○田中一君 いい
政治はそうしなければならないといっているんですよね。だってもう三年たてばこれがゼロになる、借家権もなくなるのだというものを、だれが家賃払いますか。盗難等の予防にも苦心しなければならぬし。だから当然木造
住宅なんというものは、どんどん耐用年限来るころになったら、最後にはゼロになるまでの家賃で入れるような
政治をしなさいと言っているのです。どっちみち住むに耐えないで、あなた方のほうじゃ作為的に修繕の義務を怠っている。計画的に今度は建てかえしようとすれば、そうならざるを得ないのです、あと三年で年限がくるというような場合は。長い間私は、しばしば木造建築はだめだぞ、耐火建築やれやれとすすめてきたのです。ようやくこの辺で踏み切ってきたのでありますが、そのくらいの
政治をしなくちゃだめなんです、
住宅政策というものは。もう二、三年でもって自分の持つ権利がなくなってしまうんですよ。そこでいまこの
法律によって想定しているものは耐火建築だと思うのです。そうすると、この耐火建築の家賃の
算定の
基準からくるところの耐用年限というのが七十年ときめているのですが、一体いま中高層の四階建てあたりの
住宅が耐用年限七十年持つか持たないかという問題を技術的に検討しなきゃならぬです。なるほどコンクリートは石になってしまいますから、これは百年も二百年ももつかもしらぬが、はたして居住という
目的に耐えるかどうかの問題が残るわけなんです。そしてことに
住宅政策の面から言えば、二十五年くらいで建てかえるのが一番いいことなんです。かつて明治憲法時代でも不景気になると土木建築
事業を起こしたものです。日本の景気はことしも上昇するであろうということを経済企画庁もこれを指摘しておりますが、私はこの
住宅建築というものは、せめて二十五年ないし三十年あたりにはもう建てかえるという前提で建築をすることが必要であろうと思うのです。常に新しく常に近代的な、たとえば熱源の問題にしたっていろいろ技術開発が行なわれておる。それに適応するような、日本の大衆を愛する気持ちでもって
住宅政策を考えるということでなくちゃならぬと思うのです。それにはつくられるもののコストダウンです。二十年一日のごとく同じものをつくっているというのじゃなくて、もっとくふうが要ります。今度の
法律の改正というものの主眼の一つは、
土地が高いということをいっているのです。
土地を上げているのは
政府じゃありませんか。民間が上げているのじゃないのです。
政府が非常な高度成長というものを作為的にやってそうして
土地を上げている。需要を喚起して上げている。
住宅金融公庫にしたって公団にしたって、
土地がある者には金を貸している。やたらに木を切り谷を埋めて、そして開発という名において緑の野原を全部切りさいなんでいるのです。民間企業は相変わらず団地づくりをやっております。無責任な、その
部分だけの
住宅団地をつくっている。これからくるところの
公共投資というものはばく大なものです。だから
住宅というものは周期的に常に新しいものを供給するのだという考え方で、木造建築はこれからなくなっていくのですから、安くて、しいて言えばこのままの家賃でもって入れるというような考え方を持たなきゃならないと思うのですが、その点のひとつ姿勢の問題を伺うのと同時に、いまのように
施行令四条にあるいわゆる家賃の
算定基準というものに対しても、あなた方はこのままでいいかどうか。今度の
法律ではあれに触れておらないですね。あれを改正しようという意図がないですね。あれは
施行令にあったかな。
法律のはずだったかな、あれは政令できまるのかな、どういう形でそれを変えていこうとするか。いわゆる家賃のあの
基準というものは二十年一日のごとく同じものじゃ困るんですよ。たとえば都有地の場合には、
土地の
価格というものは原価主義という建設費主義でくればゼロでしょう。ゼロなのにもかかわらず、また国民に負担かけるような、同じ都有地でありながらたらい回しにしながら借地権というものを設定して、これだけ金がかかったから吸い上げろということをしているのです。これは悪政です。一番初めに伺っておるように、
公共用地、国有地等はどんどん公営
住宅に転用することなんです。金がある者は自由にするのです、どこの
土地でもね。公営
住宅は違うのです。先ほどはっきりと言っておるように安い家賃で入れるということが前提でありますから、いかに安く建てるかということの研究をしなければならないのですよ、努力をしなければならないのです。したがって、家賃
算定の
基準というものを全廃して、そうして全体的な統一したところの家賃法、公営
住宅家賃法的な統一したものをつくる考え方はないか。二十年前に
住宅に入った者は安い家賃で二十年間ぬくぬくとしてまいりましたというのは、これは比較の問題ですよ。まだ家を持たない人は、二十年待ってできた建物というものは何かというと、家賃が一万円近いものでなければ家がない。最低限度の家でも一万円もかかるということになれば、これは公平じゃないのです。百万戸以上になったのだから、この際、公営
住宅家賃法というような単法でも出して、こまかいファクターで出して、都有地を転用した場合であろうとも、高層化した場合であろうとも、
土地が高い安いの問題に関してどっちみち今度の
公営住宅法の改正では家賃の補助をしようということは出ているのですから、
地域格差というものも考慮しながら、
地域地域におけるところの生活水準等も考慮しながら、統一した家賃法をつくる意図がないか。これは重要な問題です。そうして足りないものは
政府が今度の改正にあるように家賃の補助をしなさい。なるべくたくさん補助をして、十五年前の方々、二十年後の方々も同じような負担というもので、安い負担というもので入れるということを考える時期がまいっております、百万戸できているのですから。そうして耐用年限を経過したものは、それこそきん然として建てかえに応ずると思うのです。その場合には逓減をする、家賃の逓減があって初めてきん然として賛成します。だれも木造の二十年前の戸山ハイツでもって生活をしようという考えを持っておるものじゃないですよ。みんなやはりせめてこれだけ成長したところの日本の経済生活というもの、それに適応したところの
住宅を持ちたい気持ちはあるのです。ただ強権で一方的に生活の実態も考えずに二百十二万円なんという数字を押しつけて、そうしておまえたちは立ちのくのだというところに、信頼されない
住宅政策があり、かつまたいたずらなゲバ棒が生まれてくるのですよ。いたずらな刺激です、これは。家賃法をつくろうという考え方、これを検討しようという考え方、いかに低廉な家賃でよい環境の
住宅を供給するかという、あらゆる低家賃にするためのファクターというものを集めてその方向にいくかということの考え方を、
建設大臣ひとつお示し願いたいと思う。