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1969-02-25 第61回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十五日(火曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————    委員の異動  二月二十日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君     藤原 道子君  二月二十一日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     加藤  完君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 金丸 冨夫君                 菅野 儀作君                 谷口 慶吉君                 瀬谷 英行君     委 員                 河野 謙三君                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 渡辺一太郎君                 木村美智男君                 藤田  進君                 森中 守義君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    政府委員        公正取引委員会        委員長      山田 精一君        公正取引委員会        事務局長     柿沼幸一郎君        運輸政務次官   村山 達雄君        運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君        運輸省海運局長  澤  雄次君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸大臣官房観        光部長      蜂須賀国雄君        建設省住宅局調        査官       沢田 光英君        消防庁予防課長  高田  勇君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道資        材局長      土井  厚君    参考人        船舶整備公団理        事長       林   坦君        船舶整備公団理        事        竹中  薫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○船舶整備公団法の一部を改正する法律案(内閣  提出) ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道の運営に関する件)  (福島県郡山市における磐光ホテル火災事故に  関する件)  (自動車行政に関する件)     —————————————
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任を行ないます。  理事選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事瀬谷英行君を指名いたします。     —————————————
  4. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案の審査のため、必要あるときは、船舶整備公団役職員を当委員会参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 次に、船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 すわったままで質問いたしますから、答弁のほうも必ずしも立って御答弁いただかぬでもけっこうでございます。  この船舶整備公団法の一部改正の法律案提案理由の中にございますように、昭和三十四年に国内旅客船公団として発足して、途中でこの法律戦時標準型船舶あるいは老朽貨物船などの代替建造、内航海運対策その他ということに拡大して今日まできておりますが、もしおわかりでしたら聞きたいのは、この制度ができまして約十年近くたっておるわけですが、その間の旅客並びに貨物船建造の隻数あるいはトン数、そういうものがもしわかっておりましたらお知らせ願いたいと思います。
  8. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) お答え申し上げます。公団発足以来、旅客船は二百七十二はい、四万九千三百十四総トン——これは契約ベースでございます。それから貨物船は三百九十七はい、四十六万八千九百十三総トン、それからはしけ三百十九はい、四万四千重量トン引き船十六はい、荷役機械百五十六台、これだけのものを建造またはつくったわけでございます。
  9. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 わかりました。  代替建造する場合、例のスクラップ・アンド・ビルド——これを船舶整備公団という名に衣がえしたころは、朝鮮戦争以後非常に船の建造が盛んであった結果から、相当な係船があって、各港にひしめき合っていたときだったと記憶しております。ところが、スクラップ・アンド・ビルド建造を進めてきたのですが、現在は係船というものはどういうふうな状況になっておりますか。
  10. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 最近におきましても、内航対策が始まりました三年前には、係船を国の助成で実施いたしましたが、現在は係船はございません。
  11. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、いまでもスクラップ・アンド・ビルド制度はおとりになっておるのですか。
  12. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 現在でも、公団船につきましてはスクラップ・アンド・ビルドをやっております。
  13. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 いま、係船が非常に減少した、ほとんどなくなったという御答弁ですが、にもかかわらず、やはりスクラップ・アンド・ビルド制度を引き続きやっておられる。したがって、建造をやろうとする場合に、スクラップの船をさがすのに非常に困っておるようなうわさを聞く場合があるのですが、そこでスクラップ用船価が非常に高くなっておるというようなうわさを聞くのですが、もしそうだとすれば、一体スクラップ用船価というものはトン当たり幾らでこの際建造しておるのですか。
  14. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 国内貨物船は、御承知のように非常に過剰状態でございまして、これが内航の非常な不況の原因をなしたわけでございます。それで、内航海運業法あるいは海運組合法に基づきまして、船をつくるときには必ずスクラップをつけていただきたい、それから船舶公団法も、船舶解撤して新しい船をつくる、こういうふうに法律にもございます。古い不経済船船齢をこえた船あるいは不経済になりました船をつぶして新しい船をつくらす、こういうやり方をとってまいりました。これでだんだんと内航の船腹需給バランスに近くなってまいったわけでございます。しかし、これを解消しますと、また船腹が非常にふえてしまう、こういうおそれがございますので、現在でも解撤を義務づけておるわけでございます。このためにスクラップの価格が若干値上がりぎみで、過去におきましては非常に高かったこれをいろいろな操作をいたしまして、だんだんスクラップの値段を下げるように行政指導をしてまいっておるわけであります。
  15. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、いまでもまだ内航関係船腹過剰ぎみだ、こういうふうに考えておられるわけですか。
  16. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) まだ内航の船腹過剰状態、特に貨物船につきましては、まだ過剰状態である、このように考えております。  それから、船腹需給バランスを保つためのいろいろな制度をもしやめますと、一ぺんにまた船腹がふえてしまうというおそれが非常に強い、このように考えております。
  17. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 一ぺんにこれをやめたらと私は申し上げているのではなくて、一つ条件があるでしょう。その条件を少しでも何か緩和する意思は全然ないのかどうか。端的におっしゃってけっこうです。
  18. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) スクラップの比率でございますが、従来は、整備公団につきましては、一の船をつくるのにつきまして、一・五の解撤を要求してまいったわけでございます。しかし、船腹需給バランスが前よりだいぶとれてまいりましたので、この解撤比率を漸次下げてまいりたい、このように考えております。
  19. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 今度この法律を改正するための条件として、造船技術あるいは船用機器などに関する技術革新が急速な勢いで進歩を遂げてきている、そのために在来貨物船が不経済船になりつつある、そのためにどうしても船舶自動化、あるいは船体の引き伸ばし、あるいは船用機器の取りかえなど、そういうことの処置を講じながら、経済性を高めていくのがこの法律改定のねらいだ。したがって、そういうことをやれば、流通コストにも非常に大きな影響が出て、低減する。流通コストというのは、やはり運賃がそれだけ下がる。下がるということは、場合によっては物価政策の面でも非常に違った面から協力するのだ、こういう意味だろうと思うのですが、ただ、私はここで考えるのは、この程度のことで、あなた方がおっしゃるほどの効果が出るのかどうか、もっと何かはかに考えられる道はないのかどうか、そういうことでこれを読みながらちょっと何か不審な念が起こってくるのですが、どうなんですか。
  20. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これは先生のおっしゃいますとおりでございまして、私たちもこの改造だけで国内船合理化をするのではございません。これは船舶公団の四十四年度の予算にも二十五億の新造船建造予算が案としてついております。今後つくる船が非常に合理化した、自動化した、船員の配乗が少なくて済む船、それから荷役の便利な船、このようなものを一定の基準をきめましてつくらせてまいりたいと思っております。内航の合理化は、基本的には、新しい新造船建造によってやってまいるわけでございますが、四、五年前につくりました貨物船は、これはつぶすにはまだ惜しゅうございますし、そうかといって、その間の技術進歩で、たとえば乗り組み員の数が千六百総トンぐらいの船で従来二十五名乗っていた。最近つくります船は、十八名ないし二十名でいい。すでに同じ船で、五年の期間がたっておりますために、五名少なくて済む。こういうふうに技術進歩しておりますので、四、五年前につくりました船は、この改造融資をして、経済的な船にかえていきたい、こういうふうに補足的に考えているわけでございます。
  21. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 では、融資条件ですね、これは今度の場合の条件と、前からずっとあります融資条件、これが違っていたら、両方ともお知らせ願いたい。
  22. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 新造船条件のほうは、その船価の七割を船舶公団が共有という形で持つわけでございます。実質的には、経済的な実質はそれだけの金を貸すわけでございます。それを船齢期間の中で均等償還をさせる。金利は八分二厘でございます。それから今度の改造融資は、これは実質的にもまた形式的にも融資で、一年据え置きでそのあと五年間の均等償還金利は同じく八分二厘、こういう条件があります。
  23. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 新造船の場合の償還期限はやはり六年なんですか。
  24. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これは船齢期間でございますから、貨物船ですと、内航の大型船は、貨物船が十八年、タンカーが十六年ということに相なっております。小さな船は、もうちょっと船齢が短くなっております。その船齢期間内に返させるということでございます。十八年、十六年というふうに相なっております。
  25. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、今度の貨物船改造をやるために融資する分については、たとえば船の型を大きくするためにつくり足して延長するとか、こういうふうなことが書いてありますね。そうすると、寿命はおおむね六年なんだという判断に立ってのことなんでしょうか。
  26. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) いえ、寿命は六年ということでございませんで、金額が船の建造の場合に比べて非常に少ないわけでございます。改造は一件当たり融資額が、これはいろいろ改造の内容によって違いますが、五百万円から三千万円程度であろう、このように考えております。したがいまして、建造の場合のように長期の返済期間を要しない。それで一年据え置きの五年ということであれば十分に返済できるであろう、このように考えたわけでございます。
  27. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 利率年八分二厘ですか、これは私は決して安いとは思わないのです。これは私が言わぬでも政務次官一番御承知なんだが、政府出資が多いのか、少ないのか、あるいは資金運用部資金が多いのか、少ないのか、公募債が多いのか、少ないのかによって金利はおのずから変わってくる。そこで、後ほど申し上げようと思ったのだが、一体公団に対する政府出資資金運用部資金融資と、それと公募債の、その金額はどういうふうになっていますか。ごく近い事例でいいです。
  28. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 四十四年度の予算で申し上げますと、資金運用部資金が十二億、それから公団債政府保証債が四十七億、それから自己資金が六億、合計で六十五億の事業規模に相なっております。
  29. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 自己資金六億というのは、政府は六億しか過去において出資してないということですか。
  30. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 政府出資は別に五億ございますが、これはまた全体の事務費その他のほうに相なっておりまして、事業費としての六億は、これは公団貸し倒れ準備金その他の形で船舶公団に内部留保されている金でございます。
  31. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 答弁がそちらのほうに行きましたから、ついでだからそちらのほうからお尋ねいたします。公団はいままで十年近い間運営してきておられるのだが、これは相手が中小企業者ですから、必ずしも回収がいいとは私も思いません。思わないのだが、大体回収率はどういう状況ですか。
  32. 林坦

    参考人林坦君) お答え申し上げます。  船舶整備公団回収状況は、まあ私から申すのも何でございますが、きわめて良好であると考えております。貨物船及び港運船荷役機械等につきましては未収というものは全くございません。ただ、お話しのございましたように、旅客船につきましては若干残っております。未収金が全体からいえばほんのわずかではございますけれども、陸上交通が便利になったといったようなところ、その他離島関係あたりで現在までにたまっておりますのが三千五百万円くらい未収になっております。ただ、船舶整備公団といたしましては、先ほど海運局長から御説明申し上げましたように、貸し倒れ準備金といいますか、そういったものをわずかばかりの利幅の中から積み立ててまいりまして、それが大体自己資金として、すでに使っておりますけれども、今度自己資金としてあげられた程度あるわけでございます。
  33. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 その辺がどうもはっきりしないのだが、貸し倒れ引き当て金として積んである金が六億以上あるから、それはそこまで貸し倒れがよけい派生しようとは思われないから、うち六億は使ってもよろしいぞという政府出資ですか、どういうことですか、その辺は。
  34. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これは政府出資ではございませんで、政府出資は五億、これは一般財投から公団に対する政府出資として出ているわけでございます。これはこの果実で、公団事務費その他を経理いたしておるわけでございます。四十四年度に自己資金として六億出ましたのは、先ほど申し上げました公団の中に貸し倒れ準備金として積み立てております。これはいままで六分五厘の資金運用部の金を借りまして、それで七分あるいは八分二厘の旅客船あるいは貨物船融資をしておりました。その残が公団の中に貸し倒れ準備金として積み立てを認められてきたわけでございます。この金がたまっておりますので、四十四年度の予算を組みますときに、今度新しく資金運用部から幾ら公団債幾ら公団の内部にたまっている貸し倒れ準備金を今度は取りくずして事業費のほうに回せ、こういって回ったものが六億、こういうことでございます。
  35. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 公団債のほう、これは利率幾ら
  36. 林坦

    参考人林坦君) 公団債は年利七分でございます。そのほかに、いろいろ発行の手数その他を入れまして、資金コスト七分三厘九毛になっております。
  37. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 七分三厘九毛なのに八分二厘お取りになる、こういうことに理解していいのですか。
  38. 林坦

    参考人林坦君) 利子は八分二厘でございますが、使用料計算のもとは八分二厘でございますが、それでは公団としましては多少取り過ぎるということになりますので、実は保険料の一部をこちらで分担するということにいたしまして、実質上七分五厘程度になっているわけでございます。
  39. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 どうも理解できないな。それはこういうことですか。公団がいろいろな事務経費とか、いろいろなもの要りますよね。貸し付けの業務とかあるいは調査とか、いろいろありましょうから、そういうものの経費も含ませると八分二厘でなければコストにならないという、コストはそういうふうになっているんだと、こういうことなんですか。
  40. 林坦

