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1969-02-25 第61回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十五日(火曜日)     午前十時六分開議  出席分科員    主査 足立 篤郎君       荒舩清十郎君    倉成  正君       櫻内 義雄君    福家 俊一君       大出  俊君    大柴 滋夫君       岡田 春夫君    加藤 万吉君       川崎 寛治君    楢崎弥之助君       華山 親義君    山花 秀雄君       広沢 直樹君    兼務 島本 虎三君 兼務 平林  剛君    兼務 福岡 義登君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君  出席政府委員         防衛政務次官  坂村 吉正君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁総務         部会計課長   高橋 定夫君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君  分科員外出席者         警察庁警備局参         事官      後藤 信義君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁施設         部施設対策第二         課長      高島 正一君         大蔵省理財局次         長       谷川 寛三君         厚生大臣官房国         立公園部長   広瀬 治郎君         水産庁長官官房         調査官     竹原 幸吉君         運輸省航空局監         理部長     梶田 久春君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         自治省行政局行         政課長     森   清君         日本国有鉄道常         務理事     湯川 龍二君     ————————————— 二月二十五日  分科員川崎寛治君、北山愛郎君、楢崎弥之助君  及び麻生良方委員辞任につき、その補欠とし  て岡田春夫君、山花秀雄君、井上泉君及び岡沢  完治君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員井上泉君、岡田春夫君、山花秀雄君及び  岡沢完治委員辞任につき、その補欠として楢  崎弥之助君、大出俊君、加藤万吉君及び玉置一  徳君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員大出俊君、加藤万吉君及び玉置一徳君委  員辞任につき、その補欠として川崎寛治君、大  柴滋夫君及び和田耕作君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員大柴滋夫君及び和田耕作委員辞任につ  き、その補欠として華山親義君及び玉置一徳君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員華山親義君及び玉置一徳辞任につき、  その補欠として北山愛郎君及び麻生良方君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  第三分科員島本虎三君、平林剛君及び第五分科  員福岡義登君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算防衛庁所管      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算中、防衛庁所管を議題とし、説明を求めます。有田防衛庁長官
  3. 有田喜一

    有田国務大臣 昭和四十四年度防衛庁予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、(組織防衛本庁について申し上げます。  昭和四十四年度の防衛本庁歳出予算要求総額は四千五百三十六億九千七百五十三万六千円でありまして、これを昭和四十三年度の歳出予算額三千九百六十九億三千九百三十九万五千円に比べますと、五百六十七億五千八百十四万一千円の増加となっております。  このほか、継続費として、昭和四十四年度甲型警備艦建造費で五十一億四千三百三十三万六千円、昭和四十四年度乙型警備艦建造費で三十六億五千九十二万七千円、昭和四十四年度潜水艦建造費で六十七億一千三百二十六万四千円、合わせて百五十五億七百五十二万七千円を新たに要求し、さらに、国庫債務負担行為として、教育訓練用器材購入で十六億五百十五万六千円、武器購入で七十三億六百六十三万三千円、通信機器購入で二十六億八千二百八十六万六千円、弾薬購入で六十四億一千五百三十五万六千円、諸器材購入で九億五百二十八万五千円、航空機購入で千五億一千八百二十二万六千円、艦船建造で八十五億八千六百三十一万四千円、施設整備で一億八千二百五十九万九千円、装備品等整備で二百八十二億八千六百九十四万四千円、研究開発で四十五億五千九百五十六万六千円、合わせて千六百十億四千八百九十四万五千円を要求しております。  また、防衛本庁昭和四十四年度の職員定員につきましては、自衛官二十五万八千七十四人、自衛官以外の職員二万五千六百十三人、合わせて二十八万三千六百八十七人でありまして、これを昭和四十三年度の定員に比べますと、自衛官において七千七百二人の増員自衛官以外の職員において二百五十一人の減員、合わせて七千四百五十一人の増員となっております。このほかに二百五人の調整定員があります。  次に、防衛本庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十四年度予算案は、第三次防衛力整備計画の第三年度にあたって、陸上自衛隊にあっては、自衛官六千人の増員海上自衛隊にあっては、護衛艦等建造一万トンベースの確保航空自衛隊にあっては、新戦闘機整備の着手など、国の防衛力実質的強化をはかるための重要施策を導入しながら、計画全体の着実、円滑な達成につとめることを目標に編成いたしまして、特に次の諸点に重点を置いております。  すなわち、まず、防衛意識の高揚をはかり、自衛隊に対する国民一般理解を深めるとともに、隊員の士気を高揚し、かつ、自衛官充足対策強化をはかるため、広報活動強化募集施策推進、環境の整備、宿舎の増設その他隊員処遇改善及び退職自衛官施策推進することとしております。  次に、第三次防衛力整備計画にのっとり自衛隊装備更新充実近代化を促進することとし、陸上部隊装備充実艦船建造推進航空機増強弾薬確保地対空誘導弾部隊及び自動警戒管制組織の円滑な運用などに必要な経費を計上することとしております。  また、研究開発につきましても重点事項の一つとして特にその推進をはかることとし、前年度に引き続き、中型輸送機及び超音速高等練習機等開発を行なうことといたしております。  以下、機関別内容を申し上げます。  陸上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして二千百十九億六百十四万四千円、国庫債務負担行為におきまして百七十一億九千六百二十二万九千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、まず、昭和四十四年度の職員定員は、自衛官については、三個の普通科連隊その他の部隊を編成するため六千人を増員して十七万九千人、自衛官以外の職員については、定員削減措置等により百七十五人の減員を行ない一万二千八百七十九人、合わせて、十九万一千八百七十九人となります。また、予備自衛官の員数は三千人を増員して三万三千人となります。  次に、ホーク部隊整備戦車等部隊装備品充実更新ヘリコプター等航空機購入による機動力増強隊庁舎等施設整備などによって防衛力内容充実を一段と推進することとしております。  また、航空機につきましては、新たに大型ヘリコプター六機、中型ヘリコプター十一機、小型ヘリコプター八機、連絡固定翼機一機、合わせて二十六機の購入を予定しており、これにより陸上自衛隊昭和四十四年度末における保有機数は三百四十五機となる見込みであります。  海上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして、千百四十五億四百六十七万円、国庫債務負担行為におきまして四百二十三億二千四百四十五万六千円、継続員におきましては冒頭に申し上げたとおりであります。  その主要な内容について申し上げますと、まず、昭和四十四年度の職員定員は、自衛官については、艦船航空機就役等に伴い千二百二十二人を増員して、三万七千八百十三人、自衛官以外の職員については定員削減措置等により二十七人の減員を行ない四千七百五十九人、合わせて、四万二千五百七十二人となります。  次に、艦船につきましては、新たに護衛艦二千百トン型一隻、同千四百五十トン型一隻、潜水艦千八百トン型一隻、掃海艇二隻、敷設艦一隻、掃海母艦一隻、魚雷艇一隻、支援船九隻、合わせて十七隻約一万四百トンの建造を予定しております。これにより、昭和四十四年度末の保有艦船は、五百三十七隻約十八万六千六百七十トンとなる見込みであります。  また、航空機につきましては、新たに対潜哨戒機十一機、機上作業練習機一機、固定翼練習機二機、対潜ヘリコプター七機、救難用ヘリコプター一機、教育用ヘリコプター四機、合わせて二十六機の購入を予定しており、これにより海上自衛隊昭和四十四年度末の保有機数は二百九十三機となる見込みであります。  航空自衛隊につきましては、歳出予算におきまして千百二十五億二千四百八十八万八千円、国庫債務負担行為におきまして九百六十九億六千八百六十九万四千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、まず、昭和四十四年度の職員定員は、自衛官については第三高射群編成等のため四百八十人を増員して四万一千百八十三人、自衛官以外の職員については定員削減措置等により六十七人の減員を行ない五千二十一人、合わせて、四万六千二百四人となります。  次に、ナイキ部隊整備新編自動警戒管制組織の円滑な運用など防空能力の一そうの強化をはかることとしております。  また、航空機につきましては、新たに新戦闘機三十四機、輸送機二機、飛行点検機一機、救難用捜索機四機、固定翼練習機二機、救難用ヘリコプター三機、合わせて四十六機の購入を予定しており、これにより航空自衛隊昭和四十四年度末における保有機数は九百六十二機となる見込みであります。  内部部局統合幕僚会議及び付属機関につきましては、歳出予算におきまして百四十七億六千百八十三万四千円、国庫債務負担行為におきまして四十五億五千九百五十六万六千円となっており、職員定員は、自衛官について前年度と同じく七十八人、自衛官以外の職員については二十二人の増員をはかるとともに、定員削減措置等により四人の減員を行ない二千九百五十四人、合わせて三千三十二人となります。  続きまして、(組織防衛施設庁について申し上げます。  昭和四十四年度防衛施設庁歳出予算要求総額は、三百億七千四百九十三万六千円でありまして、これを昭和四十三年度の歳出予算額二百五十一億十一万七千円に比べますと、四十九億七千四百八十一万九千円の増加となっております。  また、防衛施設庁昭和四十四年度の職員定員につきましては、二十五人の増員をはかるとともに、定員削減措置により二十五人の減員を行ない、前年度と同じく三千二百三十一人であります。  このほかに二十五人の調整定員があります。  次に、防衛施設庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十四年度の予算案重点といたしましては、まず、防衛施設安定的使用確保し、基地周辺住民の生活安定及び福祉の向上に寄与するため、前年度に引き続き障害防止措置騒音防止措置施設周辺整備助成措置及び飛行場周辺安全措置等を積極的にきめこまやかに実施する等の諸施策推進をはかるとともに、駐留軍施設集約移転を促進するため基地対策関連経費充実をはかることとしております。  次に、駐留軍関係労務者の適正な労務管理をはかるため離職対策強化健康保険組合の財政の健全化等措置を講ずることとしております。  以下各(項)別に内容を申し上げます。  施設運営等関連諸費につきましては、自衛隊及び駐留軍基地対策関連経費二百十一億九千五百六十八万六千円その他合わせて二百三十九億一千五百五十五万円となっております。  調達労務管理事務費につきましては、離職対策費一億四千四百三十一万円及び駐留軍要員健康保険組合臨時補助金七千万円など合わせて十三億三千三百七十四万二千円となっております。  その他相互防衛援助協定交付金二億一千三百三万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費四十六億一千二百六十一万四千円を計上しております。  以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁予算案の概略の説明を終わります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 足立篤郎

    足立主査 以上をもって防衛庁所管予算説明を終わりました。     —————————————
  5. 足立篤郎

    足立主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁適確に、要領よく簡潔に行なうよう、特に御注意申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田春夫君。
  6. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 防衛庁関係で若干の質問をいたしたいと思いますが、問題はたくさんあるのですけれども、時間が制限されておりますので、簡単に伺ってまいりたいと思います。  第一点は、沖繩への自衛隊派遣の問題を若干伺いたいと思います。従来戦跡視察という名目で、自衛隊沖繩に毎年派遣されておりますが、昭和三十五年以降の、毎年の派遣数、そういう点がわかりましたらお伺いをいたしたいと思います。
  7. 麻生茂

    麻生政府委員 昭和三十五年度が四十五名でございます。それから昭和三十六年度が四十八名、昭和三十七年度が五十九名、昭和三十八年度が七十八名、昭和三十九年度が六百五十一名、昭和四十年度が八百四十三名、昭和四十一年度が千二百六十九名、昭和四十二年度が千二百三十二名、本年度が、昭和四十三年度ですが、千二百六十五名でございます。
  8. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 三十八年までは七十八名、それから三十九年になると、十倍にはならないけれども九倍近い六百五十一名、それから四十一年度からこれがまたふえまして千名をこえて千二百六十九名というように、この数年の中で飛躍的にふえているのでありますが、これはどういうことでありますか。
  9. 麻生茂

