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-
-
-
○
委員長(
岡本悟君)
連合審査につきましては、かねてから御案内のように、先ほど申されましたような、
関係委員会からの
申し込みがあったわけでございます。そこで
委員長としては、
運輸委員長としては、これは一日も早く
連合審査を開かなければいかぬ。そこでいろいろ
日取りにつきましては、かねてから相談をしておったんでありますが、
当方はできれば十九日にぜひとも開きたいと、こういうことを言っておったんですけれども、ところが、十九日は困る
——与党のほうは、
与党側のほうは十九日に開きたいという
申し入れがあった。ところが、
野党のほうはどうしても折り合わぬということで、私としましては、この際、二十一日は本
会議もないし、二十三日はどうも本
会議があるらしいということで、二十一日が一番いいんじゃないかと、そしてもう
連合審査につきましては、これを
受諾の決定を一日も早くやるということが
委員長の当然の責務であるというふうに判断したわけなんです。それでやむを得ず二十一日にやれるように段取りを組んだわけでございまして、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。そこで二十一日はそういうことで、
最初に
運輸委員会を開きまして、御
承知のように
受諾をまだ
議決いたしておりませんので、その
前提として
運輸委員会を開き、
受諾を
議決して、それから
連合審査に移りたいと思っておったんですが、
理事会でどうしてもまとまりませんので、結局開けなかったというのが実情でございます。
-
○
田代富士男君
連合審査を開くにあたりましては、いろいろな
手続があると思うのです。その
手続で一番大事なことは、その
連合審査をやる母体になるところの
委員会の
委員におきまして
議決が必要であると、いま
委員長も申されるわけなんです。だから、そういう
手続をしなくてはならないわけなんです。この
委員会は十七日にもこれは開かれております。そのときには何らそういう話に触れずに、いきなり二十一日に、何らこれは
話し合いもないまま
——運輸委員会において
議決したあとにそういう
連合審査をすべきであるということは、
国会の
ルールの上からもきまったことなんです。そういうことをやる十七日の
日にちはあった。十七日においても
一言皆さんにおはかりすれば、その時期があったにもかかわらず、それをやらずに、月曜日に
委員長職権でやると、
運輸委員会をやったという、その点についてはどうなんですか。
-
-
○
田代富士男君 私が言っているのは、
定例の
委員会は先週の十七日にもあったわけなんです。十八日はこれは
公聴会です。だから、十七日において
——連合審査をやることに対して、われわれは
反対でも何でもないわけなんです。われわれは
連合審査もやって慎重に
審議したいというたてまえできているわけなんです。その
連合審査をやることに対して、それを受ける側の
運輸委員会においてやりたいということを
議決するものに対して、何もわれわれは
反対しているわけでも何でもないわけなんです。十七日にもやる
機会があったにもかかわらず、そのときにはやらずに、月曜日に
職権で開かなくちゃならない。十人目には何ら触れていないのです。十七日にやるべき
——正式に堂々と、何も横車を押してやらなくても、正式にやる、そういう
日にちがあったにもかかわらず、それをやらずに、あえて二十一日に
職権で開かなくちゃならないという何か、
委員長個人にとっても何かそういうあれがあったのかどうか。
-
-
○
田代富士男君 その点ひとつ御了承でなくして、ちゃんと事前にやる
機会があったのです。正式にやる
機会があったにもかかわらず、それをやらなくて、あえて二十一日に
委員長職権でどうしてやらなくちゃならなかったかと言うのです。やる
機会がなかったのじゃないのです。いま
委員長もおっしゃるとおりに、
地方行政委員会からも、
大蔵委員会からも、あるいは
物価等対策特別委員会からも、
連合審査をひとつ私の
委員会としてやってもけっこうですと、非公式に
申し出があっているわけなんです。だから、それならそれとして、ただ単にそれを
受け入れる当
委員会において、
連合審査をやることに異議があるのかないのか、
一言ぐらいはかる
機会はあったのですよ。それをやらずして、そうして
職権で二十一日にやるということ、そしてその点はひとつ了承してくださいと、了承できないから、その
職権で開いた
委員長に対して私はお尋ねしているわけで、この前も私は、こういうことを繰り返したくないのですが、この前の十七日の問題におきましても、
委員長は知りません、存じませんという一点ばりだったのです。そういうことではなくして、不明朗なところが多いから、はっきりして
議事を進めるならば進めたいわけなんですが、不明朗な点があまりにも多い。そういうわけでいま
委員長に対して
質問をしているわけなんですが、それは
田代君ひとつ了承してください、了承していたならばこういう
質問しやしませんよ。できないから、
委員長職権でなぜ開かれたか、開かなくてもよい時期があったにもかかわらず、そのときにやらずして、そうして二十一日に
職権で開くとは何事であると私は言いたい。その点お聞きしたい。
-
-
○
田代富士男君 いま
委員長は、十八日に
産業公害交通特別委員会ですか、そちらのほうが
議決したから、どうしてもやらなくてはならないからやったというような、そういう答弁をなさっていらっしゃいますけれども、二十一日にあえてやらなくても、きょうは
定例日じゃないですか。いま
委員長は、
連合審査を
受け入れる
議決をしたいと言っていらっしゃるんですけれども、二十二日にやれば、
職権で開かなくても二十二日にやれるところを、あえて今度は
反対にどうして二十一日にやったかということ。この
委員会において
議決が必要だ、それならば、私が言うとおり、前々からほかの
委員会が申し込んでいたにもかかわらず、やる時期があったにもかかわらずどうして二十一日に
職権で開いたのか。これは
産業公害交通特別委員会から十人目に
申し入れがあったから、だからおくれたんだというような
意味なんでしょう。それならば、二十二日に
定例日がある、これが一週間の違いがあるならばそれは知りませんけれども、二十一日と二十二日とどれだけの違いがありますか。二十二日の一番冒頭においてでも、やるならばできるじゃないですか。それを二十二日の
定例委員会においてやるのが正しい行き方じゃないないですか。われわれは
慎重審議で、
国会の
ルールにのって
慎重審議やっていきましょう、われわれ
自身で言っていますよ。それをあえてくずしたのは、
与党である自民党の
理事の
皆さんがおやりになったかどうか、それは私はわかりませんが、少なくともその責任は
委員長です。われわれは正規のルートにのせて
慎重審議やろうというのを、二十二日にやれるところをあえて二十一日に
職権でやった
委員長はどういうつもりでおやりになったのか。
委員長の
心情というか、
委員長の二十一日にどうしてもやらなきゃならないことに至った
自分自身の
経過といいますか、そういう点を
説明してください。それが納得できなかったら
議事進行に応ずるわけにはいきません。
-
-
-
○
委員長(
岡本悟君) 先ほども
田代委員に
お答えいたしましたように、
連合審査をやる
日取りにつきましては
与野党間でいろいろあったわけですが、私といたしましては二十一日が諸般の
事情から、特に本
会議もないことだし、一番いいと判断したわけであります。そこでそれをやる
前提として、十八日に、先週の金曜日に
産業公害交通特別委員会のほうから
議決がありましたので、これを受けて
関係四
委員会の
連合審査の
申し込みについてこれを
受諾するという
議決をしなければできませんから、それで
委員会を
職権でもって招集したわけです。しかしこれは、その前に何回も
与野党の
理事で積み重ねのありましたことは、ぜひとも御
記憶を願いたいと思いますのは、これは再度繰り返して申し上げますが、
最初に
委員会を
開催した当初からずっとそのことについて
打ち合わせてきているわけです。ですから私といたしましては、この段階においては二十一日に開いていただくのが一番いいというふうに判断したわけであります。しかし、もともと
職権で
委員会を
開催するということはできるだけ私は避けたいと思ってきたので、今回初めてなんです。その点はできるだけ避けることは当然私も
承知しておりますが二十一日を一番いい日と判断した
連合審査の
開催につきまして、やるとすれば、その
前提として、それを
受諾する
議決がどうしても要りますので、
委員会を
開催したのはこういう判断に立ったわけであります。
-
-
○
田代富士男君 いま
江藤委員の申されることもわからないわけじゃありません。それならば二十一日の、こういう
職権の
委員会なんか開かなかったならば、これはいま
江藤委員がおっしゃるとおりにすぐにでも
議事に入れます。いまおっしゃるとおりに。私たちは
慎重審議をやろうとしているんです。あえてきょうの一番でもその
議決をやろうと思うならばできたわけなんです。だからやるんです。それならば何でこういうところに
職権で載せる必要があるか。載せないならば
——きょう
江藤委員のおっしゃるとおりやれないわけじゃないんです。だから、私は
委員長に言いたいことは、二十一日、はたしてこの
連合審査ができると
確信をして載せられたのか、あるいはまた、できるかできないかわからないけれども一応載せておこうとか、そのようにして載せたのか、どちらなのか。はたしてこれをやれると思って載せたのか、あるいはやってもやらなくてもよいから、とりあえず載せておくといって載せたのか、事務的、形式的に載せたのか、
二つのうちのどちらなんですか。その点はっきりしてください。
-
-
○
田代富士男君 それでしたならば、やはりこれだけの大きな問題に取り組んでいらっしゃる
委員長として、過去にもいろいろ
連合審査を
衆参両院を通じまして何回もやってきております、その
連合審査がどういう形態で行なわれてきたかということも御検討なされたと思うんです。であるならば、
申し込みがあった
委員会を一括して
連合審査をやらなくちゃならないという、そういう
方法もあるでしょうけれども、それ以外に分割してやる
方法もあるんです。だから、
公害交通のほうが
申し込みがおくれたならば、すでにきまっている分からでも分割してやる
方法は、過去にも何回も行なわれてきております。そういうことから考えるならば、二十一日に
職権でやらなくても、
委員長の持っていき方によるならば、それはスムーズに乗せていけるはずなんです。だから私が言っているいまの
質問は、
委員長がこの
参議院の
公報に、二十一日に
職権で開こうということであくまでも
連合審査をやりたいという
心情から載せた、必ずやるんだと
確信を持って載せたのか、事務的に、形式的に載せたのか、簡単です、
質問は。その
二つうちのどちらだと言っているんです。
-
○
委員長(
岡本悟君) だからはっきり言っているでしょう。
事情ははっきり申し上げているんです。私としては職責上、
連合審査はぜひとも開きたい。聞いていただきたいということで……。
-
-
-
-
○
森中守義君 関連。いまの
質問に対する
お答えもなくちゃいかぬでしょうが、こういうことじゃないですか。この二法が
委員会に出された直後、少なくとも
委員会の
運営について
委員長と私どもかなり慎重に取り組んできたつもりです。そこで原則というのか、あるいは方針というのはあくまで
慎重審議でやるという、同時に具体的に言えば、
定例日以外には
委員会を開かない、こういうことが正確に
速記録に残されているかどうか、ちょっと私
記憶ないんですが、おおむね、全部の
委員の中で統一された認識であったと思う。そこでむろん、
連合審査ということは必要だから開く。もとよりこれは私どもの党においても
主張をしてまいりました。しかし、だからといって
委員長に
職権が保障されているということで、そういう
慎重審議、あるいは具体的に言えば、
定例日以外に開くということまでも一体全部が認識しておったかどうかというのは問題だと思う。ですから、さっき
瀬谷理事が言うように、過去のことはこれはしようがなかろう、事実上きのう開かれなかったわけだから。それで
田代委員の言われる
意味というのは、将来そういうことがないだろう、あってはなりません、そういうことをこれから約束してくれぬか、ということじゃないかと思うのですね。そういう趣旨が
瀬谷理事からも、いままでのことはとかく詮議立てしてもしようがない、しかし、これからはどうなるのだという話が出ているわけだから、これから
慎重審議をすべきだ、
定例日以外には開かない
——むろん、
連合審査するということになれば、
関係の
委員長との
いろいろ合議もあることだから、その辺のことは
理事会等で協議されていると思う。だから
慎重審議をやる、
定例日以外には開くなという要請にこたえ得るかどうか。
委員長が権限を持っているというなら、場合によってはやりますというようなこと、あるいはやったということを繰り返さないようにという
意味だと、こう思うのです。それに対しての答えがない。正確に言われたらこのことは終わると思います。
-
-
○
委員長(
岡本悟君) これはもともと
連合審査は私が要求しているのじゃないのですよ。いいですか。
物価等対策特別委員会なり、
大蔵委員会なり、あるいは
地方行政委員会なりから、あるいはさらに先週の金曜日は産業公害及び交通対策特別
委員会からやってほしいと、
連合審査を私のほうに対して
申し出があったわけです。だから、ついてはあなた方の都合もありましょう、担当の主体である
運輸委員会の都合もあるし、だからいろいろ協議したところで二十一日ということに同意を得たわけです。そうして向こうからも二十一日にやってほしい、なぜかというと、普通の
定例日にはたくさんのあれをかかえている、二十三日は本
会議があるようだ、ぜひとも二十一日にやってほしい、こういう突き上げがあったわけです。そこで私も、いろいろ判断をしましたが、特に産業公害及び交通対策特別
委員会の
委員長とは
話し合いをやっていませんでした。それで月曜日の
公報には産業公害及び交通対策特別
委員会のほうは除いてあるわけです。
-
○
田代富士男君 いまの話では、
地方行政委員会、
大蔵委員会あるいは
物価等対策特別委員会において積極的な
話し合いがあったということですが、私はいろいろ聞いてみました。私も
運輸委員会の一員でありながら、
物価等対策特別委員会の一員でもある。ですから
委員長に聞きました。二十一日に
職権で特別
委員会が載せられておりますが、これは
職権で開くような何ものかがあったのですか、こう言いましたら、いや、別に何もなかったけれども、ちょっと
運輸委員会のほうから、二十一日にどうしても何とか開いてくれぬかという話がありましたから、そういうような話なんです。私は物価対策の
委員の一人として、
岡本委員長の場合は、積極的なそういう要請があったというならば、やはり積極的な姿が何らかの形で見えているならば私も了とする。いまの
岡本委員長の話としますと、
連合審査というものは私のほうから外へ働きかけるのじゃないと、
運輸委員会は。親である
運輸委員会へ
連合審査をしたいというので、どうぞ来てくださいと言ったところが、地行と大蔵と、物価と、それから
公害交通のほうがちょっとおくれているけれども、その
申し入れがあったと、それで向こうのほうから積極的にこれは要請があったんだと、こちらもやりたいという要請があったと、それで二十一日の日に私はどうしても
議事進行の上からこれいいじゃなかろうかと、向こうも
職権で地行も、大蔵も、物価も、全部
職権で開いている。そのくらい、
職権で開くくらいに運輸の
岡本委員長も熱心だし、向こうの
委員も熱心であるなら、熱心の姿がわかっているのでしょう。ところがどうですか。私調べてみました。やはりこれは
委員会は
委員長の権限において
運営されます。その下には補佐として
理事の
皆さんもいらっしゃいますが、
国会の現在の
ルール、あるいはいままでの習慣の上からいきまして、
与党である自民党の
理事の
皆さん方がやはり中心で動いていらっしゃることは、だれが見ても火を見るよりも明らかなんです。そうしますと、いま
岡本委員長は、二十一日どうしてもやりたいと、ほかの
委員長も、そうしましょうと積極的であったと、そうでありましたということですが、それであるならば、
地方行政委員会の一つを、他の
委員会ですけれども、
——これは
連合審査ということにおいて
関係があるから申し上げますが、ここに
与党の
理事の
皆さんは二人いらっしゃるのです。さあ、
地方行政委員会が
連合審査をやりたいと、積極的であるといま申されました。それであるならば、それを
運営していくところはもちろん
委員長ですけれども、
委員長と同じくらいの責任でやっていくのは
理事、
理事の中でも
野党から出ていらっしゃる
皆さんが積極的でなくちゃならぬ。ところが、
与党の
理事の二人のお方がいらっしゃいますが、この二人のお方は二十一日のきのうどこにいたと思いますか。一人の人は福井ですよ。一人の人は山口ですよ。
連合審査をやろうと、積極的にやろうといま
委員長は要請があったと言うのですが、それを補佐する
理事が、一人が福井で一人が山口にいてそうしてこの
連合審査を推進できますか。熱心であると言いますが、私は、熱心ならば熱心である姿があらわれるはずです。このように山口と福井におって、どうして
連合審査の
委員長を補佐してやる姿がどこに見えますか。これはほかの
委員会のことで私は知りませんと言いますが、要請をして向こうからも
申し入れがあって、積極的な要請がありましたといま
委員長はこの席で言いました。ところがですよ、
地方行政委員会における
与党の
理事の二人が山口と福井にいてどうしますか、どうしてできますか。また、
大蔵委員会におきましても
与党の
皆さん方が二人いらっしゃいます。その
与党の
皆さん方が二人おりますが、一人の人は登院していないのですよ。
委員長職権であるならば、
委員長職権で登院させなければならないのであって、私のほうも地行に
理事がおります。公明党も一人九州からわざわざ来ております。
委員長職権ながらその
運営をしていく
与党の
理事二人、福井や山口にいて、そうして
連合審査、私は二十一日が適当でありましたと、これはいまさっきから
岡本委員長が話していることと現実の姿とあまりにも違いがあるじゃないですか。だから私は疑問だと、この点に対してほかの
委員会だから知りませんと
委員長おっしゃるかもしれませんが、これはどうなんでしょう。この姿はどうなんです。
-
-
-
-
-
○
委員長(
岡本悟君)
運輸事情等に関する調査を議題といたします。
原田運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕
-
-
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○国務大臣(原田憲君) 日本海方面における外国艦船の行動に伴い、出漁日本漁船の保護を目的とした海上保安庁の措置の概要を御報告申し上げます。
去る十五日、外務省からの通報等により、米軍機の墜落事件を
承知いたしましたので、直ちに日本海方面の漁船その他の船舶に対しまして、無線通信により注意を喚起いたしました。その後引き続き外国艦船による捜索救難行動が活発になりましたので、出漁中の漁船の安全操業についても、無線通信等により指導を行なってまいりました。さらに、二十一日朝、空母を含む米艦隊が日本海に入ったことが確認されたので、
関係のある漁業協同組合、漁業無線局、出漁船に通報して注意事項を指示するとともに、特に出漁船の多い日本海南西部海域に、通常の巡視警戒に加えて、さしあたり巡視船二隻を常時配備し、現場において操業の安全指導に当たっている次第でございます。
右、御報告申し上げます。
-
-
○
田代富士男君
議事進行について。
いまさっき、私は午前中の
委員会で、昨日の
運輸委員会が
職権で開かれたことに対して
委員長に対して
質問申し上げました。その時点においていろいろ
委員長からもお話がありまして、また
江藤委員からも話がありまして、これは後ほど
皆さん方で
話し合いをいたしますということも聞きまして了解しました。そして最後には私は、昨日ほんとうに
連合審査をやる
意思があったのかなかったのかということを再確認しまして、
岡本委員長はそのことに対して、やる
意思がございます、そのように強い
意思を示されたと聞いている。ところが
連合審査を
申し入れた地方あるいは大蔵、あるいは物価の
委員会の、推進していくべき
理事、中でも
与党から選出されていらっしゃる
理事の人の出席のあり方について私は申し上げました。そのことに対しましても、じゃ、それは他の
委員会のことであるけれども、その
委員会を
受け入れる私としましても注意すべき点は注意いたしましょうということを、速記がついたつかないは別として、この
委員会の席上で、
委員長は、全部の
委員並びにこの
委員会にいらっしゃる
皆さんたちの前で発言していらっしゃる。だから常任
委員長会議を開きます場合において、そういうことを
連合審査をやる上において、そういう欠席であったということはまずい面もあるから注意をいたしますということをはっきり申されたのですけれども、
委員長はそれに対して注意を促されましたか、どうでしょうか、聞かしてください。当然午前中あれだけのことを言ったことに対して
一言ぐらい発言があってしかるべきじゃないでしょうか。私もそのために退いております。
委員長があとでおやりになるということ、まして午後から再開された
委員会の冒頭において、午前中の続きである私が
議事進行に対して質疑をしようとしたことに対して、どうして私を押えて大臣に報告をさせるのですか。まずその点をはっきりさせてください。これで文句がありますか。
委員長、こんなことがありますか。私は午前中の引き続きとして、そう時間をとりたくありません。こういう問題は早く解決したいのです。そのために一番
最初に質疑をしておるじゃありませんか。それをさえぎってまで大臣に報告をさせられた。じゃ、あなたは午前中に、いよいよ本題に入ろうとしたときに、大臣に指名されたときに大臣に答弁させたでしょうか、そのことを聞きましょう。
大臣に私はお尋ねしますが、
委員会においては
委員長の権限、
委員長の指示に従うのが当然です。指名をされたにもかかわらず、大臣は御答弁なさらなかった。その点をまず
最初にお聞きしたい。それとあわせて
委員長からいまさっきの答弁をお願いいたします。
-
○国務大臣(原田憲君) 午前中に私から発言がありますというところまで
委員長が申されたのでございます。そこで私は、これは速記を少しとめていただけませんかと申し上げたのは、私は
質問があると思っておりましたので、
質問に答えるつもりでおりましたところが、
委員長から、私から発言があると言われましたので、ちょっと戸惑いまして、私は黙っておったのでございます。それで、それを、正式な
委員会でございますから速記をとめてお聞きをしようと思ったとたんに、ちょうどタイミングがそういうことになっておりましたから
委員長は休憩を宣せられた、こういう経緯になっておる次第でございます。
-
○
田代富士男君 じゃ大臣に
一言聞くくらいの余裕もなく休憩を宣するんですか。その点どうなんです。大臣は発言をしようとした。それにわれわれも
審議促進である。大臣も発言をしたい。それにどうして休憩を宣するのですか。その点はっきりしてください。
-
-
-
○
森中守義君 先ほど大臣から所管の米艦隊の行動に対する報告がありましたが、まああまりにも内容不十分で、なるほどさようであるかという、そういうことにならない。元来こういう問題は、ひとり運輸省のみならず水産庁ありあるいはまた外務省あり、こういうことで、本来ならばここで一体的な報告を受けたいのですよ。それができないのを非常に残念に思いますが、以下二、三の点について、ややもすると運輸省の所管外の事項にわたることもあるかもわからないのですが、まず第一番に承りたいのは、今回のようにきわめて規模の大きい米軍の艦隊行動というものは、どういうように理解をすべきであるか、その辺のことが政府の統一されたものとして把握されていない。たとえば朝日新聞によれば、けさのですけれども、こう言っているのですね。今回の行動が、まあいわば抑止的な
意味での行動のようであるから、ことさらにアメリカに対してとかくの措置を求めるようなことを政府としてやる必要はなかろう、こういうふうに言っている。しかるにいま私どもが、
運輸委員会として重視しなければならぬ問題は、公海における使用の自由ということなんです。実はきのう、あるいは先ほど、ちょっと事務所に帰りましたら、ひっきりなしに電話がかかってくる。あるいは電報が入ってくる。つまり西日本一帯には、
関係の漁業者あるいは漁民、こういう人たちが非常に緊張、あるいは不安の極に達しておる。そこで、私は先ほど申し上げるように、一体今回の行動を政府としてどういうように受けとめるか、あるいは性格づけるか、その辺のことがある程度正確になりませんと、この問題の対応策、措置というものは簡単にいかぬと思う。言うまでもなく、わが国が四十三年の七月に効力を発生せしめている公海に関する条約というものがある。この公海の条約によれば「航行の自由」、「漁獲の自由」、「海底電線及び海底パイプラインを敷設する自由」、「公海の上空を飛行する自由」、この四つのことが公海の自由原則としてあるのですね。
さて、そういうように考えてくれば、今回の米艦隊の行動というものが、はたして公海の自由に対する自由使用という観点から許さるべきであるかどうか。何でもいい、とにかくアメリカが行なう行動については一切のことは問題にすべきでない。まあすべて領海使用ではないからという、それが当然の行動であろうという、こういう日本政府の理解のしかたでは、私は非常に大きな問題が自後に残るんじゃないか、こう思うわけです。少なくとも公海に関する条約というものにわが国が採択に参加をして、あるいはその批准を行なっている以上、こういうものがある限り、アメリカの今回の行動というものが、公海の自由使用という範疇に入るかどうか、この辺のことを少し正確に承っておきたいと思う。これは外務省所管であるかわかりませんが、しかし、少なくとも漁船の保護の任にある海上保安庁を持つ運輸大臣であるので、まずこの辺を承りたいと思う。
