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吉田忠三郎君
大臣、あなたは、まあいま申されたような
程度のことは、ある
程度認識しておったということですね。積極的であったかどうかということについては云々、こういう答えですよ。私の積極的であったという
表現を使ったのは何をもとにしているかというと、これは申すまでもなく
国交は回復していませんから、
政府間の
ルート何もないのですね。ですから、やはり私
どもは、たとえば
日中貿易協会であるとか、あるいは
MT貿易の
関係であるとか、あるいは
日工展の
関係等との接触の中から、あるいは
労働団体が数たくさん
中国とは
労働交流をやったり、
文化交流をやっていますね、そういう点ですね。私もかつては
中国に視察に行ったことがありますが、そういう感触、あるいは
報道機関から伝えられる点等々総合して私は積極的だと言う。
中国の
態度は、一時期においては
積極的態度が示された、こういう
表現を使っている。もうちょっと具体的にいえば、六四年にこの問題が
岡崎さんとの
関係でかなり具体化して、
政府側としても、非公式ではあるけれ
ども岡崎さんを通じて
中国側に
相互乗り入れについて打診をしていることは事実ですよ。そのときに
中国側の
態度というのはどうかというと、原則的に
乗り入れを認めて、非常に
乗り気が十分であった。
乗り気が十分であるということは積極的だ、こう見ていいのじゃないかと思うのですね。しかもその当時、今度は逆に
わが国のほうは、いろいろ
政経分離であるとか
大臣御
承知のとおり日韓問題とか、何かいろいろなものが含まれてきて、逆に
わが国のほうは消極的であった。だから、これはもう話にならなかったから、そこで拒否されたような状態である、そのことを私はいまとやかく言うのではなくして、そういうこともあったけれ
ども、今日ただいまの時点で
政府の
最高責任者たる
総理大臣が、ごく最近
国会で、ぼくは
速記録を持ってきているわけですが、もう一回読み上げますが、
総理大臣は「
日中両国間で
所要に応じ
臨時に
民間航空機の
相互乗り入れを実施してもよい」こういうことを
答弁されている。そうして十七日、
衆議院の
外務委員会で、先ほ
ども申し上げたけれ
ども、
与党の
秋田大助君の
質問に答えて、いまあなたがおっしゃったような
意味の、「この問題は、
中国側が積極的に提案してくるならば、話に乗ってもよろしいと思います」と、こういう
答弁をしています、
衆議院の
外務委員会でね。ですから、ニュアンスの多少の違いはあったにしても、
外務大臣のこの
答弁というのは、
最高責任者の
総理のこの
発言、発想を踏まえて、かなり
従前と変わった
発言をしていると、こう私は受けとめているわけです。好意的に私は受けとめている。そこで、その
協定とかあるいは条約という、かなり長期的にむずかしい問題は別として、当面
運輸大臣として、これ所管の問題でありますから、しかも幸い
古井さんが
北京に行っているわけですから、
運輸大臣としても、いま申し上げたように、
相手方に六四年度
程度のそうした積極的な
態度なり
姿勢というものがあるのかないのかということを間接的に打診したって、これは非常に意義があると思う。それからもう
一つは、一体将来に向けて、
中国側に一体どういう問題があるのか、存在しているのか
条件があるのか、あるいは意見があるのか、たとえば
日ソの
航空協定やった場合、
共同運航のときに、飛行機はチャーターするとか、あるいは
乗務員はソビエトのパイロットにするとか、そしてスチュワーデスはわがほうの日本
航空がやるとか、等々のものがありましたね。これなどだって、いま暗中模索ですわね。ですから、こういう
総理大臣の
発言した時期だけに、なおさら
運輸大臣としては
——何もこれは公けにやろうたって
国交回復しているわけじゃありませんから、できないですから
——そうした今日
北京あたりに行っておられる人々を通して、間接的に、ある
意味においては
相手方を打診しておくということは、将来だんだんこれは、やがてそういう
方向にいやおうなしになってくると思うのですよ。くると思うと私が言っているのは、現実にイタリアだっていま
中国を承認するという段階、カナダもそういう
方向にありますね。不幸にして
アメリカとの
関係は当面御破算になったようでありますけれ
ども、
アメリカといえ
どもニクソン政権の中で、
従前のような
やり方ではなくて、
人事交流については、人間の
交流については緩和をする政策を発表していますよ。そうしてこのパリにおける
米中会談というもの、
会議といいますか会合といいますか、そうしたものが不幸にして成立しなかったようでありますけれ
どもね、伝えられるところによるとですよ。しかし、いずれにしても、そういう
方向というものは出てくる。そうすると、いままで
わが国がとってきた
中国に対する
やり方で、はたしていいのかどうかということになると、その良否の問題は別として、国際的にも、
わが国としても、やはりこの問題はいやおうなしに
重大関心を持たなければならない時期にだんだんなってきていると思う。そういう矢先に、
総理大臣が
臨時の
相互乗り入れについては、先ほど
大臣に申し上げているように、「
所要に応じ」て、
臨時ですからね、やっていいじゃないかと、こういうまあ思い切った
発言は、私は、そこら
あたりをながめながら
総理大臣は
発言したものだと、善意に受けとめているんです。それに
愛知大臣の
発言、ですから
運輸大臣としても、いま申し上げたような事柄について、当然これは非公式でありますけれ
ども、私はここで
協定を結びな
さいとか、一挙にどうこうするということではなくて、さぐりを入れてみる必要があるのではないか、その入れる手段として最もいい
チャンスは、
古井さんが
北京に行っているじゃないか、こういうことについてやる意思があるかないかということを聞いているんですよ。そうして日中の、かりに事実どうなるかは別として、たいへんな問題が存在しておりますよ、
両国に。だからそれをだんだんだんだん外交
ルートなり、
政府間の
ベースに乗っけるとかなんとか、そんなことをやりながら、時間をかけてやっていって、かりにいつの日にかそれが実現をすると、したと仮定しますか、そうしますと、
わが国の産業、
経済、
文化等々の
国益から見ても、きわめて私は、つまり
アジアの国際的な面からながめて、
アジアの占める位置から見ても、どんな角度から見ても有益であろうと思うのですよ。だから私がいまこういう話を
大臣にしている、しかも
大臣御
承知のとおり、今日でもそうしたむずかしいことを除外して、とりあえず考えてみても、
臨時便を就航させるに価する
人事往来があるんですね、すでに。あるいは
経済行為がなされている。その
一つは、
日中貿易の中ではもう大体九百人ですか、私の
調べでは九百人から千人ぐらい日本人が
中国に渡っておりますよ。しかも時期的に限られてやりまするものとすれば例の
日工展ですよ。一年おきに
両国交互に
日工展を開催している、このときも人員三百人をこえております。これは外務省で
調べればすぐわかりますよ。三百人をこえていますね。
工業展覧会ですから、資材はおのずからかなり運ばれていますね。さらにつけ加えると、先ほど申し上げたように、
各種労働団体が
中国総
工会との
人事交流をやっております。
文化交流、
親善友好等々のことをやっておりますね。この
わが国のそうした
団体の
中国との
往来、これまた千をこえております。さすれば、いま言った
労働交流とか
貿易関係のことは別として、ごく
最小限度に限ってみても、一年置きの
日工展などについては、
臨時便を飛ばす
条件は私は十分整っていると思う。ですから、そういうことをおそらくや
佐藤総理大臣は
十分承知をして、国際的な動き等々を見ながら、ごく最近
国会で、
所要に応じて
臨時便相互の
乗り入れをやってもよろしい、こういう
発言をしたのではないか、こう私は理解して聞いている、どうでしょうか。