    麻生政府委員 昭和三十七年までは研修所研修員だけが出張しておったわけでございます。昭和三十八年度には研修所研修員航空自衛隊幹部学校の生徒が行くようになりました。その関係で七十八名となっております。それから三十九年度は陸上自衛隊幹部候補生学校、それから空の幹部候補生学校が行くようになったわけでございます。それからさらに陸の幹部学校、それから統合幕僚学校学生がやはり行くようになったということでふえております。それから四十年度が少しふえておりますが、これは空の幹部学校の、それまでは幹部候補生学校でも一般幹部候補生を送っておったわけでございますが、部内からの幹部候補生等も入れましたので若干ふえておるわけでございます。それから昭和四十一年度からまた少しふえておりますが、これは陸の幹部候補生学校部内幹候、それから航空自衛隊幹部候補生学校技術関係学生をやはり加えましたのでふえておる、こういうことでございます。
  10. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 四十三年度分として、ことし一月以降に、たしか一月下旬でありますが、相当数派遣があったはずであります。これは陸であるのか、空、海、そのいずれか、何日くらい滞在してどういうようになっているか、こういう点を伺いたいと思います。
  11. 麻生茂

    麻生政府委員 ただいまの御質問は一月の分の御質問でございますので、その分について御答弁申し上げます。  ちょうど一月中旬から下旬にかけまして、陸上自衛隊幹部候補生学校研修団と、それから航空自衛隊幹部候補生研修団とが参っております。その視察目的は、従前と同じく第二次大戦におきまするところの戦跡見学ということと、沖繩におきまするところの米軍施設見学、これによって幹部としての視野を広めるという目的で出かけたものでございます。研修期間は四泊五日でございます。人員につきましては、指揮官が陸の自衛隊幹部候補生学校研修団につきましては教育部長梅津一等陸佐以下三百八十四人でございます。それから航空自衛隊幹部候補生学校研修団は、指揮官が副校長の開発一等空佐で、以下八十七名でございます。  陸の分について申し上げますと、一月十五日に先発隊が十八名ばかり民船を利用いたしまして到着しております。それから一月十七日に先発隊が四名、これがやはり民船を利用して参っております。それから本隊は一月十八日に到着いたしまして、一月二十二日に全員沖繩を去っておるわけであります。  それから航空自衛隊幹部候補生学校のほうを申し上げますと、一月十五日に先発隊の五名が民船を利用して参っております。それから一月二十一日に本隊が到着いたしております。これはYS11という航空機を利用して二機で行っております。これが一月二十五日に沖繩を離れております。先発隊の五名はこの飛行機が満員でございますので、民船を利用して翌日沖繩を離れております。
  12. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 もう少しこの点も伺いたいのでありますが、ほかの問題で重要な問題がありますから、あとで時間があれば伺いたいと思いますけれども、こういう話がだいぶ出ております。沖繩米軍基地の中に自衛隊幹部が常駐している、こういう話がだいぶ出ておりますが、これはどういうことですか。
  13. 麻生茂

    麻生政府委員 常駐しておる事実はございません。
  14. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 だいぶん向こうで会った人がいるわけですが、それは常駐の名目ではなくて、何らかの形でしょっちゅう行っているわけですか。
  15. 麻生茂

    麻生政府委員 常駐している自衛官はおらないはずでございます。ただ、あそこで一カ月程度教育を受けに留学している者はございます。しかし一年じゅうというわけではございませんで、非常に限られた期間であります。
  16. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 一カ月程度留学というのはいまの数の中に入ってないのだと思いますが、それはどういうようになっておるのですか。
  17. 麻生茂

    麻生政府委員 いま申しましたのは学校から行っている分を申し上げましたので、いまの数はこの出張の中には入っておりません。行っておりますのはわずかでございまして、陸から、昨年で申しますと、二カ月ばかりレインジャー訓練を受けに一人行っております。あとは、海のほうからドローン整備課程等で約一カ月くらいかと思いましたが、二カ月ちょっと足らず行ったのがございます。その程度でございます。
  18. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それは陸と海、それぞれ何名ぐらいですか。
  19. 麻生茂

    麻生政府委員 先ほど申しましたように、レインジャーは陸から一名でございます。それから海から行っていますのが、昨年の——ちょっと失礼しました。先ほどのは誤解がございますので、一カ月ばかりのドローン課程に行っておりますのは、海から三名でございます。
  20. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それ以外にもあるというような点なども聞いておりますが、これはアメリカ留学した者が沖繩のほうに回るという場合もあり得るのではないかと思うのですが、どうですか。
  21. 麻生茂

    麻生政府委員 アメリカ本国に参りまするよりも、沖繩でこういう実務訓練みたいなのを受けられますと、経費も安上がりでまいりますので、沖繩でやっておるということでございます。
  22. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 私が伺いましたのは、アメリカ本国に行って、それが長期留学で、それが沖繩へ回ってきて沖繩にいるというような場合もあると思います。
  23. 麻生茂

    麻生政府委員 いま申し上げましたのは、いずれも日本から直接出張しているものでございまして、アメリカ留学しておって、その帰りに沖繩に行って、そこで訓練を受けているという事実は私聞いておりません。そういうことは聞いておりません。
  24. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これはお調べいただきたいのですが、そういう事実が相当あるはずです。いまおわかりにならなければ、ひとつお調べをいただきたいと思います。  それから、沖繩返還に伴ってこの間来いろいろ政府の見解が出ているわけですけれども、佐藤総理大臣は、返還になれば当然憲法適用があり、したがって自衛隊法防衛庁設置法適用もある、こういう御答弁がすでに行なわれているわけですから、その場合において自衛隊駐とんの基本構想というものがすでに防衛庁では準備が進められておって、すでに昨年中には基本構想が一応考え方としてまとまっているというように聞いておりますが、これはいかがですか、防衛庁長官
  25. 有田喜一

    有田国務大臣 沖繩日本返還されれば、もちろん憲法も施行されるし、自衛隊法も施行されまして、またわが自衛隊が陸海空を通じまして沖繩自衛に当たらなくてはならぬことは当然のことであります。ところが、これに対してどういうような考えを持って、どういうような構想を持っておるかということは、これは内部で寄り寄り研究はしておりますけれども、返還態様いかんによりましては、相当それが変わってくるということであります。まだこういう態様で返るということがはっきりしておりませんので、現段階におきましてはかくかくになって、陸上がこうだ、海上がこうだ、空がこうだというような具体的な案まではまだ固まっておらない、こういう状態でございます。
  26. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 具体的なとおっしゃるけれども、一応の仮案はできているわけでしょう。われわれの聞いている限りでは、陸上自衛隊一個師団、それ以外に海と空がそれぞれ配置になるというような話も聞いているのですが、そういう仮案といいますか、一応の防衛庁基本構想といいますか、そういうものがすでにあるのだというように聞いておりますが、これはいかがでありますか。
  27. 有田喜一

    有田国務大臣 まだ防衛庁としてかくかくだということはできておりません。したがいまして、私もこういう案であるということの説明も聞いておらない、こういう状態でございます。
  28. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これは実はあるはずですが、まだ発表を差し控えておられるのだと思いますけれども、たとえばその案ができた場合においては、いろいろあれすると、ちょうど沖繩返還問題が一応七二年をめどとする、それから三次防が一応済んで四次防に入るのが七二年ということになると、三次防を修正してその問題を組み入れることにするのか、四次防の段階でそれを改めていくのか、何はともあれ、従来の防衛計画人員等における計画の変更というものが必要なのではないか、こういうことまでもいわれているのですが、これらの点はいかがですか。
  29. 有田喜一

    有田国務大臣 これは返還の時期によりまして変わってくるわけでございまして、もしも早期返還で、三次防の計画の間に返還されれば、もちろん三次防の修正ということになりますし、四次防の段階になれば、これはいまから沖繩ということを考えた四次防の計画にせんければならぬというふうに考えております。
  30. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 そうすると、長官のお話では、いずれにせよ従来の防衛計画修正せざるを得ない、こういう理解を持ってもよろしいわけですか。
  31. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたように、日本返還されれば、あの小笠原のときと同じように、わが自衛隊があそこを守らなければならぬというようになってきますから、当然これは修正します。四次防からは、いまからですから修正事項は起きませんが、とにかく沖繩のことを考えた防衛整備をやっていかなければならぬ、かように考えております。
  32. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 三次防を修正せざるを得ないような人員増加がある、こういう理解になるのだと思うのですが、修正と再三おっしゃっているから、こういう点を含めた修正であるというように理解せざるを得ないわけですが、そういうように確認してもよろしゅうございますか。
  33. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いますように、返還の時期によりまして、それだから三次防の間に返還されればこれが修正になる、こういうことでございます。
  34. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 わかりました。それじゃ、人員を含めて修正をせざるを得ないという御答弁であったと理解いたします。  時間がたいへん制限されておりますので、実はもっと伺いたいのですけれども、続いて次に入ります。  これはたいへん重要な問題ですけれども、警察庁並びに外務省、来ていましょうか。——来ていますか。  これは防衛庁長官にもぜひお聞きをいただきたい問題ですが、立川基地の周辺で、発煙筒とピストルの発射事件がこの間、起こっている。これはもうたいへん重大な問題なんで、かつてジラード事件というのもありましただけに、人命を殺傷する危険性がある。幸いにして今度の場合にはけが人も出ておりませんけれども、こういう重大問題でございますので、ぜひお聞きをいただきたいと思います。  実はここに証拠書類も持ってきております。あとで地図でごらんに入れますけれども、事件の概略を先に申し上げます。  起こった場所は、立川の基地のちょうど北の端、滑走路のちょうど正面のところの基地のさくの外側、基地のさくの外から十メートルばかりのところで、場所は青木良一さんという人が持っておられる農地の中に起こった事件です。この農地の中に現在、一般に称して砂川反戦ざんごうという半地下式の建造物がある。この建造物並びにその付近に事件が発生をしたわけであります。  事件に至る経過を簡単に申し上げますと、去る二月の二日に——今月の二日ですね。「立川から基地をなくす市民の会」という会ほか、その他の基地反対の各団体が参加をいたしまして、この砂川反戦塹壕と基地のさくとの間に実は数本の旗を立てました。この旗に対して連続的に妨害が行なわれている。どうもこの妨害というのが調べてみたところ、アメリカ側のしわざらしい。そういう理由は、旗を掲揚して以来、再三アメリカの軍用機が故意にいろんなじゃまをする。こういうことが行なわれているだけではなくて、夜になるとガソリンをかけて旗をおろして焼いてしまったりする。また自衛隊のYS11がわざわざこれを上から航空写真で写したりしている。まあ日米共同で妨害行動をやっているというような動きが実はありまして、こういう点についてはこの関係者のほうから立川署に再三これを訴えております。しかし、立川署としてはこれに対してどの程度調べたものかわかりませんが、誠意ある取り調べが行なわれておりません。ところが、二月九日の午後九時三十分ごろ、その基地の中におりましたアメリカ兵の運転する自動車から突然に砂川反戦ざんごうに向けて発煙筒二個が投げられた。ちょうどそのときざんごうから外に出て用を足しておりました「立川から基地をなくす市民の会」の事務局長森田邦守君が見ておりまして、直ちに火をとめましたものですから、これは大事に至りませんでした。その事件が起こりましてからわずか七、八分あとに立川署のパトカーが参りまして、火事があったんですかといってたずねてまいりました。七、八分後でたいへん手回しがいいので、どうしてわかったのだと聞いたら、立川の本署から連絡があった、こういうように言ってきたそうですが、立川の本署には、実はこのざんごうのほうからは何らの連絡はいたしておらなかったのに、突然こういうようにあらわれた。パトカーの中には五名の立川署員が乗っておって、その署員の一人は伊藤衛という巡査、外四名でありました。そういうような事件があって、あとでまた現場で御説明いたしますが、こういう事件があった。  その次が第二の事件として、二月十八日の午後八時四十分ごろ、同じくざんごうのうしろでこの森田邦守君が、旗が盗まれるものだから、夜見張りに立っておった。ところが、滑走路前を往復しているアメリカの大型車から、この行き帰りに突然ピストルのようなもので二発の発射を受けた。一発はこのざんごうの屋根に当たった。もう一発は同君の右耳をかすめて通った。こういうような事件がありました。この大型車には四名のアメリカの兵隊が乗っておって、この滑走路からの光線の関係で四名の米兵の動きがよくわかるのだそうでありますが、一人の男が腰を浮かしてねらいを定めて撃つ状態がよく見えたのであります。こういうことからいって、明らかにアメリカの兵隊が基地内からこういうようにピストルを発射したという事実は、これは明らかに本人からいっても確認ができるわけなんです。こういう点は、実はきわめて重大な問題なので、市民の会としては立川署に訴えるとともに、立川基地の米軍の六一〇〇空軍憲兵中隊にこれを抗議したけれども、いまだにどちらからも誠意ある取り調べの回答がない、こういう状態であります。  これは地図も持ってまいりましたが、簡単に申し上げると——長官、ごらんいただきたい。ちょっとどなたか端を持ってください。滑走路がこれで、基地のさくがこうです。委員の方に見えないけれども、かんべんしてください。ざんごうがここにあるわけです。旗をこういうように立てましたね。最初のこれは発煙筒のときですが、九時三十分ごろこちらのほうから来て、最初はここへぶつけた。それから第二回目はここへぶつけた。これはこの下の枯れ草が火事になった。あとでごらんに入れます。これが実は二月の九日の事件です。  十八日の事件は、同じように、ざんごうはこうあって、車が八時三十分ごろこう来まして、ここでピストルを撃っているわけです。これが屋根に当たったわけです。そしてここに先ほど申し上げた森田君という人が立っておりましたら、この車がこう行って、ここでUターンをして戻りがけにまた一発撃って、右の耳のふちを通ったというような事件が実は起こっているわけです。  これは、そういう事実がないというようなことを実は立川の基地の米軍関係は言っておりますけれども、これは証拠をごらんに入れるとおわかりいただけるのですが、ちょっとあぶないのだそうです。まだ入っている。  これが発煙筒の最初のほうで、これは焼けて燃えてしまったやつ。これが不発に終わって、こっちがあぶないのだそうです。これは不発でまだ粉がぼろぼろこぼれますが、これは明らかに、発煙筒の中にAN−M8SMOKE・HC、それから下のほうに数字で1021・32・18、こういう番号が入っておって、これはアリメカの発煙筒であることは間違いないわけです。  そのために、これをどうも証拠物として取られては困ると思ったらしくて、この最初の事件の起こった日には再三これをアリメカの兵隊もさがしておったようですし、警察側も再三これをさがしておったようです。たとえば、二月十日の午前二時に、基地内からはアリメカの自動車でずっとさがすと同時に、それに並行して立川の署員だと思われる日本の警察署員が、基地のさく外のところを三名で懐中電燈を照らしながらこうやってさがして歩いたのを、そのざんごうの中にいる見張りの人がうしろからつけて、あなた何しているのだと言ったら、たいへんてれくさそうな顔をして、いや何もしているわけではないと言ってごまかしたような事実があがっているわけです。  こういうような事実もはっきりしておりますので、私はまずここで伺いたいのは、この点について警察側はいかなる調査を行なったのか。この点からひとつ伺ってまいりたいと思います。
  35. 後藤信義