それといま一つ具体的に提起すべき問題は、少なくとも私の理解からいくならば、明らかにアメリカの戦闘作戦行動ですよこれは。単なる哨戒行動じゃない、単なる偵察行動ではない。明らかに戦闘作戦行動だ。しかも日本海において行なわれる。それによって沿岸の漁民はもちろん国民全体が不安と緊張のどん底におとしいれられている。この現状を一体政府はどういったように性格づけ、意義づけようとするか。そういう根拠になることが明らかでないと、なかなか私は簡単にこの問題の処理はできない、こう思うのですが、どうですか。
-
○国務大臣(原田憲君) 米艦隊の行動に関する公海の自由に対する見解並びに今回とっておる米艦隊の目的等につきましては、これは外務大臣が
お答えをするべき筋合いのものであると思いますので、私からは遠慮をさせていただきますが、この米艦隊の行動に関して私どものほうでは、先ほども御報告を申し上げましたが、出漁日本漁船の保護を目的といたしております海上保安庁の任務からかんがみまして、四月十五日、米軍機墜落事件が発生をいたしまして、このことについて外務省から連絡を受け、外国の船艇の捜索活動が行なわれましたので、第七、第八管区海上保安本部に対しまして漁船の安全指導に特に注意を払うように指示をいたしております。さらに四月の二十一日朝、空母を含む米艦隊が日本海に入ったことが確認されておりますので、
関係のある漁業協同組合、漁業無線局、出漁船に通報し、注意喚起を行なうとともに、特に出漁船の多い日本海南西海域に、さしあたり巡視船二隻を常時配備しまして、漁船の安全指導にあたっております。また、第七、第八管区海上保安本部管下の保安部署及び巡視船艇をして、
関係漁業協同組合、出漁漁船に対しまして次の事項につき安全指導を行なわせております。外国艦艇に不用意に接近しないこと、日本国旗の掲揚、海上衝突予防法に定める灯火及び形象物の表示を励行する等事故防止につとめること、特異事故があった場合には巡視船に連絡すること、外国艦船が操業中の日本漁船に接近するような場合には、国際信号旗を掲揚する等により相手の注意を喚起すること、以上の措置をとっておるわけであります。また、私といたしましては、
海上保安庁長官に対し、
関係機関とよく連絡をして万遺憾なきように計らうことを指示をいたしておる次第でございます。
-
○
森中守義君 そのおとりになった措置それ自体はまた別の議論といたしますが、あまり遠慮をなさらなくてもいいですよ。何といっても
内閣に列せられる閣僚の一人ですから、ずばり言ってください。さっき申し上げたように、今回の米艦隊の行動というのは、何といってもこれは作戦戦闘行動ですよ。したがって、そういう場合には、国際戦時法に基づくならこれは別です。そうじゃない。いま、私どもは大臣のお話からいけば、常に受け身で、常に消極的で、常に防衛的に漁船の安全をはかろうとする。しかし侵されつつある公海の自由、これは一体だれが守ってやるんですか。何のために公海条約を批准しているんですか。この条約加盟国の一国として、黙って放置できるものですか。いわんや外務省のごときは、アメリカの抑止行動だから別段
意思の表明は要らないと言うに至っては語るに落ちる。それでは国益を守れませんよ。国民の利益を守れませんよ。いくらアメリカであろうと、公海における自由を侵すというならば、なぜ堂々と抗議しませんか。まず私はその辺から政府の行動が開始されていいんじゃないか、こう思うのですね。だから閣僚の一人として、明らかにこれは公海の自由使用を侵す戦闘作戦行動である、そういう認識をお持ちになるべきじゃないですか。これは何も所管が保安庁だから漁民の安全を保護するだけだという、それだけのことではなくて、政治家あるいは閣僚としてどう判断するか、それをひとつ運輸大臣から聞いておきたいと思うのですね。
-
○国務大臣(原田憲君) 今次の米艦隊の行動について、日本政府に連絡を受けたということは聞いておりません。米艦隊の行動がはたして戦闘行為なのかどうかということは、これは
森中さんいま言われたように、あなたの見解はそうだと判断をされるようでありますが、それを私がここでこれはそうだということを
お答えをすることは少し出過ぎていると思います。慎みたいと思います。
-
○
森中守義君 よしんば一歩それじゃ譲りましょう。しかし第七艦隊の約三分の二にあたる主力艦隊、ホーネット、及びエンタープライズ、これを援護する駆逐艦が二十ぱい、まさに日本海の波浪は高過ぎますよ。そういう状態を私は戦闘作戦行動であるかどうかは、いま大臣のことばを一応この場では議論の対象からはずすにしても、この状態、これは異常ですよ。公海の自由使用四原則を明らかにじゅうりんをするものだとは思いませんか。しかし、そのことであまり時間を取っちゃどうかと思いますが、よほどその辺の問題はしっかり踏まえてもらわなければ困る。国益は守れませんよ。それで、保安庁の長官に聞いておきますがね、どうなんですか、これは専門家として、五十八年の国際海洋法
会議のときに太平洋における核実験がだいぶ議論されている。そのいきさつ御存じですか。要するに核実験というものは公海の自由使用というワク内に置いていいのか、あるいは別かという議論が行なわれている。賛否分かれているのですね。分かれたままに結果的に挿入された字句というものがこうなっているのですね。公海の自由は、他国に与えられる権利に「合理的な考慮を払って、行使されなければならない。」つまりいま私が提起したアメリカの戦闘作戦行動的なものであるとか、あるいはまた公海における核の実験であるとか、こういうものについては、
関係国の一つの妥協的なもの、つまり賛成、
反対あって、妥協的なものとしてこういうものが生まれている、これらのことをどういうように思っていますか。
-
○
政府委員(河毛
一郎君)
海上保安庁長官といたしましては、ただいまお話のございました核実験に関するいろいろな解釈につきましては、
〔
委員長退席、
理事金丸冨夫君着席〕
やはり私どもの与えられております任務の範囲外であると存じますので差し控えたいと存じます。ただ具体的に核実験が行なわれるというような場合、これを水路通報その他の措置によりまして、広く一般に周知さすということは私どもの本来の任務でございます。放送その他により、そのような情報をキャッチいたしました場合に、直ちに水路通報によりこれを
関係の向きに放送いたしているということは現実に行なっている次第でございます。
-
○
森中守義君 多少古い話になりますが、例のビキニ環礁、あるいは一連のアメリカ、フランス、イギリス、こういう太平洋上における核実験にあたって、日本の漁船がたいへんな被害を受けた。そのときに損失、損害に対する補償要求が行なわれたようですね。その結果をこの際ひとつ明らかにしておいてもらいたい。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) ただいま申し上げましたように、核実験その他が行なわれる海域その他につきまして、
関係の船舶その他につきまして通報をいたしますことは、私どもの本来的な任務でございますが、それによりまして被害をこうむった場合、これをどのように措置するかということにつきましては、やはり私どもの任務の範囲外でございますので、この点については、
お答えは私としてはする知識もございませんし、また、ただいまそのような点につきまして私から申し上げることは差し控えるほうがよろしいのではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。まことに申しわけございませんが、御了承を得たいと思います。
-
○
森中守義君 知らないもの、できないもの無理に言えというのも酷な話なのだけれども、しかし微妙なこういう問題ですよ。なるほど所管外であるかもしれない。しかし私は太平洋における核実験に伴う日本の漁船の損害、これに対して明らかに損失、損害に対する賠償請求権が留保されているわけだから、これはひとつ、やはり過去の事実はこうである
——むろんそれは運輸大臣あるいは保安庁長官の所管事項ではないにしても、事実は事実で述べてもらうぐらいのことは当然だ。しかし、それはできない、知らないと言われるなら、あえて聞きません。
それから、それに関連して、昨年のプエブロのとき、このときもアメリカ、ソビエト、韓国、この三国に日本政府はかなりきつい
申し入れをしている。これに対してどういう反応があったのか。またあのときにはエンタープライズによって漁船がともづなを切られた、あるいは船体の一部に損耗をこうむった、こういう被害があった。このときにビキニのときと同じように損失、損害に対する賠償は、請求権は留保されたのかどうなのか。この点、どうなのですか。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) プエブロで日本海に入りましたときに、そのような事故が起こったということにつきましては、了知いたしております。またそのような経験にかんがみ、私どもといたしましては先ほどから運輸大臣から御報告がございましたように、特に漁船に対して注意事項を具体的に指示する、あるいはまた通常の巡視警戒のほかに、必要な海域に特別哨戒を続けるという措置につきましては、以後実行をいたしておる次第でございます。ただいま御指摘のございました損害額その他についてどのような措置をいたしたかということにつきましては同じような答弁でまことに申しわけございませんが、所掌外でもございますし、そのような事実をフォーローいたしておりませんので、
お答えすることができないわけでございます。御了承を得たいと思います。
-
○
森中守義君 いずれの問いに対しても正確な答えがありません……。
-
○国務大臣(原田憲君) いまの御
質問にちょっと関連いたしまして。
あのプエブロ事件のときに、いまお尋ねのありましたような措置をとった。今回も外務大臣は同様な措置をとっておる。これは私も所管外のことでございますが、農林大臣が当然これは外務大臣に申すことでございますが、措置をとっておる。そしていかなる措置がなされたかということについては私も存じ上げておりませんが、措置をとった、こういうふうに
承知をいたしております。
-
○
森中守義君 運輸大臣、アメリカがやることだからまかしておいたらよかろう、日本はそうあまり心配したことはないのだと、そういう安易な気持ちでもないでしょうけれども、外務は外務、農林は農林、運輸は運輸、こういう個々ばらばらなことで、取り立てて政府一体としての対策はとられていませんね。これは私は非常に漁民あるいはその
関係者に対して、ひいては国民に対して親切なやり方だとは思いませんよ。しかもいつまでこういう事態が続くかわからない。しかも毎日のように三百隻も四百隻も漁船は出ている。出ておりながら、いつどこでどういう目にあうかわからぬという船底一杯の危険な状態を続けているのですね。どうですか、この際ひとつ一体的な対策を立てるということ。同時に、根本的な問題として、今回の米艦隊の行動を日本としてはどう規定づけるか。すなわち公海の自由は明らかにこれで侵されているわけだから、もう私は一つの意見としては、今度のように大がかりなアメリカの作戦行動というのは、本来的に当然国連憲章の所定の
手続によって行動をとるべきですよ。何もやっていない、そういうことを。ただ日本海だから、日本はその沿岸国の一つだから何をやってもよろしいと、しかもコリアが、台湾が自分の支配下にある海域だから何をやってもよろしいというこういう行動は許されませんよ。少なくとも国連憲章なりあるいは国際諸法規の規定にそむくものですよ、アメリカがやっておることは。そう思いませんか。それを容認するからこういうことになる。
-
○国務大臣(原田憲君) 私は力足らずで、微力なものですからおしかりをこうむるのですが、私はさっそく外務大臣に電話を昨日いたしまして、外務大臣から私に連絡をすべき事項は必ず連絡をいただきたいということを申し上げました。それから農林大臣に連絡をいたしまして、水産庁と海上保安庁との間に密接な連絡をとって処置を対応するように命令をしてもらいたい。うちの保安庁にもよく言ってありますが、こういうことを連絡をいたしました。けさ私は農林大臣から、今度の措置についてプエブロ事件のときと同様にアメリカ側に
申し入れをするように外務大臣と話をしておるという話を聞きましたので、先ほどのような答弁をいたしたのでございますが、なお、今後とも御意見のありますようによく連絡をとりまして、おのおのが、それぞれの任務に従って措置をいたすように努力をいたしたいと存じます。
-
○
森中守義君 そのおのおのの任務ということではやっぱりまずいのでございまして、相当長期にわたると見ざるを得ない。だから私はこの際は政府一体の責任においてどういう対策を立てるのか、これは要請でもあり提案でもありますが、にわかに答えていただく必要もないけれども、至急これはひとつ閣議等で協議をしてもらいたい。それと日本経済によれば、外務省が米軍にその
申し出た中で、漁船の操業計画を連絡したと、こう言っておる。そういうあれですか、これは水産庁がこさえたのか、運輸省がこさえたのか知りませんがね、漁船の操業計画というのが手元にありますか。どういうものですか、新聞に言っておるのですよ。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) 日経を実はその部分を読んでおりませんので詳しくわかりませんが、あるいは
お答えがはずれるかもわかりませんけれども、今後どのような操業計画があるかということにつきましては私どもは聞いておりませんです。ただ私どもといたしましては、現実にその日その日どの方面にどのような種類の漁船がどの程度出漁しておるかということは、漁船の安全操業上絶対につかむことが必要でございますので、この点につきましては、毎日、漁業協同組合、漁業無線あるいは私どもが哨戒についております巡視船によりましてそれを把握し、それによりまして私どもの保護判断の基礎資料にしているわけでございます。
-
○
森中守義君 大臣、先ほど言われる外務省が
申し出た、それに対し米軍あるいは大使館等の反応はどういうものですか、反応がありましたか。
-
○国務大臣(原田憲君) そのことは先ほど言いましたように、農林大臣が
申し入れをしたというところまで聞いておりまして、まだその結果については私は残念ながら聞いておらないのでございます。
-
○
森中守義君 その反応がどういうものであるかというのは、これから日本海における漁業の一応の将来を占うことができる。すみやかに反応をとってもらいたい。
それと、先ほどの報告で十分でないというのは、いま河毛長官から巡視船の配置を言われましたが、何ばい巡視船出しているのですか。七管、入管総動員なのか、あるいはその他の管区から巡視船が出ているのか。
それからおおむね艦隊の動向の把握というものは何を根拠にされているのか、つまり巡視船のレーダー等によって捕捉したものであるのか、あるいは航空機によるものか、あるいはその余の監視体制があるのか。
それと、よく保安庁の出されるものと報道機関が伝えているもの、ずいぶん違っておりますね。したがって、みずから確認したものでなければ責任が負えないから出せないということで事が済むというのであるか、私はそういうものじゃなかろう。いま報道機関といえども固有に飛行機を持っている、いろんな
方法で探索していますよ。そういうものを総合的に捕捉した動向というものがこの際は必要ではないのか。あまり官庁の形式にとらわれ過ぎますと、事大事に至りますからね。その辺の状況はどうなのか、御
説明いただきたい。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) ただいまお話のございましたまず第一点の、どのような漁船保護のための巡視船体制をしいておるかという点でございますが、この方面の海域は私どもの管区といたしましては、門司に本部のございます第七管区、舞鶴に本部のございます第八管区が担任海域でございます。この両管区は日本海に面しておりまして、ただ単にこのことだけではございませんで、通常の巡視警戒という任務を持っておりますので、常時何隻かの船がこの海域を行動いたしておりますが、今回の事態にかんがみ、これ以外に特別に南西海域に関しまして一つは山口県の沖合いにイロハのイ線というのを一本引いております。それから
二つには、島根県の沖合いに口線というのを引いております。ここを特別巡視警戒の
二つの線といたしまして、イ線には唐津の巡視船、やはり同じ名前の「からつ」という船を常時張りつけております。また口線には入管の巡視船「のしろ」を張りつけ、現在漁船の安全操業及び保護にあたっておる次第でございます。
次に、外国艦船の動静の把握をどのような
方法で行なっておるかという点でございますが、元来海上保安庁はわが国沿岸海域を巡視警戒する任務を持っております。したがいまして、沿岸海域の巡視警戒の範囲内におきましてあらゆる船舶の動静の把握につとめておりますが、今回の場合は特にこのような点を注意をいたしましてかねがね指示をいたしておるわけでございますが、具体的な
方法といたしましては、やはり巡視船による視認あるいはレーダーによる確認というものを艦船動向把握の基礎にいたしております。したがいまして、今日まで私どもがただいま申し上げましたような
方法により確認いたしました米国艦船の数は十一隻というふうに考えております。それ以上さらにいろいろな艦船があるという点につきましては、私どもももちろん私ども
自身の資料のみでなく、新聞その他も注意深く検討いたしておるわけでございますが、新聞紙等もしさいに検討いたしますと、必ずしも確定的な書き方をいたしてない部面が多いわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、今後さらに沿岸の巡視警戒という立場から、巡視船その他によりましてできるだけ沿岸における動静の把握につとめてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
-
○
森中守義君 そうしますと、こういう状態というものがいつまで続くかということはにわかに予見できない。これはアメリカのやることですからね。しかるになお騒々しい状態が続いておるときに、もう少し出漁ラインを縮めたほうがいい。あるいは出さないほうがいい。いろいろ態様は変わってくると思う。そういう際に出漁規制をやるようなことがありますか。また出漁規制をきめた際に、それによって損失をこうむる漁業界に対する国家補償等考えますか。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) ただいまお話のございました出漁船に関する私どもの措置でございますが、これは先ほど大臣からお話のございましたように、漁船が現場に出漁いたしておりました場合に必要な注意事項をこまかく連絡し、また状況を漁船に伝達するということが私どもの任務でございまして、本来的に規制をするということはただいまのところ全然考えておりません。
それからまた、このような出漁というものをするかしないかという問題は、第一義的にはやはりその漁船を操船しておる船長以下の乗り組み員の判断にまつべきものである、こういうふうに考えております。私どもといたしましては、現場に漁船がおるということを
前提にいたしまして、その漁船を安全操業の可能な状態に置くように全力をあげるという基本的な方針でございます。
-
○
森中守義君 それはなるほど今日の漁業法から言えばそのとおりの解釈をしなければなりませんが、操業に対して規制を加えるべきものじゃない。いわんや公海においてはですね。ところが問題は、いまの時点だからそういうことが言えても、何か火花を散らし合うという事態が予想されないということはあり得ない。その際に、自主的な判断にまっておのおのの船のキャプテンなり何なりがきめることだ、船主がきめることだということで放置できないような事態が発生するかもわからない。その際には沿岸漁業を指導しておる水産庁が行なうべきものであるのか、あるいは漁民のあるいは漁業の安全を扱っている運輸大臣、保安庁長官が行なうべきものであるのか、どちらが行なうべきものですか。いまのような状態ずっといけばいいですよ。規制を加える必要がないという事態が続く、それをわれわれ望んでおる。もし万が一そういうような事態でないような場合に、水産庁なのか運輸省なのか、こう聞いているわけですがね。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) ただいま先生お話のございましたように、現在あるいは最近の見通しといたしまして、そのような事態が必要であるというような状況判断はいたしてないわけでございます。ただ出漁をやめるというような問題は、やはり単なる安全操業という問題の範囲を越えまして本質的な問題に相なるかと存じます。したがいまして、少なくとも海上保安庁がそのような問題について基本的な考え方をきめるということは、やはり任務ではないんではなかろうかと、このように考えております。
-
○
森中守義君 あまり仮定の話として詰めてもどうかと思うんですが、しかしそういう事態も、当然これは一つの考慮の中に入れておいても過ぎることじゃない、私はそう思うんです。
そこで、これで終わりますが、運輸大臣、やっぱりこれは異常な状態ですよ。長く続くことはむろんこれは望ましいことではありませんしね。ですから
最初申し上げたように、一体日本政府は今度のアメリカのとった措置、行ないつつある行動というものが、はたして戦闘作戦行動という定義づけをすべきであるのか、それによって公海の自由が侵されているという、そういうことを理解すべきであるかどうか非常に私は重要な問題だと思う。少なくとも漁業の安全あるいは沿岸の安全を保障する運輸省、運輸大臣としては、何としてもき然たる態度を持って、いけないものはいけないというように、アメリカに対し厳重に
意思の表明をされる程度の意気込みがあっても私はいいんじゃないか、こういうように思うんです。したがって、不測の事態が発生しないために万々の措置をとっているという大臣、長官の答弁であり、まあそれなりにけっこうだと思いますけれども、要するに、万が一ということがないように、なお自後の万々の措置を強く私は要望しておきたいと思うんです。したがって閣議等におかれても基本的な問題についてはぜひひとつ論議をしてもらいたい。いずれまたこの
委員会でその結果等について承ることもございましょうけれども、まあそのことを最後にして、とりあえず私の
質問を終わっておきたいと思います。
-
○国務大臣(原田憲君)
森中さんの御意見に対しましては、十分御意見は御意見として承りました。先般
衆議院本
会議場におきまして、この米軍機墜落事件に対する質疑等も行なわれております。私は冒頭に申し上げましたように、私に与えられた任務というものに万全を期し、御意見に沿うように行動をいたしていきたいと思います。政府としての意見につきましては、私が申し上げることは慎ませていただいて、御遠慮申し上げます。
-
-
-
○加瀬完君 いま
委員長のほうから御指示があったわけでございますが、
森中質問は一応打ち切られておりますわけですが、
質問に入る前に少し大臣にその点で一、二確認をしたいのでございますが、出漁規制の義務というものはないと考えてよろしいですね。それから安全な操業状態に置く義務というものは海上保安庁にあるわけですので、安全操業の範囲を越えるか越えないかという判断を水産庁にまかせるということは、ちょっと水産庁自体では状況把握が十分でないわけですから、ぐあいが悪いじゃないかということをいま
森中委員の
質問を伺いながら感じたわけでございますが、これはどういうことですか。
-
○
政府委員(河毛
一郎君) ただいま出漁
関係の規制の問題で再び御
質問がございましたわけでございますが、まあ先ほど
お答え申し上げましたように、やはり出漁するかしないかということは、第一義的にはその船
自身が判断すべきものでございますし、また、それを第三者がある
意味で決定するということは非常に根本的な問題である、こういうふうに考えます。したがいまして、当面海上保安庁といたしましては、そのようなことではなしに、現場に出漁しておる漁船がどうすれば安全に操業が続行できるかということに重点を置いていろいろな処置を進めてまいりたい、こういうことでございますので御了承いただきたいと思います。
-
○加瀬完君 国鉄の財政再建について先日いろいろ
お答えをいただいたわけでございますが、
質問がやや逆戻りするきらいがございますが、確認をいたしておきますのは、国鉄再建のための負担区分は政府、国鉄、運賃と分けますと、一対二対三・五、このように了解してよろしいですね。これは運輸省でも経済企画庁でもどちらでもよろしゅうございます。
-
○
政府委員(町田直君) 国鉄財政再建の具体的なやり方につきましては、国鉄財政再建促進特別措置法が通過いたしまして、その上でその方針を閣
議決定いたしまして、その閣
議決定に基づいて国鉄がつくると、こういうことになっておりますので、それを具体的にどういうふうにやるかということにつきましては、実はこれからの問題であるということでございます。ただ国鉄財政再建推進
会議の答申によりまして、その
会議で試算いたしました内容は、ただいま御指摘ございましたように、大体三、二、一と、こういうような数字に試算上はなっているということでございます。
-
○加瀬完君 これも前に
お答えがあったわけでございますが、赤字を出した最大の責任者が運賃を負担する国民とのみは言い切れない、こういう
お答えがありましたが、それは確認してよろしゅうございますね。
-
○
政府委員(町田直君) 前の御
質問の際の責任につきましていろいろ御議論がございましたが、最大の責任者というその責任とは何かという問題が実はあるというふうに私どもは感じております。むしろ言いかえますと、現在の国鉄の財政がこういう状態になった原因はどこにあるかという問題ではないかというふうに理解しておる次第でございます。
-
○加瀬完君 どこにあるんですか、国民だけにあるんですか。
-
○
政府委員(町田直君) これも前々から申し上げておりますように、輸送構造の変化あるいは人件費、利子等の経費の増高というようなところから現在の状態に至った原因があるというふうに考えておる次第でございます。
-
○加瀬完君 政府の施策がよろしきを得れば国鉄の赤字はもっと僅少で済んだのではないか、あるいは赤字というものを出さない方向で経営が進められたのではないか。これはお認めになりましょうね。
-
○
政府委員(町田直君) この前御議論ございましたように、現在の法律の会計処理の
方法が利益金を積み立てあるいは損金をそのまま処理すると、こういうことになっておらなければ、つまり先生御指摘のように、赤字が出たら全部国が持ちますと、そのかわり黒字が出たら国に納めなさいという形になっていたとしたら現在の状態とは違っていただろうということはこの前御答弁いたしたとおりでございます。
-
