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1969-06-19 第61回国会 参議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十九日(木曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 森中 守義君     委 員                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 加瀬  完君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    国務大臣        運 輸 大 臣  原田  憲君    政府委員        警察庁交通局長  久保 卓也君        通商産業政務次        官        植木 光教君        運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    竹岡 勝美君        通商産業省重工        業局次長     山下 英明君        運輸省自動車局        整備部車両課長  景山  久君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (第五十八回国会内閣提出、第六十一回国会衆  議院送付)     —————————————
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  道路運送車両法の一部を改正する法律案議題といたします。まず政府から提案理由説明を聴取いたします。原田運輸大臣
  3. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  わが国の経済の発展に伴い、社会生活における自動車役割りはますます重要なものとなり、自動車保有台数は最近においてもなお増加の一途をたどっておりますが、これに対処し、自動車登録及び検査の業務における行政サービスを向上させ、かつ、自動車保安を確保することにつきましては、政府におきましても鋭意努力を続けているところであります。このような目的からこのたび道路運送車両法の一部を改正いたしまして、自動車登録及び検査事務処理電子計算機を利用することにより、その能率化をはかることとするほか、民間車検をより一そう活用するため指定自動車整備事業者制度を拡充する等により、自動車検査に関する制度合理化を期することといたしたのであります。  次に改正の概要につきまして御説明いたします。  改正の第一点は、電子情報処理組織を利用して自動車登録ファイル自動車登録をし、また自動車検査に関する事項をもあわせて記録することとしたことであります。これに伴い、現行の自動車登録原簿制度を廃止するとともに、自動車登録原簿の謄本にかえて登録事項等証明書を交付する制度を設ける等所要改正を行なうほか、継続検査等は、自動車使用の本拠の位置にかかわらず、使用者の希望する地において受けることができるものとしたことであります。  改正の第二点は、登録を受けている自動車は、構造の変更を伴うもの等の特別な場合を除き、すべて指定自動車整備事業者検査を受けられることとし、さらにこのいわゆる民間車検を受けた自動車は、自動車検査証有効期間を更新するまでの間に限り、所定の手続を経て臨時に運行できることとして自動車使用者の利便をはかる一方、民間車検増加を期待したものであります。  改正の第三点は、自動車回送を業とする者について、回送運行の許可の制度を設けること、その他所要改正を行なうこととしたことであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。     —————————————
  4. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  道路運送車両法の一部を改正する法律案審査のため参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 道路運送車両法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 木村美智男

    木村美智男君 いま道路運送車両法の一部を改正する法律案についての大臣提案理由説明があったわけですが、きょうはまず内容に入る前に、一昨日、実は欠陥車問題に関連して参考人意見を伺ったわけですが、多少どうも参考人の述べられた証言と実際が食い違っているということがあるので、この問題について関係運輸、通産あるいは警察庁のほうから少し伺いたいと思うのです。  それはどういう点かというと、おととい国内車輸出車関係について差別されているんじゃないかということを実は聞いたわけですが、家本参考人は全く差別がありませんというふうに言い切ったわけです。これは河野先生の質問にも関連をしているのですが、述べられた参考人自体が事実を知らないならば、これはやむを得ないとしても、もし知っているとすれば、これは偽証にもなりかねない。だから、そこら辺ちょっと私としては問題が重要だと思うので、監督官庁である運輸省に聞きたいわけです。この前面ガラスですね、これは国内車輸出車によって差別をしていないというけれども、実際には国内車には強化ガラスを使い、そして輸出車には安全ガラスを使っておる。これが少なくとも私の調べた範囲ではそういう結論が出ている。輸出車といっても、どうも東南アジアなり韓国あたりへ輸出しているのは国内車と同じように強化ガラスを使っているようです。しかしアメリカは、それはアメリカ連邦安全基準によって合わせガラスでなければもう絶対ハイウエーを走ってはならぬというようなきびしい規制があるために、アメリカに輸出している少なくとも輸出車については安全ガラスになっているということだけはどうも事実のようなんですが、これは一体監督官庁としての運輸省はその辺をどういうふうにつかんでおるのか、それをひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。
  9. 原田憲

    国務大臣原田憲君) たいへん具体的な専門的な問題でございますので、説明員から答弁いたさせます。
  10. 景山久

    説明員景山久君) 前面ガラスの件につきましては、在来保安基準におきまして安全ガラスを使うこと——この安全ガラスと申しますのは、幅が広いいわゆる一般的な安全ガラスでございまして、ただいま先生お話し合わせガラスとそれから強化ガラス、この二つを含んでいるわけでございます。先般六月十二日付でこの保安基準の実は一部改正をいたしたわけでございますが、前面ガラス視野確保——衝突いたしました場合にひびが入る、こういったことの場合に、前面視野が急に確保できなくなると申しますのは危険でございますので、数年来こういった問題につきまして対策を検討してまいったところでございますが、ようやく、いわゆる強化ガラスとしても、部分強化ガラスと申しまして運転者前面に当たります部分にはひび割れができましてもこまかいひび割れが入らない、視野が確保できる、そういう割れ方をいたします部分強化ガラスと申しますものができるようになりました。で、早速これを保安基準に取り入れ改正をいたしたのでございます。  なお、先生お話に、アメリカでは合わせガラスでなければいけない、外国へ出す車は合わせであって、国内強化あるいは部分強化でもよいのか、こういうようなお話かと存じますが、実はアメリカではそういうこともございますけれども、ヨーロッパの各国、それからアメリカ、あるいはその他、要するに国際連合機関の中で自動車構造に関します作業部会がございます。ここで昨年来いろいろ検討しているわけでございますけれども、必ずしも合わせ一本でなければならないかどうか、あるいは部分強化でもよいのではないか、この辺がまだディスカッションをされておる段階でございまして、いまのところ世界的にはこの二本立てということでございますが、なお前面ガラス安全性と申しますか、視野確保につきましては、十分に技術研究をして、技術開発に伴って対策を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 いまのお答えによると、どうも二つ問題点があるわけです。一つは、運輸省のほうのものの考え方がちょっと理解できない。なぜかというと、私は安全ガラスという以上は、強化ガラスは必ずしも今日の時点では安全ガラスに入っていない。アメリカ連邦保安基準の解釈もそうなのです。強化ガラス安全ガラスとは言っていない。安全ガラスとはいわゆる合わせガラスを言っている。ところが、運輸省考え方は、強化ガラス安全ガラスに含めから、今度せっかく保安基準改正をして出した通達の中には部分強化ガラスでもよいということにしてある。これはやはり問題なのです、私が言のは。  それならもう少し具体的に専門的に入りますけれども、大体東名高速道路時速百キロでしょう。時速百キロというのは、一秒間に二十七・七メートルの風が吹いている、静止状態において二十七・七メートルの風が吹いているのと同じことです。かりに十メートルの向かい風を受けて百キロで走るとするならば三十七メートルの風圧を受けることになるわけでしょう。そういう事態の中で、たとえば新聞によると、多少大げさな表現にもなっているけれどもハイウエーのミステリーといわれる現象が起こっているわけですよ。これは一瞬にしてとにかく雪がぱっとかかったみたいにガラスまっ白になっちゃうか、場合によっては前の車が石を飛ばしたというようなことで前面ガラスに当たった場合に粉みじんに飛び散っちゃっているわけです。これがしかも昭和三十七年以来この事故がだんだんふえてきているじゃないですか。これは警察庁に聞きたいのだけれども、三十七年にゼロ、三十八年は十五件、三十九年四十二件、四十年五十七件、四十一年は百五件、四十二年百二十件、昨年はさらに急増して二百十件ですま、四十三年は。ことしすでに五十七件出ている。これは警視庁の、しかも交通機動隊高速道路分駐所のこれは統計だから、全国的に見たらこの数はおそらく数倍ないしあるいは二けたの倍ぐらい出てくるかもわからぬですよ。それだけの問題が出てくるのだから、私はそれは運輸省が考えているように強化ガラスというものを安全ガラスという理解の上に基づいて、合わせガラスないし強化ガラス部分強化をすればよろしいという今度の通達というものは、これはちっとも安全にはならない、こう考える。対策については別途私は意見を持っているから述べますけれども、その見解をもう一回聞きたい。
  12. 景山久

    説明員景山久君) 私の御説明が少し足りなかったかと存じますが、今回、道路運送車両法省令そのもの改正いたしておりまして、強制力は持たせておるわけでございます。それから、在来の規定がただ安全ガラスということで強化ガラスが入っていないというようなことはよろしくないというお話でございますが、今回の改正におきまして、そういったところは、損傷した場合においても運転席の直前の視野を確保できるものであるということに直しましたものでございまして、その点につきましては、私どもとして考え方を改めたい、こういうふうに考えております。  それから、ガラスそのもの安全性につきましては、私ども研究所のほうでも研究を重ねまして、その答申を得まして、この改正をいたしたということでございます。
  13. 木村美智男

    木村美智男君 その研究をして通達を出したというけれども、それでは研究をしたになっていないと言っている。大臣、あなたにこれ見てもらいたいと思うけれども、これはちょっと小さいからあるいはわからぬかもしらぬけれども、要するにいま偏光サングラスというものがあるのだけれども、そのサングラスに使う材料を使った偏光板をもって見ると、前面ガラスの面にこれはものすごいしわが寄っている。これちょっと持っていって大臣に見せてやって——これは実はしわというか、ひびというか、これが要するにものすごい風圧に対して、実は割れたりあるいはまっ白になったりという現象が起こってくる。ここで大体アメリカから輸入しているその前面ガラスをその偏光板を使ってとって見ても、その筋が出ないわけです。だから私は、それについてもう少しあなた方のほうで強化ガラスというものが安全ガラスだという考え方を捨て去らない限り、ほんとう対策は生まれないのだと言っているのです。でかい前面ガラスはどうしようもないから——これはプラスチックと同じことであって、プラスチックを見るとよくわかるのだけれども、肉眼で見たら透き通ってちょっと平らでりっぱになっておりますよ。しかし、これ偏光サングラスにかけて見ますと、ものすごい模様が出てくる。その模様というのは何かということになれば、それはあるいは大臣のほうから見えるかどうかわからぬけれども、これはもう——向こうへ行って見せてくるか……ちゃんとこういうことは研究をしなければならぬ。これをかけると、ものすごくきれいな模様が出る。これがひずみなんですよ、大臣。だから、研究方法は幾らもあるわけだ。それを運輸省——いまお見せしたようなことで、プラスチックたまたま代用に使ったけれども部分的な強化ガラス安全ガラスを持ってきてやっても同じことだ。この自動車ひび割れみたいにこうなって出ているのは、きのう会館の前で国産車について偏光板を使って写真をとったのですよ。だからもう明らかにこれは何というか、高速百キロアワーでもって、時速百キロで走っていくものについては、強化ガラスを使ってはあぶないのだということを示しているのである。だから車種によっては、これは速度をこれ以上出しちゃいかぬとか、スバルの360は東名高速を走ってはならぬとか、そういう技術的な指導をすべきなんです。それをやらないでこの通達に出しているようなことを形式的にやってみたって、これがほんとうの安全を守ることにはならない。目先がまっ白になって何も見えなくなっちゃうのだから。これは一たびすぐあとを、五メートルかそこらの間隔で百キロで飛ばしてきてごらんなさい、二重、三重の衝突になります。これは七、八年前アメリカに行ったときも、実はロサンゼルスの郊外のハイウェーで起こった事故というやつは、これが一つだった。もう一つタイヤのパンクだけれども、これはタイヤの問題は触れぬけれども、とにかく三重、四重の衡突が起こるわけです。だから今度の前面ガラスの問題は、欠陥車の問題として私は非常に大きな問題だ。  そこで大臣、「偏光サングラスにご用心」というのが十一日の朝日新聞に出た。ところが、これだけを見ると偏光サングラスが悪いように出ているが、そうじゃないんですよ。偏光サングラスをかけると、前のガラスひび割れのようなのが出るから、したがって百キロ出して走るときは、偏光サングラスをかけるなという意味で言うのは、それなりの理屈はある。しかしそれは消極的なんです。そうじゃなくて、偏光サングラスをかけて、なおかつしわが出ないような合わせガラスにしなければいかぬということなんだよ、そこを間違えちゃいかぬ。だから、車の窓にこのしま模様が出ている、したがって合わせガラスを使っていない車について、この偏光サングラスをかけて乗ることは、それは危険であるという一面も、これはわかります。しかしほんとうのところはそうじゃない。偏光サングラスをかけてなおかつそういったような状態のあらわれない合わせガラスに変えていかないと、実は高速道路を走ることはきわめて危険だということに実はなってきているわけなんです。あなたの言うようにこの合わせガラスの場合には、たとえばピストルたまがポンと当たったとします、このまん中に。そうしたらここだけが少なくとも抜けていくわけです、合わせガラスの場合。ところが強化ガラスの場合はどうなるかといったら、パンといったら全体がひび割れになって、まっ白になるか、飛び散るか、どっちかになるんですよ。それはピストルたまを例にとっているのだけれども、前の車が、高速道路に不幸にして石ころがあって、ポンとはねたやつがうしろ前面ガラスにポンときたときには、同じ現象が起こってくるのですよ。そうだとすれば、具体的な対策としては、やはり私は百キロ以上で高速道路を走る場合は、それはもう合わせガラスにすべきだ、それでなければこれは警察庁とよく相談をして、高速道路といえども速度制限を行なって、そうしてそういう事態が起きないようにしてもらわなければならない。  去年もう二百十件も起きて、ことしはもう五十七件すでに起きているのだから、だからそういうのんきなことを言っておられちゃ困るし、大体この通達は来年の六月一日施行だ、いまこれだけ欠陥車が問題になっているのに、来年の六月一日施行ということを言っておったのじゃ困る。運輸省はそういう技術的ないわば研究機関というものが実際にあるのかないのかという問題。大臣、そういうものこそほんとう予算要求をしてこれはやるべきで、あなたたちの通達を見ても、何かたいへん人間も取ってそうして検査機構を充実するようなことを言っているけれども、ダンプのあの法律一つつくるのにだって、百七名の人間で削られてしまって、それであなた方これ公表しているけれども、これだけのことを大蔵省なら大蔵省とちゃんと打ち合わせをして、来年はちゃんとこの運輸省がいま省令改正して出した四項目のこれに合うように、大蔵省ともちゃんと事前の取りつけができているのかどうか、それも聞かしてもらいたい。欠陥車問題が世の中がうるさくなったからといって、あわててぼっと対策だけ出したけれども、中身はさっぱりだということになってしまう。そういうことに終わらせたくないからこの問題を取り上げているのであって、この点どう考えますか。
  14. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は木村さんのおっしゃっていることは一々ごもっともだと思って聞いております。この高速道路交通事故の問題について私は閣議発言をいたしまして、高速道路管理者建設大臣の担当ということになっておりますから、建設大臣から発言をしてもらって私も発言をいたしました。これらの事故を絶滅するための関係閣僚会議をもって対処していくという方法に進みたいということで、いま鋭意努力をいたしておるのでありますが、いまのお話のようにこれは一省だけの問題ではないので、積極的に取り組んでいかなければならぬ問題であると思います。  その中の、いまの具体的に言うとガラスの問題を取り上げられたわけでありますが、私もその新聞の記事も読んでおります。いま事務当局はこの問題について——まあ自動車産業の中のガラスという問題をやると、一番最高の安全というものを期しておるのは、アメリカ自動車がそのための一番高度であろうというガラスを使っておるようである。しかし世界の国の中では絶対にそれでなければならぬということではなしに、いわゆる安全強化されたガラスを使うというところにきておるので、日本におきましても基準の中で、たとえばガラスが割れてもその運転手の見ておるところは絶対に安全が守られるようなガラスを使うようにというようなところを保安基準としてやっておる、こういう答弁をいたしておるのでありますが、目ざすところはこれは安全ということを最高に持っていくべきであるという木村さんの御意見は、私はそのとおりであると考えるのでございまして、今後ともそういう方向にいくように、私のほうだけで解決ができない問題がありますならば、関係各方面と十分検討をして安全を期していきたいと、このように考えます。  また、予算関係もあるがそれはどうかということでありますが、これもまあ閣議の席で自治大臣から発言がございました。その際に私も一緒に申したのでありますが、問題点が出てきた場合に問題点を指摘しただけで解決できないのだ、これはいわゆる財政支出をもってやらなければならぬという問題に必ずくると思うから、その点について大蔵大臣もよく協力をしてもらいたいということを言っておりますので、私はこのことにつきまして、政府一体となって取り組んでおりますので、今後私どもの考えておることが必ず実現をされる、こういう確信を持っていまやっており、通達もいたしておる、このように考えておるのでございます。
  15. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると大臣、この運輸行政についてきのう総合対策を発表した中に、たとえば自動車審査センターあるいは交通安全公害研究所をつくるという、これはこういうようなことについて具体的にやはり予算をつけて、そうして現にこれを実際進めるんだと、こういうふうに理解していいですか。
  16. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これを実現するために私はできるだけの努力を続ける所存でございます。
  17. 木村美智男

    木村美智男君 じゃ運輸省のほうは大体いま言ったような姿勢でこれから取り組んでもらうということで、あと作業を見守ることにしますが、せっかく通産省が来ているので通産省に聞きたいんですが、これはやはり産業生産関係についての監督官庁として通産省は、こういった状態というものについてはどういうふうにこれを把握をして、現実に生産指導をしてきたかという問題が一つ。それから一般的にいわれる通産省産業政策というものは、どうも企業を保護し過ぎているといわれて、もう数年来そのことばかりやかましくいわれている。最近の鉄鋼の合併を見てもわかるように、どちらかというと企業よりも通産省のほうが熱心なんだな、この合併は。こういうところを見ると、けさの新聞でも大平さんと山田公取委員長が会見をしているが、あれはどう考えてみても、やはりもう審判に持ち込まれる段階にきて通産省は圧力をかけているとしか世の中にうつらないですよ。ああいうようなところを見ても、どうも通産省産業政策というものが国民を少し忘れているんじゃないか、産業を保護し過ぎているんじゃないか、こういうことを私は痛切に感ずるわけです。だから今度の欠陥車問題でも、率直に言わしてもらえば、大体運輸省にかぶせて通産省は逃げ腰になっている。具体的にどういうことかというなら言ってみてもいいけれども、そういう印象、うつりがしていることだけは間違いないので、だから、そういう意味であなたのほうは、この問題は具体的にどういうふうに把握をして、したがってこの産業企業に対する生産指導にあたってどういう方針で臨んでいるのか、こういう点聞かしてもらいたい。
  18. 植木光教

    政府委員植木光教君) 通商産業省産業行政に対処いたします基本的な姿勢は、言うまでもなくよい品質のものを安価にまた継続的に消費者に供給をするということでございまして、したがって自動車産業につきましてもこの原則をもって対処してきているわけでございます。自動車産業は御承知のとおりわが国にとりまして重要な戦略産業でございますので、いろいろ急速に発展をさせますために育成策をとってきたことは事実でございますけれども、しかしながら安全性確保ということにつきましては、自動車の持っております製品の性質上から申しましても絶対的な要件でございますから、従来からも強力に指導してまいった次第であります。  なお今回のような問題が起きましたことは、生産販売あるいは輸出を所管いたしております行政官庁といたしまして、まことに遺憾に存じております。したがいまして、この間森中委員からの御質問にもお答えをいたしましたが、決して逃げ腰ではありませんで、直ちに自動車工業会長に対しまして大臣から厳重な注意をいたしますとともに、工業会及び各社メーカーに対しまして、これに対処する方策について、またその措置について、その樹立と報告を求めた次第でございます。いまお話しのような行政態度はとっていないつもりでございます。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 この報告を求めたりリコールをやるという程度では私はもう今日の欠陥車問題は解決しないと、こう言いたいのですよ。それはいま言う安全ガラスの問題だって、すでに旭硝子にしろその他相当研究は進んでいるわけです。現に日本である程度生産をやっているわけですからね。ところが新聞にもちょっと出ているように、合わせガラスというのは、ちょうど二枚のガラスの間に、何かややっこしいですが、名前はポリーニュールブチラールという接着膜をつけてそしてこしらえるんだそうです。ただそれだけはデュポン社の特許になっている。これを口実にして、そうして製造工程がコストがかかるからだめだといって、そして強化ガラスでやっているところに実は問題があるわけなんです。だから少なくともテレビ等で宣伝をしてそして高速を売りものにし、あるいは百キロ以上の百二十キロくらいの宣伝をいまやっている。こういう自動車については、もう生産者に直接合わせガラスでなかったらこれは認めないということを明らかにしなければならない。それから生産者自体が、この自動車は百キロ以上飛ばすと場合によってはガラスが割れますよ、あるいは白くなりますよ、ということをこれは明確にしなければいけない。アメリカなんかではそういうことなんですよ。ほとんどそういう規格を明確に消費者に明らかにしている。たとえばアメリカの場合、保健薬だって健康な人が飲むとこの保健薬がかえって害がありますよと、ちゃんとびんに書いてある。日本は全然違う。もう売らんかな、もうけんかな、だれが飲んでどうしようが、副作用がどう起ころうがかまわない。そういう考えがやはり自動車の生産の場合にも、あなたが言っているように戦略産業と言っているけれども自動車産業はだんだん基幹産業だといわれ、それに対しては政府は相当やはり最近は保護の立場をとっているから、だからまた、モータリゼーションがこういうふうに進展をしてきている時期に、それに生産が追いついていけない、あるいはこれにそぐわないような技術水準であってはいかぬから、その面の指導は十分やってもらいたいと思うけれども、その反面における少なくとも安全の問題だけは、これはどうしても忘れてもらっては困るわけです。だからその意味で言えば、もう合わせガラスを使うか、合わせガラスは銭が高くてだめだというならば強化ガラスを使う、そのかわりそれについては速度制限をつける、そして使うものにちゃんと明確にそういうことを知らせるということをしていくことなしに、この面からの事故防止とか安全を守るとかいうことは、ことばの先で言ってみても実際にはそうはならない。やはり科学の問題だから、これは合理的だから、やはり百二十キロを飛ばせば強化ガラスである以上ぱあっとなることはわかり切っているのです。だから、そういう指導を具体的にこの際運輸省通産省とで十分話し合いをしてもらって、そしてこれは特に警察庁のほうがこの高速道路関係についての事故の問題については種別的におそらく件数もつかんでいると思うので、その辺の連絡をとられて、ここに一つ欠陥車対策の一環として、いまのやはり前面ガラスの問題はひとつ善処をしてもらいたい。  タイヤ関係はきょうはもう省略しておきますが、これも非常に大きな問題があるのですけれども、時間がきたようであります、お約束でありますから、いまの最後の要望を申し上げて、それに対して両大臣からひとつ確信のある決意を言ってもらって、もう終わります。
  20. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどちょっと私答弁漏れといいますか、いまお話の中に出ました高速自動車道におけるととろの事故防止というためには、たとえばガラスの問題をどうするかというような技術的な問題、それがなかなかむずかしい場合には速度制限をやることによって防げるのではないか、こういう御意見でございます。このことにつきましては、荒木国家公安委員長とも話を閣議前にしたのでありますが、こういう問題について、先ほどから言いましたように、関係閣僚が寄りまして私ども十分事故対策というものを練って安全を期したい、このように考えておりますことを重ねてお答えを申し上げます。
  21. 植木光教