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  いま先生から詳細に事実関係について御発言がございましたものでございますが、私どものほうで調査いたしましたところについて申し上げます。  問題は二つあるわけでございまして、第一回はいま御指摘の発煙筒の燃えた事件でございます。それから第二回は、ピストルようのものの発射ということで、事件としましては二つでございます。  そこで、まず発煙筒のほうの事件でございますが、これは、警察が認知いたしましたのは二月九日の午後四時三十分ごろでございますが……(岡田(春)分科員「九時でしょう」と呼ぶ)午後四時三十分ごろ。これは第一回でございます。これが、立川の市役所砂川支所内を警ら中のパトカーの警察官が、いま先生おっしゃいましたざんごう付近で白煙が上がるのを発見しました。そこで現場に急行いたしましたが、そこにいまお話しの森田という方が一人でざんごうの前に立っておられた。発煙筒のようなものを一本所持しているという状況でございました。そこで、パトカーの警察官が不審に思いまして、どうしたのかということを質問いたしましたところが、その森田という方は、いや何でもないのだ、関係ないから行ってくれ、こういうことであったようでございます。そこで、警察官は、なお現場周辺の状況を見ましたけれども、ほかにだれも見当たらず、それからその際、いま先生は発煙筒は投げ込まれたというふうにおっしゃいましたが、発煙筒が投げ込まれたのだという申告もむろん森田さんからはございませんでした。それでそのまま帰っております。  それから同じ日の午後八時二十五分ごろでございますが、立川署の砂川四番派出所勤務の警察官が警ら中でございますが、四番ゲートのボックス付近に差しかかりましたところが、二百メートルばかり離れましたざんごう、いま先生がお示しの地点でございますが、黒い煙のようなものが上がるのを——黒いのは火でございますね、黒っぽいような火が燃えているというような状況が見えたわけでございましょう。これを発見いたしましたので、本署に即報いたしました。そこで、本署といたしましては立川署からパトカーを派遣をいたしております。これには警察官が三人乗って現場にかけつけております。現場に到着いたしましたのは午後八時三十分ごろのようでございますが、そこでさく越しに、ざんごうまでの距離は約十一メートルばかりあったのでございますが、そこに五、六人の人影がありましたので、何かあったのですか、こういう質問をしております。ところが、相手のほうからは、いや何もないよ、火事ではないのですかと重ねて質問したところが、この五、六人の人たちは、そんな連絡はどこからあったのだというようなことを言っておられたようでございます。仮小屋の屋根は板あるいはビニール製のシートでつくられておるわけでございますが、その一部に若干穴があいているような状況が見られたようでございます。それからさらに小屋の中で何か燃えているようにも感じられたということでございますので、不審に思ったのでございますが、何もないから帰ってくれというような話がございましたので、ひとまずそこを引き上げておるわけでございます。なお、その前後に基地内、基地外を見ましたところが、現場の付近には人影はなく、そのほかに異常は認められなかった、こういうことでございまして、このときのパトカーでかけつけました者の話によりますと、暖房のためにどうも石油ストーブが中にあるようでございますが、あるいはそのストーブから屋根が燃えてきたようなことで火が見えたのではなかろうかというように推測したということでございます。  それからなお、これはあとのことでございますが、同じ日の午後十時ごろになりまして、約一時間ぐらいかかってこの屋根を修理したようでございます。そこでこのときにも現場では一言も、米軍の基地から、ないしは米兵の発煙筒を投げ込んだといったような話はございません。ところが、翌日の二月十日の午後でございますが、三時近くに立川警察署に対しまして数名の方がお見えになって、この事件について抗議をしに来られております。応対いたしました者は立川署の公安の係長でございますが、この発煙筒を二本、これはおそらくいま先生お示しのものだろうと思いますが、一本は使用済みのものでございまして、これを持ってまいりまして、こんなものを基地の中から投げられた、警察は何しているのだ、こういうことを話したようでございます。そこで、それでは捜査いたしたいので発煙筒を一本提出してもらいたいということを言いましたところが、いや、きょうは抗議に来たのであって捜査はやめてくれということを言われて引き上げたようでございます。そこでその際、発煙筒は投げられたということであって何時ごろという詳しい話もなさらずに約一時間で引き上げられたということでございます。警察といたしましては、その際、写真を撮影しております。  それからなお、この種の発煙筒が一体どういうものであろうかということで調査いたしましたところが、あの付近ではよく火災訓練をやるそうでございますが、その際発煙筒が使われるということがしばしばあるそうでございます。それからまた飛行機の離着陸の際に、タイヤのパンクなどのような事故があった場合に、いち早く関係者に知らせるということで発煙筒を使うということもあるそうでございまして、その辺ではこういうものを使うこともあるようでございます。(岡田(春)分科員「だれが使うんですか、しょっちゅう使っておるのは日本人ですか」と呼ぶ)いま申しましたように、これはアリメカ軍の基地の付近におきまして火災の訓練でありますとか、あるいは車輪のパンクなどがありましたような飛行機の事故を関係者に知らせるためにアメリカの側において使っておる、こういうことでございます。
  36. 足立篤郎

