり地すべり地帯であります。これらが至るところに大きな地すべりを起こしておる。御承知のとおり、松之山という町が、これは有名な地すべり地域なんです。西頸城能生町、西頸城海岸一帯地すべり危険地域である。三十八年には能生町の小泊トンネルを出かかった列車を地すべり土砂が押し流して海に運んだ事件がありました。それほどおそろしい地域であります。すでに本年の三月以来、中頸域の板倉町に地すべりがあった。新井町で起きておる。糸魚川市に発生しておる。佐渡郡の真野町にも発生しております。こういうふうに、われわれが数えただけでも地すべり災害が各地に起きておる。ところが、今日まで調査されておりまする新潟県のそういう危険地帯は、大体千三百カ所。しかもその中で地すべり指定を受けておるところが四百八十カ所。ところが、その防止施策工事が進められておりまするところはわずかに百七十一カ所という、これを新潟県の今日まで調査されておりまする数に対比しますると、わずかにその一八%、指定個所から見ますると三二%、こういうはなはだその防止対策というものは貧弱なんであります。御承知のとおり、地すべり地帯というものは非常にこれは辺阪地域、それからまあ資本投下しても効力がないと考えられるような——けれどもそこには人間住んでおる、生産活動が行なわれておる。私は、それは地域が貧弱であっても、人間が住んでおり国民が住んでおる、そこで生産活動が行なわれておるところは、これはやっぱりやって、ただしていただかなければならぬ。そういうところは、私は、ここで問題を一応結論に入りまするが、今日の地すべり対策法国民を守る、その被害者を守る点というものは何があるかといっていろいろまわりを調べてみますると、たった一つよりない。避難することです。避難政府が勧告すると、これ以外にないのであります。これでは私は、ああいう災害を防止することができないし、災害者を救済する道もない。そこで私は、建設大臣並びに総理府長官考え方をお伺いしたいことは、そういう事態である、実態でありまする地すべり対策、これは法律上の大きな欠陥を持っておると思うのでありまするが、これを改正するお考えがあるかどうか。すでに私は、これは問題になると思うのでありまするが、河川災害等において国家賠償を要求する考え方も論議の的になっている今日でありまするので、私はこういう問題は、ことに地すべりのこういう救済の道のきわめてこまかい対策について、この際腹をきめて検討していただかなければならぬのでありまするが、建設大臣及び総務長官のお考えを伺っておきたい。
  18. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 昨日も現地に参りまして、つぶさにその惨状を見るときに、地すべり対策重要性というものを痛感いたしたような次第でございます。ことに、いま武内委員指摘になりましたごとく、新潟県下におけるところのこうした予測される不幸な個所が千三百カ所以上に及んでおる。ことしに入りましてのこの融雪時期における二、三、四という、この前後にすでにもう大小合わせると四十数件の——幸いに人命その他には被害はございませんでしたが、発生状況がいかにひんぱんであるかということを見ますときに、これに対するところ政府施策ということがいかに必要であるか。ことに人命尊重国民財産を守るということからくる重要性を、武内委員同様私も非常に痛感をいたしましたような次第でございます。これに対するところの今後の政府方針といたしましては、やはり、いま御案内、御指摘になりましたごとき避難命令といいますか、避難の問題のみに依存するという、こうした法的な背景に立っており、これらの諸般案件を見るときに、地すべりの法、あるいは森林法砂防法等の適用の運営を万遺憾なからしめるとともに、いわゆる災害対策基本法の法的な裏づけによるところのこれらの実施運営をいかに行政指導上きびしくいたさなければならぬかということも痛感いたしておりますとともに、直接の問題ではございませんけれども、最もやはり重要な立場から私は、そうした問題を含めまして、このたび、急傾斜崩壊地区に対する特別立法を講じまして、一昨々日の夜衆議院において満場一致通過いたしました、いわゆる人命財産の保護に対する急傾斜地区に対する措置を新たに立法措置を講じたことの気持ちも決意もここにあるのでございまして、これらの法の運営を適切にいたし、また行政指導運営に万遺憾なきを期しますとともに、いま御指摘になりました問題点につきましては、それぞれやはり重要な問題でもございますので、建設省といたしましてはあらゆる角度からこれらの問題に取り組んで、この不幸な問題たとえば急傾斜を含め地すべりの非常な危険度の多い個所が全国七千以上にも及んでいることを思うときに、私といたしましてはほんとうにもう、放置できない厳粛な重要な緊急性を持つ問題、課題であるということに真剣に取り組んで、これらの不幸をなくする措置をさらに強く意欲的に推し進めてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  19. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) ただいま建設大臣から御説明があったことでほとんど尽くされておりますが、私どものほうといたしましては、御承知のとおり、防災会議を持っている省といたしまして、これらの問題の総括の計画等に当たっているわけであります。その立場に立ってお答えを申し上げたいと思いますが、最近の災害発生形態から考えまして、政府といたしましては新しい治山治水事業五カ年計画に基づきまして、緊急度が高く、かつ事業効果の大きい地区に重点を置いて、砂防事業、地すべり等防止事業等を実施しているほか、ただいま御説明のありました急傾斜地の崩壊防止法、これは法律が衆議院を通過したばかりでありますが、さらには農地保全事業等の推進につとめているところであります。御案内のように、前のこの治山治水五カ年計画は四十年から四十四年ときめてやっておったのでありますが、新しい計画は途中から、いま先生御指摘のような事業もこれあり、四十年から四十四年であったものを、四十三年から四十七年に改めまして、御案内のとおり、治水に対して一兆五千億、それから災害関連事業に対し、さらには地方単独を合わせて三千億、予備費を二千五百億、治山について三千五百億、合計二兆四千億という計画でこの計画を立てているわけであります。  さらには、どう考えてみても、最近の地すべりが過疎地帯に非常に多いわけであります。そこで、そういう点に重点を置きまして、地方防災計画等も綿密に立てて、それを上に上げて、それをもって検討をいたしておるような次第であります。しかしながら、いま御指摘のように、さらには建設大臣説明のように、ある地区に限られて非常に重点的にこの種災害が多い事情にかんがみて、われわれといたしましても関係各省との連絡を密にし、さらに計画を検討し直さなければならぬものがあれば検討し直さなければならぬ、こう考えて、その方面の注意と努力をいま重ねておる次第でございます。     —————————————  さらには、どう考えてみても、最近の地すべりが過疎地帯に非常に多いわけであります。そこで、そういう点に重点を置きまして、地方防災計画等も綿密に立てて、それを上に上げて、それをもって検討をいたしておるような次第であります。しかしながら、いま御指摘のように、さらには建設大臣説明のように、ある地区に限られて非常に重点的にこの種災害が多い事情にかんがみて、われわれといたしましても関係各省との連絡を密にし、さらに計画を検討し直さなければならぬものがあれば検討し直さなければならぬ、こう考えて、その方面の注意と努力をいま重ねておる次第でございます。     —————————————
