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1969-06-18 第61回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十八日(水曜日)    午後二時十六分開会     —————————————    委員の異動  六月十八日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     渡辺一太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中津井 真君     理 事                 高橋文五郎君                 柳田桃太郎君                 横川 正市君                 三木 忠雄君     委 員                 井川 伊平君                 大竹平八郎君                 後藤 義隆君                 中山 太郎君                 平島 敏夫君                 宮崎 正雄君                 渡辺一太郎君                 占部 秀男君                 千葉千代世君                 松本 賢一君                 安永 英雄君                 上林繁次郎君                 中村 正雄君                 岩間 正男君    国務大臣        自 治 大 臣  野田 武夫君    政府委員        自治省行政局選        挙部長      皆川 迪夫君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    参考人        日本民間放送連        盟報道委員会委        員東京放送報道        局長       島津 国臣君        日本放送協会専        務理事放送総局        長        川上 行藏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一  〇九号)(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 中津井真

    委員長中津井真君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案について、参考人として、日本放送協会専務理事放送局長川上行藏君及び日本民間放送連盟報道委員会委員東京放送報道局長島津国臣君が出席されております。まず両参考人から御意見をお伺いいたします。  川上参考人にまずお願いをいたします。川上参考人
  3. 川上行藏

    参考人川上行藏君) 今回のテレビ政見放送が新しく取り入れられますことにつきまして、選挙法改正に関連する限りにおいて、日本放送協会の基本的な考え方を申し上げさしていただきたいというふうに考えます。  日本放送協会は、従来も明るく正しい選挙を行なうということに十分につとめてまいりましたが、それは、従来、ラジオによる政見放送、それからラジオテレビによる経歴放送、この二つの道であったわけでございますけれどもテレビが今日すでに全世帯の八六%に達する、そういう時代におきまして、国民生活に及ぼす非常に大きな影響、あるいは先般実施いたしました参議院の選挙における立ち会い演説会の中継というようなこと、そのほかいろいろの点からかんがえまして、テレビ政見放送をあえてお引き受けしようということに踏み切ったわけでございます。私たちは、このテレビ影響力という観点から、そういうことをお引き受けするにあたりまして、幾つかの問題点があるということを十分に考えながらも、しかし現状、むしろ幾つかの問題はあろうけれども、その提供できるプラスという面を生かしていただくというような観点から、これをお引き受けしたわけでございます。そういう意味におきまして、このNHKの態度というものを理解していただくために、われわれがどういう点を検討しておるかということを一応申し上げてみたいと思うわけであります。  まず、選挙放送におきまして一番大切なことは、やはり公正であり、平等な立場機会を全候補者に提供するということでなければいけないと思うわけでありますが、そういう点について、まずそれが基本的な前提であるということを十分に確認しておるわけでございます。  で、その際における幾つかの問題点がございますが、われわれが放送事業者として考えられます問題をその中で取り出してみますと、まず第一に、放送のことばで申し上げますと大電力圏内というのがございます。それは東京大阪とそれから名古屋と、この三つの地帯は、一つ放送局で、東京であれば一都六県、大阪であれば二府四県、それから名古屋であれば三県、それを一つ放送局でカバーしておるわけでございます。NHKの場合におきましてはそういうような、全国のそれ以外のところは、各県ごとにそれぞれの放送局がございまして、しかも電波も持ち、あるいは放送制作の体制もあるわけでございますけれども、いま申し上げました大電力圏東京、それから大阪名古屋につきましては、制作をできる局、あるいはスタジオを持っておる局というのが一つであるにもかかわらず、放送が及ぶ範囲、カバーしなければいけない責任分担範囲というものは、いま申し上げましたように非常に広い範囲であるということ、そこに選挙放送という場合におきましてあまたの候補者がいらっしゃる、そうしてそのお一人に、先ほど申し上げましたようにできるだけ機会を提供しようとしますれば、どうしても放送時間が非常にふえてくる、しかも限られたる日数のうちにそれを消化していくということになりますと、一日のうちに少なくとも一時間、二時間あるいは三時間という放送時間を組まなければいけない。そうなった場合におきます問題点幾つかあるわけでございます。と申しますことは、その選挙区に関連される方は、その区から出られる候補者の方の放送十分興味関心を持ってお聞きになるかもしれませんけれども、それ以外の大部分の聴視者というものは、自分選挙区に関係のない立候補者、まあ広い意味での政治勉強という意味において、他区の立候補者お話をお聞きになることもまた参考になるかと思いますが、少なくとも直接利害のない、選挙に関する限りの直接の利害がないという意味において、そういう放送があまり多く出るということは、選挙放送の効果を減殺するという問題があろうかということが一つあるわけであります。そういう意味におきまして、この大電力区をどういうぐあいに処理するかということ、これは放送局側立場だけからではなくて、その放送を受けられる聴視者立場からも考えていかなければいけないということ、そういう意味調整ということを事実上われわれは自治省とまた御相談をしながら、その回数なり時間量なりというものを調整していかなければいけない、このように考えております。  第二の問題点は、電波というものは行政県と必ずしも一致しておりません。電波は物理的な性能に従って空に広がっていきます。しかし、県の境というものは必ずしも電波と一致しないで、川の姿とかあるいは海の姿というもの等によった制約を受けているわけでございますから、電波と県の境とは必ずしも一致していない。ある放送局電波自分の担当している県以外のところまで入っていくという場合、あるいは逆に自分の県を受け持つべき放送局電波が必ずしも十分に伸びていかないという、そういう電波行政県の矛盾と申しますか、あるいは跛行と申しますか、そういう面がございます。そういう点につきましては、NHKはこの五、六年来鋭意県別放送局を設けるということをたてまえにしてまいっておりましたので、かなりその面は、数年前に比べますと矯正をされてきている。かなり一致するような形になし得てきたという気がいたしますし、それほどの大きなへだたりはないかと思いますが、まだしかし現実にそこまでまいっておりませんので、そういう面を補うようなくふうをしなければいけないところが多少ございます。たとえば瀬戸内海でございますと、海を隔ててお互いに向かい合った県がそれぞれカバーし合うというようなケースによって、いま申し上げたような形を補うということ、それをどの範囲で行なうかということ、それと、われわれはいままでの経験によりまして、あるいはすでに行なっておりますテレビ経歴放送経験に徴しまして、この範囲はやはりカバーしなければいけない、あるいはこれは非常に数が少ないから、それはもうテレビに必ずしもよらなくてもいいんじゃないかというような形において、いま申し上げましたように電波行政区との不一致というものをどの程度までカバーし合うかということを具体的にうまくきめていきたい、考えていきたい、このように考えます。  第三点は、テレビ番組制作につきましては、ラジオと違いまして、非常に容易ではございません。これはわれわれが別にひきょうで、仕事の重要さ、あるいは困難さをお訴えするというよりも、立候補者がお忙しい中に放送局に来て録音をし、あるいは録画をしていただくということは、それこそ貴重な時間をさいていだだくことなので、非常に恐縮だと思うわけでございます。しかし、できるだけ御迷惑をおかけしないようにするというくふうが必要だと思うわけであります。たとえば、ラジオ政見放送を五分間とっていただくにつきましても、やはりお一人三十分ぐらいはかかるという場合におきまして、テレビのほうは、うかうかすると一時間であがらない、あるいは一時間半とか、そういうような時間をあるいはおとりするというようなことになっては非常に御迷惑をかけるということもありますし、また、テレビは、ラジオのように場所をとりませんでどこでも録音できるというのではなくして、照明設備とか、あるいはスタジオとか、そういうものが、非常に近代的と申しますか、物理的な施設と申しますか、それがございませんと、テレビに出てくる画の質というものが非常に違って、その方の、たとえば具体的な例で申し上げますと人相まで変わってしまうようなケースがしばしばあるわけでございます。そのために、テレビにおきましては照明技術というものが非常に重要な意味を持っておりまして、十分に照明がとり得る場所でないとテレビ録画ができません。随時どこへでも出て行ってテレビをおとりするというわけにはなかなかまいらないので、そういう意味におきまして場所的な制約がある。そうしますと、候補者方々もできるだけどこかへお集まりいただいて、多少御不便でも県庁所在地へ来ていただくというようなことを考えて御協力をいただかなければならない、そういうような問題点があるわけであります。  以上御報告申し上げましたように、大電力圏との問題、電波行政区域との関係、それからテレビラジオと違う技術的ないろいろ問題点がある。そういう三つの点を十分に考え、しかも聴視者と、それから立候補者方々と、それから勝手でございますけれどもNHKあるいは放送業者側の物理的な能力と申します点がございますが、機械設備とか照明設備、そういうものでございますが、そういうもの等、いろいろな各面からそういう点を検討さしていただきまして、具体的にできるだけテレビでそういう政見を述べて公正な選挙ができる、健全な議会政治の発達のためにお役に立ちたい、そういう意思をもちまして現在自治省と御折衝している、これが現状であります。
  4. 中津井真

    委員長中津井真君) ありがとうございました。  次に、島津参考人にお願いいたします。島津参考人
  5. 島津国臣

    参考人島津国臣君) 私、東京放送報道局長をやっておりますが、たまたま民放連の報道委員会委員ということで、在京各局の幹事ということで出席をいたした次第でございます。  私ども民間放送といたしましては、今度の公職選挙法改正に伴いますテレビ経歴放送あるいは政見放送につきましては、いまNHK川上専務理事が申されましたように、それと同じように、やはり積極的に関心を持っていることを前提といたしまして、私ども民間放送がかかえております幾つかの問題点をやや具体的に申し上げてみたいと考えます。  まず第一に、非常に具体的で恐縮ではございますが、私ども聞いておりますところでは、経歴放送政見放送込みでおおむね五分ということを聞いております。しかし民間放送の場合は五分という時間、この時間には、民間放送それぞれの各局の規程によりまして、約六十秒、一分のステーション・ブレーク、われわれステブレと言っておりますが、局側が持っております時間帯があります。したがいまして五分ということは、われわれ民間放送業者に言わせますと四分ということになるわけです。しかしながら、こうした公職選挙法に基づく一つの新しい行き方をテレビという媒体がとった場合に、必ずしもこれまでのルールどおりにわれわれは考えておりません。しかしながらやはりわれわれとしましては、五分ではなくて、経歴放送込み政見放送経歴放送政見放送ともで四分三十秒程度で私どもはお願いしたいということが具体的な一つの問題でございます。  それからその次に、これは非常に具体的で、この席上で言うべきかどうか考えましたが、政令その他にゆだねるといたしましても、やはりわれわれは制作費の問題かあろうかと思います。ただいまNHK川上専務理事が、照明の問題、スタジオの問題その他言わたました。それとまさに同じように、われわれは民間放送業者といたしまして、テレビ番組には意外なほどお金がかかるということです。私どもすでに過去におきまして、ラジオによる政見放送はずっと担当してまいりました。その場合のわれわれ民間放送業者のあり方といたしましては、五分間、NHKの場合は三千円、民放の場合は八千円という、NHK民放との間に、ラジオにおきましても格差がついております。そのいわれはすでに御承知のとおりだと思いますが、われわれ今度の場合でも、やはり制作費の問題につきまして、私ども聞いたところによりますと、NHKさんのほうとしては五分間七万一千二百円を自治省を通じて要求され、これについてやはり折衝の結果、ある程度妥協点を見出しつつあるという話は聞いておりますが、かりに私のほうが、民間放送全体が主張いたしますとするならば、NHKさんの言われました七万一千二百円でも全く制作費としては非常に困ってしまうというような段階にございます。  それからさらに、われわれとしましては、御承知のとおり制作費のほかに電波料というのがございます。で次のこの政見放送経歴放送を組みまする編成の面も考慮いたしますが、各時間帯によりまして民放電波料が違うのはすでに御承知のとおりです。私どもその前の前提といたしまして、自主編成ができると、つまり民間放送はそれぞれの局におきまして、この経歴放送政見放送を自主的に編成するというたてまえに立つならば、私どもはもはやはり民間放送業者で言っておりますA、特B、B、C、Dと時間帯にランキングがございますが、その中でやはりCゾーンとかあるいはDゾーンということを考えるのが——たぶんこれは私の推測でございますが、名民放はその辺の時間帯を考えるであろうと考えます。そうしますと、C時間帯、D時間帯のやはり規定の、これは各地区によってもとよりその媒体価値によりまして電波料格差がございますが、私どもTBSでいいますと、やはりBゾーンの場合ですと、五分間で、これで正規の料金になりますが、二十六万二千円になります。Cゾーンの場合で二十一万円です。Dゾーンの場合で十五万七千五百円というのが私どものほうの一つ料金建てになっておりますが、各放送局ともに、それほどこれとは差異のない電波料の設定が行なわれていると私は考えております。したがいまして、先ほど申し上げました制作費の問題、それから電波料の問題、それからこの番組を組みまするための各局の自主的な編成と、こういうことが一体になりましてやはり配慮を願わなければ、私ども前提として非常に積極的にこの問題については関心があるということではありますが、やはりなかなか困難な面にそれぞれの各民放業者は逢着するのではなかろうかというふうに考える次第でございます。  それからこの経歴放送政見放送、この内容チェックでございます。御承知のとおり、関東一円で申し上げますと、二十八の選挙区、東京だけで十、この前の衆議院立候補者総数はたしか二百二十八名だったと記憶しておりますが、その中にはまあやはり世間的にいいまする泡沫候補的な方々もおられないわけではない、次の総選挙の場合もこういうことが絶無ではなかろうかと考えます。そうした場合の、先ほどNHK専務理事が申し上げましたように、やはりテレビという媒体を通じて各視聴者に密着した場合に、その影響はやはりいろいろあろうかと考えます。そうした場合の内容チェックアップを一体どこが担当していただけるのかという問題があるわけですが、私ども民放担当者といたしましては、でき得ることならばやはり中央選管なり、地方選管なりがこれはぜひ担当していただきたい。それから先ほどの川上専務理事お話にもありましたとおり、日本全国東京大阪名古屋といったようないわゆる広域放送圏につきましては、NHKさんのお考え以上に、私どもはできることならば東京都も、あるいは名古屋市も、あるいは大阪府も一括して、NHK制作を担当することのほうが内容チェックアップ、あるいは制作費の問題その他も関連いたしまして、そのほうがより円滑にスムーズにいくのではなかろうかというのが私ども考えでございます。  なおいろいろこまかい問題ございますが、先ほどのNHKさんの御説明とは別に、当面の問題の、具値的な問題につきまして私ども考えている一端を申し上げた次第でございます。
  6. 中津井真

