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1969-04-17 第61回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十七日(木曜日)    午後零時四十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 瀬谷 英行君     委 員                 河野 謙三君                 佐田 一郎君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 山崎 五郎君                 渡辺一太郎君                 上田  哲君                 加瀬  完君                 木村美智男君                 森中 守義君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    国務大臣        運 輸 大 臣  原田  憲君    政府委員        経済企画庁長官        官房長      岩尾  一君        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        大蔵政務次官   沢田 一精君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        運輸政務次官   村山 達雄君        運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案を便宜一括して議題といたします。  田代君から議事進行について発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  3. 田代富士男

    田代富士男君 私は、ただいま議題になっております国鉄運賃値上げ法案にかんがみまして、当委員会が、四月七日本会議におきまして趣旨説明があり、翌四月八日第一回の委員会が行なわれてまいりました。そのときにおきましても、私はだれよりもこの委員会議事運営につきまして誠意を示し、まあ今日までも努力してまいった次第でございます。そのようにしてこの委員会慎重審議を重ね、そうして衆議院におけるようなあのような結果にならないように、国民大衆皆さんたちに対しても納得できるような、そういうことをば委員会を通じてやりたいと念願してまいったわけなんです。その委員会経過におきましても、熱心に当委員会において今日まで審議されてまいりました。また、現地調査におきましても、千葉県の木原線、先日は通勤状況はどうであるか、大宮まで現地調査に行ってまいりました。連日そのような審議を繰り返してまいりました。あと連合審査をどうするか、大所高所から検討すべきである、そのように熱心に当委員会において検討されてまいりました。ところがこれは十六日の新聞でございますが、「自民党は十五日の役員会参院自民党役員会などで、この問題を協議したが 1国鉄運賃法改正案参院会議上程は二十五日とする 2関連法案通行税法改正案も、これに合わせて成立させる 3ただし国鉄運賃値上げ実施は五月一日とする」、このように十五日の役員会参議院自民党役員会におきまして決定されたということが新聞に出されております。当委員会におきましては、岡本委員長中心といたしまして、理事皆さんがこの委員会運営については検討していらっしゃいます。われわれも忠実にその促進をやってまいりました。にもかかわらず、このように自民党が十五日の役員会、それと参議院自民党役員会でこのような決定がなされたということは事実であるのか、あるいは役員会をやらなかったのか、あるいはこのようなことはどこから出てきたのか、この点につきまして、まず、委員長から説明を願いたいと思います。
  4. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 田代委員お答えいたします。委員長といたしましては、ただいま申されましたことについては一切存じておりません。なお、念のため参議院自由民主党幹事長田中さんに確かめましたところ、自分も知らない、こう申しております。
  5. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、この委員会責任者である岡本委員長も知らないし、自民党幹事長である田中茂穂幹事長も知らない。知らない、知らないと言う。しかし、これだけの記事が、十五日の役員会できまったと出ておるのですよ。知らない、知らないで済まされますか。これだけの大きなことですよ。私が何でこれだけおこるかということは、委員長も御承知のとおり、四月八日の一番最初初日におきまして、議事運営におきまして、当委員会初日であるにもかかわらず開かれなかったときに、私は自民党堀本国対委員長にも、社会党国対委員長にも走り込んで、だれよりも第一に私はこの進行をやった私です。一番熱心に来た私です。だれよりも熱心にこの問題に取り組んでおります。しかし、これは二流、三流の新聞と違います。それにこれだけはっきり出ているのに役員も知らない、委員長も知らない、そんな無責任なあれがありますか。岡本委員長が知らないと申されるのなら私は聞きます。四月八日、この委員会審議される段階においてどうなるか、久保提案の問題で審議が停とんした時点におきまして、これは国対にあげるべきだ、そのような結論が出て、私は堀本自民党国対委員長に会いました。そのときに、これだけ国対にあげて審議しようということになっていますから、この問題は審議促進の上からやろうじゃないですかと、このように持ちかけました。堀本国対委員長は、今回の運賃問題については運輸理事に全部まかしてあります。運輸委員会に全部まかしてありますから、そういう堀木委員長の話で、そうですか、それならば久保提案の問題も運輸理事会で検討してもらいましょう、そのように終始一貫して岡本委員長中心とした皆さん方の、理事皆さん方のその趣旨に沿ってきました。そのあと国対にあげるといっていた久保提案の問題にしましても、あげたかあげないかというものも、こちらで委員長に請求したわけでもございません。皆さんたちを信頼してきました。少なくともこれだけのスケジュールが発表されております。委員長も知らないし、役員会も知らない。そんな無責任なことがありますか。久保提案の問題につきましても、国対にあげろと言っていたものを、運輸理事にまかしているということで、あげずに今日までまかしてきているのです。その問題について知らないじゃなくて、ただ単に私は知りませんじゃなくして、これだけ出た以上は、委員長としてもこの問題に対してどうすべきかということ、知らないという一辺倒で終わるか、それとも自民党役員会が開かれたというのですから、ひとつ相談してくるようなことはないのですか。確認したのですか、自民党役員に。委員長どうなんですか。
  6. 岡本悟

    委員長岡本悟君) お答え申し上げます。同じような答弁になりますけれども、私としては一切存じておりません。なお念のために、先ほども申し上げましたように、田中幹事長に確かめましたところ、御本人も知らない、こういう御返事でございました。
  7. 田代富士男

    田代富士男君 御本人も知らない。しかしこれだけのスケジュールが出ていますよ。これだけのスケジュールが出て、はっきりと、自民党は十五日の役員会参議院自民党役員会などではっきり出ているのを知らないのです。ましてこれは十六日の新聞です。この十七日の新聞を見ますと、きょうの新聞には、磯崎氏が国鉄総裁に確定的という見出しで出ております。この中にもそのように「国鉄運賃法改正案国鉄再建法案が今月下旬には参院可決成立、五月一日から値上げ施行見通しとなったこともあって、早ければ五月の連休明けにも正式に辞任したい意向である。」、石田さんがおやめになることをいっている。一つの新聞でなくして、十六日、十七日の新聞を通じましてこれだけのことが出ているのに、ただ単に知らないということを言えますか。これ知らないものは知らないと言いますが、これだけ国鉄の運賃問題が大事になっている、その国鉄総裁が、後任問題の人事についても五月の上旬にはこれは決定する、見通しが立ったら人事も交代する、ここまで新聞にもはっきり出ておるにもかかわらず、知らない。知らない知らないで通れますか。私は、第一日の初日において審議促進を唱えてきた私ですよ。その私が、審議促進したいために、こういうことがあれば——連合審査の日程もきまらない先にこういう二十五日に本会議成立なんかあり得ますか。どうなんですか、委員長
  8. 岡本悟

    委員長岡本悟君) たいへん恐縮でございますが、もう相変わらず同じ答弁になりまして申しわけないと思いますけれども、委員長としては一切存じておりません。
  9. 田代富士男

    田代富士男君 存じてない。これだけのものが出ていますよ、これだけのものが、役員会でちゃんとやった。まして、堀本委員長議運理事皆さんにまかせたというのですよ。なればこそ、久保提案の問題も国対で問題にせずに今日まできているのじゃないですか。それで、知らないと言う、存じませんと言う。そんなばかげたことがありますか。これを国民の一人の人が十六日の新聞を読み、十七日の新聞を読んだ人が、こういうことが自民党役員会でなされたか、なされなかったか、知りませんということを聞いて納得しますか。知らないと、あったのかないのか、知らないのと、これは大いに違いますよ。役員会でやったのか。知りません、知りませんと。何が知らないのか。知らない本件を言ってください。知らないという本件を。何を知らないのか。
  10. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 私としては、役員のほうからそういうことを聞かされたことは一切ございません。したがって、存じておりませんということを申し上げたのでございます。
  11. 田代富士男

    田代富士男君 役員会でそういうことを言われなかったといっても、これは役員会結論新聞に出ていますよ。まして、自民党役員国対委員長議運理事皆さんにまかしていると。(「議運のですか。」と呼ぶ者あり)運輸理事皆さんにまかしている。それじゃ知らない知らないで通用しますか。考えてみなさい。これだけのことが、ただ十六日の新聞ならず十七日の新聞に出ているじゃないですか。十七日の新聞国鉄総裁人事に関するものまで「確定的」という、決定じゃありませんが、それも審議経過から運賃値上げの、どういうことになるかという見通しが立った上に、ああこういうことになるんだと出ているのです。これだけあって、役員会でなされたということは知りませんと、役員会でなされたということを言っているじゃないですか。私は、これがはっきりするまで私は——この委員会連合審査の問題も決定していないということも聞いています。私は理事でないから深くは聞いていませんが、連合審査の日にちも発表してあったではありませんか。まだ連合審査もしていかなくちゃならない。また当委員会において、この質疑をなされた人はだれ、質問者はだれですか。社会党森中先生だけじゃないですか。先日は総理が御出席になったために代表の人から聞きました。その総理に対しての時間がありません。私が最後にもう一問と言ったときにも、委員長はもうそれは打ち切りだと。あと一問だと。そのように全部ほかは委員会において質疑する人が残っています。まして、連合審査というものもきまっていません。にもかかわらず、二十五日、本会議成立というものはどこから出てきますか。五月一日実施というめどがどこから出てきますか。連合審査との関係からこれを説明しなさい。説明してください。現在は連合審査もきまっていない。五月一日に実施されるのかどうか。その点一つお願いします。運輸委員長として、この審議責任者としてお願いいたします。
  12. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 毎度同じことになりますけれども、委員長としては存じておりませんので、さように申し上げたのでございます。なお、今後の委員会運営につきましては、理事会にはかりまして、民主的にやっていくつもりでございます。
  13. 田代富士男

    田代富士男君 私が言っているのは、五月一日実施ということが新聞にも出ているのです。五月一日実施ということが出ているのです。委員長は、自民党役員会でそういうことがなされたということは知らないと言っていらっしゃる。だれが考えてもこういうことが聞けますか。そういうことでいままで国民を裏切ってきたのですか。新聞にはこれだけ出ていますよ。それをやってないということは、国民に対する裏切りじゃないですか。裏切りでないのか。どういうことなんですか。どうなんですか。それをはっきりしてください。国民に対する裏切りじゃないですか。
  14. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 私存じておりませんので知らないと申し上げておるわけでございますから、それ以外にお答えのしようがございません。
  15. 木村美智男

    木村美智男君 毎回それは同じことのやりとりばかりやっていても、それは困るので、この時点は、まあ時計を見れば大体十三時だし、大部分がめしも食っていないし、それにしたって今後の運営、それは理事会でという委員長お話ありましたが、この事態をどういうふうに収拾をして運んでいくのかということについて、この際、例によって昼食休憩の形にして、そうして、委員長理事会で相談をしてもらったらいいじゃないかということにしてもらわぬと、同じことをとにかくいつまでもやっておっては困るのだ。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 ただいまの公明党さんの御発言は、ただ委員長の現在おわかりになっている範囲でのお答えだけではなくて、いま木村君が言うように、休憩のうちに十分各方面を確かめて御回答をあらためていただきたいと思います。  そこで、私のほうも関連して確かめていただきたいことは、そうすると、自民党さんの、委員長理事の間においては二十五日本会議でこの法案を上げるという御決定はないものと考えてよろしいか。それから、新聞報道は事実でないとおっしゃるならば、今後の委員会運営は従前のとおりに委員長理事懇談会の形で進められるものと考えてよろしいか。それから、いままでの打ち合わせのとおりに合同審査は打ち切られるようなことはなくて、当然行なわれるものと考えてよろしいか。それから、それ以前に一方的に審議打ち切り等のようなことは委員長、与党の理事の間においては強行するようなことはないと受け取ってよろしいか。こういう点も、いま御即答はけっこうです。午後の、公明党さんに御回答するときにあわせてお答えを賜わりたいと存じます。休憩に賛成です。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 休憩も、ころ合いはまことに休憩してもいいと思いますけれども、ただ答弁できることは答弁してもらって、答弁できないことを答弁しろと言っても無理だから、その点明らかにしてもらいたいと思うのですよ。新聞記事の問題でもって、田代委員のほうからは、自民党は十五日に役員会を開いて、二十五日の本会議でもって運賃法をきめて、五月一日実施と書いてあるけれども、ほんとうかどうかということを聞いているわけですね。委員長は知らないと、こう言っているわけです。だから、それを何回繰り返してもしようがない。そこで、それを何回繰り返しても時間がかかるばかりだから、私のほうで、それじゃ突っ込んで聞きたいのだけれども、十五日に自民党役員会を開いて、こういうスケジュールについて決定をしたものについては、たまたま委員長だけが知らないのか、自民党役員会として関知しないのかということですよ。これは委員長が知らないということは、これは何回も答弁されたから、まあ知らないということでいい。しかし、自民党役員会としても関知しないということであれば、関知しないことを新聞に出されて、自民党としても平気な顔はしていられないと思うのです。関知しているのだったらば関知していると、しかし、決定したことが言えないというならば言えないでしようがないですよ。言えることは、もうそのとおりである、自民党としてもこういう方針をきめたのだというならば、きめたのだというふうに、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。これは何も理事会でなくたって、本委員会でもって明白にしてもらうことができるのじゃないか。その点をどうかお願いします。
  18. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 毎度同じことになりましてたいへん恐縮なんですが、私、存じておりませんので、同じ答弁になるわけなんです。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうじゃないのですがね、委員長が存じておらないということは何回も聞きました。だから、それはもう三回聞いたものを四回聞いて、じゃ知っておりますというふうには言わないだろうと思う。だから、それをあえて追及しようとは思わない。私のほうで聞きたいのは、田代委員が聞いたのは、自民党役員会で十五日にきめた、その中で五月一日云々、二十五日云々ということがあった、こういうことも聞いているわけなんです。だから、委員長がたまたま知らなくても、自民党役員会としてはそういうことをきめた事実があるのかどうか、あるいはあったとしても、それは言えないのかどうか。事実がないとすれば新聞記事が誤報であったというふうに解釈するのが妥当なのか、その点はまだ御答弁がないのですよ。だから、その点を、どなたでもけっこうですから、御答弁願いたい。これは委員会でもって明らかにしてもらったほうがよろしかろうというのです。
  20. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 瀬谷君にお答えいたしますが、私はそういう事実を知りませんので、事実かどうか聞いておりませんし、全然知りませんから、先ほどの加瀬委員の御提案のように、休憩中にいろいろ確かめまして御返事申し上げます。  暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      ——————————    午後三時四十六分開会
  21. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、二案を議題といたします。  最初に、休憩中の理事懇談会経過について御報告申し上げます。  午前中の田代委員のお尋ねの点につきまして、再度確かめるようにということでございましたので、参議院自由民主党役員でございます田中幹事長並び堀本国対委員長に確かめましたところ、十五日の役員会ではそういう事実はないということを再確認いたしました。このことを御報告申し上げます。  それから加瀬委員からの御提案の、今後理事会で十分この委員会運営についてははかれ、というような御提案がありましたが、これは当然のことでありまして、今後もそうやっていきたいと考えております。  それから二十五日に採決するかどうかというふうなお話でございましたが、現時点では考えておりません。  それから連合審査の件につきましては理事会で十分御相談申し上げてきめていきたいと考えております。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  22. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をつけて。
  23. 田代富士男