    参考人林坦君) いや、そうではございません。公団事務費につきましては、最初の五億の回転によります利益及びいまの資金運用部の金が六分五厘で公団に貸されております。したがって、七分五厘程度に回るならばとにかく公団の経理をまかない得るのでございます。ただ、最近になりまして、大部分を公募債にたよるということになりましたために、その利幅が、いまの七分三厘九毛という資金コストに対して七分五厘で回るということは、ほんの一厘ちょっとでございますので、非常にその点の利ざやは、利幅はなくなってきております。したがって、これをしばらく続けてまいりますと、いま申しましたような余裕金はなかなかできなくなるだろうと思いますけれども、過去において資金運用部の金を主として使っておりましたときの残りがございますので、いま言ったような状況になっておる次第でございます。
  41. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 政務次官、あなた大蔵省から入ったのですから、この政府関係金融機関金利をお調べになったことはありますか。
  42. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) まあ代表的に原資のほうの、供給のほうの資金運用部のほうで申しますと、払い出しが普通は六分五厘でございます。ものによりまして二、三のものについては七分ぐらいで出しておるわけでございます。で、受けました公団につきましては、各種の公団があるわけでございますが、これはそれぞれその融資の対象になる相手方によりましてそれぞれ金利を持っておるわけでございます。原則といたしましては、六分五厘以上の金利で出しておることは当然でございます。事務費その他をまかなわなければならぬわけでございますから、当然高いわけでございますが、御案内のように、農業関係で出しておる農林漁業金融公庫のようなものになりますと、六分五厘でもって貸しまして三分五厘で出す、その間一般会計利子補給をする、こういう操作が行なわれるのがございますが、通常は六分五厘。それから七分で借りますところは七分——それよりも相当高い金利、と申しましてもやっぱり政策金融でございますから一般市中金融より安いことは当然でございます。その幅の中で公団金融をやっていく、こういう実情でございます。
  43. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 海運局長に。政府出資五億、これがあと五億ふえたとかりにしましょう。そうして四十四年度の予算を見れば、公募債で四十七億、資金運用部資金が十二億と、こうなっております。これが逆に引っくり返った場合に、相当金利が低利化されるように思うのですが、先ほど私言ったのは、流通コストの低減に役立つのだとおっしゃるけれども、公団に対する政府思いやりがあるとはいえないのです。たとえば、そういうことになったら一体どういうことになりますか。金利の八分二厘はぼくは七分台でいけると思う。
  44. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) ただいま先生のおっしゃいましたように、もし五億の政府出資が出てこれを事業費に使うことができましたら、政府出資金利はゼロでございますから、ちょっと計算をしてみないとわかりませんが、相当低い金利になると思います。ただ、現在公団融資しております金利旅客船について七分、それから貨物船につきまして八分二厘でございますが、これがもう先ほど船舶公団理事長が言われましたように、保険料操作保険料の一部を公団のほうで持つというようなことで、実質七分五厘にしているわけでございます。そうしますと、他の一般政府金融機関金利に比べてみましてもそう高い金利ではないんじゃないか、このように考えております。
  45. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 私は六年か七年ぐらい前に政府関係機関金融関係コスト調査をしたことがあります。一番安いのは輸銀でしたよ。次に安かったのは農林漁業金融公庫だった。三番目に安かったのはたしか住宅金融公庫だったと思う。一番高いほうから言いましょうか。国民金融公庫が八分を抜いて一番高かった。次に高いのは公営企業金融公庫なんです。そうしてその次はおそらく船舶整備公団だろうと思う、高いほうで。なぜこういうことを言うかといえば、ややもすればわれわれ自由民主党は大きな企業の代弁に立って、零細なものに対する思いやりがないといつも言われている。こういうところから攻めてくれば言わざるを得なくなるでしょう。言われるのも無理ないと思う。いま政府次官言われましたように、農林省農業改良資金というのは百億以上です。これは無利子ですよ。ことしの農林漁業金融公庫の総資金ワクは二千二十億、農業近代化資金は三千億、三千億の中に六分と、農協あたりが営農団地やる場合は五分なんです。こういうことが片方——これをやっちゃならぬと言うんじゃありませんよ。堂々とまかり通って、これはおしかりを受けるかもしらぬけれども、きのう私は農林省金融課長と話したら、三千億消化できるだろうか、気が気じゃございません、と言っていた。片方にはそういうことが行なわれて、運輸省関係のたった一つ金融関係融資関係のものを、たった五億ぐらいの出資でほっておくということ自体が、思いやりがなさ過ぎますよ。しかも、船舶整備公団というのは、これはこの中に中小の、あるいは一ぱい船主なんかいるんだ、そういう人たちを救おうじゃないかというのが法の趣旨なんです。ここでおしかり申し上げるんじゃないけれども、こういうことに愛情がないから、われわれが選挙のときなんかいつもとっちめられるんだ、野党のほうから。(笑声)たかだか五億や十億……。これは国鉄にも言えますよ。国鉄のところで言おうと思っているんだ。どかんと——農業近代化資金は、三年前は六百億、それから八百億になって、ことしが千二百億だったのを、やけのやんぱちであと千八百億くっつけて三千億になっている。そんなのが片やまかり通って、これは言うちゃなんだけれども、私は与党だから。船舶整備公団林理事長以下、たった十二億ついた資金——資金運用部資金の十二億で涙流さんばっかり喜んでいましたよ。これは政務次官大蔵省出身だから特に私は申し上げているんです。こういうことがあってはならないと思います。いま申し上げますように、公募債なんかやめちゃって、資金運用部資金か、政府が毎年五億ぐらいずつ出資していけば、うんと金利は下がりますよ。これは必ずしも運輸省だけじゃない。通産省あたり国民金融公庫金利が一番高いなんということ、そういうことなどは、われわれが痛めつけられる原因、動機が出ているんだ、政府のほうから。だからね、こういうことなどはもっと思いやりを持ってやっていただかないと、ほんとうに私どもはせつないのですよ。どうですか、政務次官
  46. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ただいま谷口先生のおっしゃいましたことは非常に大事な点をついておられると思うのであります。おそらく公団、公庫三十幾つにわたると思いますが、実際その公団、公庫を通じて融資を受ける人の実質金利が一体幾らになっているのか、これが問題のポイントでございまして、その計算はいま先生は、主として財投あるいは政府の保証債の金利、そういうところから論じられたわけでございますが、もちろんこれを全体計算する場合には、そのほかの無利子政府出資、あるいは産投会計からの出資がどれだけのウエートを占めるかというやつを全部入れまして加重平均しまして、どれだけ国として利子補給をしているか、結果として公団、公庫から受ける人がどれだけの金利負担をやっているかということにつながる問題だと思うのでございます。まあ概して申しますと、公団、公庫のこのほうはわりとうしろ向き金融が多いわけでございまして、そういう意味の政策金融をやっていますと、どうしてもその採算の問題から、ともするとその補給率は高くなる。してがって受けるほうの側から申しますと、かなり低い金利でいいということになるわけでございます。運輸省の関係いたしております外航船舶につきましても、今度は開銀融資については六分負担をするということで一分の利子補給がなされておる。これに反しまして、かりに零細のものでございましても、考え方として経済ベースでいけるということにつきましては、わりとその点、先生御指摘のように低い金利にはなっていないというところに一つの問題があると思うのでございまして、経済的に成り立つのかどうか、経済的に成り立つにしてもより政策的にもう少し安い金利を出したらどうか、ここが一番考えの分かれる点であろうかと思うのであります。まあ国の財政投融資全体の問題でございますので、おっしゃる点は非常な重要な点でございますが、さらにそういう点を絶えずわれわれは注意をもちまして総合的にやはり見ていく。もっと安くできるものでありますれば、極力バランスのとれた安い金利で供給をしていくということは大事なことだと思いまして、御指摘ございますので、せっかく今後検討させていただきたいと思います。
  47. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 これで終わりますがね政、務次官、ぼくはもっと愛情のある答弁が実はほしかった。私から言えば、全くそのとおりだと——私は、ここで聞いておられる与野党の人たちも全くそのとおりだとお考えだと思う。ただ弱い者いじめになるような数字が表面に出ることは、私はいかぬと言うのですよ。さっきも申し上げましたように、国民金融公庫金利が一番高かったり、あるいは公営企業金融公庫金利が一番高かったり、なぜ高いだろうと思って調べてみれば、政府出資が少ないというのと財投がないのだと、ここに原因があるのですよ。そこがわかっているのだから、大蔵省なんかわかっているのは、やっぱりそういうところに少し愛情を示していただかないと、これはわれわれ政府をつくっている立場の者はほんとうにつらいのですよ。どうですか、ひとつこの問題について来年あたりはもっとがんばって、結果において話を立てますとおっしゃれませんか。
  48. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほども申しましたように、検討いたします。ただ、従来の考え方で申しますと、先ほど申しておりますように、規模が大きいとか資本が大きいとかいうことよりも、どうしてもうしろ向き金融のものですから、安い金利を出さないと再建がむずかしい、こういう角度で主として金利がきめられているわけでございます。いま御指摘になりました中小金融の話でございますが、もちろん、国民金融公庫あるいは中小公庫等で出します金利は市中金利より安いことは当然でございますけれども、それにしてもいわゆるうしろ向きの政策金融に比べますと、総じて申しまして一般的に高い金利になっている。ここが問題点であり、しかもその考え方が、その基本が問題だと御指摘になったのだろうと思いまして、その辺を十分今後検討していく必要が運輸省においてもあるものと存ずるのであります。
  49. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 これは政務次官、大臣に言って、閣議でおっしゃってもらいます、総理に。あるいはこういうことを総理は御検討いただいたことがないかもしれぬ。それでいて口先ばかりで中小企業の金融をうんと見てやるのだと言ってみたって、中身を洗ってみれば、他の政府関係金融機関に比べて高い金利だという、その一つでどんな思いやりも消えちゃうんです。これはあなた聞きおくだけじゃなくて、大臣を通じて閣議あたりで取り上げてください。私は、通産大臣もこれは同感だと思う。この問題をお願いして、私の質問を終わります。
  50. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと関連して。いま金利が高い安いの議論を聞いておりまして、ぼくは基本的な問題でちょっと伺っておきたいのは、この措置はだれのためにやりているんです。要するに過剰船舶に悩む業界のために、この業界を救済するためにやっているんですか。その目的ですね、だれのためにやっているか。
  51. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) この改造融資は、中小企業である内航業者の救済のためでございます。
  52. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はね、そういうふうな基本的な考え方だから、いまのような議論が出ると思うんですよ。これはね、もちろん、この措置をとる過程において中小企業の救済にもつながるでしょうけれども、やはりすべて、政府政府資金まで出してこういう措置をとっているというのは、この合理化方策を通じて国民経済に寄与しようという目的を忘れているんじゃないかと思う。これを通じまして、先ほどから伺いますと、いまの老朽船舶を新鋭船舶に切りかえる、これは要するに非能率な船舶を能率的な船舶に切りかえるということは、そこでコストが下がるわけです。もう一つ大きなことは、幾ら能率的な船舶をつくりましても、企業は稼働率の問題ですよ。稼働しなければ、幾らいい船を持ったって何にもならぬわけです。月に三航海するものが四航海になるとか、いままで一航海のものが二航海になるとかいうところに大幅にコストダウンするわけです。それでね、国民経済に、そういうわけで運賃のコストダウンで寄与しようということが大きな国家目的です。そういう観点から議論すれば、いまの金利が高いじゃないか、船舶業界だけの救済のために使っているのじゃないのだ、これを通じて運賃を合理化するのだ、たださえだんだん物価が上っているときに、少なくともこの際に運賃はもっと下げる可能性があるのだというところに結びつかなければいかぬと思う。結びつけばいまのような議論になってこない。私はいま伺いましてね、業界の救済のためにやっているのだと言うから、たとえそれが中小企業であろうと、業界なんというのは国民全体から見れば一握りの問題です。こういうものに対して、はたしてそれだけの非常に資金不足のときに国家資金を使っていいかどうかと  いう議論も別に出てきますよ。私はそうだと思う。  そこでもう一つ伺いたいのは、いまの合理化を進めていく上において、船舶の需給——需要量というのがやっぱりあると思う。その需要量に対していま供給が多いわけですね。その需要量をどういう計算をしておられるか。同じ十万トンなら十万トンの需要量に対して、船舶が新鋭化していけば、十万トンでなくて八万トンでも七万トンでもやれる、そういうことを計算して需要量を立てておられるかどうか、その需給のバランスというのはどこに押えておるか。
  53. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これは内航海運業法という法律がございます。国会でおきめいただきました。この内航海運業法に基づきまして、向こう五年間の適正船腹——これは毎年改定しております。五年間の適正船腹量というものを算定いたしております。この算定は、いま先生おっしゃいましたように、船舶の稼働率その他を基礎にいたしまして、それから、経済企画庁でつくっております。国民経済の伸びというものから船腹の需要量を出しまして、そして適正船腹量というものをつくっているわけでございます。これと現実の船腹とを常に比較いたしまして、現実の船腹のほうがふえそうであれば、その建造を規制する。あるいは、船を新しくつくる場合には、必ずスクラップさせるというような措置を講じて、全体の船腹の需給のバランスをはかりながら、しかも、その中の船はどんどん合理化して新しいものにかえていく、こういうことをやっているわけでございます。
  54. 河野謙三

    ○河野謙三君 関連ですから、私はまたあらためて別の機会でもいいんですが、具体的に伺いたいのは、いままでの需給の計算というものは算術計算で、いま一方において、百万トンあるから、今度はこれを百万トン、内容は変えるけれども百万トンは百万トンだという計算をするのが多いんですよ。そうじゃなくて、百万トンの老朽船舶が新鋭の船舶になれば、五十万トンでもいいんだ、極端にいえば三十万トンでもいいんだ、こういう内容の需要量というものを計算しているかどうかということです。それは具体的にどうなんだということです。
  55. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 稼働率は、先生おっしゃいますように、古い船と新しい船とは違って稼働率を計算いたしております。それで運輸省で出しております内航海運業法に基づく船舶の適正船腹量というものは、大体経済の実態に即応している、このように考えております。
  56. 河野謙三