    委員長中津井真君) ありがとうございました。参考人方々の御意見の陳述はこれにて一応終了いたします。  これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 横川正市

    横川正市君 どうもきょうは忙しいところを御苦労さまでした。大体私どもテレビ放送政見、あるいは経歴放送に実用化していくとすればどういう問題点があるかというような点を考えておったことを、率直に実務を担当されているNHK民放ともどもにあげられたんだと考えるわけです。そこで、実はそういう問題をかかえている側と自治省選挙関係を担当している方々との間にどういういままで話し合いをされてこられたか、そして具体的に問題点が指摘をされたわけですが、それに対して解決できるのかという点で、実は川上さんの意見の中にもありましたけれども、大電力の場合の東京名古屋大阪における放送は、その他の地域の放送県域放送と比べてみて、まあいわば個々にはこれは差がありませんけれども全国的には差が出てくるのじゃないか、そういう場合は一体どうするかと、あるいは民放さんとNHKさんの場合は、それぞれ依頼される立場に立つと思うんですけれども、網の、波のいわば何といいますか、到達範囲といいますか、あるいは置局されている放送局のまあいわば差といいますか、そういったことから、当然いろいろテレビ放送はいたしますといってみても、聴視されるほうには非常に差が出てくるんじゃないかというような問題はどうなのか、あるいはもう一つは、実はこの政見放送というようなものが一般にそれほど聴視率の高い番組になろうということはちょっと私どもは期待できないわけですが、そういう場合に、個々の時間帯の割り当ての問題の差が出てまいります場合と、それからもう一つは、たとえば民放政見放送をやっているが、NHKは「天と地と」をやっておったというような場合ですね、またその逆の場合もあるわけですが、そういうようなことが番組編成の中で一様に政見放送というようなことが放送できるものかどうか、まあいろいろな点が、放送をするということが一応きまって、それを実施の段階に移すとすれば非常にむずかしい問題点があったと思うので、これは当然自治省との間に連絡をとられたと思うんですが、その連絡をとられて、これはもう全く不可抗力ということなのか、それともある程度いろいろな立場から見ても公平、平等な政見放送、あるいは経歴放送というものが可能だと、こういうふうにお考えになっておるか、その点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  8. 川上行藏

    参考人川上行藏君) いま御質問のございました点は四点かと存じます。その四点につきまして一応順次お答え申し上げたい、このように考えます。  まずその前提に、私たちの作業は、自治省からいろいろと御下命があり、あるいはわれわれの意見を徴せられた、その間に放送協会としてもやはり責任があるわけでございますから、その点は十分に勘案しながらお答えをし、最終的には自治省にまとめていただくということになろうかと存じますが、そういう点をまず前提に申し上げておきたいと思います。  それで、大電力圏につきましては、先ほど申し上げましたように一つ放送局で一都六県、たとえば東京に例をとって申し上げますと、一つ放送局で一都六県をカバーする、しかもその放送局が持っておる時間は、小さいと申すと失礼かもわかりませんけれども、たとえば島根県とか鳥取県のようなところと同じように、やはり放送時間は十八時間しかないという形でございますので、どうしてもそういう大電力圏候補者の方は御不満かもしれませんけれども回数はある程度少なくなるということはひとつ御了承いただきたい。ただ、同じ選挙区の候補者については必ず均等な時間を割り当てるというようなことをたてまえとして考えております。  それから第二点の、NHK民放との協力関係ということについてお尋ねがございました。それにつきまして、先ほど島津TBS報道局長からお話がありましたように、大電力圏内におきまして、それぞれ地元に局を有していらっしゃらないところについては、NHK協力して共同取材的な形でいたしましょうと、本来言えば、やはり放送局としてりっぱにやっていらっしゃるのですから、それぞれのところにやはり器材を持っていって、それぞれおとりになるほうが、候補者あるいは選挙民にとってもいい方法じゃなかろうかと思うのでありますけれども、いまそれをすぐ要求しても無理かと思うので、少なくとも地元放送局を持っておらない、たとえば茨城県とか神奈川県というところの分については、NHK統一取材をいたしましょうということはお約束してございます。  それから到達距離の点でございますが、これにつきましては、大電力圏内につきましては、置局をしてある数はかなり違いますが、それほど大きな差はないんじゃないかというように私は存じます。ただこれは、民放さんのほうがどの程度、たとえば群馬県についてはTBSがどの程度カバーし得る、あるいはフジテレビがどの程度カバーし得るということは島津さんのほうからお答えをいただきたい、このように思います。ただNHKにつきましては、大体県別に、先ほど申し上げましたようにほぼ県の行政区域電波行政区域が一致できるようにしておりますので、それほど御心配になるようなことはないんじゃないか、このように考えます。  それから政見放送時刻割り当てにつきまして、たとえば具体的にお話がありましたように、民放娯楽時間にNHK政見をやる、あるいはNHK娯楽時間に民放政見放送なさるということは、理想とすればおっしゃったような調整をとらなくちゃいけないかと思いますけれども、大電力圏内につきましては、民放のほうで具体的にどういう方法をおとりになるか、たとえば県別分担をなさるとか、いろいろのことをまだきめておりませんので、そこら辺の調整もなかなか困難が多いんじゃないか、特に民放のほうでは自主番組、いわゆるスポンサーがついてない時間しか使えないようなお話でございますので、そういう点でもいろいろと問題があろうかと存じます。NHKはできるだけいい時間を政見放送に提供したい、このようなつもりでいまいろいろと下計画はいたしております。
  9. 島津国臣

    参考人島津国臣君) 私のほうで民放側として申し上げたい点三つほどございますが、一つは、広域放送圏の、たとえてみれば東京各局の関東一円に対するカバレージの問題であります。それにつきましては、在京局のうち、東京12チャンネルも含めまして五局、TBS、フジテレビ、NTV、NET、東京12チャンネル、この五局ともに関東一円はカバーし得る、それだけの関東ローカル局として、正式には東京ローカル局でありますが、実質的に関東ローカル局としての資格、条件のもとに認可を受けているということが言えるであろうと考えます。  それからもう一つは、この経歴放送政見放送番組編成の時間帯になりますが、私ども冒頭に申し上げましたとおり、積極的な関心のもとにわれわれは自主的に編成していきたい、しかしながら民放の場合、ゴールデンアワーあるいはAタイム、Bタイムといったような時間帯にこれを組んでいくことはたいへん困難があるのではなかろうか。考えまするのは、やはりCタイムあるいはDタイムあたりで考えることがやはり各民放局のおおむね常識になるのではなかろうか。しかしながら、これは三つ目の問題にも触れますが、自治省とのいろんな話し合い、それによりますと、自治省当局といたしましては、やはりNHKも含めて各民放ともに大体同じ時間帯でこの経歴放送政見放送をやってもらうことが非常に望ましいという要望には接しております。要望には接しておりますが、やはりこの商業局、民間放送関係は、頭ごなしに一つの時間帯を提供しろというのではやはりいろんな問題をはらんでしまう。やはり前提としましては自主編成にまかせてしかるべき問題ではなかろうかというふうに考えます。  それから、自治省との話し合いはどうなっておるのかということでございますが、われわれ民間放送業者といたしましては、民放連の報道委員会を中心に実は過去三回にわたりまして、ここにおられます自治省行政局皆川選挙部長においでを願いまして、自治省当局のいろんな考えは前後三回に分けて聞いております。さらにこれを民放報道委員会に移しまして、各報道委員方々の御意見、さらにその中で、先ほど申し上げました、東京で言うならば在京五局の責任者の方々にお集まり願っていろんな意見の交換を遂げている。しかしその問題点になりましたのは、先ほど私のほうから申し上げました幾つかのより具体的な問題に集約されつつあるということのように私は考えます。
  10. 横川正市

    横川正市君 よりひとつ完全に平等になるように、さらにひとつ具体的に進めていただきたいと思うのです。  あと一点だけ御質問いたしますが、民放の場合は、従来政党の政党放送というのをスポットで出しておるわけですね。これはやはりある程度の時間帯は、それぞれの政党との間に協議をして時間帯あるいは料金等がきめられると思うのですが、それと今度のいわゆる経歴あるいは政見放送とはどういう取り扱いをされるようになりますか、具体的に両方こうやるとすればですね。いわゆる政党の政治活動としての放送と、それから候補者の経歴、政見放送とは、これはどういう、同じ時間帯で取り扱いをされようとされるのか、その点だけひとつお聞かせいただきたいと思います。
  11. 島津国臣

    参考人島津国臣君) 政党スポットあるいは個々の政党のPRのためのスポット、そういうものを過去において私どもラジオにおいてもテレビにおいてもやった経験がございます。しかし、いまこの公職選挙法改正に伴う経歴放送政見放送、これをこれまでやっておりました政党スポットの前後に入れるということは、ときによっては技術的に困難があるのではなかろうかと考えます。これを具体的に申し上げますと、かりに自民党提供の、あるいは社会党提供の、公明党提供の、あるいは民社党提供の、共産党提供のスポットが、それぞれの党派に属する立候補者を、その前後に経歴放送なり政見放送なりするということは、ときによってはむずかしい面が出てまいります。たとえば、先ほど川上専務理事が言われましたとおり、関東一円を例にとってみても、私ども一体どこの選挙区をどの程度カバーするのか、これはまだきまっておりません。在京五局といたしましては、これは公平にやるべきだということになりますと、かりに関東一円で二百五十名立候補者が出そろったといたします、五局で一局当たり五十名、その選挙区はそれでは東京十区のうち、五局で二区ずつ担当するのか、あるいは神奈川四区、茨城一区、あるいは千葉一区が入ってくのかどうか、その辺の話合いはまだ全く白紙でございます。したがいまして、それぞれの候補者を、おっしゃるような政党スポットと有機的に結びつけてやるほうが、ときによっては効果的であろうかと考えますが、技術的には非常にむずかしい面が出てくるというふうに私は思います。
  12. 岩間正男

    ○岩間正男君 今度の選挙公報の取り扱いの問題と関連するんですが、この政見放送以外の選挙期間中の番組選挙の問題を取り扱いますね。たとえば政策を聞く、こういうような番組がいままでしばしば行なわれました。こういう中で、ともすると解散前の党の議員数の比率によってこれは決定される、したがってしばしば、私共産党ですが、共産党の場合、除かれる場合が起こってきたんです。先ほど川上専務理事の話によりますと、あくまで選挙の問題は公正、平等にやると、こういう方針を堅持するというお話がありましたが、私は解散してしまえば、政党はその前の、解散前の議員数の比率によってこういう問題を決定することは不適当と思うわけです。これは公正、平等というようなものにもならないわけですね。そういう点から、こういう問題についてあくまで公正、平等に扱うという方針が、これは堅持される必要があると思うんですが、この点について両参考人の御意見を伺っておきたいと思います。
  13. 川上行藏

    参考人川上行藏君) お尋ねの点につきまして、私たちはできるだけ公正に扱ってきたつもりでおります。たとえば諸外国の例を見ますと、外国では立候補者の数あるいは解散前の議員数、そういう数に比例して放送時間数を割り当てるのがむしろ原則になっております。しかしNHKといたしましては、むしろ政党本位の趨勢が非常に強く出ておりますので、なるべく政党本位に時間を割り当てするというような形でいままで考えてきたつもりでございますが、今後ともその方針を踏襲していきたい、このようには考えております。
  14. 島津国臣

    参考人島津国臣君) 私ども民放全部ではございませんが、私TBSにおりますので、TBSの基本的な考え方、これはやはり政党本位ではあります。政党本位で、この場合に特に公示後に自民、社会、公明、民社、共産に至る各党につきまして、たとえば党本部の中継にいたしましても、いま申し上げたこの五党については極力公平に、時間帯からいいましてもおおむね同じように扱ってきた、私ども報道局長といたしましてやってまいりましたつもりでおります。この方針は今後ともそのような形でやっていこうというふうに考えております。
  15. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいま御回答いただいたわけですけれども、特に政見放送と同様に、これらの政党の政策は非常に関心が深い。そういう意味からいうと、政党の選挙にどんどん変わりつつあるんですから、そういう点からいいましても、特に公正、平等の方針を貫いていただきたいと御要望いたしたいと思います。
  16. 中津井真

    委員長中津井真君) 参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりまぜず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本案審査のため貴重な御意見をお伺いすることができましたことは、心から厚くお礼申し上げ、、感謝申し上げるところでございます。  ありがとうございました。     —————————————
  17. 中津井真