    政府委員植木光教君) 先ほど申し上げましたように、自動車安全性の確保ということは人命にかかわることでございます。したがいまして、ガラス安全性確保につきまして運輸省が御検討になっております保安基準改正にあわせまして、通産省といたしましても強力な生産指導を行なっていく方針でございます。
  22. 木村美智男

    木村美智男君 警察庁が見えられましたので、ひとつだけお伺いしたいと思うのですが、いま実は高速道路における最近の例の前面ガラスハイウエーのミステリーといわれる問題を取り上げておったわけです。最近非常に自動車速度が早くなってきたということから、東名高速道路なんかでは特に前面ガラスまっ白くなってしまう、あるいは場合によっては割れて飛び散ってしまう、運転者は目つぶしを食うようなそういう状態になるわけですね。そういう事故が三十八年からだんだんふえてきまして、昨年では二百十件、ことしはすでに五十七件、こういうことが警視庁の特別機動隊ですか、高速道路機動隊ですね、これの分駐所だけでそういう統計がもうすでに出ている。したがってこの点については、警察庁としてある程度全国的なものをつかんでおられるのじゃないか、こういうふうに実は思ったんですが、あらかじめそれはお知らせをしてなかったから直ちに答えにくいかもしれませんけれども、数字は別として統計はあるのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  23. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) 昨年じゅうに、整備不良ということで事故がありましたのが三千件でございましたけれども、そのうち二千五百件のわれわれの発見しました事故はブレーキ関係でございます。あとの五百件も、前面ガラスのものは、そこまではつかんでおりませんので、まことに申しわけないと思います。おそらく先生の御質問はそういう前面ガラスの曇りとか何かで速度が出過ぎるのじゃないか高速道路の百キロというような速度制限という問題もあるいは起こるということもあるかもしれませんけれども、あわせて申し上げますと、御承知のとおり高速道路はほとんど百キロ以上の設計速度でございますので、大半は自動車高速道路は百キロを原則にし、トンネルあるいはカーブ地点につきましては八十キロ、中央高速道路の片側車線のところは原則として七十キロという速度制限をしております。  たとえて申し上げますと、諸外国のいわゆる自動車ウエー、これはノーリミットですね、速度制限はございません。日本の場合にこれを百キロに制限していいのかどうかという問題もありましたけれども、設計速度その他を見まして、法律上自動車高速道路は百キロを原則にしております。もしその百キロで前面ガラスひび割れたとか曇るとかいろいろなことがあるならば、諸外国は一体どうなんだということもあろうと思うのです。そうすると、やはり自動車構造上の問題、ガラスの質の問題、そういう面で解決されるべきだと思います。あの百キロをかりに八十キロにいたしましても、ほとんど守らないのじゃないかという感じもしますので、いまのところは自動車高速道路につきましては、法律できめております百キロ、部分的に危険なところは八十キロに制限するというのでいいんじゃないか、このように考えております。ガラスの問題によりました事故は、申しわけございませんけれども、数字はつかんでおりません。
  24. 木村美智男

    木村美智男君 警察庁の監督下にある警視庁の第一交通機動隊、首都高速道路分駐所の統計だけで先ほど私が申し上げましたような数字が出ているのですよ。したがって、できれば、警察庁として全国的にこの点も実は一つにまとめてほしいと思うのです。その時間は適宜かかると思いますから、一日、二日とは申しませんけれども、とにかく、十日かそこらのうちに、何とかこれを一つまとめてもらいたいというのが一つと、それから百キロの問題はきめたその時点で、私、実は問題にしたのですが、今日の時点ではこれをなるほど下げてみても、実際は百キロいくようなことに事実なるでしょう。だからそっちを動かそうとしているわけではない。むしろこの事故の件数によって、実は非常に事故発生が、まあ蓋然性が大きく考えられるので、したがって百キロ出す車については、前面ガラス合わせガラスにしなければいかぬとか、あるいは八十キロ程度でやっていくものについては、それはいまの強化ガラスをさらに大体ドイツのベンツくらいの強化ガラスにしておけば間に合うとか、そういうことを実はこれは警察庁にじゃないですよ、全体の総合対策として立ててもらおうと思っているわけです。これは同じなんです、ベンツも。これは日本と同じく強化ガラス強化ガラスなんです。ところがベンツの場合は少し厚いし、その焼きぐあいがちょっと違うのだろうと思いますが、いわゆる強化ガラスなんです。だから日本ほど百キロくらいでまっ白になったり、飛散したりということになってないので、それはやはりガラス生産のほうの、これは生産業者との関係も出てくるので、これは通産省がその面は対策の問題から出てくる当然の指導としてやってもらわなければいかぬと思うのですが、そういうことの方針を打ち出すには、何としてもデータが必要なんで、一警視庁の管轄だけのデータをもってこうだときめつけるのは、私多少酷だと思いますから、したがって、警察庁として、全国的にいま言ったような前面ガラスまっ白に曇ってしまう、あるいは飛び散ってしまうというようなことによる事故というものが、これがどのくらい全国的にあるかという、ひとつ実はぜひ資料をほしい。
  25. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) 高速道路、東名、名神に関します限りは、各府県隊が詳細な資料を持っておりますので、直ちにわかると思います。十分調べまして、御連絡いたします。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 私も、警察庁もおりますので、資料をお願いしたいのですけれども、まず警察庁のほうからお願いいたしますと、車による人身事故の車種、車の種類ですね、それからその車両の欠陥原因とその件数、これを一覧表にしていただきたい。  それから、ついでに運輸省のほうにもお願いしたいのですが、これはまだ確実には判定をしておらないでしょうが、概数でけっこうですので、欠陥車の車種、制造会社及びその数量を御明示をいただきたい。それから二番目には、欠陥車の欠陥個所の一覧表。それから第三には、通産省または運輸省あるいはその他の官庁に分けまして、昭和三十七年度以降の自動車会社への各関係官庁からの就職状況。  以上、次の委員会までに資料として御提出くださいますようにお願いいたします。
  27. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 警察庁運輸省通産省、よろしゅうございますか。
  28. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) いまの資料御要求に関しまして、われわれのほうに現在持っております統計は、車種別事故と申しますのは、いわゆる貨物あるいは乗用車、二輪車、こういう意味での車種別の全事故について分類しております。おそらくしかしそれじゃなくて、欠陥車両の車種別ということになりますと、あるいはクラウンとかそういう分類はいたしておりますけれども、年式までは分類しておりません。いま私のほうで七月一ぱいかかりまして、ことしの一月から六月十日ころまでの今回問題になりました欠陥車両のその自動車故障による事故というものは集計する予定にしております。これは相当調査が要りますので、七月一ぱいかかると思いますが、御了承願いたいと思います。
  29. 森中守義

    ○森中守義君 私も通産省にちょっと資料をお願いしておきます。メーカー十二社の資本金、それから増資の状況、それから借り入れ金、これはできるならば金融機関別に。それと配当状況。さらに四十年から四十三年までの生産実績、これからの生産計画。それとメーカー及び主要な販売店等への通産省の退官者の、俗にいわれる天下りの状況、退官時の官職、現在の社内における地位、そういうものをできるだけ早急に出していただきたい。
  30. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  31. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をつけて。本案に対する質疑の続きは午後に行なうことといたします。     —————————————
  32. 岡本悟

