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帆足分科員 私は、ただいま物価
対策委員長をつとめておりますので、実は、インフレーションのことを非常に心配しておりまして、このまま推移いたしますと、五カ年後には、
昭和四十年を基準として一五〇をはるかに越すのではないか、そうなれば容易ならざる事態であろう。いずれこのことにつきましては、
委員長の職責におきまして、大蔵大臣にアドバイスをする意味も兼ねまして申し上げたいと思いますけれども、
分科会でございますから、限られた時間は三十分しかありません。したがいまして、せっかく御質問いたしまして、竜頭蛇尾に終わっては恐縮でございますから、最初は実務的なことをお尋ねいたしまして、
最後にこの問題にちょっと触れておいて、今後御協力いたしたいと思います。
かねて大蔵大臣の御答弁を承っておりますと、立場の相違はございますけれども、専門の知識に詳しく、頭脳明晰であられることには私は前から敬意を表しております。したがいまして、わずかな時間でございますから、初めは処女のごとく終わりは脱兎のごとし、こういう段取りで質問いたしますから、
委員長もよく御良察を願います。
最初は、生命
保険のことについてお尋ねいたしますが、生命
保険は、ただいまの社会におきまして、社会
保険、社会保障等の足らざるところを補うことについて非常な重要な意味がございます。労働者でも、一ぱいのしょうちゅうをバーでうさばらしで飲みますれば、百円や百五十円かかりますし、白い手が一つ重なれば、まあ三千五百円ぐらいは取られるのでございます。それだけの金を妻のために生命
保険に入れれば、それはすばらしいことでございまして、私は、生命
保険ほどとうとい職業はないと考えております。生命
保険に入って後悔した者はおりません。したがいまして、生命
保険のまた第一線は外交、外勤でございますから、外勤の各位が健康をいたわり、そうして誇りを持って仕事をされることを切望いたしますが、だとすれば、
大蔵省当局も、外勤の方
たちをいたわって、そうして大いに指導
援助につとむべきであると思います。生命
保険会社は、内勤も重要ですけれども、外勤によってささえられておることを片時も忘れてはならない。
しかるに、わが国の
保険事業の封建性からいたしまして、私は、
日本の生命
保険の最初の創立者の一人である矢野恒太の子供をよく知っておりますが、いずれも安田善次郎型の立志伝中の人物でございますが、その封建性の濃厚なことは実に腰を抜かさんばかりの封建性、その封建性と近代性とがどうしてかくもうまく結びついておるか、まさに
日本資本主議の象徴そのものであると青年時代に感じた次第でございます。同じことは外交にもあらわれておりまして、外交員の諸君が勧誘をいたしますときには主として縁故関係、未亡人ないしは団地婦人の内職とされ、縁故関係を一わたり済んでしまうと手のつけようがない。そして陣営から去っていく。その数年に三十万人に達し、常雇いとして安定した生活をしておる人はわずかに数万しかないと思います。
今日インフレーションになり、一方物価騰貴もありまして、
収入は年々変わってきましたし、貯蓄の目標も変わってまいります。また平均年齢も
増加いたしまして、五十代、六十代といいましても、まだ青年といえるほど元気でございます。したがいまして、
保険に入るのは二十代、三十代のみではなくして、五十代、六十代の方々も追加
保険に入る余地は大いにあるのであります。しからば、この方々にどういう
保険に入ってもらえばよいかというと、
保険の種類がいろいろさまざまにありまして、その職業、環境、年齢等に応じまして適切な
保険を選ぶというのには、専門の知識と専門の啓蒙が必要でございます。したがいまして、私はまず第一に、
政府当局に対して望みたいことは、
保険会社に対する内面指導におきまして、
保険外交を非常に尊重し、そして
保険外交員をただ弊履のごとく捨てていくというようなニコヨン型にせずに、エスキモーをして冷蔵庫を買わしむる外交技術ということばがアメリカにありますけれども、まさにエスキモーをして、あるいはまたことばをかえれば、すでに六十の青年政治家になった私をして追加
保険に加入せしむるほどの技術を持たねばならぬ。縁故関係ではもうこれは限界でありまして、その技術をよく
説明すれば、平均年齢は女子七十五歳、今後やがては平均八十歳までいくでありましょうから、それらのことも
説明して、不時のこと、災難に備える。それには専門の知識が要りますから、専門の知識を与えるように内面指導させ、それを前提といたしまして、
保険外交員は、やがては縁故の者は例外であって、そして
経済上非常に安定して、専門家としていかなる事態、いかなる職業、いかなる年齢に対しても十分
説明し得る
保険外交員を養成する。その
人たちを、現在は登録制になっておると聞いておりますが、免許制度にいたしまして、安定した
保険業者、
保険勧誘
従業員諸君が安定した形で働き得るようにするのが今後の目標でなくてはならぬ。だとすれば、そういう職員に対しては安定した待遇も保障し、また失業
保険、また健康
保険等も、すべて内勤と同じように免許を受けた