  20. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、前川旦君が委員辞任され、その補欠として松井誠君が選任されました。     —————————————  本日、前川旦君が委員辞任され、その補欠として松井誠君が選任されました。     —————————————
  21. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 武内委員から先ほど質問がありましたので、重複をなるべく避けたいと思いますが、なおまた約二十分ということでございますので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  私も現地を見まして、いま盛んに、なくなられた——行くえ不明者の救出作業等も行なわれておりますが、何ぶんにもまだ地すべりがこれから起こりそうな危険地域もあるということで、それらを警戒しながらそうした作業が、あるいは河川応急復旧作業が進められておるわけですが、ダブル災害にならないように、なおひとつ万全の措置を講じていただきたい。特に建設大臣にお願いを申し上げておきます。  さらに、危険家屋等の立ちのきについては三世帯、三軒の立ちのきを指示いたしておるようでありますが、これらにつきましてもひとつ、つぶれた家に対する措置と同じような配慮、これが必要だと思います。強制的に、危険だからそこをどきなさいということを指示したからには、それとつぶれた家に対する措置と同じような配慮が必要であろう。しかしながら、貧弱なあの広神村の財政状態では、これはもういかんともしがたいことは、これはもう自明の理であります。  そこで最初にお聞きしたいことは、これは応急措置として、この立ちのき移転をしたことについての国庫補助、そうした措置が一体考えられるものかどうか、その点だけを簡単にお答え願いたいと思います。
  22. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 佐藤委員、きのう私と行をともにしていただきながら、つぶさに御視察をいただきましたこと、また平素、地すべり問題について非常な関心とその施策に対してそれぞれの配慮を願っておることに対して、深く敬意を申し上げたいと思います。  簡単に申し上げますならば、やはり緊急措置といたしましては、罹災者に対するあたたかい住宅問題に対する施策の万全を期するということで、さっき申し上げましたとおりに、大体一戸十九万円前後の家をお建ていたすという措置を講じたこと、また避難を要する残りの家屋に対する住宅に対しましても、私は配慮ある行政指導をいたす覚悟でございます。とともに、御指摘になりました、再びこの地域におけるところのおっかけた不幸がないような措置を講ずる意味におきまして、それぞれの工作をぜひともとるべきであるということが非常に大事な措置でございますので、河川災害復旧措置、また道路のやはり復旧、修理ということとともに、中腹地点におけるところ地すべりのなきよう、措置をただいま講じておるというような次第でございます。大体きのう、県の土木部長あるいはわれわれの建設省でとりました概算といいますか、緊急、応急にとらなければならない経費といたしましては、二億円を必要といたしておると見ております。これらの措置につきましては、副知事、土木部長ともよく協議をいたしまして、すみやかにこれらの施策を講じながら、その予算的措置については、建設省は誠意を持って配慮するという旨の回答もいたしておりますので、さしあたりそれらの金をもっていま申しました緊急措置を講じてまいりたいと、こういうふうな方針でいま仕事を進めておることを御了承願いたいと思います。
  23. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 次に、総務長官にお尋ねをいたしますが、従来しばしば議論をされてきたことでおりますが、こうしたいわば自然災害——立場を異にする方面からはいろいろな自然災害ではないというような御議論が従来ともなされてまいりました。このたびの災害、私ども自身は一応自然災実の範疇に入るものだというふうに私は理解をしでおります。しかし、自然災害だからということで行政措置が行なわれない、あるいは政治的な配慮がなされない、それでいいかどうか。それではよくないわけでして、この被災者に対する、自然災害を受けた被災者に対する措置、従来は地方自治体において見舞い金——これはわずかでございますが、弔慰金等も含めたそうした見舞い金的なものを出しております。それを自治省が受けて交付税の形で裏打ちをばくたる形でなされておることも承知をいたしております。しかし、きのうも私つくづく考えましたが、そうした自然災害にあってなくなられた方、あるいはけがをされた方、そうした方々に対して私は思うに、その人たちは一体だれを恨んだらいいのか。これは、もう交通事故なんかと違うんです。自然災害だからという考え方に立つなら、これは天を恨むよりしかたがない。こういうような責任所在不明確な災難事故に対して、やはり政治的な配慮というものが必要であろう、こう私は思います。現に地方自治体で何らかの措置をそれぞれの時点において、それぞれの形においてやっておりまするけれども、たとえばそうした自然災害の事故、災害等についてはこういう見舞い金的な性格のものをひとつ考えよう。そして、国民全部が失われた人命に対して弔意を表する、これは必要じゃないかと私は思うんです。昨年の飛騨川の事故の災難、あの災難に際しましてもバスに乗っておった方は自賠法の拡大解釈によって適用され、三百万の弔慰金をもらわれた。その奥地で土砂流によって、土砂くずれによってつぶされた農家と、なくなられた十四名の方々にはそうした措置がなされてない。いたずらにそうした措置については、私は不公平であるとか、そういうことは私はここでは申し上げませんが、少なくともそうしたようなもの、いま私が申し上げましたような見舞い金、あるいは私どもはいまそうしたものをひとつみんなで助け合うというような形で、そこに政府も一枚加わって、みんなでひとつ助け合うというような形での共済というような形のものができればなあということで検討も進めております。政府におかれては、そうした考え方に立っての検討を、おそらく政府もしておられると思いますが、しておられるとするならば、なおこの機会に積極的に、そうしたものの災害救援対策についての配慮を進める用意があるかどうか、それをお伺いしたい。
  24. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) 佐藤先生からしばしばにわたってこの問題は提案され、私どもといたしましても非常にその御熱意に対し感激をすると同時に、国のほうが中心となって考えるべきことであると受けとめまして、従来かなり積極的にこの問題に取り組んでおるわけでありますが、現在の時点として、遺憾ながら御満足していただけるような御返答のできないことを、まず冒頭におわびを申し上げておかなければなりません。政府としては御案内のとおり従来から、個人の災害は個人の自主的な回復を前提としておりますことは、御案内のとおりであります。ただ大きなものになりますれば、災害救助法が適用されたりいたしますけれども、これは例外といたしまして、普通の場合でも世帯更生資金とか、それから母子福祉資金とか、生活保護とか、災害復旧住宅融資、さらには被災者公営住宅建設資金、さらには税金の面では租税の免税、そういったようなものがありますけれども、それと別に、ただいま先生御指摘のように、不幸にしてこういう天災地変によってなくなられた方に対して、だれがだれに一体恨みを言うたらいいのか、だれにも恨みの言いようがないではないか、だから国がこれに対して見舞い金というような簡単なものでない、かなりまとまったものを出して、そしてその霊を慰め、遺族の更生の資にすることは当然ではないかというお話でありますが、この点につきましては冒頭申し上げましたようになかなかむずかしい問題がありまして、結論がついておらないのであります。