○加瀬完君 そこで、これは大蔵省も、債務負担ということばは当たっておりませんが、事務負担は責任義務に応ずべきだということは了承されたわけであります。そこで一対二対三・五というものを裏返しをすると、これでは最大の義務負担者が国民ということになりがちでありますが、こういう
方法を進めてまいりますれば、再建法の中にも出ておりますように、将来、運賃改定が運輸大臣の認可事項ということになりますれば、さらに赤字処理に困ると運賃の改定でつじつまを合わしていく、バランスをとっていくという
方法がとられざるを得ないじゃないか。そうすると、いまは一対二対三・五であっても、これはあとで申し上げますが、国鉄の合理化といったってそうは簡単に進められるものではありませんから、これは一対二対五にも六にも国民の負担だけが増長させられるという傾向を否定するわけにはいかないと判断をするわけですが、そういう国民の過重な負担というものは、この法律から、将来どこをさしてもはらんでくるものではないと御否定ができますか。
-
○
政府委員(町田直君) ただいまお話ございました中で、今後の運賃改定の問題につきまして、実は国鉄財政再建推進
会議の数字では、十年間に限って運賃の改定について運輸大臣にこの点をまかせたらどうかという御指摘がございましたけれども、法律のほうではそういうことは一切考えておりませんので、現在の状況でまいります限りにおきましては、今後の運賃改定も基本賃率の改正についてはやはり
国会の御
審議を経ると、こういうことに相なるわけでございます。
それから運賃とその他財政措置とかあるいは国鉄の合理化というようなものの、何と申しますか、今後のやり方につきましては、先ほど御
説明いたしました繰り返しになりますが、法律が成立をし次第国鉄が再建計画を立てまして運輸大臣が承認すると、こういう形になっておりますので、そういうことで今後十年間進みたいということでございます。その間に
事情の変更等があるいはあるかもしれませんが、その場合でも、国が承認するような形で再建計画というものはでき上がっていくと、こういうふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
-
○加瀬完君 一対二対三・五が、何といいますかね、私はうまくいかないと思いますのは、こういう案が国鉄であるいは運輸省できまっているとはまだ言い切れないでしょうけれども、一応、
審議会等のプランとしては、国鉄側の負担する分として要員の合理化で六千六百三十二億、給与ペースの逓減で七千六百三十億というものが項目として伝えられておりますね。この項目や数字というものはそのまま受け取ってよろしゅうございますね。
-
○
政府委員(町田直君) ただいま御指摘になりました中で、要員の合理化ということはこの答申にもございますし、事業書にも一応そういう形で入っておりますけれども、給与ベースにつきましては、ちょっと私、ただいま先生の御指摘になったのははっきりわからないわけでございますが。
-
○加瀬完君 国鉄に
お答えいただいてもいいんですけれども、給与ベースの逓減というもので七千六百三十億というものが数字として伝えられておるのですけれども、こういうことはそれではございませんということですか。
-
○
説明員(小林正知君) 再建
会議の試算でございますが、そこにおいて計算を一応されております人件費は、給与ベースといたしましては、定昇を含めまして年率九%ということで試算をされておるのでございまして、先生いまおっしゃいますように、いわゆる給与ベースを押えることによって七千七百億円浮かすというような計算にはなっておりません。
-
○加瀬完君 そうすると、給与ベースなり人員整理なりによって人件費を逓減するという方策はとらないと了承していいですね。
-
○
説明員(小林正知君) 給与水準の年々の増高に対しましてどういうような比率で試算いたしますか、この問題につきましては再建
会議の中でもいろいろ御論議がございました。先ほど御答弁申し上げましたような数字でベースについては考えている。一方人件費は、申し上げるまでもなく要員頭数に単価をかけたものでございますので、要員につきましては先般総裁から御答弁申し上げたかと思いますが、今後の国鉄の近代化というものを、答申を含めまして鋭意推進をしてまいるというような過程の中におきまして、また、将来の労働市場等の状況というものも勘案いたしまして約六万人程度の人員の差というもの、すなわち六万人程度の少ない人員で要員規模を考える、かような試算になっておる次第でございます。
-
○加瀬完君 そうすると給与ベースの逓減というものでは合理化ははかっていかないと、ただし、人員の将来の合理化ということである程度の員数というものを減らすということは考えられる、こういうことですか。
〔
理事金丸冨夫君退席、
委員長着席〕
-
○
説明員(石田禮助君) おっしゃるとおりであります。要するにベースの問題につきましては、御
承知のとおり一方にストライキ権というものを剥奪しておる、それに対する代償として給与ベースは総裁の権限のない仲裁裁定の裁定にまかせる、国鉄としてはその決定に服従する、こういうことであります。ベースの問題、深く考えていないのです。
-
○加瀬完君 これは運輸省でも経済企画庁でも大蔵省でもけっこうです。いま私鉄の大手と比べて国鉄の賃金ベースというものはどうなっていますか。
-
○
政府委員(町田直君) 正確な数字をここに持ち合わせておりませんので後ほど調べますけれども、大体におきまして、もちろん私鉄の個々の会社によりまして要員構成それぞれ違いますけれども、毎年のベースアップ等の状況はそれほど差がないように存じております。しかし詳細につきましては後ほど
お答え申し上げます。
-
○加瀬完君 そこでいま総裁のお話しのように仲裁裁定というもので賃金がきまってまいりますから、一方的にこの財政計画だけで賃金を押えたところで、ストライキ権がある限り、また仲裁裁定というものに持ち込まれる限り、これは財政計画だけで進めるというわけにはまいりませんね。そうなってまいりますと、一応六万人というものをめどに考えたところで、これもまたそのとおりの人員の縮小というものが計画のとおりにいくというわけにはまいりませんね。そうすると根本的にいって再建計画で国鉄側が負担する分というものは、これは少し荷が重過ぎるのじゃないか、逆にいうならばどんなに負担金額を見積もっても実現はなかなか困難ではないかと一応考えられるわけですけれども、その点は運輸当局はどうでしょうか。
-
○
政府委員(町田直君) これはまあそういう御指摘があるいはあるかもしれませんけれども、これから詳細に再建計画をつくっていくわけでございますけれども国鉄側の負担分と申しますか、国鉄の合理化という面でも、たとえば増収努力というものも相当やらなければいけないと考えております。
それから具体的にただいま御指摘のありました要員の規模の縮小ということも、合理化に伴いまして、もちろん職員組合等との
話し合い等のこともございましょうけれども、合理化に伴ってできるだけ進めていきたい。
それからベースアップにつきましても、この推進
会議の意見書にも書いてございますように、消費者物価の動向、生産性等を勘案して適切な範囲にとどめなさい、こういうふうに書いてございます。ただ、国鉄の場合は仲裁裁定というような形できまりますから、この点につきましては、おそらくそのときどきの
事情によりまして思いどおりにいくかどうかということは必ずしも言えないかもしれません。そういう
意味では、もし再建計画が立ちました場合でも、そういういわば不確定要素というものはある程度当然考えなければならないというふうに考えております。
-
○加瀬完君 物価の動向というものは、いまのような経済政策で進んでいく限りこれは上がるとも逓減するという方向はなかなかできませんね。予想することができませんね。それから生産性の向上といったって、企業性だけでは運転できない国鉄の体質からいって生産性だけを詰めていったところで、それでものごとの解決がつくというものでもないと、これは前からいろいろ議論をされているとおりでございます。そこでさらに増収に努力するということになれば、これは運賃を値上げをするという以外に
方法はなくなるのではないか。それでいま御
説明のように、国鉄自体で合理化しても生み出してこられないマイナス分というものは運動の増収分でまかなうか、政府に資金を仰ぐか、いずれかの
方法をとらなければならないことになりますが、運賃には転嫁してはいかない、あるいはいく前にまず政府に対する資金の援助というものを仰ぐというお立場をとるのですか。
-
○
説明員(石田禮助君) 国鉄の増収問題でありまするが、御
承知のとおり国鉄は旅客と貨物と両方をやっておるのでありますからして、第一、貨物のほうから言えば、私は今度のような輸送力が上がると、さらに国鉄がそれに対する施策よろしきを得れば貨物運賃の収入というものは増加を期して待つべきものがあると、現にそういう事実が出てきておる。たとえばコンテナにするとか、自動車の輸送とか、その他の国鉄の施策によって、要するに輸送力の増強によってふえてきておる。これは貨物によっても相当の増収は期待できる、こういうふうにこれは考えて間違いない。さらに旅客の運賃でありまするが、これは加瀬さんは旅客の運賃収入をふやす唯一の道は運賃の値上げであると、こういうふうにお考えでありますが、私はそれも一つの一番大きな問題でありまするが、そのほかに国鉄の施策よろしきを得、また輸送力がふえることによって相当に私はふやす余地があると思うのであります。ただし、事は向こう十カ年間に関することでありますからして、私はそういうことは確言は控えますが、しかし相当の見込みはあるというふうに考えて間違いないと思います。
-
○加瀬完君 施策よろしきを得ればおことばのとおりになると思います。現状までは施策よろしきを得なかったので、先ほどの御
説明のように、一対二対三・五というふうに運賃にばかり荷物が重くのしかかっているというのが実情ではないか。そこで、いろいろ施策よろしきを得ていただかなければなりませんけれども、それにしても国鉄のこの負担というものだけでは、新規事業というものを起こすわけですから、財政を縮小していくというならばわかりますけれども、経営規模というものは広がっていく、一面では国鉄は近代化とか、いろいろな問題点があるわけですから、そうなってくると、いまだって路線そのものでは黒字になっても、新規投資で赤字になっているという面があるように、また同じことが繰り返される。そうなってまいりますと、一体、需要分というのはどこから生み出すか。国鉄の合理化をしてもさらに未消化分が出た場合に、それが運賃に肩がわりできないで政府のほうの資金供給のほうに必ず向いていくと、こういう
確信を運輸当局は一体お持ちかどうか。これは国鉄にお尋ねするよりも運輸当局にお尋ねしたほうがいいと思いますので、そういう方向をこれからとるのか。逆に言うなら、一対二対三・五というのはわれわれははなはだ不満である。しかも一対二対三・五は、三・五の負担を低めて一のほうの負担をこれから上げていっても、国鉄自体や国民の側にしわ寄せるという負担分は下げていくのだと、あるいは消極的なことばでもけっこうです。上げることはないと言い切れるかどうか。
-
○
政府委員(町田直君) ただいまお話のございました前段のお話でございますが、確かに新規投資をこれからも続けていくわけでございまして、しかもその新規投資はいわゆる国鉄の体質改善、すなわち貨物の近代化とか、あるいは新幹線とかそういう、あるいはもっと非常に具体的でございますけれども、CTC
——集中制御装置とかあるいは自動販売機とか、コンピューターとか、そういう方面にできるだけ力を入れていきたいということでございまするので、この再建計画の初期の段階において現在の収支状況が著しくよくなるということは考えられないかもしれません。むしろ初期の段階においてはかえっていまより悪くなるということもあり得ると思いますけれども、そして早い時期にそういう投資をいたしまして、その投資効果ができるだけ出てまいりまして、十年間のまん中ごろから終わりのほうに至ってそれが十分に働くという、こういう形の投資をいたしたいというふうに考えておる次第でございまして、そういう
意味でちょっと長いかもしれませんけれども、十年間の再建計画というものを立てたわけでございまして、そういう点はひとつ今後の何といいますか、国鉄
自身の努力というものに十分私どもとしては期待を持っておる、こういうことでございます。
それから運賃値上げに肩がわらせないのだろうなと、こういうお話でございますが、これもこれからの問題でございますが、一応ただいま先生の御指摘にありました試算表の三対二対一というような形の再建計画ができました場合において、その後の状況の変化によってどうなるかということでございますので、そのときどきの状況によって判断するよりいたしかたないと思いまするけれども、少なくとも一方において物価安定という要請は今後とも続くと思いますので、運賃値上げというものにしわ寄せをすべて持っていくというような考え方はいたさない、こういうふうに申し上げてよろしいのじゃないかと思います。
-
○加瀬完君 この間、本
委員会の
公聴会で根本参考人は、国鉄は政府に低く国民に高い姿勢だと、こういう御発言があった。私が言ったんじゃないです。根本参考人がそうおっしゃった。そこで、なぜこういうことが指摘されるかということになりますと、政府からどの程度資金供与というものを国鉄は受けているかということをさしているのではないかと推測をするわけであります。これは大蔵省に資料要求でお願いをしておきました。住宅公団とか、道路公団とかあるいは外航船舶の建造費の利子の補給金でありますとか、当面政府が補助金とか利子補給とかで出しているものと、国鉄に出しているものと、四十三年、四十四年は国鉄に幾らかお出しになったことはわかりますので、三十八年ごろから四十二年ごろまで、どの程度に一体国鉄に出しておったのか、ほかにはどうであったか、これを御
説明をいただきます。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) この前は資料要求というお話ではございませんでしたので……。
-
○加瀬完君 資料出ていますよ、おたくのほうから。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 私のほうで出しましたのは、食管への繰り入れと、国鉄に対する繰り入れとの表を出すようにということで用意してお出し申し上げたと思うのですけれども……。
-
○加瀬完君 それでもけっこうです、どうぞ。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) それは資料としてお出ししてございまして、国鉄への繰り入れば三十九年度からということでございましたので、三十九年度から四十四年度まで予算ベースで申し上げますと、一般会計より日本国有鉄道への繰り入れ額は、三十九年度が九億八千五百三十三万三千円、四十年度は九億九千百七十三万五千円、四十一年度は一億一千九百九十一万三千円、四十二年度は九千六百十万円、四十三年度は、ここでいわゆる再建補助金が入りましたので、五十六億六千七百九十万六千円、四十四年度は八十七億一千六百七十二万一千円、それに対しまして、御要求のございました食管でございますが、食管の調整勘定への繰り入れ、これは三十二年度からの御要求でございましたので、三十二年度が百五十億円、三十三年、三十四年度はございませんで、三十五年度が二百九十億円、三十六年度は六百六十億円、三十七年度六百七十億円、三十八年度七百四十億円、三十九年度一千五十億円、四十年度千二百五億円、四十一年度二千二十億円、四十二年度二千四百十五億円、四十三年度二千七百八十五億円、四十四年度二千九百七十億円となっております。
-
○加瀬完君 一般会計から食管会計へ昭和三十二年度以降の繰り入れ額は、合計一兆四千九百五十五億ということになりますね。それからただいま仰せのとおり、三十九年から四十二年までの繰り入れ額は六千六百九十億円になりませんか、三十九年から四十二年。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) いまちょっと計算をしておりますので……。
-
○加瀬完君 六千六百九十億かと思いますね。
-
-
○加瀬完君 これはどういう理由で繰り入れるわけですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) これは政府の施策の問題で、私が答弁するのは適当かどうかという問題はございますが、一つは生産者米価のきめ方というものが、ある規定がございまして、それに基づいて生産者米価をきめていく、一方消費者米価という問題は、国民生活に非常に重要な関連を持っておりますので、それにつきましても、またある
ルールをもってきめていくと、そういったこともございまして、その間に食管会計そのものに赤字が出てくるというものを一般会計で、一般会計からの繰り入れによって処理をしていくということであろうと思います。
-
○加瀬完君 大ざっぱに言って国民生活への便宜供与と解してよろしいでしょうね。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 非常に国民の生活に重要な部門を占めている主食というものに対する政策的配意というものであろうかと存じます。
-
○加瀬完君 国民生活で非常に重要な位置を占めている主食への配慮ということであれば、通勤・通学等の国鉄運賃等に対しましても、やはり国民生活に重要な位置を占めるわけでございますから、これに利子補給なり何なりを考えても筋からいって絶対にまかりならぬという性格のものではございませんね。経済企画庁、どうですか、これは。
-
○
政府委員(岩尾一君) 国鉄に、たとえば通勤・通学等に必要な資金につきまして、その資金を借りてきたときの利子補給について一般会計から補てんをすることがいいか悪いかということでございますが、できないということはございませんし、いいか悪いかということになりますと、これは比較の問題でございますから、必ずしも悪いということではないと思います。
-
○加瀬完君 それではひとつ比較をしていただきます。道路公団へ政府出資をしておりますね。これはどういう理由ですか。
-
○
政府委員(岩尾一君) ちょっと私大蔵省でございませんから、企画庁としての意見を申し上げますが、道路公団に対しましては政府から安い利子の金を貸しております。しかしながら、実際上道路公団が有料道路をつくりまして、そうして償却をしていく場合に、その利子でもまだ足らないということが生じますので、従来は出資金をもって国の一般会計から出資をいたしまして、それで利子率を埋めるということをやっておったわけでございます。しかし、それではなかなか出資もたいへんでございますので、現在では一種のそういった利子の差額という感じで補給金を出しておる次第でございます。
-
○加瀬完君 これは大蔵省は、どちらが
お答えくだすってもけっこうですが、そうすると、出資では足りないところには補給金を道路公団の場合は出している。ほかの場合も出し得る可能性というものは考えてよろしいですね。考えられますね。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) いまの道路公団でございましたら現在も出資でやっております。道路公団への出資は、有料道路の建設を道路公団はやっているわけでございますが、金利が六%、三十年の償却で、予定交通量を
前提といたしまして、それでペイするものについて建設を行なうということで、あとの金は、出資以外の金は大部分政府保証債でやっているのじゃなかろうかと存じますが、それと出資とをコンバインしまして六分の金利になるように出資をいたしている次第でございます。
-
○加瀬完君 これは、利子補給は住宅公団ですか。
-
-
○加瀬完君 そこで道路公団には出資をしているわけですね。ですから、こういう公団事業というものに対しては出資をすることもあり得る、あるいは利子補給をすることもあり得る。そこで外航船舶建造融資利子補給金というのがございますね。これはこの間少し申し上げたわけでございますが、四十年には三十二億、四十一年六十一億、四十二年八十四億、四十三年百十三億、四十四年百三十六億、四十年以降四十四年までに概算四百二十六億、これは間違っておりませんね。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) いま過去の数字はちょっと持っておりませんが、最後の数字が百三十五億九千五百万、四十四年の数字がそのとおりでございますから、そのとおりだろうと思います。
-
○加瀬完君 道路とか住宅等と比べて
——道路、住宅に資金を出したり、利子補給をしたりするのは、公共性、あるいは社会施設というものを重視しているためだろうと推定をされるわけでございますが、それなら道路や住宅に比べて鉄道の公共性の位置というものを、大蔵省なり企画庁なりはどうお考えになっているか。比較でけっこうです。道路よりも鉄道は低いとか、住宅のほうが鉄道よりはるかに社会性が高いとか、こういう御判断をなさっておられるかどうか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 現在、これは再建推進
会議の答申にも出ていると思うんでございますが、国民経済的に見て最も効率的な輸送体系を樹立して、その中で、それぞれの輸送手段がそれぞれの分野を分担していくようにというふうな趣旨が述べられていると思っております。したがいまして、道路が分担するのが国民経済的に適切なものは道路が分担して、国鉄が分担するのが妥当であると考えられるものは国鉄が分担していくべきであって、どちらがどうという問題はそのコスト、国民経済的に見たコストから考えていくべき筋合いのものであって、再建推進
会議が指摘いたしておりますのは、短時間の旅客輸送中、長距離の貨物輸送、大都市の通勤輸送等は当然鉄道が分担すべきであろうというふうにいっていると存じます。
-
○
政府委員(岩尾一君) 道路と国鉄の公共性の問題でございますが、これは私は公共性について強弱あるいは大小を論ずることはできないと思うんです。非常に使途によって違うと思いますし、現在の国有鉄道法の第一条にもございますように、国有鉄道は企業性と公共性を追求する企業体であるということが書いてありますが、その公共性というものが道路公団にも書いてあります公共性とどういう範囲のものでどうなのかということは、これはなかなか見きわめにくいところであると思います。同じような、当時できました公社である電電公社につきましても、これはやはり公共性ということばは使ってあるわけでございますけれども、この電電公社につきましては、一般会計からは一文の金も出ていない。そこで電電公社の公共性は非常に低いのかと、こう言われますと、そうとも思えない問題で、非常に比較のしにくい問題だと企画庁としては考えております。
-
○加瀬完君 これは経済企画庁でも、道路や住宅に対して鉄道の公共性が低いということは、それは言えませんがね、国有鉄道法に公共性というのを御
承知のようにうたってあるわけですから。ところが大蔵省の観点は少し違うように私には判断される。国民経済的な立場、こういう見方をしている。国民経済的な立場だけで国鉄を見るということは国有鉄道法には書いてない。今度の答申の中にも、国民生活と国民経済と、そういうものを並べて国鉄というものを考えてくれなければ困るということをおっしゃった。住宅公団とか道路公団は国民経済的に、やや道路がそういう傾向がありますが、住宅は国民経済的とばかりは言えないでしょう。国民生活的な配慮のもとの政策ということになると思います。国鉄だって国民生活的に考えた場合、道路や住宅よりもはるかに公共性の位置が低いということにはなりませんよ。しかしこれは議論になりますからやらない。
そこで大蔵省に端的に伺います。では、外航船舶の建造というものと国鉄というものと、国民経済的にではなく、国民生活的にはどっちにウエートを置くべきだとお考えになるか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) ちょっと先ほどの点、私は、私がそう考えていると申したんではございませんので、この再建推進
会議の意見書に、「交通運輸に関する一元的な企画及び行政の体制を早急に確立し、国民経済的に最も効率的な総合交通体系の形成をはかることが、わが国経済社会の発展をはかるための緊急の課題であると考えるものであり、この点についての政府の早急な検討を強く期待するものである。と、こういうふうに述べてございますということを申し上げたわけでございます。
-
○加瀬完君 その前後もございますよ。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) もちろんございますが、そういう点はございますがということを申し上げたわけでございます。それから外航船舶の利子補給、外航船舶の
関係と国鉄との軽重はどうかということでございますが、これは少し違った次元の問題でございまして、国鉄の問題は国内の輸送体系を考える上、あるいは国内における国民の生活を考える上にどういうふうにあるべきかという観点から検討すべき課題でございまして、他方、外航船舶はわが国が相当大きな量の輸出入、特に輸入量が非常に大きい。しかもそれを海外に仰ぐということが事実でございまして、しかも外航という問題は非常に国際競争にもろにさらされている、国際競争の非常に熾烈な分野でございます。それで、現在貿易外収支というのは、相当な鋼船の建造について努力をいたしているにかかわらず、貿易外収支は赤字でございまして、この赤字の相当の分野が要するに運賃の赤字でございます。そういう
意味で、わが国の国際収支を改善するとともに、わが国の外航を
運営しているところの企業基盤を強化していきたいという趣旨でとっている措置でございます。したがいまして、どちらがどうという問題ではなくて、それぞれ国内の輸送分野において、国鉄の果たす使命は大きいとともに、輸出入に、物資の輸送という面において、わが国の外航船舶の持っている使命というものもまた非常に重要であって、その間に、比較して軽重を論ずることは非常にむずかしい問題だろうと存じます。
-
○加瀬完君 語るに落ちるということばがございますがね、大蔵省が国民経済ということを重視している、こういう立場は御
説明の中にはっきりしている。公共性というものから見れば、あるいは国民生活というものから見れば、外航船舶の建造というものと国鉄というものをイコールに見るわけにはまいりませんよ。法律で公共性というものをはっきりうたっているし、その財政責任を最終的には国が負うべきように国鉄はきめられている。外航船舶は経済的な
