○加瀬完君 この騒音対策
委員会というものが後日つくられましても、そのときには
飛行場が決定し、当然騒音の発生源である
飛行機が飛ぶという
状態になるわけですね。
しかも法律は、先ほど御
説明のように、延ばしたところで横六百メートル、縦二千メートルという以外にはなかなか延ばせない。それは羽田にも、あるいは
伊丹にも
影響するわけですから、できるであろう成田
空港だけを対象に、騒音区域というものを、法律のワクを広げるわけにはいかない。補償されておるのは法律できめられたワクだ。それは音の高さからいえば百ホン。厚生省は昼間は五十ホン、夜間は四十ホン、そこらを基準に騒音の対策を立てると、こういうもくろみで進められておるわけですね。そうすると、
飛行場に限って、あるいはこれは五十ホンなんていうところを押えたら、もう千葉、茨城の太平洋岸
寄りは、ほとんどそういう
地域になってしまう。一応七十ホンというところを押えたところでね、これは相当の区域になるわけです。私
ども千葉県では、この間、この
委員会でもたびたび話題になりました東西線が船橋までまいりました。と、その途中に市川の第七中学校というのがあります。これは窓をあけておくと七十ホン、窓を締めて五十ホン、それでも授業ができないというので、市当局は営団に来てもらって、何とかもっと音を低める対策を立ててくれなきゃ困る、補償してくれなきゃ困るという問題が起きているわけですが、七十ホン程度に押えて区域を求めましても、公団から資料をお出しをいただいたと
おりで、相当の広
範囲ですよ。
しかも
局長の御
説明のように、これは医学界でも騒音がいろいろな面で身体的に
影響しているということは、もうこれは明らかな事実になっておるのですね。そのときに一体、騒音対策
委員会などというものがおくればせにできて、それでこの問題の騒音が防げるという
状態ではないですよ。
しかも、まことにナンセンスなことは、公団が、騒音対策の具体的なものを出していただきたいと言いましたらね、防音林をつくるということです。防音林というのは、エンジン調整や何かをする場合に、あるいは離着陸のまだ地面に着いてる
飛行機の滑走音だけはある程度防げるかもしれませんがね。百メートル、二百メートルと上がってしまった
飛行機を防音林で防ぐような方法というのは立たないわけですよ。また防音林の、私は計算をいたしました。何を植えるんだと言ったら椎の木みたいな潤葉樹を植えるということになりました。そうすると、これが二十メートルになるまで六十年かかるのです。杉なんか一番生育しやすいものを植えても、やはり三十年なり三十五年なり、十五メートルから二十メートル生長するにはかかるのです。この
飛行場は十年くらい
しかいまのところ使えないということになっている。
飛行場がなくなっちゃってから木が大きくなって、音を防ぐということでは間に合わない、全く騒音には手がないというのが実情ですね。これは公団におきましても、常識で
考えたってそうでしょう。大体
飛行機の音というのは
飛行音が大きいのです。エンジンの調整の音が大きい場合は、これは地下へもぐらせるとか、いま言ったように障壁で囲むとかということをすれば防げる、問題は
飛行音です。音も高いし、
範囲も広い。この防ぎようというのは、
飛行機そのものが音を発しなくなる以外にないわけです。賛成反対とかということではなくて、私は反対でありますから、反対のために議論をするように受け取られがちですけれ
ども、この賛成反対を抜きにしても、騒音対策というものをもっと綿密に立ててもらわなければ、どこに行ったって
飛行場というものは、これは反対がつきまとうことになります。
いま伺いましても、たとえば、お答えがございませんが、海岸線千二百メートルというならば、千二百メートルの
おりるときの音は一体どのくらいか、上がるときの音は。そこから超音速にだんだんなっていくわけですから、もっと大きい。三百メートルがどう、五百メートルがどうと言ったって、的確なものはお待ちになっていらっしゃらないじゃありませんか、できましたからがまんしてくれじゃ困りますよ。騒音対策がもし立たないとすれば、立たないようなところに
飛行場をつくっていいかどうかという問題が当然起こってくる。その問題にはきょうは触れません。
しかし、もう少し騒音の
調査なり、騒音の対策なりというものは、これは国として綿密に
考えなければ私はならない問題だと思うのです。横が六百メートルの縦が二千メートルなんて論外ですよ。大体百ホンといったら、三、四メートル先で
自動車のものすごい警笛を鳴らされるくらいの音です。こんな音のところで人間が住める理由はないわけですから。そうではなくて、通常生活をするのに、非常に支障を来たすという音の高さは一体どれくらいに押えるのだ、それを一体七十ホンとかりに押えたとしても、七十ホンじゃとても日常の仕事をする上においては――特に学習阻害なんていうものは大きいですから、どうにもなりませんが、学校は一応防音装置をするにしても、日常の平生の生活をするのには、せいぜい高くても六十ホンです。六十ホンで押えられるかどうかということになりますと、押える方法はいまのところないでしょう。そういう点を十分に
調査がしてあるかどうかということです。
まあ総裁がいて悪いけれ
ども、成田
空港の発表があった直後、騒音については心配ありませんという発表を公団はしている。心配ないということは言えないでしょう。心配があるから、羽田で拡張案というものに反対が起こっている。
伊丹はどこかに移れというのは、騒音のためでしょう。ここの
委員会は日にちがくれば法案が通るかもしれないけれ
ども、この騒音の問題というのは、もっと綿密に研究して対策を立てなければ、
飛行場の反対というのは、これは
委員会にかかわりなく、いつまでも尾を引きますよ。私はそういう点で、非常に
政府の騒音に対する
調査なり、対策というものはずさんだと思います。したがって、この
委員会でも、これは私の番になればあとで言いますけれ
ども、もう少しいまのようなお答えではなく、綿密なお答えをひとつ御用意いただきたいと思います。それだけ申し上げておきます。どうせ答えにならないから、やらなくたっていいですよ。