    田代富士男君 いま午前中、十五日の自民党役員会あるいは参議院自民党役員会におきまして三つの項目の決定がなされたかのような、こういう新聞が述べている件につきまして質問したことに対する、いま委員長の報告がありましたが、第一番目の、参議院会議上程は二十五日とする、第二番目の、関連法案通行税法案、これも成立させる、国鉄運賃値上げ法案実施は五月一日とするという説に対しては、そういう取りきめはなかったということがいま新たに委員長の口から確認されたわけなのです。自民党もあるいは委員長もこういうことはないということが現時点においてなされたおけなのです。さすれば、この新聞のとおりであるならば、二十五日本会議上程ということになりますと、やはり委員会においても採決がなされてから本会議上程すると、これは国会のルールじゃないかと思うわけなのです。きょうの時点から考えますと、定例日あと二十二日と二十四日なのです。そして二十五日の本会議となりますと、これは二十二、二十四の定例委員会におきましては慎重審議をされて、二十五日そのような上程はしないというふうにわれわれ自身受け取ってよろしいでしょうか、その点を明快にお願いしたいと思います。
  24. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 田代委員お答えいたしますが、その点は答弁の限りでないと思います。(「現時点においてはおっしゃるとおりです、ということでしょう」と呼ぶ者あり)
  25. 田代富士男

    田代富士男君 答弁の限りでないと。私は聞いているんですから、現時点においてはどうなんだと。またそういうことを言われますと、午前中も私が尋ねたことに対して、自民党役員会のやったことも知らぬと、こういう内容のあったことも知らぬと一点ばりで、ただいまも答弁の限りでないと、こういうことになりますと、またこれは話し合いをしなくちゃならぬということになるわけですけれども、私はそういうところが切り捨てごめんと申しますか、それでは話になりませんよ。その答弁の限りではないと——いまこれは白紙であるということを確認したじゃないですか。だから、このとおりであるならば、二十二、二十四と定例委員会をやって、二十五日本会議と正式に、スムーズにいってそういうことになるけれども、御承知のとおりにこれだけの委員がいらっしゃいまして、実質審議質問をせられたのは社会党森中先生だけなんです。あとは、社会党皆さんあと三人も四人も質疑者がまだ残っております。公明党もまだ二人残っております。民社党も一人残っております。二院クラブの先生も残っているわけなんです。やはり一番最初の申し合わせば、今後慎重審議をやりますと、そして各派の全部の皆さん方審議をいたしましょうということで、話し合いのもとに進められておりますから、そのように慎重審議をやる、そのような各人の意見を尊重するという一番最初方針に変わりはないのか、その点ひとつ委員長からもう一度だけはっきり——その限りでありませんという、そういう切り捨てごめんのそういうことになりますと、また頭にきてしまいますよ。委員長も頭にきていらっしゃいますけれども、こちらも頭にきますよ。頭にこさせるほうがいけないのです。そうでしょう。一番最初からこの審議を最も忠実に運営していこうとやっている本人が頭にきた。こんな男にだれがした、こういうことです。そうでしょう。その点はっきりさせてもらいたい。
  26. 岡本悟

    委員長岡本悟君) お答えいたします。ただいまことばが足りませんでたいへん誤解をお与えしたのでございますけれども、私の気持ちは、ただいまの時点では白紙でございまして、万事理事会におはかりいたしまして今後運営していきたい、かように考えております。
  27. 田代富士男

    田代富士男君 だから、いま理事会においてきめていくというのはよろしいですけれども、私が言っているのは、まだ質疑者がたくさん残っております。社会党においてもまだあと四人の先生が残っていらっしゃる。公明党においては二人も残っている。そういう人々の質問する時間は必ず与えてもらいたいと、こういうことを、もう白紙だと言われながらも、こういうことがふらふらしてきますと、やはりそういうことも気になりますし、この際、全員の質疑委員会においてはかること、理事会において運営するということはわかりますけれども、委員長の職権においてでも全員の質疑する時間は与えるということに委員長のお考え方をはっきりさせてもらいたいと思います。そうしなかったならば、これは白紙に戻っても元も何もないのです。こういうことがあったために一歩前進したというところに持っていきたいし、建設的な意見で慎重審議ということをたてまえとして進んできておりますから、全員の発言するチャンス、それは必ず確約しますということをこの委員会においてはっきりとしてもらいたいと思います。
  28. 岡本悟

    委員長岡本悟君) お答えいたします。御期待に沿うよう極力努力いたします。
  29. 田代富士男

    田代富士男君 そういう、御期待に沿うように極力努力いたしますという抽象的なことばじゃなくして、全員に発言させられるのか。それでは、発言できなかった場合も、努力したけれども御期待に沿えませんでしたと、こんなふうになってしまう。だから、全員に発言させるのか、全員に発言させないのか。御期待に沿いますでは、それは話になりませんよ。全員に当然、委員会であるならば、それはもちろん与党の皆さんが遠慮されたという場合もあるかもわかりませんが、少なくともこの問題に対しましては、私は公聴会につきましても、六大都市において地方の公聴会を開いてもらいたいというぐらいにお願いしたわけなんです。できないとするならば、せめて野党の皆さん方発言に対してはその機会を与えると、これは、できるだけ努力しますじゃなくて、それを明確にここで示していただきたいと思うのです。
  30. 岡本悟

    委員長岡本悟君) お答えいたします。理事会にはかりまして、御期待に沿うよう努力いたしますが、同時にひとつ、審議にも十分御協力をいただきたいと思います。     —————————————
  31. 岡本悟

    委員長岡本悟君) それではこれより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言ください。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 国鉄総裁が、先日私の質問に対しまして、国鉄の赤字の責任は、国鉄はもちろんだが政府並びに国会の運賃値上げを阻止したそういうことにも原因があるという御発言がございましたがね、国会が運賃値上げに対し反対をするということは不合理だとお考えですか。
  33. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 私は合理、不合理ということは申しておらぬ。事実はそういうことだと、こういうことを申しただけでございます。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 これは、御高齢で御努力をしていらっしゃる総裁の労は十分私ども認めるわけでございますが、国会は国民に責任を負う立場にありますからね、国民生活の上に支障を来たすということであれば、これは国鉄の目的には沿わなくても、厳密に運賃の問題でも検討をしなければならない一方の義務が私どもにはあるわけでございます。そういう立場で申し上げておるのでございますから、その点は御了承をいただきたいと思います。まあ、だからといって私ども議論を吹っかけるわけじゃございませんが、むしろ政府や国鉄が、国鉄自体の体質や構造を十分検討をしておらないところに、赤字の原因、また赤字の処理がスムーズにいかないところの問題があるのではないかと、こういうふうに思いまして、国鉄の歴史を伺ったわけでございます。  国鉄は、独立採算制をとらなくても公共の福祉に貢献するようにいままではできておったわけですね。歴史的に見れば、日本国有鉄道の時代には、独立採算制ということだけではなくて、政府の資金援助という形で、公共の福祉に国鉄が貢献できるような一つの地位といいますか、体質というものを持っておった。それがなくなってしまったところに、私は問題が出てきた大きな原因があるのではないかと思うわけです。  そこで、これは運輸省に伺いますが、官営主義というものが、わが国の鉄道の一つの国としての政策ではなかったのか。これはこの間も申し上げたわけでございますが、それはお認めになりますか。いままでいわゆる赤字を生じないで公共性と企業性というものがバランスとってやってこれたものは、官営主義という一つの方針があったからどうやらやりくりがついたんだという見方をこれはお認めになりますか。(「大臣はどうした」と呼ぶ者あり)
  35. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 大臣はいま衆議院のほうの本会議答弁のために列席されておりますので、私、政務次官でございますがお許しいただきたいと思います。  わが国の鉄道が、全国的な規模のものにつきましては、国有鉄道法施行までは官営で行なわれたことはもう事実でございます。そしてまた、当時は、何と申しましても、鉄道がいわば独占、特に陸上交通については独占時代でございまして、これが私は一番大きく黒字を生じておった理由と思うのでございます。また、歴史的に考えてみますと、日本の当時の資本形成から申しまして、なかなか民間資本でやり得ない状況であったと。おくれて発達しました日本の鉄道は、当時においては国営ということはやはりやむを得なかった手段ではないかと、かように思っておるわけでございます。しかし、戦後におきまして御案内のような事情で日本国有鉄道法がしかれましたが、これは、全株を国が持っているという関係ではいまなお国有ということは言えると思うのでございますが、ただ、経営形態といたしましては、いわゆる国営から脱しまして公営企業体という形式をとりまして、いわば株の国営ということ、経営のいわば民営式の導入と申しますか、そういう両者を通じて能率的な運営をはかってまいるということでまいったわけでございますが、それこそまさに、企業性とそれから公益性を調和させる一つの企業形態として考えられたものと思いますし、現在でもその方法が妥当であろうというふうに考えているわけでございます。
  36. 加瀬完

    加瀬完君 妥当でないことは、今度のような、赤字でどうにもならなくて別の方法をとらなければならないという一事をもってしても、いまのような経営方針が妥当でないということは、これは明らかなわけです。妥当でないから法案を出したわけでしょう。妥当なら何も法案を出さなくたっていいわけです。  そこで、そういう考え方ですから、私はあらためて伺わざるを得ないわけでございますが、官営主義の目的はどういうところに置かれたとお考えですか。
  37. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) やはり全国的な鉄道網から申しますれば、何と申しましても、今日と同じように公共性の立場、これを貫かなければならぬと思います。それからおそらく、私の想像でございますが、それだけの大規模の事業でございますから、やはり規模の利益という点を考えますと、運賃を低廉にするためにも、当時民営資本というようなもので分割的に運営するよりも、官営ということで総合的にやったほうがコストが安くなる、こういうことは当然あったと思うのでございます。
  38. 加瀬完

    加瀬完君 大臣がいらっしゃれば、大臣から直接伺いたかったわけですが、明治三十九年三月七日、たいへん古いことを持ち出して恐縮ですが、日本国有鉄道法の提案理由の説明のときに、当時の総理大臣西園寺公望は「建設ニ改良ニ巨額ノ国費ヲ投ジタノモ、亦以テ官営主義ノ遂行ニ外ナラヌノデゴザイマス、」「我国ノ鉄道政策ハ、終始一貫シテ以テ今日ニ至ッタノデゴザイマス、」こういう冒頭で、「鉄道国有ハ即チ之ヲ政府ノ経営ニ統一シマシテ、一方ニ於テハ、運輸ノ疏通ト運搬力ノ増加トニ依ツテ、生産力ノ勃興ヲ誘導スルノデアリマスル、又他方ニ於テハ設備ト整斉、営業費及貯蔵品ノ節約ヲ計リマシテ、運送費ノ低廉ヲ期図スルノデアリマス、」こういう説明をしているわけです。生産力の振興というのはいまでもずいぶん考えられておりますけれども、設備の整斉なり運送費の低廉というものが、いまの公社によってこの当時のように考えられておるか、考えたとしても、そういう財源が豊富にあるか、これが問題だと思う。政府の運輸行政においても、設備を整えたり、運送費を、運賃等を低廉にしようという方針が予算の面においていままでありましたか、顕著に。この点はどうですか。
  39. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 与えられた条件のもとにコストを可及的低廉にしていくということは、現在の公共企業体の場合にも同様でございます。御案内のように、消費者物価は一般的に戦前に対して約五百倍といわれておりますが、今日の国鉄の旅客運賃、貨物運賃を通じまして、なお消費者物価の五百倍に対してまあ二百五十倍弱というところに押えられておるのも、やはり国民生活に及ぼす影響ということも十分考えておりますけれども、経営の能率をあげて、運賃をできるだけ低廉に保ちたい、こういう努力のあらわれでございますし、今度の国鉄再建を通じましていろいろな企業基盤を充実するとともに、国民経済上あるいは国民生活上要請されております近代化投資を急いでやり、国民経済の要請に合わそうとしておりますことも、同時にまた、将来われわれが国民から期待されております豊富にして低廉な輸送サービス、これを実現したいというところにあるわけでございます。
  40. 加瀬完