事情もあって、新しく法律をつくって利子補給という制度をつくったものである。基本的に違うわけですね。しかも私が指摘したいのは、国民生活というものや国民経済というものをほんとうに重視しているかどうかという問題ですよ。あとでこれは詳しく聞きますけどね、外航船舶では配当している会社もあるでしょう。配当している会社にも利子補給金を出していますよ。国鉄は赤字だ、しかも国鉄自体の責任ではなくて、政府の仕事をそのまま肩がわりをしたような国鉄の、何度も言いますけれども体質上から、国が当然責任を持つべき面も国鉄が背負わされているという
関係で赤字を生じている。それなら、いままでほとんど補助金やあるいは政府出資というものは少ないでしょう。いいですか。これでは国民に高い姿勢、運輸省、政府には低い姿勢と言われたってしかたがないでしょう。国鉄への一般会計からの繰り入れ金は昭和四十年以降、四十年には概算十億ですね。それから四十一年には一億ですよ。四十二年にも一億ですよ。ほんとうはこれは九千万
——一億にならない。そして四十三年以降、先ほどの御
説明のとおり、財政再建補助金で五十四億、四十四年八十七億となったわけでしょう。四十二年以前に出した合計というものは幾らですか。比べてごらんなさいよ。外国航路の船をつくるためにその建造費に出す利子の補給と国鉄に出した金と比べてごらんなさいよ。これでも政府は国鉄にめんどうを見ていたと言われますか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、外航船舶の利子補給と国鉄への助成という目的と直接比較することは非常にむずかしい問題かと存じます。ただ、外航船舶の利子補給につきましても、まあいわゆるスエズ動乱で一時立ち直りましたが、その後非常に高船価の船を建造したために多くの外航船主が経理的に危機に瀕しまして、いわゆる海運の再建整備法というものを制定いたしまして、約五カ年にわたりまして所要の措置を講じて、今日やっと、先ほど先生のおっしゃいましたように配当を出すまでになったわけでございます。ただ、今後を考えましても、まだ各国とも相当の力を持った海運会社がありまして、それらとの競争におきましてわが国の海運収支を改善していかなければならないという観点から、今度新たに多少その利子補給の幅を縮めまして、今後六カ年にわたるわが国の海運対策について
国会の御
審議をお願いしている次第でございます。
それから、国鉄の問題でございますが、これは本来、公社を設けまして利用者負担によりまして独立採算といいますか、の原則で
運営されてきたわけですが、諸般の原因で、この点につきましては運輸省から御答弁があったと思いますが、今日の事態に立ち至ったわけでございます。それで、運輸大臣は財政再建推進
会議に諮問をいたしまして、これの答申に基づきまして今回所要の措置を講じようといたしておるわけでございます。で、いわゆる国、一般会計の側におきましても、財政再建推進
会議の答申の線に沿いまして所要の措置を
——もちろん全部とは申しませんが、その線に沿いまして所要の措置を講じようとしているわけでございます。
-
○加瀬完君 いまの時点を私はお伺いをしているのではございません。いままでの時点でお伺いしているわけでございます。それから、ことばが足りませんので誤解を受けるといけませんのではっきりいたしますが、外航船舶の建造の利子補給金は要らないと私は言っているわけじゃない。こういうものに出すならば、国鉄になぜ出さないのか。国鉄に出しているのがあまりに少額ではないか。あなたはいままで独立採算制で云々と言っておりましたが、交付金制度というものがあるのです。政府から国鉄に交付金をやれる制度があるにもかかわらず、一つもやっていないでしょう。あとでまた数字も言います。どうしたって、公共性なり国民生活の
関係ということからすれば、比較するなといったって、外航船舶の利子補給に何百万も出すなら国鉄に一億だの九千万だのということは、ふに落ちませんよ、国民としては。そこで、鉄道の公共性というものを一体、先ほども言ったとおり、大蔵省はどう見ておるか、見方が足りないのじゃないか。見ているとおっしゃるならば、いままで出した出資金や補助金というものがあまりに鉄道に対しては少額ではなかったかと私どもは率直に疑問を持つ。少額ではございません、出し過ぎたなら出し過ぎたと、もう一回
お答えをいただきます。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 国鉄が公共的なものであるということは法律にも規定がございますし、これを否定いたしておるわけではございません。私どもはただ、公共的であるから直ちにそれをいわゆる一般の税金で処理をしなければならないかという問題につきましては、やはりこれだけの大きな企業体でございますので、利用者に負担していただくというのが原則になるのじゃなかろうかと存じます。
-
○加瀬完君 そんなこと聞いていない。一年間に一億や九千万などという国鉄に対する繰り入れ金があまりに少額に過ぎはしないか。法律で交付金制度というものがあるのだから金を出したって法律違反にはならないわけです。逆に聞くならば、四十三年に財政再建補助金五十四億、四十四年に八十七億計上したということは、国鉄の財政が底をついて、国の助成というものを講じなければどうにもならないという御認識でこういう予算項目をとったのでしょう。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 国鉄
自身は一つの輸送手段でございますが、非常に長期に採算のとれる、要するに償却年限の非常に長い投資を行なわなければいけない。したがいまして、投資の初期におきましては金利、償却の負担がどうしても大きくなりますので、四十三年度に所要の利子補助の措置をとりました考え方は、初期におきます資本費負担の軽減をはかるという趣旨に基づきましてとった措置でございます。
-
○加瀬完君 だから、その御趣旨がもっと早く行なわれておれば国鉄の赤字というものはもう少し少ないところで過ごせたということにもなるわけです。前にも申し上げましたが、出資要求額を四十年六百二十八億、四十二年は九百億を要求しておりますね。大蔵省の査定はゼロだ。このときにそれだけの金が認められておれば赤字の問題もまた形を変えてきたことでしょう。
国鉄に伺いますが、この四十年、四十二年ごろ、財政再建の必要上資金の一部は政府に頼らざるを得ない、こういう御認識でこういう要求をなさったと考えてよろしいでしょうね。
-
○
説明員(石田禮助君) おっしゃる政府に対する出資の要求というものは、御
承知のとおり、輸送の状態も全く交通地獄、しかも三十七年、三十八年、三十九年というように三カ年に投資したものはわずかに三百億、これではとてもいかぬということで、三次計画では五千億以上の投資をしてまいろう、しかもこれはとても金ばかり食って収入は非常に少なく、独立採算のもとに経営しておる国鉄としてはとてもこれではやりきれぬ、だからしてこれに対しては政府として補助してしかるべきものじゃないか、こういうことでわれわれは要求した次第であります。
-
○加瀬完君 それは当然なことだと思いますね。私も総裁の御意見に賛成です。ところがこの査定をゼロにしたのです。その前からもずっと何回も要求していますけれども、全部国鉄の出資要求額に対してはゼロ査定。そこで、四十三年になって一五十四億の、本年度になって八十七億のと予算を出さなければならなくなったということは、大蔵省の認識不足ということではないのか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 要するに国鉄の投資、いわゆる施設をつくっていく上の資金のめんどうは、これは必要な投資を行なうために見なければいけないということは事実でございまして、これにつきましては投融資の部門におきまして、ほぼ財政投融資の一割に当たる部分を国鉄の投資に振り向けているということは、その面での、資金面での努力は大蔵省としてもできるだけのことをしてきたと思います。
それからいわゆる出資と、そういう有償の資金との問題でございますが、もちろん一般会計に非賞に余裕があれば、出資であれば、資金コストは、利子負担はゼロでございますが、この間も申し上げましたように、国鉄の総使用資本に対する利子負担というものは四十三年度で見圧して四・三三%程度だと
承知いたしております。もちろん新規投資の金利はそれを上回っておりますが、総合してやはり企業というものは考えていくべき筋合いとなれば、四・三三%という利子負担というものは、ほかの公共企業体あるいは民間の企業等に比べて非常に利子負担が大きいということではなかろうかと存じます。その当時に出資要求を大蔵省として御要望に応ぜられなかったのは、そうした観点からも検討されたところだと思います。
-
○加瀬完君 いいですか、私どもは端的にひとつ比べて御所見を承りたいと思うんです。道路公団には政府の出資金が先ほど言った年度から本年度に至るまで八百三十一億、住宅公団は六十億、外航船舶建造利子補給金は四百二十六億、これだけ出ているんですよ。そこで、総合的に判断をなさるといいますので、ひとつ次の数字を、大蔵省として国鉄の財政状況にどういうカルテをお書きになったかおっしゃっていただきたい。いいですか。総収入は三十八年に五千六百八十七億、三十九年が六千二億、四十年が六千三百四十一億、四十一年が七千九百三十九億、四十二年が八千五百六十一億。事業費は、三十八年から逐次申し上げますと、四千三百三十四億、五千二百二十九億、六千四十二億、六千八百八十四億、七千七百五十五億。そこで減価償却費等は、三十八年から八百十億、千九十六億、千五百二十九億、千六百六十三億千七百五十三億、償却後の損益は三十八年は五百七十四億、三十九年は赤の三百、四十年は赤の千二百二十億、四十一年は赤の六百一億、四十二年は赤の九百四十一億、こうなっております。さらに工事費を述べますと、工事の経費ですね。三十八年が二千八百六十三億、三十九年が二千六百二十二億、四十年が三千二百二十億、四十一年が三千五百億、四十二年が三千七百八十億。この数字、これは国鉄でも運輸省でも、間違っておりますか。
-
-
○加瀬完君 これで見ても、国鉄の資本投資は独立採算制や企業合理化のワク内だけでは処理できる問題ではないでありませんか。よろしゅうございますか。いま四十年を押えますと、事業費と減価償却費で収入よりも一千二百三十億という赤字が出るようになっているでしょう。四十二年だって同じじゃありませんか。総収入が八千五百六十一億、事業費が七千七百五十五億、それから減価償却が千七百五十三億、こうしてやってくれば、事業費の膨大のために当然これは赤字が出ざるを得ないような財政状況ではございませんか。これで独立採算でやれというならば、赤字線は全部政府に持ってもらう、もうかっているところだけやるという以外にどうにもなりませんよ。しかも、さっき総裁のおっしゃるように、大都市への通勤・通学輸送対策なんというのはこれは政策の問題じゃありませんか。国鉄が企業性で、ここを新しい線をやれば、新しい線増をすればもうかるという企業性だけで新しい線をつくったり工事を起こしたりする問題じゃないでしょう。政策の問題として余儀なく国鉄が背負わされている問題でしょう。どうですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) これはまあ考え方はいろいろございますと存じますけれども、まあ、公共的なものを国鉄が遂行しているということはございますが、他方、ある長距離的な路線については独占的な点もあるわけでございまして、その点、それらを総合して全体として収支採算を保持していただくのがいいんじゃなかろうかという観点に立っておるわけでございます。これは前に運輸大臣からここでお話があったと存じますが、先生のおっしゃいますように、欧米の各国におきましてもいわゆる公共負担の問題が問題になりまして、それにつきまして各般の措置をとりまして今日に至ったわけでございます。ところが、依然として、たとえば、ドイツでは二千億以上の負担、フランスに至っては三千億以上の負担をして、なおかつ、今日、鉄道がそれではすべて問題が解決しているかと申しますと、やはり日本と同じような議論が、今日において、すなわち、赤字線はある程度廃止せざるを得ないであろう、要員は縮小せざるを得ないであろう、そういった議論が依然としてなされておりますので、これはまあいろんな考え方があろうかと存じますが、現在専門の方方の御意見に従いまして、今後十年にわたって国鉄の再建をこういう措置によって進めていったら適当ではないのかという御答申に基づいて、おおよそその線に沿った措置を今回とろうといたしているわけでございます。したがいまして、まあ推進
会議のとおりにするかどうかは、今度の法律によりましてまた再建計画をもう一度検討するわけでございますので、今後、国鉄、政府一体になりまして、国鉄が国民生活上に、あるいは国民経済上に要請されている使命を果たすように持っていくということが一番必要な措置じゃなかろうかと存じます。
-
○加瀬完君 国鉄、政府、国民と三位一体とよくおっしゃるが、政府だの、財政当局だの、あなた方のほうは、さっぱり国鉄の現状というものに対して認識がないので伺っているんです。いいですか。国鉄の投資は、社会的要求や政策的要因からのものが多いということはお認めになりますか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 基本的には国民生活といいますか、もちろん公共的な性格のものでございます、国鉄全体は。ただ、ここでも申し上げておりますように、やはり国鉄が唯一の輸送手段ではなくなっておりますので、各種の輸送手段間の効率を考えて、今後の投資はやはりそれぞれの分野というものを考えた投資を行なっていくということになろうかと存じます。その場合に国鉄の推進
会議でおっしゃられている大都市の通勤輸送といったような分野は非常にやはり公共的な使命から要請されている色彩の強いものであるということは申し上げることができるかと存じます。
-
○加瀬完君 いま次長があとでおっしゃった大都市の通勤・通学輸送対策の費用といったようなものが赤字の最大の原因なんです。投資が赤字の最大の原因なんです。それは国鉄自体の責任とばかりは言われないということは認めざるを得ないでしょう。そこで、
最初にあげた国鉄の数字で減価償却費を見ると、三十八年は八百十億、四十年は千五百二十九億、四十二年は千七百五十三億、三十五年を基準にすると、それぞれ二八%、一四一%一七六%と減価償却費がふえているんです。これはお認めになりますね。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 決算上の数字だと存じますから、間違いはないと思います。
二つ原因がありまして、これはむしろ運輸省なり国鉄当局から御
説明いただいたほうがいいんじゃないかと存じますが、一つは投資によって資産がふえたという点がございます。それからその期間に多少償却
方法の変更があったかと存じます。
-
○加瀬完君 おっしゃるとおりで、工事拡張の要因で償却率が非常にふえたわけですね。ですからこの減価償却率というのは収入に見合うという形にはなっておらないわけです。収入には
関係なく、
関係なくというよりは収入をオーバーして工事の費用というものがたくさん盛られてくるわけですね。そうすると、これを独立採算でやれといったって、収入に見合って工事を進めるという、どだい国鉄は経営の方針ではないわけですから、社会的要因や政策的な要因で、さっき御
説明にもありましたように、大都市近傍の通勤・通学対策として複々線化といったようなことをこれはやらざるを得ない。そういうものは一時的に回収するわけにいかぬでしょう。長期的に償却をしていかなければどうにもならないものでしょう。ところが長期的に償却をしていくについては長期の資金に対する利子補給とか何とかということはいままで政府としては行なわれておらなかった。だから赤字だ、赤字だと言うけれども、赤字になるようになっているんでしょう、国鉄は現状では。それをどうして政府はもっと早く認識しなかったかということを伺っているんです。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) まあいろんな点があろうかと思いますが、一つはその投資が償却費以上でなければならないという点につきましては、これは国鉄に要請されている投資上の問題でございまして、もし償却費だけしているのであれば同じ状態にあるということでございまして、現在国鉄へのいろんな要請から見まして、これはどうしてもそれ以上の投資、償却費以上の投資を行なっていかなきゃならぬということは事実だろうと思います。
次に、その投資が相当の、要するに長期にわたって採算のとれる投資である。鉄道という輸送手段の性格上償却年限が長いために長期にわたって採算を考えなきゃならぬということもまた事実だろうと思います。したがいまして、当初におきましてはどうしても資本費負担が大きくなるということは事実だろうと存じます。ただ、しかしながら他方、すでに償却を終わっている資産も稼働しておるわけでございまして、この財産はやはり総合的に考えていい問題じゃなかろうかと存ずるわけでございます。ただ、非常に投資が大きくて、それの投資の初度の資本費負担が国鉄財政を圧迫している事実に着目いたしまして、四十二年度から建設資金の一部につきまして利子補助の制度を開いたわけでございます。
-
○加瀬完君 どこの国の話をしているか私は理解に苦しみます。あなた数字はっきりわかるんですか。そんなものは経済総論をやっているようなもので、具体的なものは何にもないでしょう。具体的に聞きますよ、具体的に答えてください。
昭和三十八年度以降国鉄においては事業費と減価償却費等の合計が総収入の九〇%、一〇五%、一二〇%、一〇八%、一一一%、こういうことになりますね、この状態で収入のワクの中でやりくりがつきますか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) それは要するに利子を払いまして、いわゆる減価償却をしますと赤字になっているということは、それはわかっているわけでございますが、それが何の原因であるかということにおきまして、先ほど申し上げましたように、総資本に対する利子負担は四%余り、年度によって違いますが、四十三年度におきましても四・三三%ぐらいでございます。で、およそ輸送機関その他の企業におきましても配当負担はないわけでございますから、資本に対して四・三三%の金利を払って赤字になっているということでございますので、やはりそこはコストは利用者に負担していただく方向で問題を解決していくのが妥当ではなかろうかという考え方を私どもはとってまいったわけでございます。ただ、投資の初度の資本費負担の軽減をはかるために四十三年度から利子補助の制度を取り入れたということでございまして、国鉄の現状そのままを認めて、それの赤字を補てんしていくというふうな考え方には立たなかったということでございます。
-
○加瀬完君 立たなかったことがおかしいと私は指摘しているんです。いいですか、これは国鉄
関係に伺いますが、工事経費は三十八年度から四十二年度の間でおのおの二千八百六十三億、二千六百二十二億、三千二百二十億、三千五百億、三千七百八十億で間違いございませんね。
-
○
説明員(小林正知君) ただいま先生おっしゃいました数字は、四十一年、四十二年はたしか予算の数字になっていると思いますが、実績、いわゆる決算で申し上げますと、若干狂うかと思いますが、予算としては四十二年の数字はそのとおりでございます。狂いましても、たいした数字ではございません。
-
○加瀬完君 決算は少し違いますけれども、大差はありませんね。そこで四十一年、四十二年度は繰り越し欠損金はおのおの五百三十六億、千四百七十七億円ですか。
-
○
説明員(小林正知君) いまおっしゃいましたとおり、四十一年が五百三十六億円、四十二年が千四百七十七億円の繰り越し欠損、累積になっております。
-
○加瀬完君 四十一年は五百三十六億円、四十二年は千四百七十七億円の欠損金を生じているにもかかわらず、当時の工事経費は三千五百億、三千七百八十億円と増大をいたしておるわけですね。一般の企業採算だけをねらっている会社なら、こんな経営方針は当然とれませんよ。ところが国鉄はとらざるを得ない。それが国鉄の性格だ、体質だ。にもかかわらず独立採算だけでやれといったってできるはずのものじゃないでしょう、これはお認めにならないのですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 先生のあれをもう少しなにしますと、確かに欠損金がございます。ただし、国鉄のバランスシートを見ていただきますと、資本剰余金といいますか、再評価益、要するに資産を再評価いたしましたものは一兆一千二百億円ぐらいでございまして、それを繰り越し欠損金と差し引きいたしましても、現在の、四十二年度末の資本金は、いわゆる広義の資本金は大体三六%程度であったかと存じます。したがいまして、繰り越し欠損をいま操作で消せとおっしゃられれば、資本金がそれだけ減少する、資本積み立て金がそれだけ減少するという形で処理する以外にまあなかろうかと存じます。もちろんそれを出資で埋めることも理論的には可能でございますが、それだけ一般会計の余裕はなかろうかと存じます。
それから新規投資の問題は、一応その欠損ともちろん関連いたしまして、利益が出ればそれは投資に回せられるわけでございますし、減価償却が十分にできれば、その分は投資に回せられるわけでございますが、必要な投資というものをどう考えるかという面から投資額をやはりきめていかざるを得ないという点から、財政投融資等において所要の措置を講じている次第でございます。
-
○加瀬完君 独立採算で、企業性だけを重視してやれともし国鉄にいうならば、国鉄はこの新規投資というものを一切控えてやっていけば、赤字は出ないで済むという数字なんです。しかし、国鉄自体はそういうわけにはいかない、新規投資というものをどうしてもしていかなければならない。その新規投資も、現状の古くなったものに新陳代謝していくということじゃなくして、まるきり新しい大事業を始めなければならないでしょう。その資金を全部国鉄でまかなってやっていけというならば、赤字が出なければならないことに当然なるんじゃないですか。ですから人件費がかさんだとか、運賃が安いので赤字が出るということではなくて、新規投資というものに財源がないので赤字が出てくるということになるんじゃありませんか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) もちろん国鉄の新規投資の中には、通勤輸送のように、非常に採算について問題のある投資であるが、公共的な趣旨からいたさなきゃならないものもありますが、しかしながら他方、企業体としてやはりその投資をすることによって収益のあがっていく投資もありまして、そこは総合的にやはり考えていかなきゃいけないんだろうと思います。たとえば、新幹線は相当大きな投資を長期にわたっていたしたわけでございますが、現在、四十四年度の見通しにおいては八百億程度の利益をあげる見通しであったと、これもやはり公共的な趣旨でいたすとともに、まあ国鉄の収支、採算も考えられているわけでございまして、そこは、全部が、ただ投資はマイナス面だけであるというふうにも考えられないんではなかろうかと存じます。
-
○加瀬完君 そういうことを言っているわけじゃないんですよ。あとで法律的に、あなた方がいかに法律を曲解しているかという例示をいたしますが、国鉄そのものは、新規事業を社会的や政策的な要請に即してやらなきゃならないという一つの宿命を持っているでしょう。だから、一般の企業会社のように独立採算で損が出ないようにという経営だけで推し進めるわけにはいかない、これはお認めになるでしょう。いま問題になっている国鉄の赤字というのは、企業に合理性がないからとか、具体的な例を言うなら、運賃が安過ぎるからといって赤字が生じたとのみは言えない。新規投資が負担以上のものをかぶっているところに赤字の原因というのが相当部分を占めているんだ、それは政府だって認めたので、ことし八十七億という予算を盛ったのでしょう。しかしことし八十七億盛るときになってから急に赤字になったのじゃない。いままで赤字がたくさん出たのだ。それをなぜ一体、長期回収を当然の性格としている国鉄の投資に利子補給をやらなかったか。逆戻りになりますが、外航船舶のようなものに利子補給をやっているなら、もっと国民の生活に大事な国鉄そのものに利子補給というものをやれば、国鉄の財政もよくなるし、運賃の値上げ幅というものも押えられるのじゃないか、それをいままで見て見ぬふりをしてきたのはどういうわけだということを伺っているのです。もう一回言いますと、海運
関係の補助では、配当のある会社にまで補助金を出しているのです。私企業の黒字会社に補助金を出している。公企業の国鉄は赤字を出しているのに政府は一つも出資もしなければ補助金も出さない。出しても僅少だ。この間の
関係をひとつ納得のいくように御
説明いただきましょう。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 先ほども申し上げましたように海運の利子補給というものは、いわゆる海運の再建整備法に基づきまして、わが国の外航船舶の運航会社の企業基盤を強化して国際競争力を養うとともに、相当大量の建造を進めて、わが国の国際貿易外収支の改善に資するという趣旨に出た措置と存じます。現在、相当海運会社の負担力も強化されてまいりましたので、利子補給の幅を縮めまして、新たに六カ年の海運助成策を現在
国会に提案しております。これはそういったいわゆる貿易外収支、わが国の国際収支を主体とした考え方に立った措置でございます。
それから国鉄につきましてなぜしなかったのかという問題でございますが、まあ輸送のコストというものは、やはり基本的には利用者に負担していただく。それについては、先生から、公共性がある分野で非採算のものも押しつけられているではないかということでございますが、これは確かにそういう部面もございますが、他方非常に長距離の、たとえば東海道というふうなところには独占的な路線を営業しているわけでございまして、そういった部門も考えまして、全部総合してやはり採算を保持していただくのが最も望ましいという考え方に立って今日まできたわけでございます。ただ、今日の時点におきまして国鉄財政は相当な窮迫を告げてまいりましたので、ここにおきましてどういうふうにして国鉄財政を再建するかという点につきまして、再建推進
会議の意見等も徴して、現在、これから国鉄財政の再建に所要の措置を講じようとしている次第でございます。