    委員長岡本悟君) この際参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案審査のため、必要あるときは新東京国際空港公団の役職員を当委員会に参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  34. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  35. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 新東京国際空港公団の業務は、現地の用地買収等にはなはだしく難渋をきわめて、業務全体が停滞ぎみになっておるように承知をいたしております。私は、東京国際空港がすでに飽和状態になっておることや、また超大型機の出現について、受け入れ態勢ともいうべき、この新国際空港の設置がまことに急務とされておる現状において、地元民の理解が得られずあるいはその他の事情によって公団業務が停滞し、また整備の一番手ともいうべき本法律案が、前国会において本院の審議にものぼらないというようなことで審議未了になったというようなことは、まことに遺憾であると考える一人でございます。基本計画によりますれば、四十五年末までに四千メートル滑走路並びに関連する諸施設を完成して、まず供用を開始し、残余の二滑走路関係は四十八年までに完成することになっておるようでございます、そこで、今日のこの現状において、この計画に狂いはないのかどうか。元締めをいたしております。また基本計画をお立てになりました運輸大臣の、これに対するお見込み並びに早期完成への御決意を、あらかじめお伺いしておきたいと思います。
  36. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 新東京国際空港の建設の進捗状況について御懸念のようでございますが、私は就任以来、この問題を責任を持って遂行をしております公団総裁以下、航空局長から状況を常に聞いておりますが、大体所期の目的を達成するように進んでおる、このように了解をいたしております。なかなかしかし、問題はむずかしい問題でございますので、このことにつきまして、現地の住民の皆さん方にも、より一そう御協力を願えるような努力を続け、この法律案を御審議願っておるのも、一つの問題を解決するための具体的な問題でございますが、このような施策を進めることによって、予定どおり成田新国際空港が事業を開始できるように万全を期したい、このように決意をいたしておる次第であります。
  37. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 この買収を中心としたいろいろな難問題は、主として地元関係に多いようでございますが、ところが地元関係につきましては、本委員会におきましても多数の委員がおられますので、私はあえてその問題に深入りしようと考えません。したがって問題の所在点を御説明願うという程度で、最小限度の原因と、またその解決について、さしあたりお伺いしたいと思います。  まず公団総裁にお伺いいたしますが、用地買収等に対する進捗状況はどういうぐあいになっておりまするか、御説明を願いたいと思います。
  38. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 用地買収につきましては、昨年の四月、敷地内の条件派の方々、全体の九〇%近い方々でございますが、これらの方々と買収の協定に調印を終わりまして、引き続いて家屋、立木等の集中的な調査を行ないまして、昨年の秋から本格的な買収交渉に入ったのでございますが、本年の五月三十一日現在で、敷地内の全体の民有地六百七十ヘクタールの約七一%にあたる四百七十七ヘクタールはすでに買収を完了いたしております。この四百七十七ヘクタールの中で、私どもが第一期工事として昭和四十六年度の初期に完成すべき約五百ヘクタールの区域でございますが、この第一期工事の区域の民有地全体で二百八十二ヘクタールでございますが、この区地につきましては、すでに二百三十九ヘクタールの買収を完了いたしております。したがいまして、第一期工事につきましては、すでに民有地は八五%買収を終わっておるという状況でございまして、私どもとしては代替地の造成並びに敷地内の方々の移転に伴いまして、本年の下期から工事にかかり得る、こういう段階でございます。
  39. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 非常に買収状況が私の考えておるよりも進んでおられるということを伺いまして、やや安堵したわけでございますが、たとえばターミナルの施設であるとか、かような、滑走路だけでなしに、ほかの施設の完成については、これは普通の常識から考えて、私は相当の日時を要するというように考えるわけであります。本法案の内容、御配付になりました書類等を拝見いたしますというと、この法案によって出資せられる下総牧場の用地がちゃうどそういうターミナル等の施設になっておるということであれば、なおさらこういうものは急ぐべき問題ではなかったか。かように考えるわけでありまするが、ただいまこの法案が採決されるとしましても、四十五年の年度末ということになれば、もう余すところそうたくさんはないのですが、これだいじゃうぶでしょうか、この供用に供する程度にこれが進んでまいるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  40. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 第一期工事の、いま金丸先生御心配の第一期工事の区域の中の下総御料牧場の関係でございますが、これにつきましては、滑走路の約南半分並びにターミナルビルディング等の主要な施設がつくられるわけでございますが、これはすでに栃木県の高根沢地区におきまして買収予定面積の二百五十二ヘクタールというもののすべての買収を昨年のうちに終わりまして、開畑工事から土地造成並びに一切の施設についての建設の工事契約を締結いたしまして、現在本格的な工事を実施中でございまして、今年の八月下旬には必要施設のすべてについて、これを完了する予定でございます。したがいまして、私どもの第一期工事の南半分を占める下総御料牧場というものは、本年の八月の下旬に移転が完全に終わるというふうに私どもは見通しを立てております。したがいまして、先ほど申し上げました民有地の買収の進捗状況並びに高根沢への御料牧場の移転というふうなものとからみ合わせまして、第一期工事の工事区域については、ほとんど大部分を取得できるわけでございますが、工事につきましては、御心配のターミナルビルあるいはまたフレートビルディングあるいはまた滑走路、誘導路等の造成につきましては、私どもは本年度の下期から集中的な工事を行ないたい、かように考えております。  で、御承知のように北総台地は、いままで農業中心の土地でございまして、資材を輸送するための道路あるいはまた鉄道あるいは資材置き場というようなものからまず建設していかなければならないという状況でございまして、現在、資材の輸送計画並びにその輸送道路、資材置き場の建設というものにいまは全力をあげておるわけでございまして、こういったものも本年の下期には大体完了するんではないか。そうなりますと、砕石を中心とする土工関係の材料を集中的に輸送を行ないまして、日本の建築あるいは土工の全精力を集中して、今年度の下期から来年にかけて、われわれとしては必要な施設を段階的につくっていける、かように確信いたしておる次第でございます。
  41. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ちょっと、いまお話しのターミナルビルは、もうすでにやっているのですか。予算・決算書の内訳を見ますと、相当にこの工事の費用のほうの支出があるが、私は、これは材料その他の万全の措置をとっているのだと思うのだが、これはもう建設工事に着手しているのですか。
  42. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先ほどことばが足りなかったのかと思いますが、現在はターミナルビルディングそのものの建設に着手しておるわけではございません。まず、やるための整地あるいはまた造成に必要とする土工関係の材料、そういうものを運搬するための施設に現在着手いたしておる、それとあわせて、ターミナルビルディング等につきましては、詳細な設計を現在計画いたしておる、こういう段階でございます。
  43. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。あまり掘り下げて申しませんが……。  ところで、この用地買収が八五%済んでおるというと、まだ一五%ばかり残っておるわけですね。新聞等によりまするというと、結局、これがいわゆるある目的のために行なわれた一坪運動とか、あるいは立木運動というような問題にひっかかって、早期解決ができないというようなことになっているのではないかと思いますが、もしさような状態とするならば、どうせ、滑走路といえども、これはそう一カ月やそこいらで完成することはできないものですから、相当に早くこれは解決しなければならないということだろうと思いますが、これについての見込み、そういう点について、ひとつ、解決の状況及び見込み、この点をお伺いしたい。
  44. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 一坪運動等につきましては、現在、全体の千六十ヘクタールの空港用地の中で、面積といたしましては、各所に散在はいたしておりますけれども、総合いたしますと二・二ヘクタール、坪数にいたしまして約七千坪程度でございます。空港の全体の面積が三百万坪以上でございますので、ごくわずかな数字でございます。で、その中で一期工事の区域——四十六年の四月に開設を目標といたしております一期工事の区域につきましては、わずか〇・五ヘクタールというものが一坪運動の土地でございます。これは、直接、滑走路あるいは誘導路の造成に関連してくるものは、正確な数字は持ちませんが、場所的に言いまして約〇・三ヘクタール程度ではないかというふうに考えておるわけであります。で、私どもは、農民の方々の所有地につきましては、あくまでもしんぼう強く誠意をもってこれを説得いたしまして、任意買収を進めていく方針でございますが、一坪運動等につきましては、でき得る限り早く土地収用法等による事業認定を受けまして、これは強制的に収用せざるを得ないというふうに決意いたしておる次第でございます。
  45. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 土地収用法にまで踏み切って、そうして解決を急ぐという決意をされておるということでございますね。  それでは次に、三里塚のゴルフ場を接収することになるわけですね。これに対する補償関係とか、そういうものはまだ何も手がついておらないというようなお答えのように私は聞いておるのですが、そういうことですか。また、その交渉はその後依然として進んでおらないのか、あるいは現段階においてはすでにそれは解決しておるのか、その点ひとつお伺いしたい。
  46. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 三里塚のゴルフ場につきましては、ここ数カ月事務的な折衝を続けておる段階でございます。で、私どもとしては、農民の方々との土地買収につきましての契約は農民の方々の団体との交渉によって解決をいたしたわけでございますが、ゴルフ場の施設等につきましては、不動産鑑定士あるいは公認会計士、あるいはまた専門的なお仕事をやっておられるゴルフ・コンサルタント、こういうふうなところから詳細な調査報告を受けまして、これに基づきまして一応の補償額というものを算出いたしまして、先方と交渉をいたしておるという状況でございます。先方もこれに対して今度新たに代替地を求めてそちらにゴルフ場をおつくりになるというふうなことで、いろいろ費用がかかるわけでございますが、そういった面で値段の折衝を煮詰めつつあるというのが現在の段階でございまして、何もやっておらないというわけではございません。
  47. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それからもう一つ、この帝国石油のこれはガス鉱区だろうと思うのだが、この交渉も五億円程度で大体解決がつくと思うということで、一向その点についての進捗はないと、これはこのままやってよろしいのですか。地下資源だからいいというわけにいかぬ。この交渉はどうなっておるのですか。これも伺っておきたい。
  48. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) この種の問題はいろいろあるわけでございますけれども、ゴルフ場の問題は先ほど申し上げましたように、現在、価格について具体的な事務折衝をやっておるという段階でございますが、帝国石油の天然ガスの試掘権あるいは採掘権につきましての補償交渉につきましては、現在まだ煮詰まってお話をしておるという段階ではございません。しかしながら、ゴルフ場にいたしましても、あるいはまたこの天然ガスの採掘会社にいたしましても、空港建設反対というふうな観点からではなしに、やはりそれらの方々のやっておられる事業についての補償をどうしてくれるかというふうな点が争点でございますので、これはまあいろいろお話し合いによって十分解決がつく問題ではないかと、かように考えております。
  49. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうするというと、これは鉱区自身をみんなこちらに所有権を取らなくても、結局その補償を出せばいいと、こういうことになるわけですか。そうするというと、今度はこれができましたら、これに関連した地上権との——今度開発をすることになれば、せっかく完成した空港自体に影響はないものですか。
  50. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) ただいまの天然ガスの試掘権、採掘権等につきましては、すでに詳細な調査ができ上がっておりまして、いつでも向こうと話し合えるということでございます。したがいまして、そういったものについての話し合いがつきますれば、当然に空港敷地内においてはこれを採掘するというふうなことはできなくなるわけでございます。あの代近はわりあいに天然ガスの出るところが空港周辺にも相当ございまして、そちらのほうにも供給源があるわけでございます。
  51. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 まあ三里塚の問題にしましても、まだ金額は具体的に切り出されておるのかおらぬのか、そういうこともわかりませんし、この問題についても非常に楽観されておるようなぐあいに私はとれるのですけれども、問題が起こってがたがたされてまた延びるということになればたいへんですから、十分注意してやっていただきたいと思います。  時間が非常に切り詰められておりますので、簡単に進みますが、栃木県の高根沢新牧場は公団がこれを建設して、そうして下総御料牧場の敷地と交換すると、こういう原則に立っておるようでございますが、この新牧場はもうすでに完全に完成したのか、あるいはまたいつそれが完成するのか、それから移転の時期はいつごろか、これをお聞きしたい。
  52. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 下総御料牧場は、先ほどちょっと触れましたですが、すでに一切の工事につきましての発注を終わりまして、現在建設中でございまして、貴賓館を除きましてはすべての牧場に必要な施設というものはこの八月二十日までにでき上がる予定でございます。宮内庁のほうも現在宮内庁法の改正を御審議いただいておるわけでございますが、法律が通りますれば本格的な移転準備を始めて、この八月末には新牧場のほうへ移転をされる、こういうことになるわけでございます。
  53. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それではお伺いいたしますが、もう一つ、この代替地の問題ですね、相当問題になっておる。これは地元の問題で、私詳しいこと知りませんが、代替地は第一期工事関係だけでもこれはもうすでに解決の見込みは十分あるのかどうか、また特に代替地が水田だったというようなところはこれをまた造成をして渡すというのか、あるいは金だけで渡すというのか。金だけで渡すということであれば、話がつけば渡せばいいと、解決は早いと思いますが、この点の事情はどういうことになっておりますか。
  54. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 整地の中の住民の方々のお移りになる代替地につきましては、農地法上公団が農地を所有できないという関係から、県にお願いいたしまして、県で買収をしていただいたのであります。民有地約三百町歩ございます。それから御料牧場の残地が百町歩、それから県の畜産施設あるいはまた県有林等合わせまして、県有地約百町歩、全体で約五百町歩。町歩ということばは適当でないかと思いますが、約五百ヘクタール、これが用意してございます。御料牧場の残地の、現在宮内庁でお使いになっている部分を除きましてほとんどすべてが、一部水道工事、現在施工中でございますが、それを除いて造成を完了いたしております。新たに造成した代替地へは、逐次敷地内の農民の方々が家を新築して移られ、また現に耕作を始めておられるという状況でございまして、代替地の造成も私どもとしては比較的順調にいっておると、かように考えます。
  55. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それでは次に資金の問題ですが、決算・予算書を拝見しますというと、大体四十三年末で二十何億、大体三十億程度の繰り越しが予定されておりますが、これと、それから四十四年度の予算書にありますように、政府出資が四十億、それから財政融資が八十億、それから債務負担行為が百億、合計二百二十億、それに三十億加えて二百五十億というものが四十四年度に使える金ですが、今年はおそらくターミナルビルその他相当にこれは金の要る年であろうと思うのだが、これを遂行するために買収等の完成からすべてこの予算で十分お見込みはあるわけですね。
  56. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 本年度の資金計画につきましては、いま先生おっしゃったとおりでございます。私ども四十四年度の事業計画といたしましては、残っておる空港用地の買収を早期にこれを完了するということ、それから空港用地の一部造成を行なう、それからまた鉄道あるいは道路というふうな資材輸送施設も建設と改修を早急に進める、それからお話ございましたターミナル・ビルディング、あるいは給油施設あるいは空港保安施設というふうなものにつきましては、設計あるいはまた建設工事の一部を実施する、こういうつもりでおります。それ以外に、空港に関連いたします河川の改修事業費でありますとか、あるいは流域下水道の事業費であるとか、そういうふうなものにつきましての負担金も予算によってこれをまかなわなければならぬ、かように考えております。
  57. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 航空局長、それではいまのままことしはそういうことで、本格的なものは、たとえば空港ビルとかいうものは、来年度になるというように承知してよろしいですね。そうなると大体四十五年度の見込みはどのくらいですか。
  58. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 具体的な数字につきましてはただいまいろいろ検討しておりますが、たとえばボーリング等によります調査の結果によって、やはり土工量等の内容が変わってまいります。それからいまの補償関係の問題等も、言われましたようにまだ一五、六%残っておりますので、そういった関係がどうなるかという問題もあるというような、具体的なこまかいことではございますけれども、そういうのが固まりませんと具体的な数字にはならないかと思いますが、今年の二百五十億という四十四年度予算に対応いたしましては、まあただいまのところ全く概算でございますが、この倍程度必要ではなかろうかとおよそ考えております。
  59. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それではその倍程度を加えるというと、当初の計画、第一期工事全体の計画、予算とどういうことになりますか。これはいろいろのものが上がったり、交渉が長引けば長引くほど金がよけい要るというのが普通の事例ですが、その点のお見通しはどういうことになっておりますか。
  60. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 当初の計画数字といいますのがあまり確定したものを実は持っていないのですが、大体これまたきわめて概算で考えておりますところに比べますと、一応概算で考えておる線の姿で進んでおるということが言えるかと思います。第一期工事の総額の金額につきましては、ターミナルの設計等の具体化がございませんと、これなどが大きな工事費の内容にかかってくるわけでございますが、先ほど総裁の御説明のように、ただいま設計委員会にその設計などをかけて具体化をはかっておるわけでございます。そういった内容等の見通し等から出たことかと思いますが、全体といたしまして概略先ほど申し上げましたような数字が計上されていくならば予定どおりの第一期工事になる、かように考えます。
  61. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 なかなか抜け目のない答弁で、私はそうは思わないのですけれども、ほかのほうだったら何でも必ず足が出るのが今日の通例なんです。それはしいて、いまそれをお伺いすることが無理ならやめます。新幹線におきましても、初めの言うのとそれからあとの開きは相当なものが出て、これはもう何でも、こういう物価が上がることだけでも、労賃が上がるだけでもそれは違うと思うのです。皆さん方がその点を十分にお考えになって、私の懸念するところは、来年度予算要求についても、大臣はじめ十分にこの予算——初め何かしゃべったからそれにこだわるというようなことで、先にいって残工事、第二期工事に大きな穴があくというようなことで、横にずってその場を過ごすというようなことをしないように希望したいと思います。  最後に、公団総裁に対する最後の質問としましては、交通機関の整備をちょっと説明していただきたい。くわしいことはよろしゅうございます、図なんかが出ておりますから。道路の関係において高速道路をつくるのだというのか、あるいはまたこれによれば関東自動車道、千葉−成田線をこしらえて、そうしてこれをいまの小松川あたりのあの千葉街道に、あの非常にいまでももうどうにもならぬというようなところに結んでやるというような計画のように思いますが、これは別に湾岸道路というものを筋を引いているようですね。少なくとも私は、高速道路にならぬでも、道路自身は、少なくともどこの国におきましても国際空港、しかも東洋に一つしかつくらぬというような空港と、それから首都との間の連絡は、これは一寸刻みの運転をしなければならないようなことじゃ私は恥だと思う。したがって、望むべくは、ほんとう高速道路がほしいと思うのです。それでなければ、この湾岸道路と、それから関東自動車道の千葉−成田線というものを、これはりっぱに完成して、そして悔いを残さないということをひとつお考えになる必要があると思う。この点はどうでしょう。それから、鉄道関係の連絡、そういうこともちょっとお答え願いたい。
  62. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) おっしゃるとおり、都心と空港を結ぶトランスポートの問題は、非常に重要な問題だと思います。で、まず四十六年の空港の供用開始という時点におきましては、先生のおっしゃるように首都高速七号線、京葉道路、それから東関東自動車道というもので空港と都心を結ぶということになっておりますが、自動車は非常に急増いたしますし、交通の渋滞というふうなことも懸念されますので、その次の考え方としては、湾岸道路というものを現在計画して、羽田のほうから道路公団が施工中でございます。私どもは、将来新空港が、ジャンボジェットあるいはジャンボの大型、さらにSSTというようなものが出現いたしまして、大量の旅客が乗りおりするということになると、どうしてもやはり道路だけでは都心と空港を結ぶ交通機関としては不完全といいますか、十分に満足できるようなことにはならぬのじゃないか。その意味で、やはり鉄道で東京と新空港を結ぶというふうな線をぜひ具体化していただきたい。これにつきましては、私どもは、まあこれは非常に将来の姿でございますが、高速鉄道あるいは新幹線のような非常に速い都心と空港を結ぶ鉄道を希望いたしておりますが、これはまあ相当長期を要する問題でございますが、その間において、鉄道にどういうふうな形でトランスポートを依存するかという点につきましては、十分私どもと国鉄御当局との間でいろいろ御相談をさせていただいて、鉄道についてもぜひひとつ何か便宜な方法を考えていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  63. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それはごもっともですけれども、将来の問題というようなことでまたこれがたいへんに長くかかるようでしたら——もうシャンボジェットとかなんとかというものは、もうすぐ、それからSSTが、この空港が完成すれば離着陸するというようなことは、もう目前に迫っておるのですね。それに、将来の問題としてそういう道路にしろ、それから鉄道にしろ考えるということでは、もうすでにいま問題として、イエスかノーかでもって鉄道がぐあいが悪いならば、道路のほうを十分にとるとかなんとかいうことを考えないと、またふん詰まりになるのじゃないでしょうか。この点どうでしょうか。
  64. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) おっしゃるとおりでございまして、私ども高速鉄道を早急につけていただければ一番私どもとしてもうれしいわけでございますけれども、なかなかやはり用地の買収それからまた鉄道自体の予算その他の関係等もございまして、やはり相当時間のかかる問題ではないか、具体的にきめて施工して完成するというまでにも相当やはり時間のかかる問題ではないかというふうに考えられます。私が将来と申し上げましたのはそういうふうな意味でございまして、私どもとしては道路事情それからまた鉄道による輸送というふうなものにつきまして、できるだけ円滑にいくような方法関係の向きに対して御要望申し上げたいと思います。
  65. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それでいまの道路にいたしましても、鉄道にいたしましても、幸いこの非常に閣僚として有力な原田運輸大臣がおられるのだから、ひとつこの際にある程度目鼻をつけるというぐらいに、ひとつ公団総裁、決意を固めて推進しないというと、原田運輸大臣もなかなかやりにくかろうと思います。運輸大臣の御所見をひとつ伺っておきたいと思います。
  66. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この新東京国際空港の関連事業につきましては、十分その地元との間にも連絡をとり、日本の新しいSST時代に即応する空港としての機能を万全に発揮するために、いまから十分な考え方をしてこれを促進されておる、このように私は把握をいたしております。たとえば道路、上水道、河川、土地改良、下水道というような多岐にわたっておる問題につきましても、関係各省も多いので、政府部内の連絡調整をはかってきたところでございますが、これらの総事業費が約千九百億円、このような大規模の関連事業を実施するためには、この地元財政にも大きな負担となりますので、特に高率補助等を内容とする特別の財政援助措置を講ずることといたしまして、いま地方行政委員会で新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を御審議をしていただいておるのでございまして、この法律は昭和四十四年度から五十三年度までの十カ年問にわたりまして、この新空港の関連事業のうち、自治大臣の指定するものについて地方公共団体等に対し高率補助を行なうということを主たる内容といたしておるのでございますが、私はこのような措置によりまして十分の措置がとれると考えておりますし、なお今後新しい問題がかりに起こりましたとしましたら、これに対応するための、微力でございますが、全力を尽くす覚悟でございます。
  67. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 この関連に関する措置法案というのは、これはまあ地方行政のほうで審議されつつあるやに私伺っておりますが、道路の問題はともかくとして、鉄道の問題は、これをどういう程度にするかという問題は、これは原田運輸大臣、あなたのお手のものだ、あなたがやろうと思えばできることだ、これについての決意をされて、少なくとも目鼻くらいはつけておいて、完成しろとまでは言いませんが、そういうことをひとつやっていただけませんか。
  68. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 御意見は承りまして、十分今後とも検討を進めていきたいと思います。
  69. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 どうもなかなか結局大蔵省がむずかしいから、いまからはっきりお答えいただけないのだろうと思いますから、その辺でやめます。  それで次には、新国際空港の緊急整備の必要性については、従来私もこの設置の場合からその他の点につきまして、本委員会また、党の関係でお手伝い申し上げた一員でありまするが、その間について、この新設の必要性ということについては従来いろいろの議論があり、またいろいろの経過を経て今日きまったわけでありまするが、これを早くやらなければならないという原因は大体三つぐらいに集約されるのではないかと、私は解釈いたしております。その第一は、羽田空港の現状がもうすでに飽和状態に達しておるというようなこと、それから第二は、航空機の大型化、超音速化が行なわれて、これが世界国際航空界に運行実現の時期に達したようであること、それから第三は、首都東京が極東における航空路の再重要地点ということで将来の発展性が大きく期待されるという、この大体三点じゃないかと私思います。  まず第一の問題につきまして、羽田空港の飽和状態という問題についてお伺いいたしたいんですが、四十三年の運輸省の年次報告によりますというと、四十三年六月現在で外国航空会社の日本乗り入れば二十三社、二百三十五便ということになっておるようであります。そしてこのほかに日本航空の国際関係あるいはまた国内線の運航というものを加味いたしますというと、羽田空港はもう四十五年までもつかもたないかという飽和状態に達してまいる。したがって、新空港の供用開始というようなものを実は一日千秋の思いで待ちかねておる状況であると私は判断しておるわけでございます。ところが最近の新聞によりますというと、もうすでに今日において羽田空航各線運航の回数の調整制限をしておるということを聞いているんですが、これはほんとうかどうか、及びこの羽田空港の行き詰まり状況というものをひとつ明らかにしていただきたいと、かように考えます。具体的に第一の問題として羽田空港は拡張計画も行なったんですが、はたしてこの程度で新国際空港が完成予定の四十五年度末までにその需要に応じ切れる見込み等の御確信があるわけでございますかどうか、局長にお願いいたします。
  70. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 現在の国際空港でございます東京国際空港が相当混雑をいたしておるということは事実でございます。いま先生統計の資料をお出しになりましたか、昨年——四十三年度におきます国際、国内の両線を合わせての離発着の回数を見ますと、これが約十二万六千回という数字になります。その前の四十二年度におきますこれに対応いたします離発着回数が約十一万一千回と、こういうことになっておりまして、それ以前から大体の毎年の増加率は約一三%ぐらいの増加率になっておると考えられます。こういう状態でございまして、実は非常に混雑をしておるんですが、具体的な現象といたしまして、先般皆さんの御批判もありますので、私どものほうで詳細なティレー——遅延の状態を調査をいたしました。その結果によりますと、まあ日により、曜日により、時間によりいろいろまちまちでございますけれども、大体出発機におきまして五、六分程度のディレーが平均して一機についてございます。到着機について三、四分程度のディレーがございます。これは平均でございますので、個々別々のものにつきましてはまたいろいろあるかと思いますが、そういった状態が出ております。それからスポット——駐機場が非常に足りませんものですから、この駐機場へ入る入らないということでいろいろ混雑をしておるというようなことがございます。  こういう状態がどうして出てきておるかと、一つはこの離発着回数といいますか、羽田に入ります飛行機の数がことのところ急速にふえてきておると、限界に近づいておると、限界は前々御説明しておりますように十七万五千回ということでございますが、実はこの現在の混雑状態は十七万五千回を確保する意味におきましてスポットがどうしても足りないと、要するに滑走路だけの能力と駐機場の能力がバランスがとれてないということがございますので、現在三十スポットあります駐機場をさらに十六スポットふやそうということを考えまして、その工事に現在着手をしておるわけでございます。そのために、A、Cとあります平行の二つの滑走路のうちAランウエーがほとんどクローズの状態になっている、こういうことがこの混乱に拍車をかけておると考えられます。こういった一般的な情勢、それからそれに対応する一つ対策でございます駐機場の拡張、こういったものが折り重なりましてただいまの混雑ディレーの状態を来たしておると、かように考える次第でございます。
  71. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 いまのお話で、要するに運航回数等を調整、制限するというのは、時間帯の一番ピークの場合にそういうことを行なったということであって、普通の場合においてはスポットの不足というもので結局利用が非常に制限されているということですか。そうするというとスポット自身は現在の東京空港はまだどのくらい余地があるのか。大体東京空港の能力というものは、十七万五千回というふうに私は聞いておる、そうすると、まだ十二万六千回くらいだからだいぶありますね。そうすれば、それをふやしてなぜやらぬかという問題と、それから四十五年度末までにこれがスポットを増加しさえすれば、それで大体間に合うのかどうかという問題が一つ。それからもう一つ、いま局長がお触れになった新設のC滑走路ですか、これを話を聞くというと、せっかくこしらえた滑走路であるにかかわらず、あれは本滑走路はAですか、新たに一本できたでしょう、それがC。そうすると、いままでのは……。
  72. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) Aです。
  73. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そのA、Cの滑走路が実際にそういうぐあいにできたにもかかわらず、間隔は二千メートルが理想だというけれども、そんなになくてもいいだろうと思うが、少なくとも同時発着ができないような滑走路を何がゆえにこしらえたかというしろうとの疑問が起こってくる、この点はどうでしょう。
  74. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) スポットの問題でございますが、スポットは先ほど申し上げました三十スポットが現在ございまして、約半々が国内と国際で使っておるわけです。ところがだんだん飛行機、特に国際線におきまして飛行機が大型化になるということで、従来のスポットのスペースでは足りないというのに加えまして、機数がふえて数が足りない、こういうふうになってきました。そこで現在の三十では明らかに足りません。それでいま十六スポットをふやそう、こういうことで予算を取り工事にかかり、大体来年の初冬にはできるという工事を進めているわけであります。これができますと、ただいまの混雑状態はある程度緩和できるのではなかろうかというふうに考えております。  そこで、足りません現状におきまして、こういう混雑を緩和することを応急の対策的に考えてやっておりますことの一つとしまして、出発機が二時間、到着機が一時間ここに駐機してよろしいというたてまえになっておりますのを、それぞれ十五分ずつ短縮させるというような措置を講じまして、このスポット問題に対処していこう。しかしながら、なおそれでも混雑は避けられないということで、ただいま先生がお触れになりましたように時間帯を平均化する。御承知のように午前でいいますと、簡単にいうと十時前後、午後もやはりその前後が一番込み合いまして、いわゆるピークの時間になります。そこで外国機を含めまして、そういうピーク時でない時間帯にひとつならして入ってもらう。たとえば十一時から十五時までの間が平均いたしますとわりと閑散といいますか、スポットなども使いやすい状態になるわけなので、そういう時間帯に、ひとつ航空会社の協力を得まして使用をしてもらう、こういうようなことをやっております。先生もおっしゃいましたように、回数などを減らすというところまでの話は、まだ実はやってはおりません。いまの時間帯をならして、あいた時間帯に入ってくるというようなことをしようということで、航空会社の協力と話し合いを求めておるというような事実で処理をしつつあるわけでございます。  なお、最後の、滑走路二本をつくって並行に使えないようなものをなぜやったというお話でございますが、実は、このAとCとの滑走路の間隔は、羽用におきましては二百五十メーターになっております。で、この間隔におきましては、同時離発着には使用はできません。しかしながら、これがかりに一本であります場合には、一時間あたり大体三十回というのが、これが二本でありますと、相当なアローアンスを見まして、四十回という能力の増加が考えられるわけです。年間の率にいたしましても、一本である場合には約十三万回でございますが、これがいまの羽田のA、Cという、そういう二百五十の間隔のもので、やはりこれが十七万回くらいに上がって、約三割弱能力があがるという状態でございますので、二本の効果はある。ただ、これを成田のような新空港のごとく、ぐっと二キロ程度も離して、完全に平行滑走路として使えるということにすれば、これが二十六万回程度までには能力はさらにあがるわけなんで、非常に望ましいことでございます。しかし羽田の現状からいたしまして、あそこにそういった間隔を開いての大工事をするということは非常に困難である。それから当時といたしまして、これは時間的な観点から、とにかく急いで三千百五十メーターのCランをつくりませんと、当時のジェットの入ってきますのに間に合わない。あれができましたのが、記憶によりますと三十四年ごろでございまして、最初のあのジェットが入ってくる直前に、どうしてもAランでは間に合わないということになりまして、大急ぎで整備をするということになりました。その観点から、深さも比較的水深の浅いところまでを急いでやろうというようなことで、二百五十メーター間隔で三千百五十の現在のCランを増設したということでございます。
  75. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。結局、いろいろ言われるようだが、要は二百五十メートルを千メートルか千五百メートルほど海のほうにせり出せば私は不可能ではないと思うのだけれども、おそらく現実には大蔵山の難所が越えられない結果、こういうことになっているのじゃないかと推測いたします。  これはお伺いしませんが、これに関連してちょっと憶測ですが、米軍のいわゆるブルーラインといいますか、結局東京上空における航空路というものが西側が使えないというハンディキャップが東京国際空港にある、その関係二つ滑走路をこしらえたけれども、結局用意のためにちょっと時間を待つという程度で、それだけでもやはり成田空港のできるまではがまんをするということでおやりになったのはよく理解ができるのですが、この問題はいまもってやっぱりあると思いますが、この軍使用のバルーラインの問題、これは一時運輸省としては交渉して、少し北を切るか、南を切るかして、こちらのほうの離発着にもう少し上空の航空路をあけてもらいたいという交渉をしろというようなことを、私は意見を開陳いたしておいたのですが、その後私伺いませんでしたが、これはどうなっておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  76. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ブルーの十四という航空路の問題で、この航空路は軍用の四飛行場の離発着を主たる目的として設定されております航空路でございますが、この航空路が西側に南北に走っておりますので、西の空域が羽田空港から見ますと非常に窮屈になっているということは事実であるわけです。先ほどのCランウエーをうんと沖のほうに出して埋め立てるというのは、いろいろの経費の問題もございますけれども、それの投資効果に比べて、やはりブルー十四との関係から見ますと、投資効果との関係からはあまり得策ではないということもございまして、先ほど申し上げたようなことになったのが実情であります。で、これをひとつ突き破ってわがほうの空域なり、あるいは航空運送の利便を向上しようということについては、米軍としばしば交渉をいたしております。さきには横須賀の上空を通って、突き破って西に出る、静岡に出るという空路を一本開きました。昨年からさらにもう一本横須賀から浜松に抜けるという直航路を中に加えさせるという交渉も、実は米軍の承認を得ている。これによって現在西に回って参ります飛行機のさばきが非常に能率があがりましたし、また大阪等への、西のほうに参ります運航時間も約十分内外は縮まった、航空会社にとりましても、運航経費が相当に軽減になったという実効があがっております。こういった状態を、私ども安全性に支障を来たさない限度におきまして、できるだけ今後も続けていきたい、かように考えております。
  77. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。大体私の想像のとおりですが、できるだけ若干の、大島まで飛ぶというようなやつは、そういう航路が幾らかでも近くなるということになれば、安全性に支障がなければ、これは米軍にやはり折衝し、大いに理解を得て変更するということに御努力を願いたいと思います。  次に移ります。新国際空港建設促進の必要性の第二は、航空機の大型化、超音速機の出現であると思います。そこで巨人機といわれるB747、さらに、U・SST、それから同SSTのコンコルド機、こういうものが動くのは目睫の間ということに聞いておりますが、世界の航空会社がこれに着手して、運航に使用するという時期はいつごろになるか、また現にある程度やっておるならば、どこがやっておるというようなことの実情について教えていただきたい。
  78. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 今後の航空機材といたしまして、これが大型高速化するという一般的傾向の中で、いまおっしゃいました大型化の一番典型的なものはボーイング747、ジャンボジェットという飛行機であります。これは中の仕様によりましていろいろですが、お客さんが四百人前後は乗れるという大きな飛行機でございます。この飛行機は現在、昭和四十三年の十二月末現在で、純旅客型というのが各エアラインで発注を含めまして百五十七機、発注を含めますというか発注をされております。一番多いところは何と申しましても、パンアメリカン、それからトランスワールド−TWAというアメリカの航空会社等でございます。日本航空におきましても、これは八機購入の予定、現在発注済みという状態でございます。この飛行機が現実にいつ飛び出すかというのはあまりまだ確定的ではございませんが、先月の初めにございましたパリのエアショーでは、もうこれがすでに飛んで皆さんの注目を浴びておるという姿でございまして、現在のニュースによりますと、パンアメリカンに一番最初に引き渡しをされますが、その一番最初のものがおそらく太平洋を飛んで日本へ来るのが四十五年の二月ごろではなかろうかというふうに一応言われております。その前におそらく大西洋に入れるほうが先ではなかろうかといわれておりますが、われわれと関係が出てまいります意味において来年の二月を一応われわれは想定をいたしております。  それから、その次の高速化の問題では、おっしゃいました超音速機が一つ高速かつ大量輸送機材ということになると思います。これが現在開発中でございますが、開発の状態は着々と進んでおるということでございまして、特に英仏で共同でやっておりますコンコルドというのがございますが、大きさは大体現在のDC8クラスとほとんど同じくらいでございますが、スピードがいわゆる音速の二・二倍くらい、現在の飛行機の二倍くらいでございますが、輸送力はしたがって倍くらいになるという簡単な計算になるわけでございますが、この英仏共同のコンコルドにつきましても、先般のエアショーでやはり飛んで皆さんに見せております。しかし、まだこれは完全に試運転の状態でございますし、音速を突破して実験をしたという話を聞いておりません。しかしながら、大体いま一般にいわれておりますところは、四十六年中に一番機をエールフランスに渡したい、こういうふうにいわれております。ちなみに、コンコルドの発注機数は現在七十四機発注をされておりまして、これはエールフランスが八機発注をし、これとパンアメリカンの八機の発注が一番大手でございますが、地元のエールフランスに一番機を渡すことになっておりまして、そのエールフランスが四十六年中に引き渡しをしたいというふうにメーカーのほうから言われておるというふうに聞き及んでおります。しかし、これは非常に早い場合のことでございまして、なかなか音速を突破するということは航空機材としては非常に問題ど多い。順調にいきますかどうか、いまのところはっきりいたしません。ちなみに、日本航空がこれはやはり三機発注済みでございますが、これが実際に稼働するというプログラムを立てておりますのは四十八年度と考えてやっております。
  79. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 どちらですか、コンコルドですか、それとも……。
  80. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) コンコルドです。  なおコンコルドと全くよく似ておりますのは、ソ連でTU144というやはり超音速機が開発されておりまして、これがやはり昨年の十二月に試験飛行をやっております。これがいまの英仏共同のコンコルドと競争関係みたいになっておりまして、早ければこのソ連のTU144という超音速機は万博を期して日本へ入ってくるかもしれないという情報などが、これは情報でございますが、一つございます。  それからもう一つの超音速機のグループは、御承知のとおりアメリカで開発しておりますUS・SSTというグループで、これはスピードがなおいまのものよりも速うござまいして、いわれるところの性能で申しますと音速の二・七倍というものでございます。このような音速になりますと、機体に使います金属などが全然いままでと違った、チタニウムなどを使いますようなことになりましたりいたしまして、この開発のほうは相当おくれておる、私どもが当初考えておりますよりはだいぶおくれて、この英仏のコンコルドが出てあと二、三年くらいのところではなかろうか、こういうふうな言い方になっておりまして、五十年前後におくれたのではないかというふうに考えております。このUS・SSTも現在発注されておりますのが世界中で百二十二機ございます。日本航空も五機発注の予約をいたしております。  大体の現況はそういうところでございます。
  81. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ところで、パンアメリカンの四十五年二月に入ってくるというジャンボジェット機、ボーイング747が行きどころがない。これは羽田においてまかなうことができるのですか。どうですか。
  82. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) このジャンボジェットの性能で、現在実験値も出ておりますが、滑走路は現有の三千メートル級滑走路で離発着が可能である、こういうことになっておりますので、来年の初め、要するに成田空港ができるまでは羽田の空港で間に合う、かように考えております。ただ、この飛行機は、ただいま申し上げましたように、旅客並びに貨物の搭載量が従来のものに比べて格段に大きいわけでございまして、この旅客なり貨物をさばくためのターミナル、それこそ先ほどのエプロンの増設というような問題がむしろこのジャンボジェット対策としては急がれる必要な対策になってまいります。その意味におきまして、現在新しいアライバルビル、CIQを含めます出入国のターミナルビルを現在ありますものと別途にもう一つつくるということで、これは四十四年度の予算措置も講ぜられまして、現在設計その他を調整中であるという段階でございます。スポットの問題につきましては、先ほど申し上げたとおりです。
  83. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。  ところで、日本航空が四十四年度以降の分としてジャンボジェット機——B747六機、これは四十八年ですかな。それからUS・SSTはこれは八機、これは注文予約くらいのものですか。それからコンコルド三機というのが発注済みになっておると、こう言われておるのですが、これは四十三年の年次報告に書いてあるのだが、そういうことになりますと、ジャンボジェットは新空港ができるまではこちらで扱える、それからそのほかは四十八年ということになるから、四千メートルのやつを先にやるよりも、二千五百か、三千五百、三千二百か、あのほうを先にやるほうがいいことになるのじゃないですか。どうですか、これは新空港の問題ですよ。
  84. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ちょっと先生の数字が機種ごとに入れかわったように思いますので、もう一度申し上げますが、日航の発注しておりますジャンボジェット——B747は八機でございます。それからコンコルドが発注済みが三機でございます。それからUS・SSTが予約という形で五機でございます。このUS・SSTが発注と申しませんであえて予約と申しておりますのは、実は非常に受け取りの時期が先なものですから、それからいろいろな条件がついておりますので、条件が満たされなければ正規な発注にならないという意味で、その前の予約ということで世界各国のエアラインで予約しておるということで少し区別があるわけです。  そこで、いまおっしゃいました新空港の関係でございますが、実は二千五百の滑走路を先につくるということがあるいは便利だという、そのほうが短いから早くできるのじゃないかというお考えからおっしゃったかと思いますが、この二千五百のほうは、実は総裁のほうからお答え申し上げたほうがいいかと思いますが、川地買収の関係からまいりますと、非常にむしろむずかしい。逆に言いますと、四千メーターのほうには三里塚御料牧場の国有地があって、その面積が非常に多うございますので、一般農民のほうからの買い上げ面積が少なくて済む。こういう事情も一つございますし、それからやはり長いほうを先につくっておくほうが安全的にもよろしいという観点等々で、まあ四千メーターのほうを先にかかるということに現状しておるわけでございます。
  85. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ところで、この日本航空の業績も目下きわめて良好なような状況で、あなたの報告書を読みますと、そういうことになっている。特にこの世界一周便を始めて以来、まあ対米、ソ連、北極回り、南回り、東南アジア等各線の拡大にも非常な投資をしてその利払いもちゃんとやっているにもかかわらず、四十二年末ですか、これは八十億円くらいちょっと残っておる、純利益が。こういうことで非常に好調でまずはおめでたいことでございますが、こういう状況のもとにありまするけれども、おそらくこの各線について相当増加計画がやはり各国は考慮せられるであろう、またこちらも向こうを伸ばしたいためには東京乗り入れを了承しなければならないだろうというようなことで、これは相当ふえてくるという見通しが考えられるわけですから、ジャンボジェット機あるいはまたSSTという問題だけでなしに、この新空港の完成についてはひとつ力を入れてやるべきものだと私は確信しておるわけでございます。その意味においてひとつ大いに馬力を入れてあとで悔いのないようにやっていただきたい、かように存じます。  ついでながら、小さい問題ですが、万国博の場合には大阪空港を使うわけですね。そうするというと、SSTは別としていまのお話だと、ジャンボジェット機は東京、大阪それから千歳、ああいうところは使える、また使うつもりですか、八機も注文されたということですが。
  86. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ジャンボジェットの性能、特に離発着の性能については先ほど申し上げましたとおりで、現在の三千メーター滑走路で離発着可能でございます。大阪はただいま完成直前になっておりますが、あそこに増設中の三千メーター滑走路ができ上がりますと、これは空港の能力といたしましては、ジャンボジェットの離発着は可能となります。千歳におきましても、おっしゃいますように、これを三千メーターに延長をいま工事中で建設中でございますので、ここにもやはり離発着は可能と、かようになるかと考えます。ただ、大阪につきましては、空港の立地条件が、周辺に非常に市街地がたくさんございます。そこで、まあこの大きな飛行機のいわゆる公害——騒音の問題がこういうことになるかということについては十分な配慮が必要かと考えます。やはり音の関係で私どもの現在得ております情報では、現在のDC8、特にストレッチタイプといいます長胴型になりましたものに比べますと、それよりは音が小さいというふうなデーターが入手されておりますので、音そのものとしては現状としてあまり変わりないので、問題はそれほどではないかと思いますが、やはり現実に大きな姿を空に仰ぎますと、音の受ける感覚というものがだいぶ違うだろうというようなことも考えられます。いずれにいたしましても、そういったことから伊丹におきましては騒音公害の問題を十分考慮の上で、こういった飛行機の受け入れを認めるか認めないかということについて、今後なお検討を重ねまして、十分配慮をいたしたい、こういうように考えております。
  87. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 その問題はそのくらいにしまして、次に移りますが、この新国際空港促進の必要性の第三は、国際航空輸送の将来の発展性ということだと思うのです。四十三年の年次報告によりますと、羽田空港における旅客数は四十二年において百四十六万人に達し、三十九年から表を見ますというと非常に上昇機運にあって、大体ここ三、四年の平均は対前年三三%ぐらいの増加になっているように思うのです。この趨勢から見ますと、三三%対前年増加だから、三年たてば倍になるということですが、四十五年末にもうすでに数からいっても倍になるという状況になっているわけです。このほかに御案内のように郵便物、航空貨物は、量は少ないが非常に増加率としては上がってきているようであるし、まだ日本としてはちょっと、私の見解では力の入れようが足らぬ、こういうぐあいに思いますけれども、おそらくこれも相当将来性を考えられるということになる、かように考えます。日本航空においてはすでに長胴型機等の発注あるいは予約等、先ほど述べましたものを除外いたしましても、四十二年にはDC8、これは二機増加して十七機でやる。それからCVコンベアですね、八型、これが五機を投入する。さらに四十四年以降分としてはDC8シリーズ十一機の発注を行なっているようであります。外国機の乗り入れの将来も特にあとでちょっとお伺いいたしますが、航空局長が来週から御出張になられて交渉に当たられるところの対米交渉の関係の太平洋航路については、非常に重大な増便が見込まれるというようなことになり、また日ソ間、あるいはまた欧州航路、それから東南アジア便等の増加は相当予想せられると思うのです。私はこれをお伺いしたがったのですけれども、どうも時間がありませんので後日に譲りますが、羽田空港のリミットが十七万五千回、新空港が二十六万回ということになれば、これは当分だいじょうぶだというような感じがしますが、技術的に見て、一つは、新国際空港はいまの一期計画、二期計画の完成があっても、これはこの航空輸送の増加趨勢、発展趨勢に応じて、大体向こう何年ぐらいもてるとお見込みになっておられるのか、これが一つ。  それから次は、新空港の基本計画ですね、総裁ちょっと聞いてください。新空港の基本計画は一番初め述べられたときは、とてつもない大きい計画でしたね、これを集約していると思うのだが、現地が四の五の言うからこのくらいでやめようということなのか、あるいはまた賛成を得ればこれをもう少し拡張するという意思があるのかどうか。これはむずかしい問題だろうと思うが、ひとつお聞きしたい。
  88. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) おっしゃいますようにこの旅客需要増、あるいはそれに伴います離発着回数というのが急速にいま伸びるということは、先ほど来申し上げておりますようなとおりで、従来の運航計画などの観点から、われわれの過去の作業を振り返りますと、えてして需要予測が下回っているというような状態にございますので、今後の見通しにつきましては、やはり相当急激に膨張するというように考えなければならないかと思います。ところで、そういう観点で新空港を建設中でございますが、この新空港がいつごろまでもつかということにつきましては、なかなか確定的なことはむずかしい。たとえば、ただいまのような機材の変化等が具体的にどういうふうにあらわれるか。いまのジャンボジェットあたりがDC8に相当数置きかえられるということになりますと、回数が減るということも考えられるわけでございます。そういう状態が具体的にどういうふうにあらわれるかということで、なかなか想定はむずかしいと思います。しかし、この新空港の現状からいたしまして、私はこの空港が完成いたしますと相当長期にこれはもち得る、約十年ぐらいは簡単に申し上げてもち得るというふうに考えて計画を進めておるわけでございます。ただこれをさらに、まあ増加傾向もあることであるから、いまからといいますか拡張の考えを持っておるかという御質問に対しましては、拡張の計画は持っておりません。こういうふうにはっきり申し上げたいと思います。
  89. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 この今後の発展性に関連して非常に問題と私考えますことは、今回の日米航空交渉の問題でございます。おそらくこれは航空業界を通じてわが国の国益伸長のために非常に重大な問題であるからして、おそらく原田運輸大臣はみずからお乗り込みになって御交渉になりたいことでやまやまではないかと推察するわけでございますが、何しろ法案をかかえて延び延びに審議が続いておりますので、なかなか出られないということがあるように私は考えます。ところで、今回の航空局長の来週からの渡米される主要問題は、題目は御案内の米国航空企業の太平洋への大量進出、すなわちパシフィック・ケースという問題であろうかと私は推測いたしております。ところでこの問題は、四十三年四月に米国の民間航空委員会、それから米国の十八社の申請を取り上げてそうして大統領に勧告書を送ったというようなことで、ちょうど前ジョンソン大統領が交代前にこれを許可するとかしないとかいうところまできてたいへん問題になったが、ニクソン新大統領がこの再検討ということでまたこれを押えたというような形にはなっておろうと、私はしろうとらしく理解しておるわけですが、今度の問題はこの問題が再燃されたものと理解してよろしいでしょうか。もしそうだといたしますると、パンアメリカン、ノースウエスト、この各社が北回りそれからホノルル経由、両方面におのおのの路線を持つということになり、さらにこれにつけ加えてトランスワールド社あるいはフライングタイガー社が新たに日本乗り入れをやるということが、一つにくるめられての問題であるように思うわけであります。もしこういうことになりますれば、わが国国際航空の、特にこの日本航空のドル箱である太平洋路線というものに甚大な影響を及ぼすのであって、最近の日本航空、専属国際航空会社である日本航空の成績が非常に好調であるといっておりましても、これはまあ実際たくさん乗り入れてこられるということになれば、このドル箱の太平洋路線においてこういうことになれば、まあ業績の伸びというものは残念ながら槿花一朝の夢ということになりはしないかということを非常におそれておるわけでございます。したがいまして、この点に対しての交渉は、私は突っ込んで大臣あるいはまた航空局長にまだ交渉前ですからお伺いしようとは思いませんが、この問題であるとするならば、日本はすでに四十年九月のニューヨーク乗り入れ及びその以遠の関係について、交換条件としてすでに基本的にはこれを了承しておるというようなことにも灰仄聞いたしております。もしそうだとするならば、今度の交渉ではなかなか航空局長これはむずかしい問題で、自分の手のうちには何も交換条件すなわちおみやげも代替物も持たずに交渉するというようなことになるとこれはたいへんなことだと思うのですが、これに対する方法についてはおそらく運輸大臣のお考え、御指示によってわが国の権益あるいはまた国益を十分に確保し、さらに従来から日米航空の発達の歴史に徴しても、われわれが考えてもあの終戦後の間において飛行機、航空便の関係はあたかもサンフランシスコ航路を許すのについても、まるで物を投げて与えるというような形で始まり、今日においては対等交渉というようなことの形にはなっておるけれども、私は公平の原則からいって相当にまだ自制する必要が残っておる。だからこういう点をひとつ大いに頭に置かれまして、そしてなるほどニューヨークほしさあるいはいまは世界一周路線のために、まあその場合においてやむを得ずこういうことを言ったかもしれぬけれども、これを実際に利用されるということになれば打撃だと、それから両国間の輸送実態あるいはまた親善関係というようなものを基本として公平の原則に立って大いに主張すべきではないかと、かように考えておるわけでございますが、賢明なる運輸大臣並びに手塚航空局長のお考えを伺っておきたいと思うのです。
  90. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この太平洋いわゆるパシフィック・ケースといわれておる問題につきましては、金丸さんよく御承知のところでございまして、いまお尋ねになっておる内容あるいは質問を通じて御造詣の深いことは察知できるのでございます。この日本の日米間における航空の状況は、いまお話がありましたように日本は戦いに敗れて占領され、独立をしたときには何もなかったという無から出発いたしておるのでありますから、今日の状況を見ますとうたた感慨無量という感がするのであります。その間にありまして、現在の太平洋の航空路にアメリカ側が新しくノースウエスト、パンアメリカンそれから貨物のフライングタイガー、沖繩へTWA、こういう新しい四つの航路を大統領は認可をした、こういう問題が生じたわけでございます。これに対しまして、いまお話しのように、わがほうとしましては交渉におけるところのいわゆるギブ・アンド・テークという際には、いまお話しのように無から出発した日本でありますから、なかなかかっこうな——そういう面での交渉というものについては、非常に困難な条件があると仰せられたのはそのとおりであろうと私は考えるのであります。しかしながら、この日本とアメリカとの間の航空企業が、公平かつ平等な機会のもとに運営される、及び両国企業は合理的な輸送力の供給をはかるということが、この日米間の太平洋の航空路を見ますときに一番大事なことである、これはアメリカとしても十分認識しておるところであろうと考えますので、この点に立って、日本から、今次のアメリカ側の路線に対応して、日本側が路線の修正を行なって供給輸送力の合理化をはからねばならぬということを強く交渉をして目的を達成したい、このように考えております。  その内容につきましては、いまお話しのように、これは相手のあることでございますからここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、十分その覚悟を持って対処する。お話しのごとく国会の会期中でなかったならば当然私が出向きまして交渉をいたしたいと考えておりましたが、国会の会期が延長されまして、私は運輸大臣として責任ある地位におりまして各法案の御審議を願わなくてはなりません。手塚君を差し向けることにいたした次第でございます。十分局長としてもこの点は認識把握して交渉に臨むと確信をいたしております。
  91. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ちょっといまのこの問題ですね、もう一つわからないのは、パンアメリカンそれからノースウエスト・エアラインなんかは、これはわれわれの常識から考えましても、ああいう事態になっておるからあるいはこれは認めなければいかぬというような気にもなるわけですが、新たにトランスワールドとかフライングタイガーというようなのが乗り入れてくるという事情は何か別にございましたか。しかも、これはやはり了承のうちに入っておるわけでしょうか、どうでしょうか、その点。
  92. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまのは認めるとか認めないとかいうお話がございましたが、これは全然違うのでございまして、その点はあわせて局長から答弁をいたします。
  93. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 具体的ないまの御質問にお答え申し上げますと、航空協定のたてまえからは向こうは向こうというか、日米双方どちらの企業の数はいかようにでも投入することを認める、こういうたてまえになっておる。要するに複数企業を双方で認め合うという大原則になっておるわけでございます。したがいまして、今度のTWAが入りますのはわれわれ日本サイドでこれを拒否するということはできない。特に現在も沖繩にこれは入っておりまして、東京へ入るわけではございませんで、ますますもってTWAに対しては具体的にわれわれのほうの権限でどうするということはできないわけでございます。フライングタイガーというのが新たに東京へ入ってまいりますが、これはただいま申し上げましたような原則で向こうとしては当然やれるというたてまえでございます。逆に日本の場合におきましても、日航以外に適当なるそういう会社がもしあるとするならば、これを指定をして向こうに乗り入れをさせるということはこれは可能であるわけです。ただ、お互いにそういうふうにやりますと、非常に輸送供給力が過剰になるおそれがある。そういう場合にはこれまた協定の本文によりますと事後審査主義、一応はそういう供給はやりますが、あとでこれを審査をして不合理な輸送力の供給はお互いにやらない、チェックをする、こういうような制度は協定の中に盛られておりまして、したがって、双方でいわゆる基本原則といたしまして、この過度な輸送力の増強はお互いに慎むということははっきりと認識をされておるわけです。  今度の交渉におきましては、いま金丸委員並びに大臣から申されましたことで尽きると思いますが、今回の交渉が当然ニクソンの決定によって出てきたことで、私どもとしては日米の航空路はその経済価値においてアンバランスになったという認識のもとに交渉に臨んで、この価値の公平を期したということがまあ基本であるわけです。ただ交渉技術といたしまして、仰せのごとくギブ・アンド・テークというのがこういう航空協定の交渉の一般的な原則といいますが、やり方でございますが、過去のロサンゼルス並びにニューヨーク交渉時におきまして、またその前の終戦時からの経緯等々がございまして、われわれとしては全く与えるべきものは何もないという状態で、向こうからもらいたいというものばかりであるわけでございますが、そういう観点からは今度の交渉はある意味で非常に異例であり、それだけに非常に困難性が伴うということは当然覚悟して行かなければならぬと思っております。しかしやはりこの協定本文にも、問題が起これば協定をお互いに改定するような協議を持とうというような条文が入っておるということ自体は、こういった経済価値が変わってくるというようなことが起これば当然そういう協議はやるのだということになっておりますことから見ましても、そういうギブ・アンド・テークの原則にかりに乗らないにしても、やはり公平の原則からは何らかとるべきものはとるということでまいらねばならないかと考えております。しかしこれは相当やはり困難な問題でございますが、ねばり強く、特に強くわれわれは当たりたい。しかも今回は機会としてはまたとない機会だと考えますので、議題等につきましてもできるだけ広範なオーバーオールな範囲においてひとつ交渉を持ちたいと、かように考えておりますが、なかなかとるものの焦点からいきますと一つ一つ非常に大事なものでございますので、向こうとして、議論はいたしましても、その議論の範囲でどの程度認めるかということについては予断を許さないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、ひとつ皆さまの御期待に沿うように万全の努力を払いたい所存でございます。どうぞよろしく御後援をお願いいたします。
  94. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 先ほど運輸大臣から詳しく御説明がありまして、よく理解しました。また手塚局長の重い使命さぞかしお疲れと思いますが、十分ひとつ御活躍を願いたいことを期待いたしますと同時に、これで終わりますが、かような状況で、いずれにいたしましても、日本の玄関である東京国際空港あるいはまた新東京国際空港の利用というものは非常にふえてくると思うのです。ですから、ひとつこの法案もできるだけ早く上げていただくということに努力をすると同時に、この法案と関連しての東京国際空港周辺整備のためのこれもありますし、それからさらに御料牧場の問題もまだ審議中と思いますが、ひとつ二人三脚じゃなく三人三脚みたいなことになって妙なことにならないように、十分当局として遺憾なきを期していただきたい、かように思います。  私はまだこのほかに騒音の問題であるとか、それから買収の問題であるとか、あるいは環境の問題であるとかいろいろございますけれども、こういう問題はおそらく地元議員が当委員会の委員でございますから、その議員の質疑等を十分拝聴いたしました上で、私の申し上げたいことがあればさらにこれをお伺いすることにいたしまして、本日の質問はこれにて終わることにいたします。
  95. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記を始めて。
  97. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 日にちは六月の十六日、時間は午後五時からおおむね九時ごろまでの間、私が乗っていた飛行機には社会党の成田委員長、わが参議院の岡三郎君、その他自民党の国会議員も乗っておりました。この飛行機が大阪を出発する場合に、羽田の空港の上空に三十数機が待機する状況下にあるので、まず出発を一時間くらいお待ち願います、乗ってから、こういうことでございます。そうしておおむね現時点で八機程度が待機しているようでございますから、いまから離陸いたします、こう言います。そして、相当東京の上をば長い時間飛びまして、最後にあと二機になりましたので、ぼつぼつ私の出番がまいりますと親切に幾たびか言います。一応着陸したのですが、飛行機の中で考えさせられましたのは、新東京国際空港が完成する日まで、羽田空港はこのままでやっていけるだろうか、収容できるだろうかということを真剣に心配いたしました。そこで、先ほど局長の答弁を聞いておりますと、それは滑走路の影響でも何でもないのだ、問題はスポットにあるのだというようなことでしたが、三十数機も待つということは、何か特別の事情でもあれば、別だけれども——さらに乗っておるお客様の中に、こういうことならば新幹線にしたほうがましだったというような苦情も出ていました。これはきょうここで御返事いただこうとは思いません。ただ、わがほうの金丸委員の質問に対する御答弁を承っておりますと、われわれは安心していいだろうかというような、そういう場面に私自身がぶっつかってなかったら、ああなるほどそうかなと聞きのがすのだろうが、十六日にそういうできごとがあっただけに、局長のおっしゃることを額面どおり、筋書きどおりどうも私はいただけないことが残念なんですけれども、これは特別な事情があったのかもしれませんから、いまここで答弁しなさいとは申しませんが、どういう事情でそういう状況であったのかということをば、後日機会を見て教えてください、それだけお願い申し上げておきます。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 数多くて恐縮ですが、運輸省でも公団でもどちらでもようございます。ボーリングの個所及びその結果の成績表、工事計画、特に滑走路等の客土計画、補償対象、補償額、これは解決済みのものも未解決のものも分けて、両方ともお出しをいただきます。  現在の反対者に対する対策、用排水計画と工事の見通し、四千メートル滑走路一本によって処理できる飛行機の数及び人員、関連事業に伴う地元負担金の項目別金額並びに総額、成田空港への進入経路及び七十ホン以上の騒音予想区域地図、敷地決定当時、買収時、現在の鑑定士の土地に対する評価額、以上をお願いいたします。
  99. 岡本悟