    加瀬完君 そういう趣旨であっても、比較してですよ、明治あるいは大正のころの鉄道といまの国鉄公社によって運営されている鉄道と、運賃を低廉にする目的でも、あるいは設備を明治のことばをもってすれば整斉する目的にしても、それだけの財源を国が出しているかどうかということになると、出しておらないでしょう。設備の整斉や運送費の低廉を期するために財政負担を国が持たなければならないという趣旨ですね、明治の鉄道は。いまは口では運賃を低廉にするとか設備やサービスを改善するといっても、まかない方はおまえのほうでやれというやらせ方でしょう。それでは鉄道そのものが赤字が出るような何分の一かの体質を持っているわけですから、明治のように政府が足りないところは金を出しますという性格を持たせなくては、おっしゃることはなかなか実現できないというのが現状じゃありませんか。そこに気がついておらないということを私は問題にしているのです。いま国鉄がサービスなんかどうでもいい、運賃も上げっぱなしでいいという方針だということを私は言っておるのじゃない。しかし、そういう方法でもとらなければやりくりがつかないようにさせているでしょう。それがいわゆる官営主義みたいなものだといったって、金は出さないじゃないですか。金を出しているか出さないかということを私は問題にしている。国民生活のために金をつぎ込むような運輸行政をいままでとっておったかどうか、それをこの間から繰り返して問題にしているわけです。あとで、出したか出さないか、どれだけ国鉄が要求して政府がどういう査定をしたか伺いますがね、出しておりますか。要求した額の何分の一を出したか詳しい数字はあとで伺いますけれども、そういう姿勢ではないでしょう。比べて見てみなさい。明治のときの姿勢といまの姿勢を比べてみなさい。政府が金を出すような姿勢、明治のような姿勢はくずれてきている。企業性だけを優先させて、企業効果だけに国鉄財政をかぶせているじゃないですか。そうじゃございませんか。
  41. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 実はなかなかむずかしい問題でございまして、明治のころのいわゆる国営鉄道の会計、それの追加設備の投資等に国がどれだけ出しておったかということを、これは歴史的に個々にトレースしないとなかなかお答えできないのでございますが、私常識的に知っておりますことは、国有鉄道になる前におきましては、いわば陸上輸送は鉄道の、特に国鉄の何と申しますか、官営鉄道の独占時代でございまして、したがいまして、ほとんど運賃収入で黒字が出ておる。しかも、その黒字を一般会計に繰り入れたと思っておるのでございます。したがいまして、追加投資が要った場合も、当然その利益の中から投資財源が出てきたことであろうと思います。しかしその後、輸送構造がどんどん変化してまいりまして、特に貨物についてのトラックの飛躍的な上昇、それから旅客につきまして、普通の乗用自動車、これが急速にシェアを高めておる。また、国鉄の近代投資の立ちおくれもありまして、国鉄が三十九年から特に大きく赤字に転落していったわけでございますが、これをどちらかと申しますと、その経営形態というよりも輸送革命がどんどん起きて、それに即応し得なかったというところに私は大きな原因があると思っておるのでございます。今日でも、出資は御案内のとおり、全額八十九億出資でございますが、全額政府が持っておるわけでございます。なお、再評価積み立て金が一兆一千二百億程度でございますが、これも言ってみますれば、まあ国有といってもよろしいのでございます。ただ経営形態を、従来のような官営組織がいいか公共企業体組織のほうが能率がいいかという一点に私はかかってくるのだろうと思います。今日の建設資金にいたしましても、もちろん普通の企業でございますればそれは借り入れ金でまかなうわけでございます。わが国鉄におきましても資金調達はやはり借り入れ金でやっている、建設資金の調達は借り入れ金でやっておりますが、国有鉄道という公共性にかんがみまして、七二%くらい、金利の安いそうして長期の財政投融資に仰いでおるわけでございます。ただ国鉄は、何とか企業性と公共性をこの十年間で再建いたしたい、そのために限時的に財政援助を仰いでいることは御承知のとおりでございまして、そのために今度は、従来から見ますれば、非常に大幅の補助を一般会計から投入しておると私は思うのでございます。  予算要求との関連のお話がございましたが、その点はやや誤解がございまして、われわれの望むところは、とにかく四十三年度末で約六千三百四十二億ぐらいございますが、その利払いについて事実上利子負担の要らない金を融通してほしい、そのことを言っておるわけでございます。一般会計からそれを無利子で借りるのも一つの方法でございますし、あるいは預金部資金の金を借りてその利子を一般会計で払うことも一つの方法でございます。その点は、損益効果においては何らの変わりもないわけでございますので、われわれは予算要求もその点に関しては十分通ったと思っておるのであります。
  42. 加瀬完

    加瀬完君 少し質問を整理して申し上げますが、いまの御説明のとおり、今日の公社経営による国鉄というのは赤字が多くて、輸送形態の変化や何かでなかなか経営に困難を来たしておるということは御説明でもございますからそのとおりですね。困難を来たしておる状態の国鉄には、あまり政府が資金援助というものはしてないです。できないような法律や制度になっているんです。明治の国鉄は非常にもうかった。もうかったときには、政府が法律的にも、制度的にも財政援助ができるようになっておったし、しておるわけです。もうかっている国鉄のときでさえ公共性というものを重視して、時の政府は国鉄の経営というものに対しては大幅な資金の援助をしたのに、もうからなくなった、いや赤字が累年累増しているような状態の国鉄にひとつも金を出さないというやり方がおかしいじゃないか。これから十年間でいろいろやると言うけれども、十年やらなきゃならないような不始末は一体だれの責任だ。運輸行政そのものが当を得ておらなかったから赤字を出したんだ。国鉄の経営の責任だけじゃない。どんなにやったって赤字線をたくさんかかえて、黒字線というようなものは数少ない。しかも、いろいろの財政投資をしなけりゃならないような責任をかぶせられている国鉄が、そう簡単に黒字が生み出せるものではない。国鉄の企業採算だけで投資しているわけじゃないでしょう。国の政策やあるいは社会政策の上から投資をしなければならないような面も多いでしょう。それにいままで政府がどれくらい一体金を出したのかということを聞いているんですよ。だから、明治や大正にかけての運輸政策というものは、公社になってからは希薄になったのではないか。この点伺っているんです。大臣いらっしゃいましたから、大臣ひとつ答えてください。
  43. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 大臣いま来られたばかりなので、私から……。先ほど冒頭にお答えしましたように、明治から特に国有鉄道になるまで、どういうふうな一般会計からの援助が国有鉄道特別会計にあったかという具体的のお話だろうと思うのでございます。観念的のお話ではなくて、そういう意味では、いま手元に資料がございませんので正確なお答えはできないのでございますけれども、われわれ一般的に、常識的に承知しておりますことは、従来のいわゆる国有鉄道以前の国営においては、国鉄が独占的な輸送機関であったという関係でほとんど黒字であった。建設資金ももとより国から出していたでしょうし、むしろ一般会計に入れておったという事実をわれわれは承知しておるのでございます。ですから、会計そのものから申しますと、体制から申しますれば、一般会計から金を幾らでも出し得るという体制であったとおっしゃっても、具体的にその必要があったかどうか、またどれだけ入れたかということになりますと、過去の予算書をひもといてみましてトレースしてまいらなければ、なかなかそこは断定できないのでございますが、私の承知している限り、そこのところはあまり問題はなくて、むしろ輸送構造の変化に伴って非常に最近苦しくなってきたということではなかろうか。もう一つ、ことばをかえて言いますならば、同じ国営でやっておりましても、今日のような輸送革命の変化がありますれば、やはり同じような立場に立ったのではなかろうか、それまでのうちに資金手当てができたのではないか、こういうお話になりますと、これはなかなかわからない点がございますが、まあ私たちはそういう過去の反省も大事でございますけれども、むしろこれからの国鉄が何をすべきか、いわゆる国民経済に期待されておりますところの、いわゆる公共性の任務を果たしながら、同時にまた独立採算制、これは結局において能率をあげるためにいい制度でございますから、やがては利用者に対して低廉な、また良質なサービスを提供できる一つの形として、私たちはこの公共企業体というものを考えておるわけなのであります。もし過去においてどういうことがあったかということになりますと、この点はもう少し調べましてお答えするよりしようがないと思います。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 いまね、金をいままで出してきて、赤字がそれでも出てきて金が出し切れないんだという御説明なら一応うなずけるのです。公社にまかせっぱなしでおいて、どのように赤字が出ても国がさっぱりめんどうを見なかったということがそれでよろしいかと、公共性などといったって、公共性はさっぱり重視されておらないじゃないか。国鉄説明でも、国のやるべき公共投資を国鉄がかぶったために赤字が出ているということを言っておる。あなたは明治時代は黒字であったから金がかからなかったと言うけれども、明治三十九年十月一日から明治四十年九月三十日までに、大体その当時の国の予算は四億二、三千万でした。ところがいわゆる日本国有鉄道を買収するために国が出した金は四億三千万、一年の予算にも匹敵するような、一年の財政規模にも匹敵するような金を出して民営を国営に買収しているのですよ。そういうようにもう破天荒な金を出しているのです。ですから、私は公社にしたのが悪いとかいいとか言っているのではない。しかし、公社にして企業性というものを重視して、あなたのおっしゃるように能率化や合理化というのをやってみて、いまの国鉄総裁のように熱心な方がやってみても赤字が出る。だから、それだけで解決がつかないのだから、これはもとの官営主義のもう体質をそのまま遺伝しているわけだから、これは国のほうでめんどう見なければ国鉄にまかしてもどうにもならないものだという性格をはっきりと把握しない限り、赤字の解消というものはできませんよ。その認識がないと言うんですよ。いままでもうかったからという、あとで言いますけれども、いままでもうかったからと言うけれども、三十九年ごろからは必ずしももうかっておらないでしょう。そのときに一つも手当てをしないで、赤字が重なってどうにもにっちもさっちもいかなくなって十年計画といっても、この前の手当ての責任というものをのがれるわけにはまいりませんよ。それを私は申し上げておるわけです。いまの大臣や政務次官は、私のときは一生懸命やりましたからと言う。これから実現をすれば、この法案が通れば幾らかそういう言い分は通るでしょう。いままで何をやったかということを聞いても、赤字はきのうやきょう出たわけじゃない。いままでの赤字を政府が手当てをすれば何とかなった場面も多々あるのに、それを見のがしてきたのはどういうことか、責任をのがれるわけにはいかない。だから、歴代の内閣運輸行政というものはゼロだと言われたってやむを得ないだろう。明治の人のほうがはるかに出し惜しまず国鉄の社会性というものを認めておる。公社に肩がわりをさして、責任だけをかぶせておいて、何も手当てをしないということが、国鉄の赤字の最大の原因ですよ、と私は申し上げておるわけです。十二分に国鉄に対していままでの運輸行政が責任を果たしましたと言い切れますか。果たさなかったから、これから一生懸命やっていきますと言うことはわかりますが、いままではどうです、いままで。あなたがどうこうじゃなくて、いままでどうです。これは大臣に答えてもらおう。
  45. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 過去のことにつきまして責任論がこの間も森中さんか加瀬さんから出たんじゃないかと思うんです。私は、だから責任というならこれは責任を私どもが負わなければならない、そういう立場にあるということを申し上げたのであります。自由民主党が政府を組織しておるのでございますから、その責任いかんと、こう言われる場合には、その責任は政府にあると言って過言でないと思っております。問題は、この原因を究明し、これを是正し、よりよくしていくということが問題でありまして、私は今日の戦後の問題で一番大きな問題は、やはりこの時代の変遷というものに対して対応することが十分できなかったということであろうと思っております。したがって今日、皆さん方からおっしゃると、そんなことは不十分だとおっしゃっておる意思が多いのでありますが、私どもはこの方法をもってこれからの国鉄の再建をし、国鉄国民経済の中で果たすべき条件というものを十分果たさしたい、このように考えておるのであります。  もう話が出たかと思いますけれども、この間、加瀬さんは西園寺さんの話をして、この意気込みはどうだ、こういうことであります。私は帰ってこの速記録をとって読みました。この中には、確かに明治の時代の人が日本の国を、国づくりをしようとした意気込みが盛られておるようであります。しかし、この法案提案するときにも、やはり外務大臣はその方法はだめだと言って、何か職を賭して反対をするというようなことがあり、そこで総理大臣である西園寺さんがみずからこの法案説明をし、まあ国会でもだいぶ賛成、反対でいまのようにもみにもんだようでございます。やはりこの輸送という問題は、明治もいまも大問題であるなというふうに私は了解をいたしておるのでございますが、その際、まあ富国強兵ということが明治時代の一つの大きな政策であったと思います。たとえば、私の地元にもございますが、そのころあまり住民も住んでおらないところに火薬庫があった。そこの火薬庫へ鉄道を敷くために、古くから鉄道が敷かれております。いまその鉄道を複線化し、住宅を建てるためのことをやれということの要望が高く出ておりますから、いろいろな面からこれらの事業がなされたと思いますし、しかもやはり、これは国の事業として独立採算制の原則というものの見地に立って経営を行なっておるということを、私は加瀬さんの御質問から、不敏でございますが、勉強さしてもらいました。いい勉強をさしてもらったと感謝をしておりますが、今後ともこれらの点につきまして、西園寺さんに負けないようにひとつがんばりたい、このように思っております。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 大臣はね、肝心なところをお読みくださらなかったと思うんです。もう一回、出たんですから、蒸し返して恐縮ですがね、この提案理由の説明の中で、「運輸ノ疏通ト運搬力ノ増加トニ依ッテ、生産力ノ勃興ヲ誘導スルノデアリマスル、」と、そのほかに「運送費ノ低廉ヲ期図スルノデアリマス、」ということばが書いてあるんです。「運送費ノ低廉」ということを大きくあげているわけですね。昔は運賃をあまり上げない。今度は運賃を上げろということ。だいぶ違います。ですからね、結局、運賃を上げないで済ませるようにするには、国鉄の投資については国が財政援助をしなければならないという、これは前提を持っているわけですよね。当時の人々はそれが少ないではないかということをいままで申し上げてきたわけでございます。  具体的な問題に入りますがね。昭和四十三年の四月一日から定期券の運賃の改定を行なったわけでございますが、四十三年は千四百億ですか、赤字がふえましたね。そうすると定期運賃を上げたというこの役割りは、大きな赤字が累増したということとどういう関係になるのですか、これは運輸大臣に伺います。
  47. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 四十三年の改定は、公共負担についての一部の是正をはかるために、公共負担の是正をはかるということが、国いわゆる一般会計で持つか、利用者負担、乗っている人が持つかという何はありますけれども、この際は利用者負担という形で、定期運賃の割引きの一部を引き下げたものでございます。これは四十三年度三百億でございましたが、これは財政事情が一部緩和されるにすぎないことは当時から明らかでございまして、四十三年度予算案に参考資料として付した予定損益計算書においても、これを上げましても、千二百三十億円の赤字が予定されておった、こういうことでございまして、この値上げは、実は人件費が四十三年度の仲裁裁定実施のため三百五十九億円でございまして、この増収額ではそれすらにも足りなかったと、こういう現実の姿もあるわけでございます。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 衆議院で、大蔵省の元事務次官の森永参考人は、運賃改定が大幅に過ぎて国鉄の競争力を低下させ、収入減を来たしたと、こう言っていますね。これも四十三年で見込み収入があげられなかった一つの要因ではございませんか。
  49. 町田直