-
○加瀬完君 その講じ方が、あなた方の
受け入れ態勢がゼロだと申し上げておるのですよ。ゼロだということは、国鉄の財政というものに対して全然状況認識がない。いま言ったように、償却費と事業費というものと合計して総収入と比べると、少なくとも一〇五%、多いところは一二〇%もオーバーしているじゃないですか。こういう財政状況で国鉄をほうり出しておいて、財政再建なんかできるはずはない。独立採算制、独立採算制といっておりますけれども、この間の
公聴会でも、専修大学の池田教授は、なぜ独立採算制を堅持しなければならないのか、政府の資金援助があれば独立性が失われるという理由でもあるのか、おかしいという発言をしているんです。これに対して御見解はどうですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 先生も御
承知のように、国鉄の
——国鉄といいますか、鉄道の財政が悪いのは日本だけではございませんで、欧州各国ともそれぞれ
——西独でいえば連邦鉄道は非常に赤字になりまして、いろいろ措置を講じているわけでございますが、基本的な問題の解決に至らなくて、今日日本と同じような問題をかかえて苦労しておるわけでございます。その際に、これは別にこれが正しいのだと言っているわけではございませんが、西独のレーバー交通大臣がいわゆる議会に提案いたしました一番基本の考え方は、やはり国民経済的に見た合理的な輸送体系を立ててそれぞれの分野を確立して、しかし、それぞれの分野においてはコストは利用者に負担していただく、要するに国の補助なしにやっていくのが基本的な大原則だということを強く申しておるわけでございます。それから、最近フランスにおきましても同様な趣旨の
国会への提案が行なわれております。したがいまして、今回国鉄の再建推進
会議の御意見というものも、基本的にはやはり利用者負担の原則というものに立っているのじゃなかろうかと存じます。ただ、それにつきまして、現在のいろいろな問題を処理していく過程におきまして、国も応分の措置をとれということでございますので、その提言に基づきまして、ほぼそれを
受け入れた措置を講じようとしておるわけでございます。
-
○加瀬完君 あなたのほうはあなたのほうの都合のいい例だけ引いてきておりますが、この間もある参考人が、アメリカのある州においては三分の二の原資というものは全部これは提供している、しかもあとの分も利子は全部連邦政府で持っているというような
説明もあったわけです。
そこで、あなたのほうがあまりに同じようなことはかり繰り返しますから、私
——法制
局長官か法制局の
関係者いらっしておりますか。日本の国有鉄道というものはどういうものだかということを法的にひとつ認識を改めてもらわなければ困る。法制局いらっしゃいますね。
——そこで、次の点を伺いたい。私鉄の買収ということは、法律的にどういうことですか。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) ちょっと御
質問の趣旨をあるいは取り違えているかもしれませんけれども、国鉄が私鉄を買収する、そういう問題でございましょうか。
-
○加瀬完君 そうです。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) それは、そのこと自体は、国鉄が私鉄を買収すべきであるとか、あるいは買収すべきでないとか、あるいは買収することが適当であるとか、そういうようなこと自体について、直接法律の規定でそのようなことを法的に評価しているものはないと思います。
-
○加瀬完君 ありますよ。私鉄の買収とは、政府または公共団体が公益上の理由から私鉄の全部または一部及びその付属物件を買収することをいう、こういうことじゃありませんか。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) そういうことを定義としていま先生お読みになったように思いますが、そのこと自体を評価している規定はないというふうに私は
お答えしたつもりでございます。
-
○加瀬完君 それでは、強制買収ということばがありますね。強制買収とはどういうことですか。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) 強制買収ということば自体はいわゆる俗語だと思いますが、通常考えられる
意味としましては、いわゆる収用と申しますか、そういう形で買収する、こういうのも広い
意味では強制買収というようなことばを使うと思います。それからもう一つ、それよりは若干弱い
意味で、買収するほうの主体が買収されるほうの主体に対して買収したいという契約の
申し込みをした場合に、相手方はそれを拒めない。これはあくまで原則的には契約で申し込むわけです。しかし相手方はそれに応ぜざるを得ないというような
意味で強制買収ということばが使われるのではないかと思います。
-
○加瀬完君 明治二十四年の七月に鉄道庁官井上勝から鉄道政略に対する建議案というものが内務大臣品川彌次郎あて
提出され、それで日本国有鉄道法というものができて、その結果買収が行なわれたわけです。そのときに、強制買収とは、政府または公共団体が法律の規定によって私鉄または企業を強制的に買収することであって、この場合は受忍の義務があると
説明が行なわれておるわけです。受忍の義務というのは何ですか。
-
-
○加瀬完君 受忍の義務というのは、いまでも存在していますね。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) それは地方鉄道法の三十条という規定がございますから、その限りにおいては受忍の義務というものが、全然日本の国法上ないということはあり得ない。
-
○加瀬完君 全然ないということはあり得ないということは、あるということですね。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) 非常に微妙な言い回し方をいたしましたけれども、それは政策を含めて現在そういうものがあるというような御
質問もあるかと思いまして、その点を申し上げたわけです。規定としましては一定要件を満たす場合に受忍の義務があるということを言っておるわけですから、無条件に受忍の義務があるというような
意味ではありません。そういう
意味で
お答えしたわけです。
-
○加瀬完君 その地方鉄道法の第三十条をその前に御
説明をいただきましょう。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) 純粋に法律的な観点から御
説明を申し上げたいと思います。
まず、この三十条という規定は、一応読みますと、「政府カ公益上ノ必要二因リ地方鉄道ノ全部又ハ一部及其ノ附属物件ヲ買収セムトスルトキハ地方鉄道業者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス」、また二項にいろいろ規定がありますが、とにかく第一項にはそういうことが書いてあるわけでございます。ここでまず、この規定は「政府カ」というふうに書いてございますが、これは先ほど私が一番
最初に、先生の御
質問に対して確認いたしましたところと関連いたしますが、おそらくこの「政府カ」というのは国鉄というふうに読みかえるべきである、今日では国鉄と読みかえるべきである。
-
○加瀬完君 そうすると、いま三十条の私鉄の買収の
前提に公益上の必要があるということを確認してよろしゅうございますね。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) 強制買収といいますか、地方鉄道業者がその
申し込みに対して拒むことを得ない場合は公益上の必要が少なくとも必要である、こういう
意味です。
-
○加瀬完君 公益上の必要が国有鉄道の性格だと、こう読み取ることはできませんか。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) これはちょっとそういう
意味ではないと思います。国有鉄道が一般的に公益上の性格をもつといいますか、先ほど来議論が行なわれておりますいわゆる公共的性格というこういうものを持っていることは、それは別のところからおそらく出てくるだろうと思います。三十条で、国鉄が公益上の必要により買収しようとするときには私鉄は拒むことを得ないと書いてある
意味の「公益上ノ必要」というのは、直ちに、国鉄が買おうとすればそれはすべて公益上の必要であるというふうにおそらく解釈できない、国鉄が買う場合でも公益上の必要が大体あるのかもしれませんが、絶対に国鉄即公益上の必要というふうには読み切れないような感じがいたします。
-
○加瀬完君 それでは国有鉄道法の第一条の趣旨について御見解を承りたい。
-
○
政府委員(
角田礼次郎君) 国有鉄道法の第一条の趣旨という御
質問でございますが、目的規定でございますから非常に、何と申しますか包括的ないわば訓示規定と申し上げては、これは言い過ぎかと思いますが、要するにここに書いてあるのは、「能率的な
運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進すること」、こういうことが国有鉄道法の目的であり、同時にそれが国有鉄道の事業の目的である、こういうふうに言えると思います。
-
○加瀬完君 ですから、全体を通じて国有鉄道には公共性といいますか、こういう一つのしんといいますか、筋があるものだと解してよろしいでしょうか。
-
-
○加瀬完君 そこで、受忍の義務というのはおかしなことばでございますが、場合によっては受忍の義務ということまで、拒むことを得ないところの義務までつけられて国鉄というものが出発をし、存在をしたわけですね。そういう公共性というものを一体いまの政府は認識しているだろうかという疑問を私は持つ。公共性というものが
前提になれば、独立採算制というものは従属的な条件にはなるかもしれぬけれども、公共性イコール独立採算制だと、公共性と独立採算制を並べて同一に考えるという考え方では、国鉄の性格というものはないわけです。しかし、大蔵省の先ほどからの
説明は、この公共性ということが重視されるなれば、やはり公共性の負担というものは、国が負うべきだという考え方は毛頭ありません。ここが私は認識が不足だと申し上げておるわけです。法律上どうですか。公共性というものでなけりゃ国鉄は存在しないように法律ができている。ところが、公共性というならば、これは政府が負担をすべきだ。全部とは言いませんよ。少なくも政府が、私は何も造船利子に恨みがあるわけではありませんが、民間会社の黒字会社、もうかっている会社に利子を払うほどの政策的配慮があるならば、国鉄に当然財政負担というものを政府が考えて至当ではないかという立場で伺っておるわけです。法律的に間違っていますか。主計局次長さん、もう一度ひとつあなたの
お答え、大体同じだろうけれども、重ねて伺います。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 公共の福祉を増進しなきゃならぬということは法律にも規定はありますし、国鉄の全体の経営がそういう方向を指向していかなきゃならぬということを否定するわけではございません。ただ、だからしたがって、一般会計がここまで負担しろということには直ちにならない。やはり能率的な経営、要するに独立法人をもって、先ほど申し上げましたように、利益が出れば積み立て、欠損が出れば繰り延べて処理をしろというふうな措置になっておりますのは、やはり全体としてはコストを償っていくように考えて経営をしていくということが基本になっているのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
-
○加瀬完君 大筋はいいですよね。そこで、外航船舶の建造融資利子補給金は四十三年は百十三億、四十四年は百三十六億、国鉄への再建補助金は五十四億、ことしが八十七億このつり合いが正しいという
説明が一体つくかと言うんです。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 施策の均衡という問題は、それだけではなくて非常にむずかしい問題で、直ちにこれが均衡があるとかないとかいう議論は非常にむずかしい議論だと思います。ただ、外交船舶建造利子補給の百三十六億円というのは、要するに再建整備法に基づいて従来助成してまいりました分が大部分でございまして、今回新たに提案いたしております建造に対する利子補給の支出といたしましては非常にわずかなものでございます。したがって、過去の契約の分の支出が大部分を占めているわけでございます。国鉄につきまして、今回、いわゆる四十三年度からとりました建設資金の六分五厘までの利子補給という分が七十一億円でございまして、これは建設規模をどの程度と考えますと、今後大体年に十八億円程度ずつふえていく、七年間はふえていく性格の利子補給でございます。それから十三億、いわゆる今回再建推進
会議の政府管掌にかかわる借り入れ金の利子を十年間たな上げしてその後に返済するようにしろという措置に対しまして、その趣旨を体しまして四百八億というものを十年間据え置きで二十年償還といたしまして、それに対する半年分の利子補給が十三億円でございます。
〔
委員長退席、
理事金丸冨夫君着席〕
これもそのたな上げすべき利子相当額は毎年今後十年間約二千数百億を長期の据え置きで貸し付けまして、それの利子補給をしていくわけでございます。これは累年だんだんにふえていく性格のものでございまして、したがいまして、直ちに現在の額、つまり利子補給といたしましては七十四億円でございますが、この七十四億円と百二十六億円を直ちに比較するのも、数字の比較としましては国鉄のほうがおくれて措置をとりましたものですから、直ちに比較するのも多少正確ではないのではなかろうかと思います。
-
○加瀬完君 そうすると、将来は国鉄の利子補給なり、政府支出というものはもっと幅広くふえていくべきものだというお考えですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 将来はといいますか、現在とりつつあります措置、現在の措置をやっていきますと、たとえば十三億の系統、いわゆる再建債に対する利子補給の系統は四十四年度は十三億でございましたが、来年度は三十八億になる、その次の年は六十億になる、その次の年は八十億になる、その次の年は九十七億になる、以下ずっとそういうペースで伸びていくわけでございます。それからもう一つのほうの六分五厘との差のほうは、これは建設の規模が一応まだ確定しておりませんので、幾らになるかわかりませんのですが、私のほうで試算をいたしますと、大体いまのペースから十七、八億円ずつ毎年ふえていくであろう、したがいまして、七十「億円は八十八億円程度になり、百億円程度になりというふうなペースでふえていくであろう、七年くらいたちますとピークにきまして、まあ横ばいというふうなことになるのではなかろうかと思います。
-
○加瀬完君 大蔵省は、まあ運賃で大体片をつけようという考え方は、受益者負担という考え方に立っているのですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 基本的には利用者負担ということで、国民経済というのは、輸送というものは非常に大きいものでございまして、これをやはりその利用する方に負担していただくという原則をくずしますと、これは国鉄だけでも、現在でもすでに一兆円の輸送サービス、現在の価格で一兆円のものをいたしておるのでございます。それ以外にも輸送手段というのはいろいろあるわけでございまして、やはり輸送のコストはそれを利用する人に負担していただくという原則は堅持していただかなければならぬと思います。
-
○加瀬完君 利用者と受益者というものは同じなのか違うのか、その点はどうですか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 必ずしも同一とは思いません。利用者というのはそれを直接利用する人であり、国鉄が新線を敷いたために土地が値上がりしたと、これも受益者のうちに入ろうかと思います。しかし基本的には利用者即受益者、ただ、受益者といった場合には間接的な受益者も含めて考えてもいいんじゃなかろうかと思います。
-
○加瀬完君 純然たる受益者に対して、政府が一体負担義務というものを与えていますか。たとえばいま御指摘の、鉄道が開通して非常に土地が値上がりした、あるいは民衆駅ができてデパートが進出した、こういうもので特別の国鉄による利益を受けているものに対して、純然たる受益者に対して、税制のほうで何か考慮が現在払われておりますか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) そうした受益者にある程度負担をしてもらうということ自体、考え方としては、先ほども大蔵大臣、運輸大臣から
衆議院の
大蔵委員会で御答弁がありましたように、そう附した人に負担をしていただきたいという気持ちはあるわけですが、それを具体的にどういうふうに算定して、どういう
方法で吸収するかということについては非常にむずかしい問題でございますので、現在のところ検討はいたしておりますが、一般的な税制による分以外は現在のところ国としては吸収できていない。ただ、それが現在の一般的な税制のもとにおきまして、たとえば値上がりした土地を売ればそれは譲渡所得という形で手に入り、デパートがもうかれば法人税という形で入ってくるということはございますが、受益を尺度といたしまして国がその利益を吸収するという
方法は、現在のところとられていないわけで、これは今後の検討していかなければならぬ問題だと考えております。
-
○加瀬完君 その受益者と利用者というものをごっちゃにしているんですよ。利用者は必ずしも受益者じゃありませんよね。それを受益者とイコールに見て利用者に運賃の値上げで負担をかぶせていく、ほんとうに国民負担を軽減しようと思うならば、どうして税制の改革というものをもっと考えないんですか。鉄道に限ってみたって土地の増価土地税とか、いろいろあるでしょう。しかし、そういうものは何も大蔵省としても具体的なものはお出しになりませんね。ほんとうの受益者はそのままぬくぬくとふところをあたためていて、利用者だけに負担をかけていく、こういうやり方に、大蔵省当局として少し恥ずかしいという感じを持ちませんか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 利用者が受益者ではないということはないと存じます。利用者はやはり一番の直接的な受益者であるということは、これはそれを利用するわけですからこれは受益者でございますが、間接的な受益を吸収する措置というものは、いろいろむずかしい問題がありますので、今後政府としても十分検討していかなきゃいけないんでございましょう。これは午前中の
大蔵委員会で、大蔵、運輸両大臣から御答弁申し上げたところでございます。
-
○加瀬完君 おかしいよ。
衆議院の
大蔵委員会で言ったか、
参議院の
大蔵委員会だかわからないが、答弁したと言ってもここでは何もわからない。そんなばかな話があるか。少し頭を冷やしてこいよ。もう一回、大蔵大臣が何と言ったかそこで言いなさい。大蔵大臣がここへ来て話したんじゃないし、わからないですよ。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 要するに、やはり間接的な受益者もあるわけでございますので、これに何とか応分のものをそこから国が吸収するということは、考え方としては非常に妥当なことであり、そういう方向で努力をしなければいかぬけれども、それの
方法がなかなか困難なんで、現在のところそういう措置がとられていないでいる。たとえば土地税制一つにしましても非常にむずかしい問題があるので、今後十分そういう方向で検討をいたしていきたいというふうに大臣は答弁されたと存じます。
-
○加瀬完君 利用者か受益者かという問題を具体的に
——われわれが百円なら百円払ってタクシーに乗りますね、料金を払って。タクシーに乗ったお客さんは利用者でありますけれども、受益者と言えますか。国鉄だって同じことじゃありませんか。純然たる受益者と言えませんよ。利用者イコール受益者ということで、受益者負担を全部かぶせていくというやり方は当を得た
方法とは考えられない。これは議論になりますから言いませんが、土地対策がゼロでしょう。少し横道にそれますが、それじゃ公共用地の取得を大蔵省がどういう基準でやっていますか。あなたのほうに聞きましょう、土地対策があると言うから。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) そういう土地対策があるというふうには答弁しませんで、土地税制の問題一つ取り上げましても非常にむずかしい問題だというふうに大臣が御答弁したと申し上げましたので、その点は土地対策があると言ったわけじゃございませんので、御了解をいただきたいと思います。私は、その土地対策そのものを担当いたしておりませんので、その点につきましては何とも責任を持った
お答えができかねますので、御了承願いたいと思います。
-
○加瀬完君 これは大臣がいますから、閣僚としてひとつ伺いたいんですがね、公共用地の取得については、閣議で申し合わせ事項があるわけですよね。ところが申し合わせ事項はさっぱり守られませんね。大臣の担当だから伺いますよ。たとえば固定資産税の評価額というのがここにありますね。具体的に聞きますよ、成田の新東京国際空港の土地は、固定資産税の評価額によると、二万二千円だ。税務署の相続税なんかに対する評価額は七十万、国が買ったのが百四十万。適正価格を押えろということを申し合わせをしてある適正価格とは高値と低値の間だ、仲値だということも申し合わせてある。大蔵省
自身が七十万で査定したものを百四十万で買うというのは一体何だ。しかもここに道路があって、こちら側が宮内庁の行政財産こっちは私有地。宮内庁の行政財産は七十万足らずで買っている、反七十万足らずで買っている。七十万弱。こっちは百四十万で買っている。そのつどそのつど政策的な便宜で高くも買えば安くも買う。こういうやり方でやるなら、国鉄にもっと金を出せないはずはない。いずれ成田空港のことはあとでゆっくり大臣に伺いますから、本題でありませんからやめますが、便宜で七十万の査定を百四十万で買うようなことができるならば、どうして国鉄のこれだけの財政の赤字というものを、国が一方の責任を持つという
方法をとれないのか、私はふしぎでならない。それをまた腕をこまねいて大蔵省の言いなりになっているといのは、政府に対しては姿勢が低い、国民に対しては銭払わなきゃ乗せないんだ、銭払って乗れるものなら乗ってみろ
——高い姿勢だと言われたってやむを得ないでしょう。一体、もっと金を出せということを運輸大臣は、大蔵大臣にどれくらい交渉したんですか。出すべき責任があるんです。受益者というのは国が一番受益者だ。大体損をするのは国鉄で、国鉄が赤字をかぶって、ぬくぬくとしているんだから受益者はあちらですよ。その受益者に対して担当大臣はもっと資金の要求をすべきですよ。今度少し出したけれども、出すべき理由を認めたんですか、出さなければ済まないということで出したんですか。認めたんですか。私はもっと財政当局の門というものを開かなければならないと思うんですがね、この点は運輸大臣どうですか。私は国鉄に一つも
質問しませんが、国鉄の問題じゃないですよ。政策担当の大臣がだらしないからこういうことになっている。
-
○国務大臣(原田憲君) 担当大臣まことにだらしなくて申しわけございませんが、私は私の全力を尽くしたつもりであります。昨年十一月三十日に私は就任をいたしました。国鉄に対するところのいわゆる国家予算が概算要求ですでに要求をされておりまして、たとえば、四十二年に九百億の要求をしておったが、それに対する回答はゼロである。今度もし四百八億現ナマでよこせということでやっておったら、あるいはゼロであったかもわからない。私はまことに微力で申しわけがございませんけれども、過去の国鉄というものの
運営というもの、国の財政上からの措置ということから考えて、国鉄財政再建推進
会議の意見書は適切なるものと考え、あなたから言われるとまことに不十分と仰せられるかわかりませんが、私は全力を尽くしたつもりであります。このことによって、初めて国鉄総裁が、国のほうが、大蔵省が初めてめんどうみたということばをここでおはきになったことであろう。いままで私は、国鉄総裁が
国会において答弁をされておることを漏れ聞いております。また、政府・
与党の
会議に来て、国鉄財政問題についてみずからの意見を述べておられることも聞いておりますが、まことに微力で申しわけございませんけれども、私の全力を尽くして国鉄財政再建のためにやったつもりでございます。これに対して加瀬さんから、担当大臣力がないというおしかりは甘んじて受けなければいたしかたないと思いますけれども、私といたしましては全力を尽くしたということを申し上げておきます。
-
○
説明員(石田禮助君) ちょっと加瀬さん私にひとつ。どうもこれは大臣のお話を聞いておるというと、国鉄総裁としてまことに申しわけないんだ。要するに、ここに至ったゆえんは国鉄がだらしなくて弱かった。私が総裁になってどういうことを
主張してきたかというと、要するに、国鉄というものは独立採算でやらなきゃならない。それであるのにかかわらず運賃を安く押えられる。ことに、公共負担という大きな荷物をしょわされて、どうして一体独立採算ができるか、こういうことをずいぶん勇敢にやってきたつもりでありますが、ようやく四十四年の予算から将来について、大蔵省もすっかり態度を変えてくれまして、ほんとうに愛のある大蔵省になりつつあるわけでございます。要するに、私が申し上げましたのは、国鉄はどうしてこういうようなことになったかというと、第一に公共負担、これが一番大きな問題だと思います。五〇%というのは法律でもってこれはやらなきゃならない。これを計算すると千七、八百億くらいの問題だ。さらにその上に超過してやっている。これを入れるというと、二千二百億くらいになる。それで二十四年から四十二年までを計算してみますと、五〇%を引いて、そのほかのやつで一兆二百億円の荷物をしょってきたわけです。その大部分というものは、政府の政策を国鉄の犠牲においてやったということなんです。しかも、世の中というものはまるっきり変わってきた。もう独占の上にあぐらをかいておった時分というのはどこかにいってしまって、いまや非常に悪戦苦闘の中でやってきた。これではとてもだめだということで、ずいぶん憎まれ口をたたいたわけでありまして、大臣が運輸大臣になってから