    委員長中津井真君) 引き続き質疑をお願いいたします。
  18. 横川正市

    横川正市君 いま具体的に放送関係の取り扱い責任者というか、そういう人たち意見を聞きましたんですが、その中に幾つかの問題が出されております。自治省としては、これは実施する場合にどこまで自信をもってやれるかという点なんですが、ことに放送業者との間に、あるいはNHKとの間に三回程度ですか、連絡をされて話されたという、そういう中で、五つばかりあるわけですね。  私は、一つは、先ほど民放島津さんが言っておりましたように、スポットを当てたあとに候補者政見がからむということは、これはすんなりと同一政党の場合のスポットと政見であっても、それから他党のスポットと政見であっても、これは問題があるんじゃないかというふうに思うんです。いずれにしてもスポットと政見という問題は、これは短い選挙期間の中に、しかも有効な時間を取って、さらに公平、平等に各候補者政見、経歴を放送される、そういう場合のスポットの当て方ということについては、これは単に政党活動だからといってそのままにしていいかどうかという問題と、もう一つは、作成とそれから時間帯については自主性を持たせてもらいたいと民放連は言っているわけなんですが、これとは非常に大きな連関性を持っているのではないか、こういうふうに思うんですが、その打開の問題が一つあると思います。  それからもう一つは、NHKの場合の制作費が、要求されたのは七万一千六百円ですか、それから民放の場合には、Bでもっても二十六万二千円、Cで二十一万、Dで十五万七千五百円と、制作費が違うことと、民放の場合は放送時間が三十秒大体短いということになるわけです。そういう場合の一体公営費——公営選挙を行なうというたてまえから、負担をする場合にはどういう取り扱いをされるか。もちろん大電力地帯において、NHKだけではカバーできないから、民放協力を得る、民放協力を得ることによってより効果があがる、そういう点が認められて、制作費について大小あってもそれはやむを得ないという場合もあろうと思いますけれども、それは自治省としてどこまで踏み切ってやれる問題か。  それから三つ目の問題ですけれども自治省は、もちろん時間帯の要請は確かにしたと思うのです。個々の時間帯、同時に各局の時間帯二つ時間帯があるわけなんですが、それの取り扱いについては、自治省としてはどこまで考えておられるのか。私は、実は先ほどもちょっと言いましたように、一番問題なのは、政見放送がそれほど聴視率は高くないんじゃないかと、しかし、たくさんの人に聞いてもらいたいと思えば同一時間帯を各局ともにとってもらうということが、これが非常に必要な努力なんじゃないかと思うのですが、そこまでいくと、さてそれは、企業でやっておる民放NHKとの間に大きな差が出てくる。逆に言いますと、それをNHKだけにやらして民放はどうだと言われた場合、民放娯楽番組をやっているときにNHK政見放送というのではこれは効果があがらないことはもちろんなんですから、私は、できれば放送されておるすべての局がこの時間帯に協力をする、これが当然じゃないかというふうに、そこまでの努力が必要なんじゃないかと思うのですが、いま、いろいろそれぞれの責任者の意見を聞きながら、問題として非常にむずかしいとは思いますけれども、これは解決しなければ実施に移されない問題だと思うので、自治省としてどういうお考え方か、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  19. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) まず第一の、政党のスポット放送と公営の政見放送との接近する問題でございますが、私たちは、むしろ基本的にはこれは離れておったほうがいいと、こう思っております。ただ、民放の性格上、申し入れがあって、それが時間があいておればスポット放送することがあるだろう、どちらかといえばそのスポット放送が早くきまっておる場合もあろうと思いますし、あるいは今度の選挙においてどういう時間帯で放送するということがきまったあとで、その近くに申し込みがあるという場合もあるだろうと思います。この点については、原則的にはそれがあまり接近していないほうが公平ではなかろうかと思っておりますけれども、これはあくまでも話し合いできめるべき事柄であって、法律上それを切り離せということはむずかしいんじゃないだろうかというふうに思っておりますが、なお、この点については委員会の御意見等も伺って最終的にきめてまいりたいと思います。  それから第二の、時間帯の問題でございますが、特に民放の場合には、いろいろな長期的な契約なり放送番組編成があるわけでございますから、これを、急に起こった、たとえば衆議院の総選挙においてある程度まとめて時間をきめるということは困難であろう、したがいまして、なるべく選挙放送にふさわしい時間帯をとってもらうということはお互いに話し合いをしたいと思いますけれども、これをある程度統制してまとめていくということは私は困難ではなかろうかというふうに思っております。特にNHKと各民放全部同じ時間帯に集めるということは、これは実際上むずかしいんじゃないか。と申しますのは、たとえば関東の大電力地帯をとりましても、いままでの事務折衝の段階では、NHKは全部の地区についてやれるだろう、こういう大体判断をしております。ところが民放の場合には、各放送局が全部のものについてやるということはとても不可能である、そうしますと、各放送会社が受け持つ候補者の数が、したがって放送時間がNHK民放では違うわけでございます。この違った時間を、違った人たちを同じ時間帯に入れるということは実際上できないわけでございまして、その時間帯に入った人とそこからはずれた人の有利不利の問題も起こってくると思います。したがいまして、この選挙放送の時間帯の設定については、私たちはあまり、いわゆるAタイムのような一般の人がある程度関心を持って見るというふうなものがきまっておるような時間帯は避けて、多少選挙放送を聞いてみようかという気持ちのある時間帯、しかもあまり悪い時間帯じゃない、そういう限界をいろいろ判断してもらって設定して、なるべくならそこに集めてもらいたい、ただそれを、全部の候補者が漏れなくそこに入る、あるいは各放送局が全部足並みをそろえるということは、これはむずかしいんじゃないかというように考えております。  それから制作費につきましては、先ほど民放の方が申し上げましたのは、制作費NHKの一応試算されたものを申し上げたわけでございますが、まあ二十六万なり二十一万というのは、これは電波料でございます。制作費のほかにそれだけの電波料がかかる、こういうことを言われたわけでございます。この制作費なりあるいは電波料につきましては、実は一番最初からはっきりした数字がお互いにわからなかったものでございますから、ある程度検討をした結果相当の補償をすることは当然であろうと思います。ただこの点については国の財政当局の立場もありますので、そのほうともよく話し合いをしまして、ただこれが予算的な制約放送ができないということがないようにしたい、この点については大蔵当局も十分理解をもってもらっているつもりでございます。
  20. 横川正市

    横川正市君 そうするとこれはあれですか、NHKの場合には制作費でいいんですが、民放の場合には制作費プラス電波料ということになるわけですね。制作費は、たとえばNHKが担当してかりにやってくれたにしてもこれはNHKに払う、それから民放電波料を払うというふうにいくわけですね。
  21. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 金額の問題についてはいろいろあろうかと思いますが、電波料を払うというのがたてまいであろうと思います。
  22. 横川正市

    横川正市君 実はいまの自治省側の見解で、せっかくここまでいったのだから、私はできればさらに効果をあげるということでの努力をこれは当然にしなければいけない問題だと思うのは、これはいま言ったように衆議院選挙のような場合は、いつ解散するかわからないから、それからだれが立候補するかということも予測は非常にむずかしいということで、非常に集中的に混乱をするということはこれは予測できるわけです。しかしこれは同時に、たとえば政党放送というものも、同じようにあらかじめ用意しておいて、選挙があるときにはいつでもというのじゃなく、やはりそのときに最も有効な政策とか何か放送されるということで、やはり集中してそこへくると思うのです。だからスポットと政見とを、これは私はこう思うのですよ。たとえば共産党の宣伝のスポットがあって、そのあとに自民党が政見放送するなんというのはこれはおかしい結果になるだろうと思うのです。それからまた自民党のスポットがあって、共産党の候補者ということになれば、これはまたそこに当った人は時間的にも不公平じゃないかというような問題が起こってくるだろうと思うのです。そうすると、集中的に行なわれる選挙の場合のスポットと政見の組合わせ方というのは、私は自主的に相手側にまかすということよりか、相手側の非常な常識を期待して、こうしてもらいたいというようなことは言わないまでも、そういうようなことのないように、たとえば時間帯にしても、それがかりにCであっても、Bが放送しておってCが放送をするということがあってもがまんをしてもらうというように、営利主義じゃなくて各会社の常識というものに期待をするというような、そういう自治省からの意思表示というものがあって私はいいんじゃないかと思うのですよ。いずれにしても、どう組み合わせられてもこれは問題が出てくるのじゃないか、こういうふうに思いますね。  それからもう一つ問題なのは、やはりNHK民放とが同時に行なうことができないだろうと、いま言いますと大体一年間の放送日程というのは、ほとんど具体的な内容まで付して、ある特別なことがない限りは変更しないという番組編成というのが出されるわけですね。これは民放であれNHKであれ変わらないと思う。ただ、そこへ突然と選挙政見というのが入ってくるという場合に、どこをあけるかという話になる。たとえばこれは相手側がコマーシャルとして使っている時間をどうするとか、あるいはニュースの時間をどうするとか、いろんなことをやって、そこに五分ないし四分三十秒の時間というのをとっていくだろうと思うのです。あるいは昼のニュースの時間を少し長くするとか、そういう方法で時間の割り当てをおそらくすると思うのですが、そのとき、各局が集まって話ができないということは私はないのじゃないかと思う。それだけくらいの努力をしないと、これは非常に人によっては不公平な取り扱いを受けたということになる。せっかくのテレビ放送というのが逆な効果になるのじゃないかと思うので、この二点は、私は、これは非常にむずかしい点でありましょうけれども、特にひとつ注意をしてやっていただきたい、こういうように思います。
  23. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 政党のスポットと政見放送を均衡を失するような扱いにならないようにするということについて、私は、いままでの民放が、政見放送に対する認識のしかた、されかた等から考えて、十分話し合いのつく問題ではなかろうかと、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、時間帯を合わせる問題でございますが、先ほど参考人からお話がありましたように、NHKは、たとえば関東でいいますと、二百三十人なら二百三十人の候補者が立てば、全部自分で一回は放送する、させたい、こういう気持を持っております。民放の場合には、それだけ一局でかかえるわけにはいかない。したがって、五局で分担すれば、一局が四十人ないし四十五人と、五分の一になるわけです。そうしますと、五分の一の人数を放送する時間と、その五倍の人数を放送する時間を全部合わせるということが物理的に不可能なんです。したがって、かりに五分の一だけ合わせたらどうかということはあろうかと思いますが、そうしますと、それは五分の一に当たった人はなるほどいいかもしれませんけれども、そこからはずれた人は非常に不満が出てくるということで、かえって何か割り切れない感じが持たれるのじゃないか。それよりは、やはりそれぞれの放送局の事情を考えながら、なるべく選挙放送にふさわしい時間帯をとるというようにすることのほうが現実的でなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、なおまた、そういうような場合に、その他の放送の中身をどうするかというようなことについては、これから先十分に話し合いをして、なるべくこの選挙放送が多くの国民から聞かれるように努力をしていきたいと考えております。
  24. 横川正市

    横川正市君 それじゃ、いまの問題を一応おきまして、自治大臣に一部改正に関連して一つ御質問いたしたいと思うのですが、まず最初に、どうも私ども選挙制度審議会、それから公職選挙法特別委員会といろいろあっちこっち出ておって、そして問題がこんがらかってくるわけなんですが、先般の制度審議会の席上でも各党からの意見があり、さらにまた内閣に対して、政治資金規正法の取り扱いについて、これは総理大臣に高橋さんから口頭でか文書でか、申し入れがなされたようであります。一体この自治大臣の答弁は、私どもはそのまま真実とすれば、この国会で審議をするということになるのでしょうが、いまの院内情勢その他から見ておりますと、どうも気配としては今回もそういう機会が出ないのじゃないかというような感じを持つわけです、率直に言ってですね。大臣の意向だけではなしに、党内事情もあることですし、党内事情や政府との関連性もあるわけですから、そういうたてまえから、政治資金規正法はこの国会、一体どうされるのか、これひとつはっきりしておいていただきたいと思うのです。
  25. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 政治資金規正法は今国会に提案いたしますと、しばしば言明しましたが、いまなお事実提案を見ないで、それに対してのいろいろの御疑問のあるのはもっともだと思います。率直に申し上げますが、私もしばしばお答えいたしておりますが、当初、総理も私も、臨時国会以来、政治資金規正法は今国会に、つまり臨時国会のときにはもちろん通常国会ですが、今国会に提案いたしますと申し上げておりました。その後の政府の手続は全部完了いたしております。その後、実は横川さんも御存じのとおり、いろいろな経緯がございまして、いろいろな機会に御質問を受けて、私もお答えいたしておるのですが、党内の取り扱いがきわめて遅々として進んでおらぬというので、ごく最近も党に向かって私は提案の要請をいたした次第でございます。選挙制度審議会におきましてもその旨お答えしておりましたが、総理もやはり私と同様な感じを持っておると私は推測しておるのです。  ちょうど聞くところによりますと、明日か、選挙制度審議会の高橋会長が総理にお目にかかって伝達をしまして、おそらくそれに対して総理はどういう返事をいたしますか、これも総理のことですから予測いたせませんが、当然、出すと言うのだろうと私は思っております。と申しますのは、総理と私の間には、やはり出すという方針できめておるのですから、いまになって変更はない。ただ、まことに遺憾ながら、党内事情と申しますか、決して私は党内をかれこれ言うのじゃありませんが、事実はそうであるのでございます。数日前に党の執行部にも要請はいたしておきましたが、おそらく執行部の私に対する答えも、必ず提案するのだという返事を得ております。そういうことで、明日また高橋会長が総理とお目にかかりまして、審議会の御要望を伝える段階でございますから、明日はまた総理から正式に高橋会長に一応のお答えがあると思います。現時点におきましては、そんなことを言って、政府は何かごまかしておるのじゃないかというふうなそういう御懸念は、私は無理もないと思います、何かおくれておりますから。しかし現在のところ、私どもの姿勢というものは、やはり出すという方針でやっておりますのですから、それをお答えする以外にないのです。まことに時間がおくれておりますことは、私自身も非常に遺憾に思っておりますが、おそらくその取り扱いは、数日中においてきっといつごろどうだということの大体の目安がつくだろうと、こう思っておりますから、その点特に、もう大体御承知と思いますけれども、率直に申しませんと、それは出すつもりでありますとばかり言っておってもしようがないのでありますから、そういう経過でありますから、それだけお答え申し上げておきます。
  26. 横川正市

