○
政府委員(
齋藤鎮男君)
外務省の
予算案につきましては、かなり大部でございますので、お手元にお配りしてございます「
重点事項」について簡単に御説明いたします。
まず、全体の規模でございますが、一番上に書いてございますように、四十四
年度最終決定額が三百九十三億六千二百万円、これは本
年度の
予算額に比較いたしまして三十九億五千七百万円の増でございます。パーセンテージにいたしますと一一・二%でございます。昨年度と本
年度を比較してみますと一〇・八%でございましたので、それよりは来
年度は上回っているということが言えると思います。もとより、
外務省の
予算といたしましては、総額においてなお
希望額に達しませんのでございましたが、全体のかっこうがかなりよくなりましたので、その点まず御報告申し上げておきます。
具体的内容につきましては、それ以降に書いてございますが、大きく申し上げまして、一
ページにございますのが
経済・
技術協力でございます。これが大きい
重点の
一つでございます。
それから、その次に五
ページに参りまして、6の
広報活動の
充実強化、これがいわゆる対外、
対内広報と
文化関係でございますが、これがもう
一つの大きな
重点の柱と言ってよろしいかと思います。
それから最後に、六
ページにございます、7
在外における
領事活動云々以降がいわば
外交体制の
強化とでも申します項目でございまして、全体としてこの三つが
重点の柱と言ってよろしいかと存じます。
各項目について簡単に御説明申し上げます。
最初の
経済・
技術協力の点でございますが、ここに書いてございます1につきましては、百五十万というのが計上されておりますが、これは、
ベトナム戦争の終結に向かいましていろいろの会議が予想されます。あるいは
監視機構等が設立される
可能性がございますが、現在の段階では、いつごろ、どういう規模のものということが予測できませんので、とりあえず、そういったものを調査するということで、
調査費をそこに計上してございます。
2の
経済協力の
強化推進でございますが、これを二つに分けて考えております。第一は、(1)にございます
無償援助の
促進、第二は、その
ページの最後にございます
技術協力の
強化改善、この二つが
経済協力強化推進の重要な点でございます。
第一の
無償援助の
促進につきましては、そこに、(イ)
ベトナム及び
周辺諸国の
経済開発及び民生安定のための援助とございまして、備考に三つの
プロジェクトが掲げてございます。
一つは、南
ベトナムにおける
難民救済用アパートの建設、これが二億六千万円計上してございます。それから2が、
ラオス・タイ間の
通信施設の改善。御承知のように、これを成功させますと、
通信網がここだけが欠けておりますために全般が通じなかったのでございますが、これで非常に改善されるわけでございます。第三は
ビエンチャン飛行場の
改良計画。これは
ラオスの
飛行場でございますが、非常に貧弱なもので、かつてこれを改善しようという希望が非常に
ラオス政府に強かったのでございますが、今般それに
協力してあげられることになったわけでございます。問題が今日まで延びましたのは、御承知のように、
ラオスという国が非常に財政的に窮乏しておりまして、かりにいわゆる
経済協力援助という形でお金を貸しましても返済の見込みがございませんので、どうしても金をやるという形にせざるを得ないわけでございます。そこで
無償援助ということになりました。それが二億五千万円でございます。
それから(ロ)
経済開発計画実施設計援助の
拡充、これは昨
年度も計上されましたが、ことしも同額の一億計上されてございます。これは
後進国、
発展途上国で
プロジェクトを行ないたいけれども
設計をする金がない。そういう場合に
設計をわが国でしてあげることによって、それ以後の
日本のその
プロジェクトに対する
経済協力が容易になるし、また、
発展途上国においてはそれによって将来の発展の基礎が築かれるということで、非常に喜ばれる
計画でございますが、今回はノンカイ、
ビエンチャンの橋の建設のための
実施設計をこれによって行なうということでございます。なお、ほかの
プロジェクトももちろんございます。
それから(2)の
技術協力の
強化改善でございますが、これは毎年
外務省のいわゆる
経済協力予算の最も重要な部分でございますが、ことしにつきましては、金額としては本
年度ほどの伸びがございませんが、つきました
内容が、たとえばそこにございます
研修員の
受け入れ、あるいは
専門家の派遣というものがかなり大幅に認められましたが、
発展途上国が最も希望している人の行き来による
技術協力の
促進という面がかなり進むと思われます。
それから、そのうちの(ロ)農業及び
医療協力並びに
日本青年海外協力隊の
強化拡充でございますが、農業及び
医療協力につきましては、本
年度の
予算にだいぶんついておりますので、来
年度につきましては、ただいま申し上げましたように、むしろ
専門家あるいは向こうからの
研修員の
派遣受け入れというものに
