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政府委員(宮地茂君) いまの
お尋ねの点二つあったと思いますが、電波高校を高専にするかどうかということと、またそれもあわせまして所管がえをするつもりはないかというお話でございますが、実は現在、工業
関係が高等専門学校という
制度がございます。学校
教育制度につきましては、御承知のように戦前の学校
制度が戦後非常に大きく変わりまして、その大きなねらいの一つは、戦前の学校
制度というものは万人に平等な扱いがなされるようになってなかった。たとえば中学校へ行く者は高等学校へ進める。高等学校へ行った者は大学へ行ける。ところが実業学校——商業学校、工業学校というようなところへ行きますと、上の高等学校へは行きにくい。一次の入学試験には受けさしてもらえないとかいったようなことで、学校
制度が非常に複雑でもございましたし、またある学校に入りますと袋小路になっているといったようなことから、そういうこと以外にたくさんございますが、一つの
考え方はそういうことで、学校
制度は一応その本流を原則として、まあ簡素に、あまり複雑
多岐にわたらないようにといったような
考え方が中心でございます。とにかくそういうようなことから、戦後六・三・三・四といったようなものになりまして、ただそういう形でいたしましたが、一方におきまして
社会の発展、
経済の進展、いろいろこういう面から、産業界から、それにしてもこういう中堅技術者がほしいのだといったような
社会的な要望もございます。そういうようなことで、工業
関係だけ、これは多少六・三・三・四から見ますと変則でございますが、工業高等専門学校というものをつくったわけでございます。ただ
法律にも
規定してありますように、高等専門学校でも何も工業に限らないでいろいろやったらいいんじゃないかという意見ももちろんございましたが、先ほど来申しておりますような学校
制度に対しまして、特例的な高等専門学校であるということで工業高専をひとまずやりまして、非常に評判もよろしゅうございますし、またこれをつくったのは暫定的とか変則とかいうこと以上に意味があるんだといったような評価も受けております。そういうようなことからここ数年間工業だけでなくて農業とか商業とか、とりわけ電波のようなものは工業と言ってもいいんだから、これを高専にしたらどうだといったような意見もありますし、また陳情もございます。そういうことで現在私どものほうにおきましては、電波高校を高等専門学校にし得るものかどうか、また、するとすれば、一度に
制度だけつくりましても、そこでどういう授業をやっていくかといった
教育内容、
教育方法、いわゆるカリキュラムであるとか学習
指導要領であるとか、いろいろそういうものを必要としますので、あわせて検討をいたしております。それがいまの
お尋ねの第一点だと思います。
それから、あまり文部省でやっておる学校もよくもいってないようだし、また特に
船員の養成は海技学校
関係で文部省所管以外の学校が本流だから移したらどうかといったようなふうにお聞きしましたが、おことばを返すようですが、現在の外
航船の
船員は、これは学校
教育法によります商船大学、商船高校——今度高専になりましたが、それが主流になっておることは、これはデータをごらんいただけばわかることと存じます。それからもちろん文部省の所管であるとうまくいかないから、これをそれぞれの省に移すということも確かに一つの
考え方と思います。しかしながら
わが国の学校
教育、これをたとえば医療行政は厚生省の所管だから医者の養成は厚生省がやったらどうか、あるいは農業に従事する農業高校や、その他農業
関係の大学は農林省でやったらどうか——昔は水産講習所が農林省にございました。しかしながら、そういったようなことは、やはり学校というものは基本的な将来活躍する素地を養い、基礎的に必要な知識を授けるということで学校
教育として行なうべきであろうといったような
考え方が大勢を制しまして、戦後はむしろ各省にありました戦前のものを文部省所管の学校に統合したということでございます。そこで御
指摘の点は、むしろどこの所管ということよりも、よりよい
教育をせよというような意味でもあろうかと思いますが、私はそのように受け取りたいと思っております。これ所管を変えたら文部
大臣ではうまくいかぬので、
運輸大臣ならうまくいくかもしれませんが、しかしながらそういうことはよく聞くんです。最近文部省の所管だから大学が騒ぐんで、特に商船大学なんかは
運輸省に持っていったらぴしっと上からの命令が下に通じて騒がない学校になるんだというようなことを私は
審議会でも聞きました。それはそれなりに私ども一がいになわ張り根性からそういう議論をはねつけるんじゃなくて、謙虚にこれは承っております。しかし、ただ所管を変えたからうまくいくというようなものではない面も相当多うございますので、今後ともまずい点は所管とかなんとかいった役人争いのように聞こえるようなことじゃなくって、本質的に
教育そのものの検討をしてやるべきである。
ちなみに申し上げますが、航海訓練所というのが
運輸省所管で今日ございます。これは戦前文部省の所管でございました。戦時中に高等商船の卒業生などは、これは海運士官等にもなったり、いろんな関連から閣議で一時的にこれは当時の逓信省でしたかが所管するといったようなことで、戦後、大学、高等学校のほうは文部省所管に返りましたが、航海訓練所だけまだ返っていないということで、むしろこれは昨日も
原田大臣も出ていただいて壮行会がございましたが、商船高校ですね——現在の上級生は高等学校ですから、商船高校の専攻科の生徒が世界一周の旅に出たわけでございます。それと乗って世界一周の旅の
教育をしてくださるのは、所管的には
運輸省所管の航海訓練所なんです。これは学校当事者としては、自分が教えておる子供を他省所管の人に預けて、それは商船高等学校の
教育の一部であるというのは、何としても理論的におかしい、だから商船学校の全
責任において航海訓練所がやっておることも、文部省所管の航海訓練所と申しますか——それは別ですが、そういう形でやりたいという要望もございまして、この航海訓練所の所管につきましては、行政管理庁のほうへ、これは数年前でございますが、文部、
運輸両
大臣のほうからそれぞれ申し入れ書と申すのでしょうか、正式の文書で出されております。ただ最後に、くどうございますが、私ども所管争いと世の中に受け取られるようなことではなくて、どうすればいまの
教育でりっぱな
船員が
教育できるかということで努力もいたしておりますし、そういう意味におきましていろいろ御批評、御批判、御
指導を賜わりたい、こういう、ふうに
考えております。