○田中一君 私が非常に疑問に思ったのは登記簿ですよ。不動産登記法では
土地家屋
調査士が
調査をして、その書類がそのまま公文書になる。公文書になって、家屋台帳なり
土地台帳なり、そのまま写されていくという
法律改正がなされて、現在行なわれておるわけなんです。これですら非常に国民の財産というものは危険になるのじゃないかという
心配を持った。なぜならば、本来ならば登記所の公務員が出張っていって、隣地との
関係がどうなっているか
——一番問題が起きるのは隣地の問題です。それから、
土地があまり動かない。おそらく一ぺんも売買がなかったという
土地になると、これはもうみんななわ伸びがあるのです。そのなわ伸びが行くえ不明になるのが往々あるのですね。そうすると隣にとられてしまう、
土地台帳と違うんだから。そういうような危険をだれかがしなければならぬじゃないか。本来ならば、登記所の役人が出張っていって、隣地の
関係は立ち会って測量すべきものだけれ
ども、それがされていないのです。このいまの
調査にしても、
不動産鑑定士が行なったところの
鑑定調査という報告書がはたして万全のものかどうかわからぬです。これに示されている、資料の収集から始まって、たいへんな項目の、作文だけは完璧になっておるけれ
ども、はたしてこれだけのものを
——事務的にも行なって結論を出したものだということでしょうが、しかし、これはやはり国が行なう事業なんだから、国が当然疑問があれば
——あるいはおそらく疑問ばかりだと思う。相手の
不動産鑑定士を
信用するかしないかだけの問題だと思う。こういう場合、一体どこでチェックして間違いないようにするかということになると、いまのような機構じゃ、とてもじゃない、できるものじゃないですよ。だから、いままで三十九年から今日まで
調査しているものがどういう形で行なわれてきているかということが知りたいのですね。もしもはっきりと
不動産鑑定士というものに対して一切を委任するという形ならば、これはこれで一つの行き方になるわけですよ、責任は向こうにあるのですから。そのかわり強い罰則なり、あるいは罰則でもいいし、あるいは報いるところがなくちゃならない。ただ、
不動産鑑定士が出す資料は参考にすぎない、こう
法律になっていますね、参考だと。そうすると、自主的にきめるのは
鑑定委員会なんです。その下請
作業をする
公示室なら
公示室の要員なんというものが、その程度の要員じゃ完璧を期すことはできないわけなんです。そうしてこれが
公示された暁には
土地収用という、あなた方にすれば伝家の宝刀ということを言っているわけです、
土地収用という、この行為にまで及んでいくのです。そうしてそれではその
地点の所有者は何ら
発言権も何にもない。ここに根本的な不安感があるわけですね。むろん
民間の一般
取引にはしいてこれを使う必要も何にもない。ただ公共事業の場合にはこれを
基準にしてやれということを言っているのです。これは
土地収用という問題に、この
法律の一番の重要な点が
土地収用、
公共用地の取得というところに眼目が置かれているということになると、危険きわまりないものなんです。たとえばここにあるように、まるで聞き込み
調査のようなことをしなければならないわけだな。現在の
取引の実例とか、賃貸借の事例とか、そうしたものを全部資料の収集という項目では集めなければならない。登記謄本から図面、あらゆる必要なものを、まあまず
土地があるのだという、二百三十坪の
土地があるということだけを調べる資料収集だけでもたいへんな仕事なんです。それが正しいか正しくないかということはわからない、チェックすることができないという力では、これは
信頼することができないのですよ。そこで、その点をもう少しはっきりすればいいんです。不動産登記法では、これは
土地家屋
調査士が調製した図面、
作業図、建物の確認図ですね、これはそのまま
土地台帳、家屋台帳に登録される一種の公文書なんです。そのかわり強い罰則と
法律的な制約を受けています。これでは参考にする資料だけを手に入れて、簡単に建設
大臣は推薦し、国会の承認を得た
委員にはたしてどういう人が選ばれるか、これは国会でもって不適格なものは国会が承認しなければできないのでありますけれ
ども、非常に不安感があるわけですね。だからいままで
調査しているのは、どういう資料に基づいて、だれがどこでどういう会議の上、事務的な手続の上それを決定したかということを、ひとつ事例でもって出してほしいのです。どうしても出してほしいのです。いいかげんなことでは困るのです。
それから
委員長、ここに出席されている
自治省と
大蔵省の人に、ちょっとせんだっての資料の問題について伺っておきたいのですが、いま
調査室長から聞くと、これは文書では出せないということを言っているのですが、どういうわけですか。