    委員長岡本悟君) よろしいですね。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後二時十七分開会
  100. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き道路運送車両法の一部を改正する法律案を議願といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。瀬谷君。
  101. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣がお見えになっているので、最初に大臣にお伺いしたいと思います。  いままで自動車欠陥車の問題だいぶ触れられました。ところがたまたま時期を同じくして国鉄の競合脱線という事故が続いたわけです。東海道線で脱線事故があって、それから北海道でも脱線事故があった。いずれも脱線した車は二軸貨車ですね、同じ構造の。とすると、言うなれば脱線をした貨車というのは国鉄の欠陥車じゃないかという気がするわけです。この国鉄の欠陥車たまたま脱線転覆はしたけれども、幸いにして二重事故にならなかったので大きな被害は出なかったのですがまさに紙一重のところだったわけです。大惨事になる可能性を秘めていたわけですね。運輸大臣としては、このような国鉄の欠陥車に対してはどういう措置を講ぜられるつもりなのか、また現在どういう報告を受け、どのような措置をされたか、あるいはこれからされようとしているのか、その点をまず冒頭にお伺いしたいと思います。
  102. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 前回の委員会でございましたか、瀬谷さんから同様の問題について御質問がありまして、要点をお答えしたつもりでございますが、この国鉄の事故につきましては、国鉄事故のための委員会が設けられて、過去において私どもその結果も伺っておるのでございますが、国鉄といたしましては、その後も事故対策として、北海道におきまして特別な施設を、あるいは設備をいたしまして、この原因不明の事故に対するところの対策を練っておるところでございます。私は、先般、この事故がようやく減りつつある傾向にあったときに、ことしになりましてから同様の事故が続いた。すべてこれがいわゆる競合脱線といわれておる原因がつかめない脱線事故であるというので、あらためて鉄監局長の名前をもって、国鉄でこの事故に対するところの対策を講ずるとともに、どのような策をしておるか報告をしてもらいたいという通達をさせたのでございます。  これに対しまして、まだ原因がつかめておりませんので、結末の報告はまいっておりませんが、御案内のように国鉄はこの問題について先般の三島−函南間でございますか、起きました現地において貨物車を走らせて原因追求につとめておる、こういうことも御承知であろうと思います。いずれにいたしましても、この原因をつかまなければ根本的な対策というものが立ちかねますので、なお続けてこの原因をつかむために調査を進めていく所存でございますが、いまお話しのように、われわれしろうとでよくわかりませんが、この起こっております時点で、たとえば車輪の面に欠点があるのではないかというところで、N踏面の車輪にしたりというような方策を講じたり、あるいはカーブにおけるところのレールの二重設備というようなことも考えて、事故対策ということも講じておるようであります。いまお話に出ましたように、幸いに人身事故を伴っておりませんでしたけれども事故はやはり事故でございまして、非常な被害をこれは与えるものでございますので、事故の絶滅を期するために、私どもは国鉄側にもなお一そう督励をいたしまして、この欠陥車に対するところの処置を講じていきたいと考えます。
  103. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この国鉄の、まあ脱線するような欠陥車に対しては、当然これは政府の責任において、国鉄の責任において原因の究明を行なわせ、対策を立てさせなければならないということになると思うのです。また、現に鉄道事故防止対策委員会というものもできておって、いろいろな関係者を集めて、意見書なんかも出ているようです。ですから、これは国鉄の欠陥車だけじゃなくて、民間の欠陥車ですな、自動車なんかの場合は。こういうものに対しても政府が責任を持って当たらなければならないことになるのじゃないかと思う。ところが、いままでだいぶこの問題、論議をされたし、参考人も呼んでおりますけれども政府の責任において原因を究明をする、内容を調査をする、対策の樹立をするということにはどうもなっていないような気がする。なるほど運輸省自動車局の名前でもっていろいろなものが出ております。依命通達ということで自動車工業会あての依命通達も出ておりますし、大臣の談話もここに出ております。しかし、こうやって役所から書類を出すだけならば簡単な話なんです。しかし問題は、書類を出しただけで、政府通達をした事柄が完全に浸透をし、守られているかどうかということを調べる必要もある。それを確認をしなければ意味がないだろう。それにはいまの陣容で、はたして事足りるかどうかということです。先般の清水参考人からも話がありましたが、自動車の台数がいまとは比較にならない二十年も前と運輸省検査官の数は変わりはないという指摘もありました。十年、二十年前とは比較にならないほど自動車がふえているのでありますから、監督官庁運輸省としても、それに対応をするような機構を備えていかなければならないのじゃないかと思うのでありますが、現在のシステムで、はたしてよろしいとお考えになっておるのかどうか。予算の面で、要員の面で、どうされようとしているのか、大臣の見解を承りたいと思います。
  104. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは企業の大もとの一つの体制という問題から出発しなければならぬと私は思います。民間企業が法律の許された範囲内で自分の英知を集めて自動車を生産をしていく、それが事故を起こした場合に、それを政府の責任として対処をしていくということになりますならば、それがよいということになりますと、これは国営企業政府が責任を持て、こういうことまで発展をしていかなければならないのではないかというふうに私は考えるのであります。この場合は、この自動車のメーカーが自分の責任において欠点というものを見出した場合に、こういう欠点がございますから早くこれを是正したいと思いますので、ということを乗っておる人に通知することによってその欠点を是正するというシステムをとっておるのがアメリカ——州々によって違うでしょうけれどもアメリカはそういう形をもってやっておる、こういうことでございます。これに対しまして、日本では車両検査制度それから定期点検整備、事故警報というような制度のもとで事故に対応する、こういうことをやってきておったわけであります。このことについて盲点というか、この事業者の中で自分のところに欠陥車があった、これは法律には触れておらない、保安基準にも触れておらないが欠陥であるということで、そこでディラーを通じてその乗っておる人に通告して徐々に直しておった、こういうことは、今度私はアメリカ式なほうがより徹底してほんとうの抜本的な、何といいますか、品質改良というか、安全のための品質改良のためによい、こういう判断のもとに、業界に対してもいわゆる公開制度というものをやって、自分の悪い点があったら公表しなさい、役所のほうにもお知らせを願いたいと、私どもでもそれによって万全を期していきたいと、こういうこと。また、ディーラーの人たちにも、あるいはまたユーザーの人たちにも呼びかけて、あらゆる面でこの欠陥車というものをなくしていこうと、構造上からくる事故というようなものはなくしようという体制をとっておるわけでございまして、そのために必要な欠くべからざる人員というものは、私はいまおっしゃるように確保しなければならぬと考えますけれども、やはりこの場合の欠陥車問題に対する一番大事なことは、メーカー自体が自分が最も安全な、品質のよい車をつくるために努力をしておるということを、はっきりとユーザーの前に示すということがなければ、それを法律によって取り締まっていきましても切りがないというか、その点で現実の問題をとらえてみますと、アメリカという国が世界の一番の自動車の国であるとか、日本もようやくそこまで迫ってきたとか、けさほどから木村さんからも御質問がありまして、その中にもありましたが、自動車というものはたいへんなアッセンブルの企業でありますから、エンジンだけがよくてもガラスが悪かったらその車は完全とは言えないというような一つの事例を引いてお尋ねになったのでありますが、そういうことでありますから、私は運輸省といたしましては、繰り返すようでございますが、このたびの欠陥車問題に対しまして自動車保安の確保につきましては、以前から道路運送車両法に基づく諸制度、先ほど申しました車両検査、定期点検整備、事故警報等、これの運用によりまして車両の欠陥の事故の防止に努力したところでございますが、より一そう構造、装置の不良に基因する事故発生のおそれがあるいわゆる欠陥車問題に、適切に対処してその改善をはかるということが必要になったと判断をいたしまして、そこで国産車及び輸入車の関係業界に対しまして、欠陥車の現状とその改善について早急に報告を求めるとともに、自動車使用者に対する周知徹底のための適切な措置を講ずるよう通達し、そして欠陥車の発生を未然に防止するために、自動車メーカーにおいて品質管理の適確化、耐久試験体制の充実強化につとめさせるとともに、新型式車に対する審査及び監査体制の強化自動車型式指定規則の改正研究体制の充実——これは先ほど申し上げましたのは、わがほうでやらなければならぬということは、これは責任を持ってやらなければならぬと考えております——等の方策を積極的に推進していくことといたしました。さらに、欠陥車に対する自動車整備事業者及び自動車販売事業者の適切なる自動車の点検整備の励行を強く要望いたしました。また、今回の問題を契機といたしまして、関係各省との連絡を一そう密にいたしまして、安全確保のための万全の措置を講ずることによって国産車の品質が向上することにつとめていきたいと思います。  もう一度申し上げますが、今次の欠陥車対策といたしましては、私は運輸省といたしましては、森中さんにもお答えをいたしましたが、われわれが必要とするところのことは、予算関係がありましても、これは財政当局とも交渉いたしまして確保いたしていきますが、メーカーそれからユーザー、整備事業者、ディラー一体となって対処をしていく、こういう体制で進むことがよかろうと、このように考えておる次第でございます。
  105. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 なかなかことばの上ではやさしいことだが、実際問題としては非常にむずかしいような気がする。私ども戦中派は軍隊にいた当時うまやに参りますと、馬のたてがみに赤いきれを結んだやつがいる。たてがみに赤いきれを結んだやつは、かむくせがある。しっぽのほうに赤いきれを結んでいるやつは、けっとばすくせがある、こういうことを教えられた。すると、うまやに入ってたてがみに赤いきれの馬がじろっとこっちを見たりすると、かまれないようにこっちも身がまえる。しっぽに赤いきれをつけている馬のそばに寄るときは、けっとばされないように気をつける、こういうふうに、 言うならばユーザーのほうでみずからかまえていくことができた。ところが自動車の場合は、広告ではどの自動車もおれのところの自動車こそは最も模範的な自動車だというふうに書いてある。どの自動車がこういうくせがあるということがわからないわけです。たまたま火を吹いたりハンドルのぐあいが悪かったり、わかったときには間に合わないわけですね。これはとてもいままでのやり方というのは不親切だったと思う。要するに企業のモラルの問題ですね。馬と自動車じゃ比較のしょうがないけれども、馬のほうがいろいろ危険があったけれども、わりあいと私ども注意をされておって、あまりかまれたとかけっとばされたということで、命にかかわるようなえらい目にあったということを私の経験では聞いておりません。それから公害の問題も多少はありますけれども、排気ガスほどの問題にはならないわけですが、多少の問題はあっても、ともかく使う者に迷惑をかけないような方法は講ぜられておった。だから自動車の場合でも、利用者に対して迷惑をかけないということは、最低のモラルとして守られなければならぬと思う。国鉄の欠陥車の問題については、これは政府が責任を持ってやる。しかし民間の問題は、これは国営じゃないわけですから、だからこれはそれぞれの企業とかメーカーが自主的にやってもらわなければいかぬということになりますと、どうも結果の面からいうと満足なことにはならないというような気がいたします。なぜかというと、メーカーは競争をするわけです。その競争が安全の面で競争をするというのならばいいのです。しかし現在の仕組みは、安全の面で競争をするようになっておりません。価格の点で、あるいはスタイルの点でより多く売れればいい、より多くもうけることが企業の中では最高の道徳みたいになっているわけです。だからこういう機構の中で、役所がもっともらしく指導しようとしても、現状のままで行ったならば、はたして思うようなことができるかどうかという疑問が当然出てくるわけです。だから監督官庁としては、一挙に現在の販売機構というものを変えようとしたって、なかなかこれはうまくいかないことはわかっているのですから、どうしたならば安全の面で競争をさせることができるかということに着眼をすべきじゃないか。商売ですから、それぞれが販売の競争をするのは、しかたがないと思う。それはそれとして、単に売れればいいというのじゃなくて、メーカーの信用というものを、見てくれや価格じゃなくて、車の内容で信用を得るように、安全の面で競争をさせるようにするのに、現在のような体制で、はたして万全を期し得るのかどうかという疑問が出てくるわけです。そこで、大臣の談話として六月十七日に「欠陥車国産車、輸入車とも予想を上回る実態」だったということを言っております。この問題が表面に出るまでは、裏を返せば気がつかなかったというのですね。だから「総合的な方策をすみやかに実行する所存」だということを言っておられます。で、「総合的な方策をすみやかに実行する」ということは、では具体的にどうしたらいいかという問題に当たるわけですね。具体的な問題としては、この生産の面と整備の面と、両方あると思うのです。生産の面で総合的な方策をすみやかに立てるということになれば、やはり監督官庁としての指導体制を強化するという必要が生じてくるんじゃないかと、こう思うのでありますけれども、よくいわれるようにメーカーにべったりである、振り回されるというようなことであってはならないと思うのであります。指導体制を強化をするという意味では、運輸省もあるいは通産省も、相当腰をすえてかかる必要があるんじゃないかと、こう思います。だからその場合に運輸省が、たとえば監督官を大勢これから養成すると言っても、そう簡単にできることじゃ、ありません。直接実行しようと思えばできることじゃない。しかし、全国的に規制を強化をしようとする場合には、現在の自動車局のような機構そのまんまで、はたしていいかどうかという問題が出てくるんじゃないか。来年度において要員と予算の面で自動車行政を画期的に考え直すという必要に迫られると思うのでありますが、そこまでの用意があるのかどうか。それは運輸省通産省と双方から、あったならば具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。
  106. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまお尋ねの点につきましてお答えしますが、私は、国鉄の場合は国が責任を持ってやっているが、自動車の場合は国が責任を持たない、そういう意味ではないのでありまして、国鉄の場合にも、その責任者である国鉄側に局長名をもって通達をいたして、この欠陥車に対するところの対策をどうしておるか、報告をしなさいという指導をいたしておるのであります。また自動車側に対しましても同じような通達を、より一そう強い私の名による通達を出しまして、今次の欠陥車問題に対応しておるわけ口であります。したがいまして、いまお話しのように六月の六日以来今日まで約十日間、この問題につきまして、あらゆる対処をやってきました結果、私は、こういう談話を発表したわけでございます。「運輸省は、日本自動車工業会及び日本自動車輸入組合に対し、欠陥車の実態について報告を求めていたところ、前者からは昨日、後者からは本日それぞれ報告を受けた。」「これらの報告によると、欠陥車国産車、輸入車とも予想を上回る実態であり、適切かつ強力な改善措置をとる必要があることを痛感した。」「よって、運輸省としては、欠陥車問題に対する総合的な方策をすみやかに実行する所存であるが、関係官庁との連絡を一層密にして遺憾のないようにしたい。」「わが国の自動車工業の技術水準が既に世界的レベルにあることは異論のないところであるが、今回の問題を契機として今後安全確保のため万全の措置を講ずることによって、国産車の品質が更に向上し、わが国の自動車工業が一層の飛躍発展を遂げることを強く期待する。」と。そこで、いまお尋ねのありました対策をやりましたという内容につきましては、これはやや専門的なこともございますので、政府委員から説明させますが、このことにつきましては、私は運輸大臣として責任を持ってこれらの対策が実現するように全力を尽くすべきだと考えておるのでございます。
  107. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 型式指定をいたします場合に審査をする、それが現在本省の車両課では約十名おります。これが年間百二十件ないし百三十件の審査をやっているわけでございますが、これを拡充いたしまして、われわれといたしましては、それを一つ自動車審査センターというものにいたしまして、これは神奈川で外車の排気ガスの検査を横浜の検査所でやることにしておりますけれども、それと同じような審査センターを設けましてそれを処理したい、そのためには専門の審査官を配置する必要がございます。現在の十名では不十分でございますので、約二十四、五名の組織のものをつくりたいということを考えております。それから、現在自動車製作者に対しまする監査は三年に一回ぐらいやっておりますけれども、少なくとも今後は毎年製作者の監査をする、監査の場合におきましては、メーカーにおきますところの耐久試験の実際の状況、それらの内部の規定、それから完成検査方法はこれで十分であるかどうかというような、特に保安に関する面につきましての監査に重点を置くと同時に、今回のような欠陥車に対する取り扱い等におきましても重点を置いて監査をいたしたい。それには四名ないし五名の専門の監査員を要すると思います。それから陸運局では御承知の車両検査をやっておりますが、車両検査登録につきましては検査登録特別会計で仕事をやっておるわけでございます。四十四年度におきましても、検査要員は八百三十名でございますが、その関係の増員と、さらに指定整備工場を監査するというふうな関係の人数が必要です。そのほかに今回のような欠陥車問題等の事故調査を専門的に担当する専門調査官を各局に少なくとも一名、東京とか名古屋大阪のような大きな都市につきましては二名程度のものを配置していきたいというふうに考えております。それから運輸省研究体制でございますが、現在は御承知のように船舶技術研究所がございまして、そこでは交通安全部と交通公害部の関係で、自動車関係は約二十名を配置しております。今回のような事故の問題ですが、車両欠陥事故に起因する問題につきましては、構造、装置の改善というようなものを専門的に掘り下げる必要がございますので、事故解析部というものを設置いたしまして、専門的に仕事をやらせるようにしたい、専門的な部を開設いたしますためには、やはり十三名ないし、四名程度の人員の配置が必要であろうかと思います。で、今回のものに対する関係は、ただいま申し上げましたような本省の型式検査審査体制、それから製作者に対する監査の機能、それから地方におきますところの事故の問題の専門的な調査官、それに研究所の整備拡充ということでございます。さらに現在やっておりますところの車両検査あるいは登録関係につきまして、自動車数が非常にふえてまいっておりますので、機械化等の拡充とともに、必要な要員を確保するようにいたしたいと考えております。
  108. 植木光教