重点を置きましたので、数字が伸びなかったのは、この点の数字が伸びてないということでございます。しかし、これは
必要量は確保してございます。
(ハ)
技術協力業務遂行態勢の
強化と申しますのは、
技術協力をもっぱら担当しております
海外技術協力事業団の
交付金を増したことでございまして、これは実はきわめて事務的な経費のようでございますが、
技術協力事業というものが大幅に伸びました反面、この
協力事業団の人が増さないために、仕事はふえても仕事をする人がいないという状況で、現実に
事業が円滑に推進されない傾向にありましたので、今般はこの辺に
重点を置いて
協力事業団の
拡充に努力したわけでございます。
(3)は省略申し上げます。
それから三
ページにございます(4)
経済協力計画作成及び
効果測定のための
現地調査の
強化。これはいわゆる
追跡調査でございまして、
経済協力はしてやってもその効果がはたしてあがっているのかどうかということで、最近国民の間で非常に危惧の念を持っておられる方もございますので、それを追跡して調査しようという金でございます。額は少ないのでございますが、意義は非常に大きいというように考えております。
(5)その他
経済協力費と申しますのは、
技術訓練センター、その他そういう
センターに対する
委託費等でございます。これも省略いたします。
それから3
経済外交の推進。これは主として
経済協力局関係の仕事でございますが、低
開発国との
貿易促進及び
東西貿易の拡大ということを中心にして要求してございます。これも
経済、いわゆる
貿易関係の
予算は従来かなりついておりますので、ことしはたいした発展はございません。
4国連諸
活動に対する
協力の
強化でございますが、これは
分担金、
拠出金の
関係でございますが、詳しいことは省略申し上げます。
(2)
万国博国連館建設でございますが、これは本
年度来
予算がついておりまして、いよいよ建設に入るわけでございます。
設計もできまして、先般起工式も行ないました。
予算はこれで十分ではございませんけれども、一応
ていさいのつく
国連館ができるということでございます。同じ額を民間が
協力しておりますので、官民半分ずつ出すということでございます。
5
万国博準備態勢の
強化。(1)
招請元首等外国首脳に対する
接遇態勢の整備ということで、これは万博に
ナショナル・デーというものができまして、自分の国のこの
ナショナル・デーには元首が
日本を訪問されることがかなり多いわけでございますが、その際のいろいろ
旅費等を要求したのでございまして、そういうものは来
年度からはつけようということで、これは主として車でございます。
次の
ページの6
広報活動の
充実強化というところで、(1)重要外交問題に関する
視聴覚広報活動の推進。これは国際問題の啓発のためにテレビジョン、
ラジオ等のネットワークをもっと利用しようということでございます。
その次は
講演会、パンフレットの作成でございます。
(3)
在外公館の行なう
広報文化活動事業の
拡充でございますが、そのうちで特に御指摘申し上げたいことは、その右のまん中ぐらいに書いてございますが、
広報文化センターが各地にできておりますが、これがパリ、それからマレーシアのクアラルンプールに増設されるわけでございます。
その
ページの備考の下のほうの6
国際文化振興会というところに、(イ)
歌舞伎米国公演というのがございますが、これは五千五百万円でございます。これはもちろんギャラを取って
現地でも金の調達をいたしますが、政府もこれを援助するということでございます。
次の
ページに参りまして、(4)、(5)、これは
先生方にも非常に御援助をいただいているところでございますが、
日本研究講座及び
日本語普及事業の
拡充、それから
外国人留学生受け入れ体制の改善、こういう二つの問題でございますが、特に(5)のほうにつきましては、現在そのための組織として
国際学友会というものがございますが、それを
強化しようということでございます。
7
在外における
領事活動及び
移住事業の
充実——外交体制の
強化ということの
一つでございますが、
一つは
在外邦人子弟教育の
拡充強化、いわゆる
外国に
日本式の全日制の学校をつくるということでございまして、このたびジャカルタ、サンパウロ、リマ、シドニー、合計四カ所できるわけでございます。すでに十七校ができておりますので、この四校を加えまして二十一校が
外国に
日本の小学校ないしは中学校としてできるということになるわけでございます。
(2)
在外邦人保護活動の
拡充強化。これはたとえば
外国で行き倒れになった人を救済するいわゆる
領事関係の経費でございます。ちょっと御関心になることは、韓国に
日本人妻というのがございます。ああいう
人たちのこともこういう経費で考えたいということでございます。
(3)は
既移住者の
定着安定促進のための
営農基盤強化及び
移住地の
環境整備でございます。
移住事業の
重点として、新しい
移住者を出すことも大事でございますが、