    政府委員(町田直君) 森永参考人のおっしゃいましたことを、私、実ははっきりここに記録ございませんので、あるいは間違いかと思いますが、おそらくただいまおっしゃいましたおことばは、四十一年の三月でございますかの改定のことをさして言っておられるのだと思います。
  50. 加瀬完

    加瀬完君 いずれでもいいですよ。これは今度の改定でこういうことになりますか。名古屋と豊橋の間は私鉄は三千三百円、国鉄は七千三百十円、こういうことになりますか。
  51. 町田直

    政府委員(町田直君) 御指摘のとおり名古屋−豊橋間、これは国鉄七二・四キロ、それから同じく新名古屋−豊橋間名鉄六八・〇キロにつきまして国鉄は七千三百十円、名鉄は三千三百円、こういうことでございます。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 国鉄、私鉄が同一区間で、国鉄が私鉄の二倍以上の運賃を払わなければ乗れないというところに競争して収入があがるという計算が立ちますか。運賃の値上げは競争力を低下させるということであっては、値上げはいたしましても見込み収入があがらないということになるでしょう。この矛盾はどう計算しているのですか。
  53. 町田直

    政府委員(町田直君) 実は御指摘のようなことはあるいはあるかもしれません。しかし、現在実は国鉄の、いま先生から御指摘のありました場所につきまして、現行国鉄定期運賃は六千三百五十円、名鉄は三千三百円、こういうふうに相なっております。これは御指摘の去年の三月に値上げした形のままであります。その後、とにかく並行区間においてどのくらいこういう運賃差があったときに人が流れるかということも調査はいたしております。まだ四十三年の下期の調査が出ておりませんので、はっきりしたことはまだ申し上げられませんが、四十三年の上期につきましては、大体三%くらいの増が見込まれます、私鉄のほうの。これは普通の旅客増と同じようなことでございます。この原因がどういうことであるかということは、もう少し解明しないとわかりませんが、一つは、よくいわれておりますように、定期運賃の場合には、会社負担の場合が非常に多いということもございましょうし、また、倍とかそういうことになりますとどうなるかわかりませんけれども、その利用する方の乗る駅の状況とか、そういうこともいろいろございましょうし、明らかに倍になれば、そのためにその並行区間の片方の人がうんと減ってしまうということになるかどうかは、実態をもう少しつかみませんとはっきり申し上げられない、こういうふうに思います。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことは、予想される実態というものを調査しなければ、運賃は上げました、収入は減りますということになって、これはどうにもならない問題なんですよ。  そこであらためて伺いますが、一カ月の定期が、国鉄ならば七千三百十円、私鉄ならば三千三百円というきめ方をしたことは、この運賃改正が必要最小限度であるという理由を、どういう根拠でこういう計算になるかお示しをいただきたい。
  55. 町田直

    政府委員(町田直君) 必要最小限度であるということは、要するに現在の国鉄の状況から見まして、運賃値上げも必要でございますけれども、一方旅客の利用者の方々に対する影響も十分考えなければなりません。国鉄の原価というものもございます。そういうことを勘案いたしまして、かつ、いま先生の御指摘のような、いわゆる非常に上げ過ぎると利用減が多く出てくるということ等も勘案いたしまして、大体現在の実収一〇%、形式的には運賃では一五%というのが必要最小限度であるというように考えております。  ただいま先生から御指摘のございました並行区間についてのお話でございますが、御承知のように国鉄の運賃は全国一本で定めておりますので、そういう面での必要最小限度というふうに考えておりまして、御指摘の、たまたま私鉄と並行している区間の差についてそれを一々考えるということは、国鉄の運賃のたてまえ上いたし得なかった、こういうことだと思います。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 私はどういう根拠で、どういう基準でこういう計算が出たのかということを伺っているわけです。それは全国一律で計算したにしても、私鉄の二分の一が国鉄で、それから幾らか私鉄に近づいたということならうなずけますよ。改正をして私鉄の二倍にするということがどういう根拠によって、どういう基準によって計算した場合、それが妥当だということになるのか、その計算の基礎を聞いてるいんですよ。
  57. 町田直

    政府委員(町田直君) どういう根拠ということでございますが、要するに国鉄にいたしましても、私鉄にいたしましても、そうでございますけれども、運賃というものは、本来合理的な経営のもとにおける適正な原価を償う、こういう趣旨のものであろうと思います。そこで適正な原価を償うという意味におきましては、予算でもお出しいたしましたように、現在これだけの運賃を上げましても、現在の国鉄において適正な原価を償うに至っておりません、御承知のように。しかしながら、国鉄の運賃という実情等も勘案いたしまして、この程度にいたしたということでございま  す。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 御提案の御説明の中に、「運賃改定の国民生活に与える影響も十分考慮いたしました。」、こうおっしゃっているのですね。原価計算をすると私鉄の二倍になるということは、計算の一つの基礎としてそうなるかもしれない。しかしその場合、そういう計算が国民生活に与える影響を十分考慮したということはどういうことになるのか。これは経済企画庁にも伺いたい。私鉄の二倍の運賃ということが国民生活に与える影響を十分考慮したという、ひとつ根拠を御説明いただきたい。
  59. 町田直

    政府委員(町田直君) 私鉄の二倍という私鉄との比較で御指摘でございますけれども、繰り返し申しておりますように、国鉄の運賃は全国一本でございますので、総括原価ということで国鉄全体の原価を見ておるわけでございます。したがいまして、しかも先ほど申し述べましたように、原価を見ましてその原価を償うというところまでは実は至っておらないわけでございます。その辺に一般の利用者に対する影響等も考慮いたしておる。  それからなおこまかく申し上げますと、たとえば定期運賃については四十三年に是正いたしましたので、今度は定期運賃の割引き率の是正というものは一切いたさなかったとか、それから実は貨物運賃につきましても政策割引き、特別措置というようなものがございまして、これらのものもこの際撤廃いたしたいということを考えましたけれども、それらも物価に対する影響を考えまして取りやめたとか、あるいは昨年定期運賃の改定の際に考えました特定な保護世帯の割引き等をそのまま続行したとか、そういういろいろな点をあげまして国民大衆に対する影響をできるだけ配慮した、こういうふうに申しておるわけであります。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 企画庁、どなたかいませんか。
  61. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) ただいま国鉄の同一区間における運賃が国鉄に比べて私鉄が安いじゃないか、そういうような運賃改定案を出したことは国民生活を考慮していないという御指摘かと存じますが……。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 十分考慮しているというのは——私鉄の運賃の二倍の運賃をきめて、それが国民生活を十分考慮しているとおっしゃっているのだけれども、どういうことから考慮しているということになるのか、それをひとつ御説明いただきたい。
  63. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) これは私のほうの所管ではございませんから私のほうで申し上げるのもどうかと思いますけれども、先ほど来、鉄監局長が申されますように、国鉄の運賃というのは総括原価と申しまして、全国全体の原価をペイするようなもののもとにつくるべきであるという原則がございます。したがいまして、最低賃率にさらに遠距離逓減的な要素を加えて運賃がきまってまいるわけでございます。でございますから、距離が幾らかということで運賃がきまってくる。たまたま同じところに私鉄が走っておったということで、私鉄のほうは運賃が安い。これはやはり私鉄自身にとっては私鉄の適正なコストをまかなわなければいけませんから、そういう意味合いできめておりますから、私は両者が違いましても決しておかしくないと存じますし、現在の賃率決定は国全体、遠距離に行く人も、あるいは非常に過疎線に乗る方も、全体を含めて距離を見て国鉄の運賃はどうあるべきかという原則でおきめいただいて、その意味では最大限の国民生活を考慮しておきめになったものである、こういうふうに考えます。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 私は、そういう御説明しかできない頭がおかしいと思うのです。こういう指摘も衆議院の公聴会において行なわれておりますね。今回の改正は、国鉄の法律制度の再検討には触れていないという御指摘がありますね。いまのようなやり方でやれば、そういう計算になるでしょう。しかし、それが私鉄のほうが二分の一の運賃ということで、逆に言うなら私鉄の二倍の運賃をきめることが、どう考えたってこういう運賃改定が国民生活に与える影響を十分考慮した運賃のきめ方と言うことができますか、素朴に、常識的に考えて。ところが計算はそうなる。それじゃなぜそういう計算をしなくても済むような一体法律なり制度なりというものに手を触れて、もっと国民生活にマッチできるような運賃改定というものの基準というものを新しくつくり出さなかったのか、そこが問題だと言うのですよ。先ほどから繰り返すようでございますが、明治のときにも運賃の低廉性というもので、運賃をなるべく上げまいとして国が補助政策をとったわけですね。今度は企業性というものだけをクローズアップしますから、いまのような形で私鉄の二倍の運賃というのをきめるのだ。きめたって、予定するほど乗客の数はふえませんよ。国のためだといって、国鉄たいへんだからひとつ協力しようといって二倍の運賃を払う、こんなばかはおりませんよ。だから、その競争力は低下するわけです。競争力の低下というものを計算の中に入れないような計算というのは、こんなにずさんな計算はない。小学校の算術より劣っている。こういうことを指摘をしたいわけです。  そこで法律制度の上で国鉄財政再建のため検討さるべき幾つか問題がございましょう。こういう大改定のときに、そういう問題を私は考えていかなけれりゃおかしいと思うのですよ。それでまた話が逆戻りになりますが、この間指摘いたしましたように、赤字の原因というものを国鉄だけで解決しろと言ったって自体無理なんです。そこで会計原則というようなものをもう一回練り直す必要があるのではないか。二十三年に法律ができましたときの会計原則が、二十八年の改正では違って、いまから考えれば、国鉄にむしろ不利になっている。そういうものに一つも手を触れないで、ただ自主再建とか、自力再建みたいに、国鉄だけの責任で再建をさせようとしたところに、私鉄の二倍の運賃なんというばかなきめ方が出てくる。そこに問題がないかということ。この前も伺いましたが、重ねて、会計原則というものは、前の会計原則のほうがよかったのじゃないか、率直に私はそう思うのですが、いかがです。
  65. 町田直

    政府委員(町田直君) 会計原則のお話でございますけれども、実は先生御指摘のように、根本的な考え方と申しますか、要するに国からもっと金を出したらいいじゃないか、こういう趣旨がおありであると思いますが、現在の国鉄法の制度におきまして、制度上出資もできますし、もちろん、国の融資ができることになっておりますし、また、法律によりませんでも補助金を出すことができるわけでございます。したがいまして、現在の会計原則がああいうふうになっているから、国からの出資なり、あるいは補助なりというものが非常にしにくいんだということではないと思います。ただ、やはり公共企業体という一つの企業体として考える場合に、これはあくまでも赤字が出れば全部国が見る、そうでなければ、黒字が出ればそのものは国に納めるというような制度のほうがいいか、あるいはやはり一応企業体として考えますから、独立採算という原則を一応持っているんだ、これが原則なんだ、こういう考え方でいくかということであろうと思います。それでそういう意味では、現在の公共企業体は、ほかの公社もおそらくそうだろうと思いますけれども、一応とにかく国鉄法の四十一条にあるような企業会計でやりなさい、そういう形でいきなさい、こういう趣旨の条文であろうと、こういうふうに考えております。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 結局、事業内留保というのを認める企業会計にしたために赤字が出てきているのじゃありませんか。逆に聞くならば、たとえば旧法であれば、新幹線計画とか、問題の大都市周辺の輸送対策計画といったものは、「国有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付する」特別の必要があると認める対象にはなり得たでしょう、これが旧法であれば。
  67. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいま御指摘の点は通勤対策でございますけれども、通勤対策……。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 新幹線もそうだ。
  69. 町田直

    政府委員(町田直君) とか、新幹線というものは、直ちに特別な必要と読めるかどうかは、もう少し検討してみないと簡単に言えないのじゃないかと思います。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 少なくとも要求する対象にはなりますね。新幹線等をつくって、これだけ金が足りなくなったのだから、ひとつこれは補てんをしてくれ、と要求する対象にはなる。そこで、国鉄が赤字になった原因として、低運賃のもとで国からの援助もなく、独力で戦災復興してきたことがその原因だという御説明がありますね。それなら、国から援助もなく、独力で公共投資をしてきたということが原因の一つであれば、もう一つの、低運賃だけを取り上げないで、国からの援助というものがあったほうが赤字が出なかったということは言い得るでしょう。そんなら旧法のほうが援助をもらえた。独立採算という形にしたからだめになったんでしょう。そこで、二十八年当時の国鉄の財政状況というものは、事業内留保をしたほうが得だという観点であったから事業内留保の改正に踏み切ったのじゃないですか。そうじゃないですか。このころはもうかっていたんでしょう。国からもらわなくてもよかったんでしょう、そのころは。そういう財政事情というものを前提に、この二十三年の法律を二十八年に変えたのじゃないですか。
  71. 町田直