    足立主査 ちょっと申し上げますが、最初申し上げましたように時間が非常に制限されておりますから、答弁も簡潔に願います。
  37. 後藤信義

    ○後藤説明員 それから、その次はピストルの事件でございますが、これは二月十八日、これは被害者側からの届け出は現在に至るまで全くございません。そこで警察側でこれを認知いたしましたのは二月十九日の午後七時ごろでございますが、米軍の立川司令官付通訳という方から立川署に対まして連絡がございまして、先ほどざんごうの中におる者が記者会見をして、米軍の基地から拳銃を発射されたという発表をしているという連絡があったということで知ったわけでございます。そこで、立川の警察署といたしましては直ちにこういう事実があったのかどうかということで捜査活動を依頼いたしましたが、その結果は二月二十四日になりまして、そういう事実はないという回答を得ております。  それからなお被害者ということになりますけれども、森田さんという方、この方につきまして捜査をいたそうといたしましてただいまその手続をとりつつありますが、昨日お宅のほうに伺ったのでありますが、留守のために捜査するに至っておりません。被害者は森田邦守という方でございます。そういう状況でただいま推移しておるわけでございます。
  38. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 ちょっと主査にもお聞きをいただきたいと思う。いまの答弁を聞いておると十二分です。これでは私質問できないですよ。これでは問題になりませんから、若干その分だけは主査のほうで御了解をいただいて質問をさせていただきたいと思います。  いまの答弁を聞いておると、私の調べたのにたいへん食い違いがある。最初の発煙筒の問題にしても、昼間起こった事件でない証拠に、これは自動車の往復についての番号を調べるのに、光線を使ってようやく調べたということを言っておるのですから、だからあなたのほうのお調べで最初の発煙筒が一発投げられておるとすれば、これ以外にもう一発あったということになるかもしれません。そういう点では、われわれのほうで調べた限りにおいては、事件の起こったのは九時半以降の事件であります。四時半というとまだ明るい。ですから、これはたいへん著しくあなたのほうのお調べと状態が違っておるわけです。それから、あとの拳銃発射の問題については、まだ被害者からそういう手続、そういうことが言ってきてない、こういうお話ですが、あなたのほうはそういうことに籍口して、いわゆる基地反対を進めておる団体に対していろいろな弾圧を加える、こういうような場合が非常にあるわけであります。ですから、こういう点を利用していろいろなことを調べるというようなやり方ではなくて、やはり誠意をもって調べていただかないと、いまの答弁など伺っておっても、警察はどの程度調べておるかわからないというのが今日の状態でありますので、徹底してこれはお調べをいただかなければならない。こういう点をはっきりここで重ねて申し上げておきます。  それから、この事件はやはり外交上の問題としても重大な問題であります。たとえば拳銃で、幸いにしてこれは当たらなかったからよかったのでありますけれども、こういう事件が起こって、死なないにしてもけがをするということになりますと、これは外交上重大な問題でございますので、外務省としては、アメリカ大使館に対してやはり正式に調査を要求する、こういうことをやってもらわなければ私は困ると思うのであります。これは日本人民の人権の問題でありますから、この点について外務省はどういう態度をおとりになるか、この点を、東郷アメリカ局長が見えておりますので、お答えをいただきたいと思います。
  39. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 この種の事件に関しましては、御承知のように、地位協定十七条にも規定もございますし、手続もございますので、これに従って米軍のほうでも十分調査をして、その結果、まだ先生の御期待になるような返事は来ておりません。  このようにして事実を明らかにすることが先決だと思いますので、地位協定上の手続で十分でないということになれば、またその場合には外交ルートというようなことにもなり得るかと存じます。ただ、地位協定上の手続を十分やって事実を明らかにすることが先決だと思っております。
  40. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 東郷さん、これは人命の問題です。しかも、この前のジラード事件の場合にも、犯人は最後に逃げて帰ったという事件もあります。そういうことは、米軍のほうに加害者がいたという場合には、軍隊としてはどうしてもこれをかばうような状態になる。これは常識上当然なのであります。ですから、これは単なる地位協定上の問題だけではなくて、大使館に対して、いわゆる外務省との間でも話し合いをやはり進めなければ、こういう事件の核心というものは明確になってこないと思いますので、この点は外務省として、アメリカの大使館に対してそういう交渉をおやりになっていただきたいと思うのですが、そういうことをおやりになるお考えはあるかどうか、この点を再度伺っておきたいと思います。
  41. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 地位協定の運営に関しましては、大使館からも連絡する者も出ております。まず現在の地位協定上の手続をやりまして、それでは足りない、外交ルートで問題を扱うということになれば、そのような措置をとりたいと思っております。いまのお話のジラード事件のときも実際そういうことになったわけでございます。まずこの事件の調査ということ、事実を明らかにするということが先決だと思っております。
  42. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 しかしあなた、並行してやってどうして悪いのですか。並行してやってはいけないのですか。並行してやったっていいじゃありませんか。そっちのほうはそっちのほうでやればいいし、外交上のルートはルートでやったらいいじゃありませんか。
  43. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 ただいま申しましたように、地位協定の合同委員会には大使館のほうも出ておりますし、そういう過程を通じて、大使館も十分この問題を当然知っておるわけでございますから、その段階でわれわれが開き直って申し入れるということは、今後もう少し事情がはっきりしてからにしたいと考えております。
  44. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これはあなたそういうふうにおっしゃるけれども、どうして外交上のルートとしてやれないのですか。やってはいけないというような何かあるわけですか。やってはいけないという何かあるのならば、それをお聞かせいただきたい。日本の国民の人命上の問題なんだから、そういうことに対しては外交上のルートを使って並行しておやりになったってかまわないじゃありませんか。なぜそれをおやりになるのがいけないのだ、こういうお話しになるのですか。並行しておやりになったらいいじゃありませんか。そういうことをおやりにならなければ、外務省としての道に欠ける、十分には行ない得ないということにもなるじゃありませんか。
  45. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 外交ルートでやるかやらぬかということと思いますが、私も外務省であるとともに合同委員会の日本側にも関係しておりますから、こういう問題を、先生もおっしゃいますように、外交ルートに乗せていいとか悪いとかいう問題があるわけではありません。必要があればいつでも乗せることはかまわないわけでございます。今回の事件に関しましても、ただいま申し上げましたように、すでに大使館でも承知しておるわけでございます。大使館が軍当局を督励しなければならぬというような状況があれば、今日でもやる必要があると思います。いずれにいたしましても、現在合同委員会の手続で十分事実を明らかにする、それが先決じゃないかと思いますので、その上で、必要があればいつでも外交ルートの問題としてあるいは並行してでも取り上げて、こういう事故がないようにやるのがわれわれの責務だと思います。
  46. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 時間がありませんから……。いまの話を聞いておると、それに並行して必要がある場合にはいつでもやりたい、こういう考えのようでありますが、これはきょうは長官も国務大臣としてぜひお聞きをいただきたいのですけれども、日本国民の人命上の問題ですから、政府としてもこういう問題に対して、思想の問題は政府として賛成か反対かは別として、これはやはり徹底して調べていただかなければならない。こういう点について、まず大臣から政府としての態度をひとつ明確に伺っておきたいと思います。
  47. 有田喜一

    有田国務大臣 この問題は先ほど来私よく聞いたのであります。そこで、やはり警察にもっと事実をはっきり把握してもらうことが必要で、その上に立って、もちろん合同委員会もありましょうが、外交ルートに乗せるかどうかということは、さっき東郷局長も申したように、しっかりした事実をつかまないとしっかりした外交が進められない、小言が言えないわけです。そういうことを考えて外務省がああいう答弁をされたと思いますが、早くその事実をしっかり把握する、よく調査しておく、それをやって、その上に立って、もし事実があるならば、そういうことがないように厳重に抗議を申し込む、こういうことで考えております。
  48. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これはそういうことに藉口して、警察のほうがいわゆる基地反対の団体に対していろいろ干渉するような場合がいままで非常にあるのです。ですから、被害者のほうもこういうことについては警察に訴えるというのを非常に警戒するような場合がある。こういう点を含めて、ひとつ大臣としては十分これは伝達していただいて徹底して調査していただきたいと思います。  それから、事実の有無にかかわらず、外交ルートを通じてアメリカ側に対して調査を要求することができるわけです。こういう点をも含めて、ひとつ徹底してお調べをいただきたいと思います。  それから、これに関連して、なぜこういう事件が起こったかという一点だけを、これは政府の見解を伺っておきたいのですが、立川の基地の滑走路の延長計画というものは、アメリカ側からは十二月十九日に取りやめたという発表があったはずでありますが、この点は防衛庁としてはどうなっておりますか。正式に決定をして発表されたものですか、どうなんですか、施設長官
  49. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 御案内のとおり、立川の北側には過去におきまして滑走路の延長計画というものがございまして、それに基づいてそういうような作業をしておったのでございますが、ただいまおっしゃったときにこちらが発表いたしたわけですけれども、延長計画は中止した、なくなった。ただし、自後においても安全地帯、こういうものとしてなお引き続きそういう地域をお願いする、こういうことになっております。
  50. 足立篤郎

    足立主査 岡田君に申し上げますが、先ほど後藤参事官答弁がたいへん長かったことを私も認めて注意したのですが、その十二分を差し引きましても、すでにあなたの時間は七分余りオーバーしておりますから……。
  51. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 そんなことはない。いま時計を見ながらやっておるのですから。  それでは、あの地帯というものは、どういうことですか、そういう名目の地帯を確保するということはどういうことになるのですか。それは初めて聞くのだけれども……。
  52. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 初めてではございませんで、そのときにも発表したわけですが、拡張は中止になりましたけれども、飛行場の先の安全地帯というものが必要であるということで、安全地域として引き続き、その過去において要求した面積そのまま要求する、こういう話でございます。
  53. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 しかし、それはおかしいでしょう。基地というもの以外に安全地域をあれするというのは、それは基地の拡張ということですか。
  54. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 滑走路の延長が取りやめになったということを申し上げているわけです。
  55. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 滑走路の延長はやめて安全地帯は拡張する、こういうことですか。
  56. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そういう意味でございます。
  57. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 そうすると、安全地帯を拡張する分だけ基地を広げる、そういう意味で現在も残っている。こういうことですか。
  58. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そのとおりでございます。
  59. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 しかし、それは当初の話と違うじゃありませんか。昭和三十年十月十四日の土地収用法に基づいた収用認定行政処分ですね、これは基地拡張のための、滑走路延長のための収用認定でしょう。滑走路の延長のためにそういう収用認定をしたのに、安全地帯としてのあれの場合には、これはそのまま適用になるわけにいかぬじゃありませんか。
  60. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 おっしゃる点ごもっともでございますので、これについては検討いたしております。
  61. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 検討しておるというのならば、これはすでに、収用認定というものは事実上滑走路の延長がなかったわけですから一応取り消しになる、こういうように理解してもよろしゅうございますか。
  62. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そういう点について検討いたしておるということでございます。
  63. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 検討してとおっしゃって何カ月もそのまま置いておくということは、関係住民にたいへん迷惑をかけるわけですね。これは直ちに取り消すべきであると思うが、この点はいかがですか。
  64. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 早急に決定いたしたいと思います。
  65. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 いつごろ決定になりますか。
  66. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 政府部内のいろいろな手続もございますので、いつごろということをちょっと申し上げかねますが、できるだけすみやかに決定いたしたい、かように考えております。
  67. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 決定というのは、取り消しという意味ですね。それ以外に方法はありませんね。
  68. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 地域の拡張については取り消しではございませんが、収用認定等につきましては、取り消しというような点について検討しておる、こういうことでございます。
  69. 足立篤郎

    足立主査 もうその辺で打ち切ってください。
  70. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 もうこれ一問です。収用認定は滑走路の拡張のための収用認定ですから、それがなくなったのなら、それを取り消さざるを得ないわけだ。それについて、検討ではなくて取り消し以外にはないでしょう、こう言っているのに、それを考えているとおっしゃらないで、むしろそこは取り消すためにいま準備を進めている、こういうように理解してもよろしゅうございますか。こう言うのです。
  71. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そういうふうに御理解なすってけっこうです。
  72. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それじゃ、まだありますが……。
  73. 足立篤郎