    横川正市君 私は、実は内閣が、行政府の意見というものを十分聞いて、しかも政党の意見を聞いて、そしてその時期にマッチした法律を制定していくというのが、これは任務だと思うんですね。ただ、審議会に諮問をするという場合は、これは私は隠れみのみたいなものをするために審議会に持っていくんじゃないと思うんです。より多くの人たちの知恵や力をかりてりっぱなものにしたいと、こういうことだろうと思うんですね。そうでしょうね、大臣。
  27. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) そのとおりです。
  28. 横川正市

    横川正市君 ところがですね、私はたまたま選挙制度ばかりじゃないんですが、ほかの委員会にもそう思うんですが、都合のいい答申はこれはすぐ実施するけれども、都合の悪い答申は実施しないという癖が一つあります。その癖の一番強く出たのがこの政治資金規正法じゃないか。その内容を、たとえば総理大臣の国会答弁とか委員会答弁をずっと見ておりますと、「小骨も大骨も抜かない」から、最近の答弁は、「実情に合ったもので、まあ一歩前進ということならば」というのが総理の姿勢になっております。そうすると、これは選挙制度審議会に権威を持たせるということと、それから内閣や政党の考えてることとの間に、非常に大きな開きがあるんだが、そういう開きはまあ担当大臣としてどういうふうに埋めていこうとされるのかですね。まあ大臣も、審議会に出ていろいろ第三者の意見を聞いたり質問をされたりする、それからまた内閣へ帰ってきていろいろな意見も聞く、政党との話し合いもする、そこに大きなギャップがあって、そして、そのギャップがそのままに残っている限り、私はこれは成案をするということはむずかしいんじゃないか。そういう問題にぶつかったときに、一体自治大臣としては、その大きな開きのあるやつをどうやって詰めようとされるのか、それが実は私ども自治大臣に非常に期待をするところなんですが、どうでしょうか。
  29. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) いまの御指摘のありました審議会の答申というものの扱い方、これはやはり、政府がこれを隠れみのにして責任を回避するなんという態度はよくないということはよく存じております。政治資金規正法につきましては、当時、答申を得ましたあとで党内の——私もそのとき総務をやっておりましたが、いろいろ意見がございまして、つまりあの当時出た意見は、これも御承知と思いますが、車の両輪論というのが非常に台頭してまいりまして、いやしくも選挙を公正に明かるくやる場合には、もちろん資金面においての規制も必要だが、同時に選挙制度そのものに対して検討を加えて、一緒に取り扱ったがいいんだと、こういう意見が有力に出ておったのでございます。そこで、これは特にまあ衆議院選挙制度でございますが、参議院については今回の第六次の審議会におはかりいたして御審議を願っておるわけですが、それの影響もございまして、なかなか当時の自治大臣としても、成案を得るのに非常に困難をしたんじゃないかと、私はまあ推測でございますが。しかし答申を得た以上、これをなおざりにすることはできないというので、おそらく将来において衆議院選挙制度についての根本的な一つの案が出てくる、また出すべきだ。そこでとりあえず政治資金規正法については、しかし答申をされ、相当尊重する必要がある。その趣旨に沿うて何らかの成案を得たいというのが従来取り扱われた規正じゃないかと。そこで現在、現行よりも一歩前進のものを出そう、こういう経過だと私は了解しております。  そこで、いま御指摘になりましたように、答申どおりいけないじゃないかということは、私も存じておりますが、したがって私といたしましては、これ何と申しましても、御承知のとおり、選挙関係は、これはどうしても党の意向というものが相当あらわれてくるということは、これは理屈からいえば別か知りませんけれども、現実そうであります。いま提案して御審議願っているこの選挙自由化の問題も、まあできるならば各党の御意見を拝聴してやったがいい、これは私は現実の選挙法の取り扱いとしては必要なことではないかと思う。そういうことであの案が出まして、経過も御存じのとおりの経過になりまして、私もやはり責任上、従来政府と党との間にできた試案を出して、もちろんこれはおそらくいろいろ御批判もあろうし、また修正すべき点もあろうし、しかし、この時点で一ぺんですべての解決はできぬから、漸次やはりこれは答申に沿うてやるべきものだと、私は実はひそかにそう思っております。  そこで、これ決して私満足した案が出ましたとか、かれこれことばじりで責任のがれようと思っておりませんが、まあやむを得ない案ができたのだ、これは受け継いでひとつ出して、現に審議中修正があるか、あるいはなくても、次々にこれらの問題は十分ひとつ答申に沿うた成案を得るように努力しなければいかぬではないかと、こういう感じを持っております。
  30. 横川正市

    横川正市君 非常にこれは国会に対する不信の強まる問題を、何とか信を国民につなぎとめるためには、これが一番いいのだぞということで出されたのを、それがいつまでたっても行なわないということは、これはもう逆にいえば、国民の国会不信というものはほほかぶりしてしまって、非常に自分だけ何とかなればいいのだということに堕すきらいがなきにしもあらずという見方をされますので、これはぜひひとつ内閣、それから与党と話し合って早期に、まあ私どもは答申どおりまで下がったわけですから、出されるようにひとつ努力してもらいたいと思うのです。  それから次の問題は、これはこの前大臣が占部委員に答えておりました内容で、皆川選挙部長さんが、これは公式、非公式でちょっと言われておるのですけれども立ち会い演説会が最近それほど国民の皆さんから重視されなくなった、だんだん立ち会い演説会が立ち枯れみたいになってきている、そういう実情だという現況把握があったわけです。それは大体立ち会い演説会に参加される人たちが、全体の有権者の何%というふうに表現をされたわけです。通常私どもは問題の焦点を合わせて説明するときにパーセンテージを使うわけですが、一体選挙公営がだんだん強まっていかなければいけない、あるいは政党本位の運動が必要になってくる、そういうたてまえの中での立ち会い演説会の地位というものは、これは一体どういう地位を持っているものなのか。その地位を、たとえばだんだん衰退しているとすれば、これは立ち合い演説会の開催が設定されているのが問題なんではなくて、そこに魅力がだんだんなくなってきたというところのほうに逆に問題があるんであって、これは選挙を担当する自治省としては、非常にこれは重要視して、立ち会い演説会を盛り立てるためには、他にどういう方法がなければならないかという点に重点を置くべきものなんではないか。私はそういうたてまえから、実は私どもの党の中でも、立ち立い演説会は、テレビ放送が加わるから少なくしてもいいではないかというのには一貫して反対してきました。しかし、それに対して成案された案、それから修正、附帯決議と、こういうふうに衆議院の四党共同修正は経緯を持ってきているわけなんで、私はそれをここでどういうふうに改正するということも、まあたいへんむずかしいことですから、いまのこの立ち会い演説会の持っている選挙の地位という問題ですね。これはまあ、自治大臣としてはもっと明確に、この間占部さんに答えられたようなことではなしに、立ち会い演説会の重要性、持っている意義というものをどう判断されてるか、明快にしていただきたい。  その一つの例として、大臣もこれは経験をされると思うのでありますけれども、たとえば、東京都のように激しい知事選挙の行なわれた立ち会い演説会というのは、もういずれの会場も超満員であります。それから農村地帯とか、あるいはまた地方都市などの立ち会い演説会は、それほど、まあいわば衰退してるんじゃなくて、ある程度立ち会い演説会場所での政談演説あるいは政策を聞こうとする聴衆というのは、非常に強い関心を持って集まってきてるという事実があるわけです。ただ一つ、無競争で当選しそうな、いわば激しい選挙にならないような、だれが出ても順位争いだというようなところの立ち会い演説会は、漸次これは盛会ではなくなってきてるような気配があるわけなんです。言ってみますと、やはり選挙を打っている者の側の影響がやはり選挙をする人たち影響されて、そして盛会か、あるいは盛会でないかという結果を呼んでいるんじゃないかというふうに、大体まあ傾向としては見えるわけなんですが、そういう傾向の中で、私どもやはりとるべきものは、政党が、あるいは候補者が、いかに魅力ある政策あるいは地域の問題等に取り組んで、そしてだれが出されることが一番地域の人たちに有利な、あるいは有効な結果かという、そういうことを見せしめるような、そういう気迫を、私は第一に取り上げるべき問題ではないのかというふうに思うわけなんですが、ひとつ自治大臣の意見をお聞かせいただきたいと思います。
  31. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 公営選挙の中の立ち会い演説というものは非常に重要な位置を持っておる。これはおそらく横川さんもそういう意味の御質問だと思います。私もそれは認めます。ただその傾向というものが、いま御指摘になりましたように地域、場所、それからそのときの選挙の情勢、いろいろの意味において相当の違いがあるわけでございまして、たとえばいまお話しになりましたが、東京都の知事選挙のように非常に激しい選挙のときは、これはそのとおりであります。ところが一面、今度農村その他に参りますと、ことに昼間なんかやりましたときには、御経験もあると思いますが、どうも最初やる人は、極端に言うと三人、五人で、あとの人が百人ぐらいになると、こういうことを、実は公平にいうと、順番なんというけれども、私はこの間ちょっと言ったんですよ。公平にやるというなら、この順番から大へんだと。だから、これは非常に問題が起こるのです。しかし、これはくじ引いてやっておりますから文句言えませんけれども選挙の公平からいえば、こういう点何かの対策考えませんと、三人、五人で立ち会い演説をやって、あとの人は何百人と、私もずいぶんそういう経験があります。これは何も個人じゃありませんから、お互い平等の不公平であるから文句は言えませんけれども、実情はそうなんです。  だから、決して立ち会い演説というものが衰化しているとか、退化しているとかなんとか、その土地土地の、選挙の時期にもよりますし、いろいろのことを総合的に勘案して、そこで今回は何と言っても、立ち会いに演説の意義というものは、各候補者意見をできるだけ有権者に知らせたい、こういうのが目的でございます。そこでその一翼として、ここまで日本のテレビが発達しいる以上は、テレビをひとつ用いたい。この意見は前からあった意見でございます。なかなか、先ほど選挙部長に御質問になったように、これはなかなかむずかしいものですから踏み切れなかったのですが、一つは、踏み切れぬからといって、これを、このテレビを活用しないというのは、選挙の政策浸透のためには、ことに一面申しますと、これもざっくばらんなお話ですが、相当金がかかるのじゃないかというお話がございまして、これは部長が言ったのじゃありませんが、テレビを出すとき、役所の部長あたりが、金がかかるという話もありますがと言うから、金のかかるということを考えたらだめだ。公営でやる以上は、国が幾ら出してもいいよ、私は財政は知りませんけれども。そんなことでもじもじしておって、選挙の公営とか何とかという大きな顔はできないじゃないか、そんなことは心配しないで、自治省としてひとつつくろうじゃないか、それで皆さんにまた御相談をしよう。これは御承知のように、第五次の審議会の答申にも、選挙自由化という問題がございまして、それにこたえた案でございますから、それにはぜひこのテレビを使いたい。そうして動かないで茶の間で、家庭まで各候補者の政策の浸透をはかりたい。こういうことで、今度思い切ってテレビを使うことになったのですが、これもなかなかやってみれば、さっきの御心配、御指摘のとおりで、しかし、現に私は、NHKはもちろん、民間放送も、選挙自体の公共性にかんがみまして、私は相当考慮してくれる、配慮してくれる、こう信じておりますし、またすべきだと思います。これは法律上にはありませんけれども、常識上そのくらいの考えは各テレビ局にしていただいていいのではないか。もちろんこれはお願いすることですから、かれこれ言えませんが、私の気持ちの中にはそういう気持があります。  そこで決して私は立ち会い演説を必要じゃないというのじゃありません。地域地域によっての事情もございますから、同時にテレビ放送をやりますということは、画期的なことでございます。これは漸次、今後ひとつこれがりっぱに運営できるように、われわれの希望どおりにいくように、これこそ前進的に考えたい。同時に御承知のとおり、選挙中は候補者は街頭の演説もやります。また連呼もいい。これはもともと参議院、衆議院みんなよかったのですが、漸次そういうことも考える。同時に個人演説会は今度は無制限だと、こういうことまで踏み切ってまいりまして、いろいろの方策によって、いわゆるできるだけ自由に、できるだけ明朗にひとつ選挙運動をやりたい。したがって、いま御指摘になりました立ち会い演説会に対して軽く見るとか、重く見るとかということはございませんし、これは私は必要だと思います。そこでこれは衆議院においても修正がありましたが、別にこれも何回というようなことはもう制限しない。したがって、これは実情に照らして、各地域の選挙管理委員会が判断されて、それがそういう場合には候補者のほうとも多少の連絡があると思いますが、話し合っていこうじゃないか。これはだれが得するか、損をするかということではなくて、これは公平にやりますから、そういう方法でやりますから、いま横川さんの御指摘のありました立ち会い演説というのが、だんだんだんだん退歩していって、必要性がなくなるということではなくて、必要は認めるが、実情に照らしてやる。同時にこれを補完的というよりも、両者相まってテレビのほうも活用していく、こういう考えでございますから、決して無視するといったような考え方は持っておりません。
  32. 横川正市