    政府委員植木光教君) 通産省といたしましては、安全及び公害の問題というのは非常に重要でございまして、 かねてからメーカーのみならず部品業者に対しましても、たとえば機械工業振興臨時措置法等によりまして技術の向上をはかるなどというふうな努力をしてきたわけでございます。先ほど自動車メーカーは、たとえば装飾であるとかスピードだけで競争をしているのではないかというようなお話がございましたけれども安全性というものを確保いたしません限り、企業の信用をやがて失うわけでございまして、販売競争においても負けていくということになりますので、また、これは自動車工業全体の発展にもつながることでございますので、各社とも安全及び公害についてはいろいろ努力をしておりますし、また、通産省としても強くそのことを指導してまいってきているわけでございます。研究開発費に関しましても、昭和四十三年度安全関係六十億、公害関係には四十三億円というのを研究開発費として業界が出しておりますし、また業界が共同いたしまして日本自動車研究所というのをつくりまして安全、公害に努力をいたしております。また重要技術研究開発費補助金制度等も活用いたしているわけでありますし、通産省自身といたしましても、工業技術院の自動車安全公害研究センターにおきまして安全の研究を鋭意しているという状況でございます。  なお、今回のような欠陥車問題が起きましたのはまことに遺憾でございまして、当省といたしましては、直ちに業界及びメーカーに直接、設計面、製造面において安全が確保されるように、また研究開発に一そう努力するように、さらにまた国内車輸出車、すべて当該車の点検、修理、部品の交換を早急にやる体制をつくるように、またこの欠陥車の発生状況、改善対策、点検、修理、部品交換の進捗状況、処理経過についてもあわせて直ちに報告するようにというようなことを指示したわけでございまして、今後も努力をしていく所存でございます。  なお、今回の欠陥車問題が発生するに至りましたのは、海外からの情報によりまして問題が起こったわけでございます。したがって、一部の資料の収集につきまして通産省において十分な体制でなかったということがございます。したがって、国内の発生状況については直ちに報告させ、また海外におきましてもできるだけ情報をすみやかにとるというための努力をいたします。そしてこのために行政事務処理体制というものも完備するようにということを指示をいたしておるのでございまして、省内においてもそういう体制をつくり、努力をいたしてまいりたいと考えております。
  109. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 警察庁の交通局長が見えておるのでちょっと質問しますが、事故は警察のほうで扱っているわけですが、いままでだったらば交通事故の統計というのはどういう形でとられておるのか。この交通事故の統計を通じて、たとえば事故を起こしている車はどういう車が多いのかというようなことだってわかるはずだと思うのです。そこから、運転者の不注意ということで片づけられたのも、よく調べてみると車の欠陥にも事故の要因となるものが少なからずあったということが判明をしていいと思うのでありますけれども、いままでの事故の統計で、そういうことはわかっていたかどうか。それから今後の扱いとして、事故から車の欠陥ということをある程度推定をするというような措置は講じられないものかどうか。もちろん事故の中には、新車ばかりとは限らないから、中には古い車もあるだろうし、たとい欠陥のない車であっても、おんぼろになれば、それはいろいろ欠陥が出てくるのだから、一がいに車の種類だけでは云々できないと思うのですけれども、年数を経て当然これがぼろになったというものはしかたがないが、そうでなくて構造上、設計上何らかの欠陥があるのではないかということがこの事故の統計の中から、ある程度推察できるような方法は、警察庁のほうでは講じられないものかどうか。また、それは技術的にむずかしいというふうに言われるならばこれはやむを得ませんけれども、できるならばそういうことで予防措置を講ずる一助とすることはできないものかどうか、その点をお伺いしたいと思う。
  110. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 従来の統計はいろいろな観点から集計が行なわれております。事故の原因の中でも、その違反の態様、たとえば無免許であるとか酒酔い運転であるとかあるいは追い越し違反であるとか、そういう観点からとらえられております。すなわち運転者がどういうような行動を行なったかというのがわれわれの従来の関心でありました。もちろん構造上の問題があるということは従来あまり関心がなかったものでありますから、運転者中心で集計が行なわれておったということはいなめません。それから車につきましても、車種別、たとえば大型の貨物車であるとか小型の貨物車あるいは乗用車あるいは営業用、自家用といったような、そういう、何といいますか、外形的な分類で行なわれておったということでございまして、御質問のようなふうに役に立つような集計は現在行なわれておりません。  ところで、私どもはこの構造の問題が起こる以前に、われわれのほうの統計のあり方について広範囲に考えてみた場合に、事故の分析をやる場合に必ずしも十分ではないという反省をいたしておりまして、現在この統計をどういうふうな分類で集計すべきか。もともとの原票自身が改められなければなりませんので、その原票のあり方、それから私ども電子計算機の能力ということもございます。現在運転者管理センターという大がかりのものをやっておりますので余力がないわけでありますが、今後その余力を見つけて、これをどういうふうに運営していくかということの関連もあります。原票にあるものがすべて全国統計にあらわれてくるものとは限りません。これは電計の能力の問題であります。  そこで、御質問の焦点である構造上の問題が統計の上にあらわれてくるようにできないかということでございますが、いま申し上げたようなことで、従来はあっても、「その他」ということの中に包含されておったであろうと考えます。そこで、全般的な統計の再検討の中で、もう一度考えさせていただきたいと存じます。
  111. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 警察が人間中心、犯罪中心ということになることは考えられることです。しかし、事故の要因の中には、いままで考えてなかったかもしれませんけれども、車の欠陥ということもあり得るというわけですね。必ず車の欠陥というものも事故には作用していると思う。だから事故の場合には、運転者人間だけに着眼をするのでなくて、その何らかの要因になっているはずの車の欠陥に対しても目を向ける、そして統計で明らかにするということが必要じゃないか。それはそんなにむずかしいことじゃないと思うのでありますが、これからそういう点を考えに入れることができるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  112. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 先ほど申し上げましたように、私どもの統計がやはり警察に役に立つようなというところに重点が置かれておったことは当然でもあり、やむを得ないわけでありますが、現実に事故を扱うのは警察だけでありますので、われわれの統計が関係各省、あるいは部外の機関にも役に立つようなふうにできないものか。つまり交通事故の真の原因がどこにあるかということがわれわれの統計の中から読み取れるようにすべきではなかろうか、そういう反省をして検討を続けておるところでありますが、この中に、いまおっしゃった意味も含めて考えてみたい。若干技術的なものもありますので、私、ここで必ずやるというふうに断言はできませんけれども、そういうふうな方向で検討さしていただきたいと思います。
  113. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先般、レースカーでもって死んだ事故がありましたね。その磐田警察署ですか、そうしたら車のほうは持っていってしまって、警察のほうでは写真も取れなかった。こういうような事件がありましたね。ああいう問題はやはりわれわれが考えれば何かメーカーの秘密主義というふうに受け取れるわけですよ。人がどういう運転をして死んだかわかりませんけれども、人が一人死んだわけですね。悲惨な死を遂げている。そういう場合には死人に口なしで、死んだ者に一切の責任をかぶしてしまって、そして車の欠陥はわからないように処置してしまうという妙な秘密主義というものを感ずるわけですよ。だから、あんな場合は警察としてはき然とした態度をとって、そして、かってなまねをさせないということが必要じゃないかと思う。どうもあの問題は当時からちょっと気になっておったのですが、うやむやになってしまったような気がするのですがね。特に、そのことについてあらかじめ私は質問するというふうに通告していなかったので、用意があるかないかわかりませんが、いまもって釈然とできない事件です。警察庁としてはどのような処置をとり、今後あの種の問題に対してどういう態度をとるおつもりなのか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  114. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) あの事件は、私どものほうでは刑事局が扱っておりますので、私は間接的に聞いた程度でありますが、その点で申し上げますと、事件の当初にあたっては、やや手違いがあったように思っておりますが、ただ、現実の捜査といたしましては、本筋にのっております。しかし、非常に技術的な問題が多いようでありまして、いろんな関係者の意見を聞き、捜査が続けられているそうでありますが、相当時間がかかるということで、必ずしもあいまいになっているということではないようであります。ただ、交通局で扱いまするものはああいった道路外の問題あるいは企業内でいろんな試走テストが行なわれているというような分野は入っておりませんで、やはり市販されている車が動いている。それの違反あるいは事故について処置するわけでありますから、これはそういった問題は全然ないと存じております。
  115. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 人のうわさも七十五日ということわざもあるわけですが、問題になっても日にちがたつとうやむやになるというケースが多い。警察が何かそのメーカーに頭をなでられてごまかされたという印象を与えてはいけないと思うので、あの問題についても、その後の調査なり処置等について十分調べてもらって、そして報告をしてほしいと思う。それからこれは車の性能等にいろいろ関係がありますけれども、多くの事故はスピードに関係があるところがわれわれが新聞で見ても、自動車の広告には、やれ百四十出るとか百五十出るとか、こういったスピードを誇示している広告がかなり見受けられます。日本の道路でもって百キロ以上出してもだいじょうぶだというところはめったにないと思う。高速道路でも百キロ以上スピードを出せば、往々にして事故を起こす。高速道路以外の道路で百何十キロ出すなんということはさたの限りです。だからこのスピードの規制ということは、自主的な、良心的な、措置を待つということでなくて、もっと真剣に考えていいことじゃないかという気がいたします。そこで、とかくこういうスピードであるとかスタイルであるとか、そういうことで競争をして、購買力をそそるということがあってはうまくないと思うのでありますが、一つ私が取り上げてみたいのは、毎年秋になると自動車ショーというのをやりますね、晴海でもって。その自動車ショーをやるときには新しい車をあそこへ並べて、それでモデルのお嬢さんかなんかをそばへ立たして、いろいろなことをやっているわけです。しかし、あれは言うなればお見合いみたいなものですね、見てくれだけですよ。車の性能がほんとうにわかるわけじゃない、車の安全性ほんとうにわかるわけじゃない。ほんとうに外見だけで装うところの、いわば集団見合いみたいな形です。ああいうことを続けていったのでは、私はメーカーがほんとうに良心的に安全の面で競争するという意識を持つかどうかわからない。あの自動車ショーというのはどういう形式で、どこが中心になってやられてきたものか、参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  116. 植木光教