    政府委員(町田直君) 当時の提案理由等が手元にございますとはっきりわかりますけれども、一応当時の解説書を読みますと、「このような」、要するにいままでの「方法は、日本国有鉄道の企業意欲を減退せしめ、その企業的能率的運営のためには適当でないので、独立採算制の建て前に改めたものである。」こういうふうに書いてございます。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、欠損はして赤字が積もりますけれども、そのほうが公社のような性格からいっていいという形式的な判断だけではないでしょう。このほうがもうかるから、国鉄も得だという判断があったからその改正に踏み切ったんでしょう。そうでないとすれば、この当時の運輸行政の責任者というものは腹を切るべきですね。赤字が出るということがわかっていましたけれども、国から金をもらわないようなことをきめましたと言ったらたいへんだ、これは。その点どうです。
  73. 町田直

    政府委員(町田直君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、公共企業体という性格上、こういう形が最も能率的でいいのだ、こういう根本的な考え方であったと思います。それでは赤字が出てもどうにもならないと、要するに運賃を上げなければ国鉄というものはどうにもしようがないのだということであるかというと、そういうことではございません。やはりそれは補助なり何なりの道はございますというふうに申し上げているわけでございます。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 もっと、話が堂々めぐりしないように率直に言いましょう。もうかるという判断であったからこれをのんだんでしょう。損をするという予想があってこういう改正をのむばかはない。もうかると思ったのでしょう、この当時は。国鉄自体でやりくりがつくという御判断だったんでしょう。
  75. 町田直

    政府委員(町田直君) 必ずしも将来にわたってもうかるであろうというふうに判断したかどうかは、そのときの国鉄なり運輸省の人の考え方であると思っております。長い将来にわたって必ずもうかっていくのだというふうに思っていたかどうか、はっきりいたしません。やはり考え方は、企業体として経営していくべきである、こういう根本的な考え方に立っているのだろうと思います。
  76. 加瀬完

    加瀬完君 では、国鉄財政のバランスは初めから事業内留保でまかなえる性質のものだとお考えになりますか。
  77. 町田直

    政府委員(町田直君) 基本的にはやはりそういうことではないかと思います。ただ、まかなえるものであるかどうかという判断は、やはりまあ今回のような状態もございますから、長い期間にはいろいろな状態になってくるということもあると思います。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 まかなえないから赤字線の整理なんという案が出てくるのでしょう。当時、赤字線の整理というものをして、あとは事業内留保しておけというきめ方ではなく、当時——二十八年当時は事業内留保という形で赤字線をひっくるめて何とかまかないがつくという御判断だったんでしょう。今回の諸提案になりますると、赤字線というものを整理しなければまかないがつかないという形になっているでしょう。そうしますと、事業内留保ということではまかなえない体質というものを現状の国鉄自体は持っているんだという認識を現在の国鉄は持っているんじゃないですか。そういうことじゃないんですか。
  79. 町田直

    政府委員(町田直君) 企業がその時代に応じまして近代化、合理化するのは当然なことでございます。赤字線の問題を御指摘になりましたが、赤字線につきましても、要するにこの赤字線が採算が悪いから切ると、こういう考え方も一方にはございますけれども、本質的にはやはり交通構造というものが変わってまいりまして、国鉄、鉄道をもってしなくてもいいような場所があるのではないか、そういうものについては投資の重複にもなりますし、国民経済的にも決して、何というか、効率的でないと、こういう意味も考えておるわけでございまして、したがいまして、いまの赤字線の御指摘だけをもって本質的に国鉄が企業内留保でやっていけないものであるというふうには考えておりません。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 企業内留保で動かなくなっていることは事実でしょう。動くなら、提案されているこんなもの審議する必要ないですよ。動かなくなったから再建案や何かが一組みになって提案されている。それは否定することできないでしょう。いかがですか。
  81. 町田直

    政府委員(町田直君) 御指摘のとおりでございます。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 そうであるならば、いまから振り返ってみて、一体二十八年に事業内留保というものに改めたことが適であったか不適であったかということは、これは非常に優秀な改正であったとは言い切れないんじゃないですか。いかがですか。
  83. 町田直

    政府委員(町田直君) それが国鉄のためにそのほうがいいのか、あるいは国民経済全体あるいは国のためにいいのかという判断が実はあると思います。先ほどから繰り返しますように、公共企業体という形にした趣旨は、企業としての経営の形をとっていったほうが能率的であり、よりよいのであろう、こういう判断から公共企業体になったと思います。そういう趣旨では四十一条というものの改正がいわば一つのその過程における何と申しますか、当然の改正であったというふうに考えます。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 いま私は国鉄の財政の赤字を処理するにはどういう方法がよかったかということを聞いているので、国民生活を聞いているわけではない。国民経済を聞いているわけでもない。あなたのような御説明になると、また逆に、それならいまのような形で公社を出発さしたことに問題がないかということになりますよ。損をするものをたくさんくっつけたまま独立採算で、企業性だけで伸びていけといったって運転がつきますか。砲丸や何か足にまといつけておいて百メートル走れというようなものです。もっと始末が悪い。走らせるというなら全部障害物は除去して、最も走りいいコンディションというものをつくって走らせるということでしょう。公社の出発というものはそういう形をとっておらないでしょう。昔の国鉄そのままを横移しに移して、そこで企業性だの独立採算制だのといったって、独立採算では損をすることに、自体そういうことになっておるのです。で、政府は知りません、これはもう企業で伸びていけといったって、それは妥当でないことは明らかです。ですから問題を切り詰めますよ。国鉄にとって二十八年の事業内留保という改正は、今日の国鉄時点から見てプラスであったか、マイナスであったか。
  85. 町田直

    政府委員(町田直君) やはり先ほど私が繰り返し申しているような意味で、そのほうがプラスであると考えて改正をいたしたことだろうと思います。現在の時点でこういう状態になっていることが、必ずしも御指摘のようにこの改正があったからだというふうな理由にはならないわけです。やはりその後いろいろな事情がありまして、繰り返し大臣等から御答弁申し上げているような理由がありましてこういう状態になったということでありまして、現在の時点から顧みましても、その当時ああいう改正をしたことが非常に国鉄にとって悪かったというふうには考えておりません。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 当時の判断でいい悪いということを聞いているのじゃない。いまの時点から考えて、改正しなかった場合国鉄にプラスであったか、改正したほうが一体プラスであったか、こういう判断をもう一回してみようじゃないかと、こう言っている。というのは、新聞の論説の中にも出ておりましたけれども、法律や制度というものをそのままにしておいて国鉄の再建というものを考えることはどだい無理だという御意見が出ている。私の意見じゃなくて、そういう識者の意見もある。そういう点から反射させてみると、企業内留保という改正は問題ではないか、いまから考えれば。だから、その事業内留保というものがなければ当然ある程度政府から金はきたわけですね。逆に聞きますよ。公共企業体に移行したあとで国から受けた国鉄の補助金等をひとつここでお示しをいただきたい。
  87. 町田直

    政府委員(町田直君) 国鉄公社設立当時四十九億円の出資、昭和二十四年でございます。二十五年、政府追加出資四十億円。それから三番目が運輸省からの無利子、無利息の貸し付け金二十億円、昭和二十六年でございます。それから四番目が新線建設利子補給三十一億円、これは三十六年から四十年にわたってでございます。一般会計等からいたしましたものはこの程度でございます。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 わかりました。
  89. 町田直

    政府委員(町田直君) それから財政投融資が二十四年から四十二年までに一兆六千九百五十六億円、それから四十三年度、昨年度、財政再建補助金五十四億円、大体以上でございます。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 いまの御説明のとおり二十五年、四十億ですね。これは対日援助の見返り資金からですね。二十六年、二十億、これは運輸省。それから三十六年から四十年までの合計が三十一億ですね。
  91. 町田直

    政府委員(町田直君) はい。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 昭和三十四年以後百億、二百億、九十五億というものを国鉄は要求しておりましたが、査定はどうなりましたか。
  93. 町田直

    政府委員(町田直君) 御承知のとおり、実現いたしません。
  94. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ三十七年から三十八、三十九と三年間に政府に対して要求はしませんでしたね。要求しなかった理由は何ですか。これは国鉄でもけっこうです。
  95. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 三十六年まで要求いたしましたのは主として新線建設のいわゆる建設費の政府出資をお願いしたわけでございますが、その後、御承知のとおり政府出資ができないので利子補給に変わったのでございます。したがいまして、三十七年からのいわゆる新線建設の関係の政府出資の要求はやめたわけでございます。その後、先生のおっしゃった四十一年以降のものは全然性質が変わってきておるわけでございます。
  96. 加瀬完

    加瀬完君 四十年に六百二十八億を要求しましたね。これはどういう理由の要求ですか。
  97. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは主として財投の、大体そのころ、三十八年度、九年度ころまでは大体全体の財投の約一一%から一二、三%を国鉄が拝借いたしておりました。ところが、昭和四十年度の時点におきまして工事経費を約五千億を要求いたしました、四千九百五十億でございますが。これは第三次長期計画の二兆九千七百二十億を六で割った一年分でございます。四千九百五十億を要求いたしました際に、国鉄に対して一三%程度の財投はいただけないだろうということで、主として工事資金の、これは私よく覚えておりますが、あまり具体的な内容でなしに工事資金の不足という形で御要求申し上げました。これは当時、内閣にございました国鉄基本問題懇談会というものが、脇村義太郎先生が座長でつくられたものでございますが、その中で政府に負担金ないし——出資ということばは使っておりませんが、政府にある程度の負担金を要求してもやむを得ないだろうという項目がございましたので、四十年度の要求おおむね六百二十八億は、主として財投の不足分と申しますか、たぶんこのくらいしか財投がいただけないであろうということを予測いたしまして、その不足分を要求いたしました。
  98. 加瀬完

    加瀬完君 おっしゃるとおり、そういう意味で六百二十八億というのは、これは切り詰めた内輪のものですね、これを要求しました。それから四十二年に大都市通勤改善のため、第三次長期計画の通勤輸送対策を繰り上げて実施することとし、四十二年度にこういう意味で九百億の通勤施設費を予定をして、これを政府に公共事業として公債金を引き当てとする政府出資とするようにという要求をいたしましたが、これは大蔵省に聞きますが、四十年、四十二年の要求に対してどういう査定をいたしましたか。
  99. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 本来、輸送機関のコストというものは、これは先ほどもお話がございましたように、いずれにしましても国民経済的には、あるものを輸送する場合にコストがかかるということでございます。それで現在、国鉄の資本費負担といいますか、そういうものは、他のいろいろなそういう輸送機関といいますか、そういうものが負っている利子負担というものから見まして、決して高いわけでは——その当時としてはもっと低かったのでございますが、現状におきましても、そう高いものではない。そうしますと、やはりそのコストはそれを利用する方々に負担していただくということが必要なんであって、もしそれをコストを無理に何らかの助成によって曲げるというふうなことをいたしますと、そとに国民経済的に見た場合の輸送の何といいますか、ロスが生じてくるわけでございます。これはこう申すと非常にしかられるかと存じますが、たとえば大都市の通勤につきまして、現在コストを割った輸送をしている、それがまた大都市過密化を招く一つの因にもなっているわけでございます。そういう意味におきまして、非常に資本費が高いのであればまた別でございますが、その当時といたしましては、決して国鉄の資本費負担というものが、使用総資本に対する利子負担の割合というものが決して高いものではありませんでしたので、そういう意味から特に出資の必要を認めなかったわけでございます。  さらに言えば、一般会計というものは国民の税負担との関連がございますので、そこに税負担との関連もいろいろ考慮されたことはもちろんでございます。
  100. 加瀬完

    加瀬完君 四十年のいまの六百二十八億というものは、同年には三二%の運賃値上げをしたわけですね。いま副総裁の御説明のように、工事経費が四千九百五十億、国鉄に対する財投を、推定財投総額の一三%とした場合の資金不足額ですね、六百二十八億は。ある程度国鉄でまかなって、どうにもやりくりのつかない資金不足額が六百二十八億、これはおっしゃるように査定はゼロだ。四十二年度も大都市通勤改善のための輸送対策でしょう。大都市への通勤の必要性というものは、これは国鉄が招いたものでもない、住宅、団地等に移住したものの責任でもない。国の政策としてこれは解決をしなければならない問題でしょう。しかしこれも査定ゼロですね。これで国が応分の財政援助をしておったといえるかどうか。ほかのものと、今度、ほかに政府が出資したものと比べて国鉄への出資が多いか少ないかということをあとで聞きますけれども、とにかく一銭も出さなかったということは御説明のとおりお認めになりますね、この四十年、四十二年において。
  101. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 出さなかったことは、予算書の示すとおりでございます。  先ほどお話のございました建設資金のある部分をノーといったわけではございませんので、国鉄の建設につきましては、財政投融資でできるだけ努力をいたしまして、その中で実施計画につきましては、最も国鉄並びに国にとりまして緊要と考えられる部門の仕事をいたしてきておるわけでございます。要求の金とその仕事が直接結びついておって、その仕事をだめであると申したわけではございません。
  102. 加瀬完

    加瀬完君 御説明——出すか出さないかだけの御答弁でけっこうです。こちらのほうからあとで伺いますから。  そこで、政府への出資要求について、これは国鉄に伺いますが、二十九年から三十二年までに三百億円の出資要求をしておりますね。ところが、三十三年は出資要求はしておりませんね。三十二年まではしておりましたが、国鉄は三十三年は出資要求をとめたというのはどういうわけですか。
  103. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) たしか私の記憶によりますと、三十二年に運賃を改定させていただきましたので、若干収入の状態はよくなりました。それで翌年はたしか御遠慮申し上げたように、記憶でございますが。
  104. 加瀬完

    加瀬完君 運賃値上げ直後でもあり、三十一年も増収でありましたので、出資要求を差し控えた。当時はそういう御説明がございますが、そのとおりでいいのですね。
  105. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私はそういうふうに記憶いたしておりますが。
  106. 加瀬完

