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国務大臣(
愛知揆一君) 私は率直に申しまして、ENDCへの加盟問題、あるいは対米
交渉の沖繩問題、そういうものの取引でやるとか、それに引っかけていくとかいうような考え方は毛頭持っておりません。要するに、取引の具に供して、これをやればこれはどうだということは、私は
日本の外交としてそういうふうなやり方はとるべきでないとかねがね考えております。しかし、ENDCに参加したいということは
日本国のかねがねの希望でございます。それから、沖繩の返還問題をできるだけ早期に、国民的な願望にこたえるような処理をしたいということも、かねがねの
政府の考え方でございます。それはそれ、これはこれでございます。私は先ほど申しましたように、やはり核防条約については
日本国としての希望する事項がたくさんあったわけでございます。その中には
日本の
意見がいれられた部分もあるけれども、その他の部分はいれられなかった部分もある。それから、条約的には私もたんねんにいままでの
経過も調べましたけれども、現在の条約案というか条約といいますか、これについてはいわゆるクローズド・イッシューといいますか、これの修正をはかろうとしても、あるいは条約論的な留保をつけようとしても、これは
国際的にもうできない状態に私はなっておると思うんです。当面のところはこの現在の条約に対してどういう態度をとるか、要するに、
署名をするかしないか、形式的に言えばそれにもなっていると思うんです。しかし、政治的に見れば、やはり今後さらに引き続いてこの問題については私は
日本としてもうんと
努力を積み上げていくべきだ。これが、極端に言えば、
日本の平和外交の終局的な目標だ、私はそんなふうにも考えておりますから、そういう
努力がだんだん実が結んでいけるように
関係国を引っぱっていく、あるいはその
協力を求めるという意味においては、今回間近に西独や
インドの総理
大臣を
日本に迎えることができるということは、非常に私はいい機会ではないかと思っております。それから、私自身もアメリカの首脳部から核防条約をめぐる今後のいろいろのものの考え方について彼らの考え方を聞くということも、これはちょうどいい時期が来たように思います。それらの段階をろ過して、この条約に対する当面の態度というものをそろそろきめるべき時期に来たのではないかと、こういうふうな気持ちを持っていることをすなおに、率直に申し上げておるつもりでございます。