    ○河野謙三君 それではその資料をひとつこの次までに出していただくことにして、私は重ねて申しますけれども、幾ら新鋭のものをつくりましたところで、それがやはり稼働率が上がるということでなければこれは宝の持ちぐされで、そういうことをいままで繰り返しているから、般は新しくなったけれども少しも運賃は下がらない、こういうことを過去においては繰り返しているわけです。それは新しいものを持ったって動かないんだから。そういう意味で、私はこの点資料をひとつ御要求申し上げて、また、場合によっては質問いたします。  たいへん失礼いたしました。
  57. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日は、この程度といたします。     —————————————
  58. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  日本国有鉄道の運営に関する件、航空行政に関する件、福島県郡山市における磐光ホテルの火災事故に関する件等について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  59. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄の機構の問題について質問したいと思います。  いま国鉄が東京鉄道管理局を三分割をするという方針をとっており、先般大きな広告を新聞にまで出しました。そこでそのことについて特に質問したいのでありますけれども、組合が三分割反対でストライキをやる。もし労使双方の話し合いがつかない場合には、三月一日にストライキが行なわれるということも伝えられているわけであります。こういう緊迫した事態にありますので、なぜ三月一日に東京鉄道管理局を三分割しなければならないのか、三月一日を期して三分割をしなければ、国鉄の運営はどうにもならないような破綻に落ち込むような具体的な現実があるのかどうか、そのことについて副総裁にお伺いしたいと思います。
  60. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 最近、国鉄の業務組織、ことに首都圏の国鉄の業務組織の改変につきましていろいろ新聞紙上等にも出ておりますが、いまの御質問に答弁いたします前に、ごく簡単にアウトラインだけ申し上げますと、現在、東京鉄道管理局は約五万人の人間を持っています。今度おかげさまで東北線が複線電化いたしまして、青森まで完全に輸送力が拡充したのでございますが、この際に、東北線が数個の管理局で管理されているということが、いわゆるラインシステムと申しますか、線別管理の上からいって非常にまずいということで、現在、群馬県の高崎の鉄道管理局で所管しております東北線の大宮と白河の間を首都圏に入れたい。そしてそれを東京鉄道管理局と一緒にいたしまして、これを方面別に、すなわち東北方面、それから中央線——西の方面及び東海道、この三方面に東京鉄道管理局を発展的に解消させよりというのがこの分割の目的でございます。何と申しましても、全国鉄の旅客輸送量におきましては約半分、貨物におきましても三〇%をこの首都圏で輸送しておりますので、首都圏の業務の運営、あるいは業務運営を遂行いたします私どものほうの運営組織というものは、すなわち国鉄の死命を制するほど重大な問題でございます。これにつきましては、実は昭和三十七年に非常に申しわけない三河島の事故を起こしましたときに、衆参両院の委員会におきましても、国鉄の業務管理組織、すなわち十五年ほど前にいろいろな理由で占領下に無理やりに統合いたしました組織に無理があるのではないかということが、当時、私も担当しておりましたのでよく承知いたしておりますが、三河島の直後、非常に国鉄の業務組織について再検討しろという御意見が多々ございました。その際に私どももいろいろ考えましたが、まあとりあえずは現在の東京鉄道管理局のまま内部機構を強化するということによってやっていくということで若干の手直しをして、その後、今日に至っておるわけでございますが、不幸にして昨年国民に非常にひんしゅくを買いましたいろいろな忌まわしい事故、たとえば酔っぱらい運転だとかあるいは寝坊だとか、何と申しましても恥ずかしくて申し上げられないような事故が続出いたしましたが、これらを詳細に分析いたしますと、その原因一つにはやはり管理組織の不十分な点があるということを私自身で率直に見てまいったわけでございます。ここで、したがって、実は昨年の十月一日に大時刻改正をいたしまして、東北線の問題その他が一応ある段階に達しましたときに思い切って組織改正をやりたいというふうに思っておりましたが、何と申しましても非常に大きなダイヤ改正でございましたので、しばらくダイヤ改正のおさまるのを待とうということで、昨年十二月四日に東京鉄道管理局並びにいまの東北線の管理を一括してひとつ考え直そうということで、部内に委員会をつくりまして、そして鋭意今日まで検討してまいりました。  以上が概略でございますが、ただいまの御質問の、しからばそれを三月一日になぜやるかという御質問でございます。もちろん組織というものは非常に流動的なものでございますし、国鉄のように毎日毎日動いているこの組織というものは、ある時点で変えるということにはいろいろ問題がございます。ただ、やはりまず区切のいいときにやるというのが一つの問題でございます。それからもう一つは、これはたいへん部内の問題で恐縮でございますが、私のほうは一月から二月にかけて内部の定期異動をやっております。数千人にのぼる定期異動をやります。その定期異動とともに組織改正をやるのが最も人事運用上好都合である。あるいは四月におきましては、いま国会で御審議願っております運賃法の改正等もございまして、それの現場の指導等は非常にまた多端をきわめる仕事でございますし、また二月は人事異動の最中であるというふうなことから、ここにいろんな情勢を客観的にながめ、また率直に申しますれば、職員の子弟の学校へ入学の時期等まで考えまして、三月一日を最も適当な時期というふうに考えた次第でございます。
  61. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 三月一日を適当な時期と考えたという理由は、子弟の入学とかあるいは異動とか、こういうことを言われましたけれども、問題は、三月一日に三分割をしなければ国鉄の運営に困るといったような事態があるのかどうかということなんです。どうも話を聞いてみますと、三月一日ときめたから準備不十分であろうと何であろうと、しゃにむに三月一日を期して看板のかけかえをやらなければならぬ、こういう意思が働いているように見えるわけです。それで、そういうことであると、私は無理をすれば必ず問題が起きる。大学の紛争だって、私は、権力を固持しようと大学がすればするほど学生が反発をするのじゃないか。大学問題の真相はいろいろあるから一がいに言えませんけれども、機構の問題だって、たとえば、一つの管理局を二つにしよう、三つにしようといったようなことは、直接労働条件にかかわり合いがない限り、組合がそんなにむきになって反対をするはずは、本来ならないわけです。ところが、それを拙速をたっとんでしゃにむに三月一日ときめたから三月一日を強行するのだというようなことをやろうとすると、そこに反発が出てくる。いろいろ内部的に準備の不十分な問題が多々出てきて、それが結局は、言うことを聞かれないならば、じゃストライキで反対するぞというところまでいってしまうのじゃないか。言うならば、私は平地に波乱を起こすようなまねをあえてやっているのじゃないかという気がするわけです。それで、しかも、聞くところによるとあっせん中であるということも聞く。問題は、三月一日に看板のかけかえをしなければ汽車がとまってしまうのだ、こういう事態があれば別なんだが、そうじゃないのだ。そうだとすれば話は別だ。そうでないとすれば、何でしゃにむに三月一日を期してやらなければならぬのか、ストライキまで引き起こしてやらなければならぬのか、その必要性というものを私はちょっと理解できないわけです。その点をもう一度お伺いしたい。
  62. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま申しましたとおり、今度の組織改正は新しい国鉄と申しますか、いままでの面を中心とした管理から、ラインを中心とした管理に移り変わるということ、その意味では、昨年の十月一日約一兆四千億を投じてやりました大時刻改正とうらはらであります。したがって、本来ならば、なるべく早くやるのが当然のことでございます。すなわち、突然として起こったことでなしに、事柄的に見れば昨年の十月一日のダイヤ改正の裏と申しますか、裏づけの話であり、もう一つ本質的に申しますれば、三十七年の三河島事故以来の懸案事項でございます。それを諸般の情勢から申しまして、事務的にわりあいに手のすいているときというか、四月、五月はとてもだめだ、二月は人事異動でできないというふうに毎月ずっとたどってまいりますと三月一日しかない、そうしてなるべく早くやったほうがいいことは当然なのでございますが、これ以上早くできない、一番早くできるのは三月一日だ、こういう意味でございます。
  63. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょうは、あまりこまかく突っ込んで聞く気はなかったのでありますけれども、いまの御答弁に関連して、ちょっと私のほうから疑問点が浮んだことだけを指摘してみましても、東鉄は五万人の大世帯であると、こういうふうに言われる。しかしこれはいま始まったことじゃない。この大世帯で困るというならもっと早くからそれじゃ分割の方法を考えてしかるべきじゃなかったかと考える。ところが突如として今回三月一日を期してやらなければならぬとするところにどうも理解のできない問題がある。  それから大宮−白河間を首都圏に入れたいということなんですけれども東北本線が複線電化がなったというけれども、大宮−白河間なんてとっくの昔に複線電化になっておる。東北本線の電化が完成したのは青森近辺が先ごろ完成したわけです。してみると、大宮−白河間を首都圏に入れなければならないということもいま始まったことじゃない。そうすると、大宮−白河間を首都圏に入れたいということが一つの動機であるならば、東北本線と同時に上信越線も同じような構想に立たなければならぬわけでしょう。東北線は白河まで首都圏に入れるけれども、上信越線は大宮でもって首都圏からはずしてしまう。高崎管理局にあとは所属しておるということで、まことに不可解な話です。これは理屈にならぬと思います。  それから今度は東鉄に非常に事故がたくさんあった、たくさんあったというよりも五万人の大世帯であるがゆえに事故がたくさん出てきたかのようにさっき聞き取れたのですが、それでは高崎鉄道管理局内の事故は説明がつかない。ほかの小さな局であっても事故はある。事故というのは、私は、個々の例をあげるならば中にはごく例外的な場合に酔っぱらい運転であるとか、けんかであるとかいうことはあったかもしれないけれども、事故の大部分が酔っぱらいではない。事故のうちの一例にすぎない、酔っぱらいというのは。そうすると、昨年の十月ダイヤ改正以後急カープに事故がふえている。しかも、それは東京鉄道管理局に限らない。こういうふうに事故が急増しているということは、やはりどこかに無理があったのじゃないかということを管理者として反省しなければならぬと思う。その反省をしないで、事故があったのはおれたち幹部の責任ではない、現場のやつらがみんな悪いのだという態度をとるのは、私は間違いだと思う。やはり事故が急カーブでふえたということは、それなりの理由がある。なるほど、中には酔っぱらい運転その他のミスも一例としてあったかもしれない。しかしそれが総体的な事故の原因ではないわけなんです。そこにダイヤ改正の無理ということも考えていかなければならぬと思う。事実、十月のダイヤ改正以後一、二カ月というものは時刻表どおりに列車が運行されなかったでしょう。私は利用しているからよく知っている。まともに走った汽車に乗ったことはない。そういう状態があった。今度の三月の管理局の分割にしたところで、準備不十分のまま無理押しすれば、しかもそれが、四月の運賃改定どうなるかわかりませんけれども、こういうときにぶつかればまたごたごたするのじゃないかということは、だれが考えたって考えなければならぬことですよ。そうすると、 やはり周到な準備をした上で、内部的にも十分納得をした上で移行すれば平地に波乱を起こさないで済むものを、何か突如として無理押しをしてがむしゃらにやるというところに、私は無用のトラブルを生ずる原因があるのじゃないかという気がするわけなんです。しかも、これがストライキにまで発展をするということになると、まことに管理者として手ぎわの悪いことになると思う。幾らストライキやってもかまわないのだと、おれのほうはそれをいいチャンスにしてどしどし処分をしていくのだという、こういう意見が内部にあるならば、これはあらためてわれわれも考え直さなければいかぬと思うのですか、その点どうなんですか。
  64. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の中で、突如としてというおことばがございましたが、それは私、冒頭に申し上げましたとおり、三十七年の三河島のときにこの問題が論議されたことは先生承知のとおりでございます。あのときすでに具体案をつくりまして、あのときは東京鉄道管理局を二つに分けようという案までできたことは御承知のとおりでございます。決して突如として起きた問題ではございません。しかも、今回の具体案につきましては、実に一年有余の間検討に検討を重ねましてやったことで、突如としてやったことでは決してないということだけは、過去の、残念ながら私のほうの事故記録、その際の国会の御審議等ごらんくださればはっきりしているところでございます。  第二番目の東北線の問題でございますが、先ほど私のことばが足りなくて誤解をいただきまして、たいへん恐縮でございますが、なるほど、上野−白河まではもうとっくに複線でございます。しかしながら、盛岡から青森までの複線電化が完成しましたことによって、東北線の使命は非常に急激にふえてまいりました。いままで裏縦貫を回したものを東北線に回す、あるいは常磐線を経由したものを東北線に回すということで、東北線の輸送量は青森−盛岡間の複線電化の完成したことによって非常に使命が変わってきております。しかも、国鉄の貨物輸送はだんだん輸送キロが伸びております。東北と東海道あるいは東北と京阪神というもののつながりは非常に密接になってきております。あるいは、もちろん東北線のもっと奥にある北海道についてもしかりでございます。したがいまして、上信越のほうはどっちかと申しますと、信越線になりますと主として北陸経由で阪神、名古屋方面と連絡がつきますし、上越線の奥は御承知のとおりわりに浅うございます。したがって、上越と東海道の授受——受ける授ける、というものと、東海道、東北線の授受とは全く分量が違っております。したがって、東北線につきましては、貨物の面から申しましても、これは首都圏——首都圏と申しますとすく旅客だけをお考えになるかもしれませんが、貨物輸送のほうから見ましても、東京を通過する首都圏輸送の上からいって、非常に大きな使命ができておりまして、それは御想像以上に昨年の秋以来東北線のウエートは日本の国内の幹線輸送の中で変わってきております。したがって、私は、今回、高崎鉄道管理局がその間に入るといこうとは非常に管理上まずい。現に先生の御指摘になった昨年の時刻改正以後の一番大きなことは、やはり東北線の輸送がうまくいかなかった。それは高崎の鉄道管理局が遠隔な地から管理しておったということに原因がございます。一時的に、御承知かどうか存じませんが、東北線を一時、東鉄の支配下に置きました。そういう便法まで講じまして実は東北線を新しい使命に邁進さしたわけでございますが、その意味から申しまして、白河まで入れましたことは、決して上野−白河間だけのことを考えているものではなしに、東北線並びにその奥にございます北海道を考えてのことであるということを申し上げます。  それから事故の問題でございますが、なるほど確かにそれは最近事故の絶対数は数年ふえております。しかし、これは列車の走行キロと申しますか、列車の走るキロ数の対比で申しますれば必ずしもふえておりません。ただ、その事故の中で、私どもといたしまして全く外に弁解のできない事故——たとえばある程度天災が入っている事故、あるいはどうしても機械に対する習熟の不十分、あるいは機械の未開発等のために起こる事故、これならばある程度の外に対する弁解ができるといたしましても、全く弁解のできない事故がございます。ほんとうに私ども出るところに出て、赤恥をかいて頭を下げる以外に、私どもの不明をわびる以外にない事故がございます。これは御承知のとおりでございます。昨年起こりました事故の中で、先ほど先生の御指摘になったような事故は残念ながらその範疇に入るものではないかというふうに考えます。そういうことはやはり、先生おっしゃいましたが決して私は現場の人にそれを押しつけるということではなしに、私自身が事故防止対策委員会委員長として処分を受けております。その意味で、決して私は現場の人の責任であるということでなしに、私以下全部の職員の責任である。その責任を全うするためには、やはりある程度の、管理組織をほんとうに管理できる組織にしなければ私自身が責任を負えないというたてまえからいたしましたものでございまして、決して私は、昨年における過去の処分の実績をごらんくださいましても、私自身が現場の末端にのみ責任を負わせたということはないということを、私、責任者としてはっきり申し上げます。
  65. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょう特に取り上げたのは、東鉄三分割の問題が一つの導火線になってまたストライキといったような事態に発展をするということをおそれるので、そのことについて私は特に質問をしているわけです。  それで、国鉄の問題全般について質問するとたいへん時間をとりますから、そのことについてあえてこまかく立ち入らないで、この問題に限って言っているわけなんですけれども、三月一日といったように日限を切るという一応の考え方は理屈の上からわからぬわけではない。しかし、三月一日が最良の日である、これをはずしては期日がないということではないと思います。ほかのことと違って。それは問題によっては三月一日なら三月一日にどうしてもやらなければ困るという問題もあるかもしれませんけれども、看板のかけかえを三月一日にやるけれども、実質的には、内部的な分割が地につくといったようなことはかなり先になるのじゃないか、しかも、その間に運賃改定その他の問題が起こってくる可能性もあるということであれば、私は、いまそのトラブルを起こしている問題というものをもう少しすなおに受けとめる必要があるのじゃないかと思う。たとえば山手線を三分割をするということは一体どういうことなんだということを聞いてみても、管理者側の立場にある人でも、私が聞いた範囲では全部首をかしげておるわけです。こういう問題が一例をあげただけでもあるんです。したがって、こういう問題がすっきりしないで、がむしゃらにとにかく当局の権力を誇示をするという一つのメンツに立って三月一日を強行しようと、ストライキを起こしてまでも強行しようという腹が私にはちょっとわからぬわけです。だから、なぜそれを無理にやらなきゃならぬのか、なぜこれをもう少し話し合いを持って、労使双方の間に話し合いを持ってストライキを避けるように、あっせんの中にもそういう勧告はあるんじゃないかと思うんでありますが、そういう配慮をしようとしないのか、その点が理解できないから、その点を再度お伺いしたいと思います。
  66. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 三月一日の問題につきましては——それに入ります前に山手線の具体的な問題がございましたので、それだけ最初に申し上げますと、電車輸送というものは御承知のとおりきわめて定型化したものでございまして、現在でも、たとえば総武線は東京と千葉の管理局でやっておりますし、また、極端な例で申しますれば、神戸の地下鉄等は一切車を持っておりません。そしてそこには四社の私鉄が乗り入れております。したがって、電車輸送におきましては、線路の分担と車両の分担が違うことはふしぎなことでも何でもない、あたりまえのことでございまして、山手線は線路がどこの局で、車はどこの局だからおかしいという議論をする者がもし私どもの部内から出ているとすれば、それは残念ながら知識の低い人ではないかというふうに私は思います。現に、東京でも地下鉄の相互乗り入れもやっておりますし、また国鉄でも地下鉄の相互乗り入れをしておりまして、線路と車は別々でございます。したがって、山手線が三つに分かれようが四つに分かれようが、その線路の保守と、その上を走る電車とは別でちっともおかしくない、現にそういうことをたくさんやっておるわけでございますし、また当然電車輸送というのはそういう性格のものであると私は考えております。  それから、三月一日の問題につきましては、先ほどるる申し上げましたが、私は一番早い機会がいままで待ちに待って三月一日だということを申し上げたんでございます。これを延ばすとか何とかいうことは毛頭考えておりませんし、何もメンツとか何とかいうことでなしに、やはりいままでいろいろ準備に準備を重ねて最も実現のできる近い日、それが目的に沿った日というふうに考えて、三月一日を変える意思は毛頭ございません。
  67. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 じゃ私のほうから再度申し上げますが、国鉄がはたして今日、本来の使命に忠実に仕事をしておるかどうかという疑問は個々に指摘をすればたくさんあると思うんです。たとえば、昨日衆議院の予算委員会分科会で石田総裁は、質問に答えて、いまの通勤事情の問題についての質問に答えて、あれは定員の何倍も乗っけているけれども、別に法律違反というものではないんだ、しり押しをしているのはあれは乗れない人間を乗せるように手伝ってやっているんだ、いやなら乗らないでもらえばいいんだと、こういうことを言ったですよ。いやなら乗らなきゃいいんだと、これはずいぶん私は問題だと思うんですね。乗るほうが悪いんだ、込んでいるのが通勤電車で、超満員になるんだ、乗っているのは、乗るのが悪いのであっていやならやめろと言うんです、端的にいえば。この精神が今日の国鉄の運営について全般を支配している考え方であるということであれば、昨日は衆議院の予算分科会で質問者は時間を区切られておって、それについての突っ込んだ質問が十分にできないままに終わっておりますけれども、国鉄の経営に関する根本的な考え方が、私は、公共性に徹していないということになろうと思う。それと同時に、この東鉄の三分割の問題についても、話し合いを十分にやっていけば何も問題を起こさないで済むものを、特に平地に波乱を起こすようなストライキをついに誘発をするというところまでいくことは、私は、ずいぶん国鉄の経営のあり方としては問題があろうと思う。何か国鉄の考え方としては、ことさらに利用者をじゃま者扱いにするということ、それから国鉄の労働者に対して当局者の権力を誇示したいということ、この二点でもって進んでいるような印象を受けるわけでありますが、そういう点はないというふうに副総裁として断言できるのかどうか、これはあらためて私は質問したいと思っておりますが、そのことだけを再度お聞きをいたしまして、私の質問は一応終わりたいと思います。
  68. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの瀬谷先生の御質問は、私ども確かに肝に銘じて考えなければならないことと思います。ただ、昨日の総裁の分科会における御答弁は、だいぶ総裁も疲れておりましたし、ああいうふうな表現をして必ずしも適切じゃなかったというふうに帰って申しておりましたが、これはいまの総裁は少なくとも自分で通勤電車に乗り、私どもも乗っております。いやしくも国鉄の管理者であると同時に、私どももやはり通勤者の一人でございまして、そうしてその実験から出た形から申しまして、今度の第三次計画では何とか通勤輸送をよくしようじゃないかということで、総裁の発議でもって、実に五千何百億という全体の三割近い金を通勤輸送につぎ込むということまであえてしておるんでございまして、その点、先生にいまのような御理解をいただいておるとすれば、非常に私としては私の不徳のいたすところであるというふうに思っておりますが、そういうことのないように、さらに名実ともに心がけてまいります。
  69. 木村美智男

