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政府委員(
竹内藤男君)
先生おっしゃいましたように、区画整理法で宅地の立体化という
規定がございます、九十三条に。これはいままでに使ったことがございません。
先生おっしゃいますように、使ったことがございません。この使えなかったという理由の
一つは、宅地の立体化は、もともと
土地が細分化された
市街地で平面的な区画整理ではできないということで、宅地の立体化の
規定が入っております。区画整理の
考え方というのはこの再
開発法の
考え方と違いまして、従前の
権利関係はそのまま同一である。所有権で申しますと、所有権は変わらない。ただ、所有権の対象である
土地が変わるんだという
考え方でございますので、従前の
権利関係はすべて同一性を保ちながら換地の上に移行させるというたてまえを区画整理でとっているわけであります。したがいまして、区画整理の体系の中では、先ほど出ました借家権の処理というものが特別に
考えられていないわけでございます。
建物は移転するんだ、そのまま移転するんだから、当然借家権はそこに移るんだというような平面的な
考えであります。ところが立体化いたしますと、当然そこに借家権の処理ということが起こるわけであります。つまり、新しく
建物を建てるためにはどうしても従前の
建物を除去しなければならない。そのためには
建物の
権利を消滅させると借家権がなくなる、こういうようなことが起こるわけでございます。区画整理では従前の
権利関係は同一性を保ちながら、移行するというたてまえをとっておりますので、借家権の処理についての
規定が区画整理のほうにはないわけでございます。したがいまして、借家権の処理につきまして、
法律上手当てができないということが宅地の立体化ができない理由の
一つでございます。それからもう
一つは、結局
建物を建てまして、施行者が建てるわけでございます。そこに
土地のかわりに
建物に移らせるということをやるわけでございますが、その
建物を建てる費用を出す根拠、建つために、
土地につきましては保留地というものをとることができる。保留地によって区画整理を行なったり、いろいろな費用をまかなっていくということになるわけでありますが、保留床——
建物の床でございます——保留床ということについての
規定がございませんので、
建物を建てる財源措置についての
規定がないということで、
規定が現在そういう点が二つ難点がございまして、宅地の立体化というものが実際行なわれていないというのが現状であります。