保険外交員に対しては与える、それに近づかしむるという方向に御指導をしていただきたい。これをまず御要望いたしたいのでございます。議員というものは質問をするのが任務のようにいわれておりますが、これは錯覚でありまして、われわれは何も福田さんに授業料を払っておるわけではありません。われわれは巨万の投票を得まして、みずから戦いとった国民の代表として国民の要望を申し上げ、政府に問いただし、その要望のうち合理的なものは取り上げ、実施せしむるというのが民主政治の要諦でございますから、これを参考にいたしまして、どういう御所見であるかを一括して伺い、そして私のことばにして合理的、実際的なものはこれを取り上げ、また実際化するのに多少の時間のかかるものは順を追ってこれを実際化していただきたいと思います。
第二に、各種の政府の審議会におきましては、労働省におきましても、厚生省におきましても、審議会には労働代表が入っております。しかるに
保険関係の審議会には労働代表がふしぎなことに入っておりません。これほどの苦労をしておる労働者、その総意を代表して、審議会の中に適当な人物を適当数入れることは——特に
保険の労働組合は私は平素つき合って存じておりますが、非常に良識のある労働組合でありまして、中立労連に属しております。そして、ゲバ棒を持ちヘルメットをかぶって審議会に出席するような者は一人もおりませんから、この常識、経験、創意を活用せられんことを大臣に要望する次第でございます。
第三には、最近
保険額は増大し、これはインフレーションのために増大したものもあります。これは政府の罪でございますが、罪深き点については
最後に申し上げますが、そのために
所得税、地方税、相続税等において払い込み
保険料の控除額をもう少し
増加する必要があろうと思います。なぜこれに適切にお気づきにならなかったのか、ことしの
税制改正においてこれを深くお取り上げにならなかったのか確かめ、この次にはぜひとも、特にインフレーションを考慮に置き、物価値上がりを考慮に置きまして御考慮を願いたいと思うのでございます。これは生命
保険協会からも提出されておりますし、生命
保険の労働組合からも要望されておりまして、労使共通の意見でございますが、私は妥当であると考えておる次第であります。
最後に、国民健康
保険の問題は生命
保険と不可分の関係でございまして、
一般の庶民は国民健康
保険によって生活をして健康のささえとしておりますが、本年百七十四億の追加
予算を計上されましたことはけっこうでございますけれども、当初の
予算がどうしてそう少なかったのか、また、この
増加しました百七十四億というものはどういう
内容をもって追加せられましたか。もし担当官がおられませんでしたら、実務的な問題でございますから、後ほどお答えなさってけっこうで、最初の四問につきましては大蔵大臣の御答弁を願います。
ただ、時間の節約上一緒に申し上げますが、生命
保険には伝統的に矢野恒太流封建性が残っておりまして、残業手当が従来ごくわずかしか出されておりませんで、生命
保険につとめる女子の諸君などは、六時まで働かせてうどん一ぱいにもならないわといって嘆いておるのをしばしば耳にいたしました。その後、昨年強い要求が組合側から出まして多少の修正が行なわれたかのように伺いますけれども、今日生命
保険は、その獲得した
保険収入をもちまして有効に投資し、相当の内部蓄積を物的形態、証券的形態において持っておる次第でありますから、残業手当が出得ないはずのものではありません。ただ、生命
保険の仕事は最近とみに合理化されまして、一日実働時間六時間でございます。したがいまして、会社側では短時間働いておるのであるから、あと任意
課長の命令で残業させても、これは残業手当は要るまいというような伝統がありまして、その残業に対しましては幾らも払ってないというのが現状でございます。私はこれは当然その二時間に対しましては、六時間労働に対しまする適切なものを払い、またそれより延長されたものに対しましては、それにふさわしい合理的な金額をおきめになるように、政府及び労働基準局側においても内面指導されることが適切であろうと思うのでございます。
ついでに、最初の十五分間を
保険専門に使いたいと思いますので続けて申し上げますが、損害
保険の問題でございます。最近損害
保険の中で、交通地獄のために交通傷害
保険が非常に苦しい立場にございます。しかし、
保険会社は全体をプールいたしまして、民間のペースで何とか切り抜けて今日に参っておる次第でございます。私は傷害
保険に対しましては大いにこれを宣伝する必要があろうかと思いますけれども、これを郵政省の簡易
保険にゆだねるという風評を耳にいたしました。近時損害
保険の重要性はよく存じておりますけれども、ひとたび官営の
保険が損害
保険に出てまいりますと、損害
保険は当初プラスになりませんから、次第に他の
保険のほうに進出して、プールをしてその均衡をはからねばならぬということになりまして、おのずから官庁業務が複雑になってくる。私は、官業は民業の及ばざるところにみずからの分界をきめる、簡易生命
保険と
一般生命
保険とが唇噛輔車の関係にあると同じことでございますから、とどめるべきでありまして、目前の現象を見まして交通傷害
保険に直ちに簡易
保険が進出することには賛成いたしかねます。この風評を耳にいたしましたので、このようなことでは無用な官民競争の端をつくることになりはしないか。電子計算機も発達した今日におきまして、新たな屋舎を増築し、新たな専門家を養成し、新たな機械を購入いたしますよりも、従来の損害
保険を督励
監督いたしまして、その職責を全からしむることのほうが適切でなかろうかと思うのでございます。
以上の諸点につきまして大臣の御所見を承りたい。