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春日正一君 この問題は、私具体的にそういうケースが起こり得るということで渋谷の問題でお聞きしたのですけれ
ども、この渋谷の問題ではもう
一つ大きな問題が含まれているのですけれ
ども、この
計画ができるそのバックにあるものは、渋谷再
開発促進協議会というものがあって、これにはNHKとが帝都高速度交通営団、京王帝都電鉄、小田急、東急、東急不動産、東急
建設、東急百貨店それから西武百貨店というような一流のいわゆる大企業がずっと顔を並べておる。約五十九団体が参加してこの渋谷の再
開発促進協議会というのをつくっておって、しかもこの会の役員を見ても理事長五島昇、これは東急社長、常任理事鵜沢七郎放送センター管理
局長、あるいは京王帝都の専務、西武の社長というような
人たちがこの理事になって、その
人たちがバックになって渋谷区域全体を再
開発しようというもっと大きな
計画を進めておる。そういうものの一環として、いま言われたあそこの
地域の三角地帯の再
開発の
計画が、こういう具体案になって出てきておるわけです。そこで問題になるのは、この約四十一億の
予算でこれができて、それに対する資金
計画というようなものができておりますけれ
ども、借用権、保証金として三十二億五千万、賃貸しの敷金、これが二億八千五百万というような、そういうものと、
あとは補助金、こういったようなもので一階から四階の半分を
権利床として地主や借地権者や
借家人に渡す、そうして
あとは
処分床として十九階建の事務所のビルとそれからこっちの
住宅を乗せたビルとの処分によってまかなうと、その
権利金、保証金としていま言ったような
予算を組んでおります。
ところで、ここで反対している
人たちの不安になっている点はどういうことかというと、一体、一階から四階までの二分の一入れといったって、自分の店がどこへ入れられるのだかわからぬ。だからあぶなくて困るというような心配が
一つあるし、かりに入ったところで、そこではたして営業をうまくやっていけるかどうか。この計算でいきますと、安いほうの案で見ても保証金が十坪について千九百八十二万円、高いほうの案でいくと二千五百二十七万円というような保証金と敷金を出さなければならぬ。それに店舗の造作、これが二百五十万かかる、そうすると、どうしても入るのに千九百八十万あるいは二千五百万というような膨大な経費がかかる。それに一カ月の維持費といいますかそういう経費として三十六万五千円、あるいは四十万、このくらいかかる。そのほかに借り入れ金の返済として一カ月三十三万三千円、このくらい返さなければならぬということになると、十坪の店舗でそれだけの金があげられるかどうかという不安があるわけですよ。だから根拠なしに何でもかんでも反対だじゃなくて、渋谷のあそこの現場ではいま実際裏へ回って見ますと
ほんとうに
木造の非常に古くなった
建物で、渋谷周辺にこんな
建物があるかと思うような状態になっておる。だからこれは住んでいる
人たちも何とか
改造しなければならないのだけれ
ども、この
計画では不安で乗っていけないということで反対しているんです。それを、こういう
計画を三十二名の
組合員でもうつくってしまってきめてしまってどんどんはじから施行していくという形で、絶対そういう不安とかそういうようなものに対しては配慮もしないというような形で進められている。そうしてその
人たちの心配しているのは、こういう形でかりに入るにしても、あるいは
処分床を売るにしても、そんな高いところを利用できるというものはよほどの資力のあるあるいは営業その他の面で力のあるものでなければ借りられないから、結局何年かの後には、このバックになっているような大きな会社にそっくり乗っ取られてしまうのじゃないか、というような不安を持っています。だから、この不安というのは、事ほどさようにこういう
計画がやられる場合には、よそにいろいろ例のないことだし、当然あるべき不安だ。そういうものに対して十分な説得もし、あるいは納得できるような
計画の修正をするというようなことをやらずに、がむしゃらに押してきてしまう。その最後には、さっき言った
開発促進協議会というような大
資本の団体があるということになると、この
都市再
開発という
事業が、私
ども前から心配して指摘してきているように、大
資本の食いものにされてしまう。いいところをみんなとられてしまう。中小の土地所有者の土地をまとめてそこに
権利床とかなんとかがあっても、上のほうの部分は大きな
資本がごっそりとって好きなようにしてしまうというようなことになりゃせぬかという不安が、はっきり出てくるのですね。だから、そういう
意味で、こういう問題についてももっとあなた方が実際に即して研究して、
住民の不安をなくするというようなことをする必要があるし、少なくともこの再
開発法というものは、そういうことに対するはっきりした保証がもっと明確に
規定されなければ、いまのような大ざっぱな
規定でやられれば、一度法がきまってしまえば、立案者の意図いかんにかかわらず、一人歩きするものですから、どうしても
そこら辺でもっと深くこれは練り直してみる、考え直してみるということが必要になってくるのではないかと思うのですが、この点どうですか。