——ついこの間なんです。これは運輸大臣の責任じゃないんです。国鉄の責任なんですよ。いずれにしましても、大蔵省というものは今度ようやく了解をしてくだすって、ずいぶん思い切って
——私五千億、六千億くらいになるんじゃないかと思うんだ、将来にわたると。というような補助をしてくだすったということは、非常にこれは新紀元ですよ。こういうことで、この間も
経済企画庁長官がいわく、大蔵省が今度これだけやったんだ、やったということはこれだけじゃないんだ、将来もやるんだ。こういうことを申されましたが、こいねがわくは、大蔵省はひとつそういう頭で国鉄というものを見てくだされば、私は国鉄は非常に健全な発達をしていくんじゃないか。
さらに、運賃の問題でありまするが、加瀬さんは非常に利用者負担ということをおきらいのようでございますが、これはどうもやはり私は、全部利用者に向けていくんじゃなくて、大部分というものは、つまり大部分というか相当の部分は大蔵省が負担し、国鉄は合理化でやっていく、どうしてもそれでいかぬものは利用者に負担をしてもらう。しかも運賃については世界一安い運賃なんです。国鉄の運賃はいままでしょっちゅう押えつけられてきたということで、これはやはり私は利用者としても負担するのが当然じゃないか。こういうことで国鉄も努力する、そして大蔵省というものも思い切って出す、そして利用者も出すと、そこで三者が仲よく協力してやっていくというところに、国鉄というものの将来の発達があるんじゃないか、こういうことを考えますので、これは加瀬さん、話を聞いていると私が大蔵省に言うようなことを言ってくれたぐあいなんですが、これは大蔵省としても今度はずいぶん思い切ってやってくれた。われわれもおやじの金をもらうときにはおやじの財布の中も一応考えなければならない。あまり大蔵省をいじめられぬようにお願いしたいと思います。
-
○加瀬完君 総裁もやめぎわになってだいぶおせじがよくなりましたが、これはおっしゃるように一銭も出なかったものが出るようになったのは変わったという見方もあるかと思います。しかし考えてみると、法律的にいままで出すべきものを出さなかったのだから出すのはあたりまえで、出すといってもお役人の財布から出るのじゃなくてわれわれ国民の税金なんだ。だから国民は運賃を負担する前に、まず国民の当然の拠出である国の財政というものからやりくりをつけるのが筋ではないか。その負担割合が一対二対三・五ということで、おそらく運賃が上がれば物価にも響くし、物価が上がるということになるとまた賃金にも
関係してくるし、堂々めぐりでまた物価を上げるということになってはイタチごっこじゃないか。そこで公共料金を押えるということが至上命令ならば、公共料金の最たるものである国鉄運賃というものを幾らかでも押えられるなら押える政策が必要じゃないか。それは財政当局として当然そういう配慮があってしかるべきで、そんなに国鉄に出せないと言うなら、造船利子なんかに出しているものと比較して、出せないという理由が出てこないじゃないか、出せないと言うならもっと財源を考えればいいのだ。租税特別措置法でも何でもいろいろ話題になっている財源が考えられるじゃないか。無限大な広告をしても広告費は一銭もかからない、あるいは交際費がいろいろ問題になっておってもこれは具体的な調整
方法というものは進んでいない、財源がないとは言われない。そういうところからもう少し財源を見つけるならば国民の負担というものをもう少し軽くしてもいいのじゃないか、そういう立場です。
私だけが申し上げているのじゃなくて、四十三年十二月二十六日の朝日新聞は社説で、国鉄運賃の値上げは物価上昇の呼び水となり、また他の交通機関の運賃値上げの口実ともなる。一体政府はいままで国鉄の危機に対して有効適切な対策を立てたことがあるのか。国民経済的視野からの国鉄の明確な役割りの認識が政府、国鉄の双方に欠けてはいないか。レジャー道路に巨費を投じながら通勤輸送は遅々として進まない、交通政策は不在ではないか。政府は国鉄に対していかなる財政救済措置をとるのか、こういう論説を掲げている。これは一つの国民を代表した世論だと思う。また、財政制度
審議会第三部会長の西野さんと中央大学の鶴見教授が対談を同紙でしておりますね。西野さんは、目的は財政再建、苦しい国鉄の立場というものを強調しております。鶴見さんは、物価安定にもとる、減価償却は問題だ、こう
主張をいたしております。いまこれらの点を問題としてさらに検討をしてまいりますと、いわゆる運賃値上げの是非論ということになろうかと思いますが、国鉄運賃は国民の福祉を考慮してきめる、こういう考え方があるわけですね。経済企画庁、大蔵省、いまでもこれはそのとおり受け取ってよろしゅうございますね。
-
○
政府委員(岩尾一君) 国鉄の運賃は現在、運賃法では、適正な原価をまかなうようなものとして料金を設定すべきであるというふうにございますけれども、日本国有鉄道の目的からいたしまして、この運賃の設定に対しては公共福祉の要素というものを十分加味をしていくべきである、かように思っております。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 国鉄運賃法第一条、「前項の運賃及び料金は、左の原則によってこれを定める。一 公正妥当なものであること。二原価を償うものであること。三 産業の発達に資すること。四 賃金及び物価の安定に寄与すること。」等の原則に基づいてきめなさいというふうに規定しているということを
承知いたしております。
-
○加瀬完君 私の聞きたいのはそこですけれども、国鉄運賃法は原価を償う、これはだいぶ強調されておりますよ、今回も。公正妥当、物価と賃金の安定、産業の発達に資するという四つの条件があるわけですね。公正妥当とはどういう内容ですか、国鉄運賃の場合。経済企画庁に伺いましょう。
-
○
政府委員(岩尾一君) 公正妥当と申しますのは、いわゆる国鉄のような公共企業体におきましては、一方で事業性を追求しなければならないとともに、一方で公共性を追求しなければならぬという宿命を負っているわけであります。その場合に、いまの条文にございましたように、単に出てくる原価を全部そのまま料金に押しつけるというのでは、これは国鉄にとって国鉄が追求しておる公共性のものも料金に反映するということになりますからいけないので限界がなかなかむずかしゅうございますけれども、そういう
意味合いで国鉄に負わされておる、先ほど総裁が申されましたけれども、公共負担等についてはやはり何か国が持ってくれないかとおっしゃった
意味合いにおいて、公共性を追求しておる点は料金のほうから除いてコストにはね返らせないようにする、そういう
意味合いでございます。(「国民経済との
関係においてはどうなんだ、政府財政だけじゃなくて。それを君言わなきゃだめだよ。」と呼ぶ者あり。)
-
○加瀬完君 いま隣の方から出された問題はどういうことですか。
-
○
政府委員(岩尾一君) 失礼でございますが、もう一度……。
-
○
森中守義君 関連。
企画庁、いま言われている
説明というのは、主として国家財政あるいは国家経済、そういうサイドから公正妥当というとらえ方をしている。それはひとつの側面ではあっても、運賃というのはつまりわれわれ利用者が出すわけだから、そういう立場から公正妥当とは一体具体的にどういうことなのか、その辺の
説明もしてもらわないと片手落ちですよ。少なくとも運賃四原則の中に定めている公正妥当とは、そういうもろもろのことをファクターとして定義づけられている、こういう理解をわれわれしている。だから先ほどの
説明は、国家経済、国家財政の立場からの
説明でしかない、私はそう思う。じゃ国民経済の立場からはどうなんだ、この内容が具体的に定義されなければ解明にならない、そういうことを聞いておるわけです。
-
○
政府委員(岩尾一君) ここで第一に述べております「公正妥当なものであること。」という
意味は、先生のおっしゃったような
意味が入っておると思いますが、私は決して先ほど国家財政だけを重点に公共性と言ったのではございません。ここに「原価」とございますが、この原価は、国鉄が適正な企業努力を十分にやった上での原価でないといけないという
意味での公正妥当ということでございます。
-
○
森中守義君 そこで
官房長、今回の一五%という数字が、いま
説明された内容としてはたして合致するのかどうなのか。つまり具体的に一五%と言っているわけだから、その一五%というのが総じて公正妥当という具体的の内容を示しておるわけでしょう。それが出なきゃ答えにならない。
-
○
政府委員(岩尾一君) ただいま御
説明いたしましたように、四つ一応あげておるわけであります、運賃の決定に際しての原則といたしましては。その一つとしての公正妥当なるものについての
意味を私は申し上げたわけであります。現在の運賃改定案というものは十分その条項に合致しておるものと私は考えます。
-
○
森中守義君 それじゃ鉄監
局長、この前一五%の積算の根拠を資料として出してほしい、こういう資料の要求をしてきょういただきました。ところがひとつその答えになっていないんですね。つまり一五%とは何なのかという答えが与えられていない。したがって、いまの企画庁の
官房長の答えも一つも得心できない。それでどうなんですか。要求された資料に対する与えられた答えというものが明確でないということは、要するに一五%というものは政策的な
意味、あるいは国鉄の財源的な
意味、あるいは国家財政、そういう
意味からの一五%だと言い切れますか。あるいは念には念を入れてあれこれ計算の結果一五%である、そういう
意味ですか。私は、資料の中に残念ながら私が問わんとする内容が出ていないんですが、政策的な
意味における一五%、こういう受けとめ方をせざるを得ないんですが、どうなんです。
-
○
政府委員(町田直君) 御
提出いたしました資料は、先生のほうで非常に不十分であったということで、まことに申しわけございません。御要求ございますれば別途出し直してもけっこうでございますけれども、口で申させていただきまして、まず原価を償うことという、原価計算上どうなんだという、こういう御趣旨が一つあろうかと思います。原価計算上で申し上げますと、これは国鉄の四十四年度の予算をごらんいただきましてもおわかりと思いますけれども、要するに、先ほどから御議論のありましたようないろいろな国家財政当局の助成というようなものをやりまして、また市町村納付金等の免除ということもお願いいたしまして、なお国鉄全体としては原価的には、実質一〇%の値上げをいたしましても償却は赤字でございまして、原価は償っていないわけでございます。しかしながら一方におきまして、ここにいろいろ運賃決定原則がございますように、物価に対する影響その他いろいろございます。それからまたもう一つ、これは非常に、何と申しますか、技術的な問題ということになるかもしれませんけれども、運賃の上げ幅というものは、御
承知のように、同時に収入に響いてまいるということもございます。それこれ勘案いたしまして、実質一〇%、形式的に
——形式的と申しますか、旅客運賃一五%、こういうことを決定したわけでございます。そういう
意味では、一応原価を償うものということを基礎にして考えてはおりますけれども、それまでには至っていないという
意味で、ある
意味ではおっしゃるとおり政策的であるということも言えるのではないかと思います。
-
○
森中守義君 これはまともにいま議論してもかみ合わないんですよ。だから、関連ですからそう長い時間をいただくわけにはいかぬけれども、簡単な言い方をすればこういうようなことなんですね。要するに、十カ年の再建計画をつくった、財源が幾ら要るんだと。そこで、国鉄の企業努力だ、及び
——だいぶ石田総裁は大蔵省を手本にしていましたが、あんまり甘い顔しちゃできませんよ。そこで、大蔵省が幾ら出すか、利用者が幾ら出すか。そういうものをあれこれ逆算をして一五%でよかろう、こういう計算のしかたなんですね。だから、幾ら公正妥当でなければならぬとか、原価を償わねばならぬと言ってみても、要素としてあまりない。いわんや、片側の利用者の、つまり国民経済、利用者経済というものは、公正妥当な計算の中には算入されていない。結局、政策的にきめました、逆に勘定してきめましたというような言い方のほうがむしろ適切じゃないか。そういうことをはっきりしてもらうほうがかえって利用者としては割り切れるような気がするんですがね。これは運輸大臣、あなたがまとめて
お答えになるほうがいいかもしらぬ。いかがですか。
-
○国務大臣(原田憲君) 原則というものが法律には四つ書かれております。このことについて、まあ二律背反ということばがありますが、四つがお互いに相反しておるじゃないかという御
質問も受けたのであります。
参議院でもこのことは本
会議で出たかとも思いますが、私は、いま議論をしてもかみ合わないんだと
森中さんが言っておられるのはそういう考え方からじゃなかろうかと推察をいたしておるのでありますが、一方、これをうまく調整をしていくところに運賃というものの法律によるきめ方というものがある。だから、先ほどから、国鉄再建を十年間でやってみて、そして国から幾ら出るからこうだ、だから結局運賃はこうしたらいいじゃないかと、こういうきめ方じゃないかと、こうおっしゃっておるのでありますが、国鉄財政再建推進
会議が一〇%程度の運賃値上げというものを答申しておる背後には、やはりこの三つというものが一体となった考え方というものをとっておると思うんです。一ぺんに運賃をかりに値上げしても、それは他のほうへお客さんが流れて実際には入ってこないという問題もまた生じてもきます。いろんなことを勘案して一〇%ということを答申をしていただいたと私は解釈しております。ただ、これを一〇%にせずにいわゆる旅客だけの一五%にしたという点で、なぜ貨物を上げないのかという指摘をされるところがあると思うのでありますが、これはいわゆる先ほどからお話が出ておりますように、確かに旅客運賃を上げることも物価に影響いたしますが、貨物を上げることはこれは零細な食物とか、あるいは農林水産物というようなもので、すぐに市場価格に響いてくるというような点も考慮いたして旅客運賃を上げさせていただく。それは旅客運賃を上げさせていただいても確かに影響はありますけれども、この場合にはいろいろそれをカバーするところの政策というものも現在講じられているというようなことを勘案して今度の運賃というものをきめさしてもらった、こういうことになっておると思います。運賃というものはそのようなことできめていかなければならない要素がある、それを法律では四つに書かれておる、こういうことではないかと私は解釈をいたしておるのであります。
-
○加瀬完君 「公正妥当」の問題ですがね、企画庁に伺いますが、物価の上昇率とどういうかみ合いになれば運賃の値上げは公正妥当だとお考えになりますか。三十八年を一〇〇として消費者物価はどういう指数になるか。運賃はまたどういう指数になるか。政府案として出したのだから企画庁でも種々検討の結果、このアップ率は公正妥当だとお認めになったのでしょうから、そのそれぞれの上昇率を対比してこれは公正妥当だというひとつ裏づけをお示しいただきたい。
-
○
政府委員(岩尾一君) ただいま私が
説明いたしましたのは、公正妥当というのは、第一条の第二項の第一に書いてある「公正妥当」というのはどういう
意味かということを申し上げたわけであります。物価との関連は第四号に「賃金及び物価の安定に寄与すること。」、こういうふうにございますので、物価の観点から見て、いま先生のおっしゃいました運賃の値上げはどのくらいの率になっておるかという御
質問でございますが、これは大体消費者物価が三十八年から四十二年までに二八くらいであったかと思います。それから国鉄運賃の上がりが、上げますと六七・四でございますか、今度のこの案では。
-
○加瀬完君 ですから、それが公正にして妥当だということの
説明を加えてくださいという
質問です。
-
○
政府委員(岩尾一君) 先ほど申し上げましたように、「公正妥当」とここに書いてありますのは、国鉄が十分企業努力をやった上のものを考えてくれということでございまして、いまの運賃自体が全体としていいかどうかという御
質問だと思います。その点がいま申したような消費者物価よりも上がりが多いということで、これは非常に高過ぎるのではないかという御
質問と解釈いたしますと、そういうことでありますと、私らは国鉄運賃の上昇が、これも再々御
説明があったと思いますが、物価の面から見ますると、大体今回の値上げによりまして消費者物価の〇・二の値上げになるという計算をしております。そういった影響があるわけであります。しかしこれも企画庁長官がたびたび御
説明申し上げておりますように、私どもとしては望ましいとは思いませんが、この上がり分はほかの物価をできるだけ抑制することによってカバーして、政府が現在考えております適正な物価上昇率である五%という線に入れたいということで、〇・二というのはのみ込もう、したがって、いわゆる便乗的な私鉄その他の値上げについてはこれを極力抑制していくという方針でいきたい、こういう
意味から申しましての私は値上げだと思います。
-
○加瀬完君 これはあとで伺いますが、経済企画庁は昨年の十二月、予算編成のときには運賃も上げない、米価も上げないという方針を出したわけですよね。それがこう変わったのはどういうわけかということをあとで
質問をします。あなた〇・二%と言うけれども、去年の予算
委員会でわれわれのほうの田中寿美子さんが指摘したように、いまの物価のとり方というのは、必ずしも生活条件に密着するものだけをとっているわけじゃないでしょう、これもあとで触れますがね。米の上がりと運賃の上がりというものが個々の家計にどう響くかということになりますと、〇・二という数字ではおさまりがつかないことになるんですよ。じゃ、これは認めますね、三十八年を一〇〇としますと、消費者物価指数が、三十九年が一〇五・九、四十年が一一一・七、四十一年が一一七・三、四十二年が一二二、四十三年がおっしゃるように一二八・六。それでは運輸省に伺いますが、三十八年の改定を一〇〇といたしますと、昨年と今度の改正案では普通運賃、通勤定期どういうアップ率になりますか。
-
○
政府委員(町田直君) ただいまのは三十六年を一〇〇といたしますと、普通運賃でまず申し上げます。三十六年が賃率で二円七十五銭でございます。今回が四円二十銭ですから、その倍率をとりますと一・五二倍ということです。実は定期は、私どもの資料は四十一年を一〇〇といたしまして出ておりますので、後ほどこれにその前のをかけて申し上げますけれども、四十一年を一〇〇といたしますと、一般の通勤定期が、これは二十キロメートルをとりまして一五二・九
——二十キロメートルというのはCPIの平均でございます。それから学生でございますが、学生定期は十五キロメートル、これもCPIの平均でございますが、一四五、それから中学生、これが一一三、それから小学生が一一一・五。失礼いたしました、一番
最初に申し上げましたのは高校生の通学でございます、一四五。それから一般の通学で一六二・三、こういうことに相なります。
-
○加瀬完君 今度の改正案で旅客運賃だけが問題になって貨物はそのままになっておるわけですね、これはまあ先ほどからの
皆さんの御
説明で、産業の発展に資するということだろうと思いますがね。原価計算ということでいくなら、なぜこれ原価計算しないのですか、産業の発展のために貨物は据え置くというなら、なぜ定期などもっと低率で押えるという
方法がとれないのですか。そういう点が国民の福祉というものから考えれば、公正妥当とも言えないように思えるんですがね、これはどうですか。
-
○
政府委員(町田直君) 貨物につきましては再々御議論がございましたように、原価計算の面では国鉄の運賃は総合原価主義をとっておりまして、貨物、旅客その他すべて一括いたしまして原価で考えるということにいたしておる次第でございます。まあ実際上貨物の原価と旅客の原価、あるいは旅客でも線別の原価ということをやりますことは非常に技術的にも困難でございますし、それから御
承知のように同じような、同じようなというか、同じ線路を貨物も旅客も走っているという、こういうようなこともございまして、国鉄としてはいままで総合原価ということでやっておる次第でございます。
それから、もう一つの御指摘の通勤でございますが、これは考え方でございますけれども、これは先ほどちょっと御
説明いたしました中に、数字で御
説明いたしました中に入っておりますが、御
承知のように昨年の四月に定期運賃の改定をいたしたわけでございます。これはまあ考え方でございますが、定期運賃というのは御
承知のように普通の場合で六〇何%、それから学生の場合ですと八〇数%という割引きをいたしておりますので、公共負担の是正ということも含めまして昨年若干の改定をいたした、こういうことでございます。その際に高校生、それから中・小学生あるいは特定者、いわゆる生活保護世帯というものにつきまして据え置きないしは割引きの措置をとりましたので、そういう
意味で割引き率が依然として変わっていない。今回は公共負担是正というような割引き率の改定を行ないませんで、普通運賃の一五%値上げをそのまま適用する、こういうことにいたしました。
-
○加瀬完君 貨物線に対しては赤字でも産業発展のためには山の中まで走らせなければならない、そういうことですか。貨物線に対しては赤字だろうが何だろうが山の中まで走らせなければならないからと、こういう
前提に立っておられるのですか。
-
○
政府委員(町田直君) 必ずしもそういうことではございませんで、もちろん総括原価でございますから、貨物幾ら、旅客幾らというふうな計算をいたしておりませんけれども、貨物につきましても適正な運賃が定められるのが適切であろうかと考えます。ただ、現在の状態で少しこまかく申し上げますと、御
承知のように貨物につきましては国鉄の、これはまあ公共性の一つのあらわれかと思いますけれども、国鉄の貨物につきましては従価等級制という制度をとっておりまして、重量ではいっておりません。したがいまして従価
——値段によって違う等級ができているわけでございます。したがいまして、この際貨物運賃をいじるということにいたしますと、どうしても非常にまあ低級割引き、いわゆる低等級貨物、安い貨物というものに対する影響が非常に出てくるということもございます。また高い、高等級貨物につきましては、元来が従価でやっておりますからかなり高い。したがいまして、それをさらに上げるということは競争力上はなはだ好ましくないというような
事情もございまして、そこでまあ主としてそういう
意味で物価、経済動向も考えまして今回はいじらなかった、こういうことでございます。したがいまして、今後どうするかという問題でございますが、先ほどから御
説明いたしております再建計画が進みまして、現在の国鉄の貨物輸送体制がもっと合理的なもっと近代的な形になりました場合に、それに相当するしかるべき運賃を考えざるを得ないのではないかと、こういうふうに考えております。
-
○加瀬完君 この物価の上昇率と運賃の上昇率を見ると、三十八年を一〇〇として、物価は一二八・六、運賃は一六七前後ということに平均してもなるでしょう、そういうかぶせ方を一般の旅客にはしているわけですね。なぜかというと原価計算上合わない。なぜ原価計算上合わない貨物をそのままにしておくのか、貨物を原価計算して合わない分を公共負担にかぶせていくというならば、同様に旅客だって、公共負担分までも旅客がかぶる必要ないじゃないか。産業優先ということははっきりわかりますよ。しかし、裏返しをすれば人間疎外だ、国民不在だ、そういう姿です。取りやすいところから取る、そう言われたってしかたがないでしょう。それがどうして国民の福祉というものを一つの性格として国鉄が
運営されている、あるいは運輸行政が
運営されているということになるのかね。私には納得いかない。国民の福祉を考えるというのは
——こういうような政策赤字ですよね、貨物線の赤字は政策赤字、政策赤字を一般の国民に負担させるということが、一体国民の福祉を尊重するということになるのですか。その間の
事情をひとつ御
説明をいただきます。
-
-
○加瀬完君 石田さんはもういいよ。運輸行政の問題だ。
-
○
政府委員(町田直君) ただいまの御
質問に対しましては、まず貨物を上げないのは産業優先だというお話でございますけれども、私どもは必ずしもそうは考えておりません。先ほどから申し上げておりますように、低等級貨物と申しますのは、大体が生活必需物資でございます。鮮魚とか米とかあるいは野菜とか、そういうものが中心でございます。そういうものをこの際上げることがいいかどうかという問題が一つあろうかと思います。したがいまして、貨物を今度上げないことは、いわゆる国民生活にどういう影響があるかということでわれわれとしてはそういう面を考えて上げていない、こういうことでございます。
それから政策赤字というお話でございますけれども、現在の国鉄の赤字というのは、先ほどるる御議論ございましたようなことで、国鉄自体としてはあらゆる企業努力をやり、増収努力をやりましたけれども、いろいろな輸送構造の変化、そういうことで十分な収益があがらなかった、これに対する経費が非常にかさんできた、これが一番端的な理由だと思います。それをこの際ひとつ十年間かかって解決しようということで国からもお金を出し、それから国鉄も企業努力をする、なお国民にも負担していただく、こういう趣旨でございますので、そういうことで御理解いただきたい。
それからもう一つ、非常によけいなことのようでおしかりを受けるかもしれませんが、三十八年からの物価の上昇率というものの比較でございますが、これは大体戦前の昭和十年ないし十一年くらいというのと現在の比較を一ついたしております。これを申し上げますと、昭和十一年を一〇〇といたしまして四十二年で旅客で二百三十四倍、それから貨物二百四十四倍、今度運賃を値上げをいたしまして二百六十九倍ということに相なるわけでございます。この間の消費者物価は御
承知のように四百八十一でございます。こういうようなことで戦前からの比較において現在の国鉄運賃というものは非常に高いのだということではないということをひとつ御理解いただきたい。
-
○加瀬完君 いまのことはあとで聞きます。用意があります。
それではこれは大臣に
お答えをいただきたいのですが、貨物は上げません。私どもは貨物も上げないなら、同様に通勤運賃などは上げないでいただきたいと思います。これは公共投資による負担なんですから、もう少し政府に金を出していただければ、通勤定期あるいは運賃を上げなくて済みます、こういう考え方を私どもは持っております。政府の御当局は貨物は上げません、しかし、いろいろ理由がありますから運賃は上げます、こういう政策なんですが、
皆さんはどちらに御賛成いただけますかという