    横川正市君 私は、先般大臣がおらないときに、皆川選挙部長にもいろいろ質問をいたしまして、懸案事項となったことを二度繰り返して大臣に質問することはきょうはやめますから、選挙部長に質問をいたした項目は、あとでひとつ大臣ともよく御相談いただいて、できるだけ実現するようにお願いをいたしておきたいと思います。  それと、ただ私ども、この立ち合い演説会の問題で、テレビに今度はある程度の時間をとるようにしたのだからという考え方は、実はどうかと思っている点が幾つかあります。ことにまあ同僚議員の中にテレビタレントの人が出てくるというような時代になりまして、なるほどテレビの威力というのは無視できないと思うのですがね。毎週、まあ一週間に二度三度とテレビに出ている人と、それから選挙のときに三回、四回、四分三十秒とか、五回出る人との差というものは、これは非常に大きな差があると見なければいかんと思うのですよ。テレビに映されたから、だからそれは即効果が出てきたというものではなしに、これはもう将来テレビを使うとすれば相当考えなければいけない。時間の問題でも費用の問題でもそうですが、考えなければならない問題があると思うのです。今回踏み切ったことは非常にいいことだけれども、これは完全ではないわけです。同時に選挙公営というたてまえというのは貫かれて、だんだん拡大していこうということなんだから、そうならば、その中での立ち会い演説会の地位というものは、やはりある高い地位を示しているのだろう、こういうふうに理解をすべきじゃないかと思うのです。  さらにきょうは時間があれば、五次までの答申の中に幾つかの問題があります。たとえば高級公務員の立候補の制限問題、憲法との抵触の問題で云々といっておりますけれども、私の考え方では、たとえば高級公務員の地位を利用した場合の問題とか、あるいは利益誘導とか、そういうようなものは現行法律の中に明確に違法としてされているわけで、高級公務員が出るその土壌はどこかといえば、やはり利益誘導的なそういう趣旨というものをたくさん持っているわけですから、私は現行法でもこれはある程度の制限というものはあっていいし、やれる可能性があるのじゃないかというふうに思うわけです。ですからそういう点からも、もうすでに懸案事項というのはたくさん出ている、連座制の問題とか、あるいは罰則を公民権停止にしなさいとか、自由化の問題では戸別訪問もありますし、いろんなことがありますので、この点はぜひすみやかに立法化されて、審議の場所にひとつ持ってこられるように、これはまあひとつ強く要望して、私は質問をきょう終わりたいと思います。
  33. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いままでいろいろと話が進んでまいりまして、今度の改正案の中には、今度問題になっているテレビの問題があるわけですけれども、このテレビの活用という問題、これを今後どういうふうに、どのくらいの比重をかけて今後どういう方向にこのテレビという問題を政府のほうは取り上げていくか、その比重の問題ですね。そういった点をちょっとお話聞かしてもらいたいと思うのですが。
  34. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) テレビ選挙運動の手段としてどの程度考えていくか。まあ具体的にはその回数なり時間なりの問題であろうと思いますが、この点につきましては、これは実施の状況を見ながら、私たちは効果あるものと思っておりますが、もし予定どおりの効果を発揮すれば、できるだけこれを充実さしていきたい。ただそれを具体的なものさしで比重をはかるということはむずかしゅうございますけれども、そういう基本的な考え方でございます。
  35. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 先ほど民放の方、それからNHKの方が言っておりましたけれども、各政党の放送にあたって、時間の問題は最も公平をはかっていきたい。またそういうふうにやってきたつもりである、こう言っておりました。今後はテレビを生かされるということになってきますと、そういった問題も問題になると思います。で、その答えの中に、あたかもNHKあるいはまた民放でもって、その時間の各政党の時間帯というものを、たとえば自民党は三十分で、共産党は十分であるというような制限ができるような発言なんですね。それはあれなんですか、今後もしそのテレビを生かされるということになると、そういった放送会社のほうに自由にその点はまかせると、こういうことなんですか。
  36. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) これは、先ほど参考意見で申し上げましたのは、いわゆる自主番組で現在行なっている政治活動としての報道を、どういうふうにするかということでございまして、いま提案をいたしております選挙運動の公営として行なう分については、これは各候補全部平等でございます。したがって、政党は平等、ただその場合に、テレビの性質上、時間帯というものがかなり重要な要素となっております。その点については、やはりくじできめていくよりないんじゃないかというふうに考えます。
  37. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次に移ります。今度新たにテレビジョンの活用等がうたわれているんですけれども、今後も選挙法の問題として、どういうふうな改正の方向ですね、今回まあこういったことなんですが、今後どういうようなことが考えられるか。たとえば実情は、先ほど言ったように、自由化という問題を言っておりましたが、そういった点は強く言っておったようでありますが、そういう方向に向かっての改正、それはどういう問題をいま考えておるのか、そういった点をお答え願いたい。
  38. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 実は選挙運動の自由化の点につきましては、従来どちらかといいますと、政府側のほうは、なるべく自由にしていったらいいんじゃないかという意見がしばしばあったわけでございますが、むしろ実際に選挙をやる立場から見ると、あまり自由にすると弊害が出てくるということで、今日まで逐次徐々に進めておるわけでございます。私たちの基本的な考え方としては、やはり選挙運動をあまり制限するということになくて、選挙運動が選挙制度全体の仕組みの中で、自然とたとえば政党が中心になって行なわれるような、こういうものに移行させていきたい。それはいろいろな手段方法はあろうかと思いますが、そういうものができませんと、選挙運動だけは自由にしましても、また弊害が出てくるということになってまいりまして、現在特定の項目について、これをどういうふうに持っていったらいいかという具体案は持っておりませんけれども、気持ちではそういう考え方で、いろいろ検討いたしておるわけであります。
  39. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 先ほど大臣が自由化という問題、これを取り上げました。今度の改正案の中には選挙自由化の三項目が入っていない。いわゆる文書図画あるいはまた政党の戸別訪問の問題、それから第三者による演説会、こういうものの自由、こういったものが掲げられていないわけですけれども、何か特別な事情があってこういうものは許されないのかどうか、この点はどうですか。
  40. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) ただいま申し上げましたように、現在の選挙全体の仕組みの中から、直ちにたとえば戸別訪問を許すということになりますと、いろいろな弊害があるという議論が私たちも聞きました。ある程度そういう実態もあろうかと思いますので、戸別訪問につきましては、今回見送ったわけでございます。  それから文書図画につきましても、たとえばこれを引用して非常に他人の中傷を行なうとか、そういうことがいままでの経験からすると、現在の状況ではまた起こってくるであろうということが考えられまして、これも踏み切るに至らなかったわけでございます。  第三者の演説会につきましては、今回、選挙運動の演説会が衆議院についても完全に自由化されましたので、この自由化された演説会数を持ち寄って、共同で、合同で演説会をするということもできましょうし、これを特に制度的に取り上げなくても、運用上必要があればできるのじゃないかというので取り上げなかったわけでございます。
  41. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 どれだけかの理由があって残せなかったようでありますけれども、それでは次に移りまして、具体的な問題を取り上げて、それでいろいろとお尋ねしてみたいと思うのです。  たとえば不在者投票の問題でございます。これは非常に現実的な問題なんですけれども、たとえば妊産婦、妊婦の場合、この場合、医者の証明書を持っていかないと投票ができない、不在者投票ができない、こういうこともあるわけであります。実際には妊婦、産婦というのは、それぞれの、妊婦であれば妊産婦手帳というものを持っておるのであるし、そういうものでこれは受けつけることができるのかどうか。そうすると非常に簡略になるわけです。やるほうも非常にやりやすくなる。こういうことなんですが、その辺のところはどうでしょう。
  42. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 不在者投票の制度ができてまいりましてから、特にそれにかわる証明書というようなものも逐次出てまいっております。船員等については船員手帳であるとかいうようなことに改めてきたわけでありますが、妊産婦につきましても、現在の状況ではそれも十分考えられることではないかということで、この点について、政令事項でありますから、十分に今後検討していきたいと考えます。
  43. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これも具体対な問題ですけれども、家庭にあってその療養をしておる重病人というのがおるのです。これが動けない。選挙の当日がきても、当然投票には行けないわけですが、そういうのは、これはたとえばこの間の参議院の選挙のときでもけっこうです。まあ統計があればなおけっこうでありますが、そういう重病人というのは、全国的にいってどのくらいおったわけですか、多いのですか。
  44. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 家庭で寝ている者の実は推計は持ち合わせておりません。前回どの程度それを理由にして投票が行なわれなかったかということも、実は調査がなかなか困難でございまして、いたしたものがございません。
  45. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 やはりこの問題は重要な問題だと思うのです。重病人なんていうのはそんなにざらにいないだろうというような、たかをくくった考え方は問違いじゃないかというふうに思いますね。やはり与えられた権利というものを、その人が何らかの方法で使えるという、やはりそういう体制というものを考えていく必要があるのじゃないか、私は相当いると思うのです、病気のために投票ができない。また不在者投票の場合でも、病院に入院しておる、病院によっては不在者投票ができるところとできないところがあるわけです。ですから病人の場合には、どうしても棄権率が多いということが考えられておる。それらの点について、私はもう一歩突っ込んで考えていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、この点どうでしょうか。
  46. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) いわゆる在宅療養等の方々についての不在者投票につきましては、たしか昭和二十五年でございましたか、これを制度化して、自分の家で投票用紙を請求して送ってもらって、それで投票することを認めたことがあったわけです。ところがそれを昭和二十六年の選挙で実際にやったわけでございますけれども、非常に弊害が出た、こういうふうに当時言われまして、たしか二十七年であったと思いますが、そのときの改正でこれをやめてしまった。決してなおざりにしておるわけではありませんけれども、現実にどういう方法をとれば、選挙の公正を確保しながら、投票の便宜をはかることができるか。なかなかいい案がないわけでございまして、その後病院の入院患者等につきましては、なるべく信用といいますか、ある程度、おける病院等については、いわゆる不在者投票という方向でこれを拡充してきておるわけでございます。まあ病気のみならず、いろいろな問題が不在者投票についてはあろうかと思います。決してなおざりにしておるわけではありませんけれども、そういう選挙の公平ということも考えながら、一つの課題として検討していきたい。
  47. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、いま、前にはそういったことを考えてみたことがある、こういうことなんですが、それはやはり手段方法がまずかったということが言えると思いますが、やはりもう一歩突っ込んで体制を考えたときには、そういったものも公平を欠かないでこれは行なうことができるのじゃないかというふにも考えられるし、また当然権利のあるものを、公平を欠くからという理由のもとに、あながちこいつを頭から無視しちゃうというようないき方はまずいのじゃないか。もう一歩も二歩も突っ込んで、それらの人たちが権利を行使できる、そういう体制をやはり十分考えていく必要があるじゃないか、こういうふうに思うわけですね。その点ひとつ早急に考えていくべきだと思いますので、御検討を願いたい、こういうふうに思います。  それから不在者投票の実態といいますか、これを説明していただきたい。実態というだけじゃちょっとあれかもしれません。たとえば、具体的に言えば、脳病院ですね、この不在投票はどういうような形で行なわれているか。
  48. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 不在者投票につきましては、確かにいろいろ御指摘のありましたように問題があるわけでございまして、その前提としては、選挙人の健全な常識といいますか、良識、こういうものにまっている点がたくさんあるわけでございます。いまお話のありました脳病院等の指定の問題でございますけれども、実は脳病院と申しましても、病院全体がそういう患者だけを扱っているところもございますし、いろいろな、病院の一つの部門としてこれを扱っているところもあるわけでございます。それからまた、その患者の程度も、非常に軽度の者から重度の者までいろいろございます。したがいまして、この点については画一的に、脳病院であるからこれを指定するのだということにはいたしておらない。府県の選挙管理委員会が、あの病院はかなり重度の患者だけ入っておる、そうして専門病院であるというようなところについては指定しておらないところもございます。私のほうで画一的な指導はしておりません。したがって、そういう指定をされた中で非常に程度の重い方々がおられた場合にどうなるだろうかという問題があろうと思いますが、この点については、やはりそういう重度の方々自分で不在者投票を請求するというようなことはできないと思いますので、自然に棄権ということになろうかと思いますが、軽度の方であれば、そういう方々でも投票を行使できるということになっております。
  49. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間もありませんから、端的に聞いてみたいのです。その軽度とか重度とかいうことは、たれが認定するのですか。
  50. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 特別に認定をするものはございません。選挙人が請求をしようという気持ちがあって、投票をしようという方々は、おのずから軽度の方々であるということになろうかと思います。そういうことを請求する気持ちもないという方々は、自然と棄権になるということで、特別な認定機関というようなものはございません。
  51. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 たとえば一つの脳病院が不在者投票として認められた。で、そこに当然患者がいるわけですね。その場合に、当然、投票用紙等が、入場券等が回っていくわけです。そういう入場券発行の段階は地方の選管でやるわけです。ですから、やる以上は、いまあなたが言う、それが重度であるか軽度であるかということがわからなければ、それはできないはずですね。
  52. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 選挙法上、脳患者であっても、選挙権を持っておるわけであります。それを行使するかどうかは本人の問題でありますけれども選挙権を持っている以上、しかも選挙人名簿に載っておれば、入場券を発行する場合には、すべての人に配付されるわけでございます。
  53. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで私は問題があるのではないかと思うわけですよ。たとえばこういう例、話を聞いております。たとえば八十なら八十枚の入場券がその病院へ行った。それは脳病院である。で、八十枚の入場券が行った。そうすると八十枚ちゃんと返ってくる。返ってくるというのは、やらないで返ってくるのじゃないですよ。全部投票が済んで返てくる。そういうような話も聞いているし、例がある、こういうことを聞いているわけです。ですから、そういったところに、この不正が起きないとは言えないじゃないかという感じがするわけなんです。ですから、そういう不在者投票という問題について、やはりもう少し突っ込んで当局のほうも考え、また、検討してみなければならないじゃないか、こういうふうに思うのですね。で、これは先にちょっと進みますけれども、不在者投票の管理者の認定ですね、その認定はどういうふうにして認定されるのですか。
  54. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) まあ病院の場合の不在者投票管理者は、たてまえとして病院長でございます。ただ、病院長が立候補したような場合には、これにかわる人が管理者になるということでございます。
  55. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、やはり、私がなぜしつこく言うかといいますと、軽度、重度がこちらとしてはわからない。登録されていれば、その登録されている段階と、月日がたてば、それが重度になっているかもしれない。そういうことがあるわけですよ、実際に。それに選挙権があるからといって入場券が配られる。それがどういう形でもって使われておるのか、これは疑わざるを得ない。これは現実の問題としてあるから申し上げているわけですね。  そこで、いわゆる不在者投票の管理者の認定、いまあなたが病院の場合には病院長であると、こういうふうに言われた。で、この病院といえども、これは公平な立場の人もいるかもしれない。しかし、公平でない立場の人もいる。ということは、ある政党を支持しておるというような方もいらっしゃるかもしれない。そういうようなことで、非常に危険性がある。こういうようなことが考えられるわけです。そこで、やはりこの不在者投票の管理者の認定という問題については、もう一歩二歩と突っ込んで考えてみて、検討していく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですね。まずその辺の考え方について、どういうような考え方を持っているのですか。
  56. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 病院の入院患者について、病院で行なう不在者投票を認める場合に、そのやり方について信頼が置けるかどうか、法律をつくります際に、たしかこれは議員立法であったわけでありますが、非常に議論があったわけであります。その際に、たとえば病院長だけではなくて、選挙管理委員会の職員が出張していって投票さしたらどうかというような意見もあったかと思います。ただ、その場合に非常にむずかしいのは、不在者投票の期間が非常に長い。告示から投票日まで全部不在者投票できるわけであります。それからまた、当該市町村の選挙の場合ですと、ある程度これを事実上まとめて出ていくという場合も可能でしょうが、よその市町村から来ておる患者さんもいるということで、まあ市町村の選管の職員が一々出向いて投票に立ち会うことができないということで、やむを得ず病院長に不在者投票の管理者になってもらうと、ただし、その場合に病院長としては、相当に重い社会的な責任を持つわけでございまするから、あまり小さな病院は指定をしないというようなことで、現在の制度になっておるわけです。  ただ、大きな病院であっても、おっしゃいましたように、特定の政治的な立場を持っておられる方もあると思います。しかし、不在者投票は、結局各選挙人が自分で投票用紙を請求して、自分で投票するわけでございまするから、まあ選挙人がしっかりしておれば、やはり自分の良心に従った投票ができるだろうということで、若干の不安を持ちながら、現在のような制度ができておるわけでございます。その制度がもし不正不当に運用されておるとすれば、これは十分に検討していかなければならない問題であろうと思います。
  57. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは新聞にございますから、ごらんになったと思いますけれども、たとえば他人の入場券で立ち会い人が投票した、これは不在者投票できるのですね。そういった問題があったわけです。これは選管では、このことは全国的に見て初めてだろうと、こういうことを言っているわけです。で、初めてであるかどうか、そんなことはわからない。そこまでいままでの体制が体制だけに、それが初めてであるか初めてでないか、それはわからない、これは言えると思うのです。ですから、こういう問題が実際に起きているわけです。で、起きている以上は、やはりこういった不在者投票に関するいわゆる管理者の認定という問題は、もう一歩掘り下げてやはり考えていく必要があるのじゃないか、こう思うわけですね。  で、やはりいまあなたがいろいろなことを言いますが、よそから来ている人がどうだとかこうだとか言っておりました。それは私はそれだと、まあ欲を言えば、その人たちに対してもきちっとしなければならないかもしれない。それは当然です。ほんとうならば、本来の姿ならば、そうあるべきだと思う。しかし、やはりいまのような体制の中で、いわゆる不在者投票の場所を設けているわけですよ。そうでしょう。で、この病院にしても、この病院が不在者投票の場所になっているわけです。この中にはよそから来ている人もいるけれども、その病院にはそういう立場を与えられているわけです。与えられている以上、その中でいわゆるあくまでも公正を期していくというものの考え方は大事だと、こう私は思うのですね。そういう見地から私はいま申し上げているわけです。当然これはやはり市の職員なり選挙管理委員会のほうで、しかるべき者を選挙のときには派遣するという、あるいはまた告示から投票日まで、その全部を通して不在者投票ができるのだという、そういう長い期間を設ける必要もないと私は思うのです。そういった点は研究の余地があると思う。そういう意味で、最も公正を期するためには、やはり選挙管理委員会のほうからだれかが派遣されて、そうして最もそういう立場で公正を期していくという考え方が必要なんじゃないか、こういうふうに思うわけです。その点について、今後、こういう問題も発生をしておる。たまたまこれはおもてに出てきた一部の問題であるけれども全国的にいえばもっともっとそういった問題が行なわれているかもしれない。ないとはいえない。そういうことなんで、やはり公正を期するという意味からいうならば、その病院長だけでなくて、選挙管理委員会のほうからやはりしかるべき者が派遣されるといういき方が最も至当ではないか、こういうふうに私は考えるわけです。その点についての考え方をお伺いしたいと思います。
  58. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) いま御指摘になりました点については、実態上いろいろ不正が行なわれている懸念もないわけではございません。ただ、それをどういう方法で処理すれば投票をする者の立場からも便宜であり、また選挙の公正も確保できるかということで、非常にむずかしい問題はあるようでございますが、検討してまいりたいと思います。
  59. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、十分ひとつ検討してください。これはまあ余談になりますけれどもね、実際はそういう問題が行なわれているのだから、だからほんとうは本気になってやっぱりそういう問題に取り組んでいくということが大事だと思うのです。そういう意味で申し上げているのです。簡単に受け流されたんでは、こちらが幾らお話を申し上げても何にもならぬから、それをひとつ本気に受けてもらいたい、こういうふうに思います。  で、テレビ政見放送にあたって、不正に利用したもの、あるいは特定の候補を誹謗するというか、そういった場合に罰則規定が設けられている。そこで私は考えるのですけれども、罰則規定を設ければほんとうにこれが防げるかどうか。問題は、そういう条項ができたということは、おそらくこの程度の罰則規定をつくればそういう問題を防げるであろうという考え方、そういう考え方のもとにこういうものがつくられたと思う。私は、この程度の罰則規定が設けられたからといって、必ずしもそういった問題が防げるということは考えられない。そこで、本気になって、この罰則制度があればそういう問題が防げると、こういうふうに考えているかどうか、その点ひとつ明らかにしておいていただきたい。
  60. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 結論から申し上げますと、必ずしも十分であるかどうか、若干の不安を持っております。ただ、さればといってまあ一種の検閲的な、第三者が見て不適当なものは削らせるということも、これも制度的になかなかむずかしいと思います。そこで、実際はそういうことが起こった場合には、候補者の良心にひとつ訴えてこれを是正してもらいたい、こういう努力を重ねて実施の結果を待ってさらに検討をしたらいいんじゃないかと、こういうようなことで案を立てたわけでございます。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは、先ほどからあなた、良心良心と言うけれども、そう簡単にいかぬのですよね。ですから、そこを言っているわけです。あなたの言うように、あなたのような良心を持っていれば、それは問題が解決できるかもしれないけれども、そういうわけにはいかない、現実は。だから、いま申し上げているわけです。実際にそういう問題が——実際に政党としては、あるいはまた候補者としては、こういったことによってテレビを通じて誹謗される。それは、その本人にとってはどれほどマイナスになるかわからない。そうすると、かえって本人にとっては非常にマイナスになる、テレビというものがあるがゆえにこういったことも考えられるわけですよ。実際にこれは何か二十万円とかといっておりましたが、そうですね。たとえば他から金をもらってやるような人もないとはいえないかもしれない。たとえば二十万円くらいの金で済むならば、それは一発そういう誹謗をやったほうが結論的にはプラスである、こういうような考え方も成り立つ場合もあると思う。そうなると、こういう罰則規定というものは何にもならぬ。常識人であればそんなことをやるわけがない。ところがその辺のところは私はいままでの例からいって問題であろうと思うわけです。その辺のところをもう少し、私はこの罰則規定があるからもう安心だというような考え方であってはならないので、この点をもう一歩私は検討をする余地があるのじゃないか、こう思うわけですね。その点どうですか。
  62. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) テレビを利用した罪の中には、いまお話しのありました二十万円の罰金というのは、営業の宣伝をした場合で、他の候補者を誹謗した場合には五年以下の懲役ということで、かなり重い罪になっております。もちろんしかし、そう重くしたからといって一発勝負の選挙でこういうものを絶無を期することができるかどうかということになりますと、御懸念の点もあろうかと思います。選挙というものの性質上、その点は公営に限らず、いろいろな悪質な宣伝をされると、非常に候補者が迷惑を受ける場合がございますが、これを制度的に完全に事前にチェックをするということはなかなかむずかしい問題です。そういうケースが非常に出てまいりまして放置できないということになれば、かなり荒療治のようなやり方も出てまいるかもしれませんが、現在のところではこういう罰則でひとつやっていったらどうかというふうに考えたわけでございます。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に、いままでの話を聞いておりますと、結局どんな法律、選挙法をつくっても、そこには必ずいろいろな問題点がある、こういう感じがするわけです。そこで、結局今回の場合でも一方では罰則規定を重くし、一方では自由化なんという、そういうような何かこう矛盾した感じがしないでもないわけです。そこでやはりもっと抜本的に選挙制度というものを私は考えていく必要があるじゃないか。この場合には、いままでのあなたの話を聞いていると、こちらの質問に対して、それはこうだから、ああだからといって結局はだめなんだ。これはこうだ、ああだ、結局はじゃどうやったら国民が選挙というものを一つのお祭りのように楽しくやっていけるか、そういう方向に持っていけるかという抜本的なものを私はここでもって考えていく必要がある。それがまた最も大事なことだ、こう思うのですね。部分的な問題よりはそういう方向を私は一日も早く見出して、そして結論を出していくべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、最後に大臣にそういう点についての考え方についてお尋ねをして終わりたいと思います。
  64. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) ただいま上林さんのおっしゃる御意見でございますが、私、全く同感です。これ、なかなか選挙法改正をやりましても、はたしてわれわれの期待する公正な、明朗な、明るい選挙に適合するかどうか、つまり選挙法をつくってもなかなか抜け道もあるし、不備な点もあるし、これはお説のとおりであります。しかし、ご存じのとおり、幾たびか選挙法改正をいたしておりまして、できるだけその目的に近づけたいと思って努力いたしております。今度の改正案におきましても、完全でないことはお話しのとおりでございますが、一歩一歩その目的に近づきたい、それからもう一つは、どうしても選挙というものが、ひとり政府でいろいろ苦労をいたしておりますが、もちろん政府だけ苦労しているという意味ではございません。つまり政府でいろいろ考えておりますが、それはやはりできれば政党本位の選挙に持っていきたい。これはだんだん日本の政党も組織化されますし、近代化されてまいりますし、やはり選挙自体は政党本位という立場を貫くということのほうに近づけたい、こう考えております。  そこで、もう一つは、私はやはり選挙人の皆さんにも選挙の実態とそれから選挙の趣旨、いわゆる選挙はどういうものだということを、だんだん理解は深くなっておりますが、やはりこれも認識を深くしていただきたい。したがって、いまお話しのテレビ放送の場合でも、候補者によってはいろいろな罰則があっても一発勝負をやるんじゃないか、私はそういうおそれがないとは言えないし、こういうものも自然に、国民全体が選挙の重要性の認識を深くしていただいて、そういう人がおったら法律上の制裁だけではなくて世論が制裁するよう、選挙に対する認識とそれから理解というものを深くしていただくことも非常に大事なことだと思っております。  そこで、いまの御懸念についても、相当不備な点があることは私どもも認識いたしておりますので、やはりこれだけで選挙法が足れりと思っておりません。今後漸次それらにつきましていろいろの場合を想像いたしまして、それに適応するような法律の改正をして、先ほど申しました選挙が国民の大事な行事である、しかも明朗にして公正な選挙でなければならぬということのほうに漸次近づく努力をいたしたいと、こう思っております。     —————————————
  65. 中津井真