現地に参っております
移住者の環境を整備してやるということの経費、
外務省としては本
年度来そういうところに
重点を移してございます。
次に、最後の
ページでございますが、
外交体制の中で一番基本になります
外務省員ないしは
外交官、あるいは
在外公館へつとめております
現地補助員の
待遇改善その他でございます。
(2)に
在外公館現地補助員の増強というものがございます。それから
旅券査証事務迅速化のための
機械化推進。これは、旅券の発行がかなりおくれますのは、これを処理する人員が足りないため、もっぱらそういう事務的な理由でおくれるのでございますので、人間は、現在定員をふやせないという制約がございますので、それではそれにかわる
機械化をしようということで、非常に大規模な
機械化をする決心をいたしました。そのための費用でございます。五カ年
計画くらいでやる必要がございますが、今般その第一着手ができるということになりました。
それから
在外公館施設の
国有化促進。これは御承知の
在外の大公使館、
領事館事務所及び公邸を
日本の
国有財産としてつくる、ないしは買っていくということでございます。
9
在外給与制度の
抜本的改善でございますが、あとで
法律案のところで申し上げますけれども、いわゆる
在勤俸の
改正を来
年度やるわけでございます。
その他いろいろの経費がございますが、「その他」の中で特に申し上げておきたいのは、下に
在外公館新設としてザンビアの
大使館、
アンカレッジの
領事館二つできまして、これらを合計いたしまして、先ほど申し上げましたように、三百九十三億六千二百万円ということでございます。
以上、非常にはしょりましたが、
予算の大綱でございます。
続きまして今
国会に御審議いただきます
外務省関係の
法律、
予算案の中で、
法律案について御説明させていただきます。
法律案は二件でございます。両方とも
予算関係の
法律でございます。第一は
外務省設置法の一部を
改正する
法律案。
内容は三つございまして、最初は、
外務省に
儀典長一人を新設する。第二は、
在外公館の名称及び位置を定める
法律を廃止して、
外務省設置法の別表とする。三は、在
南イエメン、在
モーリシァス各
大使館及び在
アンカレッジ領事館を新設する。きわめて事務的なものでございます。
第一の
儀典長につきましては、すでに御承知のとおりに、現在事実上
儀典長はございますけれども、
儀典長というものは
外交制度の中ではきわめて重要な地位を占めるもので、特に
万博等を控えて
外国の賓客が多い場合に、事実上
外務大臣の代理としていろいろのことを処理するだけの
儀典長にはなっておりません。そこで、今般
法律職としてその地位の確定した
儀典長を置くということでございまして、
在外公館長の
経験者、大使の
経験者を持っていきたいということで、いろいろの困難はございましたが、今般認められたものでございます。
それから第二は、これは
先生方の御要望も含まれております、いわゆる
法律及び法令の
簡略化というものに
協力をするものでございまして、従来、
在外公館の名称及び位置は特別の
法律できめられておりましたが、これは特別の
法律をつくる必要は特にございません。生成の経過でそうなりましたので、今般この際整理をして、この
外務省設置法の別表としてそれを含ましてしまおうということでございます。
それから、第三、
南イエメンと
モーリシァスが独立いたしましたので、これはもちろん本館を置くつもりはございません、兼館としてこの
法律の中に入れるということでございます。
アンカレッジにつきましては、ことしの
予算に組まれましたし、
アンカレッジがきわめて重要な
役割りを演ずるようになりましたので、ここに
領事館の実館を新設したいということでございます。
それから第二の
法律案は、ただいま
予算で説明申し上げました
在勤俸関係でございます。これについて特に申し上げて御理解を得ていただきたいと思いますことは、従来
在勤俸は
一つにひっくるめて幾らということできめられておりますけれども、最近の傾向といたしまして、
住宅が非常に高くなりまして、
在勤俸のひどいところは、半分程度のものが
住宅費に取られる。一方、非常に
住宅の安いところは安い
住宅費を払えば済むものでありますから、
在勤俸のかなりの部分が、
住宅費の高いところに比較して、まあ、俗なことばで言えば、得をするということでございます。しかし、そういうところでも、一定の規格の
住宅に入って
外交活動が容易なような体制をとるべきであるということで、今般
制度の
改正をいたしまして、いわゆる
基本手当と別に
住宅手当というものを分けました。
外国の
制度はほとんどこうなっております。
日本の
制度がその点おくれておりましたので、今般そういうふうにいたした次第でございます。なお、物価の値上がりその他の事情によりまして、今般九%の
上昇率で増加しております。
以上、二つの
法律案を御説明申し上げました。
このほかに、今般十九件の
条約案がございますが、これは
条約局から御説明いたします。