政府はこのようなことを十分考慮いたしまして、最近におきましては、去る四月の四日に、関係各省庁の関係者を集めまして、私が議長になって、そうしてこの基本的な問題を検討をいたしたのであります。ちょうどたまたまそこへ佐藤先生別なことで私をたずねて来られたときにそれをやっておったわけであります。これはまさに偶然というにはあまりにも偶然であります。やはり何かのお引き合わせのような感じもいたしまして、その話も出て、さらに検討を深くいたしたのでございますが、しかしながらなかなかこの基本的な問題につきましては、災害共済についてもなかなかむずかしく、今後とも検討していかなければならないということで各省庁に検討をお願いし、さらにそれを持ち寄って最近において会議を開こう、こういうことになっておるわけであります。市町村の交通災害共済の運営などもやっておりますが、これらとあるいは関連して考えられないものだろうか、どうだろうか。そういうものがどういう運営状態にあるか、これらのものも参考にしていきたいというので、それらの状況を見守っておるわけであります、なおそのくらいの御答弁では従来と一つも進歩がないではないかというおしかりもあろうかと思いますが、そこで各省から出ました意見を網羅いたしまして、いまのところ答えは出ておりませんが、これらのことについてひとつ検討してみようということになりました点について御開陳申し上げ、御参考に供したいと思います。  それは申し上げましたように、私有財産制の原則をたてまえとしている現状においては、一体個人の災害について、それは個人の責任だといっていることは間違いではないかどうか、もう一ぺんひとつ真剣に検討してみよう、この問題であります。それから死亡の場合に現行保険制度の範囲で特約事項として実施されているが、これらの問題についてはどう考えたらいいのかという問題であります。さらには高い所得、低い所得同一視して、これに対して補助するというようなことは不合理ではないだろうかどうだろうかという問題であります。さらには、自然災害による死亡だけを対象として補助するということはどうであろうかという問題であります。そして最後に、共済制度は災害が局地的であるので、その局地的ということを考えたときに、この問題は成り立つであろうかどうだろうかという問題であります。まだまだ問題もあろうかと思いますが、現段階でわれわれが問題点として指摘いたしましたのは以上申し上げたような点であります。  これらの問題を各省庁持ち帰ってさらに検討を加えた上、私を中心として会議を重ねていきながら、できるだけ先生の御趣旨に沿うような結果を持ちたいものだと考えておる次第でございます。
  25. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 具体的ないろいろ問題点まで取り上げて御説明をいただきました。ここでこれをさらに議論しようとは思いません。ただ積極的にこうした機会にやはり詰めていただかないと、いまのままでいいんだということにはならないと思いますので、ひとつ促進方をこの機会に特に御要望申し上げておきたいと思います。  次に、農林省建設省にお聞きしたいんですが、昨年関係当局の御配慮もありまして、また当委員会でもいろいろ話し合いをいたしまして、局地激甚の適用、小範囲のものであってもひとつそれを取り上げようということで四十三年一月から適用をしていただきました。このたびの地すべり災害について農地並びに農業用施設の、先ほど被害の大まかなところを御報告いただきました。あるいは公共土木関係の御報告いただきましたが、まだ結論が出てないなら結論が出てないでいいのですが、見通しとしてはどうかということを言えるのかどうか、もし言えるのであれば、この種のものは去年始まった局地激甚の適用にこれは何とかなりそうだというような御答弁がいただけるなら、それをいただきたいし、まだ検討中であるなら、それでもやむを得ませんが、その点建設、農林両省にお尋ねいたします。
  26. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) ただいまの御質問でございますが、農林及び建設省にまたがりますので、一括して答弁さしていただきます。  先ほどから建設省及び農林省から被害の概況につきまして御説明がございましたけれども、御存じのとおり局地激甚につきましては、市町村工事の分にかかる分でございます。先ほど建設省から御説明ありました分全部包括されたと思われますので、この報告額がはたして査定額との関係がどうであるかという問題等もございますが、農林省におきましては、現在なお調査中でございますので、調査の結果を待って局地激甚の問題はきまるのではないかと思います。ただいまのは公共土木及び農地にまたがる問題でありまして、公共土木は先ほど申しましたように、市町村分と県分の負担いかんという問題になってまいります。つまり市町村部分が、局地激甚災の指定基準に事業費の額が一億円以上であるかどうか、それから標準税収入の二倍をこえておるかどうかの計算と申しますものは、それらの市町村分、県分の負担がはっきりしませんとはっきりいたしてまいりません。
  27. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 いまほどのことにつきましては、ひとつなお調査をされまして、でき得ればひとつ局地激甚の適用を受けるように何ぶんの御配慮をいただきたい。これはお願いいたしておきます。  それから恒久措置について、時間がございませんのでひとつまとめて三点ほどあれしますが、まず第一点は建設省にお尋ねをいたしたいのですが地すべり防止の万全を期するという意味において、この地すべり防止のための計画調査費といいますか、これはたとえば新潟県でもこの計画調査費を持っておると思いますが、こうしたものについて国庫補助というようなことは考えられないものか。これはまだ新潟県の一部ではありますが、非常に地すべり問題に神経質になっておりますので、そうした声もちらほら出てきておりますので、これはここで回答をいただこうとは思いません。即刻回答はいただこうとは思いませんけれども、このたびの災難に関連して、今後こうした声が非常に強くなってくると思いますので、あらかじめ本日この場で御検討を願いたいということをお話し申し上げるわけであります。それが第一点。  もう一つ、大規模地すべり地区に対する国の直轄工事の基準というもの、この直轄工事というものを拡大して、まあ直轄でやっていただくような方法はやはりひとつ考えていただくべきではないか、地方にまかせずに。この問題。  第三番目には、地すべり防止区域指定の問題なんです。まあこの手続がもう少し簡単にならぬかという声があるわけでございます。あわせて、簡単になれば指定が促進される。あるいは指定地区に対する防止工事の早期着工ということにもなってきますので、その辺ひとつ何とか考えていただけないものか。また、五ヘクタール以下の小規模地すべり地区であっても、これがもとで大規模地すべりを誘発するような、そうしたようなおそれのあるところ、そうしたものをやはり地すべり防止区域指定にして、ひとつ対策を講じていただけないものかどうか。  以上三点を建設省にお伺いするわけですが、第一点と第二点はひとつ御検討いただきたいと思います。私ももう少し検討いたしたいと思います。ただ、第三点の地すべり防止区域指定の問題につきましては、三十三年の七月の十一日に河川局長通達で出ております。この基準は局長通達でございますから、ここで五ヘクタール以上ということで、もうぴしゃっと大ワクがきめられております。この辺、まあ十年前の通達でございますので、最近頻発する地すべり災害、この経験に徴して、ひとつ河川局長におかれて、これは局長段階でいいわけですから、ひとつ考えていただきたいと思います。五ヘクタール以上ということで、あといろいろこまかい規定がございますが、五ヘクタール以下のところはもう全然取り上げられない形になっておりますので、先ほど申し上げた、さらにいまここが地すべり地域と目される、それが五ヘクタール以下である、しかし、これがどんどん進んでいった場合は、大規模、たとえば六ヘクタール、十ヘクタールに広がるようなことを想定されるようなところであれば、それはやはり含めるとか、そうしたことについて即刻ひとつ検討をしていただきたい、かように思うのでありますが、河川局長の御答弁を願います。