    木村美智男君 瀬谷委員からすでに要点について質問があったわけですが、二、三つけ加えてお伺いをしたいんですけれども、私も、どうも二月十日の日に明け方までかかって一応当局側としても多少話し合いをするという気持ちの上で、当初の計画を多少延ばして、そうしておそらく交渉がやられてきたんだろうと思います。そういう筋道を追っていけば、あまり私は今日の時点では問題がないんじゃないかと思うんですけれども、先ほどから言われておるように、三月一日に何でもかんでもやるんだという当局の御意思のようだし、組合はそれじゃしようがないからストライキやらざるを得ない、こういうことなんですね。で、まあ私も労使関係の片方に一時はおったんですが、そのころは気がつきませんでしたけれども、やはり、こう多少客観的に見られるような段階になると、やっぱり国鉄というのは一般の会社などと違いまして、何か物をつくっているやつをやめるといったようなストライキであれば、これは国民に迷惑をかけるといったってたいしたことはない、こう思うんです。しかしやっぱり国鉄がとにかくストライキという事態を起こすというようなことは、何といってもこれはできるだけお互いがある程度話し合いをすることによって解決するという見通しに立つならば、これはやっぱり粘り強くお互いが話し合いを続けて解決の道を見出すべきじゃないか。ところが、いまの状態だと三月一日はどうもおかしくなりそうだというのは一体どういうことなのか、ちょっとわからない。私どもとしても、ここで副総裁に別に団体交渉をやる、労使関係で当然やるべきことに立ち入ってどうこうものを言う気は一つもないんです。ですけれども、どうしてそういうことがどうしても避けられないのか。あるいは当局側としても、これはやっぱり何といったって、もとを握っているのは組合側というよりも経営者なんだという見方です。そこで、一体三月一日までまだ時間があるのですから、もちろん話し合いは続けるでしょうしあるいはあっせんといったような問題も出てくるでしょうが、しかし、最終的にやむを得ないのだという気持ちになられているのか、そこら辺いかがでしょう。
  70. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの木村先生の御質問、よく私は意味がわかるのでございますが、私自身も労使関係の渦中にある者でございます。ただ、私自身二十数年来やはりずっと組合関係の仕事に立ち入っておりましたけれども、やはりこういう問題を論議する際には、これはやはりお互いに何と申しますか誠意と申しますか、お互いの信頼感と申しますか、そういうものが基礎にあって、いままで、いまの組合の幹部の先輩の皆さんと私はお話をしてきたつもりでございますし、もちろん、議論が分かれて解決しなかった問題もございます。しかしながら、残念ながら私はこういう席で自分の組合のことを言うのは非常にいやでございます。あるいは予算委員会で、自分の組合のことを言うのは自分の顔につばをひっかけるのと同じだという酷評をいただきました。ですから、私はあえて申し上げたくないのでありますが、ただ一点だけ残念ながら申し上げますと、やはり団体交渉というのはお互いに土俵へ上がってそうして議論を戦わすというのが私は団体交渉だと思います。私はいままで少なくとも二十年間そういう態度でやってまいりました。しかし、残念ながら今回の問題、昨年の暮れからずっとことしまでの推移をほとんど連日私は様子を聞いておりますが、また、たまにはのぞくこともございますが、残念ながら土俵に上がらない、ただ時間を延ばすということだけでは、これは私は団体交渉にはならないと思います。また次元が違ってどうにもならないということではいかにもしようがないので、やはりお互いに問題を解決しよう。そうして一体どうしたら労働者の利益になるのだ、あるいはわれわれのほうから見れば、どうしたら管理上の利益になるのだという立場から議論を戦わしてこそ団体交渉と思うのでございます。どうしても支度部屋から出ない、土俵に上がらないということでは、何日、日にちを費やしても残念ながら進展がございません。これは私ども努力が足らないといえば確かに足らないと思いますが、私どもといたしましては実は記録に全部残してございますが、何月何日にだれだれに呼び出しをかけたという記録も全部残しております。場合によりましては訴訟等になることも考えてそれを残してございますが、それらを全部見ましても、これはほんとうにお恥ずかしい労使間の問題でございますが、私は、今回の問題につきましては、私を含めまして全力をあげて組合と話をしたい、またその気持ちでもって今日までまいったつもりでございます。しかしながら、ただ一つの例を申し上げますれば、組合が自分自身で提訴した去る二月十八日、東京地方調停委員会に緊急調停の申請をいたしました。それは十九日に結論が出ました。その十九日に結論が出たのに、二十二日までどうしても呼び出しに応じようとしない、最後の二十二日の晩、私も徹夜して待っておりましたが、それがどうしても出てきてくれない、それでは残念ながら話のしようがないわけでございます。そうして初めて出てきたのが時間切れの一時間前でございます。こういうことはほんとうに内部の問題でお聞き苦しいと思いますからこれ以上申し上げませんが、私としては全力をあげて今回できれば組合と円満に話し合いをつけて、さっき瀬谷先生おっしゃいました、こういう問題はまさに管理運営の問題でございまして、そう本質的に反対する問題ではないとおっしゃいましたとおり、その筋を立てて穏やかにやってまいるつもりでございましたが、残念ながらどうしても時間切れというところまで引き延ばしてきたのでは、これはいわゆる正常な団体交渉というものにはなり得ない、残念ながらなり得ないというふうに判断せざるを得ないのが私どもの気持ちでございまして、その点、こういう事態に至ったことは全責任は私にあると思います。しかしながら、私としましては、人力の尽くす限りのことをいたしたというだけの、私は自分としての、自分に対する一つの、何と申しますか安堵感を持っていることだけは事実でございます。
  71. 木村美智男

    木村美智男君 副総裁、これは多少何というか、いま言われているようなことについて、私自身は逆に——私も様子を聞きにくらいは行っておるわけですよね。たまたまこの間のことなんかは、関東支社なり、東鉄なりの姿勢というものは、まさに副総裁いま言われたような実は姿勢で、これは衆議院の久保先生も少しおこっておりましたがね。一体、当局は何しているのだということでとにかく言っておった場面もあるから、これはあんまり、労使それぞれやはり一つの問題をめぐって相対峙するときには多少のことはあるいはあるかもしれぬので、私はやはりこのことについてはあまり本質的なものに必ずしもなっていないのじゃないかと思うので、むしろそういうところへ持ってきていることの、いわば土壌というやつが問題なんじゃないか。つまり私どもが組合におったころは、比較的まあ合理化とか何とかいっても、いわば初歩の段階で、今日では何回かの白紙ダイヤ改正といったようなもので、もうどんどん業務量もふえてきているし、そして人員は横ばいだという中で毎年毎年一人当たりの負担量というのはやはり緻密になってきているわけですから、そうすると、最近の管理運営の問題である機構をいじることでも、やはり大きく労働条件という問題が私らがやっていたころよりもどうもよりウェートが大きくなって問題化しているという点、まあこれは、私いろいろ話を聞いてみて率直にそう思うのです。なぜかといえば、当時、私どもと給与課長で団体交渉やって、一億こえたらわからないけれども、大体九千九百万円くらいまでは組合の給対部長と給与課長で話し合いがついた。最近は百万台くらいであっても副総裁のところへ行かなければ話し合いがつかぬような状態になっていますね。だから、そういうことを一々申し上げるつもりはないのですが、非常にむずかしくなっているということだけは、これはまあわかるわけですよ。そこで副総裁、私考えてもらいたいと思うのは、なるほど、経営者側としてはその準備に準備を重ねてやってきたのだと、こう言われているが、私自身も実はこの問題を伺ったのは、これは年も改まって、しかも二月に入ってからですね。まあ二月と言っちゃ何ですが、一月の下旬ですわ。それで総裁と井上常務に出ていただいて、私そのときにもお伺いしたわけですけれども、——だから、あなたのほうは準備に準備をしてきたかもしらぬけれども、どうもいわば働くほうの側のほうへは、これはやはり突然出てきた話に映っていることは間違いないのです。だから、そこら辺のことをやはり十分に、これから東鉄全体の運営をどうするかという、まさにそれは五万人も擁する大局なんですから、そういう意味からいえば準備に準備をしてきたのだという気持ちはわかりますがね。先ほど言ったような国鉄の性格からすれば、この際、瀬谷委員も言いましたけれども、何でもかんでもそのときやらなければ列車がとまってしまうという問題じゃないじゃないかという点が、これは一つのやはりポイントだと思うのですよ。そこのところをやはり考えていかないと、ストライキはやるわ、運賃は上げるわ、一体何やっているのだと、これは国民の率直なやはり気持ちだと思いますよ。だから、何もストライキやらぬでうまく運営していけば運賃上げてもいいと言っているわけじゃないけれども、しかし、どっちかといったら、国民感情としたらやはりそうでしょう。だから、そういう意味でいってもこの際は、とにかくまあせっかく準備はしてきた問題だろうと思いますけれども、やはりその時間的な問題で十分理解が行き届いていないという問題と、それからほんとうに腹を割って、副総裁言うように、純粋な管理機構だけの問題ならいいけれども、私らにも、きょうは言いませんが、雑音も入ってきていますよ。当局側から多少労働組合にがんこにさせるようなことをやはり言っている。その点は、いま私雑音と言ったけれども、組合のこれはやっぱり基本的な問題にかかわるんだから、そうなるとやっぱりそれは意地になってしまうという、そういう反面の要素もあるから、この際はやっぱり大局的に経営者側として、三月一日が五月になっても四月になってもいい、列車がとまるというような、その関係の状態をしてあえてやっていくことが——まだまだこれから国鉄再建という問題は非常に長いわけでしょう。そうすれば内々の問題なんだから、この東鉄の三分割問題だけで今後の国鉄再建全体の問題を絶えず背中合わせにしながらやっていくということはどうなのかという、実はこれは心配をしているわけです。そういう意味で、きょうここで、いやそれなら延ばしますとはなかなかこれは言えた問題じゃないと思いますが、そこのところをひとつ考えてみるお考えがないかどうか。これはきわめて政治的な立場でお伺いをしているわけです。
  72. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話、よくわかりますし、一方、現在衆議院で運賃法の御審議を願っている最中であるということもよく私も存じておりますが、やはり国鉄がなすべきこと、何も目前の問題だけでなしに、いま先生のおっしゃったこれからの五年、十年の長いことを考えた際に、やはり運賃を上げていただく、あるいは政府からの援助をしていただく。そのかわり部内はきちんと管理するという態勢がおのずから必要だということは、やはり国民の相当多数の部分から私どものほうに、しっかりしなければいかぬというおしかりを受けていることも事実でございます。したがいまして、そういう総合的な見地に立ちまして、十分国鉄をめぐる諸般の環境の上に立ちまして、私どもといたしましては三月一日、事務的に準備のできる一番早い時期、三月一日ということを考えた次第でございまして、現時点で、木村先生のお話も十分私は理解いたしますが、私といたしましては、三月一日にぜひとも実施いたしたいということを変える意思はございません。
  73. 木村美智男