    加瀬完君 その当時はもうかっておったと、事業内留保でもそのほうが得だということになりますね。
  107. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) さようでございます。
  108. 加瀬完

    加瀬完君 三十四年に百億円の要求をいたしましたが、この内容は何ですか。
  109. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) たしかこれは東海道新幹線をつくる際であったと思いますが、ああいう国家的な事業でございますので、一応政府から若干のものを出していただきたいということをお願いしたように覚えておりますが、あれは結局全部借金でやれると、当然ペイするなら借金でやるべきだということで、要求いたしましたけれども、査定をされたというふうに記憶いたしております。
  110. 加瀬完

    加瀬完君 そこで昭和二十九年からの国鉄の政府出資要求額は次のとおりですね。二十九年に百十億、三十年に六十五億、三十一年六十五億、三十二年六十五億三千万、三十三年はいま申し上げたとおりゼロ、三十四年は百億、三十五年は二百億、三十六年は九十五億、三十七年、三十八年、三十九年はゼロ、四十年は六百二十八億、四十一年はゼロ、四十二年は九百億、このとおり出資要求をいたしておりますね。
  111. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) さようでございます。
  112. 加瀬完

    加瀬完君 この要求に対して大蔵省はとういう査定をいたしましたか。
  113. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 先ほども申し上げましたように、国鉄自身の現在、これは四十三年末で見ていただいてもおわかりかと思いますが、現在国鉄の使用総資本は約三兆三千億程度でございます。それに対しまして、資本金は、これはわずかでございますが、いわゆる現物で国鉄会計から公社に移しましたものの再評価積み立て金が一兆一千八百億程度でございます。したがいまして、使用総資本の三兆三千億に対しまして一兆一千八百億と、あるいは資本金を合わせて一兆一千九百億程度というものは、いわゆる自己資本比率としては決して低いもの、各民間の企業等に比較しましても低いものとは考えられません。  それから二番目に、じゃあその使用総資本に対する利子負担の割合はどうなっておるかと申しますと、大体四十三年度末で四%強でございます。これも各民間の企業と比べましても、あるいは政府のやっております他の事業等に比べましても、決して資本費負担として大きいものではない。そういたしますと、それが、国鉄がそういったコストのもとで運営できないということは、要するに料金体系その他のほうに問題があるんであって、出資を特にしたから直ちにどうこうという問題ではなかろうかと存じます。たとえば、出資をしましても損益に響く効果は、借り入れの場合と比べますと、その利子負担だけの問題でございまして、百億円出資いたしましても、借り入れ金の金利が七%といたしましても七億の損益効果しかないわけでございます。基本的にいろいろ議論があろうかと思いますが、現在の財政事情から見て、損益の点で出資を特に緊要と考えられません。他方、緊要な建設の資金につきましては財政投融資でできるだけの努力をいたしてきましたし、また今後もいたす所存でございます。
  114. 加瀬完

    加瀬完君 この損失補てん制度というものが存在をしておりましたならば、いまのような要求額の一部分というものは当然これは補てんをさるべき性質のものではございませんか。金額はイコールにはならないけれども、いま国鉄が政府に要求いたしました出資額のうちの何%かというものは、補てん制度というのがあれば当然政府が出さなきゃならない性格のものじゃございませんか。
  115. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は二十八年以前の法律を読んでみますと、これはいま先生のおっしゃったとおり、各年度別の収支決算のバランスがとれなかったときの四十四条は規定でございますので、もし私のほうの要求いたしました、先ほどのずっと二十九年以来の出資額と申しますのは、いわゆる工事勘定と申しますか、工事をするための出資額でございますので、必ずしも直ちには結びつかないで、計算だけいたしますれば、いま大蔵省が言われたように、出資額は結局、どうしてもこれだけ仕事をしなければならなかったとすれば、その利子分だけが損益にはね返ってくる、こういう勘定になると思いますので、必ずしも直結はいたさないというふうに思います。しかし、その部分はあることは確かでございます。
  116. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、結局三十九年度の出資要求額をそのまま埋まらないけれども、三十九年度に事業をすれば、それでまた赤字ができれば、四十年度でその損失の大部分というのは当然補てんをされると、そういう性格のものですね。だからそれはそれとして、四十年に六百億、四十二年に九百億という援助が、出資がもし政府からあったとすれば、今日の赤字状態は若干緩和されたと見込んでよろしゅうございますか。
  117. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) かりにいま先生のおっしゃいました四十年度の六百億、四十二年の九百億、合計いたしますと千五百億でございますので、これは結局、仕事はどうしてもやらなければならないので借金してやったわけです。したがって、もしこれを借金でやらないで、政府から出資をしていただいたといたしますれば、その利子、すなわち百五十億の七分といたしますと約十億ぐらいの赤字は減っている。と申しますことは、本年度の利子の支払いがそれだけ減っているということに考えていいと思います。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 十億ですか。
  119. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 百五十億の七%でございます。
  120. 加瀬完

    加瀬完君 いずれにしてもですね、運輸省の局長さんに伺いますが、そうすると、損失補てん制度というものを廃止したことが、今日の国鉄財政からいうと、一〇〇%のプラスということは、これはどう説明をしても説明のつくものでもございませんね。これはお認めになるでしょう。いかがですか。
  121. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいま御議論ございましたように、現在の時点でいまの出資なりあるいは損失補てんというものが特別の必要があると認められてなされたというふうに仮定いたしますと、その分だけ現在の財政事情はよくなっているということは言えると思います。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 そうするとね、損失補てん制度があればある程度埋まった赤字の分までも、政府に制度そのものの改廃を要求してこなかった責任というのは、これはいままでの運輸当局にも一半の責任があると認めてもよろしゅうございますね。これは前のほうのことだからかまわないでしょう。大臣どうですか。
  123. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) それはいまの制度でも先ほどから議論のあるように金を出せないことはないわけですよね。金を預かっておる大蔵省は、国家財政全般から見て、まだこれはあなたのところは仕事が、出資しなくてもできるじゃないかと、たとえば制度の、法律の中で、運賃法改正して運賃を値上げしておったらですね。これはその高い安いの議論はありましょう。現在の運賃と明治時代の運賃いずれが高かったか、安かったかというような議論も、高いという議論をする場合には出てきますが、いずれにしましても大蔵当局としては、そのときはいまのあなたに答えているような状況でこれはキャンセルしたと、だから、その法律がなかったから出せなかったかということでは私はなかったと思うので、まあしかし、大蔵当局とのその折衝で負けたじゃないかと言われると、それは実際負けたということになるかしれませんが、その法律がなかったからということは当たらないのじゃないかというような気がいたします。
  124. 加瀬完

    加瀬完君 法律があってもなかなか取れないのに取れる法律をなくした責任というのは、これはやっぱり一応考えていただかなきゃならないと思うのです。  そこで、いま大臣のお話にもございましたとおり、国鉄赤字の責任を、三位一体、国、国鉄国民によって解決するというのが今度の再建法の一つのねらいですね。ところが、法律的には政府の責任というものを一応解消したような形にしておいて、そうして赤字がたくさん出たからといってこれをほとんど国民負担に転嫁するというやり方が、一体公共性をうたう国鉄の財政処置として当を得ているかどうかという問題が出てくるわけです。そこで、どなたでもけっこうです。森中委員から御質問がもうあったわけでございますが、これから十年間の再建計画で国鉄自身が負担をする金額。負担というか、請け負う金額。それから国が出す金額。それから運賃改定によって生み出すところの金額。その正確な数字をおっしゃってくれませんか。
  125. 石田禮助

    説明員石田禮助君) ちょっと私から。いまのあなたの質問に対しては副総裁あと答弁いたしますが、その前に、この独算制、あなたのおっしゃるように独立採算でいかないで、つまり前のように補てん制度というか、それで……。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 独立採算でもけっこうです。それに補助金制度というものは当然つくべきだと言うのです、私は。
  127. 石田禮助

    説明員石田禮助君) それは私は、どうしてもできない場合には、それはやっぱり政府というものが出さにゃならぬということになりましょうが、その前に、やはり考えにゃならぬことがあると思うのだね。要するに、今日のこの国鉄の損なんというものは、コストが上がっているのですよ、輸送コストが。したがって、それに対するプライスというものは上げてもそれは当然のことだ。あなたは利用者負担というのは全然天のほうに上げちゃって問題にしないが、それはやっぱり利用者負担ということを考えるのが当然じゃないかと思うのです。
  128. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことを私は言っていない。国民生活の安定というものも一つのねらいであるから、そういう意味合いで国鉄運賃の値上げの幅というものを、アップ率をどこに押えるかということも一つのねらいでなければならない。  そこでいまお答えいただきたいと言うのは、これから負担をする金額があまりに国民の側に多いじゃないかと、それから国鉄の背負う面も国鉄の財政事情からすれば多過ぎるんじゃないか、国の出す面はあまりに少ないじゃないかと、そのバランスがとれておらないで再建計画を進めたって、これは、一方高い竹馬と一方低い竹馬と競争させるようなもので、つまずくのが関の山だ。そのバランスのとれておらないことを私は問題にしておるのです。国民は一銭も払わないでただで汽車に乗ろうなんということを言っているのじゃない。それはさっきも申し上げましたが、同じ区間でどういう計算であれ、国鉄が私鉄の二倍というようなきめ方ではこれは妥当とはいわれないじゃないかと、一例を言えば。そこで申し上げたいのは、それならば、どこに押えるかということで、もう少し国民の負担というものはやはり考えてやって、当然いままでの制度からいえば国が負担すべき制度でもあったのだから、そこを復活をして幾ぶん国がもう少し出すというような形にしなければ国鉄だってやり切れないじゃないか、そういうことを申し上げておるので、おれのほうはただだぞ、おまえのほうだけ出せよと申し上げておるわけじゃないから御了解いただきたい。そこで負担区分がどうなっておるかということを伺いたい。
  129. 石田禮助

    説明員石田禮助君) これはいま始まったことじゃない。私は国鉄総裁になってから始終強く主張してきたことは、政府というものも出すべきものじゃないか、こういういまあなたのおっしゃったことを三十八年からやかましく言ってきた。
  130. 加瀬完

    加瀬完君 私も総裁を応援しているつもりだ。
  131. 石田禮助

    説明員石田禮助君) それは感謝いたします。感謝いたしますが、しかし同時に、政府もそれは出してください。ことに通勤輸送のごときに対しては、四十年から今度の五十何年までの間に約八千億かかるんだと、これなんというのはとてもコストが高くて収入が少ないし引き合ったものじゃない。実際、これは住宅政策の一環じゃないか、これである以上はこれに対して政府は出すべきじゃないかという、こういうことで言ったのですが、そのほかのいろいろな公共負担の問題、そういう点で今度、つまりようやく大蔵省というものは援助することになってくれたということで、少しおそかったけれども、まあまあということで私どもは感謝すべきじゃないかと、こういうことです。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 総裁とやりとりしちゃ恐縮ですが、まあまあとは私どものほうは認めない。まあまあかまあまあまあでないかは、ひとつ負担区分を御説明いただくとおのずから判明すると思います。
  133. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは先刻も森中先生から御質問があったところだと思いますが、いろいろ数字が入りくっておりますので、一応財政推進会議の数字だけを申し上げます。  まず、国鉄のみずからやる増収、合理化等が一兆八千七百億、それから公共負担の全体を含めまして、運賃改定分、これが三兆三千七百六十億、政府あるいは市町村納付金と政府、公共団体あるいは建設公団への出資を減らすとか、あるいは建設公団からの借料のベースを下げるとか、いわゆるこういった政府の施策を全部入れますと、一応、推進会議の試算は九千六十七億でございます。これは、先刻の森中先生のお話で、実際は少し減っておるわけでございます。  以上、大体、割合から申しますと、政府が一で国鉄が二、国民が三・五ぐらいの割合でございます。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 そのうち政府の財政補助金の拡大分は幾らですか。
  135. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは、この九千六十七億と申しますと、過般も森中先生からお話がございましたが、これはまず利子のはね返りを含んでおるわけでございます。すなわち、もしこの金がなければ国鉄で借金をしてその借金の利子を払ったであろう、こういう計算を毎年いたしまして、その累積を合計した数字でございますので、一応簡単にいたしますために九千六十七億を裸にさせていただきまして、利子をとって計算しますと、それからほかの全部利子をとって計算いたしますと実際に近い数字になりますので申し上げますが、九千六十七億の中にははね返りの利子が二千八百三十四億含まれております。したがいまして、ネットの、政府からいただくという財政推進会議でおきめくださった額は六千二百三十三億であります。九千六十七億から二千八百三十四億の利子分を引きまして六千二百三十三億、そのうちから例の孫利子を、現在推進会議ではこれを、利子そのものを十年間たな上げする、こういう案でございました。ところがいろいろ名案を考えられまして、たな上げはいけないけれども、たな上げ分の金を貸してやる、その貸してやる利子はこれは交付金としてやろう、こういうワンクッション置いたことになりますので、これはあとから御質問によってお答えいたしますが、長い期間をかけて見ますと、これは全く同一と申しますよりむしろ推進会議の内容よりも私のほうに有利になっております。したがいまして、これは有利でございますから、一応これはとって議論をさしていただきます。六千二百三十三億から孫利子のほんとうの親のほうの利子二千四百七十億を引きますと三千七百六十三億、これが、政府がめんどう見てやるべきだというふうに推進会議でおきめになった数字でございます。このうち今回おきめ願ったのは約二千億少しこす程度、これは全部市町村納付金、それから先ほど申しました建設公団への出資等を全部含めまして約二千百億くらいだと思います。したがいまして、その残りの分といたしまして、これは先般も大臣がおっしゃいましたが、六・五%の利子補給をもう少し下げられないかどうか、非常に大きな項目といたしましては、市町村納付金がもう少し減額されないかどうか、この二点に大体今後の問題が集約されるというふうに考えております。
  136. 加瀬完