公聴会でも何でも開いて、私どもと対決をする御自信がありますか。あなたがそういうことを言うなら、これから地方
公聴会でも何でもやろうじゃないですか。貨物は上げません、貨物は野菜や米ばかり運ぶのじゃありませんよ。上げなくてけっこうです。同じような
方法がなぜ運賃にとれないのか。このように人間が疎外されておりまして、産業が優先されております。これに賛成か
反対か、ひとつ御意見を聞かしていただきたいという地方
公聴会をやろうじゃありませんか。
委員長ひとつおはかりいただきます。どうです。政府、自信がありますか。
-
○国務大臣(原田憲君) 運賃の問題につきましては、私はこの件は
森中さんの関連
質問で
お答えをいたしたところでありまして、たびたび申し上げますが、やはり一つの政策でありまして、社会党の提案も私どもが提案をさしてもらっておる提案も、目的は国鉄をどうして再建するかということであります。その
方法について、たとえば、社会党の案をもってするならば運賃を値上げする必要はない。こういう
方法があるということを提示されておるわけであります。民社党は民社党の考え方を述べておられるわけであります。いろいろ方策はあろうと思いますが、私どもは現在の国家財政全般からながめ、またそういう運輸行政をあずかっておる私といたしまして、十年間の計画でございますが、まずこの四十四年度予算案につきましては、こういう
方法をもって実現したいということで御提案をし、その骨子となる予算案はすでに成立をいたしておるのであります。その法律の内容とする実際の問題である
二つの、運賃法並びに財政再建法が皆さま方の御
審議をいただいておるのでございますが、運賃というものはそれは現在安いほうがよいということを言う人がこれは普通でありましょうが、しかし一方においてそれでは安いことがよいかどうかということになってくると、これは先ほどもいろいろ話が出ましたように、そんな財源がないというなら、租税特別措置やめて持ってきたらあるじゃないか、自衛隊やめたらあるじゃないか、こういう議論へ発展をしていかざるを得ないことに私はなってくると思うのであります。現在のこの運賃というものについて、私どもも本
会議でも申し上げましたけれども、
皆さん方にできるだけ運賃を上げずに措置できたら、これは喜んでいただけると思いますけれども、国家財政上あらゆる点からながめて、今度のこの
方法をやらしていただくことが私どもの考えとしては正しいと、こう思うので、そこで国民の最高権威機関である皆さま方に、立法府において御
審議を賜わっておるわけであります。
公聴会もその中で
皆さんが御相談の上先般なさったわけでございますから、十分御
審議をいただいておると、私はこのように考えておる次第でございまして、運賃の問題につきましても、加瀬さんはもっと安いほうがよい、こうおっしゃる、そうできたらと思いますけれども、そうするためにはまた国家財政上の負担をしなければならない、あるいは財政投融資をしますれば、これは後々までまた国鉄に負担をさせなければならぬというような議論になってまいりまして、一つの成案を見たものでございますので、どうぞひとつその点は御理解を賜わりたいと存ずるのであります。
-
○加瀬完君 国鉄がいま処理をしなければならないで悩んでいる赤字は政策赤字がほとんどでしょう。独立採算制という立場でこの際合理化するというならば、人間と荷物と区別をすることはおかしいじゃありませんか。旅客を合理化するなら貨物だって合理化すればいいじゃありませんか。ところが貨物には全然手を触れないで、旅客だけを問題にしている、そうなってまいりますと、独立採算制というものは対人間には適用しますけれども、対荷物の場合には適用除外。貨物のほうは産業的なもろもろの必要があるし、国民生活上の必要もあるというのならば、旅客運賃だって国民の生活上の必要から配慮があってしかるべきじゃありませんか。取りやすいところは独立採算制で上げる、政策的に取らないほうがいいと政府の判断するところではこれは政策
事情を加味して取らない、これでは国民は納得しないですよ。いま大臣がおっしゃるように、上げるか上げないかをきめるなら上げないほうに賛成する。上げないほうに賛成するというのは、国民の理屈を抜きにして気持ちであるとすれば、その気持ちをどう政策的にバランスをとるかということが、これが行政でしょう。そうなってくれば投融資でも出資金でも利子補給でも、もし政府が金を出すという形をとれば、旅客運賃もそう上げ幅を大きくしなくても済むということに当然なる。ところがそれは出さない、出さないなら公平に荷物に対しても独立採算制を強行すべきです。それでも採算が合わないというなら国鉄の体質そのものに問題があるからそこで再検討すべきである、筋はそうでしょう。そこで取りやすいところから取るということになれば、これは一回ではとまらないでしょう。いま一対二対三・五というけれども、三・五ではとまらないと思う。繰り返して言いますけれども、取りやすいところの旅客運賃を上げる以外にないから、赤字が出ればまた旅客運賃を引き上げるということになって、それが繰り返されるわけです、十年の間に。いまでも一二八・六対一五二、一番低いところを押えてもそういう数字になっておる。ますますこれは消費者物価の上昇率よりも国鉄運賃がこれから先行するということになりますよ、上げ幅が。それは物価の安定にもならないということに私はなりかねないと思うのでございます。
そこで私は具体的に伺っていきます。昭和三十八年現在における国鉄運賃は次の基準でよろしゅうございますか。一キロから五キロまで十円、二十六キロから二十九キロまで八十円、四十八キロから五十キロまで百四十円、八十九キロから百一キロまで二百八十円、百九十七キロから二百キロまで五百五十円、二百九十九キロから三百三キロまで八百三十円、こういうことで三百キロまでは三キロごとに十円、三百キロ以上七キロごとに十円、普通定期の三十八年現在は一カ月で六キロ六百三十円、十キロ九百四十円、十三キロ千八十円、二十二キロ千三百十円、三十八キロ千五百八十円、大体こういう基準で間違いございませんか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) ただいまの数字はそのとおりでございます。
-
○
説明員(石田禮助君) 加瀬さんは貨物運賃のことばかり言いますが、貨物運賃をなぜ上げぬかというと、貨物運賃を上げると収入が減るんです。問題はそこですよ。それでこの貨物の運賃の原価、それから旅客の運賃の原価、これはなかなかむずかしい。旅客運賃にしても、とにかく東海道なんか非常に利用率の多いところは運賃安くすべきものだ、赤字線はうんと上げなければならぬということで、これはたらい回しになっておる。貨物と旅客の原価、どのくらいといってもわからぬ、実際、どんな知識をもってしてもわからない。それから結局われわれは、現在の貨物運賃というのを上げればこれは収入は減る、だからもう最高の限度だと、旅客のほうはまだ運賃を引き上げる余地がある。収入を得んがためにはやはり旅客運賃を上げざるを得ない、こういうことなんです。
さらに、そうして加瀬さんはさっき物価の問題と運賃の問題をお述べになりましたが、物価の問題は何も三十一年とか三十二年なんということを言わないで昭和十一年というものを土台にして考えるべきものじゃないか。そうすると昭和十一年を土台にして考えますと、四十二年度で卸売り物価というものは三百七十倍だ、消費者米価なんというものは四百八十四倍です。新聞なんか五百九十四倍。これに対して国鉄運賃は非常に安い。こういうやはり計算の基礎をひとつあれして、あなたの御議論に合うような基礎の議論ばかりしないで、もう少し広くやられたらどうか。
もう一つ加瀬さんに申し上げますが、国鉄の運賃を比較する場合に私はいつも比較に出すのは電電公社の電話料です。昭和十一年に比べますと、昭和二十九年度における電話料というものは二百三十三倍だ。国鉄の運賃というものは旅客で百十六倍ですよ。その後電電公社はあのとき上げたから運賃を上げるようには電話料を上げない。国鉄はその後三十二年、三十六年、四十一年に上げました。それで今度一割五分上げましても二百三十倍から二百四十倍だ。これから考えても国鉄運賃というものは非常に安いものじゃないかと思う。ということで、これはやはりものも見ようで、もう少し大きな視野に立って数字を見られたらどうかと私は思う。
-
○加瀬完君 先ほど
局長の御答弁のときに言いましたように、私も戦前の米価なり、国鉄なりの賃金体系というものは持っております。順序を追って順々にやります。総裁のおっしゃるような結論ばかりは、私がはじいていくと出ませんから、あとでやります。問題は、また蒸し返しになってしまいましたけれども、貨物運賃を据え置かないともうからないというなら、旅客運賃だって競争線のところで二倍の運賃をきめてもうかるはずがありましょうか。原価計算で一カ月の定期がかりに七千二百円になるというなら、私鉄の運賃だって原価計算で三千二百円ではやれないと
主張をすれば、これは私鉄の運賃の値上げというものも認めざるを得ない。そういう形になりますと、いま電電公社の話も出ましたが、電電公社は国鉄より高い、国鉄はもっと高くする、では今度は電報料金上げようということをやっていたら、一体公共料金を押えて物価を押えるという政府のいまの政策というものは初めから破綻を来たすわけです。だから国鉄運賃が高いか安いかということより、どうすれば物価が安定できるか。公共料金を押える以外にない。公共料金の一番影響を与えるのは国鉄運賃だということで、では国鉄運賃というものは十分にこれは考えなければならない。しかし国鉄運賃を上げないと国鉄の採算がとれないということになりますから、そこは国鉄、赤字を出してもいいという議論は私どもはしない。当然法律的にも政府の出資金はもっとあってしかるべきだから、政府の出資金というものをもっとバランスをとって、上げ幅というものをもっと押えていくという
方法をとらなければ、物価政策をやったって破綻を来たすんじゃないかということを申し上げておるわけでございます。
そこでさらに伺いますが、以下の区間において、新旧の運賃比較は次のとおりでよろしゅうございますか。札幌、青森、福井、名古屋、大阪、鹿児島、現行と改定の運賃は札幌が二千九百八十円が三千七百十円、青森が二千九十円が二千五百六十円、福井が千七百三十円が二千二百三十円、名古屋が千三百四十円が千五百六十円、大阪が千七百三十円が二千二百三十円、鹿児島が三千四百三十円が四千百十円、アップ率は二四・五、二四二二、二八・九、一六・四、二八・九、一九・八、いかがですか。
-
-
○加瀬完君 それでは次の区間の現行と改正の通勤定期の運賃、品川と蒲田九百円が千二百円に、品川と横浜二千四百三十円が二千六百四十円に、新宿と八王子三千七百円が四千二百円に、秋葉原と千葉三千七百円が四千二百円に、東京と四谷九百円が千二百円に、東京と新宿千五百円が千八百円に、東京と池袋千五百円が千八百円に、東京と渋谷千五百円が千八百円。アップ率は品川
——蒲田が三三、品川
——横浜が七、新宿
——八王子が一四、秋葉原
——千葉が一四、東京と四谷が三三、東京
——新宿が二〇、池袋、渋谷もそれぞれ二〇。七から三三%の上げ幅が出てくる。よろしゅうございますか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 品川
——横浜につきましては、先生がただいま二千四百三十円と申されましたが、二千四百八十円でございます。その他につきましては、アップ率について、品川
——横浜六・五でございます。その他三三・三%、この辺が、コンマ以下が違っております。
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○加瀬完君 そうすると、新旧運賃比較を見ると、基本運賃では、札幌は二四・五、青森二四・三、福井が二八・九、大阪が二八・九、鹿児島が一九・八。通勤では、ただいま申し上げましたとおり、七%から、正しく言うと六・何%から三三%の幅ができておる。どういう計算でこういう結果が出たことになりますか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 普通旅客運賃につきましては、御
承知のとおり、賃率につきましては、四円二十銭、これは一五%アップでございます。しかし遠距離につきましては、遠距離逓減制につきまして、現在四百キロを五百キロにしたということによりまして、いまおっしゃいました札幌その他の、名古屋を除きましては、遠距離逓減制の改正による影響でございます。それから定期につきましては、三三・三%と申しますのは、大体最低運賃のところでございまして、最低運賃のところにつきましては、それだけの差が出てまいります。これはアップ率としましては、五〇%上がっておりますので、定期といたしましてはこういうかっこうになるわけであります。それから逆に新宿とか荻窪、こういうようなところは今回改定をいたしておりません。これの原因は、区間制運賃というような新しい制度を取り入れましたので、こういう結果になるわけでございます。それぞれの理由は以上申し上げたとおりでございます。
-
○加瀬完君 三十八年にも改定があったわけですね。三十八年を押えて現行と比べますと、札幌では三十八年の運賃と現行ではアップ率が四八%、鹿児島が三二、青森が四五、福井が五一、名古屋が四六、大阪が四九と上がっておりますね。それから三十八年を基準に今度の改正を見ると、札幌八四、鹿児島が六八、青森が七八、福井が九二、名古屋が七〇、大阪が八九と、三十八年を押えますと上げ幅がこれだけの比率ということになります、アップ率が。一体これ、低いと言われますかね。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 先ほど先生が三十八年と申されましたが、三十八年には運賃改定いたしておりません。三十六年でございます。したがいまして、三十八年も三十六年の改定と同じ率でございますが、いろいろとその間におきましても遠距離逓減制の是正というような面を行なっておりますが、同じに急行料金等につきましては、逆に地帯制を避けまして、全体として最近のような旅行の形態が急行になっておりますので、運賃だけをとらえますとそういう結果になりますが、急行料金等を考えますとそれほど大きなものにはならないというふうに考えております。
-
○加瀬完君 通勤定期は三十八年に比べて大体どれくらい上がったことになりますか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 通勤の平均乗車キロは大体二十キロでございます。三十八年当時と比べますと、大体二・二倍から二・五倍でございます。
-
○加瀬完君 もう一度おっしゃってください。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 通勤定期の平均乗車キロ、これは大体二十キロが基準になっております。その時点をとらえますと、三十八年対いま御指摘のところは、二・五倍程度でございます。
-
○加瀬完君 二一五倍という上げ幅が一体適正だということは、総裁のおっしゃるように昭和十一年と比べてですか、それは。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) ただいま申しましたのは、三十八年と比較いたしましたが、昭和十一年と比較いたしますと、定期は二百六十三倍。
-
○加瀬完君 いやいや、それが妥当だというのはどういうわけだと言うのです。二・五倍が妥当だというのは、戦前と比べてのことなのか、どういうところを基準に押えて二・五倍が妥当だという線が出たのか、こういう
意味です。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 当時の定期の割引き率が七割ないし八割というような割引き率をいたしておりましたので、先ほど申しましたとおり四十一年あるいは四十二年に割引き率の公共負担率を是正を行ないましたのでそういう結果になったわけです。法律の幅よりはまだ低いというのが現状です。
-
○
理事(金丸冨夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕
-
-
○加瀬完君 先ほどから戦前に比べて運賃がまだ低いと言いますけれども、それでは戦前の運賃をひとつお示しくださいませんか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 戦前の運賃は一キロ一銭五厘六毛でございまして、それを定期で当時は三十七銭、一人一キロ当たりの運賃が三十七銭、それを四十二年に比較しますと、四十二年は八十七円四十銭一人一キロ当たりの収入になりますので、二百六十三倍、こういうことになります。
それから普通運賃につきましては、昭和十一年は一銭三厘一毛、これが四十二年におきましては三円四十三銭三厘一毛、したがいまして二百六十二倍ということになります。
-
○加瀬完君 いまの資料でいただきました、昭和十年と改定案との次の区間の普通旅客運賃、通勤定期運賃、これは一カ月、及び通学定期運賃一カ月、これを出していただいたのがございますが、東京
——横浜が昭和十年は四十二銭、改定案は百二十円、通勤定期は戦前が九円五銭、改定案が三千四百円、東京
——立川が六十銭、百六十円、十一円三十五銭、四千二百円、東京
——大宮が昭和十年は四十五銭、改定案が百四十円、定期が九円三十五銭、新しい改定が三千五百九十円、東京
——松戸が三十五銭、百円、七円五十五銭、二千六百四十円、東京
——千葉が六十四銭、百六十円、十二円三十五銭、四千三百六十円、通学は除きますと、以上のように確認してよろしゅうございますね。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) ただいまの資料によりますと、東京
——横浜四十二銭、それから東京
——大宮は、当時は特定運賃でございまして、大都市ではございませんでしたが、当時におきましては、都市交通というような観点から運賃を大幅に引き下げております。したがいまして、現在百二十円に対して二八五となっておりますが、スタンダードのは、東京
——立川あるいは東京
——松戸、この辺が大体スタンダードの比率でございます。
-
○加瀬完君 そうすると、戦前に比べて改正案が、普通運賃は大体どのくらいになりますか。通勤定期は一カ月で戦前の何倍程度になりますか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 先ほど四十二年の数字をお示しいたしましたが、定期につきましては三百八十四倍だと思います。それから普通の運賃につきましては二百八十七倍ということでございまして、普通につきましては、これは一人一キロ当たりの収入から計算いたしますとそうなりますが、定期につきましては、先ほど申しましたとおり、現在の割引き率を是正いたしましたので、当時の割引き率が通勤につきましては約六割でございます。それに対して今回が五割ということになりますので、こういうような倍率になるわけでございます。
-
○加瀬完君 普通の旅客のほうは東京−大宮はこれは別として、大体二百六十倍前後というところでしょう。あるいは二百七十倍前後というところでしょう。それから通勤定期のほうは三百四十九倍というところもあるわけですから、やっぱり三百六十倍前後だという押え方をしてよろしいんじゃないですか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) いま御指摘のように普通定期につきましては、大体二百五、六十倍、それから通勤定期につきましては三百五十倍から三百七十倍、通学につきましては百七十倍あるいは百五十倍というような線でありまして、これは割引き率を是正いたしておりませんので、こういう結果になるわけです。
-
○加瀬完君 通勤だけに限りますと、戦前と戦後で通勤定期券の割引き率はどういうことになりますか。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 戦前におきましては通勤が六〇%です。それから戦争中の十七年が六三・九%、それから逐次割引き率が上がってまいりまして、二十三年が七一・五%、三十二年が七三・五%、三十六年には七五・五%、今回の案が五三・一%でございます。
-
○加瀬完君 そうすると、戦前と比べて通勤定期の割引き率は今度の改正では低くなったということですね。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 当時の制度がいろいろと変わっておりまして、戦前におきましては、当時職工定期というのと、それから通勤定期、こう分かれておりましたので、職工定期と申しますのが当時非常に割引き率をいたしておりますので、それと比べますと、当時は法律で五割ということはございませんので、割引き率の点につきましてはいま御指摘のような結果にはなります。
-
○加瀬完君 そうすると、戦前から戦中にかけて、いわゆる社会政策という面は、通勤定期においてはいまよりも顕著に出ておった。逆を言うならば、今度の改正案は、通勤定期に対しての企業性というものを若干加味した、こういうことになりますね。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 戦後のインフレの状態におきましての見地と、今日におきます状態におきましては、法律の五割に近づけるということが妥当かと考えております。
-
○加瀬完君 十年、十一年ごろを押えてみると
——その途中は抜きましょう、そのころと最近の三、四年というものを比べてみると、社会政策的な要素というものが、定期券にどっちがよけい出ておったか、そうなりますと、戦前のほうが職工定期とかなんとかいう呼び名はあったにしても、社会政策的なものが出ておったんじゃないか。いまのほうが、定期券を、これは独立採算制から、もう少し五〇%に近づけるべきだということで、企業性というものがよけい加味されているんじゃないか、いわゆる社会政策的な対策というものが薄れてきたと考えてよろしいか。
-
○
説明員(石田禮助君) これはこういうふうにひとつお考え願わにゃならぬと思うのですよ。戦前と戦後、ことに最近における定期客と定期外の客との比較ですね。定期客というのは非常にふえた。現在は、定期客七〇に対して定期外は三〇ですよ。そうして収入は定期が一五に対して片っ方は八五だ。もっとも員数だけで考えるわけにいかぬ、人キロで考えなきゃいかぬのですが、人キロで言うと、定期客が四五ですよ。それに対して定期外が五五だということで、終戦後、通勤・通学の客の割合が、定期外の客の割合より非常に多くなっている。そこにこの割引き率を是正しなきゃならぬ、こういうふうになったわけです。ことに最近のように、都市の通勤・通学の客は非常にふえている。これに対して非常に大きな投資をせにゃならぬ。こういうことになると、国鉄としては、これまでのつまり割引き率をもってしてはいかんともすることができない。だからして、この再建推進
会議あたりでも、一体五〇%というこの基本のあれが、はたして適当なものであるかどうか、こういうこともひとつ検討したらいいだろう、こういうことで、それにはつまり通勤にしても通学にしても、五〇%まではできるだけ早い
機会に持っていけ、そこでさらに五〇%から幾ら下げるということを考えなきゃいかぬのじゃないか、こういうことを言っているわけです。
-
○
説明員(長瀬恒雄君) 先ほどのお話の通勤につきましては、最近のような、いまお話しのとおりでございますが、さらに会社負担というような点が九〇何%も会社負担になっております。ところが通学のほうにつきましては、これはむしろ戦前よりも割引き率を高くいたしております。
-
○加瀬完君 経済企画庁に伺いますが、通勤パスは会社負担だから若干上げてもよろしいではないか、こういう考え方は、物価政策上、企画庁としては御賛成なんですか。
-
○
政府委員(岩尾一君) 今回の運賃値上げの際に、いま申しましたような通勤定期につきましては、これは会社負担が多いから、消費者のほうの国民生活自体に響く面は少ないんではなかろうかという
意味合いでは賛成でございます。
-
○加瀬完君 消費生活ではない、物価対策から考えて、会社はただ払うわけじゃないでしょうね。今度は製品なりあるいは経費なりのコストへそれを加味するでしょう。そうなってくると、間接的ではあっても、それがやはり物価をつり上げる一つの要素にもなりかねませんね。そういう点はどう配慮されたのか。
-
○
政府委員(岩尾一君) 確かに先生おっしゃる面もあるかと思いますが、物価に及ぼす影響というのは非常に間接的であろうと考えましたから、むしろ国民生活のほうを重視をいたしたわけでございます。
-
○加瀬完君 国民生活を重視するならば、定期を上げないことも考えることがいいでしょう。定期は上げますけれども会社が払うからそれは国民生活に響きませんという回答はおかしいじゃないですか。
-
○
政府委員(岩尾一君) それはもちろんおっしゃるように上げないにこしたことはないのでありまして、上げるからには、ということで賛成をしたわけでございます。
-
○加瀬完君 企画庁は初め上げないということをおっしゃっておったのですよ。本年度の予算編成の際、国鉄運賃は国鉄財政再建のあり方に問題があり、それを確立するのが先決で、少なくも来年は値上げを見送る。その他公共料金値上げを認めない。米価は、四十三年度生産者米価は引き下げ、消費者米価は据え置き。大都市通勤・通学輸送のための投資は都市政策により対処すべき面があり、国鉄の投資負担に依存することは問題がある。国鉄のいまの投資態度を
前提とした運賃引き上げは適当でない。国鉄財政は千二百億円の赤字というが、償却前六百億円の黒字であり、運賃値上げをしなくても国鉄財政が破綻することはない、このため資金繰りの改善、財政投融資の追加など行ない、投資規模を圧縮すれば値上げをしなくても済む。四十三年の十二月二十六日の記者会見で、経企庁の長官はこう述べておられるわけですよ。これはお認めになりますか、お述べになったことは。私が申し上げているのじゃない、こういうことを経済企画庁の長官がおっしゃっているのだけれども、これは内容をお認めになりますか。
-
○
政府委員(岩尾一君) それは長官ではございませんで、私が記者会見で申し上げたことでございまして、そのとおりでございます。
-
○加瀬完君 それはなおけっこうです、おっしゃった方がいらっしゃれば。それでは、これは大体私がいままで述べてきたことをもっと端的におっしゃっていることなんですね。いいですか。国鉄運賃は国鉄財政再建のあり方に問題があり、それを確立するのが先決で、少なくも来年は値上げを見送ると、そこで国鉄財政再建のあり方のどういうところに問題がありと企画庁はお考えにおなりになりましたか。
-
○