    木村美智男君 副総裁ね、どうもそこら辺に、ぼくがやっぱり問題があるような気がするのですよ。これは多少ことしは政府から金をもらったから国鉄の姿勢も変えなければならぬという、管理機構もきちっとしなければならぬという客観情勢のあることもそれはよくわかりますけれども、だからといって、最終的に大事なことは何かといったら、うちの中を仲よく、いかにしてこれから国民の負託にこたえる国鉄をほんとうに再建するかどうかというところにやっぱり私はあると思うのですよ。だから、そういう意味でいえば、三月一日が一番適当だと、こう言うけれども、適当だというのは、私は、問題がなければ三月一日は適当だと私も思うんです。問題があってストライキをやるんだという、そういう状態がここに出ているんだから、そこのところはこれはやっぱり、せっかく準備に準備をしたことであるかもしれないけれども、十分話し合いをして、そうして納得を求めてやっていくということにしないと、ただ、ぼくなんか考えてみても、初め私は実は東鉄三分割というから、まあ一つは大宮あたりに管理局がいって、それから横浜のほうにいって、それで本社の近く、東京中心だからここに一つというようなことで、それはまあ、場所は適当かどうか別にしまして、大宮が八王子でもいいですけれども、そういうことになるのかと思ったら、いまのあそこの丸の内のあのヒルの中に——東京の北だけを除くわけですか、……。
  74. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 東です。
  75. 木村美智男

    木村美智男君 東を除くわけですか。南、西、北と、三つあそこでごちゃまぜに一つのビルの中に入れるというんだね。これは何としても、ぼくはどう考えても納得できない。何でわざわざ白河まで入れて、白河に連絡すれば高崎からやるより早いのだという、こういう理屈かもしれませんけれども、三分割をして、ほんとうに有機的にやるというなら、私はやはりあそこに三つ置くということ自体は、しかも同じ中に、その肩書きが西と南と北と違うだけで、局長さんがいままで一人いたやつが三人になるということになるわけですから、そうなってくると、何でそういうことをやるのか、むしろ行政機構の面からいうと、最近は自治省なんかも広域行政権の問題、首都圏といったことで、できるだけ広くなっていって、包括的に全体を有機的に動かそうという、その時期に国鉄はなぜゲリマンダーをやらなければならないのか、それも一つあるのですね。そうしてやはり合理化だから、なるべく人間を削っていかなければならぬ。しかし、それは局を三つにすれば、局長さんが二人ふえることは間違いない。したがって、管理機構として、やはり少しずつ人間がふえることだけは——これはおそらく美濃部さんもこの前言われましたけれども、ゼロというわけにはいかない。やはりふえるでしょう。一面では、それは九万五千からの人間は、この十年間のうちにとにかく切り捨てるのだと、その他は合理化で生み出して埋め合わせしていくんだと、たとえばあの逓減をかりにやるとすれば、そういった面からいっても、やはり何か労働者の感情に合わない面も、一つやはりそこら辺にもあるわけですね。だから、そういうことまでいくと、どうもこの辺で、まあこれ以上長くくどく申し上げようとは思いませんが、何か山手線に一たん事故が起こったときには、三つの局でやったほうが収拾が早いのだというけれども、これもちょっとぼくらなんかが考えても、一つの指令塔からぱっぱっとやったほうが事故の復旧対策だって早いと、こう常識的に思うわけです。いろいろそういう関係があるものだから、いまここで機構問題を突っ込んでやるというつもりはないのですが、そういう点で、まあせっかく副総裁そういう気持ちを持たれているということはわかりますが、ひとついま申し上げるようなことも十分くんでいただいて、とにかく三月一日に向けて、これは精力的に話を進めてもらって、一日の事態だけはひとつ回避していくような、そういうやはり努力を経営者側としてやってもらうということを私は特に要望して、きょうはこの問題で特別にこうする、ああするという回答ということではございませんから、いろいろの角度から伺ったということで、何か感想でもありましたらお願いします。
  76. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 重ね重ねの御忠告で、非常に私もよくわかっているつもりでございます。できるだけ三月一日のいわゆる半日スト——このころストライキということばが常套になりましたが、これはまさに違法なストライキでございまして、三月一日の事態を回避することについては全力をあげてやるつもりでございます。これは私の全責任でございます。
  77. 木村美智男

    木村美智男君 そこで副総裁、少し小さい問題ですが、簡単に小さいというけれども、事、人間の関係だから基本的なものになるのですが、最近国鉄の保線作業の中での死傷事故が非常に多く出ているわけですよ。米子でこの間六人も死んでおるし、天王寺で二人、そういうことで新幹線でもよく臨時に雇われた人たちが飛ばされるということが、ちょいちょい新聞に出るのですが、どうもダイヤ改正による列車の増発なり、スピードアップという問題から、この軌道整備の間合いがとれないような状態になっているんじゃないかという気持ちがするのですが、これはどういうものでしょう。
  78. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 過般来の保線作業員の殉職事故につきましては、私としてもたいへん残念に、かつ申しわけなく思っている次第でございます。先生いま御指摘の二月十三日の伯備線の岡山、鳥取県間の縦断鉄道でございますが、伯備線における事故は六人の殉職者を出しました。私としても全く哀悼の念にたえないのでございますが、この事故は実は濃霧のために非常に東海道線、山陽線のダイヤが乱れまして、それを受けまして伯備線のダイヤも乱れた。私はここにダイヤを持っておりますが、列車の間合いとしては決して間合いのない線ではございませんで、これは普通の作業、しかもやりました作業はきわめて日常の保守作業でございます。ただ、残念ながらその数カ月前に同じような事故を、これは実は組合の順法闘争でダイヤが乱れまして、やはり同じような事故があった。結局ダイヤの乱れがこういう保守作業に対するあやまちをおかすのだということで、そういった際のこまかい注意を、去る九月に、実はこういうことばを使って駅と連絡しなさいと用語例までつくりまして、米子鉄道管理局で現地を指導しておったのでございますが、不幸にして二月十三日の事故もやはりその現場間の連絡不十分。片方が殉職いたしておりまして、どういう電話をかけてどういう電話を受けたかということは、いま警察で生き残ったほうだけ調べておりますので、正確にはまだ事実が判明いたしません。いずれにいたしましても、現場相互間の連絡の不十分ということが原因でございまして、そのもとはやはり鉄道管理局の責任者の現場相互間の連絡を徹底させなかったやはり管理監督上の責任があるというふうに私考えまして、これはすでに処分をいたしておりますけれども、これからもやはりどうしてもその線路の保守作業というものは、鉄道の続く限り永遠に残る作業でございますが、やはりこれは物理的に見張りを立てるかあるいは機械的にこれを警報装置をすること以外にないと思います。現在おくればせではございましたが、やっと無線でもって列車の接近を知らせる装置が、実は非常に不幸にしてこの事故の数日前に試作品ができ上がりました。しかも、これはいわゆるフェールセーフと申しまして、バッテリーがなくなっても必ず鳴るというような絶対に間違いないものでございませんと、これは人命にかかわりますので、そういう機械をやっと無線関係の者がつくり上げまして、これから全国の主要幹線区間に整備しようと思っていたやさきの事故でございまして、まことに私としても痛惜の念にたえないのでございますが、今後そういう物的、物理的な整備、機械整備によりまして、ぜひこういう不幸な事故を防いでまいりたいと思っております。詳しくは御質問によってお答えいたします。
  79. 木村美智男

    木村美智男君 まあ順法闘争ということを言われたようですが、むしろ回復が早くなって連絡が間に合わなかったということのように私は伺っておるわけです。それはそれであれですが、この事故にあった該当者たちが、いわゆる正式の国鉄の職員という身分でないので、実は五十四歳で弔慰金が二十九万とか、三十歳で二十五万円とかいうようなこと、それだけであるかどうかわかりませんが、最近の飛騨川事故なんかでもこれは三百万円、飛行機の場合は五百万円というような、そういう状態のときですから、臨時であっても弔慰金等は、基礎単価が安いのですから、業災の適用なんかでは問題があるのじゃないかと思いますが、これは十分遺族のことも考えて処置をされていると思いますが、そういうことになっていれば答弁は要りませんけれども、やはり問題があるのだというならお話しいただいて、改善の方途をとらなければいかぬと思うのです。  それから、この事故の場合に、まあ幸いにして機材を持って逃げたからよかったという一つ問題点があるのですね。これは機材を置きっぱなしでいったらやっぱり脱線、転覆といったような事故に発展しかねない状況であったということが伝えられておるので、そういう面は今後の指導上の問題ですが、まあ不幸中の幸いだと思うのです。  この事故に関連をして、私、最近どうも構内作業であるとか、保線の補修作業であるとかいう、特に重労働部門の人の採用ですね。なかなか集まってこない。確かに国鉄は新幹線ができたり、車がよくなったりして、非常に表へあらわれているところはたいへんよく見えるわけですけれども、やはりそういった重労働の人たちの待遇といったような問題は、そのひずみとしてやっぱりどうも安全面においてちょっと欠けている面があちこち出てきているのじゃないのか。単に監督なり、連絡指導といったようなことでなしに、もっと施設の面を含めて安全面を充実していかなければならぬのじゃないかということ、それと、ひどい仕事をすればするようにやはり待遇をよくしていくという、この点を十分ひとつ考えなければいかぬのじゃないかということなんですが、これはあまり詳しく言いませんが、ちょっとお答えいただきたい。
  80. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の第一点でございますが、お説のとおり、臨時雇用員が四名おりました。これらの不幸な方々につきましても、私どもといたしましては、できるだけ職員に近い扱いをいたしたいというふうに考えております。本来ならば金額まで申し上げるべきかと思いますが、いろいろな問題を生じますので、金額につきましてはごめんこうむりますけれども、できるだけ職員に近い待遇をいたしたいというふうに考えております。  それから第二点の保全作業の機械化、ことにこれから労務者、労働力払底に伴う保線作業の機械化ということにつきましても、私どもは十分今後国鉄の近代化という面から考えてまいると同時に、いまおっしゃったどうしてもやはり線路のそばで働かなければいかぬという面から、当然安全問題がクローズアップされてくるのはあたりまえのことでございまして、私どもといたしましても、十分安全装置につきまして、非常に——私は、その後保線関係の組合の職員から、非常に極端な例でございますが、片方は寝ていてもとまるようにできているのに、おれたちは寝ているどころか起きていても殺されるじゃないかというような極端な発言も出まして、非常に私は胸にこたえた発言がございましたが、確かにそのとおりでございまして、今後こういったほんとうに線路のそばでいつ車が来るかわからぬというところで働く人の人命の安全ということについてはいままで多少手ぬかりがあったかと存じます、率直に申しまして。それらにつきましては、できるだけ機械化、電気を応用する機械化によりましてそれを防いでまいりたいと思いますと同時に、先ほどお話しの機材につきましても、これはたまたま持っておりました機材が軽い機材でございましたけれども、これをもう少し大きい、一人で操作いたします四つ頭のついております機材になりますとちょっと重いものでございますから、この場合にはもう線路を閉鎖する、いわゆるトロリー使用と申しますか、駅と駅とで列車を通さぬということを、きちっと線路閉鎖工事に準ずるような扱い方をするというようなことをいたしまして、作業の安全を確保してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても昭和三十五年ごろをピークとして、ずっとこの事故は減ってきておりますが、まだまだこういった殉職事故が絶えないということにつきましては、私ども一そうの努力をいたしまして、ことに機械化、近代化という面でこの労働力不足を補って、しかも安全にやっていくということを期して、これらの人たちに対するせめてものはなむけにいたしたい、こう思う次第でございます。
  81. 木村美智男

    木村美智男君 安全面については努力をされるということで了解をしておきますが、実は万国博を来年に控えて、私なんかも国鉄に関係があるということで、最近陳情がきておるのです。で、たまたま去年ですが、東北線で赤羽−上野間で便所を使っていかぬというものだから、ぼくも初めてそのときどういうわけかふしぎに思ったのですけれども、要するに例の列車黄害の問題ですよね。この点はやはり外国からくるという事情もあるわけですから、相当ことしは対策を考えて予算化をすべきじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども。
  82. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この問題実は昨年からいろいろ問題になった点でございまして、いろいろ私のほうで、部内で研究いたしました結果、いろんな方式がございましたけれども、やはり循環式と申しまして、いま新幹線で使っているのが一番いいという結論に到達いたしました。それにはどうしても基地でもってそれをためるタンクと申しますか、タンクというより、ずっと大きいプールみたいなものでございますが、それを今度はし尿処理として関係の市町村に処理してもらう。この二つの問題がございまして、ことしから予算化することにいたしまして、とりあえず、ちょっと私、数字持っておりませんが、たしかことしは二十億ぐらいだったと思いますが、東京と大阪と北九州にまず大きなためをつくりまして、そしてそこへとにかく循環式でたまったものを全部流す。それを関係市のし尿処理として処理していただく。こういうことで、いま予算の具体化にあたりましては計上いたしまして、まず地上設備から始めるということにいたしました。それまではやむを得ず——全体でやっぱり八百億近くかかるものでございますから、やはり東海、山陽というような線区から重点的にやっていくということになりますので、全国のものができ上がりますまでには相当時間がかかりますが、主要線区だけ、何と申しましても、地上設備さえできれば、あとは車だけの問題でございますし、これはたいしたことございません。新車はもちろんそういう設備の車にしますが、古い車につきましても、車のほうは問題がございませんが、問題は地上の設備と、それから関係の市にそれを処理してもらう問題この二つでございまして、具体的に関係市と話し合いになっている次第でございます。
  83. 木村美智男