    委員長中津井真君) この際、委員の異動について報告をいたします。  本日、大谷藤之助君が委員を辞任され、その補欠として渡辺一太郎君が選任されました。     —————————————
  66. 中津井真

    委員長中津井真君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 中津井真

    委員長中津井真君) 速記を起こして。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣にお伺いしますが、この前、図書の頒布ですね、その問題で、街頭では、公安委員会と道交法の問題なんかでいろいろ関係が出るだろう、そういう点について、今度の法案が通れば国家公安委員会がやはりこの法案の趣旨を理解してこれに協力するというような態度が必要だろう、この点で話し合ってほしいと言ったんだが、これはいかがですか。
  69. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) この間御質問になりましたただいまの御指摘は、警察庁当局と相談いたしまして、警察の立場としても、この種の政治活動の特殊性にかんがみて支障なく行なわれるように配慮したい、こういうことでございます。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう答弁を得ているわけですね。  大臣にお伺いしますが、今度のこの法案は、選挙の制限をあくまで撤廃して、当然、憲法二十一条の表現の自由をこれは実現する方向にこの法律の改正をされたということですか。
  71. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) お答えいたします。  いわゆる第五次選挙制度審議会の答申に基づいて、自由化という方針に基づいてこれは立案した法案でございます。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、あくまで現行法よりは自由化の方向をとるというのが基本的な方針ですね。そういう中で、たとえばこういうのはどうですか。現行法では、これは衆参両院議員の選挙、知事選挙、市町村長選挙の場合には、政談演説会場でまくビラについてはいままで制限がなかったですね。ところが、今度の改正案で制限が変わるんじゃないですか。こういう点はどうですか。
  73. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 従来の政談演説会場で使うビラじゃなくて、今度は個々に頒布をしてもいい、こういうことになりましたので、それに候補者の名前が記載されておるということになりますと、政党に所属するものと、そうでない候補者との間にあまりに不均衡になるのじゃないかということで、その点については候補者の名前を書いてはいかぬと、こういうことにしたわけであります。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはやっぱり政党の選挙にこうだんだん移行している中で、それは政党に所属しない人の場合というのもありますが、いままでの政談演説会に対して一つの制限が加わるというのはどうも後退的に思われるのですが、この点はやっぱり検討の要があるのじゃないかと思います。  それから十三日の当委員会で、選挙部長は、ビラの頒布について、ドアをあけて中に入ってビラを渡せば戸別訪問になるという答弁をされたのですが、これはどうなんでしょう。これは戸別訪問ということにあまりとらわれて、今度はビラの頒布ということを相当自由に認める、そういうところが非常に制限されてくるという事態が起こるのじゃないですか。これはどうですか。
  75. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) ビラの頒布も党の運動手段として合法的に行なえる範囲でやらなければいけないということになるわけでありまして、戸別訪問というのは、今度の改正案ではまだ禁止を解除していないわけであります。この規定に触れるようなやり方でビラを頒布することはできないということになっておるわけです。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 この判定ですが、戸をあけてビラを配っていく、それを戸別訪問だというふうに見られると、戸別訪問の禁止規定が優先する、ビラの頒布というやつは街頭でもやりますけれども、戸別に頒布していくということが非常に重要なあれになるわけです。訪問とは違うのだな。だから、何かそこの戸別訪問で、ドアをあけて入って渡した場合には戸別訪問で、これはいいけないのだということになると非常に制限されてくるわけですね。戸別訪問についてはあとでやりますけれども、戸別訪問というようないま禁止されておる、そういうものにひっかからなければいいわけでしょう。どうなんです。
  77. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 戸別訪問にひっからなければいいわけです。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから戸をあけて入る、そうしてこれによろしくと、それなら——これはあとで戸別訪問をやりますけれども、だから、そこのところはさっきの機械的に戸をあけてビラを置いていったら戸別訪問だと理解されては困るから、ぼくの質問が逆効果にとられたらまずいからはっきり確認しておいてください。戸別訪問というようないまの禁止規定に触れるものでない限り戸別にビラを頒布するのは差しつかえないでしょう。ドアをあけてビラを置いていったって何も触れないのだ、この点ははっきりしておいていただきたい。
  79. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) この点についてはビラの頒布の違反にはならないわけでございます。戸別訪問の違反になる場合が多いわけでございます。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 戸別訪問というのは来週何をやるとか、それからもう金を出してやるとか、そういうことになるのでしょう。ビラを頒布といっても郵便受けなんかない家だってあるのだから、だから、そういうところに頒布ができないということになると逆になるのじゃないかと思うのだ。その点ですね。  それから戸別訪問という禁止規定にひっかからなければ差しつかえないわけですね。その点は原則として確認しておいていただけばいいですが。
  81. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 戸別訪問に該当しなければいいわけです。
  82. 横川正市

