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国務大臣(
床次徳二君) 非常に広範なお尋ねでありまして、
部分的に順次お答え申し上げていきたいと思いまするが、現在の
沖繩の姿から言いまして、将来どういう
期待を持てるかという点につきましては、今日までいろいろ
検討されまた一般的にいわれておりますことは、
沖繩自体が、地理的に申しまして一番日本の南の端と申しまするか、
本土から申しますると南の端でありまするが、地理的に申しますると、
東南アジアの非常に
中継基地としての
地理的条件を持っておる。この点が大いに
期待できるのではないか。
なお、その
気候風土が
亜熱帯地域——熱帯に非常に近いところもあります。その
意味においての
特殊性が
農業方面その他においても持ち得るのではないか。
なお、将来
開発いたしましたならば、港の
条件、これも地理的に申しましても非常に便利ではないかという点。また
労働力も非常に豊富であります。
なお、
沖繩の島がサンゴ礁でできておりますので、まだまだ
開発——土地造成ですか、埋め立ての
可能性が非常に多い。
なお、いわゆる
観光資源といたしましても、単に戦跡だという
意味でなしに、いわゆる
熱帯の
気候風土という
もの等から非常に
期待を持てるのじゃないか。
まあ、大きな点から申しますると、ただいま申し上げましたようなところへ将来の
産業開発の基点を求むべきではないかと
考えているわけであります。ただ、現状におきましては、なかなか今日におきましては
基地経済というものが
中心になっております。
労働力その他におきましても、
基地経済中心で動いておりますために、
糖業その他におきましてももちろんでありますが、その他のものにおきましても、どっちかと言うと、
労働力においては不足を感じ、むしろ
労働供給力並びに
労働の質から申しましても十分ではないと思うのであります。なお、
基盤の
改良ということも十分ではないのであります。そういう
意味におきましてずいぶん改善すべき点が多いわけであります。たとえば第一次
産業の点から申しますると、現在主としてサトウキビ、
パイン、この二つに依存いたしておるわけであります。
糖業につきましては、
本土の
甘味資源特別措置法によりますカバーがありますので維持をしております。
パイン産業にいたしましても、いわゆる
自由化に対しまして特別な処置をいたしましたので、それでもって
処理され
保護されて今日までの
発展を見ておるのでありますが、しかし、その
業態自体を見てみますると、実は非常におくれておる。むしろ根本的に申しますると、
沖繩におけるところの
農耕地というものの改善というものが行なわれずに今日来ておる。非常に小
規模のもの、しかも土壌の
改良等が行なわれていない。言いかえまするならば、基本的な
土地改良からやっていかなければ、ほんとうの
農業というものといたしましては不十分ではないか。なお、
用水等におきまして、不十分な点があるわけであります。基本的にやはり第一次
産業の
基盤というものを
改良していくということが必要であろうと思います。
技術面におきましても、やはり最近は漸次
専門技術者等を
技術援助の形によって入れておりますが、十分ではない。特に
農業資本そのものにおいても少ないという点が言えると思うのであります。しかし、当座のつなぎといたしましては、砂糖も
パインも、ただいま申し上げましたように、一種の
保護のもとにありますためにつながってはいきますが、いつまでもこれに依存しているということは私
どもはよくないと思っております。
第二の問題といたしまして、自然の
土地を利用するという
土地条件でありますが、すなわち
亜熱帯農業というものの発揮ができるのではないか。この点に関しまして、本
年度の
予算等におきましては
熱帯農業研究所の支所を
沖繩に設けまして、そして今後の
発展のために
努力をいたしたいと思うのであります。なお、そのためには、青年の
技術訓練等もいたしてこれに対処していきたいと思うのであります。
また
水産業は、地の利から申しまして、沿岸はあまりふさわしくはありませんが、
東南アジア海域、その他
遠洋漁業としては非常にいいわけでありますから、現在も出漁いたしておりまするが、何ぶんにも漁船並びに漁港というものが不十分である。こういう
意味におきましても、漸次拡充していく必要があります。
なお、
農業の一環といたしまして、
畜産業は非常によろしいのではないか。いままでのところ、
畜産業、特に昔から豚はありまするが、牛、肉牛の飼育が
本土の
需要状況から見ましても非常によろしいのではないかというふうに
考えまして、今日積極的にその
助成振興の歩を進めておるわけであります。
第二次
産業といたしましては、
目下めどのつきましたものは、
石油の原油の
貯油施設でありますが、これに関連いたしましたものが将来は
発展できるのではないか。並びに、先ほど申し上げましたその
地理的条件から見まして、特殊な
産業が導入できるのではないか。具体的に何を選ぶのかということにつきましては、非常に研究しなければならぬことでありますが、いまの
石油、並びに、すぐ近くにありまするところの
尖閣列島地帯の
海底資源の
開発——
石油でありますが——そういうことが将来には
期待できるし、なお、現在やはり同様に資源として見込みのありますのは、天然ガス等について
考えられております。
なお、一般
産業といたしましては、
産業の形態そのものが、現在は一種の
保護関税
地域によって育成されておるという形であります。したがって、地元の
産業全般について、将来
復帰の際におきましては切りかえをしなければならぬということ。それから中小企業その他の
組織についてはまだまだ不十分でありますので、この点につきましても今後
努力をしなければならないと思います。
第三次
産業等につきましても、いわゆる加工貿易
地域その他といたしまして、相当の将来のチャンスはあるのではないかという
意味におきまして、今日研究をいたしておる次第でございまして、先般行なわれました
本土と
沖繩の
経済団体の会合等におきましても、数項目にわたりまして、とりあえず将来着手すべきことの提案を受けておりますが、大体私がただいま申し上げましたような
考え方に一致しておると思っております。