    木村美智男君 それはそういうことでこれから拡大をしていって、いただけばけっこうなんですが、国鉄当局として、いまレールの購入、この間、私、予算委員会で資料いただいたんですが、これはどういうやり方で買っておられるか。常務でもけっこうですが、たとえば公開競争入札であるとか、指名入札であるとか、随契であるとか、いずれによってやられているかということ。
  84. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いま随意契約で富士と八幡から買っております。資材局長が参っておりますので、こまかいことは御質問によってお答えいたします。
  85. 木村美智男

    木村美智男君 去年、会計からいうと去年ですが、年度からいうとおととし、四十二年度の契約関係でいうと、随意契約というのは非常に——国鉄で使う物資全体ですが、割合が非常に大きいんですね。これは多少やっぱり私、問題があるんじゃないかという気がするんですが、本社関係で四十二年度の契約関係は大体千八百億くらいあるんでしょう。そういう中で随意契約が千六百五十億くらい。だから、これレールそのものじゃないことはわかっておりますが、レールは八十八億から九十億くらいのようですから、それはいいんですが、もしその随意契約だとすれば、この八幡とか富士とかいう、これは二つしか会社ないわけですから、そうすると納入価格は一体どういうことになっているのか。これは資材局長でけっこうですけれども。
  86. 土井厚

    説明員(土井厚君) レールの納入価格は、これは随意契約でございます関係もこれありまして、当方でレール製造の原価を調べまして、それを査定して定めております。
  87. 木村美智男

    木村美智男君 その原価計算というやつは、こちら側で何か基礎資料をこしらえるんですか。
  88. 土井厚

    説明員(土井厚君) 原価計算のデータは、これは製造しております会社からとっておりますが、当方が随時必要な時期に製造現場に立ち入りをいたしまして、必要なチェックをしております。
  89. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、やっぱり向こうの材料でこれは判断をしていくということになりますね。
  90. 土井厚

    説明員(土井厚君) メーカーのほうで製造しております関係上、メーカーからの数字を基礎にして、それを当方でチェックしております。
  91. 木村美智男

    木村美智男君 そこで副総裁にちょっとお伺いしたいんですが、まず資材局長じきじきにこの間言われたことが新聞に載っておったんですけれども、今回富士と八幡が合併しても国鉄は別に影響はないのだということを言われたんですがね。私は、国鉄がもう十年くらい使うストックでも持っておって、一切買う必要がないという立場にあって、これ以下でなかったら、これ以上買わぬというそういう立場をとっているならば国鉄は影響ない、こういっても私差しつかえないと思うんです。ところが、いま聞いてみると、原価計算は相手がやっている資料、それにまた立ち入り検査等もやって、そうして少なくともその中に一応不正とか、ごまかし、そういうことがないことはわかりますよ。わかりますけれども、そういう意味じゃなくて、会社が、いままでなら八幡がちょっと高いから、今度はじゃ富士鉄から買おう、富士鉄がちょっと上げたから今度は八幡から買おうというこの選択は、いままでなら多少はやれる。ところが今度は一本になれば、いやでもおうでも新日本製鉄会社から買わざるを得ない。それ以外はレールをつくっているところはない。そのときにストックを持たない国鉄が全然影響がないということは、どういうことなのかというのが私の素朴な疑問で、きょうどうしてもこれは聞いておきたいと思ったんです。そういうことで、もし影響が全然ないというなら、ない説明をしてもらわなければならぬ。あるというならちょっとこれは困ったことだと思うんですがね。
  92. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この問題は、富士、八幡の問題が起きましてから、私も及ばずながらいろいろ勉強したのでございますが、なるほど、先生おっしゃったとおり、いまうちが年間二十万トンくらいレールを買っておりまするが、毎年十万トンくらいのストックを持っていて、それで操作できれば一番だと思います。これはしかし、もう実情できないといたしますれば、やはり毎年使用量をなるべくストックを少なく買っていくことが一番合理的だと思いますが、先ほどの線路のお話でもございましたとおり、何と申しましてもレールは私どものほうの生命でございます。レールにほんとうに瑕疵があれば、これは無条件で総裁の責任になってくる。こういう性格のもので、私のほうの命そのものだと申しても差しつかえない。場合によっては直営でつくってもおかしくないくらいの重要製品だと考えております。したがいまして、富士、八幡との関連は、すでに外国からの輸入をやめまして、約七十年でございますが、七十年の昔の日鉄あるいはその後の富士、八幡と国鉄との関係というものは、ほんとうの技術的な信頼関係に立ったものであるということを私申しても誤りないと思います。それがなければ、私どももほんとうに製品のレールを見てそれがいい悪いと言ってみたってこれはしようがないので、かといって、すみから一々チェックするわけにまいりません。となりますれば、お互いに技術的な信頼感の上に立ったものを納めてもらっているというのが現状だと思います。したがいまして、レールの価格につきましても、幸か不幸か、輸出以外には、ちょっと国内の私鉄に若干ある程度で、国鉄だけしか使い道がないということになれば、あらゆることを国鉄に対して公開する、よその業者には一切見せなくても、国鉄にはあらゆることを提供をして、それでお互いに技術的に検討するという、非常に何と申しますか、技術の信頼の上に立った関係でもって今日まで数十年間まいっておる、こういうふうに思います。したがいまして、過般、資材局長が二社が一社になっても影響ないと申しましたのはそういう意味で、一社でなければいかぬとか、二社ではいかぬという意味でなしに、二社であっても、一社であっても、そう技術的信頼関係には変わりないのだ、こういう意味で申したのでございまして、私どもといたしましては、国鉄の一番大事なレールというものを外に頼んでおるという以上、あくまでも技術的な信頼——当然値段につきましても、そのときに、たとえばことし幾らで買うかという値段よりも、むしろこのレールは何十年後の全体の保守費がどうなるかという非常にロングランの値段がやはりほんとうの値段だと思います。われわれの家庭でなべかまを買うのと違って、やはりレールというものは何十年使うものでございますので、新品の価格と同時に、問題になるのは何十年使えるかという、これからの長い使用過程における経費の問題等も考えなければ使えないと思います。したがいまして、私どもといたしましては、まさに直営でつくっていると同じ感じでございますので、一社であろうと、二社であろうと徹底的なコントロールができるという自信があると申しますか、私ども技術陣から申しましても、技術研究所には軌道の材料の研究室と軌道の構造の研究室と両方ございまして、応用化学の面並びに軌道構造の面並びに本社の施設局の保線課にはその専門家がおりまして、これは長い間の日本のレールのほんとうの専門家としていままで生きてきた連中でございますので、それらが具体的に工場に立ち入りし、そして工場の技術者と話をすれば、そう価格において——競争価格でもって形成されるものでなしに、一種の受注発注のような形でもって価格が形成されてまいりますので、むしろ二社であっても一社であっても変わりないというふうに申し上げた次第であります。
  93. 木村美智男

    木村美智男君 副総裁ね、観点が違うのだよ、ぼくの聞いている観点が。つまりこれを技術的にある程度国鉄からの要求を出して、それで大体注文に応じたものを、りっぱなレールをつくらせるという相互関係にあるから、そういう意味では一社になろうと二社になろうとかまわぬと言う。これは技術研究所も持っておられるのだし、工作局長あたりがそういうことを言うのなら、これは技術的なこととしてわかるけれども、資材局長がなぜそういうことを言ったのかということについては、多少これはすなおに受け取れない面がある。なぜかといったら、さっきちらと出したように、四十二年度の契約関係、まあ全体合わせればとにかく千八百十九億、約二千億近い品物を国鉄は買っておるわけだから、この場合に、これはそういう技術的問題もレールの場合には言い得るが、全体として見れば、資材購入というものは、随契がとにかく金額にしてみれば大体九割です。九割も随契をやっているということは、多少この点は公共企業体として問題があるのじゃないかという気持ちを最近持ち始めている。もう少し研究してから十分意見は申し上げますが、そういう状態にある。  技術的なことはよくわかりました、いま言ったようなことで。だけれども、将来に向かってこれは受注発注のようなものだから、値段の点も心配ないのだというようなことは少し甘いですよ。だから、これはきょう速記録にとめておいてもらって、まあ三年後、五年後見るとよくわかりますがね。私は、必ず今度の関係からいって、ほかにレールをつくるところがないのだから、向こうでもうちょっと国鉄は金を持っているから少し高く買ってもらおうと思えば、それはやっぱり引き上げることはできる、それだけの品物を持っている強さというものはあるわけなんですから……。だから、そういう意味で、しかも公正取引委員会が大型合併について結論を出さなきゃならぬというきわめて最終の微妙な重要な段階に、国鉄が、問題になっているレールについて全く影響ないといえば、いまいったような副総裁の言う技術的なことなんか一つも思っていないのだから、値段のことだと国民は受け取っているわけだから、そういうことを言うと、国鉄はそんなにレールが高くなってもだいじょうぶなようなら運賃値上げなんかやらぬでもいいじゃないか、そういう素朴な気持ちがどんどん出てきますよ。だから、私はこの点は、資材局長はおそらく新聞記者にでも誘導されたか、まあほかからおまえのところでそういうことを言えといわれて言ったとは思わぬけれども、しかし、あの時点でこういうことを言っているということは、その時期的な面から見ても、それから将来の展望からいっても、これは決して適切ではなかったと、私、こういうふうに思うのですよ。まあこれはこれ以上申し上げる気はありませんがね、率直に、資材局長どう思いますか。
  94. 土井厚

    説明員(土井厚君) 私も新聞紙上で同じような記事を見ておるのでございますが、私は影響がないと言った覚えは一回もないのでございまして、私は、現在国鉄は八幡、富士二社からレールを購入していて、それで困っていない、レールの購入については困った問題はない、これがかりに一社となったときを考えてみても困らないであろう、当方は困らないということを言ったのでありまして、国鉄に影響がないとは一回も申しておりません。
  95. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 岡本悟

    委員長岡本悟君) それでは速記をつけて。
  97. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ国鉄当局のほうは時間の制限がありましたので終わりにします。  公正取引委員長に二、三お伺いしますが、けさの新聞等を見まして、きのう両方の会社に大体合併の問題点といったようなことを指摘をして会社に伝えられたあのものはどういう性格のものになるのですか、それを伺いたい。
  98. 山田精一

    政府委員(山田精一君) かねて両社から内相談がございましたので、私ども委員会におきまして検討いたしました結果、昨日申し渡しました品目につきましては、これは独占禁止法第十五条に抵触するおそれがあるということを回答をいたしたわけでございます。
  99. 木村美智男

    木村美智男君 あの三品目については、——レールに関係して委員長出てきていただいたわけですが、三品目については独禁法に抵触するおそれがあるという一面の言い方ですが、新聞等の報道を全部見ますと、これはまあ条件つきで認可する方向を公取が示したのだというふうにすべて書いてあるものだから、そこら辺で性格はどういうことだろうかと、こうお伺いしたわけです。
  100. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 独禁法の手続をくどくど申し上げるつもりはないのでございますが、最初は認可制でございました。しかし、現在の法律では、合併しようとする会社が事前に届け出をいたすわけでございます。それから法定の期間たちます間に、たいがい私どものほうで審理をいたしまして、何も申さずにおればその合併の登記ができるわけでございます。もしも、私どもが法律に抵触すると認めました場合におきましては、そういう何月何日付届け出のあった合併をしてはならないという勧告をいたしますし、あるいは審判開始決定をいたす、こういうたてまえになっております。いままでの手続と申しますものは、先ほど申し上げましたように、事前に相談、窓口相談の意味合いでございます。それに対しまして相談に対する回答を与えたわけでございますから、当事者が届け出をいたしてまいるか、いたしてまいらないか私は存じませんけれども、かりに申し出をしてきたときと同じ内容の届け出をいたしました場合には、これは十五条に抵触するということで、勧告または審判開始を決定をいたす、こういうことになるでありましょうということを答えたわけでございます。
  101. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると山田委員長が公取の見解として出したやつを両会社が受け入れれば、これは認めるということになるわけですね。
  102. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 条件つきという意味合いではございませんで、私どもとしましては抵触するか、しないかどちらかでございます。したがって、いままで相談のございました内容のものをそのままつけてまいれば、これは抵触することになります。先方がその点を考え合わせまして、届け出の内容を変化いたしまして、問題点のない、言いかえますれば十五条に抵触しない内容の届け出が出てまいれば、それを審理をいたして問題点がなければそれでよろしい。依然として問題点があればこれはいけない、こういうことになるものと考えます。
  103. 木村美智男

    木村美智男君 多少、公取委員長ね、私ども新聞報道だけだからまあ不安もあるわけなんですが、要するに委員長のその独禁政策に対する考え方というものは、ぼくもずっと前から読ましてもらって、これは非常に傾聴してきたわけですが、とにかく今日の高度成長というものの原動力が、やっぱり私は独禁政策の適切な運用によって、競争状態に今日まで置いたというところに大きな貢献があると思うんです。だから、もし今度の合併問題を契機に、公正取引委員会として寡占化を積極的に進めていくような、そういう政策を公認するというか、認めるというか、そういう立場をとるということは、これはもう非常に大きな、日本のやっぱり経済発展の転換をも実は意味するようなことになると思うんです。で、そこら辺はもうちょっと何だから、いままでの事前審査の中ではこれは認められませんとむしろ出すべきであって、どうも条件つき認可みたいなふうにとれる、ああいう言い方は、どうも説明を聞いてみますと、必ずしも条件つきでもなさそうなんで、そのようにもっときちっとしないとうまくないんじゃないかという気がするんですがね。これはどうでしょうか。
  104. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 新聞紙上等では、何か条件つき認可というような通俗な、といっては恐縮でございますが、表現が用いられておりますが、私どもが昨日回答いたしましたのは、申し出のあった、相談のありました内容では抵触するおそれがあります、いけませんと、こういう意思表示でございます。
  105. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、たとえば第十五条の条文の中で、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」というものは「こととなる場合」ですから、ある程度結果を予測して、そしてこれをいいとか、悪いとかいうことをきめられるわけでしょう。そうすると私は、やっぱりこの点は何らかの一つのものさしがないと、山田委員長のときはこう解釈したけれども、次の委員長になったら別の解釈だというのではこれはちょっと困ると思う。したがって、そこに客観的な基準というかね、そういうものをやはりきちっとして、だれにでも説明ができる、あるいはだれが扱ってもそれをもって運用ができる、あるいは経営者側のほうとしても合併をやるときにはそれを見て、これは初めから条件が整わないからだめだ、これならいけそうだから申請するというようなことになるようなものをひとつこの際つくっておかなければうまくないんじゃないかと、こう思うんですがね、これはどうでしょうか。
  106. 山田精一