政府委員(岩尾一君) 先ほども申されたとおり、私が言ったわけでございますけれども、その中で企画庁といたしましては、現在の輸送革命が行なわれている状況について、漫然と運賃の値上げだけで国鉄財政を救おうというのでは、これは国鉄は再建できないということを考えまして、米と国鉄運賃は押えたいと申しましたのは、消費者物価に占めるウエートが高いから、これを押えようというのではございません。これは波及効果が非常に大きいからということでございます。米は大体配給米で一万分の四百九十くらいでございますか、それから国鉄が百三十でございますか、非常に小さいウエートでございます。しかしまあ片方で米が上がりあるいは国鉄運賃が上がれば、一般的に物価の騰貴感というものを惹起いたしますので、そうして全体の消費者物価というものを上げていくだろう、こういうことで、そういう
意味合いから先ほどおっしゃいましたような
意味で米と運賃は押えたい、こう考えたわけでございます。ただその場合に、先ほど先生のおっしゃったようにそれでは国鉄はほうっておくのか、このままの赤字でいいのかということに対しましては、私どもは現在の進行しておる輸送革命に対処できるような投資態度、総裁が申されたように貨物は運賃を上げても実収はふえないという、こういう状況にあるのです。そういう態勢を直して、ほんとに国鉄が生きていけるような投資態度をとってもらいたい。赤字につきましては、これは先ほど来いろいろ議論がありましたように、赤字赤字と言っておりますのは、所要の減価償却をやった上での赤字が幾らであるということを言っておるわけであります。そこで、私が申し上げておりますように、もしそれをやらないで、償却前の赤字、普通株式会社等では償却前の赤字で言っておりますから、そういう
意味合いで申しますと、七百億ですか、六百億かの黒字になっているわけであります。したがって、そうすれば、いま国鉄が一番必要なのは利子がかからない金で新しい体質改善をやっていく、投資をしていくということが必要なわけです。この点は先生の御議論と違いますが、私は一般会計、税金から出資をするべきではなくて、将来の利用者のために利子のかからない金を国鉄に出して、そして新しい投資態度で、国鉄は輸送革命に対処できるような体質にかえていくということが必要だと、かように考える次第でございます。
-
○加瀬完君 利子のかからない金を一般会計からでなく出すというと、経済企画庁としては、素案としてどういう
方法があるとお考えになりましたか。
-
○
政府委員(岩尾一君) これは財政再建推進
会議からの答申にもございますが、利子のたな上げということを言っております。それから財政投融資全体といたしましても、先ほど来御議論のありましたある限度以上の利子補給でございますとか、あるいは現在やっております孫利子のやり方とか、いろんな
関係があると思うんですが、要は出資ではなくて、そういった投資が必要なのではないかということでございます。
-
○加瀬完君 大蔵省に伺いますが、いま経済企画庁のお考えになるようなことならば、大蔵省は賛成しますか。
-
○
政府委員(
海堀洋平君) 一応財政再建推進
会議から答申がございまして、先ほど申し上げましたように、政府の管掌にかかわる借り入れ金六千三百四十一億円の利子の四百八億円を、推進
会議の建議は、それを一般会計が十年間毎年、少しずつ違いますが、初年度は四百八億円ですが、これを十年間入れまして、後にそれを十一年目から返済するというふうなことでございましたので、一般会計から四百八億円ということは、現在の財政需要から見ますと、非常に急にそれだけのところに支出をふやすということはなかなかむずかしい状態にございましたので、その四百八億円を実質的に無利子であるように措置をとる。すなわち運用部から財政投融資へ出す金のうちで、四百八億円のみにつきましては貸し付け条件を変えまして、十年据え置きの後、二十年償還という形にしまして、そしてその四百八億円の十年間据え置かれている期間につきましては、全額一般会計で利子補給をしようという形をとったわけでございます。その点では、したがって、実質的にはその建議は入れているような形になっていると存じます、その部門につきましては。
-
○加瀬完君 少なくも来年は、四十四年度は国鉄運賃値上げを見送ると、その他公共料金の値上げは認めないと、こういう方針はどういう理由ですか。そして、それがまた実現できなかったことに対しては御所見はいかがですか。
-
○
政府委員(岩尾一君) ただいまの私の答弁とダブるかもわかりませんが、来年公共料金を全部据え置きたいということを申しましたのは、現在の物価情勢から見まして、できるだけ消費者物価というものを押えたいと、その場合に、ウエートとしては非常に小さいけれども、波及効果、米は主導型といわれておりますが、主導されてほかのものが上がっていくということを避けるために、米と国鉄運賃は上げないというふうに考えておったのでございます。その後、いま申しましたように、国鉄に対する現在の輸送革命に対処できるような投資態度を国鉄がとっていただくことを条件といたしまして、いろいろと予算折衝をやったわけでございますが、国鉄御当局のほうも、現在
国会に提案されておりますような国鉄再建措置法によりまして、計画を立てて、この輸送革命の中で交通全体に占める国鉄の地位というものをどういうふうにしたらいいかということを検討しながら進んでいこうということをお約束になりますし、それから先ほど御意見のありました公正妥当な原価という
意味でのできるだけ近代化、合理化もはかろうということもおっしゃいますし、さらに再建推進
会議で申しておりましたような、国のほうで、いま大蔵省で申しましたように、ほとんど再建推進
会議の
意思と同じような
意味での孫利子の措置をとって無利子の貸し付けをやっていただきまして、私どもといたしましては、これだけの条件がそろえば、現在
国会に提案されております措置法を一つの担保といたしまして、国鉄の再建ができるであろうということで、利用者の方には非常に申しわけないと思いますけれども、この程度の運賃値上げであればけっこうであると了承した次第でございます。
-
○加瀬完君 おっしゃるように、消費者物価を押えますのは米と運賃だ、こういうことで、基本的態度は御
説明のとおりであろうと、私ども受け取るわけです。ところが運賃が上がるわけです。米は一応おきまして、運賃が上がるわけです。国鉄運賃を上げて、あなたいらっしゃらないとき質疑応答があったわけですけれども、競争線は大体国鉄のほうが高いのです。競争線のほうが安いのです、私鉄のほうが。そうすると、私鉄のほうで、国鉄さんは独立採算制で原価計算をすると幾ら幾らになりますと、それなら同様に私どもその基準で計算しますと、この運賃は安過ぎるから上げてくださいと言ったとき、これを押えられますか。押える理由が成り立ちますか。もう一度申し上げますと、たとえば一つの区間で、私鉄なら一カ月の定期が三千三百円、国鉄なら七千二百円という計算が出たとします。どうして七千二百円という計算が出るのですかと言ったら、原価計算をしていくと七千二百円と出ますと、こういう御
説明があるわけです。私鉄のほうでも、私のほうでも原価計算をすると三千三百円ではやれませんから、これを五千円に上げてくれ、こういう要求があったときに、おまえのほうは上げない、国鉄は上げるのはしかたがないという押え方が経済企画庁としてできますか、具体的に。国鉄運賃を認めるということは、少なくとも私鉄の運賃は右へならえで上がることを認めざるを得ないという結果になりませんか、この点は、どういう検討をなさっておりますか。
-
○
政府委員(岩尾一君) この点、ただいま御
質問の点は、先ほど申し上げましたように国鉄の運賃は認めますけれども、その他の公共料金については、これを極力抑制するということを政府として決心をしているのは、そういった
意味でも、私鉄の運賃は上げない、上げたくないという気持ちでございます。その理由は、これは先般
質問に御答弁申し上げたことでございますけれども、先ほど来議論のありましたように、運賃法のたてまえで運賃を考えてみますると、国鉄は貨物という非常にもうからないものをかかえて、そしてしかも、全国全体をカバーしていくという線を保持していくための原価というものを計算していまの運賃を出しているわけです。同じようなことを今度私鉄について考えてみますと、私鉄はもうからない貨物等は早々に撤退をしております。それから同じいま競合しておる路線について、国鉄の営業係数を見てみますると、大体六〇ぐらい。ということは、同じように競合しております線、場所においては、国鉄ももうけておる。そういうところは、大体利用的に見ても競合しておるところでございます。したがって、もし先生のおっしゃるように国鉄が上がったから、私鉄も上げるということをいたしますと、非常な超過利潤が私鉄に入ってくるということに相なると思います。私らはそういうことはすべきではない。運賃法のたてまえは、やはり私鉄は押えるべきであるということで押えていきたいと思います。
-
○加瀬完君 あなたの願望はよくわかりますが、そういうことができますか。ちょっと申し上げてみましょうか、品川と横浜で国鉄は普通旅客運賃は百円ですね、一カ月の通勤定期は二千六百四十円。京浜急行ですと、普通旅客運賃は八十円、定期は千六百三十円。品川と川崎は、国鉄は運賃が六十円で、定期が千八百円。京浜急行ですと、運賃が五十円で定期が千百四十円ですよ。上野と市川は、国鉄は八十円の二千四百円。京成ですと七十円の千四百七十円です。上野
——千葉は普通運賃は百六十円の定期は四千三百六十円。京成ですと、運賃が百六十円で定期が二千二十円ですよ。大体私鉄の定期というのは国鉄より高かったのですね。それがこんなに安いのです。そうすれば人情のおもむくところ、同じ地域から地域へ通うなら、これは安いほうにいきますね。そうすると、非常な混雑を来たすということにもなります。事故も発生しかねないという状態になる。何とか会社が正常な経営をするためには、運賃を国鉄に準じて上げるほかしかたがない。経営者に聞いてみると、そういうことをおっしゃる。それはそうでしょう。片一方、二千六百四十円かかるところを、片一方が千六百三十円で採算が合う。それは合うかもしれませんよ。しかし競争線ですからね。利ざやをかせぐためには少し安いほうがいいかもしれませんけれども、こんなに差をつけなくてもいいということに、これはそれこそ純然たる企業体ですから、運賃値上げというものを要求せざるを得なくなりますよ。何カ月運賃値上げを私鉄にさせないということなんですか、何カ月これは持つのですか、経済企画庁が政治力をもってしても、こういう不合理をつかれれば
説明のしようがないじゃございませんか。そこのところを、あなたが先ほどおっしゃったように、国鉄は赤字線を持っているし、貨物なんかも持っていて損をするから、少したくさん人の乗るところは高くもいい。私鉄は損するところをやらないことで、初めからもうけ主義になっているから、安くなければ困るということはお役所の
説明としては自由です。
〔
理事金丸冨夫君退席、
委員長着席〕
しかし、経営者がそんなことを聞きますか。押える根拠にはならないでしょうね、そんなことじゃ。国鉄の運賃を上げるからには当然少なくも私鉄運賃は上がります。先ほどおっしゃったように、米価を押えて運賃を上げないということは
——国鉄運賃を上げれば少なくも私鉄運賃の上がるという連鎖反応を起こさざるを得ない。ですから、これはきょう
官房長に
お答えをしろと言っても無理ですから、大臣にひとつお話しをしていただいて、大臣としての御態度をあとで伺います。
これは運輸大臣、閣議でもこういうことは問題になったでしょうけれども、国鉄は上げます、競争線は二分の一の料金だけでも上げませんということができるというお
話し合いですか。どういうようにおやりになるか、やり方もひとつ御
説明をいただきます。
-
○国務大臣(原田憲君) 運賃というものは未来永却変わらざるものではございません。したがって、国鉄運賃も十年間に三べん上がるんじゃないかというお話が出ておるわけでございます。これに対しまして、私はあくまでこれは試算でございまして、もちろん上がらぬということは申し上げませんというように
お答えをいたしておるのであります。私鉄も未来永却上がらぬか、そういうことは言えません。しかし、今度の運賃をきめます際に、まず、ただいま経済企画庁の
官房長が言いましたような経緯をとりまして、この四十四年度予算編成の方針の中において、物価問題というものを非常に重視いたしまして、何べんも
お答えするようでございますが、四十三年度予算編成当時には、総合予算主義をとっていかなければ、四十四年の三月、いまごろになってもまだ国際収支は黒字になることはないであろうというようなことで、非常に財政硬直のおりから、こういう姿勢でいこうというのが四十三年であったということは、もう御
承知のとおりでございます。私どもが今日の四十四年度予算の編成に当たりました際に、そのことは変わりました。国際収支は好転をしておる。経済の状態も七期連続黒字基調である。こういうことで一番望ましいことは安定的な成長である。その場合に、物価という問題が一番懸念される、こういうことから、この物価問題については、公共料金はこれを抑制するという姿勢をとったことも御存じのとおりであります。したがって、いまお願いしております運賃
関係を除きましては、米も上げない方針であるし、塩も上げない、あるいは郵便料金も上げないということを具体的に政府は
説明をいたしておるのであります。しかしながら、この国鉄の問題については、昨年予算の
会議が終わった直後において、まだ
国会開会中であったと私は
記憶いたすのでありますが、そのとき運賃を、すべてではございませんが、定期運賃というものを改正をいたしております。しかし、これは公共負担というものの是正であって、それだけではベースアップにも足りない、こういう状態で、ほんとうの根本的な国鉄再建ということを考えなければならないという点から、一年がかりで考え出されてきた国鉄の再建案というものが出てきたわけであります。この国鉄というものが、もしかりに、これはいま財政論をやっておりますが、財政論から具体的な影響が経済に及んできたときには、物価問題と現実の問題とどう関連してくるのかという重大な要素を含んでおりますがゆえに、この国鉄だけは、財政再建推進
会議が言っている三つの
方法をもって、まことに残念ではございますけれども、上げないで済んだら、何べんも言うようでございますけれども、それにこしたことはございませんでしょうが、これだけはひとつごしんぼうを賜わりたい、御協力を賜わりたいというのが、今度の国鉄運賃値上げの根拠になっているわけでございます。したがって、その際に、いま加瀬さんの言われたようなことは、運輸大臣といたしましては、私が就任いたしまして、この
運輸委員会でも、一体どうするのだという
質問は何べんも何べんも私に対してなされたわけであります。今日、数え切れないくらいこの私鉄運賃の問題が、国鉄の運賃の問題とからんでどうするのか、私はバランスをとることが必要であろうと考えるという答弁をいたしてまいったのであります。これはすべて世の中というものは、バランスをとるということによって安定的な成長をするのであります。バランスを失った場合には、それは必ず効果があらわれてこない、悪影響があらわれてくるということになると思います。したがって、いまの私鉄と国鉄の運賃問題について、私鉄運賃との差ができてくるじゃないか、このバランスをどうするか、これも御
質問にあったわけであります。しかし、このことに関しましては、現在もうすでに、昨年国鉄の定期運賃改正をやりましてバランスを失しておるのであります。しかしながら、現実の問題として、その影響というものがあらわれなかった。現在でもそういう、いま、加瀬さんの言われておることは行なわれておるのです。しかるになぜ、それでは高いほうから安いほうにいかないのか、お客さんが、という問題がまたここにあるわけでございます。これらの問題を考えまして、そしていまの国鉄の経営状態というものと私鉄の経営状態というものとを勘案して、この私鉄の運賃問題には対処しなければならない。特に、物価の問題も勘案しなければならない。こういう立場に立って慎重に検討しておる、こういうことを今日まで
お答えを申し上げておるのであります。したがって、私は運輸大臣といたしまして、なお今日もその態度を持っております。たしか木村さんか、
森中さんから、予算
委員会の際に御
質問があったときに、そんなことを言わぬで、上げるのか上げないのかはっきりせいということが関連
質問で出てきまして、私は、現在白紙でございますと言って、笑われたりおこられたりしたのですが、白か黒かという御
質問に対しましては、やはり私はいま白紙であるということを言わざるを得なかった。それでは上げるというのかと言われますから、そのときにどなたでありましたか、抑制というところにウエートを置いているのであろう、こういう御
質問がありましたから、そのとおりでございます、それは抑制という点にウエートを置いておるのでございます、こういうことを申し上げておるのでございまして、私はこの問題に対しては、そういう態度で今日も臨んでおるということは申し上げておきたいと思います。
-
○加瀬完君 閣僚であっても、
経済企画庁長官とそれから運輸大臣の御見解は違うのです。その
前提で一つ念を押しておきたいのは、去年も格差があったが上がらないで済んだから、ことしもそうなるであろうという期待感は、私は少し誤算があると思う。一年がまんしてまた大幅に差ができてきたのですから、それでも上げなくて済ませる理由ということが私鉄側からすればないわけです。状況が変わってきている。抑制するというのはわかる、抑制するけれども、抑制はもう上げないということじゃないのですから、適当なところで上げざるを得ないという結論にこれはなりそうです。ところが、
経済企画庁長官は絶対に上げないと言う。そこでこの次においでになるときに、閣内の統一意見としてはあくまでも押えるのか、それともいま大臣の御
説明のように、なるべく抑制をして上げないように努力をするということなのか、この点を明らかにしていただきたいと思う。
それから
経済企画庁長官、きょう所用でお見えになりませんので、私は
質問をあとに残しますが、この点は、おいでになったときに御回答くださいますように
官房長に連絡をお願いする。大都市通勤輸送のための都市政策に、より対処すべき面があり、国鉄の投資負担に依存することは問題がある。国鉄のいまの投資態度を
前提とした運賃引き上げは適当でない。こういう御見解について、そのとおりなのかどうなのか。次に、国鉄財政は千二百億円の赤字というが、償却前六百億円の黒字である。運賃値上げをしなくても国鉄財政が破綻をすることはない。このため資金繰りの改善、財政投融資の追加など行ない、投資規模を圧縮すれば値上げをしなくても済む、こういう国鉄財政について御発言があるわけですが、この点は、大臣いまでもお変わりがないのか、あるいは変化があったのか、それではただいまのこの問題に対する御見解はどういうことなのか、大臣から
お答えをいただきますように、ひとつ
委員長にも御配慮をいただきたい。約束の時間がきましたから、一応私の
質問は後日に残します。
-
○
森中守義君 ちょっと国鉄に。
井上常
務理事おられますね。あなたの担当だと思うのですが、国労並びに動労から、賃金アップの要求が出た。回答を不満として公労委に調停申請が行なわれましたね。そこでそろそろ
事情聴取を始めると思う。おそらくきょうぐらいから始まっているかもわからない。それでこの段階において、すでに国鉄では
事情聴取に応ずる
意思をおきめになっているかどうか、当然応じなくちゃいかぬけれども、要するに、どういう内容でこの問題に対処されようとするのか、なかなか
——これこそ波及効果が大きいから、あまり内容に触れなくても、国鉄がその
意思をきめているかどうかか、ちょっとそれだけ聞かせておいてもらいたい。
-
○
説明員(井上邦之君) 公労委の
事情聴取は、たしかすでに一回行なわれておりますが、それは単に当局と、それから組合側の
主張を、公労委が聞いた段階です。まだそれに対して、当局がどう考えるかという第二回の
事情聴取は行なわれていないと、私は思います。で、それに対しまして、国鉄当局はどう考えておるかというお尋ねでございますけれども、これはまあ何ぶんにも重大問題でございますから、私一人の一存で申し上げるわけにもまいりませんけれども、まあ過去の例に徴して考えますれば、やはり国鉄職員といえども、いまの経営状態が非常に悪いことは事実でありますが、経営状態が悪いから、ほかの公社よりもペースアップの率が低くていいということは私は言えないと思います。したがって、ほかの公社並みのアップ率はお考えいただきたいという
主張は出さなければならぬと思っております。しかしながら、一方において国鉄の財政状態は、前々から御
審議願っておるように、非常にまあ苦しい状態でありますので、その間の
事情もお考え合わせいただいて、アップ率は国鉄財政能力、支払い能力に見合う程度のものをひとつお考えいただかなければならぬという
主張はやはりいたさなければならぬ、かように存じております。
-
○
委員長(
岡本悟君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
速記とめて。
〔速記中止〕
-
○
委員長(
岡本悟君) 速記つけて。
本日の午後の
委員会の再開の劈頭、
田代委員から
議事進行につきまして私に対し御
質問がありました件について
お答えを申し上げます。
第一点は、昨日の
連合審査に関する件でありますが、その
前提として、
運輸委員会をはじめ
関係委員会の
開催について
職権で
公報に掲載したと、
委員長は真に
連合審査を
開会する意図があったのか、これについては先ほど御答弁申し上げたとおりでありますが、ところが
委員長はそう言うけれども、
関係委員会は、これに対応する
関係委員会は、たとえば
委員長とかあるいは
理事とか、第一
開会の
準備に対する熱意は全くないと見るほかない、厳重にひとつ
委員長から
関係委員長に対し注意してもらいたい、こういうことがございましたので、先刻申し上げましたように、午後二時半から
関係委員長との
打ち合わせ会を
開催しましたときに、実は松澤
産業公害交通特別
委員長代理がなかなかお見えになりませんので、これはほかの
委員長さん方は
委員会の途中で見えておりましたので、それであまりお待たせするのもお気の毒と思いましたが、しかし三
委員長は見えておりましたので、
田代先生の御質疑につきまして、私から特に三
委員長には厳重な注意方を
申し入れておきまして、了承をいただきました。その後さらに休憩いたしておりましたところ、五時半から、また
関係委員長会議を再開することができましたので、松澤
委員長代理もおられる席上で、さらにこのことを確認をいたしておきました次第でございます。
それからもう一つは、
連合審査会の
日取りでございますが、いま申し上げましたような
経過で、
関係四
委員長並びに代理の方もおられましたが、
打ち合わせをいたしたのでございまするけれども、昼の休みの段階では、そういうふうになかなか一致いたしませんで、もう一度それじゃ持ち帰って二時半から
打ち合わせしょうということになりました。これもなかなか開けませんで、いろいろ難渋しておりましたが、先刻五時半からやりました
関係委員長の
打ち合わせでは、
産業公害交通特別委員会としては、どうしても例の通行税法の改正
法案がこっちにきてから、その以後の日にやりたいという立場を固執されまして、折り合いがつきませんでした。それで三
委員長とは、明日本
会議終了後、あるいは本
会議がどういうふうになりますか、私の聞いております範囲では、午前に漁業白書の件について本
会議にかけまして、それから午後一時からは
衆議院の本
会議で緊急
質問があります。それから午後四時から六時まで本院の本
会議が開かれるようでございますが、そういう状態の中で、できるだけひとつ時間を見出して
連合審査会を開こうということに決しまして、あすの
連合審査会は、まず十時五十分に連合
理事会、それから十一時から
連合審査会を
開会するという段取りにいたしまして、そうして詳細はあすの連合
理事会で
打ち合わせする。つまり、
質問時間をどのくらいにして
質問の順序をどうするとか、そういうこまかいことを
打ち合わせたいと思っております。なお
産業公害交通特別委員会につきましては、したがって、またその後におきまして別途やることについて、日時をまた
委員長同士で
打ち合わせしなければなりません。それがペンディングとして残っております。
それからもう一つは、あした本
会議が、いま申し上げましたように
衆議院、
参議院——本院ありますので、その間を縫って
連合審査を進めていきますから、あるいは客観的に見まして、時間が十分でないということはあるかもしれません。そこでそういう場合には、また
関係委員長ともよく相談しまして、別途また
打ち合わせしたい、かように考えております。
以上、御報告申し上げます。
-
○
森中守義君 だいぶ御苦労いただいて感謝します。最後に言われたあしたの日程ですがね、これは十一時から
開催をする。自後、本
会議等の様子を見て行なわれる、こういうことになりますね。実際問題として長くて一時間半、へたをすると一時間ぐらいに制限されるおそれがあるというふうに思うのですね。そこで
関係委員会からの問いたいという
質問者の数も相当あるようです。そうなれば、もしかりに一時間半であった場合に、最大限フルに
質問が展開されても二名、あるいは一時間の場合は一名、要するに二名以上は出ないだろう、こういうことが予見されるわけです。そうしますと、せっかくここまで
関係の
委員会のほうで運輸と
連合審査をしたいという先方からの
申し出もあるし、そうなれば全員の
質問が終了しない段階で、つまり明日中にすべて
連合審査は終局することは困難になるであろう。ですから、その時点で、あとでまたほかの
委員長あるいは
理事との協議に入るということは、明日終わらない場合には、その後において行なう、こういうことを
意味していると解釈していいわけですね。
-
-
○
森中守義君 いやいや、それはこういうことですか、あした参加しないということは、あとにおいてならば参加するというふうに解していいわけですね。
-
-
○
森中守義君 そのことと、明日参加をされる各
委員会の
質問も終了しないであろうということが予見をされるので、あらためて次にいつやるかということは協議されるのか、あした一日で終わらないということですか。
-
○
委員長(
岡本悟君) ちょっと速記をとめて。
〔午後六時五十七分速記中止〕
〔午後七時十分速記開始〕
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