    政府委員植木光教君) 仰せのように自動車高速性能は、自動車の必要とされます性能の一つでございます。性能明細書には最高速度を入れることになっておりまして、何キロ出るかということはユーザーにはっきりわかるわけでございますが、誇大な宣伝をいたしまして、過度に高速性能を強調いたしますことは、使用者に対しまして不必要な冒険心を起こさせ、事故につながるわけでございます。したがいまして通産省としては業界に対しまして、誇大な宣伝はしないようにということは強く要請をしておりまして、昨今は誇大宣伝はなくなったと私どもは信じておるのでございます。しかしながら、さらに今後も努力をいたしてまいりたいと存じます。  自動車ショーにつきましては、民間の企画で行なわれるわけでございますが、監督は通産省がいたしておりますので、私どもとしてもいろいろ御指摘のことがございましたならば、今後十分な措置をしていかなければならないと存じます。しかしながら自動車ショーは大衆商品といたしましての国際的な慣行でございまして、他の商品についても行なわれておるところでございます。先ほど申し上げましたように誇大な宣伝を行なうことによって事故を起こすということがないように、十分な配慮をし、指導をしてまいりたいと思います。
  117. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 自動車ショーのあり方なんですがね、まあいろいろな商品がそれぞれ展示会を開くというのはわかりますけれどもね、ちょっと自動車の場合はほかの商品とは性格が違うと思う。まかり間違えばこれは凶器になる。その意味では自動車ショーを単なる見てくれのショーにしたのでは意味がないのじゃないか。だからむしろせっかくこういうことを企画をして毎年やっているのならば、それぞれのメーカーが最も良心的に精魂込めて安全の面でも十分に自分たちの製作をした自動車について披露できるように、安全テストであるとかあるいは車体の強度であるとか、そういう安全の面の展示を競争させるような企画を通産省指導をするということはできないものかどうか。いままでのやり方と少し形を変えてみてもいいんじゃないかという気がするのでありますが、その点はどうですか。
  118. 植木光教

    政府委員植木光教君) たいへん適切な御指摘でございます。今後その面において指導をしてまいりたいと思います。
  119. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それからこのスピードと一緒に公害対策の問題があると思うのです。それで、今度車の排気ガスの規制を従来よりも強化をする。一酸化炭素の濃度を三%から二・五%に引き下げる、こういうことなんでありますが、厚生大臣から運輸大臣に書面が出ております。ほかのことと違って排気ガスなんというのは目に見えるものじゃないですからね、始末が悪いわけです。それだけにごまかしがきくということも言えると思います。排気ガスの許容量というのを三%から二・五%に下げるということが、車をつくる場合にコストにどれだけの影響をするものなのか。それからパーセンテージとして、はたしてこれでいいものかどうか。それらの点についてお伺いしたいと思います。
  120. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この自動車の排出ガスの規制の問題につきましては、御承知のとおり六月の十二日にこの本年の九月一日以降に販売される新型車につきまして保安基準改正して、三%以下を二・五%に引き下げるということをきめまして、それから継続して製造される新車につきましては、乗用車にあっては昭和四十五年一月一日以降に、トラック及びバスにあっては昭和四十五年四月一日以降に、それぞれ同一水準にまで引き下げるよう規制をいたしたのであります。これに対して厚生大臣からは、お話のようにもっとひとつ強化してもらうようにという、こういう申し入れを受けております。厚生大臣としては私はごもっともなことであろうと考えまして、この御要望に沿うためになお一そう努力をしたいと、このように思っております。厚生大臣にも私はそのように返答いたしておきました。御要望に沿うようにやります。しかし厚生大臣もこういう場合に私に文句を——文句じゃないが申し入れをされるならば、厚生省がやるべきたとえば検疫の問題について、あなたは責任を果たしてもらわなければいけませんよということを、運輸委員会で私は答弁しておいたというおまけをつけて申し上げておきましたが、私は決して責任のがれをするわけではございませんが、鋭意この問題については今後も努力を続けてまいりたいと存じております。それからコストが幾らという点になりますと、ちょっと私わかりかねますので、事務当局から答弁をいたさせます。
  121. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 排出ガスの浄化装置をつくるために、特にこれがコストに幾らという明白なものは持っておりませんが、ただ、このガス規制を将来さらに強化いたしますためには、メーカー側等におきまして相当の研究をしなければならない。現在の技術レベルから言いますと二・五%以下にすることは可能であるということで、この規制をしたわけでございますが、将来これをさらに強化いたしますことが技術的にできるかどうかという点につきましては、今後研究を進めるわけでございます。その研究のための費用はある程度かかるかと思いますが、その結果によりましてどういう装置をどうやっていくかということによりましてコストに反映するということでありまして、いまのところそれらにつきましてどうなるかという推定は困難でございまして、技術的にそれが可能であるかどうかという件につきましてメーカー筋にもお願いをしている次第でございます。
  122. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 通産省としては排気ガスの規制という問題で、この自動車業界に対する指導をしなければならないと思う。いま運輸大臣はさらに二・五%よりももっと引き下げるように努力をしたいということなんでありますけれども、つくるほうが自主的にやっておったのでは、なかなかこれはうまいこといかないんではないかと思う。むしろこれは関係官庁として強力な監督なりあるいは指導をするということでないと実効はあがらないんじゃないかという気がいたしますが、排気ガスの規制等は、はたして運輸省あるいは厚生省の諮問に沿い得るように実行できるのかどうか。その点、通産省からお答えを願いたいと思う。
  123. 山下英明

    説明員(山下英明君) 排気ガスにつきましては、私どものほうで生産行政面から鋭意業界を指導しておりますこと御案内のとおりでございますが、技術的な面とすり合わして従来まで検討してきました結果は、二・五%くらいまで下げられるのではあるまいかということで指導し、メーカー側として取り締まりの期限以前でも自主規制の形で大半の車種についてはそれを実行したいと、こう申しておる現状でございます。
  124. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 排気ガスのために非常に一酸化炭素が多くなって、場所によっては交通巡査がときどき酸素吸入か何かで息をつぐといったニュースを聞いたのです。都内にそういう個所は少なからずあるんじゃないかと思う。しかし交通巡査が酸素吸入をやるなんという話は、ちょっとこれは悲劇というんだか喜劇というんだかわからない。こういう事実のある個所が東京周辺に何カ所くらいあるのか、警察庁のほうからお答え願いたいと思う。
  125. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 警察官の衛生管理の問題でありまして、私のほうは新聞などでその報道はしておりますけれども、具体的な数字を私自身はつかんでおりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  126. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 実際問題としてこの排気ガスで迷惑をこうむっておるのは交通巡査だけではないわけで、交通巡査は逃げることができると思うが、その近辺の家に住んでいる者は逃げようがない。こういう人たちにとっては文句の持っていくところがないわけです。ではどうしたらいいのかということです。そこで、やはり排気ガスの規制というようなことは、メーカー側が実行したいといったようなことを言っているだけでは私は不十分じゃないかと思う。また、新しくできる車についてのパーセンテージが二・五%だとしても、在来の車は一体どうなるのか、在来の車は相変わらずどんどんガスをまき散らしているということになると、なかなかこれは二階から目薬みたいなことで実効を期せられないと思うのでありますが、中古車に対する排気ガスの規制ができるのかできないのか、それから新しい車についての排気ガスの規制というものがほんとに徹底して二・五%以下にすることが可能なのかどうか、可能でないとするならばどういうふうにやったらよろしいのか、やる気があるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  127. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この公害問題、排気ガス対策というのは、私は自動車産業界が今後ほんとに真剣に取り組むべき課題であると考えております。したがって、ほかの委員会でもお答えしたことがあるのでございますが、私は、日本の自動車産業を背負っておる企業の人たちは、安かろう悪かろうで、もうけようということで、昔と同じような、日本人がよくいわれた、日本の品物は安かろう悪かろう、こういうようなことではなく、世界一の品物をつくっていこうという意欲を持っておる人たちであろうと考えておりますから、したがって、世界一のいまアメリカあるいはヨーロッパ先進国の自動車を持っておる国々で問題になっておる公害問題に対して、日本の自動車産業というものが取り組むのは当然のことであろう。そういうことを私らがやかましく言わなくても考えているはずであるということを、だいぶ以前に答えたことがあるのであります。したがって、そのことから私は現在の二・五%が九月一日からということは当然と考えておりましたので、このときも大平通産大臣に、私どものほうはこういうことをやりますということを言いましたら、大平さんはけっこうだ、こういう答えがありました。あとから技術的な今後の問題について、あるいはいま走っておる新車以外の車に対することにつきまして政府委員から答弁をいたさせますが、通産政務次官あるいは重工業局の次長もおいででありますが、われわれは一体となって日本の自動車産業というものが今後目指す道というものを強調していくべきである。日本の国で現在免許を持っておる人たちが約三千万といわれておりますが、自動車が走っておるのは千三百万台ですから、そうすると自動車はふえていきます。しかし現在でもフルの状態でありますから、そのスピードを競って、先ほどからあなたのお話のように、日本の国でこの車が二百キロ出せるんだ、三百キロ出せるんだというようなことを競い合うということはなかなかできない。公共投資で自動車の走る道ができるよりも、自動車のふえてくるほうが多いのです。その際に、自動車産業として、たくさんの自動車というものを中心とした企業があるわけであります。公害のもとになるガソリンを売っているガソリンスタンドとか、これはたくさんの人をかかえて、そこで所得を得ておる人があるのであります。それからディーラ等のあらゆる人たちを網羅して、その人たちがどうして今後も所得を伸ばしていくかということを考えるときに、新しい課題として公害のない車をつくり出していく、そこに付加価値というものを求めていこうということは当然心ある企業家の考えなければならない点である。私はこういうことを根本的に考えておりますので、通産省ともわれわれは一体となりまして、先ほど何べんも申し上げておりますが、警察と関係当局と一体となってそのような行政指導をし、実現をしていきたいと考えておりますし、当然そうなっていくであろうという確信を持っております。それからいま走っております車についての対処は、政府委員から答弁をいたさせます。
  128. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 先ほどの大臣お話は、いわゆる新車対策でございますが、使用過程の車、すなわち走っている車でございます、これにつきましては車両検査のときにいわゆるアイドル時の一酸化炭素の排出濃度の規制をしたいと思っておりまして、これを四十五年度から全部の検査場で実施する予定でございます。そのためには濃度規制をきめなければならないわけでございますので、本年度は東京と名古屋と大阪の既設の自動車検査場に排気ガスの検査機を設置いたしまして、いま実験を始めておるわけでございまして、今年度中にその検査の実験が終わりまして排出濃度の規制値及びその検査をきめまして四十五年度から全試験場におきまして使用過程の車の検査を実施するようにいたしたいと思っております。  なお、自動車の排出ガスによる被害、特に非常に込んでおる場所等におきます被害というものも運輸省といたしましても調査をする必要がございますので、今年度におきまして全国の主要都市の中で十カ所を選びまして、そこの場所におきましてアンケートあるいは面接調査等によりまして被害状況がどうなっておるかというふうなことを調査いたしまして、将来のこの規制問題あるいは被害者の救済の問題等に対する資料をつくるというふうなことで本年度実施いたす予定にいたしております。
  129. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そろそろ締めくくりたいと思っているのでありますが、要するに粗製乱造的な競争をやられてはたいへんに迷惑であるということになろうかと思うのであります、一口に言えば。  そこで、さらに事故のもととなっているスピードの問題について、もう一度これは通産省からもお答え願いたいと思うのでありますけれども、スピードを出さないようにしろというよりも、スピードが初めから出ないような車をつくったらどうか、まるっきりスピードが出なくてはこれは役に立たないのでありますが、必要以上のスピードは出ないような車をつくるというようなことも事故防止のためには考えられていいのじゃないか、そういう排気ガスなり、あるいはスピードがもう六十キロなり八十キロ以上はどうがんばっても出ないといったような、比較的健全な車をこしらえた場合には、税金の面その他でもって政府もある程度助けてやる、こういったような方法を講じてもいいのじゃないかという気がするのです。野放しでこうやってメーカーに競争ばかりさせておけば、どんなにお説教をしてみたところで結局はスピードを競い、見てくれを競い、そうして事故のほうには目をつぶるということになってしまう。だから、そういう意味では、むしろ車の構造そのものに事故を起こさないような、公害をもたらさないようなことを要求をするということができないものかどうか、できたらやるべきじゃないかと思うのでありますが、それらの点についての見解を最後にお聞きしたいと思うのであります。
  130. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 非常にむずかしい問題で、スピードを出すことによってガスの毒は少ない、こういうことになるのですね、私は詳しいことはわからぬけれどもアメリカに日本は輸出していますが、日本のいまの規制は世界一だと聞かされているのです。アメリカと違うじゃないかということをしろうとですから聞いたら、向こうは日本のようにのろのろと走っていない。自動車がスピードを出して走っておりますから、そのときに排出するガスというものはいわゆる基準以下のものである。ところが完全燃焼しないガソリンがあるものだから、そこから出てくるなにがあるから日本ではそういうことになるが、アメリカへ行って日本の車が走ったら、出すところの毒は少ないのです。だからいまの規制からいうと、決してアメリカに負けていないのです。こういう専門的な説明を私は受けたのですが、だからスピードをとめるということと、いまの技術でスピードを出さないということと、今度は公害のほうとは、もうがまんせぬならぬというような、非常に二律背反的な問題これが非常にむずかしい。自動車というような高度の技術のいま当面している私は問題だと思うのであります。したがって、スピードのほうは先ほど通産省からお話がありましたが、おっしゃるとおり、いままで何キロで走れるとか、どちらかというと、そういうふうな宣伝なんかも新聞なんかにも多かったのです。日本で走るはずなのに二百キロだとか、そういうことを私らも指摘したこともございました。そんな速度で走ったら一ぺんに速度違反で引っぱられることを平気で宣伝しているのをどう思うかということで……。このごろは、たとえば同じ宣伝でも耐久力を、ラリーの宣伝をしているとか、そういうふうに向いておると思いますので、その面では私はスピードというものに対するところの規制強化をして車をこしらえてしまうということは、車のこれからの改造、進歩ということに対してはどうか、これは私専門家でありませんから、いままで聞いている範囲の中で、私が感じることを申し上げておるのであります。したがって、より一そう、どちらかというと、ユーザーといいますか、使用者側に立って、そういうことで、むちゃくちゃな、マフラーを取ってしまって、わっとおどかしたらスピードが出るらしいのですが、ああいうことは絶対いかぬのだと、いまわれわれが欠陥車でわいわい言っているくらい熱をあげてやる必要がある。この間も言いましたが、「あきれるドライバーのマナー」という一つの切り抜きを持っておりますが、高速道路ができた翌日、朝日新聞でありましたか、せっかく安全を守るためのミラーをつけたらそれを取っていく。何でも盗んでいく、あるいは整備をせいと言っているのに整備しない。そういうことが事故につながっていることのほうがほんとうは多い。欠陥車事故というものよりも、そういうものの事故が多いのが実態である。しかし、構造事故を起こすということは根本的なことでありますから、今度は皆さん方もおっしゃるし、私自身も何とかしてこれをなくさねばいかぬと思って一生懸命になっておりますが、スピードの点は、やはりスピードが出ぬ車をつくれという瀬谷さんのお話でございますが、これはどうか、それがけっこうでございますと、ちょっと私言いかねるように思いますが、いずれにいたしましても、完全な車に近づけるようにひとつ努力をいたしたい、このように思います。
  131. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私もまるっきりスピードの出ない車と言うわけではないのです。少しは早くなければ、歩いたほうがいいとなってしまうが、ある程度のスピードは必要だと思うのですが、たとえばこの近辺の道路であったら六十五キロだとか、その程度に押えられていますね。それ以上出すと、白バイに追っかけられることになる。だから百キロ以上のスピードなんか必要ないじゃないかという気がするのです。高速道路ですら百キロで間に合うんですから。そうすると普通の場合はせいぜい六十キロから七十キロくらい出せれば間に合うようになっておるのじゃないか。必要以上にスピードを出すところに必ず事故が伴うということを考えるので、そこで、ある程度のスピードは、出したくとも出せないような車をつくって、そういう車こそ安く買えるというふうにしたほうがいいのじゃないかということを考えますから、そういう質問をしたわけです。そこで、そういうたとえばスピードが出ないで排気ガスも出ないというわけにいかないということでありますが、そういうことも研究をすればできないことはないと思うのですよ。ただし研究機関が、メーカーに比べて監督官庁のほうの研究機関が、全くお粗末であるということが最近指摘をされております。こんなことじゃしようがないと思う。だからむしろ監督官庁のほうがメーカー以上に優秀な研究機関を備えて、そして排気ガスの問題にしてもスピードの問題にしても、あるいは車体の強度の問題にしても、欠陥車をなくす方法にしても、十分に研究できるような体制をとることがさしあたって必要じゃないか。いまの、どの程度にお粗末なのかそこまではわかりませんけれども、要するにメーカーに比較して、民間に比較をして、まるっきり見劣りがするということではならないと思う。だからむしろ研究機関というものを十分に整備をする、整えるということがまず政府として必要なことではないか、こう思いますが、その点についての考え方をちょっと。  それからちょっと申し忘れましたけれども、たとえば騒音を出したような場合ですね、マフラーをはずして騒音を出しているような場合の取り締まりです。こういうような問題は、遠慮なく取り締まるべきじゃないかと思うのです。つかまえても簡単に釈放してしまうということじゃなくして、必要以上に騒音を出して迷惑をかけたものは車を没収してしまう、そのくらいの強行措置をとらなければ、なかなか迷惑をかけるものを一掃することはできないと思うのでありますけれども、その点について最後にお伺いして質問を終わります。
  132. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 研究所をつくってスタッフを整えろという御意見に対しましては、ありがたく拝聴さしていただきました。そのように私はやっていきたい、このように考えております。  それから騒音につきましては、これは私どものほうの所管並びにこれは道路交通法の関係もございますので、これらとよく連絡をいたしまして、これらの点につきまして適当な所要の措置を講じていきたいと存じます。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。いま瀬谷委員のほうから前に質問がございました各種自動車のスピードの制限ができないかという問題でありますが、政府のお答えでは、私はちょっとやっぱり不満であります。この次私もその点を伺いたいと思いますので、御用意をいただきたいと思いますのは、スピードの宣伝と安全度を守るということの確立と、全然後者の安全度を守るという点は、いまの自動車メーカーではなおざりにされているのじゃないか。表向きはスピードの宣伝だけで車を売ろうとしている。ですから、軽四輪車が一般乗用車と同じようなスピードのような宣伝をしておる向きもある。そうなってくると、危険度というものは当然増進されるのじゃないか。安全度が確保されないということになるのじゃないか。その点ももう少しそれぞれの車種に応じてスピードの制限というものがなければ安全度が確保できない、こういう点、規制措置がとれないかという瀬谷委員の質問ではないかと私は伺っておったわけです。そういう点あとで伺いますので、これらに対してそれぞれ専門の立場で対策がございましたら、私の質問のときにお答えをいただきたいと思いますので、ひとつ御用意をお願いいたします。
  134. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私も、たとえばホンダ360とか、小さい車であるのに、大きなクラウンと同じようなスピードで走ることはどうかというようなことを思っておりまして、先ほど午前中でしたか、木村さんから警察庁に御質問がありましたときに、私もそれを伺っておりましたので、たしか制限してあるはずだと、制限のしかたがありますけれども警察庁のほうに先ほど聞いたのでありますが、高速道路で、やはり小さい車が八十キロ以上を出したらいかぬということに制限はしてあるそうであります。だけれども、先ほどお話があったように、現実の問題としてやはり実際には同じように走ってしまう、こういうことでありますが、これに関しましてまた後ほどとのお話でございますから、十分準備をいたしまして答弁をいたします。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 質問が足りないようでありましたが、私は取り締まりの上からの、走ってしまってから取り締まりの上からの規制ということじゃなくて、構造そのものに規制を加えていくということを考えなければ対策が立たないんじゃないか。そういう点でひとつあとでお答えをいただきます。
  136. 森中守義