    政府委員(山田精一君) ただいまのお説でございましたが、おそらくこれは何か一種のガイドラインを設定したらどうか、こういう御意見かと拝聴いたしたのでございますが、それは数学的にシェア何%で、それから第一位と第二位の差異が何%あったらいけない、それ以内であればよろしいとか、機械的にコンピューターでも使いましてすぐ出るものであるならば、そういうものははっきりと打ち出せると思うのでございます。しかし、私どもはこれを算術的、機械的に判断をしておるのではございませんで、当該企業のつくっております商品の特質でございますとか、あるいは競争事業者の牽制力、力関係、あるいは事業界の地位、あるいは代替品でございますとか、輸入品の関係あるいは新規に参入をしてくるものの関係、こういうようなものを取引の実態に、特質に考え合わせまして、変なことばでございますが、ケース・バイ・ケースに独禁法第十五条を適用いたしていく、いわばきめのこまかい判断、作業が要るわけでございます。現に、アメリカで昨年の夏でございましたか、合併に関するガイドラインなるものが発表されたのでございますけれども、それを読みますと、何どきでも事前の予告なしにそのガイドラインは変更されるものであると、はっきりと繰り返し書いているのでございまして、いわばこれはガイドラインと申しましても、いつでも変わり得るということで、あまりガイドラインらしいものにはならないのでございます。したがいまして、もしそういうガイドラインみたいなものができ得る、つくり得るものでありますならば、私どもの仕事の上で非常に便利でございますし、また合併なさろうとする当事者の方にとっても御便利であろうと思うのでございます。  ただいま申し上げましたような各般の事情、実態把握をいたしまして、その上で判断をいたすというたてまえになっております関係上、なかなか一種のガイドラインをつくる、抽象的なガイドラインをつくるということは、現在の段階に関する限り不可能であると私どもは考えておるのでございます。むしろ、ケース・バイ・ケースと申しましても、個々の事件について判断をいたしましたその先例というものは、これは積み上げてまいりまして、お説のように人がかわったからすぐまた変わるというような運用はあり得べからざるものである、ただ、その当該企業の特質にかんがみまして、相当程度のバリエーションはある、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  107. 木村美智男

    木村美智男君 どうも委員長ね、ものさしつくるのは不可能に近いと、こういうことで、ケース・バイ・ケースによってと言われるんですがね、そうなると、どうも何というか、あぶなっかしくてしようがないんですがね。要するに公取のそんな、それぞれの委員会の恣意的な判断なり、あるいはほかからの圧力によってだんだん雰囲気に、そういうムードの中へ入れられて、そうしてきまっていくという場合だってそれはできてきますよ、そういうことを言っていれば。やはりこれは法律解釈だからね、明瞭な。だからもし、私がしいて言わんとすれば、公正取引委員会は独禁法の解釈論に少し没入し過ぎたのではないかという気が強いんですよ。もっと独禁法政策全体の運用をどうやって日本経済の民主化、あるいは経済の成長を通して国民のしあわせにそれが貢献できるようにするかという、言ってみれば第一条の基本精神、ここからやはりこの問題は判断をすべき問題であって、それを具体的に言えば、それは市場シェアだって何も横田長官が二十八年に三〇%と言ったから、私は三十%でなければいけないと言っていない。いけないとは言ってないが、鉄鋼自体今度見て、新しい鉄鋼はそれは三五・六%なり七%と言われているわけですよ。だから、この前も物価の委員会でそれは例を引き合いに出したのですが、ちょうど霞が関ビルが三十六階です。これまさに新日鉄会社を象徴しておるんです。あとは川鉄にしろ、住金にしろみな農林省の建物だとか、そこの大蔵省だとかは十階ぐらいでしょう。一〇%ぐらいでしょう、シェアの。そうすると、ちょうどあそこを見ると、まさに新日鉄会社がいかに市場支配力を持つかということは、あの上——展望台に上がってみなさい。全然じゃまになるものがなくて、はるか遠くまで見渡せるということ自体が、この支配力の象徴として考えられぬだろうかということを——これ一つですよ、何と言ってみても。つまり事業格差というものが、二番目はもう一〇%しかない。少なくともそこに三倍の開きがあるということは、これは価格の硬直化をもたらすことだけは、従来の経験から見ても間違いなく出てきているのですから、そういう点を考えて、全体のやはり寡占体制というものを、一体国民のしあわせのために、それからひいては安定した成長を続けるという一面と、逆な面では、USスチールみたいにあぐらをかかずに、ほんとうの意味で国際競争力を身につけていくということは、やはり競争の条件のもとに置かれて初めて国際競争力も身につくのであって、何だかからだだけでかくすることだけが国際競争力を強化するのだというのが大体通産省の考えだけれども、これはもう少し甘いと思う。だから、もう予算の総括質問のときにもお伺いしたのですけれども、流通段階にどんどんスーパーが入ってくる、自動車が入ってくるというふうに外資が来る。ところが、十五条を見れば、これは、この法律というやつは、民族資本だから合併認めてやるけれども、外資はだめだなんということは言えないのですから、これは、国内の会社はみなになっている。入ってきてしまえば、これはもう十五条の適用も公平にやらざるを得ないということになるわけで、ここら辺は経営者もあるいは住民も、あるいは日本のいまの財界の関係も、私はいまの独禁法に対する理解というものをある程度間違えているのじゃないか。間違えているというよりも、もう少しみずからきびしくして、外国の資本の自由化に即応して、あえて外国企業に太刀打ちできるみずからの体質をつくっていくという、そういうむしろきびしさと積極性を持つように、そういう意味で大局的に今度の合併問題はやはり処置すべきであって、十五条そのものの中における「実質的に制限すること」になるかならぬかが、大体三品目が問題で、しいて言えば鋼矢板か何かが問題だという程度のことで、言ってみれば、委員長きれいに答えられているけれども、国民はもう大体これは、鉄鋼会社の合併は認める方針だなという印象を受けているのですよ。そのことは委員長、やはり私は公正取引委員会の何というか、名誉の上からいっても、それからいまや過度経済力集中排除法というものがなくなった今日、ただ一つ経済民主化を貫く法律は、この独禁法だけなんだから、だからあなたに毎回毎回釈迦に説法みたいなことを一生懸命言いながら、がんばってくれということを言っているわけだ。これは少し公取委員長、この辺でがんばっていただかなければ、ほんとうに公正取引委員会は、あの古い壁を近いうちに私たちは新しくりっぱな壁にしようと思っていたが、これは自殺行為で、あのまましぼんでしまうことになるよ。ほんとうにこれはそういう意味で私は、委員長腹を割って、ここら辺については、いや、ちっと木村君、そこは理解が間違っているのだ、というのなら、間違っているところを指摘してもらいたいし、やはり解釈した上で、正しいとすれば初心どおりいってもらいたいし、私どもはその立場を貫きたいし、大事なところへきているものだから、ひとつ委員長の所信を伺いたいのですよ。
  108. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 第一に御指摘がございました、企業間の格差が非常に開き、霞が関ビルみたいなものができるというお話がございました。このただいまお話のございました改正前の最初の独占禁止法におきましては——お説のとおり集中排除法もございましたが、合併に関する条文の中に、はっきりした文言は忘れましたけれども、「較差」が著しく大となる場合には合併してはならないと、こういう項目がはっきりと書いてあったわけであります。それから競争の制限についても、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる虞がある場合」と、こういうふうに書いてございます。したがって、冒頭におっしゃいましたように、ある基準、機械的な——機械的と申しますのは語弊がありますが、はっきりした基準があったわけでございます。それがその後改正されまして、「一定の取引分野における競争を実質的に制限」と、こういうきわめて実質的な制限になりましたわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、むろん第十五条だけに固執するつもりは決してございません。またすべきではないと思います。第一条の精神に従いまして第十五条を運用いたしてまいると、こういう決心でいるのでございますが、さればと申して第十五条を拡張解釈いたしまして、「虞がある場合」、または企業間「較差」のある場合に、すべてこれだけで抵触すると判断をいたしますのは——せっかく国会でおきめ願いました法律は、やはりそれを忠実に運用してまいらなければならない責任が私ども公務員としてあるものと考えます。その精神で考えまして、競争が実質的に制限されることになるかどうかということを、あらゆる要素——先ほども申し上げましたが、企業間の「較差」も一つの要素になります。それからそのほか需要者側の事情、競争業者の関係、牽制力と申しますか、そういうようなあらゆる点を総合判断をいたしましてこれの判断をいたしてまいる、こういうことになっておるわけでございます。  それから第二点といたしましては、何か人がかわるとそのときそのときで変わってはぐあいが悪いのじゃないかというようなお話でございましたが、これはそのためにこそほかの役所と違いまして一人の首脳部が決定をするということでなしに、日本では例の少ない行政委員会制度をとりまして、五人の国会御同意を得て任命されました委員が鳩首協議を——知恵を出し合って協議をいたしまして決定を下す。しかもこの五人の委員が同時にかわるということはあり得ないのでございまして、かわるがわる交代をしてまいるわけでございますから、その間に一貫性が失われるということは考えられないわけでございます。  それから、外資関係の会社が入ってきた場合にどうするかということでございましたが、むろん内国会社と外資系の会社との間に差別をするということはこれはできません。法律上同等に、国内における事業者として判断をいたすべきであると考えますが、しかし、その点において、先ほど来繰り返し申し上げましたように、競争者の牽制力という関係においては大きな要素になるかと考えるわけでございます。決してそれが独禁法の精神をどうこうするということにはならないものと考える次第でございます。
  109. 木村美智男

    木村美智男君 だから、委員長のその言われている筋は、ある程度理解できるけれども、全体的に見て、とにかくいま日本経済全体がやはり大型化、寡占化という方向を進んでいっているときでしょう。そこへこれは決定的なやはり一歩を前進させるという意味合いを持つわけですね。だから、私は、今日この鉄鋼の合併が認められたら、もういかなる企業の合併、どんなものでもこれは拒否する根拠というものはなくなると見ているんですよ。これはどう考えても、この規模から、シェアの問題から、事業格差から、それから国際競争力の問題からいっても、鉄なんというのは、もう国際競争力——はるかにアメリカに押し渡って、アメリカより安いのだから、船賃払って日本の鉄鋼持っていっても、まだアメリカで十分競争できるんですから、これはすごい国際競争力を持っているわけですよ。そういう鉄鋼に合併を認める、こういう問題は、これはどうあってもむしろあとで今度は管理価格であるとか、そういった価格の硬直化であるとかというような弊害を伴うことのほうをむしろ重要視して、そうして経済全体の何というか民主化という、経済民主化をやっぱり守っていくための独禁政策という立場からこれは最終的に裁断をしていただかぬと、委員長何ぼそれは説明をしてみても、具体的な八幡、富士鉄を別にした意味で、今日、日本の独禁政策はどうあるのかということについては山田委員長誤ったといわれるようなことが後世にないようにしてもらわなければいかぬから、これはくどく言っているわけですが、ここで結論を出すわけじゃないですから、当初委員長言われましたように、これこれは違反になりますよという問題点の指摘にとどめたと、したがって、あと向こうがどう出てくるか、それによってはまた今後の問題だという、そこのところを一ぺん多少私もこれからもう少し検討をして今後の点は進めたいと思いますが、ただ、五人の合議制で行政委員会の形式をとっているというけれども、それは委員長承知のように、いま世の中ではだれ委員は通産省のひもつきで、だれ委員大蔵省のひもつきだと巷間ちゃんといわれている。そういう状態だから、それで業界の圧力もかかっているとかなんとかいわれている。それをはね返すには、もう弁解や何かじゃないですよ。やはり独禁法そのものを文字どおり理解をして出てきたものがおかしいからこれはおかしい、改めてくるかどうかはかってに改めてくるべきなんであって、本来あなたのほうからこことこことここが問題だということの関係があまり深まると、どうも何かなれ合いでやっているんじゃないかというような印象を与える。私、その点では決してなれ合いでやっているというんじゃないですよ、そういう印象を与えているから、やはりこの問題についてはもう少し何というんですか、慎重にやっていただかなければならぬし、委員長もだいぶ苦労されているようですから、次の段階からはほかの委員の皆さんに少し、どういうところに根拠を置いてやってきたか、それから、あるいは独禁法の解釈をどうしているのか少し伺おうと思っておりますけれども、ぜひ期待される山田委員長なんだからね、ほんとうの話、おせじでも何でもないんですよ、これは。だから、もう少しここのところは、きのうの段階までのところはすでに済んでいる問題ですから私は何も申しませんが、ぜひ冒頭に答えられたその立場から、やはり、ほんとうに厳正な独禁法運用をぜひやっていただいて、そうして今後の日本経済のあり方というものについて、テレビのコマーシャルじゃないけれども、大きいことはいいことだなんていってチョコレートの宣伝みたいなことばかり通産省があおったり、政府も一生懸命太鼓持ちやっているけれども、そんなことで済まされる問題ではない。経営者側としても、そういうことではもう許されない国際化時代なんですね。そういう点で、やはり国際化にも対応する、国民の福利のためにもなるという、そういう独禁政策という立場から鉄鋼はいかにあるべきか、こういうやっぱり結論を最終的に私、期待をしておりますので、これからもまたいろいろと御意見を伺いたいと思いますし、ぜひ委員長、そういう気持ちを失わずにこれからこの問題の最終決着までがんばっていただきたい。まあ、要望を含めて、ひとつ気持ちのほどでも聞かしていただきたいと思います。
  110. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 御激励をいただきまして、まことにありがとうございます。  ちょっとつけ加えまして、ただいまのお話の中で補足させていただきたいのでありますが、第一に、寡占管理価格のお話でありますが、簡単に申し上げますが、寡占も管理価格もこれは経済学上の概念としてまだ定着いたしておりません。非常に幅の広いこんとんとした概念であると存じます。したがいまして、これをすぐに現行法に取り入れて運用いたしてまいるということは、これは非常にむずかしいと存じます。私どもといたしましては、その中で繰り返し申し上げるようでありますが、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合、この角度で、これは管理価格のごく一部でございますけれども、それをとらえて運用してまいらなければならない立場にございます。もとより管理価格全体についての今後の課題といたしまして、基本的な調査をいたし、これにどういうふうに対処いたしてまいるかということは、日々研さんを怠らないでいくべきものと考えるのであります。ただいまの法律の運用としては、そういう関係にあるということを御了解いただきたいと思います。  それから第二点といたしましては、委員がひもつきというおことばがございましたが、これはそれぞれ前の出身がどこそこであるということは、これはそういう事実がございますけれども、しかし、どこまでも公正取引委員会委員というものは、経済または法律について十分な学識経験を持った法律上の要件を備えました者の中から国会の御同意を受けて任命されておるものでございまして、いわゆるひもつきということばが意味いたしますような変な関係というものでは決してございませんことをはっきりと申し上げておきたいと思うのでございます。また、外部から何か圧力があったとかということは全然ございません。  それから次に、問題点を指摘したという点につきまして、何かなれ合い的なことというようなおことばがございましたけれども、これは申し出てきた、相談にきました合併というものは、第十五条に抵触いたしますよという返事をいたすにあたりまして、何らの理由もつけずにただ抵触しますと一方的に言い切るということは、これはできないのでありまして、法治国でございまするので、こういう点が法律に触れますという問題点は、これは指摘をせざるを得ない、かように考えておるわけでございます。  以上を申し述べまして、御激励に対しましては厚くお礼を申し上げる次第でございます。
  111. 木村美智男