  28. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 第一点の計画の調査費でございます。これは従来先生御承知のように補助工事につきましては県の責任ということで、従来は補助の制度がございませんが、これはひとつ検討してみたいと思います。  それから、大規模工事について直轄でできないかということでございます。これは現実にこの地点につきましては、なお詳細にひとつ検討いたしまして、対策をひとつ具体的な設計なり計画をやってみたいと思います。その結果によって、大規模なものであって、かつ工事至難あるいは二府県にまたがるというようなものを原則として直轄工事をいたしておりますが、それに該当するかどうかひとつ検討してみたいと思います。  それから、第三番目の指定基準の問題でございますが、これは先生の御承知のとおりで、河川局長通達を三十三年に出しております。面積が一応五ヘクタール以上ということでやっておりますけれども、その解釈といたしましては、地すべりを誘発するような地域だとか、あるいは地すべりによって家屋の移転を行なうために特に必要がある場合にはというような弾力条項も考えておりますので、そういうこともあわせて考えまして、できるだけひとつこの地域については砂防指定地拡大と同時に地すべり指定というものも考えてまいりたい、こんなふうに考えております。
  29. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 時間ございませんので、取りまとめてなにしますから、文部省とそれから総理府にひとつお答えをいただきたいと思います。  やはりこの地すべりの問題は、原因の究明ということが大事なんでございまして、四十四年度予算では新潟大学——新潟県には非常に地すべり、地盤沈下、地盤変動、そういう関係多いということで、四十四年度予算で初めて地すべり研究のためのものが設けられたわけでありますが、その後もう四十四年度に入っているわけですが、どうなっているか。私は予算がついたのだからもう即刻始まっているように思うのでありますが、文部省においては一体どうなっておるか、現状を簡単にひとつお話し願いたいと同時に、ひとつこうした現地における——いわば現地であります。これは北魚沼であり、地すべり研究の——新潟県は新潟大学でありますから、ひとつさっそく進めるように、ほかの研究機関との連係を保ちながらお取り進めをいただきたい。これが第一点。  それから第二点は総理府にお尋ねをいたしますが、こうした災害が、災難が起こらないように末燃防止をする。災害を防ぐ。このために各県に対してひとついろいろ御指示はなさっておるようでありますが、一体どうなっているのか。新潟県自体としては、私は県当局にただしましたところが、ことしの二月二十四日には雪害、地すべり、がけくずれこうしたものを含めて総合的な通達を出しておるようであります。それから四月十四日には地すべりの問題だけをとらえてやっている。四月二十人目にはひとつ点検をせいということを出しておるようでありますが、こういうことでやってもなおかつああした事故が起こる。まだまだやればきりがないけれども、危険個所千三百六十カ所とも県内ではいわれておりますが、とにかくやればやるほどきりがない。きりがないからやらないというわけにもいかぬので、きりがなくてもやらなければいかぬのでありまして、私は昨年五月の二十三日当委員会において急傾斜地崩壊防止法案ですか、あれが五十八国会で流れるというようなことも聞き、非常に当時私は憤慨をいたしました。そうしてこの委員会において、法案は流れるようになるけれども、やむを得ないけれどもひとつ次の国会でということと、あわせてひとつ急傾斜地等について総点検をやったらどうかという御提案を申し上げておる、これは五月二十三日の議事録に載っております。そこで当時の総務長官が、ひとつ何とか考えてみたい、こういうことでございましたけれども、私は再質問をして、これだけ私が真剣に言っているのであるから総点検をひとつやりなさい、中央防災会議の名においてでもいいからひとつ事務局長である総理府総務長官はひとつ通知を出しておきなさい、ころばぬ先のつえであるということを私は申し上げた。それでやりましょう、そういうことになった。それでそれをやってからちょうど一年くらいたっているわけです。どのような手が打たれてどのような効果があがっているのか。私はこれは非常にしつこい言い方でございまするけれども、この期に及んでもやはりそうした点検等の措置についても警告を発するとか、適切な積極的な行政指導総理府なり中央防災会議の名においてなされるべきである、かように思いますが、副長官、いかがですか。以上で質問を終わります。
  30. 渋谷敬三

    説明員渋谷敬三君) いま御質問ございましたように、地盤災害につきましては、その原因の究明等の基礎研究の面がやはり非常に重要だと思いますが、大学の関係は大筋といたしまして二つの体系でやっております。一つは、いまお話がございましたように、関係大学が協力いたしまして研究をする。それからもう一つは、地すべり等地盤災害に関する専門の研究施設を設けまして、そこを充実して研究を進める、こういうことでございますが、前者につきましては科学研究費補助金の特定研究に災害科学の領域を設けまして、その災害科学の中で昭和四十三年度全国を六地区に分けまして、六地区関係大学が相互に協力をするための総合研究班を設けまして、昨年約九百三十万の補助金を出して研究をやっていただいております。これは本年度も引き続きその領域が設けられておりまするので、進めることになっております。それからもう一つは、専門の研究部門を設けて研究を進める点でございますが、従来は京都大学に防災研究所というのがございまして災害科学の研究をいたしておりますが、十六部門ございまするうち、四つの部門が地すべり等の地盤災害を二つの観測所をもちまして研究いたしております。そこで、さらにそういう面の充実ということで、新潟地区地すべり等多発地帯であるという特質にかんがみまして、昭和四十四年度予算に新潟大学理学部に地盤災害研究施設を新設するための予算が計上されたわけでございますが、教官等の人を伴います関係で、総定員法の成立を待ちまして、総定員法成立の上は国立学校設置法の施行規則を改正をして正式に発足をする、そういう予定、段取りになっておりますわけで、総定員法の成立を期待して待っておるわけでございます。よろしくお願いいたします。