    ○森中守義君 主要な問題点の解明は来週に持ち越すことになるわけですが、ちょっと私は後日の関係もありますので、資料をひとつ要求をし、そうしてまた一点だけお尋ねしておきたいと思います。  資料の関係では十名の検査官が型式の検査をやった。そこで大体どういう手順で検査が行なわれているのか。その検査の実情というものをできるだけ詳しく出してもらいたい、資料として。  それから先だって運輸政府と国家公安委員長が協議されたようですね。この欠陥車の問題、そうして、いずれは交通閣僚協議会か何か設置をして、そこでこの種問題を扱おうということになったようですが、交通局長そのことに関連してちょっと聞いておきたいと思う。現在の走っている車の取り締まりですね。主として道交法によって、また道交法以外に現在ないのですね。ところが道交法で実際摘発をする場合、結果的にドライバーが道交法に違反をしていたかどうかということで、ほとんど事件が落着をしておる、こういうケースが一般的に見て多いと思うのです。もちろん構造に欠陥があるかないか、そこまで通例の場合に警察に見れというのは、ちょっとこれは苛酷であるかもしれない。元来完全車が走っているということがたてまえなんですから。しかしながら、特殊な事件として立件をされる以外の場合は、裁判に持ち込まれて、そこで争うという形に発展をしないと、構造上の欠陥があるないというのはあまり第一線におけるパトロールあるいは違反取り締まり等ではつかめない場合が多いのです。私は熊本ですが、一年に一回か二回、全車をとめてブレーキをかける、アクセルを吹かせる、こういうことでやっておられる場合がしばしばありますけれども、これは一年に一回か二回特殊な場合ですよ。そうして、道交法でそういう走っている車を構造上の欠陥があるかどうかを見れというのは少々苛酷であるかもわからないけれども事態がここまで発展をしてくると、一体道交法はそれでいいのかどうなのか、あるいは警察官の摘発というものが単にドライバーのミスであるかないかというそれだけの取り締まりでいいかどうか、ずいぶん私は問題が多極化してきたような気がするのです。ついてはその辺を含めて今後の交通事情に対する対策を何か考えておられるかどうか。これは来週の全体的な問題とも関係しますが、その辺をひとつお聞きしておきます。  それからいま一つ、五十八件報告された十二社の欠陥車の場合、これは概して、すでにもう現役を退いている車が多いのですね。ほとんど数年前のですよ。たとえばセドにしてもクラウンにしても、花形の、第一線に走っている、あるいは出されている車は、欠陥車として出ていない。これが、運輸省みずからが社内に立ち入って、検査の結果、五十八件以外には欠陥車はないんだということであれば、これは別ですがね。十二メーカーがおのおのの判断、おのおのの調査に基づいて報告された五十八件が欠陥車であるということであれば、あまりにも年次が古過ぎる。たとえばブルにしても何にしても、すでにもう第一線花形車じゃありませんよ。しかるに、いま花形として脚光を浴びている各社の車というものは、ほとんど欠陥車に入っていない。これはそのとおりに私ども了承するにはちょっとこれは問題があると思う。ですから、何もその十二メーカーにことさらに疑いを持つわけじゃないけれども、型式の古いものが欠陥車として報告されている。現役の第一線に売られている花形車のものが全然出ていないという、そのまま見のがすわけにもいかぬ。したがって、先日私は、この五十八件で、これ以上もう追加はないのかという問題の際に、本来ならばちょっと触るるべき問題でしたけれども、いまあらためてこの題題が今後の一つ問題点になるような気がしますから、あえて新車にはないのか、いま売れっ子の各社花形にはないのか。そういうように運輸省は考えておられるかどうか。まあこれをひとつ承っておきたい。
  137. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 正直の話、従来の取り締まりでは人を中心であるということは言うまでもないところであります。ただ、そういう中でも運転者に過失がなくて、車のほうに問題があったという場合は、小さな事故の場合には警察限りで処置をいたしておりますので、やや大きくなれば検察庁に送る際に、処置をしないようにという意見をつけて送っております。そういたしますと、検察庁では不起訴処分にいたしておりますが、したがって、運転者はその場合には全然責任を負っていないわけであります。そこで、今度の問題が起こりました場合には、運転者から機械のほう、車のほうに原因があるというクレームのつく場合も非常に予想されまするし、また、われわれは従来、車というものは一応完全なものであるという前提で仕事を進めておった関係もありますので、車に着目をして見なければならないわけでありますが、警察官の大部分というものは、それほど知識があるわけではありませんし、車の構造に問題がありまする場合は、従来でもそうでありまするけれども、各県の陸運事務所の御協力を得、かつ陸運事務所の人手が足りない場合には整備工場の二級整備士以上の人の鑑定を得て、これを検察庁に送っております。車の問題がからみます場合は、鑑定がなければ検察庁のほうで受け取らないそうでありまするから、一応従来もやっておったと考えるわけでありますが、しかし今回の問題が起こった以上は、より厳密にやらなければいけないということは言えるかと思います。そこで法律関係の問題でありまするけれども、いまの問題は道交法と、それから刑法でいえば業務上過失傷害ということでありますが、法律の類型から考えて、それ以外に必要であるかどうか私よくわかりませんが、一応の法体系だけからいえば、それで足りるのではないか。しかしながら、業務上過失傷害ということは、本来事の性質として非常に立証がむずかしいものでありますので、容易にいかない場合もあろうかと考えまするけれども、法律が不備かどうか若干疑問のように思います。しかし今回道交法の改正について私ども検討いたしておりますので、構造問題についても内部的に勉強してまいりたいと思います。
  138. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) トヨタ、日産とそれ以外の会社から六月十六日に報告がきております。それの中で「対象車製造期間」という欄がございまして、これを見ますというと、すでに製造を終わったものが数からいえばたくさんでございますけれども、しかし四十四年の春あたりまで製造したものというものも対象になっておりまして、詳細な資料を持っておりますが、その前に終わっているものは、これは同じような名前で、俗称で出ておりまするが、欠陥車がありましたためにその点を改めまして、現在出しておるというようなものもあるかと思います。それで、われわれといたしましては、従来はこの種のものは報告を徴していなかったのでございますが、今回先ほど大臣からもお話がありましたように、全部現状を届け出しなさいということで届け出を受けたわけでございまして、その結果が五十八件でございます。将来、この種のものがありました場合には、今後はすみやかに全部届け出をしろということに相なっておるわけでございまして、したがいまして、われわれといたしましては、一応この段階ではこれらのものが対象車であり、その中でまだ対策が終わっていないので、これから完了するということで考えております。しかしながら、ボーダーラインのもの等が最近も指摘されておりますので、それらにつきましては、私どもといたしましても、それらの会社から事情等を聴取いたしまして、対処いたしたいと思っております。
  139. 森中守義

    ○森中守義君 実は、各社の報告の内容というものが、運輸省からまとめて報告されたのをわれわれは拝見しておりますが、それによれば、やはり型式はいずれも古い。たいへんくどいようだけれども、さっき申し上げたように、少なくとも現役車ではありませんね。それで、いまここで押し問答をしてもしようがないので、問題は来週に持ち越しますから、できるだけ詳細に、各社の報告の内容をひとつ出していただけませんか。特に問題になるのは年式ですね。それによると、大体はっきりしてきますから、それを出してもらいたい。  それと、交通局長、これも次回でかまいませんが、確かに第一線の警察官にそこまで何もかもやれというのは、たてまえがそうじゃないのだから、完全車が走っているということがたてまえだから、それは無理もないと思う。しかし、現状がこういうことである。百二十九万台——十台に一台という車が依然として走っている現状ですから、たいへん御苦労とは思いますけれども、道交法の範囲内——それを越える場合には、当然これは刑事訴訟か何かにかからざるを得ないでしょうけれども、やはり取り締まりの中においてはその辺も十分に考慮してもらいたい。また、あとのことはこの次お伺いしますが、きゃうはそういうことを要望しておきたい。
  140. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 大臣、私、すわったままお尋ねしますが、少し、きょうは、大臣には意地悪い御質問になるかもしれません。と申しますのは、私はこの事件が起きたとき、ふとこういうことを思ったんですよ。自分のうちのあばれん坊の子供が、よそのうちに行って悪いことをして、そうして逃げて帰って来て、何くわぬ顔をしていたところ、そのよそのおやじさんにやかましく言われて、あれやこれやと調べてみれば、自分の予想外に悪いいたずらをしていた子供だったと、こういうふうな私は気がしたのです。そこで、私は与党の議員として、何かしらん、今度の事件は、私は、恥ずかしくてしょうがないのです。通産省の方にもそういう気持ちで聞いてもらいたい。そういう立場から質問いたしますから、悪く思わんでおいてください。  大体、アメリカでこういう欠陥車が日産・トヨタにはございますのに、何でこれを公表しないのかということが、日本の新聞の記事に出たところ、これはたいへんだということでお調べになったんですか。どうですか、その辺。
  141. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は、実は、自民党の政調会におる当時から、日本のこの自動車工業界というものがどんどんどんどん発展をしてくる。そうして、ますます人手不足になってくるのに、ちょうどいま御提案をしております道路交通車両法の改正、これに関連して政府に質問をしたことがある。これからますます労働力は少なくなってくるのに、まだ人を使ってこの自動車のふえてくるものを一台ずつ検査をしていくというようなことで対応できるか。人間よりも完全な科学技術の力というものができてきておる時代に即応すべき制度というものがあってしかるべきじゃないか。ましてこんな予算要求しても大蔵省が認めないじゃないかということを聞いたことがある。そのときの答弁は、まさにそのとおりでありますけれども、ここ三年間の計画でどうしても人が要りますから、いまのところはこれだけの人を増員して検査体制をやらなければなりません。このことは大蔵省も十分承知をいたしております。ついてはその後、このコンピューターなんかを取り込んで対応していかなきゃならぬと考えておりますというのが、その当時の政府の方の私に対する答えでありました。  今度たまたま、私は、運輸大臣に就任いたしまして、運輸省の所管として、この日本の花形企業と言われている自動車の問題について、いわゆる安全と公害というものにどう対処するかによって、この企業の将来の世界に伸びていけるかどうかという問題点があるであろうと考えておりましたので、常にこの検査といいますか、常に完全な車が走るということについて注意をしなければならぬという気持ちでおりましてところが、たまたま国会において質問を受けてきた報告を私は局長から受けまして、そのことに関して私から質問をしてみたのであります。その質問に対しまして、いまの法律にはこれは違反をしておらない。またおっしゃるように、自動車が不完全なもので走っておったということなら、これはえらいことなんです、機械でありますから、機械というものは故障を起こしたりするものであります。それを安全を期していくために、たとえばテレビならテレビを売り出して、メーカーは、何カ月あるいは何年かは無料で修繕をいたしますから、どうぞ持ってきてください。こういうように宣伝をして売っております。自動車におきましても、もしこの半年間なら半年間、一年なら一年の間に何か故障が起きました際には、修理工場へ持ってきてください。こういうふうにしてやっておるはずでございますし、また一方においては、半年に一ぺんは自動車の点検を受けて整備しなさいということを法律、規則によって義務づけておる。ただし罰則はありません。罰則がありませんから、乗っておる人は、義務であっても、別に故障もしていない、別に悪いところもないというので走っておるのが現状であります。まじめに点検を受けておる人が七〇%と言われておるのでありますが、この数字は役所の数字で、もっと少ないのではないかという想像を私自身はするぐらい、自分で自分のことを安全にしようということに欠けておるのではないか。このことについて、よりよくしなければならぬと考えておったときに、たまたま報告を受けまして、これは安全という面から考えると、私は少し納得がいかぬ点があるから、一体この車は何台あるのだということを聞きましたところが、一方が十万台ある。そうして七万台はすでにリコール——回収されてよくなっておりますと、あと三万台あっておる。それから一方のほうは五十万台あって、二十五万台——半分ほどは大体できておりますと、こういう報告でありましたから、それならば、もっと早く周知さして早く悪一いものを取っかえるほうが、安全というものを守るためになるのではないか。この際には、思い切ってそうしたほうがほんとう企業のためになると私は判断をするから、私の名前で通達しなさい、こう言ったのが始まりでありまして、私は即座に記者会見をいたしまして、こういう措置をとった。こういうことでございまして、たまたまニューヨーク・タイムスに載ったという記事はあとで知らされて読みました。あと投書がたくさんあったということも知らされましたけれども、私自身は、そういう気持ちを持っておったところへ、局長から国会におけるところの問題等の報告を聞きまして、こういう措置をとったというのが実情でございます。
  142. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 自動車局長、大臣の答弁を聞をいていると切ない気持ちですよ。これは法律上は欠陥車を公表しなくてもいいのだということになっておっても、少なくとも役所の責任において整備の面についての責任の立場からいえば、やはりメーカーをして、こちらのほうは車検があるのだから、公表はしなくても法的には何もわずらわしいことはないということで、こういう人命にかかわるような重大な、しかも実は、あとで申し上げますけれども、ハンドルとかブレーキというのは、まかり違えばこれは命にかかわるところなんですよ。それが二十何件ある。そういうことがありながら、なぜ大臣から言われなかったらそれを報告しなかったの。これはどういうことなんですか、それを教えてください。
  143. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 今回の欠陥車の問題は、アメリカ新聞に、いわゆる公表制度があるものと、ないものの場合の回収率等が違うというふうなことで指摘されたわけでございますが、その中に日本の日産、トヨタの車も含んでおった。その件につきまして日本の新聞で五月の終わりころに報道されたわけでございます。  で、輸出車につきましては、元来輸出検査、いわゆる車両検査をいたしておりませんが、そういうものがどういう事情になっているか、日本において同種のものがどういうふうになっているかということで、直ちにこの事情の聴取を始めました。ところが、さらに六月一日の新聞におきましても、さらに詳しくそのことが報道されたわけであります。  で、六月の五日には国会でも御質問がございましたが、われわれといたしましては、従来この欠陥車のいわゆる公表ということは、わが国においてはその制度がなかったわけでございますが、アメリカにおいてそういう制度があるということでございますので、いま大臣からお話がありましたように、公表制度をこの際採用したほうがより一そうベターであるということで御指示があったわけでございます。で、諸外国におきましては、ヨーロッパあたりにおきましてはこの公表の制度がございません。アメリカにおきましてもこの公表制度は、法律的にメーカーのほうがやるのじゃなくて、メーカーのほうはこれを一般に周知いたしますために自発的に公表をしているという形でございます。したがいまして、いままでわが国においてはそういう制度をとっていなくて、メーカーのほうがディラー等を通じてユーザーに接触いたしまして回収しているというふうなことでございます。で、なお、この欠陥車といいますのは、いま保安基準に適合しないために、という車でございません。保安基準に適合しない車は、これは動かしていけないわけでございます。で、欠陥車は、やはり構造の内容につきまして型式指定のときには合格しておるけれども、その後において欠陥の場所が発見されたものがこの型式の中に数種ある。したがって、同じ型式のものについてはその危険性もあるので、なるべく早く回収しなければならないというふうな、事故につながるおそれがあるというものでございまして、いま欠陥車というものがすぐ保安基準に適合してないというものではもちろんありません。したがいまして、いままでの制度によってきたわけでございますが、アメリカ新聞等に報道され、日本の新聞に報道されまして、事情を聴取いたしまして、それで大臣の指示によりまして今回、措置に踏み切ったというわけでございます。
  144. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 通産省ね、アメリカではメーカーが公表している。ヨーロッパなんかでは義務づけてはいないが、いろいろとこれはあとで聞きますけれども、公表の義務がないから、こっそりリコールをやって直しつつございましたということだろうと思われるのですが、そういうふうに理解していいですか。これは政務次官でなくても、局長でいいですよ。そういうことですか。
  145. 山下英明

    説明員(山下英明君) 従来は車検制度で日本側の安全の基本が保たれているということでございましたので、アメリカと違う制度を前提に各メーカーとも考えておったと思います。しかしアメリカで安全法ができて以来、向こうの制度にも輸出を通じてなじみますとともに、いわゆるリコール・キャンペーンというものを日本のメーカーも心がけておった実情でございまして、日本ではただいま運輸省から御説明がありましたように、保安基準に合ってはいるけれども、なお生産後あるいはユーザー等の注文から補修したほうがよろしいとメーカーが考えたものを自発的に回収しておる。その回収の際に公表せずにディーラーその他を通じて、自分らの販売名簿から連絡ができると思っておったわけでございますけれども、今回私どもも強力に話しまして回収する手段として公表が非常に重大である、非常に役に立つということについてはメーカー側も今後はそういう手段も使っていきたいということになったわけでございます。
  146. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 私は、昔トラックの運送会社の帳面づけをさせられたことがあるのですよ。朝、何両かの自動車が出ていきますよ。そのとき事故防止のために必ず点検させたのはブレーキとハンドルなんです。これさえ注意すれば大きな事故は出ませんよ。それで今度、樋口参考人が言うのを聞けばブレーキに関するものが二十一件、ハンドルに関するものが十一件、まあ六十八件か九件か知らないけれども、この中の大体半分に近い数字は一番危険なところで占めている。ここに私は問題があると思うのですよ。これはいまお話を聞けば、よりベターなほうがいいんだからということで取りかえているというのと、あぶないから取りかえるというのは、これは私は違うと思うのですよ。次長の御答弁を聞いていると、よりベターだから取りかえているのだ、このままほうっておいても事故や人命には関係がないのだというふうな御答弁をいただくと、私はこれはおもしろくない、正直いって。それならそれで通産大臣の名において堂々と新聞に広告して、こういうふうに世間を騒がせたけれども、御心配なさるようなことではございませんから御安心くださいと発表なさるべきですよ。ここにおられるのは自動車局や専門的な人なんだけれども、大体自動車ということについてあまり認識を持たない人たちは今度のことに非常に驚いていますよ。自分が乗っている車がはたしてだいじょうぶなのだろうか、新聞には出なかったけれども——これはいいのだろうか。私自身が自分の運転手に言った。おまえが運転している車はだいじょうぶかといったら、これは一応新聞には出ませんでした。そういうことで不安がらせていいかというところに私は大きな問題があるような気がするのですよ。ですからやはり正々堂々と——今後もあることですから、欠陥に気づいたらすぐ運輸省のほうに連絡をとってもらって、すぐにでも公表してもらうようにしようではありませんか。どうですか。これは通産省、お約束できますか。
  147. 植木光教

    政府委員植木光教君) 先ほど来、運輸大臣をはじめとしてお話しございますように、ニューヨーク・タイムズに出ました記事は、御承知のとおり三年前に自動車安全法がアメリカでできまして、欠陥車が出た場合には政府に報告することを義務づけるとともに、直ちに回収をさせる。しかし新聞その他の広告は法的には義務はない。こういう形でございますけれども、たとえばGMでありますとか、フォードであるとか、クライスラーというような会社は新聞に広告を公表しておりますために回収率が六九・八%だと、しかし、たとえばイタリアのワイアットとか、スエーデンのボルボとか、イギリスのブリティッシュレイランド、そして日本の日産とかトヨタは公表をしてないために、回収率が六〇・五%と悪い、であるから公表をしたらよいではないかというのがニューヨーク・タイムズの記事でございまして、今回の問題が起こったわけでございます。この間から申し上げておりますように、通産省としては、欠陥車が出たならば直ちにそれを報告するように、そしてまた回収をするように、回収の経過その他についても十分に報告するようにと、こういうことを工業界あるいは各メーカーに指示しているわけでございます。公表につきましては、緊急の場合に公表をするのがよいのではないかということが、いまの通産省考え方でございます。
  148. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 あのね、花咲かじじいの反対のじいさんを思い出したのですよ。一番初めは日産とトヨタだけがアメリカで指摘を受けて、大臣も御答弁になるように、大かたそういうものだろうと思っていろいろと調べてみたら、メーカー十二社ことごとく二百四十五万両全部がかわらやせとかけがガラガラと出てきたようなものでしょう、私はそういうふうに受け取るのですよ。これは、ああいう問題が起きなかったら、あるいは下問に付されながら、ずっとこの中で隠れしのぎながら、その中で回収という名において整備しました、整備しましたという報告がなされていったであろうと、こういうふうに想像するのです、意地が悪いものだから。そこで一応回収したと、八月までには回収するんだとおっしゃっておられますが、その回収をほんとうにしたかどうか、欠陥車が整備されたのかどうか、それはどこでだれが責任を持って検査するんですか。これは通産省だろうか、運輸省だろうか、それを聞きます。
  149. 植木光教