  74. 大出俊

    大出分科員 施設長官に冒頭に一つだけ承っておきたいのですが、横須賀の原潜作業について昨日の分科会で御質問申し上げましたが、お調べになりましたか、あのあと。簡単にお答えください。
  75. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 その後調査いたしましたところ、当時の状況といたしまして潜水艦の普通作業に一部従事しておるということが判明いたしております。
  76. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから長くは言いませんが、あらためて私の委員会でもやりますが、あのときそういうことをやりとりしたんじゃなくて、駐留軍の労働者の組合の側から防衛庁長官に対して、また施設長官に対して要求書が出まして、原子力潜水艦についての直接作業あるいは間接作業はやらせるべきではないんだ、いかがかという要求を出してあります。これに対して皆さんのほうから、原子力潜水艦についての直接作業はやらせないようにするという回答が出ている。原子力潜水艦についての直接作業となると、潜水艦の中に入って作業するあるいは潜水艦の下にもぐって深度計を取りかえるなんということは、あるいは潜水艦の中の電気系統をさわるというような作業はやってはいけないことになる、やらせないことになる、こういう見解なんだがとただしたところが、施設長官からは、電気系統なんていうのは、これは原子炉の、そこのところで作業してないんだからいいんだというお答えがあったが、原子力潜水艦についてということになっているんだからそうではないんだろうということを私は申し上げた、それはどうなったかということなんです。  それともう一つ、これは大臣の見解を承りたいんですが、この雇い入れは明らかに日本政府です。働いている人は日本人でございます。米軍との雇用関係は何もない、労務の提供だけであります。この方々は日本の国内法の適用下にある人たちに間違いはない。そうすると、日本の国内法、原子力基本法からまいりまして、本来ならば安全審査その他を原子炉についてもやらなければならぬ規定がございます。ところが原子力潜水艦でございますから軍艦でありまして、安全審査その他一切できない、立ち入り検査もできない、こういうふうになっている。そういういつ何が起こるかわからぬという状態の中で、日本の法律その他からははずれているものについて、はたして日本政府が雇用している人を直接作業に投入することができるかどうかという問題がありまして、もし事故が起こったらどうするのだという意味で、責任が持てない、原子炉の安全審査もできない、こういうわけでありますから、これが当時問題になって、いま申し上げたような原子力潜水艦についての直接作業はさせないということになっているわけであります。ところが、最近エスカレートいたしまして、原子力潜水艦の中に入って作業している、修理作業その他をやっている。これは困る、現地で働いている方々も非常な不安感を持っているわけでありますから、それは当時の約束ごとに基づいてやめさせるべきではないか。おわかりにならぬ、資料もお持ちになっておらぬというお話でございましたから御返答願いたいと申し上げた。この二点について、一つは施設長官、一つは防衛庁長官からお願いをいたしたい。
  77. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 原子力潜水艦に対するところの直接作業は行なわせないということは、もうおっしゃるとおりでございまするが、この直接作業という意味でございます。これは原子炉等、そういったような直接原子力の発生するような装置はもうこれは行なわせないということでございます。そのほかの普通の作業につきましては、これは必ずしも直接作業とは言いかねるので、さような点については必ずしも行なわせないということにはならぬのかと思います。それから、そういった原子炉等につきましては直接作業であるからやらせない、今後もこういう点については当然その線で進めてまいりたいと思いまするが、なおいまの原子力艦の問題で、ただ上がって通常作業する点等につきましては今後もわれわれのところでも御趣旨のような点はまだ十分検討してまいりたい、かように考えております。
  78. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから、じゃ、そこでお持ちになっている皆さんの回答書を読んでいただけませんか——おわかりにならぬようだからもう一ぺん言いますが、全駐労の要求に答えてあなた方のほうは回答を出しておりますね。その回答書をあなたはお持ちにならなければ、いまのような答弁は私は言われても受け取りがたい。どう回答されていますか。
  79. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 原子力潜水艦日本寄港につきましては、三十八年の八月に合衆国政府から、エードメモワールによって、日本国内において燃料交換及び動力装置の修理をやらせるというようなことはないという返事があった。その過程におきまして、三十九年の十一月でございますか、さしあたり駐留軍従業員の原子力潜水艦に対する直接作業は行なわせない。また間接作業も原則としては行なわせないように努力する、こういうふうな回答であったと思います。
  80. 大出俊

    大出分科員 多少違いますが、大筋はそういうことです。原子力潜水艦に対する直接作業、また間接作業も原則としては行なわせない、こうなっているでしょう。原子力潜水艦についてということなんですよ。あなたは、直接作業は原子炉だとかなんとかおっしゃるけれども、そんなことは一つも書いてない。原子力潜水艦についての直接作業、いいですか、間接作業は何かというと、原子力潜水艦の中から出てくるいろいろなものの処理、その中には被服の洗たんだ何だ、いろいろある。しかし、そういうのはまあいいだろう。原則外である。そこまでそのときに話し合われてそれが出ているのでしょう。違うじゃないですか、あなたのいまの回答は。あなたのおっしゃったのは原子炉である。そんなことはどこにも書いてない。そこのところは、そういうふうに現にやらしているから、そこまで詰められると、やらしているのをやめろということになるから、あなたはそういうふうに答えられるのだろうと思うけれども、当時の回答があってそういうように出ているのです。あなたは当時の責任者じゃありませんからしかたがありませんが、小野さんのときです。私も小野さんにお目にかかって話をまとめているのですから。あのときの認識はいまと全然違うのですよ。非常にあぶないものであるという国内的な大論争があった。この間あなたのおられるところで愛知さんに質問したでしょう。愛知さんが当時科学技術庁長官だった。安全審査も何にもできない原子力潜水艦だ。軍艦だ。そういうところに日本の従業員が、しかも政府雇用であって国内法の適用を受ける者が触れることはよろしくないという見解が科学技術庁にもあった。そこでそういう回答になっている。それがだんだん時間がたったから、向こうも困るからというので何となくなしくずしにやっているけれども、だから当時にさかのぼって再検討する必要がある。私はあなたに無理を言っているのじゃない。世相が変わっているから当時の約束ごとが薄らいできていまのようになっている。それを手直しをしたほうがいいんじゃないか、問題が起きますから、こう申し上げているので、そこのところはやはりすなおにお答えいただかぬと、当時のいきさつもあるのでいろいろ話し合うということにしていただかぬと、問題はまたイエスかノーかになってしまいますので、予算委員会じゃありませんけれども、そこのところはそうお答えいただきたい。
  81. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいまお話のありましたように、その後におきまする経過において、この作業は直接原子炉——まあ私の言う解釈で原子炉でございますが、直接の作業は、いろいろな意味で高度の技術も要するし、危険でもあるということで行なわないということになってはおりまするが、いまの間接の解釈につきましてはいろいろ疑義もあるようでございまするから今後十分検討してまいりたい、かように考えております。
  82. 大出俊

    大出分科員 紛争はなるべく起こさぬほうがいいので、あれほど異常放射能があってお聞きになったとおりでございますから、そうすると、その中でまた一切拒否をするとかなんとかいうことになりましても紛争が起こりますので、ぜひその点は慎重な配慮をお願いしたい、こう思うわけででございます。よろしゅうございますな。  基地の問題について二つだけ承っておきたいのでありますが、一つは横浜の戸塚にございます、プエブロ号の乗り組み員等を訓練したといわれております上瀬谷の通信基地の問題でございますが、これをめぐって最近上瀬谷の中の中屋敷というところが中心でございますが、ここの方々が、契約は補償金その他について一年更新になっておりますが、これを契約締結を拒否いたしまして、契約破棄の通告を正式に法律的に提出いたしました。この問題についての解釈を皆さん方に承っておきたいのです。  そこでまず上瀬谷の例のAゾーンの問題から始まります各ゾーンの問題、例の不作為契約といわれているものがございますが、これは一体法律上どういう契約だという御理解をお持ちでございますか、施設長官
  83. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 相手方にさような不作為の行為を約束するところのそういった無名契約である、かように考えております。
  84. 大出俊

    大出分科員 はっきりしていただきたいですが、民法上の無名契約だということですか。
  85. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 土地の使用にも関連しますので、土地の使用契約に非常に類する性格は持っておりますが、私ちょっと法律的な、ただいまの何契約の型であるということについては、ちょっとここでお答えいたしかねますが、無名契約的なものであろう、かように考えております。
  86. 大出俊

    大出分科員 そこをはっきりしていただきませんと論議ができません。民法何条と何条にかかわる、どういう類型に入る無名契約なのか、明確にしていただきたい。
  87. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま長官からもお答えしましたように、土地の所有者が自己の土地を全面的に使用する権利を持っているわけですが、その土地について家を建てたり工作物を建てたりすることを制限するということを内容とする、いわゆる不作為を内容とする契約でございまして、要するに所有権をフルに発揮できないというその損失に対する補償を内容とする契約、そういうふうに考えております。
  88. 大出俊

    大出分科員 したがってこれは民法の何条、何条の関連のそういった類型を持つ無名契約だということになるのですか。法律根拠は明らかにならぬじゃないですか、それじゃ。法律論争ですから、論争できないでしょう。——ちょっと大臣、この破棄通告を出しまして、つまり契約並びに覚え書きなるものが法律的にどういう解釈になるのかということですね。有効か無効か、あるいは解約行為というものが有効か無効か。そうなりますと、これは民法上、私法上の法律行為ですから、その立場というものを明らかにしていただきませんと、これは論争ができない。
  89. 有田喜一

    有田国務大臣 私はこの問題は、法律問題もさりながら、何とか話し合いというか、地元の方々と話し合いを行なって、そうして円満に解決したいというのが私の考え方でございますので、法律問題はこれは事務当局からいろいろありましょうけれども、やはりこういう問題は法律で争うとかなんとかいう問題ではなくて、何か地元の方の理解の上に立ってやっていきたい、かように思って、目下折衝中なのでございます。
  90. 大出俊

    大出分科員 大臣、そういういいかげんなことをおっしゃっちゃいけませんよ、これは国会ですから。法律によって結ばれている契約です。そうでしょう。それを、その法律の契約の効果とか、法律的にどうだとかいうことはめんどうくさいからやめて、なるべく事を荒立てないように適当にまあまあということでまとめたいなんということを大臣が言っちゃったら、これは法治国家ですから、法治国家の、あなた国務大臣でしょう。法治国家の国務大臣が、法律はどうでもいいからなんということを言っちゃっちゃ事件ですよ。そういうふざけた答弁はないでしょう。幾ら何でも、いいですか、明確に破棄通告を法律手続に従って出しておるのですよ。しかも横浜市当局が公に法律専門家に委嘱をして鑑定書というものをつくって、これまた公にしているのですよ。にもかかわらず、法律はどうでもいいからまあまあという話をするのですか。そんな国務大臣ないでしょう。これは突き詰めていけば法律上の、私法上の争いになる。そうでしょう。あなた方、こんな不親切な、こんな瑕疵の多い、欠陥だらけの契約の結び方はないですよ。だからそこをはっきりしてくれと言っている。
  91. 有田喜一

    有田国務大臣 私のさっき言ったことは、少し誤解があるのじゃないかと思いますが、法律問題は法律問題としてということを言うておるのですから、そのことはもちろん、山本氏の鑑定があって、私もよく知っております。それは法律問題は法律問題として一方いくのだけれども、私の立場としては、法律も大事だけれども話し合いでうまく円滑にいきたいというのが私の気持ちで、法律問題を無視するなんということは毛頭考えておりません。
  92. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほどから私申し上げましたとおり、賃貸借に類しますけれども、無名契約でございますから、契約総則一般適用になる、かように考えております。
  93. 大出俊

    大出分科員 契約総則一般がというのならば、私法上のつまり契約原則なるものが総則一般でございます。この契約原理に従うというのが通則一般でございます。そう理解してよろしいですな。
  94. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 不動産の不作為を内容といたしておりまするので、不動産の賃貸借に類する無名契約、かように考えております。
  95. 大出俊

    大出分科員 時間がないから申し上げますが、土地ないしは建物の賃貸の規定に類する契約ですね。したがいまして民法の六百一条ないし六百二十二条、これがいま申し上げた土地建物両方ですから、このような類型だということになる。よろしゅうございますか。
  96. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 類する無名契約であると、そのとおりであるとは私申し上げかねるわけでございますので、さように申し上げたわけであります。
  97. 大出俊

    大出分科員 そうしますと、今回この破棄通告がなされている。この破棄通告についてあなた方はどうお考えになりますか。
  98. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 通常の契約でございまするけれども、この契約の内容といたしましては、契約の第三条でございますか、これにこの契約の期限が書いてございますが、これは契約期限が切れた翌日からさらに一カ年延長する、さらにその一カ年延長した後の満期日もこれに含むというふうな表現がございます。かてて加えまして、当時両当事者で覚え書きを交換いたしまして、この契約は現行安保条約の存続する間は契約締結するものとするということを、代表者ではございまするが、委任を受けた代表者との間に覚え書きを交換いたしております。契約の解釈の疑義を解明するために、かような覚え書きを交換するということで、契約と並んで覚え書きを交換いたしておりまするので、現行安保条約の存続する期間この契約が締結されるものというふうに理解された契約であると考えております。ただ、先ほどから大臣もお答えになっておりまするように、契約としてはわれわれはさように考えておりまするが、実際問題としては当事者の御協力を得なければ何の役にも立たない内容のものでございますので、極力当事者の御了解を得、話し合いを詰めてまいりたい、かように考えております。
  99. 大出俊