  31. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) 先生御指摘の問題につきましては、中央防災会議を主宰する私どもといたしましては、毎々御指摘の点にかんがみまして、たとえば去年の六月の十日中央防災会議事務局長、私どものほうの長官の名前をもちまして地方防災会議会長並びに行政機関の長に対していま先生御指摘のような内容、すなわち管内をよく巡視し「災害発生の予想される危険個所等の調査実施し、その発生を未然に防止するため必要な措置を早急に講ずるとともに、体制の整備および物資、資器材の点検整備の徹底」を期する等、万々遺憾ないように措置を講ぜられたいという通知を出したわけであります。それにこたえまして、各省それぞれいろいろ答えが出ているわけでありますが、同年の十月二十一日には、さらに長官の名をもちまして各都道府県の防災会議会長に対して「災害発生の予想される危険箇所について」という題名のもとで、「災害対策に関しては、貴職におかれても日頃から十分努力されているところであるが、先般、昭和四十三年六月十日付け」——先ほど申し上げたものであります。「総防災第九号で通知した災害発生の予想される危険箇所等についての調査実施については、すでに実施し、十分把握されていることと思われるので、貴職管内の災害発生の予想される危険箇所およびその危険箇所に対する措置について、施設別に、きたる十一月三十日までに御報告願いたい。」、こういう手紙をまた出したわけであります。それについてはずっと方々から答えが出てきているわけであります。たとえば新潟県からは、四十三年の十一月三十日付中央防災会議事務局長あて新潟県防災会議会長から詳細な報告が出ておるわけであります。  以上のようなことで、先生御指摘のとおり、各地方別に相当詳細に点検をしてください、それから予想せられる個所を書き上げてください、それに対する予防措置を講じてください、機材等点検しておいてくださいというようなお願いをし、先方からもこれに対する答えも来、万般やっているわけでございますが、さらにはこの地域防災計画の中に織り込んで、地方では工事実施三住民に対する個所の周知徹底などをやっておるわけであります。これで万全というわけではありませんけれども、以上やっておることを御報告を申し上げます。  今後は、やはり先ほどもちょっと申し上げましたように、いわゆる過疎地帯に特にこの地すべりだけをとってみれば多い——まあ地すべりだけじゃありませんけれども——そういう最近の実情にかんがみて、計画の変更等ももちろんしなきゃならぬ点もあるでしょうから、そういう点についてさらに今後こういう手紙を出して、前と違ったような答えになるかどうか、同じ答えであるかどうか、違ったところについては違ったようにわれわれも考えていかなきゃならぬと、そういうことをやっていくつもりであります。
  32. 多田省吾

    多田省吾君 このたびの広神村の地すべり災害につきまして、この前の四ツ木橋の事故に続いて建設大臣がいち早く現地を視察され、対策を講ぜられたことに対して、心から敬意を表する次第でございます。また、河川局長あるいは砂防課長等も二十五日から現地に飛んでやっておられますし、またさらに、県においてもいち早く災害救助条例を適用して相当早く処置を講じたために、ダブル災害の危険も未然に防止されたのではないかと、このように思っておる次第でございます。また私も二十六日の晩から二十七日にかけて、現地災害本部にはじゃまにならないように協力してまいったつもりでありますけれども、自衛隊等も高田駐屯地の二百二十五名の第二普通科連隊の方々が徹夜で堀を掘って、そのために危険が防がれたということも考えられますので、非常にこれはたいへんであったと、またよくやられたのではないかと、このように思っておる次第です。  ダブル災害のやはり危険というものがいま現在一番おそろしいわけでございます。地元の村長や、あるいは村会議長等も非常に心配しておりましたけれども、二十七日になって、やはり水沢山の右手のほうにまた新しい亀裂ができて、五万立方メートルぐらいのくずれがまた出るおそれがあると、そういうことで非常に心配しておりましたし、また反対側の今度は中手岳というのがありますが、あれも同じような地質でございますから、これも心配されております。それからさらにあの水沢新田の沢ではなくて、今度は同じ部落ではありますけれども、小松倉に行くところの沢も去年道路地すべりがあったというので、三軒ありますけれども、その方々も同じような地質ですから、もう非常に心配だ、早く集団移転も考えたいと、このようなことも言っておりまして、まだまだダブル災害のおそれなしとしないわけでございます。そういう点から、私たちは十分対策考えられてやっていただきたい。今度のやはり地すべりも予期しないところに起こっておりますし、またそれ以上に予期されるところが近所にあるわけですから、その対策を十分考えていただきたい。このように思うわけでございます。  で、建設省の土木研究所の新潟試験所の山下宏所長ですかは、専門家の立場から調査されまして、この雪どけ水、あるいは雨によるこの災害は当地独得のものであると、それで、私もちょっと近所の山に登って見てきたわけでございますけれども、こういう粘土質の土質があること、その上にもう五、六十メートルにわたってこういった砂がある。これが表土を通して雪どけ水やあるいは雨水が流れ落ちれば、たちまちざくざくになって崩壊する危険がある、こういう姿でございますので、私は特に今後天気予報なんかによりますと、きょうもまた小雨が降るという予報が出ておりましたし、きのうもまた午後から雨が降っておりました。そういったダブル災害が出ないように、まず第一にどういう対策をとられているか、それをお聞きしたいと思います。
  33. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 多田委員から非常に深い憂慮と関心のもとに励ましのおことばをちょうだいいたし、恐縮いたしておりますとともに、事態重要性にかんがみられまして、直ちに現地に行かれましての御視察をいただき、御協力をいただいていることに対して深く敬意を表しあげたいと思います。  私といたしましてはこうした不幸な災害ができました場合における一番われわれ、政治がいたさなければならない態度は、民心に対する安定といいますか、人心の安定ということが一番大事であるとともに、その不幸に対するところの政治に寄せる大きな期待に対する真摯な施策のこたえをいたさなければならないという、政治に対する強い期待と要望にこたえた政治の姿勢でなければならぬ。これが私はこうした人命尊重をおあずかりいたしておる責任者の私は当然の行動であると、このような気持ちを持ちまして、きのうも日曜日現地にまいりまして、村長さん、あるいは村議会の議員の皆さんに対しましてもその気持ちを申し上げたような次第でありますとともに、非常な協力と非常な心労をわずらわしておる自衛隊の責任者に、これは全員にお話するというようなことは作業の最中でございますから、作業をじゃまするような視察態度であってはいかぬと思いまして、強く前もって現地にその旨を連絡いたしまして、指導者の自衛隊の連隊長と消防団長のお二人にお会いいたしまして、その労苦を感謝申し上げますとともに、さらに今後における積極的な御協力をお願いしてまいったような次第であります。したがいまして、これらのダブル不幸がなきよう、建設省河川局長砂防課長も連れてまいり、地建の局長、土木部長などとも指示をいたしましたゆえんもそこにあるのでありますが、私といたしましては先ほどの佐藤委員お話もございましたごとく、多田委員建設省の基本態度はどうあるべきであるかといういまの結論の御質問でございますが、私は地すべり対策に対しましても、あるいは急傾斜地崩壊対策につきましても、それぞれの立法措置をお願いいたして、これに対する準拠によって政令その他をもってさらに具体的に万全を期する覚悟でございますが、建設省といたしましては、もう一度やはり私は県の土木部を通じて河川局長の通達を発しまして総点検をいたしたい、総点検をいたすべきである、こういうような気持ちを持っておりますので、直ちに河川局長名を持って通達を発しまして、全国のことに重要な地点の多い県に対しましては、特に強くこれらの措置を、直ちに点検を行なう旨の指示をいたす覚悟でございます。応急措置あるいは緊急措置等につきまましては、さらに先ほどから各委員お述べになりました態度をもって、万全の措置を講ずる考えであることを御了承願いたいと思います。
