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国務大臣(
木内四郎君) お説の問題は、私ども非常に心を痛めている問題なんですが、
科学技術基本法は、すでに数回前の国会に提出いたしました。ところが、遺憾ながら、この前の臨時国会においてこれが廃案になりました。そこで、いま衆議院のほうにおきまして、おそらくこちらのほうにも御相談があると思うのですが、それをどういうように取り扱うべきかということを超党派的にいろいろ相談願っておるわけなんです。そこで、しからば私どもは何にもやらないで、それを待っているのかというと、そうではありません。私どものほうは、すでに基本法案というものを
一つ案を持っているわけなんです。そこで、そういう
関係もありまして、私どものほうでは、その法案を衆議院で超党派的に御相談になる、それに対し積極的に御協力を申し上げるという基本的な態度をとってこの問題を進めておりまして、そうしてこの法案が国の
科学技術の振興の基本になるような、そういうものが一日もすみやかに制定される、こういうことを心から期待しておるような次第でございます。
そこで、そうなりますと、しからばその際にどういうことを織り込まなければならないかというと、たとえば、
科学技術のいろいろな問題がありますけれども、政策の目的といたしましては、
科学技術は常に国民経済の発展及び国民福祉の向上の要請にこたえ、あわせて国際社会の発展に寄与することができるよう、その水準の向上をはからなければならない。こんなようなことが、これから先の法律では、いずれにしてもそういうことが目的の
一つとして掲げられますから、これはすでにこの前の
法律案にもそういう趣旨が盛られておりますし、私どものほうにおいて今日研究しているところにも、そういうことが盛られているわけであります。
それからさらに、この対象といたしましては、まあここが非常に問題になってくるところなんですが、この前に廃案になったのはどういうところに
理由があるかというと、自然科学だけでなくて人文科学もこれに入れなければならないのじゃないか、これが
一つの大きな争点になっているのですけれども、しかし、国会において計画を立て、その
開発の計画を立てていくというようなことは、やはり自然科学のほうに最もふさわしい。人文科学において計画を立てなんというと、とかく研究者が、たとえば大学などでやる場合、自由を束縛する、研究の自由を束縛するというような問題が出てまいりますので、それよりも、主として自然科学の
技術を中心にしてやったほうがいいんじゃないか、こういうことが私どもの考え方であったのですが、そこが争点にもなっておりますので、今後そういう点は、しからばどういうように取り扱うか、こういうようなことが大きな問題となってくると思うのです。この問題につきましては、われわれは、いま申しましたように対象外に置いておるのですが、大学の研究につきましても国の計画の一環として、そしてそれに対して自主的な参加を求めるというようなふうにしたらいいのじゃないか。これはまあ私どもの考えであります。それはあくまでも、いまの超党派的に今後御相談になる
一つの資料なのですけれども、それが私どもの思っているようなふうにまとまれば、これは非常にけっこうだと思いますが、これは御相談願いたいと思っております。その研究
開発の基本的方向といたしましては、
政府としても
目標を設定いたしまして、
推進すべき研究の促進に関する長期的の計画及び重要な
分野における研究の育成に関する長期的計画を中心といたしまして、
科学技術振興のために総合的かつ計画的に講ずべき
政府の施策全般にわたってその大綱を定めていかなければならないのではないか、こんなふうに考えておるわけであります。
そこで、将来国として特に
推進すべき重点
分野といたしましては、
科学技術が社会経済の要請にこたえるとともに、常にこれにこたえられるようにその水準を向上させることが重要である点にかんがみまして、あるいは国民福祉の向上、社会経済基盤の強化、あるいは産業の発展、大規模研究
開発の
推進、これはたとえば原子力の平和利用とか
宇宙開発、
海洋開発、こんなふうな問題が当然入ってくると思いますが、そのほかにも、基盤的な
科学技術の育成、まあこの五点をおもに中心といたしまして、その観点に立ちまして、国として特に
推進しなくちゃならぬようなこの重点
分野について現在細目にわたりまして検討いたしておるわけでございます。
なお、この際特に申し上げておきたいのは、最近は、
科学技術情報の流通という問題が非常に大きな問題になってきておりまするので、そういう機構あるいは
技術の研究、そういう問題についても特に考えていかなくちゃならない、かように考えております。
それから、私どもの考えておりますのは、この計画遂行にあたりましては、大学、
民間の協力を得なければならぬ。大学につきましては自主的参加を期待したい。また
民間については、研究委託あるいは共同研究等によりまして、
政府の計画を遂行するにあたりまして、その協力を特に強くひとつ求めてまいりたい、かようにまあ考えております。