    横川正市君 ちょっと関連して。選挙制度審議会の答申の項に戸別訪問はこうなっておるのですよ。「戸別訪問は選挙民政見を訴えるためのもっとも有効な手段であり、戸別訪問自体に違法性はないこと、戸別訪問の禁止が現実の選挙を陰惨にしているもっとも大きな要因であること、」というふうに指摘して、そして戸別訪問、これは自由化しなさいという意思が答申として出されておるわけだ。意思はそこにあるわけですよ。ところが、いま岩間さんの言っているのは、現行法にいう戸別訪問はどうかということなんだ。ところが、法律というのは、その実態はそのときの情勢によって判断をする、そういうことが正しいので、実はいまの法律がおくれているということになるわけだ。おくれている法律に基づいてやられることが結果的にいいか悪いかという判断はどうかというのが、これが岩間さんの質問であり、私たちの趣旨なんだ。そうすると、いまビラを配布することはいいときまったわけでしょう。これは一歩前進したわけだよ。そうすると、旧法によってさえ戸別訪問の解釈が違ってきているのに、さらに一歩進んでビラを配布してもいい。その行為はといえば、ドアをあけて入ることなくてビラの配布ということはない。だからビラの配布ということに伴って行なわれる戸々の訪問は違法性はないと判断するのがぼくは今度の法律のいわば一つのワクを広げた解釈じゃないかと思うわけだ。現行法には厳然としてございます。しかし、配布というのはきまりました。それを現行法に基づいて配布するというのでは、配布したという意味がない。その点はもっと法改正したときの趣旨と、それから答申の趣旨を生かして、やはり実態を、変わっていく情勢を判断しながら解釈規定を出すのが私は正しいのじゃないかと思うのです。
  83. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 戸別訪問を禁止する趣旨はいろんな見方があるだろうと思います。少なくとも最初はそれに伴ってより大きな不正が行なわれる、そういうおそれがあるから禁止するというのが一つの立法理由かと思います。しかし、それだけではなくて、やはりお互いにあまりに過激な競争になってたいへんだ。選挙に金がかかることにもなるというようなこともあって、現在解除したほうがいいのじゃないかという意見がありながらなかなか解除できない。こういう現行法、それがある以上は、それをこういう機会に拡張解釈をして広げてよいという行き方は私はちょっと無理なんじゃないかというふうに考えます。ことに選挙運動期間中における政治活動の文書を戸別訪問の形式をとりながら配って歩いて、これは戸別訪問でありませんということはなかなかむずかしいのじゃないだろうか、こう思います。
  84. 横川正市

    横川正市君 戸別訪問禁止の前提というのは何かといえば、現存している金品とか物品等の実質犯が伴うことに戸別訪問禁止の前提があるわけでしょう。それは現存しているわけだから、それでビラを配布するということは可能になったんだから、ビラを禁止しているときとは違った解釈をすべきなんじゃないですか。金品はもう現に禁止されていることなんで、実質犯としてこれは当然いけないということになるのだろうけれども
  85. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) この点については見方にいろいろ違いがあるかもしれませんけれども、買収等については別個の条項によって処罰されるわけでありますから、買収だけ禁止して戸別訪問は禁止しなくていいじゃないか、こういう理屈もあろうかと思います。もちろんそれを助長する機会を与えるということも過去の立法過程にはあったと思いますが、ただ、最近、主として戸別訪問の存廃を議論される場合には、それが買収のチャンスになるということよりも、むしろそれによって過当競争が行なわれるということで消極的な意見が多いように私は存じております。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 戸別訪問についてはあとでやりますが、いま横川さんから話が出たように、答申案では戸別訪問を認める方向にいっているのです。それを制限しているところに矛盾が起こっているのだ。いま答弁されたことが一つの矛盾みたいになっているわけですよ。だからこれは訪問を認ればこんなことは少しも起こらない。戸別訪問ということだけはいろいろな理屈を設けてやっているでしょう。これだけ残している。そうしておいて、一方では自由化の一端である頒布をもっと制限を緩和すると言っているから、そこの矛盾なんですね。私はそう意味から考えまして、戸別訪問の問題は非常に重視して論議しなければならないと思うのです。どうして、あの自由化の方針に言っているように、大臣、戸別訪問の禁止規定を撤廃し、今度自由化しなかったのですか。
  87. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) これは審議会の答申にも出ておりますが、一応戸別訪問を自由化するという方針の論議をいたしまして、立案の中にも入れることはどうだという検討をいたしました。私は若干申したのですが、選挙法でございますから、各政党その他各人の意見も徴してやったほうが妥当だということで、大体戸別訪問は自由化の重要な柱であるから入れたがいいという相当な強い積極的な意見もございましたし、またこれに対する問題、選挙部長の申しましたとおり、消極的な意見も出てきておったのですが、一応いま各政党、あるいはいろんな方にいろんな考え方をいただいて、その結果としまして、この改正案では今回一応見送ろう、理由はいま選挙部長が言ったような理由でございます。そこで、せっかくの答申がございましたが、この時点においてはこの条項は一応省いて出そうということで、非常に論議の結果、改正案に入れなかったというのがざっくばらんな私どものありのままのお答えでございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここのところは非常に問題点で、今度の法案の中で非常に未解決になって、しかも非常に不十分、不明朗、いまのような解釈が生まれてくる一つの禍根を残している。そこでお聞きしますが、戸別訪問を禁止している理由というのは、さっきあげられましたように、買収供応の問題だとか、それから非常に運動が過当競争になるとか、そういうことをあげられたのですが、正確にどんな理由がありますか、そのほかにあなたたちは何々考えておりますか。
  89. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 従来言われてきました戸別訪問禁止の理由としては、いま言いました二点のほかに、これを受けるほうもたいへんだ、入れかわり立ちまわりいろんな方が来られてなかなかたいへんだ、こういうこともあったようです。大体おもな理由はその三点であったと思います。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、欠点のほうだけ、消極面だけを見ておられるわけですね。ところが積極面でたいへんな大きな基本的人権というものがこれで制限されておる現実は検討したのですか。
  91. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) これは先ほども申し上げましたけれども、たとえば終戦直後の政府提案の改正案では、戸別訪問の撤廃をとったらいいんじゃないかというような議論も非常に強かったわけでございます。むしろ政府側よりも実際に選挙をやっておられる方々立場から見て弊害があるという意見が大勢を占めて今日まできておると思う。私たちももちろん、いまは禁止をしておる立法の理由を言えということでございましたから申し上げましたが、もちろんこれは認めたほうがいいという理由もたくさんあると思います。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 たくさんあるという理由よりも、私は積極的に自由化の方向というのは非常に必要になってきたし、これは要求ですよ。それから憲法二十一条の表現の自由という点を選挙で貫くということになれば、そうしてことに議会制民主主義をとっているんですから、そういう立場からいえば、当然こういう何といいますか、あまりにも諸外国にも例がないようなこういう何を日本が残すというのはどういうことです。どこどこありますか、いま世界でこういうものを残しているのは。
  93. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 戸別訪問の禁止はあまりないだろうと思います。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 ないでしょう。日本のほかは韓国だけでしょう。日本と韓国なんてあまり名誉じゃない。こういうことはやめるべきですよ。時代はいつですか、これが制定されたのは。戸別訪問の禁止をきめられたのは。
  95. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 大正十四年の制定になっております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうです、これは、合いますか。旧帝国憲法時代ですよ。大正十四年の普通選挙でしょう。それ以来、一貫してこの戸別訪問というのは禁止されているんだね。世界の傾向でもない。はっきり新憲法によって変わったんだ。それから議会制民主主義をとっているんだ。それからいま言ったような理由は、これはたとえば供応、買収なんていうのは別の範疇でやれることですよ。そのために基本的人権を制限するというほうが、はるかに何十倍も私は損害を与えている。これは根拠ないですよ。根拠ない。こういう点で、私はもうはっきりこれはする必要があると思うんですが、どうもこの法案はそういう点では非常にやはり大正十四年以来の、旧帝国憲法時代のこれは尾っぽをつけている法案だといわれてもしかたがないですよ。  さらにお聞きしたいのですが、最近この戸別訪問の問題ですね、違憲判決が出たんでしょう。たとえばどういう例がございますか。
  97. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 戸別訪問の禁止が違憲であるという判決は、四十二年の三月二十七日、東京地裁で一つございます。四十三年の三月十二日、和歌山県の簡裁でございます。四十四年の三月二十七日、松江地裁判決、四十四年の四月十八日、長野地裁の判決、いずれもまだ第一審でございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは違憲判決で、それで無罪になっているんです。四つの判決があるんですが、そういう中で、これはどうですか。たとえば妙寺簡裁の四十三年三月十二日の判決文ですね。この趣旨はおわかりでしょう。それを述べてもらいましょう。
  99. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 判決の趣旨については私たちもよくは拝見しておりませんが、ただ政府としては片っ方では戸別訪問は合憲であるという最高裁の判決もしばしば出ております。まあその辺、さらにこの地裁の判決が上告されてどういう形になるかということを最終的に見ないと、政府の立場としてとやかく申し上げられません。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはそうでしょうが、とにかくいま言った大勢からいうと、そういうものを残しておくほうがはるかに時代おくれであり、それからこれは国民の要求に合致しないということになっているんです。そしてこのような判決が出ているんですから、まあ妙寺簡裁の判決なんていうのを見ますと、第一に、「憲法二十一条の保障する表現の自由は明白かつ現在の危険の存在する場合でなければこれを制限することができず、それは言論の内容を制限する場合のみならず、戸別訪問禁止のように言論の形式を制限する場合も同様である。マル2戸別訪問は数ある選挙運動の手段の中でもっとも基礎的で重要な選挙運動の手段である。」、こういう点は明確でしょう。これは諸外国の例はそうでしょう。これは選挙法を見ると、戸別訪問が最も基本的な、重要なこれは手段だということになっているわけです。日本だけですよ、そうなってないのは。第三には、「公選法百三十八条一項は明白かつ現在の危険の存在しない場合をも含めて一律にすべての戸別訪問を禁止していることが明らかであるから、憲法二十一条一項に違反し、無効である。」、こういう違憲判決が出ているわけですね。こういう事態についてはこれは検討されましたか。どうでしょう。
  101. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 先ほど申し上げましたように、まあ地裁の段階で、こういうことの違憲の判決が出ておりますことは承知しておるわけであります。一方、高裁でも、最高裁でも、昭和二十五年以来何回かの合憲の判決があるわけであります。昭和四十四年四月二十三日——先ほど申しました長野地裁の判決のあった数日後でございますけれども、その最高裁の大法廷では、合憲であるという判決をいたしておりますので、まあ政府としては現在この最高裁の判例に従っております。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 合憲判決といいましても、これはそういう規定が現存していて、そういうことからそれを保守する立場からやられているのは多いだろうと思う。しかし、同じ裁判の中で、すでにいまあなたがあげました四つのそういう違憲判決が出ているんです。しかも、この違憲判決については非常な圧力があるにもかかわらず、このような違憲判決を出しているというところに、これは背景に国民の要求があるんだ、選挙の本来の姿というものはどういうものであるか、それから議会制民主主議というものはどういうものであるか、こういう強い要求があるんだということを私たち考えなきゃならぬ。これは先ほども横川さんのほうから出されましたけれども選挙制度審議会の委員からも自由化の意見が出されて、それからかつての警察庁長官をしていた柏村選挙制度審議会委員からも、戸別訪問の自由についての意見書というのが提出された。これはかつて警察庁長官をやっていて、自分でこの煩にたえなくなったんだろうと思う。戸別訪問、何んだかんだで、やったとかやらないとか、そんなことよりは、ほんとうに基本的な人権の一つである、こういうものを許すべきだ、だからこういう点からいうと、非常に貴重な意見ということができるわけでしょう。だから、そういうようなものをずいぶんこれは参酌しなきゃならぬし、各党の世論もそうなっているんじゃないですか。どうです。私たちもそうだし、公明党さんもそうだ。それから社会党さんもそういう要求をされているんでしょう。ところが自民党さんはどうなんですか。自民党さんの場合は、これは赤澤特別委員が反対を唱えている。反対の理由というのは非常に弱いですね。また五月九日の自民党総務会で松野選挙調査会長がこう言っている。戸別訪問の自由化については、アンケートの結果は、自由化に賛成するもの百十九人、現行どおり禁止すべきだとするもの百十八人で、賛否五分五分だった。しかし、アンケートのとり方がどういうんだかわかりませんけれども、それでもこういうふうにたった一人の違いだ。このような状況のもとでは、戸別訪問の自由化はむずかしいと述べている。総務会はこれを了承した。そうすると、どうも自民党さんの要求がまかり通っているというように感ずるんだが、こういう点から考えますと、これははなはだ時代にふさわしくない、こういう点でどうも結局は繁雑だとか何とかいっていますけれども、これは基本的な権利ですよ。そうしてほんとうに政策を浸透させる、そうして政治に対する関心を深める、そこからほんとうの判断をして選ぶ態勢をとらないと、これはまずいのじゃないか。ところが実際はこれは買収、供応、利益誘導などと、そういうことを口実にして、実際は義理人情に訴えて、あるいはそういうコネとか、そういうところで選挙をされている、こんなことをやっていたのでは何年たっても私は選挙の公正というものは期せられない、こういうふうに思うのです。私のそういう非常に不十分な時間内での証拠をあげたのですけれども、こういう点からあげてみても、今日はもうほんとうに趨勢になっている、国民の世論の大勢はもうきまっているのですよ。こういうことですから、したがって、さっきのような図書頒布というようなことで一応自由化の方向を開いた。しかし、それも戸をあけて配ったら戸別訪問だという解釈をされるような危険性があるようでは話になりません。だから、戸別訪問の現状でそういう一つの何というか、尾っぽみたいなものがあるからしかたない、こういうことなのですけれども、やはりこの運営の面でも相当考える必要が出てくるのではないか、特に民主的運営が必要になる。  もう一つ、これと関連してお聞きしたいのは、沖繩の例ですが、沖繩はこっちと相談してやっているらしいのですが、過般の三大選挙の際、次のようなことが起こった。警察当局は、昨年、十一月四日付沖繩タイムスと琉球新報に、「警察の選挙違反取締りについて」と題する広告を載せ、その中で個別訪問禁止の取り締り方針を強調した上、特にビラ等、選挙運動用文書の各戸配布について、こういうことを述べている。「機械的労務者」、たとえばこれは日当目あてのアルバイトのようなもの、こういうものをさす。「が行うのであれば戸別訪問にならないが、日当ももらわず、特定候補を支持する人による場合には戸別訪問になるという趣旨の見解を示した。」、これはこっちでもこういう何をとっておりますか。こっちが指導したというようにこれはなっている。
  103. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 私のほうは関係ございません。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 関係ございませんか。こういう点についてはどういう見解をとっておりますか。たとえば日当もらって、この表現で言いますと、機械的労務者を頼んで配ってこいといってどんどん文書を配る。これはいわば戸別訪問にならない。ところが政党人なり、それを支持する人なり、運動員が、これがそれを配った場合には選挙違反になる。こういうとんでもない解釈を沖繩の選挙ではやられたわけです。この場合どうなんです、日本の場合どうなんです。どう解釈しますか。
  105. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) これは警察当局の問題になるかもしれませんが、私たちはそういう態様によって区別はないと、やはり客観的に戸別訪問の構成要件に該当しているかどうかということによってきまると思います。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本の場合、機械的労務者というような場合でも、それもだめだということなんですか。そうすると、もっと全面的に図書頒布というものはゆるめる必要がありますね。どういうことなんでしょう、その辺。
  107. 横川正市