  34. 多田省吾

    多田省吾君 私はただいまは、いま現在災害の起こっている現地についてダブル災害が起こらないようにということでお願いしたわけでございます。やはり二十六日の晩も自衛隊消防団の方々がダブル災害があるんじゃないかと思われるような地形の中で作業を深夜の中、徹夜でやっている、そういう状態です。またきのうの晩、今晩を考えましても、昼ならいざ知らず、夜の作業となりますと非常に危険です。そういう意味でもう一つ、やはり二つも亀裂ができているような個所もありますし、またもう別の山からも崩壊するような危険も絶対ないとは言えない、こう思います。私が申しました小松倉に行くようなあの沢なんかも、去年道路地すべりが現実に起こっているわけですよ。ですからその村の方々も、また強制立ちのき命令は出ておりませんが、むしろ出してもらいたいというような希望を持っているんです。幸い、きのうは三軒に続いていまさらに五軒、合計八軒の強制立ちのき命令が出まして、その方々は安心して立ちのきできる。だけれども何の補償もなしに自分から立ちのくわけにまいらないものですから、できれば強制立ちのきを命じてもらいたいと、現地ではっきりそういうことを言っている人もおります。そういう点も十分御理解の上措置をとっていただきたいと思います。  それからいまの、特に新潟県は先ほどお話がございましたように、千三百六十カ所、もあぶない地点がある。しかしながら、いわゆる地すべり防止区域になっているのは五百ですか。それから現在国と県で作業しているところは百六十四カ所くらいにすぎない。そういった、まだまだ処置されてないところが多いわけでございます。   〔委員長退席、理事武内五郎君着席〕 ただ、いまの地域砂防指定地域にはなっておりますけれども、地すべり指定区域にはなっていなかった。村のほうでも県のほうにお願いし、県の消防防災課のほうでも、一応これは地すべり危険区域に入れようとしたのでありますけれども、あまりにも個所が多いし、あそこは比較的安定していたというのでそこには入れなかった。先ほど佐藤さんから話があったように、五ヘクタール以下はまあ県で処置しなくちゃいけないということもあります。そういういろいろな面で残念ながら地すべり危険区域に指定されなかったために、もう少しで難をのがれることができたのに、うかつにものがれることができなかった方ができたのではないかと、このようにも思われるわけです。実際に二十分前に、私直接聞いたのでありますが、小林次郎松さんの娘さんも来ておりまして、小林さんはこれは犠牲者になられたわけでありますが、小林よえという方が窓をあけたら、二十分前にあの水沢山から田畑がくずれ落ちるのが見える。だけれども、まさかここまではこないだろうと思って、その田畑の今井新次郎さんという家に有線で電話して、おたくの田畑がくずれているぞ、そういうことを言っているわけです。しかし、ここまではまさかこないだろうと思って安心していたところが、二十分たったら、どっと第一波、続いて一分たって第二波が来て、小林さんという、これは八十歳の、二回目の中風にかかられているおじいさん、もし時間があるなら、みんなで運び出せるわけです。ところがまさかと思って運び出せなかった。命からがら子供をかかえて逃げた、こういう状況です。ですから、もしあそこが地すべり危険区域に指定されていれば、ああいう山のくずれが、あるいは亀裂が生じたら気をつけるわけです。それが国または県の指定がなかったために、みんな安心していたのじゃないか、こう思うわけです。ですから、いま建設大臣がおっしゃったように、いろいろ費用もかかると思います。また地すべり危険調査等の近代機械も必要だと思います。しかし、新潟県にはそういう係の人も十数人しかいないという現状です。どうかひとつそういう点はもっともっと力を入れて、そういった地すべり危険区域の指定等もやっていただきたい、このように思います。
  35. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 多田委員から御指摘になりましたごとく、地すべり防止法の制定に基づきまして当時、調査をいたしました対象地域は全国において三千五百四カ所に及んでいる。   〔理事武内五郎君退席、委員長着席〕 新潟県下においても八百八十九カ所でございました。しかし、御指摘のとおり、それ以来年月もたっておりますとともに、地形的条件等も非常に変わってまいってきておるということを踏まえますときに、これらの再検討ということがいかに重要な問題であるかということを考えますときに、これらの点の問題を十分考えまして、さらに再点検をいたしまして、それぞれの立場から指定をいたしたい、こういうような決意でおるようなわけでございまして、多田委員指摘のとおり、私たちといたしましては、さっき申し上げました方針をもって、これらの不幸な問題について真剣に前向きな姿勢をもって建設省は取り組む決意でありますことを、御了承願いたいと思います。
  36. 多田省吾

    多田省吾君 補償につきましては、先ほど佐藤委員等の質問に答えられているので、私もある程度納得したわけでありますが、それ以上にもやはり被災された方々に対する補償は十分やっていただきたいということを再度希望いたします。  さらにもう一つお聞きしたいのは、やはり、こういう地すべり危険区域等に指定されて非常に危険度の高いところについては、特に過疎地域でありますので、いろいろ問題もありましょうけれども、いま集団移転等がいろいろ論ぜられているわけでございます。実は地元の方々も移りたくないという人も感情的にはありましょうが、こういった事件が起これば移ってもいいという考え方に、地元の方々が変わっているところも確かにあるのであります。そういった面で、こういう危険区域の集団移転に対してどういう措置を講じ、どういう指導をし、どういう補償をなさるのか、その人命尊重という面からその対策を要点でけっこうですからお伺いしたいと思います。
  37. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 私はきのうも現地に参りまして痛感いたしましたことは、あの崩壊いたしましたいわゆる、いまお示しのようなあの粘土性の強い土壌、この崩壊いたしました排土の処理が、いかに御遺体の発掘に大きな支障になってきているかということを考えますときに、やはり過疎地域の山間部におけるところ道路問題ということが、私は非常に重要なことをなお一そう痛感いたした次第でありますし、いわゆる道路の狭きことによってその排土運搬ができ得ないということを考えるときに、私はこれらの問題すべてを含めまして山間僻地におけるところ道路問題過疎問題に対する基本をなす道路問題に真剣に取り組みたいという決意をさらに一そう深くいたしましたような次第であります。とともに、いわゆる地すべり地域の非常な危険濃度の強いところ、急傾斜地という地域における非常な人口の戸数が、単なるあの法律によりますと五戸以内とかあるいは三十戸以上とか、いろいろ戸数はございますけれども、その戸数の大小を問わず私は人命尊重という立場から、やはりこれらに対する措置は、政府が強く考えなけりゃならぬ。そうすると、急傾斜等に対します今度の措置は、御案内のごとく移転に対する補償、補助をいたすというような、融資をいたすというような措置を講じておることで、政府の意のあるところも御理解いただきたいと思いますが、今度の事件を通じまして、地すべり地域におけるところのこれらの問題についても、やはり再検討を必要とするというような気持ちもいたしておりますので、これに対しましても、さらに私は積極的にその内容の解明をいたして、これらの不幸のなきよう最善の措置を講じたいと、こう考えております。