    大出分科員 はっきりしませんから少し読みましょう。この「契約更新拒絶について」というところで、「本契約の効力に関して一番重要なのはこの点であろう。」という鑑定書上の指摘がある。そこで、この「上瀬谷通信施設が被る電波障害を防止する措置を必要とする間は、契約期間の満了日(更新した場合の契約期間満了日を含む)の翌日から一年間自動的に更新する」とされて居り、」これがいまあなたがおっしゃった点でございます。「他面いわゆる覚書」によれば「本契約は上瀬谷米軍通信施設にかかる電波障害を防止するため現行安保条約の有効期間中継続的に締結するものである」という記載があり、」これは覚え書きであります。「これらを形式的にみればこの契約は現行安保条約が存続するかぎり締結され続け、更新拒絶が出来ないように読み得る余地があるからである。然しながら、結論的にいえば、この契約の趣旨からみてかかる解釈は許されず、住民側の更新拒絶は有効であり、従って現行契約の期間満了日である昭和四十四年三月末日以降更新拒絶が締結者からなされる限りその者と国との間の契約は失効するものといわざるを得ない。その理由は以下の通りである。」というので鑑定書に理由がついておる。これを申し上げますがね。そしてあなた方の御見解を聞きたい。「第一に本契約の効力を考えるに当ってその法的性格を明確に考える必要がある。」これは私がいま聞いた、法的性格を明らかにしないと論争ができませんから。そこで「本契約が日米両国家間の条約、しかも日本国の防衛という極度に国家的、政治的な目的の要請から存在するということは否定できない。しかしながら、その締結当事者が国であり、いかにその目的が国家的必要から出たものであっても、この契約自体は私法上の契約として締結されているのであるから、」これはあなたお認めになりました。「その公共的性格を理由に民法上の契約原理の適用を排除することは出来ない。そのかぎりでは国家といえども本契約について私人と同様の立場で契約法の原理に服さなければならない。」これもいままでの御答弁からいって当然です。「もし国に本施設の利用について真の国家的必要があるのであれば、国は正規の収用手続なり、特別の立法措置をとって処理することが出来るのであり否、行なうべきことが公的機関としての正しい処理方法である。これが先ず本契約の効力を考える上での前提にされなければならない。このように本契約を私法上の契約と考えた場合、民法上どの種のものとして取り扱いを受くべきであろうか。本契約はその内容を理論的にみると「電波障害を発せしめるような一定の行為をなさない」という不作為、換言すると「人の行為」を給付内容とする長期・継続的・有償・双務契約であり、これに該当する契約類型としては民法上雇傭の規定しか存しない。しかし反面、本契約を実質的にみれば国が土地の一定の利用方法(電波の通信を円滑に行なうという)を契約者たる住民から取得し、これを第三者である米軍に供与するという「土地乃至は建物の利用に関する給付」を内容とする長期・継続的・有償・双務契約であり、土地建物の利用が消極的である点をのぞけば、むしろ民法上の土地建物の賃貸借契約類型にきわめて極似する性格をもっている。従って民法上の取り扱いとしてはこの両種の混合的な無名契約」、あなたはさっきそうおっしゃいました。「無名契約として、ことに土地乃至は建物賃貸借の規定(民法第六〇一条乃至六二二条)を中心にその効力を考えるべきである。ところでこの種長期継続的契約に特殊な問題として起るのはいわゆる「解約」である。」これがいまの破棄通告その他です。更新拒絶であります。「そのため民法は人の行為を給付とする雇傭については任意に何時であっても解約を認めている(但し二週間乃至三カ月の予告を必要とする。民法六二六〜六二八条)。また土地建物の利用を給付内容とする賃貸借については存続期間の制限をおく外(民法六〇四条)、期間の定めない場合は一年乃至三カ月の予告をもってする任意解約」、これは任意解約権という権利を生ずる。「任意解約権(民法六一七条一項一号)及び期間を定めた場合であっても当事者に契約上解約権の留保(民法六一八条)並びに契約期間満了時の解約=更新拒絶(民法六一九条第一項但書)の規定をそれぞれおいているのである。もっとも土地建物の利用に関してはその利用目的の会社的要請に沿って借地借家法、農地法等にこれら解約に関する一定の制限がおかれている。しかしこれを逆にいえばかかる特別法をもってする制限以外は、この種の契約は、この民法上の規定の適用を受けるということになる。」明確なんです。あなた方の先ほどお答えになっている点からいっても、これは明らかです。「これを本件契約についていえば、後述するように期間の定めのないものとみれば期間の定めない契約として任意の時期に、期間の定めのあるものとすればその満了時に、それぞれ解約の申入れが有効に出来るといわざるを得ない。」あなたは先ほど契約と覚え書き両方をとられて、覚え書きは契約の疑義の解明だとおっしゃって、安保条約の存続する間というように書いてある、したがって、これはずっと続くのだ、だから片一方、今度は更新の場合には自動更新で、これは満了期間まで更新するのだ。となると、民法上の契約原理に従えば、解約権というものは任意に相手方の住民にある、こういう解釈が明確に、当然出てくるという解釈をとっているわけですね。あなたの先ほどの答弁からいっても、当然ここまでつながるわけです。  そこで、あなたのほうに反論があればまず承って、その上でひとつ結論を出していきたい。
  100. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいまおっしゃいました民法の考えをもっていたしましても、私どもは、これは期限の定めのない契約ではなくて、性格的に安保条約という一定の条約の存続期間を期限とするところの一つの期限の定めのある契約である。したがって任意に解約できるというふうな性格のものではないのじゃないかということでございまして、これを覚え書き等で明らかにしておる、こういうふうに考えておるわけであります。
  101. 大出俊

    大出分科員 時間の関係で、省略をしながら進めますけれども、もしもこの契約上解約について云々という問題があるのならば、本来初めから解約条項を入れるべきなんですね。相手は農民なんですよ。そうでしょう。片一方は国でしょう。国がこの契約を結んで、あなたの言うような言いのがれをされても——それならばこの法律を離れて少し申し上げますが、個々の方々を説得するときに、次三男が家を建てるときには認めますということを言っておるでしょう。農民の皆さんは、いつだれが行ってどういうようなことを言ったかということを書いておりますよ、正直な方々ですから。そういうことでみんな手なずけておいて、そして解約期間も何も入れない。そしてみんなに説明していることは何かというと、安保条約というのは十年なんです、四十五年までなんです、片一方はそう言ってある。そうすると、解約条項は入っていないけれども、農民の皆さんは、十年たてばこの契約は終わるのだということで覚え書きを了承しているわけです。ところが、昨年のこの分科会で私があなたに質問した。覚え書きの中の安保条約の存続する間というのはどういう解釈なんだ、四十五年までなのか、三回私は聞いた。はっきり答えない。一番最後に何と言ったか。私のあとは楢崎さんだけれども、つまり安保条約が自動延長したらどうなんだという私は質問をした。そうしたら、あなたのほうは、それは永久に続くと言う。そうなってくると、約束違反じゃないかということに当然なる。その点もこの鑑定書で触れていますよ。国が、あなた方が素朴な農民をだました、そういう形で契約を結んでいる。それが法律の論点になるのなら、これは無効であるという解釈が出てくる。これは当然法律の争いになる。いずれにしても、地元にあなたが直接行って聞いてみたらわかりますよ。次三男がこうこう言うのだ、ここに家を建てるのに建てられないで困るのだと言ったら、そういうことは御心配なくと、そういうことが全部載っていますよ。そういうところまであなた方は言っておられる。  時間がないから結論にいたしますけれども、ということになると、神奈川県、横浜市との関係が出ておりますから、建築許可申請が出てきておる、この許可申請に対して横浜市の立場はどうなのかという点で鑑定を求めたわけです。そうすると、横浜市はこの契約の相手方じゃない。そうなると、両当事者のいずれの肩も持たないという立場で、消極的なそういう立場しかなかろうということですね、この鑑定書の中身からすれば。さてそこで、私法上の契約ですから、そうなると、解約条項も何もない、さあ先ほどのようなことがある、当然これは更新を拒絶する、さらに破棄の通告が出る。こうなるとすれば、横浜市の立場で、一般私法上の契約原則に従わざるを得ない。むしろ通常の場合と同様に許可すべきであるという法律上の判定結果です。だから横浜市は、当然これは建築許可をすることになりますが、その場合にあなたのほうはどうしようというお考えですか。
  102. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほどから申し上げているとおり、法律問題はさておいて、この処置につきましては関係の地主の方々等と十分によく話し合いを得て、そうして十分な御理解を得て実施してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  また横浜市等とも、この点につきましては実際的な問題として、建築等につきましては米側ともいろいろ話し合いも進め、できるだけ趣旨に沿えるような点も考慮しながら実際問題の処理をはかっていきたい、かように考えております。
  103. 大出俊

    大出分科員 この鑑定書は横浜市が専門家に依頼して正式に公表したのですから、あなたのほうにもいっておるはずです。けれども、おたくのほうは見解を一つも出しておらない。まあ出せないのだろうと思いますが、しかし、これはここまでくると、当然次三男坊がどんどんふえる。四十五年になったって、とてもじゃないが、国の解釈によれば、この契約は存続するという解釈をおとりになっている。これでは生きていけない。そうなると、みんな家を建てます。許可を横浜市はします。あなたのほうはどうされる。
  104. 有田喜一

    有田国務大臣 法律は法律であるのですけれども、やはり私としては、地元の方々とよく話し合いを進めて、また横浜市当局にも相談して、円滑に事をまとめたい、かように考えております。
  105. 大出俊

    大出分科員 それじゃわからぬのですよ。差し迫っているのですよ。もう全部申請しているのですから。許可をした、建ち始まる、つまりAゾーンに建つのですから、全部向こうは国有地です、基地ですから。その場合にあなた方はどうしようとお考えかと聞いている。何ら方法がないというわけですか。
  106. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 たびたび申し上げますように、地元の方の御同意を得て進めてまいりたいと思っておりますが、さような実態、うちを建てたいという内容もよく検討いたしまして、そして無理のないような姿でやってまいりたい、かように考えております。
  107. 大出俊

    大出分科員 待ってくださいよ。建てろ建てろとおっしゃるのか、それとも建てちゃ困るとおっしゃるのですか。
  108. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほどからなにしておりますように、これは建ててもらっては困るということを内容にいたしております。それは上瀬谷の通信施設が、そういったものがあっては困るということがもともと原因でございます。ただ、しかしながら一般的に困るという中で、実際問題として、その影響度の少ないようなものについては認めていくという方法もあり得ると考えられております。そういう点について、ただいま折衝中でもございます。したがって、そういうような方法によって解決してまいりたい、かように考えております。
  109. 大出俊

    大出分科員 それじゃ、その折衝の経過を説明してください。どうなっているのですか。
  110. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 詳細は施設部長から……。
  111. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 米側と現在制限の緩和について交渉はいたしておりますが、詳細なことは交渉途中の問題ですし、これをこの場で発表することはいかがかと思いますが、米側としても好意的に考えているということは言えるかと思います。
  112. 大出俊

    大出分科員 そんなことをあなたは言うけれども、これは横浜市が許可すると言えば建つのですよ。みんな建ってしまう。そうして四十五年になりますと、中屋敷だけじゃない、ほかは全部右へならへです。五貫目というところから始まって、上瀬谷、竹村、まん中の中屋敷、その下が本郷、その隣が相沢と、こう基地を取り巻いている。これが一つのテストケースになってくる。ここに全部家を建ててしまう。あなたのほうは折衝過程だというけれども、Aゾーンだけ残してほかのところはなくそうとか、いろいろなことが流布されている。好意的にというが、何が一体好意的か。
  113. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 Aゾーン、Bゾーンそれぞれにつきまして、一定の面積当たりに何坪くらいの建物は許されるというような基準がございますが、そういった基準を緩和して、たとえばいままでが千坪に対して一の制限があれば、それを半分にする、そういうふうに面積をふやす、制限の程度を緩和するということで考えております。
  114. 大出俊