    横川正市君 いまの問題に関連して、自治大臣から見解聞きたいのだけれども、これは制度審議会の委員の一人の中に、「戸別訪問を自由化すること。」というこういう意見があります。「戸別訪問の禁止規定は、大正十四年に規定されて以来今日に至っているが、禁止当時における社会生活事情、さらには一般市民の政治意識の状況からして、選挙の公正確保の見地から、これを規定した理由は首肯できないものではないが、わが国においてはすでに選挙制度施行以来七十余年、普通選挙制度施行後四十余年を経過し、この間各種選挙経験した今日、なおこれを存置しておくべき合理的理由に乏しいものである。  すなわち、現行選挙制度下においては、第三者が参加できる選挙運動は、わずかに電話による選挙運動、婦人会、講演会等の幕間を利用した幕間演説、道路上でたまたま行きあった人に投票依頼をする個々面接等であって、これらは市民の選挙参加への道をかたくとざし、候補者と一般市民の間に厚い壁を設けて、候補者選択の自由を阻害している。  これは選挙民不信の官僚的規制措置であって、選挙参加への市民の基本的権利を忘却するものである。」、こういうふうに規定しているのだが、今度のいわゆる形式的にビラを配布することが、法律で認められた形式的なものまで、やはり規定の戸別訪問禁止の概念でするのか、機械的なものについては、これは戸別訪問として配布することについては認められたというふうに解釈すべきかという、その点なんですよ。戸別訪問を全面的にやりなさいとか、どうこうと言っているわけじゃない。配布するという条項がちゃんと入ったのだから、機械的に配布することまで禁止すると、こういうことなのかどうかということなんです。はっきりしておかぬといかぬと思いますね。
  108. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) これは私もお聞きしておって、文書の配布が自由になったが、ただ、ここで、岩間さんの言われた沖繩の機械的労務者と特定関係者の区別ですが、私も多少おかしい点もあります、実際やっておって。ただ、いまの横川さんのお尋ねでございますが、私がここで、機械的労務者ならだよろしいとか悪いとかと言うことは、戸別訪問を自由にするかせぬかの議論だと私は思っておりますが、これはここでやることは尽きておりますからいたしませんが、機械的労務者が戸別に配布するということですが、これは配布することができるということになっておりました場合の、しからば機械的労務者ならば機械的労務者が戸別に配布するのはどうかということになるわけです。法の解釈をどうするか。これは私もいまお聞きしておりまして、現行法は戸別訪問は禁止であります。これは残っているわけです。いい、悪い、この議論は別ですが、残っている。文書の配布は自由だ。今度はもう一つ、同じその二つの根拠からしていくと、一方、配布の方法ということになるわけです。配布の方法、街頭なんかはこれは当然自由ですが、戸別に配布した場合、これはいまの沖繩では、特定の関係者が戸をあけて今日はという場合と、機械的労務者がただかってに配る場合、これは事実の問題ですが、それはいいのだ、悪いのだということは、私もちょっとここで軽率にお答えできないのですが、事務当局の一応意見を私はいま聞いてみたのですが、そこはまだ最後の検討に入っていないようですね、内輪のほんとうの話。これは大事な問題ですから、ここで簡単にお答えしてどうだということは、あとでたいへんな問題ですから、一応検討しますが、いま事務当局は、現行の戸別訪問の禁止の規定があるものだから、それに災いするとか、疑惑を持たれる場合があると、こういう心配だと思っております。しかし、いまお話しの、同じ配布するにも、私はそこまで気がつかなかったが、機械的労務者がただもう入れて歩くというのが戸別訪問かどうかということになってくるのです。これは岩間さんの話ですが、ここでその点はだいじょうぶとか、だいじょうぶでないということは、私どもがここで考えて申し上げるというより、法規に照らして、非常に、何といいますか、いろいろな御迷惑がある場合もあるし、簡単にいかないのはそこなんですが、御迷惑のあることだから、これはひとつそういう前提において、それを腹に置いてひとつ検討させていただきたいと思っております。これはそういうふうに岩間さんの言われたことを考えております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは検討してもらいましょう。
  110. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) そういたしましょう。そうしませんと、いまここで即断してかえって御迷惑になってもいけません、候補者に。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 機械的労務者は全然罪にならないで、むしろ運動員とか特定の関係者が配ればこれは罪になるというのはおかしい話です。本末転倒です。これは検討してもらいましょう。  それから最後に、簡単に政治資金規正法をお聞きしたいのですが、開き直るようでお聞き苦しいかもしれませんが、大体、政治資金規正法の問題が起こったのは、これは三年前の共和製糖事件とか、田中彰治事件など、佐藤自民党内閣自身のああいう汚職事件に端を発したのです。これはごうごうとした世論があって、この世論にこたえて国会の信をつなぐというかっこうで当然この政治資金規正法などが問題になったのですね。それから法案の問題が出ているわけですが、その前にこの改善をやっていかなくちゃならないのですが、そういう改善のあとというのはありますか、どうですか。その後どうですか。
  112. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 法案につきましては、御承知のように、五十五国会、五十八国会に提案をしたわけですが、いずれも廃案になったわけであります。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 あのときの答申は、会社、団体からのこれは政治献金を禁止して、政治資金の寄付は個人に限るという、そういう国民の要望を、そういうものをもとにして出された。むろん私ども十分だとは思っていません、あのときの答申は。はっきり言えばほんとうにこれはもう会社、団体からの政治献金を禁止しろ、それから政治資金の寄付は個人に限れ、これが国民の要望だと思うんです。これからも相当遠いんだ。ところがその答申さえ現在はほんとうに守られていないということは、これは先ほどからも論議されていますが、はっきりしていると思うんですね。この答申が無視されて政府の改正案というのは、会社が資本金に応じて事実上無制限に献金できる道を開く、会費名義の個人献金の公開を三年間引き延ばす、第三には政治家個人への献金まで認め、しかも寄付名義、会費名義の表裏の一切の政治献金は企業の損金勘定に算入して税法上の優遇措置まで与えている。こういうような項目が一番数字があるわけですが、こういうかっこうで出された政治資金規正法というものは国民の意思からはなはだ遠くなってきている。国民の意思は十分あの審議会の答申に私は反映されているとは思っていない。それをさらに骨抜きにして、大骨、小骨抜きだといわれるようなかっこうで、全然私たちから見るというと、不完全きわまりないこういう原案、その原案が何回も出されて、ゼスチュアで、それが通りそうになると与党の中から反対が起こって、そうしてこれはろくに審議もしないでいつも廃案になる。こういう姿というものはどうもこれは国民に対して申しわけないと思うんですが、私たちはそういう意味ではやっぱり政治献金の問題はほんとうに真剣に考えなくちゃならぬ。私たちは大体営利会社をはじめ、すべての団体からの政治献金を禁止しろ、それから寄付は個人に限る、年間四十万円を限度とする、それから第二には営利会社の交際費、会費その他の名目による事実上の政治献金を一切禁止する、このため法人税法、租税特別措置法の関係条項を改正し、政治資金は交際費、寄付金の名目による損金算入制を認めず課税する、こういうようなことまで厳重に入れないとほんとうは選挙の公正は期しがたいし、したがって、真に国民の世論を反映した国会の成立というのも危ぶまれると考えるんですが、はなはだ何といいますか、隔りある、はなはだ遠いんじゃないですか。雲煙万里の感じがするんですが、どうです。自治大臣のこれに対する見解と決意をお聞きして私の質問を終わります。
  114. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) いま岩間さんの御指摘の政治資金規正法の内容でございますが、当時の選挙制度審議会の答申を骨子として立案いたしました。御指摘のとおり答申そのままでないということはこれは事実でございます。当時からも政府はその意思を表明しておりましたが、まあ現行法よりも一歩前進、漸進的にひとつ答申の案と申しますか、答申いただいたその趣旨、また具体的な問題について近づけていく。事実において現在行なわれている現行法というものは、どうしてもこれはびほう的なものだという考え方で、現行法よりも少しでも進んだ道、前進したい、こういうことでああいう立案ができたと思うのでございます。決してあれが満足すべき案だという考え方は政府全体として持っておりませんが、漸進的にひとつ答申に近いものに運んでいきたいという感じでございます。  それから先ほどもお尋ねございましたが、前二回提案しまして廃案になっております。今回もやはり提案するという大体政府の方針は聞いておりますが、先ほどもいろいろ事情を申し上げましたか、ちょっとおくれているということはまことに私遺憾に存じております。しかし、政府といたしましては、やはりぜひこの国会に提案いたしまして御審議を願いたいという考え方は全然変わっておりません。重ねて時間その他にちょっとおくれていることは、いろいろな事情もございますが、先ほどもちょっとその一端を申し上げておりますが、しかし、ただその政府の考え方が、今国会に提案するという意思だけは全然退歩しておりません。ぜひ御審議を願いたい、こういう考え方を持っております。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後にこの法案に対するわが党の態度ですが、ある程度のこれは改善された点は認められますが、非常にまだ不完全でありまして、われわれはこれに対して賛意を表明することはできません。したがって私はこれは棄権をします。
  116. 中津井真

    委員長中津井真君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 中津井真

    委員長中津井真君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 中津井真

    委員長中津井真君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  公職選挙法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  119. 中津井真

    委員長中津井真君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  120. 高橋文五郎

    高橋文五郎君 私はただいま可決されました法律案に対し、自民、社会、公明、民社の各派共同による附帯決議案を提出したします。  趣旨説明を省略し、案文を朗読いたします。    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たって次の点に留意すべきである。  一、立会演説会の開催については、地域の実情に合うよう指導し、画一的なものとならないようにすること。  二、日本放送協会又は一般放送事業者の立会演説会の放送については、候補者の同意を得る等その意思を尊重し、計画を定めるよう指導すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  121. 中津井真

    委員長中津井真君) 高橋君提出の附帯決議案について採決を行ないます。  高橋君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  122. 中津井真

    委員長中津井真君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田自治大臣。
  123. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 政府といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重してまいる所存でございます。
  124. 中津井真

    委員長中津井真君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 中津井真

    委員長中津井真君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会