  38. 多田省吾

    多田省吾君 先ほど佐藤委員からも質問がございましたが、私も非常に大事な問題であると思いますので、鯨岡長官に御質問したいのです。それは、いわゆる個人災害における国民災害共済制度というようなものでございますが、まあ個人災害につきましては、今度の広神村におきましても、村長の英断で二十万円ずつお見舞い金を出すという、非常に貧しい財政の中からそういう措置をとっております。で、去年わが党の議員が衆議院の災害対策特別委員会におきましても、交通災害共済制度もいま市町村で非常に好評のうちに広がっておりますけれども、それと同じような姿で、いわゆる自然災害につきましても、個人災害につきましては国民災害共済制度というようなものを設けていったほうがいいんじゃないかと、このように総理大臣に質問したわけです。そのときに佐藤総理は、まあ交通災害共済制度はたいへん進んだ考え方だと、国民災害共済制度の提案もなかなかいい着想だと、このように総理はその当時は意欲的な答弁をなさったわけでございます。で、私たちもその後考えまして、去年の十月に国民災害共済制度というような案をつくりまして、それを発表したわけでございますが、たとえば市町村で世帯主である加入者から一日一人一円でいいから掛金を取って、そうして市町村においてあるいは県も補助し、あるいは国の負担も政令で定めて、災害給付に対する費用の三分の二ぐらいを負担すると、こういう案を出したわけでございます。きのう新潟県の消防防災課長も現地で終始指揮をとっておりましたけれども、やはり個人災害のことを非常に心配しておりまして、何とかこういった国民災害共済制度というようなものを国でつくってもらえないか、そうすれば県も市町村も協力できるのだがと、そういう非常に意欲的な考え方をしているわけでございます。これはお互いに超党派的にこういった考え方は必要だという、いわゆる合意の段階にきているのではないかと思われます。先ほどお答えありましたけれども、さらに重要な問題でございますので、私は政府において至急にこの考え方を取り上げていただきたい、ということを要望したいのでございます。
  39. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) さきに佐藤委員に対してお答えを申し上げましたので、それで尽きているわけでございますが、重ねてせっかくの御質問でございますので、私どもの考え方を申し上げたいと思います。政府といたしましては、現段階では申し上げましたように個人災害は個人の自主的な回復を原則としていることは御承知のとおりであります。しかしながら、いまるる御指摘になりましたような点について、はたして個人の責任において自主的な回復とだけ言っておいていいのだろうかどうだろうか、非常にお気の毒だということは論を待ちません。そこで、これを、共済制度というようなことを一応考えられるわけでございますが、さて実施の段階に立ち至って具体的に突っ込んで考えていきますと、なかなかむずかしい問題がそこに横たわっていることは、すでに御認識のとおりだろうと思います。そこで、そういうような問題を一つ一つやはり詰めて検討をいたしませんと、なかなかそこまで踏み切れない。先ほど佐藤委員にもお答えをいたしましたように、それらの点について各省集まってもらいまして、一つ一つについて詰めていくということで御了承をいただきたいと思います。
  40. 多田省吾

    多田省吾君 時間もございませんので、最後に農林当局に。まあ七ヘクタールの、それから家畜等の被害があったわけでありますが、それに対する補償をいま建設大臣も二億ほどかけたいとおっしゃっておりましたけれども、家屋が流されないまでも田畑を失なった方が数世帯いらっしゃるわけでございますが、それに対する補償をどうなさるおつもりなのか。それからもう一点は、これは建設省または総理府だと思いますが、先ほど申し上げました建設省の山下所長のお答えの中にも、こういった地すべりのようなものは、山が伸び縮みする変化をいわゆる計測するところの計測器を取りつければ、事前に危険状態になっているということがキャッチできるのだということも言っております。またレーダー等の観測もつけ加えれば、こういった危険区域はもっともっと着実に捕捉されるんじゃないか、このように思います。すでに新潟県におきましては昨年は六十七件、本年四月までですでに三十二件十二億二千二百二十万円の被害を出している、こういう実情でございます。ですからその対策においても、今後起こり得る災害を未然に防ぐために万全の措置を講じていただきたい、こういった面から、そういった科学計器を使った観測等もやっていただきたいと思うわけですが、いかがお考えでございますか。この二点を最後にお尋ねしまして終わりたいと思います。
  41. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 先ほどを御報告いたしましたように、乳牛が八頭ほどやられておると思いますが、これにつきましては被害額推定といたしましてただいま約二百万円前後ではなかろうかと、こう見通しておりますが、大家畜になりますので、共済の対象になって共済のほうから支払いが行なわれるのではなかろうか。ヤギと鶏等につきましては、これは共済制度はございませんので、別途種々のいわゆる融資制度がございますので、その適用で検討してまいりたいと、こう思っております。田畑につきましては、先ほど御質問の方からもございましたが、被害額を十分まだ把握いたしておりませんので、被害が把握されまして、なおそれぞれの災害査定官が行きまして災害査定をいたしました結果に基づきまして、それぞれの補助率が適用されて復旧事業が行なわれることになるのではなかろうかと、こう思っております。
  42. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 地すべりの予知の技術的な問題でございますが、これは現在の技術水準ではなかなかむずかしい問題でございまして、現在はそういった各地点ごとに何といいますか前駆現象というか、地すべりが若干開始したということになってまいりますと比較的行ないやすいわけでありますが、全国全般にわたっている地すべりの予知ということがなかなかむずかしい問題でございます。しかし、これは非常に重要な問題でございますので、特に地すべりの規模の大きなものにつきまして、まず重点といたしましてそういった科学的な調査というような問題についての検討を始めたい、というぐあいに考えております。
  43. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) いまのお答えで尽きているわけでございますが、私のほうも中央防災会議を主宰し、さらにそれに基づいて計画も立案をし地方の計画も統括をするという立場から、確かに先生御指摘のように、たとえばレーダーでそれを知るというような方法はないか、十分考えてみなければならぬことだと思います。新潟県でも、このところ、今度の不幸な災害に見舞われたところは最危険地域が入っていない、準危険地域に入っていたというようなことも考えて、もし、これが最危険地域であったならばもっと注意があったろう、こう思われます。そこでどういうところがあぶないか、もっと科学的にレーダーといっても、レーダーをどういうふうに利用していいかまだわかりませんが、いまのこの段階では私どもよくわかりませんが、十分研究をいたしまして、最新の方法をもってこれに当たらなければならぬことは言うまでもない、こう考えておるわけであります。
  44. 河田賢治