    政府委員植木光教君) 先ほど緊急の場合と申し上げましたのは、これは通産省及び運輸省からの自動車業界に対する指示に対応いたしまして緊急の場合には公表しますということを言ってきております。ただ、この緊急でございますけれども、これは広く解釈をして手広く進めてまいりますと、こういうことを言っているのでございまして、まだ必ず公表するようにというところまではいっておりませんけれども、業者としては自主的にできるだけ手広く公表をするという態度でございます。通産省としては、いまお話がございましたようなことを十分に配慮しながら業界に接しているという状況でございます。
  150. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) メーカーのほうで七、八月ごろに終了したという報告がくるかと思います。今回われわれといたしましては、それらの欠陥車に対して必要な改善措置を講じた場合には、これは整備事業者のほうで定期点検整備記録簿、あるいは分解いたしました場合の分解整備記録簿がありますので、これにその旨を明記させるように整備員のほうに指示いたしました。したがいまして、これは車両検査のときにおきまして確認ができます。今回なお役所といたしましては現在車両課長会議をやっておりますが、それに対しまして欠陥車の内容を詳細に説明すると同時に、また昨日も午後現車につきまして説明をいたしております。したがいまして、現車の車両検査の場合におきまして、先ほど申し上げました点検記録簿による確認、それと車種をつかんでおりますので、そのときにそれらの点については特に気をつけて検査をやるというふうな措置をしたいと思っております。
  151. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これはたいへんな仕事だろうと思うんですよね。一社一社を確認して歩くわけにはまいらないと思います。せめて、いまお話のように車両課長か何かを集めていろいろと会議をしておられるようでしたら、何かピックアップしてでもほんとうに整備をやったかどうかということだけは確認してみてくれませんか。これは私の要望ですから答弁は要りません。でないと、国民が不安な気持ちで車を——しかも専門じゃないのですよ。いまドライバーの人たちは、車の運転はできてもエンジンなんか知らないのですから、そういう人がこわごわ運転したら危険が出ますよ。そういうこともありますから、何かの機関を持って、欠陥車の整備の状況は現時点においてはこうだ、今後何日めには、どういうふうに整備されつつあるというようなことを、何かの機関で発表いたしませんか。どうでしょう大臣そういう必要があるような気がしますが。
  152. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 今度の問題について世間を騒がせて、まことに申しわけございませんが、自動車というものに対する認識を、大いにこの際、自動車に乗る人に持ってもらったことは、逆に言ったらよかったと私は考えて、この決断を下したのであります。あまりにも日本では安易に何といいますか免許証を出して、乗らぬ人でも免許証だけは持っている人がたくさんおります。けさの新聞でしたか、千葉のどこかの自動車学校で三時間ぐらいの実技というようなことでやる。そして自動車に乗る人には、これは事故を起こしたら人の命にかかわることですから、自動車に常に気をつけて、半年に一ぺんは整備しなさいということを言ってやった。整備するのはあたりまえですが、そのくらいのことを注意してやっておった。この欠陥車という問題は、それから後の問題なんです。そういうことをしないで、故障車に近い車に乗って事故を起こしているというのが、私は実態として多いと思う。今度はおれの車はどうかということを、ほんとうに考えてもらうようにしなければ、私は、ほんとうの何万人という人が死んだり、けがをしているということに対する根本の対策にならない、私はこう考える。  最後に、それぞれの国には国々のしきたりがあるけれども、念を入れるためにみずからやるということを取り入れるのがいいという決心でやったのです。それの証拠はどうだというと、いまお話しのように、これからは、先ほど瀬谷さんにお答えしましたが、メーカーと、それからその整備をやっている者と、販売をやっている者と、 ユーザーと一緒になって、これに対処しようという方策をとっております。その整備というところで、今度はコンピューターというシステムを車両法で取り入れていただくのでありますから、これはファイルのいままでの何と違って、全部の車を把握できる。そこに集まってくることができるし、また整備をしている所には、病院と同じことで、この車はこうしましたというカルテを置いておく。こういうことにしていくのですから把握できると思います。いま御注意をいただきましたから、それをやりましたら、どういう状況であるかということを、できるだけ早い機会に御報告いたしたいと思います。
  153. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 この問題が起きたとき、率直に私の心境を言うと、私は恥ずかしかった。国辱だと思います。ところがいろいろ参考人を呼んで、参考人のいろいろな意見を聞いておりますと、たとえば清水参考人が、これはアメリカの一社か、あるいはすべてか存じませんが、一九六九年——ことしの一月から三月までの間に欠陥車が五百五十八万台あった。輸入車にも八千何台あった。これで正直言って救われましたよ。ほんとうにひけめを感じたが、これで救われました。これは通産省、わかっていたら教えてくれませんか。つまり西欧諸国、たとえて言えば西ドイツ、フランス、英国、イタリア、それと米国、これらにどういうふうに欠陥車があるのか、ないのか。自動車の総生産量と欠陥車の比率を——すみませんが、あなたのほうから……。通産省が発表すると、てまえみそになるからだめなんだ。運輸大臣のほうから、外国の例を調べてみたところ、やはりこれだけの欠陥車があるんだと。せめて国辱のような気持ちを感じた国民に、何かそれを取り返すような手段、すべがあるならば、それを早急に調べて発表してくれませんか。でないと、やり切れませんよ、これは。
  154. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は現物を、いま資料で見たのですが、一番最初日本の新聞に出ましたのは、五月の二十八日の毎日に「あぶない車・回収」という見出しで、NY紙——ニューヨーク・タイムスですが、「NY紙がすっぱぬく」「米国で日本業者も」、「も」と入っていますが、それを読んでみますと、「トヨタ、日産両社を含む最低六つの外国車が回収をやっていることがわかった。」日本だけでなしに、外国の車も発表いたしましたが、やはりこういう欠陥があるわけなんですね。この記事も、そのあと、六月一日付の朝刊朝日で、「欠陥なぜ隠す」ということで、これは相当大きくこの問題を取り上げて、「早く公表に踏切れ」と、こういう記事がございます。それから先ほど言いましたように、質疑があったということで、私は報告を聞いた、こういうことで、そこで私が指示いたしましたのは、この日産とトヨタだけではないと思う、こういうことは。だから工業会で話をして、全部の会社にしなさいと。もう一つは、日本の日産、トヨタというのは世界のメーカーと私は思っています。だからこれにそういうことがあるなら、必ずよその会社にもあるはずである。だから外国の車でも、たくさん輸入している車はどうなっているか、これも回答を求めなさい。こういう指示をいたして、その回答が八千幾台、いま日本へ入っておる数字が少のうございますから八千何台と、こういう数字があったわけでございます。今日また、この六月の十八日付の新聞では、これは日経でございますが、見出しは「回収は日常茶飯事・日本車輸出には響かず」と、こういう記事が出ております。私は、実は一方で心配したのはこのことであります。昨日、私は輸出会議に出まして、直接の担当ではございませんが——輸出の車は通産省でございますから、私の直接担当ではございませんが、欠陥車問題について、私はこういうことをいたしておるのは、より一そう輸出を振興したいためであるということを申し上げたのでございますが、いまここで「回収は日常茶飯事」という見出しが載っておるのを見まして、向こうは定着しておるな、要するにアメリカはですね、欠陥車というものに対する国民の感覚というものが定着しておるなあ、こういう感を深くしたのであります。私も、今回日本でも、日本の企業ほんとうに安全を期していくために、世界の一番よい車というものをつくり出すためには、越えなきゃならなかった関門であるというふうに、メーカーの人たちも考えてやってくれると私は信じておりますが、現在の状況を数字の上で言えということで、運輸省から言えということでございますから、わかっておる限り、いまから報告させます。
  155. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) ただいままでにわかっている数字によりますと、米国におきますリコールの状況は、四十一年の九月から四十四年の三月までに米国車、すなわち米国における国産車でございますが、千九十五万七千台。それからアメリカにおきまする輸入車、ヨーロッパあるいは日本から輸入している輸入車でございますが、合計いたしまして八十六万二千台でございます。その中でおおむね六十七、八万台が欧州車ではないかというふうに考えます。で、なおヨーロッパにおいてはこのリコールの公表の制度はございませんから、いま御指摘の数字というものは当然わからないわけでございます。
  156. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 あのね、大体の比率は出ると思うんですよ。何両輸入しているということはわかりますね。たとえばシボレーならシボレー、フォードならフォード、いろいろと車ごとにずっと入りますね。その欠陥車の数と輸入車の数を出せば比率が出ますよ、大体想像される。と同時に、日本の十二社でかりに何百万か、あるいは何十万か知らんが、年間の生産量が出ますね。その欠陥車の比率というものを、きょうでなくてもいいから検討して出してみてくれませんか、車両法は、今後審議が続きますから。でないと、何か救われないような気がしてしようがないから、それをひとつ要望申し上げておきます。  最後に、瀬谷委員からも言われたのですが、この前、清水参考人が、百三十に及ぶ型式の、この検査官がわずか十名じゃしようがないじゃないか、こういう質問に対して、自動車局長は二十七、八名どうしても必要だろうと答弁なすったと思うのだが、ここで大臣にもう一度申し上げますが、私はよその親に自分の子供をなぐられたくないんですよ。よそに行って、いたずらしたのだから、できるなら自分がなぐって、二度とするなと言いたい親心で申し上げておりますが、なぜそれなら四十四年度の予算要求のときに、二十八名、あと十八名要りますという予算要求をしないの、局長。この問題がなかったら、この数はふやさんでも済んだようなことになりはしなかったのだろうかということをぼくは心配する。一体幾ら要求したの。ここに並みいる与党の議員はみんな予算のときに政府に協力をする立場なんだから、なぜ言わなかったのだろうかという親心なんだ。どうなの、それは。
  157. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 今年度の予算要求におきましては、特に保安の問題、それから公害の問題がございまして、車両課といたしましてはそれらの問題を担当いたしますので、車両課といたしまして七名の要求をいたしました。今回の件につきまして、先ほど申し上げましたのは型式指定をやっております職員のみに関しまして現在十名でございますけれども、来年度においては少なくとも倍増以上の人間を確保して、この型式指定の仕事をぜひやっていただきたいということで、来年度は要求したい、かように考えます。
  158. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 それは、来年度のことはわかりますよ。この問題が起きなかったらあの十名の——われわれはほんとうに知らなかった。登録車検のことはわかりますよ、局長。だけれどもこの検査官が十名じゃ少なかったということは、この事件が起きて初めて知ったのですよ。それは与党の議員として申しわけないのだ、世間さまに。だからなぜ、こういうことをもっと言ってくれなかったのだろうかという親心からつい子供を叱る気持ちになるのだ。
  159. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは、谷口さんに対しまして私から申し上げますが、まことに申しわけないことで、事実、私は大臣にすでに就任をいたしておりまして、予算折衝に当たった当事者でございます。このときにおいて、この制度、このことは予想しておらなかったわけであります。十分安全を守らなければならない、あるいは公害に対処しなければならないという気持ちは持っておりましたけれども、今日のこの事件、事案に対するような態度でなかったということは、率直に申し上げるのであります。しかし、こういうことになりまして——これは、大体自分は基本的には役人をふやし、税金を積んでも効果が上がらないというやり方は、私は根本的にはとらないということを考えているのです。これからますます人の少なくなるときに、人は少なくて能率をあげて、高い月給を払うほうがほんとうだというふうに思います。しかしながら、これは今度の場合、こういうことと取り組んでみて、これは最小限度の人がなければ、これは不可能だということだけは、ぜひともやらなきゃならぬ。先ほどからいろいろと与野党の皆さん方から、この問題についていわゆる党派というような問題でなしに、安全ということを守るという意味からの御質問をいただいて、私もそれに対する答弁をいたしております。いままでの至らざる点は私が至らなかったのでございまして、最後の責任は、私が折衝いたしたのでございますから、これは私の責任でございます。今後はこの問題に対しまして、おそらくなかなか人の充実ということは、言うはやすくして——瀬谷さんもおっしゃるように言うはやすくして行なうはむずかしい。そのとおりだろうと思いますが、私は今度この問題と取り組みまして、できるだけの努力を払って万全を期するために、森中さんにも申し上げましたが、この問題については、大蔵大臣とも話をしたときに、ただ問題点を指摘するぐらいならだれでもするが、あとの結末はあなたのほうへいきますよということを自治大臣が言われ、私もそうであるということを申しておりますので、これらの点については今後ひとつ、微力でありますが努力をいたしますから、御協力、御指導をお願いいたす次第でございます。
  160. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これで終わりますけれども、いろいろと失礼なことを申し上げました。これは繰り返し申し上げますように、何か知らぬけれども、親が悪いことをした、いたずらをした自分の子供をせっかんするような気持ちで終始しました。誤解のないように、親心が言わせたのだと思いましてごかんべん願います。  以上で私の質問を終わります。
  161. 前田佳都男

    前田佳都男君 欠陥車の問題についてはいろいろお尋ねをしたがったのでありますが、相当質問が重複しておりますので、ごく簡単に申し上げたいと思いますが、結局欠陥車の問題は、きょうの新聞にも出ておりましたように、大臣もいまお読みになりましたが、結局大山鳴動してネズミ一匹までにもいきませんが、あるいはそれ以上かもしれませんが、日常茶飯事であると、私もこの日経新聞の記事を読んで安心したのであります。が、実は、これは私の個人的に知っておること、ある外車のディーラーがそれみろ国産車はやはりだめじゃないかと言うて非常にせせら笑うというか、喜んだ人がおる。私は非常に憤慨して、何かばかにされたような気がして、非常にふんまんやる方なかったのでありますが、そのためにこの間の参考人の御意見を聞いたときにも、外車においての欠陥はないのかということをそのときもこってりと聞いた。聞いたけれども、わりあい御説明がなかったのでありますが、きょうの御質問でも、外車についての欠陥も公表しろというようなお話で、多少その数字も承ったのでありますが、外国ではこの問題は茶飯事であるかもしれない。しかし、日本国民の間に、あれだけ毎日、新聞でこってりと、国産車がよくないというふうなイメージを与えるような記事をどんどん出しておる。この問題がある程度一段落したときに、外車にもこれだけの欠陥があるのだ、それから今後は自動車業界はこういう点に注意をするのだというふうな点を政府にも十分PRをしていただき、メーカーもその点はうんと自粛していただいて、国産車に対する不安、不信感というものを一刻も早く払拭するようにしていただきたい。ほんとうに日常茶飯事であったということにして終わらしていただきたいということを希望いたしまして、この欠陥車問題について私これ以上質問はいたしません。  次に、この車検の問題でありますが、今度のこの法律では、ずっと読んでみますと、民間車検の活用、拡充ということが相当大きい眼目であるように思う。現在の車検の台数というものが年間を通じて何台くらいあるのか、それからその何%が国の車検であって何%が民間の車検であるか、その比率をちょっと教えていただきたい。
  162. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 民間のいわゆる整備工場を活用しておりますのは、継続検査というものでございます。その継続検査が、四十三年度におきましては四百四十九万件でございます。その中で指定工場、民間工場で行ないましたものが七十二万件でございまして、一六%ということでございます。全体の継続検査の中で一六%を民間の指定工場でやっています。
  163. 前田佳都男

    前田佳都男君 制度改正で民間の車検が相当ふえてくると思います。車検前の車が指定業者に殺到してくると思う。現在でも民間の指定整備工場ではなかなか待たなければできない。今度の法律改正でますますふえてくるであろうこの民間指定工場の、それに対して注文が殺到してくるのに対して対応策というものがございましょうか。ますます待たなければいけないのじゃないか。
  164. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 民間車検工場は現在約二千百軒あります。分解整備工場というものが約五万以上ございます。五万軒の中で車両検査をする機械、装置、あるいは人間等備えておるものが二千百でございますから、この五万軒のものの中でそういうふうな実力を備えているというものを逐次養成していきたい。で、四十八年度までいろいろ従来の指定工場のふえ方等の実績、あるいはわれわれの指導努力の結果で工場数を約九千六百のものが民間車検としての適格者になるような方向に指導していきたいと思っております。現在の指定工場の数、これがふえます趨勢の中でこれらのものを育成していけば、この数は可能ではないかというふうに考えまして、それらを配慮することによりまして、なるべく受検車が近いところで検査を受けられるというふうにしていきたいと思っております。
  165. 前田佳都男

    前田佳都男君 育成というふうなお話がございましたが、何か技術者を養成する整備学校というふうなものをおつくりになろうという考えはないですか。
  166. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 人的と機械の装備をしなければなりません。それで機械等を装備するためには、実は工場が中小企業でございますので、近代化促進法の指定業種といたしまして、現在その近代化を促進いたしております。それから整備士を置かなければなりません。その整備士は御承知のように国家試験があるわけでございまして、その整備士を養成いたします施設が、三十七年のときには二十五ぐらいしかございませんでしたが、現在では三百三十三の養成の施設がございます。で、この養成施設は、一種の養成施設は工業高校、職業訓練所、整備学校の自動車整備科でございますが、二種の整備士養成施設といたしましては、自動車整備振興会が各県にございまして、それが整備技術の講習所を設けまして整備工員を養成いたしております。
  167. 前田佳都男

    前田佳都男君 いずれにいたしましても、民間の指定整備業者の責任というものは非常に重いわけですね。その認定の基準というものは、大体規則に書いてあるようですが、あるいは場合によっては指定を取り消さなければならないということがあるかと思いますが、それはどういう場合ですか。
  168. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 指定自動車整備事業を指定いたします場合の基準は、第一点は、申請者は運輸大臣の認定した優良自動車整備事業所に限られております。これはいわゆる工場の装置がりっぱであって優良であるという認定の制度がございまして、その認定の制度で認められた者に限っております。第二点は、この指定工場は、国の行なら検査と同じような検査をする必要がございますから、車両検査施設を持たなければならない。それには、ブレーキテスト、前照灯の試験、音量計等の五種類の機械器具を備えつけるということと、保守管理が十分できるかどうかということを見ております。  それから第二点は、指定整備された自動車検査するための人間でございますが、それを検査員と言っております。その資格といたしましては、一年以上の検査主任者の実務経験者で、かつ法令の内容、車両検査の実務につきまして陸運局長の行ないますところの教習を終了した者に限られるということでございます。それからさらに、工場の管理体制といたしましては、指定整備された自動車が確かに保安基準に適合することを証明する保安基準の適合証というものを発行することでございまして、その保安基準適合証を見まして、役所のほうで現車確認をしないで車検証をやるわけでございますから、それらの記録の保管等が正確確実であるかどうかということを見まして、指定をするわけでございます。したがいまして、これが実際に整備をしないでインチキな検査をやるということになりますというと——いわゆる不正なことをやりますというと、指定を取り消すということがその事業者に対して一番重いあれでございますけれども、さらに先ほど申し上げました検査員に対する解任の命令、それからこの検査員は国の検査官と同じような仕事をやるわけでございますから、刑法上の問題等につきましては公務員並みの罰を科するということになります。
  169. 前田佳都男

    前田佳都男君 もう一つだけ、大体民間の指定整備業者が責任が重くなって、それだけの権限があるわけですから、整備の仕事が民間指定工場に殺到してきまして、そうしてそれ以外の整備工場ではほんとうに注文が少なくなってしまう。ちょこちょこ整備といいますが、ほんとうにちょっとだけの整備になってしまって、その格差というものが出てくる。運輸省のお墨つきをもらっている民間指定工場はどんどんどんどん注文が一ぱいになる。ところが町のほんとうに小さい整備工場というものは実にちょこちょこ整備だけであわれなものである。整備工場に非常に格差が生ずる、こういうことになりませんか。何か民間の小さい整備工場というものの救済というか、あるいは統合してどういうふうに助成してやるとか、育成してやるとか、そういう問題はどうでしょう。
  170. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 先ほど申し上げましたように、近代化促進法の指定産業種にいたしまして、いわゆる協業化、共同化を進めておるわけでございます。指定整備工場がありまして、設備はあるけれども、もう少し車が来てもらいたいというような現状のところが多いわけでございまして、現在その指定整備の車検に殺到しているという現象は、それほどないわけであります。それでわれわれといたしましては各中小企業のレベルアップをいたしまして、なるべくそれらの人が力をつけて指定整備ができるようにするということで、近代化促進法に基づきますいろいろな助成措置を講じて促進をしておるわけでございまして、これらをなるべく早く育成をしていきたい、かように考えております。
  171. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 局長、いまの問題に関連してお尋ねいたしますが、中小企業振興事業団、あの事業の中にこの運輸関係のほうも先般必要な業種については業種指定をしてもらっておるのですが、整備事業というものはその中に入っておるのでしょうか。入っていないようならば、追加していただきたいのです。そういたしますと、いまのような整備工場で運輸省から整備に関する指定がとれない小業者は、個人または相集まって一つのグループになるとかして、整備指定の条件である設備を、振興事業団の力を借りて行なうことができると思います。そうすれば、今回の欠陥車の問題に関連して整備指定の条件がきびしくなりましても、資格漏れとなって失業することにはならないと思います。中小企業振興事業団は、いまだ設立して間もないので、小業者特に運輸関係の業者は理解している者が少ないようです。詳しく言えば、整備工場で指定条件がきびしくなって追加設備をしないと失格する業者とか、今日までにいまだ指定工場になっていない業者は、事業団の力を借りて指定工場になることができると思います。中小企業者には自分でやれる者には近代化資金の道も開けておるが、事業団は融資もする上に、場合によっては必要な設備をつくってこれを貸してくれることもできますから、小業者の救済としてこの際大いに役立つと考えますが……。
  172. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) これは、いま先生の御指摘は設備近代化資金でございまして、それの対象に相なっております。  それからもう一つは、近代化の促進特別融資、こういうものがございまして、これは中小企業金融公庫の扱うものでございまして、これの対象ということで現在お願いをしておるわけでございます。
  173. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 いや私は、整備工場が指定の資格をとるための資金のことだけを申し上げておるのではないのです。小業者はとかく資金の道は開けていても、その事業が万一うまくいかないときの損失を考えすぎて控え目になりがちです。事業団で設備をつくって貸してもらえるとなれば、危険負担が軽くなる。賃借料だけを払えばよいことになって、容易に事業が行なえると思います。あなたにお願いすることは、自動車の整備事業が中小企業振興事業団の行ない得る指定業種に入っているかどうかをお調べ願って、いまだ指定業種になっていないようならば、追加していただいたらどうかと申し上げるのです。そうすれば、前田委員の申されたことも、かなり容易に解決できると思うのです。お願いをいたします。
  174. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 機械設備に対しまするものはございますが、いま御指摘の点につきましては、今後十分努力をしていきたいと思います。
  175. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれで散会いたします。    午後四時四十八分散会      —————・—————