    木村美智男君 たいへん時間があれですから、磐光ホテルの問題で一点だけお伺いをいたします。  この間の委員会で報告がされていますから、事情については繰り返しませんが、これは政府登録の旅館として、火災を起こした大広間が、実は一つ法律的な盲点となっているのじゃないかという問題が出てきたわけであります。それは建築基準法によって居室として届けをして認可をされているという一面と、もう一面は興行法上、たとえばそこでショーをやるとかなんとかということになれば、これはやはり劇場法みたいなものに——劇場というのは映画やったり、芝居やったり、そういった関係で許可をする、そういう法律というものにある程度これはきびしく本来ならば制約されるわけですが、居室なるがゆえに何ですか、部屋の仕切りを取っ払って大きくして、そこでショーをやる、こういうところに一つ問題点があるのじゃないかという点を実は感じているのです。したがって、シンナーが、火をつけたやつが近くの油に燃え移ったという形で急激に火が回って逃げおくれたという関係が出てきているので、もっとあの旅館の大広間ということでの、たとえば大衆を集めて余興とかなんとかというような場合には、たとえば落語の部類だとか、流行歌を歌うとか、こういったようなことはこれは別に規制することはないだろうと思うけれども、少なくともシンナーのような火を燃やすようなものについては、これはやはりちょっとここら辺は何かの形で、特に政府登録旅館というのは規模が大きいですから、どこにしろ大きなやはり広間を持っていますから、この使用方法について規制をする必要があるんじゃないかということ、この点だけ、磐光ホテルの問題についてはどこが担当になりますか、お伺いしたいわけです。
  112. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) いまのお話でございますが、火器につきましては消防庁のほうで取り締まっておりまして、特に火器を扱う場合には条例できめると聞いておりますが……。
  113. 木村美智男

    木村美智男君 消防庁に聞いてくれということですか。
  114. 高田勇

    説明員(高田勇君) ただいまの問題でございますけれども、火器の取り締まりの件につきましては、私どものほうで火災予防の見地から、各市町村に火災予防条例というのを全部制定させておりまして、それの中で火器につきましては、原則的に劇場その他のものについては、劇場等の分についてはこれを使用できない、催しものをやるときにはこれを届け出をしろというような規定で、火器を制限と申しますか、あらかじめこれを認識するというような方法を講じておるわけでございます。したがって、火器の取り締まりについては、こういう制度上のことはやっておるわけでございます。  ただ、先ほども前段で御指摘になりました用途に応じた問題でございますけれども、私どものほうでも建築基準法と平仄を合わせまして、基準法の段階でそういう旅館内に劇場用の用途あるいは公衆浴場用といったような用途が出た場合、基準法の中でそういう用途としてとらえた場合に、私どものほうでもそういう規制を加えて、消防予防のいろいろな設備その他についてもこれを講ずるというような制度的な方途は講じておるわけであります。
  115. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) ただいまのお答えに関連をいたしまして、建設省の立場から説明申し上げます。  最近ホテル、旅館のたぐいの大広間のようなものの使い方が昔とだいぶ違ってまいっております。しかし現在は、磐光ホテルの例に見ましても、あの大広間は宿屋あるいはホテルの規制でもって取り締まりをやっておる。しかし、先ほど申しましたように、実態はかなり——ただ単にそこで宴会をやるとか、そういうこと以上に演芸に近いものまでやられるような例が多く出ております。今回の例もそういうことだと思います。そこで私どものほうの問題といたしまして、その点用途に準じて規制を変えていく必要があるということを考えております。そこで、今国会に基準法の改正を実は提出する予定でいま検討しております。  そこで、宿屋、ホテル等のこういう大広間などの概念をいままでと変えまして、特殊建築物のような中でもこういう部屋はどういうように基準を強化していくかという点で盛り込んでいきたい、かような方針で現在検討をしております。
  116. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連。どうも要領を得ないのですがね。今度の火災はあれでしょう、火を使って、座敷で。座敷といいますか、ホールといいますか、よくわかりませんが、要するに屋内で火を使って、それで火事になったわけでしょう。だから、こういうことをほうっておいていいのかどうかということになると思うのですよ、突き詰めて言うならば。だから、いま検討をしているというお話もありましたけれども、めったないことだけれども、サーカスだとか、この種のショーの中で本物の火を使う、しかもそれを屋内で使うというようなことは、しろうとが考えたってあぶないことだと思うのですね。ほかのものなら別ですよ、火でないものならばね。何か道具を使うとかなんとかいうなら別ですけれども、火というものはまかり間違えばどこかにつけば燃え上がるようになっているのですから、これはやはりこういう大きな教訓を得たならば直ちに——ショーやその他でもって火を使うということがいいか悪いかなんということは、もうはっきりわかっていることじゃないですか。こういうことに対して条例で規制している、ああだのこうだの何だか持って回ったような答弁ばかり聞いていると、一体どうすればいいかということがわからないのですけれども、どうでしょう、責任者として政務次官も見えておるようですが、大臣にかわってあなたのほうから答弁してもらえませんか。
  117. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 私も率直に言って同じ疑問を持つわけでございます。観光ホテルは、御案内のように外国人が来たときに、衛生的見地からやれトイレの施設であるとかあるいはバスの施設はこういうものでなくちゃならぬと、こういう角度で観光振興の立場から規制しておるわけでございますし、おそらく旅館業の営業許可ということになりますと、環境衛生の立場からどうあるべきかということをいっておりましょうし、消防法でございますと、万一火事が発生したときに消火器は十分備えてあるかとか、構造がうまくいっているかとか、こういう角度からとらえていると思います。また、建築基準法も同様に建築物という立場からいざというときあぶなくない、また、そういう火災が起きたときにおよそ想定される用途に従ってかくかくの建築構造でなくちゃならぬというようなことをいっておると思うわけでございます。おそらくどれをとっつかまえてみても、ただそれだけでは、そこで火を燃しちゃいかぬというようなことは一体どこで規制しているのか、全く私も先生のおっしゃると同じようなあれを持つのでございますが、私は、これはあたっているかどうか知りませんが、そこでは興行をやるということで興行場法の取り締まりも受けているということでございますので、場合によりますと、その興行場法の中でかくかくの興行をやってはいかぬというようなことがあるいはやれるのじゃないかという疑問を持つわけでございますが、私の理解している範囲ではいろいろな角度から規制しておりますけれども、いま先生の質問に答えるような角度でやっているかどうか、この点は私も不敏で判明いたしませんが、その点はやはり原因そのものを除去する何らかの方策をとらなくちゃいかぬのじゃないかということは全く同感でございます。
  118. 木村美智男

    木村美智男君 だから、次官ね、これは各省から個別に答弁聞いていて、もまとまりがないのですよ。だから、次官に、これはひとつ責任持って頼みますが、要するにいまの建築基準法からいくと、旅館の大広間というやつはぶっ切って居室に使う、お客さんの部屋にね。そういうことで許可をされている。しかし実際は、その仕切りを取っ払って、そして観衆をどさっと入れてそこで余興をやるというのに使っている。それも落語や漫才ぐらいはいいけれども、いま言っているように火を使うというようなことについては実は法の規制がないのだ。盲点になっている。ここのところを建築基準法で規制するのがいいのか、それとも興行何とかかんとかに関する法律というのがあるのだけれども、それで規制するのがいいのか、それはひとつそちらで検討をして、この盲点になっているところをきちっといまのような火災事件、有馬温泉やら菊富士やら、この間の磐光ホテルやらということで大きな旅館の政府登録旅館が次々と火災を起こしているから、ひとつこの際そういう法的規制を考えてほしい。この点について、いまあなたに請け負ってもらいたいわけだ。
  119. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いま瀬谷先生がおっしゃったようなことが原因であれば、その点について……。
  120. 木村美智男

    木村美智男君 原因なんだよ、それが。冗談じゃないよ、だめだよ、次官、そういうことを言ってちゃ。
  121. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その点については関係当局と連絡いたしまして、必要な措置をとりたいと思います。
  122. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をつけて。
  124. 渡辺一太郎

    渡辺一太郎君 ただいまの木村委員の御質問、私もごもっともだと思うんです。  そこで、原因の、いまの次官が探求をして対処すると言うんですが、私はもう原因というものは研究しなきゃわからぬかもしらぬが、おおむねわかっていると思うんです。火を燃したから燃えたんで、それで、その欠陥というのは、それに対する取り締まり方法が、だれがやるのか、どういうふうにやるのかということが明瞭でないということだから、いまここで行政管理庁が考えているように、観光行政の一元化ということに運輸省も踏み切られたらどうかということです。みんな縄張り争いで、ああでもない、こうでもないという役人根性で、そういう一元化というか、要するにいまの行政組織というものは、行政する立場のほうの行政をしているわけですね。受けるほうは多元的にこれを受けているわけです。ですから、受ける国民の側を土台にして行政をすればいいんですから、そういう意味で、一歩、原因を探求してなんという、そんなその場しのぎのことでなくて、観光行政なら観光行政を一元化する、そういうことまで取り締まれるような体制を敷くお考えがあるのかどうか。目下行政管理庁によってそういったあれが出ていますから、それに対してどういう態度で取り組まれるのか、お気持ちをお聞かせいただきたい。
  125. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 私の理解している観光行政一元化というのは、実はこういう問題よりも、外国人がやって来る、いわゆる外人の観光振興の問題と、それから文部省におけるいろんな文化財の問題、自然公園、これもまあ旅行者が参りますと、それぞれみんな見て回るわけでございますが、そういうものを一元化しろというのが過去において観光行政一元化として論じられたと思うのでございます。で、観光旅館に関します行政を一元化しろということになりますと、これは先ほども申しましたように、建築基準法の立場からやるものと、それから消防法の火災予防という見地からやるのと、それから外人の観光振興という立場でございます。これは一元化と申しましてもなかなか官庁機構むずかしいから、実はいまそういうところがございまして、旅館ホテル防火安全対策連絡協議会というものを関係省庁の間で設けられておるものでございますから、そういうところで取り上げまして、それでいまのやつはまさにどの観点にも触れてこないので、危険物を室内に持ち込んだということでございますので、そのほうを直接規制しなければこの問題は解決しないと思います。で、それが一体、現行法規でどこの所管省がそのことを取り締まり得る立場にあるか。それで、もし法律が不備でありますれば、それを所管すべきものが当然それに即応した立法措置を講ずべきだ、かように存じて、私もこの問題をいまお話承りました関係省庁に連絡いたしまして、原因を究明するとともに対策を立てたいと、かように思っておるということを申し上げたいと存じます。
  126. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 村山政務次官に申し上げますが、委員長からもとくとその点はひとつ責任を持って推進していただきますようにお願い申し上げます。
  127. 渡辺一太郎

    渡辺一太郎君 私は、観光行政の一元化ということは、もちろんその基本になる問題ではあるのですけれども、旅館に対する指導と取り締まりも現行法を基準にするからそういうものができないというのですけれども、そういう法律をつくればいいので、だれかが主になってめんどうを見て、そしてあとは協議の形なら協議の形で稟議するとか、あるいは事前に打ち合わせた線で監督するとか、それはいままでの概念でいくからできないのであって、観点を変えて窓口一元化というようなものの考え方を推し進めていけばできないことはないのですから、そういった協議会というばく然とした集合体、それでもけっこうですが、うまくいけばだけれども、それより一歩進めて何か実体を持った協議会方式におまとめいただくように、ひとつ切に要望いたします。
  128. 木村美智男

    木村美智男君 委員長からも特に要望がありましたから、いまの問題はそういうことで善処をしていただくということにしまして、自動車局長おられますね、一問だけ伺いますが、実は最近ですが、事情だけお話しをして善処していただければいいのですが、この間、一時、御承知のような日通の問題が起こった、その派生的な問題のようにもうかがえるのですが、東京観光バス会社というのが二月の十五日通告で三月の二十日解散というような問題が実は起こっておりまして、この会社は大体従業員が百三、四十人ですけれども、まあ一応理由は七億くらいの赤字が出たからということなんです。しかし、これは京都の川本から日通に五年くらい前に買収をされたもので、五年間でバス会社として七億も赤字が出るということはちょっと常識的には考えられないので、そのために通告を受けたその従業員が、百二、三十名ですが、とほうにくれて困っている。じゃ、一体バス事業として事業需要はないのかというと、二月が二百五十台くらい、金額にして五百万くらいの仕事がある。四月、五月、両方ともこれは特にシーズンになりますので約一千万くらいの予約申し込みがある。こういう状況を前にして突然の解散宣告が出てきたわけなんです。そういうことで労使が紛争をして、紛争中にあって、まあ東京陸運局に対してこの営業休止の申請をするという状態にあるわけです。そこで、きょう別にそのことについてどうこうということを伺うのではなくて、ぜひ東陸の局長、まあ政府委員でありませんので、自動車局長のほうから、そういう労使紛争中の問題を全然抜きにして、これを直ちに休業、営業休止を認可するといったようなことになると、さらに問題は拡大をするし、根っこが実はやめられた日通の例の問題の社長さんのときに買ったバス会社という関係もありますから、非常に問題が発展をする可能性が出てきているので、ちょっとやっぱり陸運局長にいま残っている従業員のほうからも事情を聞いていただいて、そしてひとつこの申請については慎重に進めてもらいたいということで、自動車局長にきょうは要望を込めて、ほんとうは電話でもあるいはいい問題かもしれませんが、やはりそういうないしょ話するようなことでもいけませんから、一応そういうことで事情をひとつ聞いていただいて、そしてその上でまあ判断をしていただくようにお願いをしておきます。
  129. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 事情につきましては先生がお話しのとおりでございまして、いまお話しのようにしたいと思います。
  130. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日は、この程度といたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十分散会