    河田賢治君 時間がございませんので、一、二の点だけを質問したいと思います。  災害補償やあるいはそういう問題ではだいぶ説明があったわけですが、御承知のとおり、私も、地元から直接の話でありまして、まだ行ったわけではないのですけれども、いまこの地すべりなどについての防災のためには、相当、佐藤さんからも言われましたように、もっと計画的に調査をする必要があると言われているわけなんですが、現在、新潟県では砂防職員が、技術職員が圧倒的に少ない、九人しかいない。ですから、結局十分な調査ができてない。現在指定されているのでも千三百六十カ所のうち五百カ所しか指定されていない。指定されていないところは、ことしになって二十五カ所も地すべりを起こしているわけですね。非常にこういう地域は過疎地帯であり、また小規模のものである、しかし全域にわたってやはりこういうものを調査するには、先ほどもお話がありましたように、相当これを実情を調査して、それに対する対応策を立てる必要があるわけですが、地元からの話によりますと、やはり建設省であるとか、あるいは森林関係では農林省であるとか、林野庁であるとか、いろいろなそういう関係があって、なかなか統一的に問題が処理されていない。だからひとつ、県段階でもやはりそういうふうに、各セクションでばらばらになっておるというようなことが言われておるわけです。要求としましては、たとえば新潟県では今日では地すべりの一番多いところなんですけれども、そういう上越地方とかあるいは下越とかいうふうにして三カ所ぐらいの統一的な、国がいわば直轄するような形でそういう事務所を設けて、そうしてこれの調査なり、あるいはこれの対応策、こういうものを一応立てたらどうかというような考えを持っておりますが、防災の立場からしましても、さっきいろいろ各府県に手紙を出されてその意見を徴されておるということでありますけれども、何といいましても、この新潟県は非常に地すべりなんかが毎年毎年多発しておりまして、昭和二十四年からことしにかけて千百七十件にも及んでおるというような状態でありますが、こういう問題について防災をつかさどっておられる鯨岡さんからひとつ話を承りたいと思います。
  45. 鯨岡兵輔

    政府委員鯨岡兵輔君) これは個々には建設省のほうの所管に属するかと思いますが、いま御指摘のように、農林省にも建設省にもそれぞれに関係があるというところから私に御質問だと、こう理解いたしましてお答えをいたします。  御案内のように、地域防災計画、さらにそれが集まりまして防災基本計画、これらを中央防災会議のほうで統括して検討し、その検討に基づいて各省庁に指示し、実施の段階に移っておることは御案内のとおりであります。そこで、こういうふうに多発するという現象にかんがみて、そういう場所には特に国のほうから直轄でそういうことにしぼって研究するところを、まあ新潟県に例をとってみれば、三カ所ぐらいに分けてやったらどうかということを先生はお考えになっている、そんな考えはどうだろうかという御質問であります。私どもは案をずっとこう統合する場所でありますので、十分その御意向を体しまして、どういうものであろうかひとつ検討をいたしてみたいと考えております。
  46. 河田賢治

    河田賢治君 先ほど来から新潟県の地すべりというものは非常に多発しておるし、職員も少ない、佐藤さんも、いまこれの査調やあるいは研究のためにもっと補助をしたらどうかというお話がありましたが、御承知のとおり、月別で見ましても、やはりなだれの多い四月とか、あるいは雨の多い六、七月ごろとか、あるいはみぞれの降る十一月、十二月とか、こういうときに、月別でいきますと多発しているわけですね。ですから、ある程度科学的にこういうものを調査すれば、そしてまた地盤なんかを調査すれば、全域にわたってそう私は長くかからぬのじゃないか。もちろん、これを完全に防止する予算というものは相当要りますけれども、しかし御承知のとおり、新潟県の県のほうの単独予算というのは、ちょっと聞きますと四十三年が千四百万円、それからまた四十四年が二千五百万円と非常に少ないわけですね。だから、おそらくいわば農業的な県でもありますし、こういうこの対策のために、そういう県の割り当てなんかにどういうふうな処置をされているか知りませんけれども、もっとこれらを防止し防災するという意味で、地方自治体との関係もあるでしょうけれども、できるだけそういうところの予算を早く組んで、そうしてこの多発を防止するということが必要じゃないかと思うのです。ですから、あんまりこう一律的な防災区域というだけでなく、多発しかつ危険なところへまず最初にできるだけ多くの予算を特別に組むとかいうようなことをして、これをまた県にもそういうことを督励して、わずか千四百万円とか二千五百万円とか、きわめてわずかな費用しか新潟県自身も出していないわけですね。人もまた八人とか九人ぐらいしか置いてない。こういう県ですから、この点なども十分地方自治体も指導し、また国自身がそういう考えでおやりになる、そういうお考えはありませんか。
  47. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) いま御指摘になりました諸般の問題につきましては、やはりこの多発の防止、また危険の未然防止その他につきましては、それぞれの法的準拠せなければならぬ問題も御承知のとおりございますが、建設省といたしましては、地すべり防止法あるいは森林法砂防法、あるいはいわゆる防災基本法等のこれらを総合的に踏まえまして、行政指導を重点的にやる、そして危険防止をいたすという措置を、緊急に措置を講ずるということが、一元的に重要なことでございますので、各省庁と十分連絡をさらに密にいたしながら、指導的な立場で建設省は最善の配慮と行政指導を今後もいたしてまいりたいと、こういうことで御了承願いたいと思います。
  48. 河田賢治

    河田賢治君 もう一問だけ質問したいと思います。いま事業については国が三分の二を持つところやあるいは二分の一持つところがあるわけですが、特に県も相当裕福ならまあたいしたことはないでしょうけれども、しかしこれがまた地方の市町村などにやはり分担がおりたりしますと、なかなかこれが過疎地帯のような非常に経済的にも乏しいところでは困難があるだろうし、またあまり県としましてもこの地域が狭いと比較的重視しないということでこのような災害が起こる。またこれの復旧なども比較的何と申しますか、あまり重視されないという場合があるわけですが、こういう国の補助、あるいは県の補助などについてもできるだけ今日のこの経済状態考えて、そして補助率もある程度の、あまり経済的な余裕のないようなところは少し国がよけい出すとか、あるいは県もそれを出さすとかいうふうにして、こういう処置を政令なりあるいはその他で改正されるようなあれはありませんですか。その点だけを聞いて終わりたいと思うのです。
  49. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 問題はやはり地方財政の充実ということが大きく左右するものであると私は考えております。補助率の問題も必要ではございますけれども、何といっても、地方自治体の負担をなるべく充実させるという措置が非常に重要な問題であろうと思いますので、これらにつきましても、自治省とも十分連絡をいたしながらこれらの措置をさらに講じてまいりたいと、こう考えております。
  50. 河田賢治

    河田賢治君 終わります。
  51. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  52. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。関する件についておはかりいたします。  新潟県等における地すべり等による被害状況の実情調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時一分散会