○国務大臣(野田武夫君) 公営
選挙の中の立ち会い演説というものは非常に重要な位置を持っておる。これはおそらく
横川さんもそういう
意味の御質問だと思います。私もそれは認めます。ただその傾向というものが、いま御指摘になりましたように地域、
場所、それからそのときの
選挙の情勢、いろいろの
意味において相当の違いがあるわけでございまして、たとえばいま
お話しになりましたが、
東京都の知事
選挙のように非常に激しい
選挙のときは、これはそのとおりであります。ところが一面、今度農村その他に参りますと、ことに昼間なんかやりましたときには、御
経験もあると思いますが、どうも最初やる人は、極端に言うと三人、五人で、あとの人が百人ぐらいになると、こういうことを、実は公平にいうと、順番なんというけれ
ども、私はこの間ちょっと言ったんですよ。公平にやるというなら、この順番から大へんだと。だから、これは非常に問題が起こるのです。しかし、これはくじ引いてやっておりますから文句言えませんけれ
ども、
選挙の公平からいえば、こういう点何かの対策
考えませんと、三人、五人で立ち会い演説をやって、あとの人は何百人と、私もずいぶんそういう
経験があります。これは何も個人じゃありませんから、お互い平等の不公平であるから文句は言えませんけれ
ども、実情はそうなんです。
だから、決して立ち会い演説というものが衰化しているとか、退化しているとかなんとか、その土地土地の、
選挙の時期にもよりますし、いろいろのことを総合的に勘案して、そこで今回は何と言っても、立ち会いに演説の意義というものは、各
候補者の
意見をできるだけ有権者に知らせたい、こういうのが目的でございます。そこでその一翼として、ここまで日本の
テレビが発達しいる以上は、
テレビをひとつ用いたい。この
意見は前からあった
意見でございます。なかなか、先ほど選
挙部長に御質問になったように、これはなかなかむずかしいものですから踏み切れなかったのですが、
一つは、踏み切れぬからといって、これを、この
テレビを活用しないというのは、
選挙の政策浸透のためには、ことに一面申しますと、これもざっくばらんな
お話ですが、相当金がかかるのじゃないかという
お話がございまして、これは部長が言ったのじゃありませんが、
テレビを出すとき、役所の部長あたりが、金がかかるという話もありますがと言うから、金のかかるということを
考えたらだめだ。公営でやる以上は、国が幾ら出してもいいよ、私は財政は知りませんけれ
ども。そんなことでもじもじしておって、
選挙の公営とか何とかという大きな顔はできないじゃないか、そんなことは心配しないで、
自治省としてひとつつくろうじゃないか、それで皆さんにまた御相談をしよう。これは御
承知のように、第五次の審議会の答申にも、
選挙自由化という問題がございまして、それにこたえた案でございますから、それにはぜひこの
テレビを使いたい。そうして動かないで茶の間で、家庭まで各
候補者の政策の浸透をはかりたい。こういうことで、今度思い切って
テレビを使うことになったのですが、これもなかなかやってみれば、さっきの御心配、御指摘のとおりで、しかし、現に私は、
NHKはもちろん、
民間放送も、
選挙自体の公共性にかんがみまして、私は相当考慮してくれる、配慮してくれる、こう信じておりますし、またすべきだと思います。これは法律上にはありませんけれ
ども、常識上そのくらいの
考えは各
テレビ局にしていただいていいのではないか。もちろんこれはお願いすることですから、かれこれ言えませんが、私の気持ちの中にはそういう気持があります。
そこで決して私は立ち会い演説を必要じゃないというのじゃありません。地域地域によっての事情もございますから、同時に
テレビ放送をやりますということは、画期的なことでございます。これは漸次、今後ひとつこれがりっぱに運営できるように、われわれの希望どおりにいくように、これこそ前進的に
考えたい。同時に御
承知のとおり、
選挙中は
候補者は街頭の演説もやります。また連呼もいい。これはもともと参議院、
衆議院みんなよかったのですが、漸次そういうことも
考える。同時に個人演説会は今度は無制限だと、こういうことまで踏み切ってまいりまして、いろいろの方策によって、いわゆるできるだけ自由に、できるだけ明朗にひとつ
選挙運動をやりたい。したがって、いま御指摘になりました
立ち会い演説会に対して軽く見るとか、重く見るとかということはございませんし、これは私は必要だと思います。そこでこれは
衆議院においても修正がありましたが、別にこれも何回というようなことはもう制限しない。したがって、これは実情に照らして、各地域の
選挙管理
委員会が判断されて、それがそういう場合には
候補者のほうとも多少の
連絡があると思いますが、話し合っていこうじゃないか。これはだれが得するか、損をするかということではなくて、これは公平にやりますから、そういう
方法でやりますから、いま
横川さんの御指摘のありました立ち会い演説というのが、だんだんだんだん退歩していって、必要性がなくなるということではなくて、必要は認めるが、実情に照らしてやる。同時にこれを補完的というよりも、両者相まって
テレビのほうも活用していく、こういう
考えでございますから、決して無視するといったような
考え方は持っておりません。