    加瀬完君 市町村納付金を政府の出資金の中に入れるのはこれは妥当じゃありませんよね。国鉄の金が、ただ払わない分だけが国鉄に返ってくる。それでこの推進会議の第三部会の審議報告の参考資料によると、財政補助金の拡大は純計で千五百八十六億だという数字が出ておりますが、これは何か間違いですか。
  137. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 千五百八十六億、これは財政再建補助金の拡大、すなわち、昭和四十五年度から始まります六分五厘までの利子補給でございます。一応本年度は、これは拡大じゃなしに一応現状維持。六分五厘になっておりますが、これは先刻大臣がおっしゃったように、今後も努力によって何とか六分くらいまでに下げたい、こうおっしゃっております。したがいまして、この点は多少千五百八十六億からいまの数字が減ってまいります。これは先ほど申しました数字と合うわけでございます。これは利率のほかに何年まで——補給する期間の問題と利率の問題と二つございますので、それを予算ベースでいたしますと三百八十五億、千二百一億の減、どういうことになるわけでございます、財政補助金の拡大は。それから推進会議の意見書の第二項のいわゆる孫利子につきましては、さっき申しましたとおり。それから納付金その他につきましては、いま先生のおっしゃったとおり、いわゆる政府の財政措置じゃなしに財政措置等ということで申し上げたので、ちょっと「等」が落ちましたが、これはむしろ市町村のほうにお願いするという筋でございます。
  138. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、かりに三千七百六十三億というものを不足数字に押えますと、国鉄の負担分とそれから運賃等の改定による負担分との比率はさっきおっしゃったような比率ではないでしょう、どうなんですか。
  139. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) そのかわり、さっき申しました孫利子分は別途に計算をしなければいけませんので、これは実質的に同じになります。さっき念のために引いて御説明申し上げましたが、いまの大蔵省でやっていただいておる親利子を貸していただいて、孫利子を補給していただくという制度ならば、これは実質的に二千四百七十億補給していただいたと同じことになる、こういう計算になります。
  140. 加瀬完

    加瀬完君 その市町村納付金なんかを別ワクにして、純然たる政府がここで負担しなければならない金を親にして、国鉄分と運賃分というものを対比させるとどういう比率になりますか。
  141. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 市町村納付金のほかにいわゆる鉄道建設公団に対する支出、これは一応たいした金ではございませんから大勢に影響はございませんが、両方合わせまして、出資の廃止とそれから鉄道建設公団から借りておる借料を、借金のベースを償却ベースに直すと、両方で約二千億でございます。これを政府のほうに入れて計算いたしますと、納付金の分が千六百五十三億減りますので、九千六十七億から千六百五十三億引きますと、約七千四百億くらい、これが原案によりますところの純粋の政府の財政負担、こういうことになるわけでございます。で、あと国鉄並びに運賃のほうは変化ございません。ただし、先ほど申しましたように、運賃の三兆三千億は、これも利子込みでございます。これをやはり裸にいたしますと運賃の値上げ分は約二兆六千億、残りの七千六百六十二億は、これは十年間の利子でございます。これを除いて裸にいたしますと、三兆三千億が二兆六千億になるわけです。一応数字は全部はね返りの利子を含んで計算いたしておりますので、裸にいたしますと二兆六千億。
  142. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、赤字のための再建計画による負担割合は、三位一体という構成要素の政府と国鉄国民に負担させる運賃とで、もう一回何対何になるかおっしゃってください。
  143. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 市町村のほうを除いて申しますと、その割合は一と二と三・五ぐらいになります。
  144. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省に伺いますが、政務次官でけっこうでございます。義務負担の法則というものはどうあるべきだとお考えですか。義務負担の法則は、私の伺っておりますのは、義務の非常に軽いものが逆に大きな負担をしたり、当然の義務のあるものが負担を免れたりするというようなことはあり得べきじゃないんじゃないか、結局義務の大きいものが負担も大きいということが原則と考えてよろしいんじゃないか、こういう意味です。
  145. 沢田一精

    政府委員(沢田一精君) よく御質問趣旨がわかりませんけれども、原則はそうあるべきだと思います。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 義務負担の法則は、義務の大きいものは負担が大きいと、これは常識ですね。そうすると、この国鉄の赤字に対する負担は、赤字補てんの義務は、そうすると国民が一番大きくて政府が一番義務がないということになるわけですか。
  147. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) それは国民ということばがどれに当たるかわかりませんが、いまかりに一、二、三と、こうしますと、この一も国民なんですね。国というのは国民なんです。だから三というのは利用者ですね。これは乗っている人なんです。だから一、二、三ということをもって国民がどうだということは、私はそのまま率直に言えない。ただ、一般の乗らない人の金が一で、乗る人が三で、国鉄自身の合理化というものは二だ、こうおっしゃるなら、そのとおり、こう言わざるを得ないわけです。
  148. 加瀬完

    加瀬完君 あなた方汽車に乗らないのかね。政府というのは汽車に乗らないということになる、あなたの説明だというと。そんなばかなことはない。政府というのはあなた方じゃない、国民が構成しているのだから、その国民の税金をどう配分するかという権限が政府にあるので、ここで政府の出資金幾らということが問題になってくる。そこで集まった国民の税金のうち、政府の予算というワクを通して出すものは一番低くていいのか。ここでは国民に運賃という形でじかに負担させるものが三・五倍ということで、これが一体義務負担として正当か、こういうことを伺っている。
  149. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) それなら、いまの運賃が高いか安いかという、先ほど言っているように、明治時代からこの運賃というものはどうだったかということについて議論を重ねてこなければならないと、こういうことになってくるわけです。これはいまはいわゆる独立採算制というものをもって、運賃収入というものをもとにして、この国鉄というものをやっていこうというたてまえになっておりますから、先ほどから大蔵省は、これは資本率からいっても、自己資本率からいっても企業としては悪くはない。だから、収益が悪いのだから収益をよくしていったらいい。収益とは一体何ぞや。もうからないものを切って、そうしてもうかるものに力を入れて、運賃もほかと比べたら安いのじゃないか、もう少し上げたらいいじゃないかという言い分であろうと思います。過去においてはそういうことでやってきたということは事実であるのです。私はその点について、先ほどからお話の中に出てきますように、時代も変わってきておりますし、また、たとえば都市交通というような場合には、きょうも先ほど衆議院の本会議でもあったのでございますけれども、都市の交通というものの投資というものがばく大な金がかかる、これはどうしたらよいかというような問題を勘案するときに、確かにこの財政というものを再建する場合に、それは運賃の値上げということだけでは、これはいかぬというので、私は、この財政再建推進会議の答申を適切なるものとして、国にも出しなさいということを折衝したわけであります。だから、いまあなたのおっしゃることだけを取り上げてみますと、一、二、三で国の出し分は少ないじゃないか、もっと出してもいいじゃないか、こういうことの御議論のようでございますが、これは今後の問題に、まだございますけれども、今後の力を出さなければならぬ問題も含んでおりますけれども、私は一応、今度の場合はこれが適切ではないかと、このように考えておるのでございます。
  150. 加瀬完

    加瀬完君 わが党を引き合いに出しては恐縮ですが、衆議院における久保三郎君の提案理由の説明の中でこういうことばを申し上げておりますね。政府は公共負担を国鉄に背負わせながら、積極的な財政援助を与えぬまま今日に至った、特に三十九年度予算要求にあたり財政援助を要求したが、「責任をもって国鉄経営の抜本的再建のための計画と資金確保について検討する」との約束にすりかえられた、したがって財政援助を怠った政府に責任の一半がある。これは大臣も責任の一半があると先ほどからおっしゃっておるのですから、大筋からいってこれはお認めになるのですか。
  151. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私は国の政治をあずかっておる以上、そこに何らかの問題が出てきた場合に、その責任はだれが負うべきかということについて、役人的な言いのがれをしないで、私の責任だと、こう言ったほうが結果はいいと、私はそう思っております。
  152. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど国鉄側からの御説明がありましたように、過去において適宜な政府の資金援助なり、あるいは財政支出なりというものがあれば、このような赤字にならなくて済んだ部面もある、こういうことがこれは常識ですよね。そうすると、いま久保君の指摘のように、「責任をもって国鉄経営の抜本的再建のための計画と資金確保について検討する」という発言をしなければならなかったような事態において、こういう具体的な援助政策というものを打ち立てなかった政府にやはり反省してもらわなきゃならない面もあるし、また責任もある。責任があるものが一番軽くて、国民は何も半額で乗っていたわけじゃないですよ。ちゃんと定期でも何でも言われたとおり出しておる。おまえら安く汽車に乗ったから、電車に乗ったから赤字が出た、だから今度おまえらは三・五倍の負担だということでは、ちょっと聞こえませんよね。先ほどから言っているように、上げてはいけないということを言っているわけじゃない。上げ方が……。その赤字の原因というものは政府にも責任があるでしょう。国鉄にも責任がある。国鉄にしたって、あとで言いますけれども、一兆八千億というものをどうして一体生み出すか、たいへんなことですよ、これは。国鉄にそれだけ節約なり合理化というものをしいるなら、政府だって、まるまる大きく見積もっても九千億、一けた違うじゃないか、国民には概算三兆四千億、こういう形の負担区分というものでつり合いがとれるかということを問題にしているわけです。つり合いがとれるかとれないかということが水かけ論になるなら、一体今度の運賃改定がどういうふうな形できめられておるか、細部にわたってこの次に質問をいたします。  私は、討論のようになって恐縮ですが、つり合いがとれないという立場に立ってこれからものを言いますから、つり合いがとれるという立場のお方は、つり合いはとれている、国民の負担は当然だ、こういう説明のしかたをしていただきたい。それならば、なぜ企業性だけで貫くような体質改善を国鉄に対して政府がやらないか。初めから公共負担というものを国鉄はしなければならないようになっているのでしょう、くどいようだけれども。それなら損するということは明らかだ。これは国民全体に対する奉仕だから、国民に奉仕しているところの政府がそういう政策というものを打ち立てるのは当然じゃないか。私は国鉄総裁に聞いているわけじゃないのです。大臣に聞いているのだからね。これは異論がありますか。政府の一に対して運賃によって三・五倍の収入をあげることは当然だというひとつ根拠を示してください。
  153. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 公共負担というものを一般会計で見て、そして助成策をやっていったらそれじゃうまくいったか、こういうことについては、その制度をとっておる諸外国においてなぜ財政硬直の原因の一つになっておるか、そしてうまくいかないかということも考えて見なくちゃ私はならぬと思う。なぜそういうことになるのか。あなたのおっしゃっておるような制度をやっておる、同じ経営をやっておるところが外国では見られる。それがうまくいかない。それでもうまくいかないといってどんどんどんどん鉄道をはずしていくから鉄道は斜陽産業だというようなことをいわれる。新幹線が出てきてびっくりして、いややっぱり鉄道というものは価値があるというようなことがいわれておるのであります。したがって、いまの現象をつかまえて、一、二、三だからこれは妥当じゃないじゃないかということだけで、これはいまの政府のやり方というものはだめだという議論には私はならないのじゃないか、このように思います。
  154. 加瀬完

    加瀬完君 議論になるということをあげてもらいたいのですよね。おまえのは議論にならないということはそれは議論にならない。一対三・五が、こういうことで合理的だという根拠を示してもらいたいと申し上げているのです。
  155. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これは、私は運輸大臣でございますから、いま先ほど申し上げましたように、まだ、先ほどの、いわゆる六・五%を六%に助成を伸ばしていくようにしたいという問題あるいは納付金の問題を含んでおります。したがいまして、いまこれでこのことが絶対だということは私としては言っておらないのであります。大蔵当局といたしましては、この問題について先ほど聞いておられるとおりでございますので、したがって私は、十分でないかもわかりませんけれども、今度初めてこういうことをやったのであるから御協力を賜わりたい、こういうことを繰り返し繰り返し申し上げておるということを御了解賜わりたいのであります。
  156. 加瀬完

    加瀬完君 十分でないということは、これは不適切だということですね。いいですか、私がそういう議論を吹っかけているのじゃないんですよ。日経は企業整備にぐうっと比重ということで論説をあげていますね。読売は論議呼ぶ値上げ、財政援助、こういう見出しですね。毎日も企業性重視が問題、こういうことを指摘していますよね。  そこでひとつ、こんなに一人でいつまでもやっていていいかどうかわかりませんけれども、国鉄への政府の出資金をひとつ聞きますよ。海運関係の助成金は四十年から四十四年までで個別にそれから合計して幾らになりますか。大蔵省に伺います。
  157. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 海運の助成はずいぶん前からございますんで、いま直ちにその合計額を持っておりませんが、本年度の予算額は百三十六億円程度と承知いたしております。
  158. 加瀬完

    加瀬完君 四十年が三十二億円ですね、四十一年が六十一億円、四十二年が八十四億円、四十三年が百十三億円、四十四年が百三十六億円、こういう数字ですね。  それでは道路公団、住宅公団等への政府出資金は四十年から四十四年までどうなっておりますか。合計でいいですよ。
  159. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) これも実は合計を持っておりませんのですが、四十四年度の政府出資金は二百五億円でございます。この道路公団の出資金は建設の資金コストがおおむね六%になるように出資いたしているわけでございます。それから住宅公団は、これは現在は出資をいたしませんで、損失につきまして補給金を出しているわけでございますが、利用者の側、すなわち住宅公団の家賃をきめる場合に、賃貸住宅の場合には金利を五%として計算をいたしております。それから分譲住宅の場合の延べ払いにつきましては、七・五%の金利で分譲住宅の延べ払いの額を算定いたしております。
  160. 加瀬完

