○
説明員(
磯崎叡君) いまの
先生の御
質問の一昨日のほうから先に御答弁申し上げます。
一昨日の
渋谷の
事故につきましては、昨日研究所におきまして
折損いたしました
レールを詳細に検討いたしました結果、
理由はきわめてはっきりいたしました。
昭和三十七年ごろに、千葉に私のほうの
材修場というものがございますが、主として
レールを削ったりするところでございますが、そこでつくりました
レールに穴があいております。その穴を埋めてあって、その埋めてあったものが
さびていて実は気がつかなかったということで、実はそういうものを
先端軌条と申しておりますが、
先端軌条の
加工したものについては一切使用してはならない、取りかえるということを
昭和三十八年の十二月に決定いたしまして、実は
全国にわたって取りかえを完了いたしたのでございましたが、不幸にして
渋谷にございましたものが、その
昭和三十八年の十二月のときにどういう
理由か発見できませんで、取りかえてなかったということが
原因でございます。即刻昨日から
全国にわたって――この
先端軌条は約十三万本ございますが、その十三万木につきまして、最
優先に
先端軌条につきまして
規定以上の
加工がしてないかどうか、あるいは
焼き入れ等がしてないかどうか目下現品に当たりまして具体的にチェックさせております。大体いままでの例で申しますと、
先端軌条は、大体年間に十三万本のうち一万本につき一本程度の
事前の棄損の発見をいたしております。皆無とは申しません。大体一万分の一ぐらいの傷がずっとございまして、それは幸い
事故に至りませんで全部
事前に
検査で発見し、取りかえております。ちょうど車の当たる部分がやはりいたみまして、
定期検査のときに取りかえた例が大体そのくらいでございます。
一般の
レールはもう少しいたみが早うございますが、
先端軌条はそういうことでございまして、現時点におきましては、
渋谷で使っておりましたような
レールはまずないはずだということになっております。しかし、これははずでございますので、必ずしも絶対ないとは申せませんので、いま全部昨日からさっそく全
先端軌条につきまして、まず
本線筋の
先端軌条につきましてこれは全部洗いまして、鉄のはけで洗いませんと
さびが落ちませんので、
さびを全部落としまして、そうしてもう一ぺん検討するということを昨日から着手いたしました。これは
相当数が多いので、全体を終えるのに二、三週間はかかると思いますが、これは即刻始めたわけであります。この点は非常に
原因が明白でございまして、今後は、最近入れております
先端軌条については
規定以上の
加工は一切しないということにいたしておりますので、新しいこういう事態が発生するということはない、
検査を厳重にやりさえすればないということを確信をもって申し上げられると思います。
初めの
競合脱線でございますが、これは
先生も御
承知のとおり、過般も副
総裁から申し上げましたけれ
ども、いろいろな
要素が重なり合っての
事故でございます。もちろん
日本だけではございませんが、私
どもといたしましては、御
承知のとおり、
昭和三十九年の
鶴見事故のときがこれが
競合脱線でございまして、あのとき私副
総裁をやっておりましたが、その結果に基づきまして、
部内に
競合脱線を
専門に
調査する
委員会をつくり、それに部外のこの方面の
相当大家にも入っていただきまして、いろいろと検討し、さらに机の上だけではだめだということで、北海道に実際
線路をいためて
列車を走らせる
実験線をつくりまして、そこでもっていろいろ
実験をいたしまして今日に至っておるようなわけでございますが、必ずしもまだ
原因が一〇〇%究明されておるとは申せません。しかしながら、諸
外国の例等も
考えまして、結局やはり根本的には二軸――軸が二つしかない
貨車自体に問題があるということで、まあ
一つの
原因である
線路も問題でございますが、まず一番根本的に抜本的に
考えるとするならば、二軸の
貨車というものを、ことに二軸の有蓋車と申しますか、重心が高くなっておりますので、二軸の有蓋車をこれからつくるべきかつくるべきでないかという根本問題をまず議論しなければいけないということで、方向といたしましては、極力
貨物輸送をコンテナ化いたしまして、そして二軸有蓋
貨車を減らしていくという根本的な
対策を
考えてまいりたいと思います。しかしこれは十何万両もございますので即刻かえるわけにはまいりませんが、
方針といたしましては極力これからは二軸
貨車をつくらないという方向で行きたい。と申しますことは、アメリカの鉄道ではほとんど
競合脱線はございません、ヨーロッパではわりに多いということは、やはり二軸車が非常に大きな
原因であるということが計数的に言えるということ、これが第一点でございます。したがいまして、まず二軸車を減らすということ、これは金がかかっても時間をかけてひとつやろうじゃないかという根本問題が
一つございます。
しかし、そういう時間のかかることではとても間に合いませんので、さしあたり
先生の御
質問の――現在、タイヤの踏面と申しまして、
資料の一番しまいに簡単な略図がついておりますが、これも非常に実は
部内の技術者の間でいろいろ議論がございまして、踏面をこういうふうに削ることがいいか悪いかということ等につきましてもずいぶん議論した結果、結局、狩勝峠の
実験の結果によりまして、N踏面という基本踏面をもう少し削りまして角度を強くしたほうが
脱線しにくいという点だけは結論が出ておりますので、これはさしあたり、とりあえずやろうということで、実は少し前からやっておりますが、着手したわけでございます。
レールにつきましても、
競合脱線の起こりましたところは下り
勾配で大体カーブの多いところということになっておりますので、そこにつきましては
脱線防止のガード
レールあるいはガードをつけるという方向でこれも実施に取りかかったわけでございます。
で、私
どものほうといたしましては、
先生の御
質問の
競合脱線の根本論が解決しない限り何もしないということではこれはいけませんので、私は昨日も、多少手戻りになってもしかたがない、理論上前進になるものは
一つずつやっていこうじゃないかということで、なかなかその理論的に
解明できない限りむだだとかなんとかという議論もございますけれ
ども、それを言っても間に合わないと、したがって各部局部局で自分の正しいと思ったことをやってみろと、やるだけやってみろと、その総合性についてはわれわれが判断するけれ
ども、たとえば車両を担当する部局は車両について、
線路の部局は
線路について、あるいは積み荷の部局は積み荷について、おのおのの部局においてやろうじゃないか、やってみて、そうして少しでも一歩でもその不明瞭な部分を消していくという方法以外に私はないのじゃないか、全体が
解明されない限り手をつけないということではとても間に合いませんので、いいと思ったことを
一つずつやるという、多少拙速になるかもしれませんが、そういう方向で
競合脱線のブランクを少しずつ埋めてまいりたいというふうに方向としては
考えております。
なお、詳細につきまして、もし御
質問がございますれば、担当の技術者がまいっておりますので御答弁申し上げます。