    大出分科員 おしまいですが、大臣、建ててしまった場合、あなたのほうはこれに対して、法律行為に訴えるとか、あるいはあらためて収用手続を考えるとかお考えですか。はっきりしてください。私権の制限なんですから。
  115. 有田喜一

    有田国務大臣 それはそれを全然やりませんというわけにいきません。しかし、先ほど来言っておりますように、電波障害のないようないき方の建て方もありましょうし、また、これは地元と相談し、また横浜市当局とも話し合って、両立できるような方法を編み出したいというようなところがいまの考え方でございます。それから先のトラブルがあったときは法律的な争いになるわけですが、私はそういう法律的な争いよりも、地元の納得のよくような方法で解決をはかりたいというのがいまの考え方であります。
  116. 大出俊

    大出分科員 Aゾーンというのは建てられないですよ。それならば何が建てられるのですか、答えてください。
  117. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 制限の内容はAゾーンが最もきついものでございますから、建てられない。ですから、申し上げましたように、その内容を緩和をいたしたい、こういうことでございます。
  118. 大出俊

    大出分科員 そんなことはないですよ。ゼロのものを、半かけを建てるわけにいかないのですから。イエスかノーかを聞いておる。
  119. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 建てられないものを建てられるようにするのが緩和でございます。
  120. 大出俊

    大出分科員 建てられるなら、ちゃんと建てられるようにしたらいいじゃないですか。つまり、そうなれば制限区域撤廃です。
  121. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 撤廃ではございませんで、制限の緩和でございます。そういうことを考えております。
  122. 大出俊

    大出分科員 人が入るうちを建てるというのに、犬小屋を建てたってしょうがない。だからあなたのほうは、いまお話の中にありましたように、許可をしてしまって建ててしまえば法律的な手続をとりたい。とらぬとは申し上げられないというのですから、とる、こういうことですね。そう理解してよろしゅうございますか。
  123. 有田喜一

    有田国務大臣 何回も言いますように、現段階においては話し合いで片づけたい、こういう考えであります。
  124. 大出俊

    大出分科員 それでは、いま施設部長ですか、話し合いの中身というのはいつ決着するのですか。
  125. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 この問題は、前々から何とか解決を迫られておりますので、われわれとしましても米側と詳細にわたって交渉しております。相手のあることですからいつということは申し上げかねますが、早急に結論を出したいということで、鋭意折衝しております。
  126. 大出俊

    大出分科員 いつごろというめどもないということですな。はっきりそれでいいですな。いつになるかわからぬですな。一方は生活の問題なんですからね。
  127. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 年度末ごろまでには何とか結論が出るかと思います。
  128. 大出俊

    大出分科員 年度末というのは三月末ですな。わかりました。
  129. 足立篤郎

  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 冒頭に、先ほど岡田委員が取り上げました立川事件について、われわれが調査したところと警察当局の報告とは非常な大きな食い違いがありますので、この分科会が終わるまでにあなたのほうの調査結果を資料としてひとつお出しいただきたい。われわれはそれをたいへん重視しておりますから、それを要求します。どうですか。
  131. 後藤信義

    ○後藤説明員 いまの資料提出の御要求でございますけれども、私どもで現在把握しておりますのは、先ほど岡田先生にお答え申し上げたところに尽きるわけでございます。そこで、問題は、あのときに時間の制限もございまして申し上げるのを落としたわけでございますが、二つの事件がございますので、先生それを若干一緒に考えられておるような向きもございました。そこで、私どもとしましては、一応犯罪容疑、そういうことで捜査をいたしたわけでございますので、被害者の方から事情をよく聞き、またそのとき現場におった人から事情を聴取し、さらに米軍につきましても必要な調査をいたしまして、早急にその結論を出したい、こういうふうに考えておりますし、私どもといたしましては、犯罪捜査ということでまいりたいと存じておるわけでございます。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、この問題はあなた方の調査が出まして、再度取り上げたいと思います。早急に調査を進めていただきたい。  防衛庁にお尋ねしますが、現在F86Fが四中隊F86Dになっておる。さらに戦闘偵察機RF86があるわけですが、どのくらいの機数で、所在地はどこか。
  133. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 偵察航空隊は一飛行隊ございまして、入間にあります。飛行機の定教は十八機でございます。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 当然RF86は四十九年ごろにはなくなるわけでしょう。そうすると、その後継機としてRFXが問題になろうと思います。四次防段階で問題になろうと思いますが、RFXについてはどのようにお考えになっておりますか。
  135. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 お話しのように、四次防末にはこれを減耗すると思います。それで、四次防をつくる段階で検討しなければならない問題の一つと思っております。現在まだ研究段階でございまして、それをどうするというような具体的な構想はまだ持っていない段階でございます。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 九大に墜落したのがRF4C、小郡に墜落したのがRF101ですか、またRFファントム等が問題になるであろうと思いますが、F4Eの問題もいま重大化しておるところでありますから、その辺は十分な御検討をいただきたい。  次にお伺いしたいのは、先ほど岡田委員が取り上げました立川基地の問題でありますが、岡田委員は時間がなくて中途半ぱになったようでございますから、私はこれをさらに徹底してお伺いしたいと思います。  そこで、米軍から滑走路延長中止の通告があったといいますが、それは日米合同委員会で確認をされましたか。
  137. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 合同委員会を通じてそういうふうに話がきております。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いつの合同委員会でありますか。
  139. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ちょっと記憶を失いましたが、昨年でございます。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 昨年十二月二十三日の、基地縮小問題を討議しました合同委員会とは関係ないのですか。
  141. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 関係ございません。その前でございました。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、その理由というものがあると思うのです。米軍がなぜ延長撤回をしたか、その理由をお示し願いたい。
  143. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 御承知のように立川飛行場の滑走路の延長問題は、二十九年ごろだったと思いますが、米側から出まして、いままでにかなり長年月の間経過して、いまだに解決しない。その間において、立川飛行場は輸送基地でございますが、その輸送の機能を逐次横田のほうに米側としては移すというような措置で、現時点におきましては滑走路を延長しなくても何とかやっていけるという事態になったというようなことから、滑走路の延長計画を中止したというふうに聞いております。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、合同委員会でその撤回が確認された以上、政府としては特別措置法の八条による措置をしなければなりませんね。「収用する必要がなくなったときは、防衛施設局長は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。」やられましたか。
  145. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 手続中でございます。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 昨年——あなた時期をおっしゃいませんが、十二月としてももう三カ月たっておるのですね。何でそんなに手続が長くかかるのですか。
  147. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 この問題について、先ほども申し上げたように事務的な処理をするのに時間がかかっておるということでありまして、この事実はもうすでに確認をいたしております。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 総理大臣に報告するのに何の手続が要るのですか。「内閣総理大臣に報告しなければならない。」何の手続が要るのですか。防衛大臣は、閣議はしょっちゅうやっているのでしょう。何て報告しないのですか。——いや、大臣ですよ。何で報告しないのですか。
  149. 有田喜一

