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国務大臣(
愛知揆一君) いま森委員から、
政府をおしかりおくという前提でいろいろ御意見を承りまして、たいへん私も同感なんです。実は私からも、これは場所柄もわきまえず、あまり率直なことを申し上げるとお受け取りになると恐縮なんですけれども、いま少し
国際情勢全般についての御論議を大いに野党の方々からも御展開をいただいて、われわれのやることにも大いに御鞭撻をいただきたい。何といっても多面的に、いまおことばがございましたように、常に冷静に気を配って、情勢を分析し、判断し、態度をきめていかなければならない。私はこれはもう持論なんでございます。もっとそういう面でひとつ多面的な御論議で、大いに御鞭撻あるいは御批判いただくことが、私どもとしても大歓迎するところでございます。
そういう前提で一、二申し上げますと、たとえば、いまソ連との
関係の話が出ましたが、これはもうわがほうの一番堅持している北方領土の問題というものが、実にこちらも執拗にねばっておりますが、それはそれとして、最近におきましては日ソ航空協定が結ばれて、来年の三月までの間に自主運航されてシベリアの上空が開放される。これは私は最近における日ソ間の外交としては、とにかく
一つの特色ではなかろうかと思います。
それからいまサバの問題がございましたが、これは安保
条約というようなものにひっかかっているよりは、むしろもう少しいろいろの点があろうと思います。小さなことからいえば、カニの
交渉がいま行き詰まっている。これはソ連
大使をまたわざわざ招きまして、これの促進を要請しておるわけでして、漁業委員会が近く開かれるし、まあそういう
関係のこと等も相関的に取り上げていかなければならない問題だと思います。
それから、中ソの紛争については至大な関心を持っていま見守っております。いろいろの見方がございましょうが、これなども今後われわれのいくべき道について、非常に大きな考えていかなければならない問題を含んでいるのではなかろうか。
それから拡散
防止条約のお話にも触れられましたけれども、私は公にも申しておりますように、まあ精神はけっこうだと思います。一歩か二歩前進するという意味ではけっこうだと思いますけれども、それだからといって、私は調印とか、批准とかということについては、
日本の立場としてもっと真剣に考えるべきところを考え、またひとつ国民世論にもお尋ねをして、とるべき態度を間違えないように、いわば積極的に拡散
防止条約についての取り扱いについては、
わが国の国益という点からいって、どういうふうに積極的な考え方をやったらいいかということを含めて対処しなければならないと考えております。
それから先ほど来、朝鮮のことについてお話がございましたが、わがほうとしては、平和憲法ということからいいますと、私は平和への戦いということばをよく使いますけれども、やはり国際紛争が起こらないようにしていくということが必要であります。憲法の制約というか、憲法の精神のもとにおいて、それをどうやってできるかということは、やはり
経済協力とか、そのほかの平和的な手段によるほかはない。しかも、それによって政情が安定するということを広い意味でねらっていくことをアメリカはどう考えるか。森委員のおことばによれば、どんな考えを押しつけてくるかということは、あろうかないかわかりませんが、それとは別に、
日本としての立場というものをできるだけ貫いていく必要があるのではなかろうか。したがいまして、これは国会の開会中でたいへんどうもそういう点からいえば御協力いただかなければならぬことでありますが、来月早々はバンコクで東南アジア閣僚会議がございますが、
各国からも、どうしても
日本は外務大臣が出てくれなければ困るという、これもある意味からいえばありがたいことであるし、ある意味からいえば非常に重荷だと思いますけれども、バンコクへ参って、参加国は
相当多いわけですから、これらの人たちの考え方や希望というものを聞くことも、また
日本の外交の必要なことじゃなかろうか。したがって、また、引き続き範囲は違いますけれども、六月にはASPACの総会がございますが、このASPACにつきましても、世間ではいろいろのことをいう、あるいは国によっては別な期待もあるかもしれませんけれども、ASPAC精神に基づいて
地域間の平和的な協力、これがかりそめにも軍事同盟的なものに、かりにもにおいが出てきたり――性格が変わらないようにASPAC精神を守り抜いていく、これもやはり非常に必要なことではないかと思うわけでございます。同時に、先ほどもちょっと申しましたが、これは定期にやることではございますけれども、特に本年は
東京で中南米
大使会議、十八カ国の
大使を招致をいたしまして、一週間くらいにわたって中南米方面から見ました
国際情勢の推移ということについても真剣に
検討しておるわけでございます。
どうか、そういうふうな、私としては多面的に、世界的に目を見開いてわがほうの立場というものを考えていきたい、こういうふうに考えておりますので、先ほど申しましたように、おしかりはおしかりとし、またいろいろの面で御批判や御激励を賜わればたいへんしあわせであると存じます。