    加瀬完君 道路公団は四十年から四十四年までで八百三十一億円出しておりますね。住宅公団は四十年が四億四千百万円、四十一年が十六億一千六百万円、四十二年が三十九億一千九百万円、今度は損失補てん制度で赤字が出ればということですよね。
  161. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) それは先ほど申しましたのは、出資金ではなくて、もう交付金の制度にかわった後の数字でございまして、その前は出資で行なっておりましたので、その数字はもう交付金にかわってからの数字と存じます。
  162. 加瀬完

    加瀬完君 住宅公団は一般会計からの補助金でしょう、道路公団は政府出資金ですね。それに昭和三十六年から四十年まで日本国有鉄道新線建設補助特別措置法による補助は合計幾らです。三十一億四千八百万円ではございませんか。
  163. 町田直

    政府委員(町田直君) そのとおりでございます。
  164. 加瀬完

    加瀬完君 それでは一般会計から国鉄への繰り入れ金は幾ら、四十年から四十四年までひとつ述べてください。
  165. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) いわゆる国鉄の財政のために出しましたものは、四十三年度から始まりましたものでございまして、これは先ほど答弁申し上げましたように、四十三年度五十四億円、今回その五十四億円の系統が七十一億円。それから先ほど御説明しました再建債利子補給が十三億円、合計いたしまして八十四億円。これ以外に戦傷病者等の乗車に対しまして、法律に基づきまして一般会計が負担している金額が別途にございます。しかし、これは一般会計が負担しているわけでございまして、別に国鉄の財政のために措置をしているものではございません。
  166. 加瀬完

    加瀬完君 そのあなたの説明は、あとのほうも入れて四十四年は八十七億ですか。
  167. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 八十四億と申しましたので、八十七億円とは申しておりません。
  168. 加瀬完

    加瀬完君 あとのほうの説明を入れて八十四億。四十年はいまおっしゃった鉱害復旧費の補助金、それから戦傷病者等無賃乗車負担金、新線建設費補助金というもので八億九千万円。何メートルに当たりますか、あとで伺いたいと思います。四十一年は一億一千九百万、四十二年が九千六百万、四十三年が五十六億、それから四十四年が八十七億、これが一般会計から国鉄への繰り入れ金です。それはお認めになるでしょう。
  169. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 正確には先ほど申された中に、鉄建公団の利子補給金と、それから無償線の要するに償却のための交付金でごさいますか、それが入っておりまして、国鉄にいったのはその分を除外したものでございます。
  170. 加瀬完

    加瀬完君 聞いたことを答えてくれればよい。私がさっき言った項目で、これだけだ、これはお認めになるかならないかと聞いている。聞かないことは答えなくてよい。
  171. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 国鉄にいきましたものは、鉄建公団へいきました分と違いますので、鉄建公団へいきました分は除外していただきたいと申し上げたわけでございます。
  172. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことを言うなら、あなたのほうで、そこで資料を全部読み上げなさい。けしからぬ。四十四年度だけしか述べないで何を言うか。四十年から四十四年まで各項目別にそれを述べなさい。それからだ、質問は。
  173. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 資料をそういう形で現在持っておりませんので、すぐ取り寄せて申し上げます。
  174. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの問題ね、資料を持っていないというならば、資料をそろえて次回にいまの質問に答えるようにしてもらいたい。
  175. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 四十年度は戦傷病者無賃乗車船負担金七千三百九十二万二千円、鉱害復旧費二千百三十九万円、新線建設費補助八億九千六百四十二万三千円、四十一年度戦傷病者無賃乗車船負担金九千六百十万円、鉱害復旧費二千三百八十一万三千円、四十二年度戦傷病者無賃乗車船負担金九千六百十万円、鉱害復旧費はございません。それから四十三年度は戦傷病者負担金は二億六千万でございます。  で、先ほど申し上げました七十一億というのはラウンドで申し上げましたので、多少数字には下があると思います。
  176. 森中守義

    森中守義君 関連。  これは、先ほどかなり姿勢の高い答弁だったのだけれども、資料をちゃんと持っているじゃないか。資料を持っておりませんなんて、いいかげんな答弁で逃げようなんという根性は、だめですよ。少なくとも大蔵省の答弁、適当でない。どうですか、委員長、このまま見のがしますか。だめだよ、こんなものじゃ。だって、それは、真剣な質問に対して、資料がありませんなんという、そんなばかな話はない。持って来ているじゃないか、ちゃんと。よくないですよ。与党の諸君がそういう姿勢だからだんだん増長するんだ。これは問題だ、これは。どうですか。これは時間も時間だから、これはやはり政府委員答弁の状況だとか、そういうのはちゃんとチェックして委員長理事打ち合わせ会で吟味するべきですよ。主計局次長、なるほど運輸省が提案した法案だろうけれども、私どもは政府一体の責任だと思っている。そういうことでしょう。何も大蔵省に拝みます、頼みますといって説明を求めてまで法案審議しなくたっていいんだよ。どっちでもいいんだよ。それなのに、質問者が真剣に質問しているのに、資料がない、確かめたら持っているじゃないか。そんなばかなことないよ。こういう状態で委員会の継続した審査はできない。本日はこれで直ちに閉会。だめだ、こんなことじゃ。一条の釈明があってしかるべきだ、大蔵省は。けしからぬ。
  177. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) 資料がいま直ちに手元にないと申し上げましたのは、実は私自分が持っておりませんでしたので、補助者が持っているかということを聞きましたら、持っておりましたので、御答弁申し上げましたので、軽率でございました。おわび申し上げます。
  178. 森中守義

    森中守義君 それはそうじゃないんだよ。次長はそれで逃げ切ろうとしたわけだ。そうじゃないだろうと押されて、だれか持っていないかとなったんだよ。そんなばかな話ないよ。かりにこちらのほうが気をよくして、ああそうかということなら、それで済ますつもりだった。実に微にわたり、細にわたるごりっぱな質問に対して無礼千万、傾聴すべきですよ。これはごもっともという理事諸君の御意向もあるようだから、大蔵省答弁については、直ちに散会後、委員長理事打ち合わせ会において適切なる措置をとられたい、これを私は提案をしたい。
  179. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をとめて。   〔速記中止
  180. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をつけて。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 いま御説明がありましたけれども、それでは文書で、ただいま御説明がありました一般会計からの国鉄への繰り入れ金、四十年から四十四年度までを、ひとつ明細を御記入の上、御提出くださいませんか。  それからさらにあわせて資料としてお願いをいたしたいと思いますのは、食管会計への昭和三十二年から四十四年は、これはいずれ予算でございましょうが、繰り入れ額が幾らになっておるか。  それからこれは国鉄か、運輸省ですか、採算別線区の経営成績、三十七年から四十三年、これは黒字線ベストテン、それから赤字線のベストテンでけっこうです。  それから昭和三十八年現在における国鉄運賃の基準。  それから新旧運賃の比較、札幌−青森、福井−名古屋、大阪−鹿児島。  それから現行と改正の通勤定期の運賃比較、品川−蒲田、品川−横浜、新宿−八王子、新宿−荻窪、秋葉原−千葉、東京−四ッ谷、東京−新宿、東京−池袋、東京−渋谷。  それから、これは少しめんどうですけれども、次の区間の一カ月普通定期券の三十八年と現行と、それから改定案のアップ率、品川−蒲田、新宿−八王子、秋葉原−千葉、東京−四ッ谷、東京−池袋。  それから、昭和十年と改定案との次の区間の普通運賃それから通勤・通学の一カ月定期料金。東京−横浜、東京−立川、東京−大宮、東京−松戸、東京−千葉。おそれ入りますが、以上を運賃の詳細について検討をしたいと思いますので、資料として御提出をいただきます。それからこの資料に基づきまして私の質問を続けたいと思います。よろしくお願いいたします。
  182. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 三十八年の基準とおっしゃいますと……。
  183. 加瀬完

    加瀬完君 これは一キロから何キロまで何円とか……。
  184. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) わかりました。それから線区別は四十一年度までしか出ておりませんので、できるだけ……。
  185. 加瀬完

    加瀬完君 できるだけでいい。
  186. 森中守義

    森中守義君 私も少し資料をお願いしたい。鉄監局長運輸省かね、措置法案の四条三項の設置法における根拠は何か、これをひとつつくっていただきたい。  それから四十三年十二月二十五日に、大臣が運輸審議会に諮問をされた事案の内容の中で、先ほど来しばしば問題になっておりますが、現行四百キロメートルまでは三円六十五銭、四百一キロメートル以上一円八十銭を、五百キロメートルまで四円二十銭、五百一キロメートル以上二円五銭に変更するという積算の根拠、これが先ほど来、また私の質問以来、問題の焦点の一つでもありますから、こういう数字が出たということは積算の根拠があるはずですね。だから、このことははたして適正な妥当な運賃かどうかということを委員会としては認定をしたい。その認定の基礎になるものは積算の根拠を知る以外にない。したがって、適正妥当な運賃であるかどうかということを知らんがために諮問をされた。しかも答申では、おおむね妥当であるという返答が出ておりますが、われわれとしては、何を根拠にこういう数字を出されたのか、積算の根拠を資料としてお出しいただきたい。  それからその次は、きょう国鉄から一通りの資料はいただきましたが、これでは私の問わんとする内容にだいぶ離れております。つまり、第三次長期計画の残余の期間が三カ年。残余の三カ年の中に残りの財源があります。それを一年で割っていくと幾らになるか。それと、事実上第三次長期計画は再建計画に乗せかえられている。この十年間を一年に割った場合の対比表、残余のものと十年間の単年ごとの対比表、これをひとつ出していただきたい。
  187. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは金額でよろしゅうございますか。
  188. 森中守義

    森中守義君 項目別です。
  189. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 項目別にはちょっとまだ……。
  190. 森中守義

    森中守義君 たとえば通勤輸送とか……。
  191. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) そういう大きなことなら……。
  192. 森中守義

    森中守義君 詳細な内容のものでなくていい。たとえば通勤輸送、新幹線、それから幹線輸送力増強、動力近代化、諸改良、取りかえ総まくり、ここに出ていますが、これをずっと対比してもらいたい。  それからやはり措置法案の九条ですね。運輸省、この九条の中で改善命令が出ております。この改善命令とは現行の設置法上いかなる条項を根拠にしておるか。  それから行管が運輸省あるいは国鉄にここ三年間ぐらいの間、機構上の問題等について何か指摘があったはずであります。これをひとつ運輸省並びに国鉄ともに行管が何を機構上指摘をしたか、その指摘事項をお出しください。  それから本年の納付金二十五億を出さなくてもいいということになっておるのですが、これが再建期間中、間違いなく出さぬでいいという何かの証拠があるか、これをひとつ、あれば出してもらいたい。  それから専売公社と大蔵省、日本電信電話公社と郵政省、これの相互の関係。具体的に言えば、おのおの郵政省は電電公社を、大蔵は専売公社を監督しておる。その監督上の機構及び権限。同時に、二公社が行政権のワク外においてどういう自主性を保障されておるか、これをひとつ出してもらいたい。  それから試算表の中の財政措置の九千六十七億の中で、きのう私は答弁を求めなかった、つまり鉄監局長は、九千億というのは事実上七千億、二千億目減りしておる、こういう説明であったので、磯崎総裁から、利子のはね返り云々という説明があったけれども、それではどうしても私は理解できない点が多い。したがって、現在の七千億が補助金が幾らであり、さらに再建期間後、つまり二十年、二十五年という相当長期の償還期限がついておりますが、そういうものを計数整理をしてもらいたい。しかも、金利が六分五厘、七分とあるようですから、そういうものも全部ひとつ一表にあらわしていただきたいと思います。  それから、これは国鉄の副総裁から御答弁があったのですが、合理化節減の一千五百八十億、これの一体中身はどういうものか。赤字線の問題、この中に入っていたようですがね。この一千五百八十億の中身を表にしてあらわしてください。以上でございます。  それと委員長理事諸君にお願いしておきますが、巷間、私の質問がすべて終了したかのように言われている向きがあって迷惑をしておる。私はきのう、鉄監局長答弁がどうしても私の得心のいく答弁が出ない。したがって、あらためてやり直そうと、こういう約束だったんだから、もうすでに森中質問終局したということを言われたのでは困る。これは、ひとつ委員長理事打ち合わせ会で質問の継続中だという認識をしてもらわないと困りますから、これはあらためてお取り扱いをお願いしたいということを付言をして、資料要求を終わります。
  193. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいまの森中先生の資料要求の中で、専売公社、郵政省の機構は、設置法を見ればよくわかりますが、行政権のワク内の措置ということになりますと、直接実は郵政省なり、大蔵省のほうに御要求いただいたほうが適切ではないかと思っております。
  194. 森中守義

    森中守義君 要するに、これは少し質問か議論になりますがね、国鉄運輸省というそういう関係じゃないんですね。つまり二公社については相当幅の広い自主性が持たせられていると、こういうふうに私は理解している。ところが、運輸省設置法及び関係の諸規定によれば全く自主性がない。特に今回のような場合は、基本方針をつくりそれを国鉄に通告する、それに基づいて国鉄は再建計画をつくり、出たものがあまり好ましくない、運輸省のお気に召さないという場合には改善命令を出すということになれば、一体再建計画とは何なのか、国鉄は何なのかという、こういう疑問が起きてくる。したがって、他の二公社がそういう非常に強烈なワクをはめられていないような向きもありますから、そういうことを調べてほしいと、そういうわけです。これは官房長、それぞれ走らしてみたらわかるんじゃないですか。そういうことを表にして出してくれ、こう言っているんです。むずかしいことじゃない。
  195. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 町田局長、よろしゅうございますか。
  196. 町田直

    政府委員(町田直君) わかりました。聞いて、表にいたします。
  197. 木村美智男

    木村美智男君 資料要求。国鉄当局に資料の要求をひとつお願いします。昭和四十年度から大体四十三年くらいでけっこうですが、国鉄が使う主要物資ですね、レールとかまくら木とか、そういうもの、これの大体の購入金額、契約の方式、まあその辺でいいと思うのですが、それ一覧表にしてください。
  198. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 承知いたしました。
  199. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時十八分散会