    有田国務大臣 これは先ほど施設長官が言いましたように、事務的な処理をいろいろ検討中でありまして、それが最後の結論を得ますれば閣議にそれを報告します。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どういう事務的な処理があるのですか。そんなに長く時間をかけなければならない事務的な処理とは一体何ですか。
  151. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先ほど長官から、合同委員会を通じて米側の滑走路延長の中止の意向が表明されたということをお話し申し上げたわけですが、これは向こう側の意向を日本側に伝えたということで、それではこの事後における安全地帯の要求の問題等をどういう形でやるかというような事務的な面がございまして、現在米側と折衝中でございます。そしてこの滑走路の延長要求がすでに出ておるものを、要求の内客変更という形でやるのかとか、あるいはもう過去の要求はウイズドローして新しく出すのだとか、あるいは今度の安全地帯の要求は一体地位協定の二条でいくのか三条でいくのかとか、いろいろそういう事務的な問題がございまして、現在折衝中でございますが、内容的にはかなり固まってきております。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その安全地帯の問題はあとでやりますが、地位協定の二条、三条、何の関係がありますか、安全地帯と。これは関係ないのですよ、いまおっしゃったことは。そういう理由で総理大臣への収用の必要がなくなったという事実の報告をサボることはもってのほかです。その問題は別の問題ですからね。——ちょっと待ってください、発言中だから。これは全くサボっているのです。当然報告すべきです。そうしてそういうことになったという事実は、地元の関係者は新聞でしか見られない。八条によれば、いいですか、そういう通知があったときには総理大臣に報告しなければならない。それで二項によって「内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、土地等の使用又は収用の認定が将来に向ってその効力を失う旨を官報で告示しなければならない。」こういう手続がある。それと同時にまた「土地等の所有者及び関係人にも、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。」通知する必要があるのです。地元の方々は新聞で見ただけだ。これは一体どうなっておるのか、わかりゃしない。そういう法に基づいたやり方をちゃんとやらなければいかぬですよ、こういう場合は。あなたたちがおっしゃっておるような理由では、これはおくらす理由にはならない。安全地帯の問題は別にやりますよ、関係ないのだから。
  153. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほど申し上げましたのは滑走路の延長を中止するということでございますので、これによりまして収用の必要がなくなったということについての認定をするための準備をいたしておる、そういう判断をいたしますれば直ちに総理に報告する、こういうつもりでおります。そういう過程にあるということを先ほどから申し上げたので、それに若干手間どっておることはまことに申しわけございませんが、そういうつもりでございます。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、もう総理大臣に報告するのは既定の事実であって、ただ若干の事務的な問題でおくれておる、そういうことですね。もう既定の事実だ、あたりまえの話ですが、念のために。
  155. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいまも申し上げたとおり、滑走路の延長が必要ない、そうなれば土地収用が必要ないのではなかろうかということで、その認定をするための検討をいたしておりましたが、そういうことで時間がかかっておる。したがってこれはすみやかに判断をして、認定の必要がないということで御報告をするというような方向で検討しておる、こういう、先ほど申し上げたとおりであります。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、当然土地収用委員会にかけられておるわけですが、それも取り下げになるわけですね。
  157. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そういうふうに決定になれば、もちろん取り下げるつもりでおります。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういうふうに決定になればということがちょっとひっかかりますですね。当然そうなるのでしょう。その、なればというのはどういうことですか。何かあるのですか。
  159. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 特段にはございませんが、そういうことで部内で検討しておりますので、なればと、事実を申し上げたのであります。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、航空法は米軍の基地に適用されますか。
  161. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これは直接の適用はないというふうにわれわれは考えております。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、たとえば厚木基地で問題になりました爆音防止既成同盟が考えられましたような、風船をあげるとかいうようなことは法的規制の対象になりませんね、航空法では。
  163. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私、ちょっと申し足りなかったと思いますが、航空法のうち飛行場としての一般的な問題についてのものについては適用になる部分もございます。たとえば航空障害をいたして、そしてそれが航空法の百三十八条の条項に適用になるとかというような問題については、われわれはこういう問題について検討せねばならぬ、こういうように考えております。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 航空法の適用はないでしょう。これはあなた、地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律によって、航空法の規定は適用除外されておるではありませんか、米軍基地に。航空障害の問題です。したがって、せんだっての国会でも問題にしましたとおり、米軍のほうから航空障害物を排除するための航空イーズメントの提供要求があっておるはずですね。立川、厚木、木更津、岩国、板付の五つの飛行場に。先ほど施設局長がおっしゃいました安全地帯の問題は、立川に関しては昭和三十一年の一月にそういう航空イーズメントの提供要求が行なわれておる。そのことはまだ生きておる、そういうことでしょう。
  165. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 生きております。
  166. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さっきあなたが安全地帯云々と言われたのはそのことでしょう、イーズメントのことでしょう。
  167. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 そうであります。
  168. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 したがってこの問題は、いまの収用問題と関係ないですね。収用問題とは関係ない。いまの政府の見解によれば、収用問題は片づいても、このイーズメントの要求は三十一年一月以来生きておる、したがって、これをどうするかということが問題になっておる、そういうことなんでしょう。筋を通して言えば、政府が言っておるのは。
  169. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 さようでございます。
  170. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 何もあなた、地位協定二条、三条と関係ないじゃありませんか。関係ないですよ、このイーズメントの問題。そうでしょう。
  171. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 地位協定の三条によりますと、「合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。」ということになっておりまして、この場合、立川基地に隣接する空間において航空機の離発着に障害になるような建物、工作物等ができることを予防する意味におきまして、建物の高度制限の要求が米側から出ておるわけでございます。
  172. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そんなことを言っちゃだめですよ。あなた、関係法令の範囲内でしょう。関係法令がないんだ。これは電波障害のときと同じですよ。だから、政府としてはもしこれをやるならば、話し合いをして民事的な契約、行政措置でやる以外ないですよ。法的な根拠でやるわけにいかないのです。だから、地位協定の三条なんて関係ないですよ。ありますか、関係法令が。関係法令とは何ですか。七条の電波障害の場合と同じでしょう。
  173. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 収用法をやめるということは、あとをやる場合にはもちろん民事的な措置でやるという意味でございまして、先ほど施設部長が申しましたのは、さらにそれをどういう形で日米間で提供するかということを先に申し上げましたために多少混乱を来たしたかと思いますので、御了承願いたいと思います。
  174. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりなんです。だから、これは別個の問題として考えなくちゃいけない。  そこで、三十九年の九月に閣議決定を行ないましたね、この立川の収用について。そしてその閣議決定によってあなた方は土地の買収を進めておる。この閣議決定を変更しないで、もしくは取り消すことなく未買収地の買収を進めてよろしゅうございますか。
  175. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これは内容を変更することになっております。
  176. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、総理大臣に報告をされ、それと同時に三十九年の九月の閣議決定は変更なり取り消しをする、そうですね。そういうことをしない限り、イーズメントと混同するような形で未買収地の買収はできない。そういうことですね。
  177. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 内容を変更してそういう措置をとっていく、こういうふうな考え方であります。
  178. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が言っておるほうが正確で正しいのです。同じことですよ。正確で正しい。この三十九年九月の閣議決定を変更しなければ、イーズメントによる買収を進めることはできない。非常に混同される。土地収用の申請による買収とイーズメントによる買収は違うのだから、それをあなた方はごまかしてかってにやるようなことはできない。そうでしょう。だから、閣議決定を変更してやらなくては、閣議決定をそのまま生かしたまま未買収地の買収を行なうことは違法です。そうでしょう。
  179. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 内容が変わりますから、閣議決定は当然変更になります。しかしながら、イーズメントの買収は必ずしも閣議決定を前提としなければできないというものではございませんので、私が先ほどから申し上げているほうが正確かと思います。
  180. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、そうじゃない。これは大事なんです。いいですか。閣議が収用をきめておるのは、そういう米軍からの要求があったから買収を進めます、これです。これがなくなったんだから、それによる買収はないはずです。そしてあるのは、もしあり得るとすれば、イーズメントのほうの買収がある。だから、その辺はきちっと区別しないと、あの閣議決定が生きたまま買収を進めることになるとその混同が起こると私は言っておる。
  181. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そういう意味においては、おっしゃるとおりでございます。
  182. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういう意味って、ああいうもそういうもない。こういう意味しかない。  そこで、いまの立川の問題は、これは先ほど言いましたように、もう三カ月以上たっておるんだから、あなた方が総理大臣に報告し、閣議決定を変更するその時期は大体いつですか。なぜ私がそういうことを言うかというと、これも先ほど大出君が言っておるのと同じです。周辺住民に非常に関係がある問題ですよ。いろんな計画を立てる意味において。
  183. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 大体うちの心づもりといたしましては、年度内にはこれをやりたいというふうに考えております。
  184. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では、それをしかと見届けたいと思います。  次に板付基地の問題に移りたいと思いますが、まず、移転の調査費が施設庁が要求したのは二億である。それが四分の一の五千万円に大蔵省から削減された。一体それはどういう理由ですか。
  185. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 当初、約一億七千万円ばかり要求をしたわけでございますが、予算折衝の最終的な結果としましては五千万円の内示があったわけでございます。そこで最初の要求のときには、数カ所について航空写真の測量をしたり、あるいは飛行場周辺の調査をしたり、あるいは材料の調査をするというようなことを計画しておったわけでございますが、これが約五千万円に減額になったということから、数カ所について同じような調査をするというやり方でなくて、一応何カ所かについて簡単なといいますか概略的な調査をしまして、その中である程度見通しがついたというような候補地が出ましたならば、その個所についてのみ詳細な調査をするというふうに、調査の内容を変更したわけであります。
  186. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、何カ所か対象地区を考える、そして調査をやるという方法ができなくなる、それでおおむねしぼって集中的にやる、こういうふうに受け取っていいですか。
  187. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 詳細なボーリングその他の調査はしぼってやるということでございます。
  188. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 防衛庁長官はかつて就任早々あまりよくわからない段階で、板付基地はもう一線機がいなくなる、いなくなれば移転なんか必要ないじゃないか、こうおっしゃいましたね。あとで何か取り消されたような話も載っておりましたが、防衛庁長官はこういう予算の削減の状態を見て、一体どのようにお考えですか。移転をまじめにやれるとお考えですか。
  189. 有田喜一

    有田国務大臣 あの協議会をやったときにすでに発表しましたが、板付は昨年の一月の状態に戻すということをはっきり言ったわけです。そこで私は移転の必要がなくなったとは申しませんですよ。私は相当事態が変わってきたということは言いましたけれども、何も移転の必要がなくなったなんということは毛頭言っていませんので、その点は明らかにしておきます。  そこで、この予算の五千万円に減ったことは、これはいろいろな関係がございまして、単に板付ばかりじゃなくて、大蔵原案に出したものがいろいろ査定されることは楢崎さんも御承知のとおりでありますが、先ほど事務当局が言いましたように、何とかして移転をさせたい。そこでひとついい候補地を見つけて、そこに集中的にボーリングその他のことをやりたい、こういうことで五千万円にわれわれは納得したわけなんです。
  190. 鶴崎敏

    ○鶴崎分科員 まじめに政府が移転のことを考えていないというのが、この予算関係を見ても私はわかると思うのです。事故があったときにはうまいことを言って、そしてそれが遠ざかればこういうことをやるのです。それで私は念のために二億の要求の場合の積算の基礎と、五千万円の予算内容を明らかにしていただきたい。
  191. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 旅費、庁費はごく部分的でございますので省略しまして、工事のほうについて御説明します。  調査測量工事費として当初要求は一億六千八百万円になっておったわけでございますが、これが今回最終的に内示されたものでは約四千七百万ぐらいになっております。その内訳を申し上げますと、飛行場地区の航空写真測量、これが当初は約一千三百万ぐらいございました。これは約六カ所の地点について測量するという予定でございましたけれども、これを、航空写真測量は今回は一カ所にしまして百八十三万要求いたしております。それから飛行場周辺の航空写真測量でございますが、これは当初要求では約四千万要求いたしておりましたけれども、今回は七百五十八万、これが必ずしも個所の比率で六対一という比率にはなっておりませんけれども、先ほど申し上げました考え方に基づいて金額が減っております。それから埋め立て部分の調査測量、これが当初要求では四千五百万ばかりになっておりましたが、   〔主査退席、福家主査代理着席〕 これが約半額の、しかもこれが埋め立て部分という表現でございません。飛行場部分の調査というふうに変わりまして、約半分の二千二百万ぐらいになっております。それから土取り場の調査、これは当初の考え方では陸について四カ所、海について四カ所調査するということで、総額で四千八百万ばかり要求いたしておりましたが、これが陸、海それぞれ一カ所ずつ調査するということで千二百万ばかりになっております。それから材料の調査、これは当初五地域で約二千五百万になっておりましたが、これは一地域だけ調査するということで約五百万になっております。  以上でございます。
  192. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体一カ所を集中的にやられるような印象を受けたのですが、どこを予定されておるのですか。
  193. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 まだ場所については決定いたしておりません。
  194. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 埋め立てとか土取りとかの項目が出てくるのですが、そうすると海の近所ということになりますね。そうして移転の費用等から考えると、既設の自衛隊の基地なり何かが当然考慮に入ってこよう、私はまじめに考えると。そうすると築城とか芦屋とかあるいは岩国とか、そういうところがすぐ頭にぴんとくるのですが、どうでしょう。   〔福家主査代理退席、主査着席〕
  195. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これはどこの場所ということを必ずしもきめないで予算を積算いたしました。当初の場合は数カ所ということでやや浅く広くというふうな考えでございましたが、今回は予算の都合もございますので、一カ所にしぼって、そして少し深くやらなればいけないということで、いまのいろいろな項目の予算を考えましたが、必ずしも海に近いとか遠いということじゃなくて、一般的などこでもいいという感覚で積算しております。ですから自衛隊の場所とか、そういうようなことは必ずしも特定いたしておりません。
  196. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 埋め立てとかいうようなことは、どこでもというわけにいかぬですね。海の近所か川か知りませんが、結局こういうことでしょう。もう今度は一カ所一番適当と考えるところを集中的にやる、一カ所にねらいつけて、こういうことですね。それの選定はまだしていない。いつごろまでに選定されますか。
  197. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 できるだけすみやかに選定したいというふうに考えております。
  198. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もうずっと以前から質問しておるのですが、できるだけすみやかに、できるだけすみやかにばかりです。では、長官予算がついておる以上、少なくともこれは近々に選定してとりかからないと、役に立たないじゃないですか。そういう姿勢がないから、まじめに移転を考えておらぬとわれわれは言うのです。できるだけすみやか、ではだめです。大体のめどをひとつ示してください。
  199. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいまいついつまでということをちょっと申し上げる段階になっておりませんが、われわれとしてはできるだけ努力をいたし、すみやかに移転をいたしたいというふうに考えております。
  200. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 同じことじゃないですか。「できるだけ」と「すみやかに」と分けられたって、結局、あなた、何を言っているかわからぬじゃないですか。予算がついた以上、まじめにやられると思いますから、それを見守りたいと思います。  そこで、板付の場合は基地と国際空港が一緒になっておるのですが、移転の場合は基地と空港がセットで移転するというような声が世上あるのですけれども、その点はどうですか。
  201. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、福岡の民間空港をセットで移転するかという……。
  202. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 基地を移転するなら国際空港も一緒にどっかへ移転する。誘致側がそういうことを……。
  203. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 移転というと、板付の航空基地だと思いますが、そういう考えはございません。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは基地だけが移転して国際空港は残る、こういうことですね。
  205. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 板付の空港を移転する考えはないということを申し上げたので、これがどういう性格のものであるかということについてはちょっと私、申し上げかねると思います。
  206. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私の質問、わからぬでしょうか。つまり受け入れ側が、板付基地を移転するときは国際空港も一緒に持ってきてくれ、岩国なんかそういう声が一部ありますですね。そういう点について、基地と空港はセットになって考えられるのか、これを言っておるのです。
  207. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私どもの計画いたしておりますのは、それは入っておりません。ただ地元で、さような場合に国際空港を同時に誘致したいというようなことがあれば、これはまた別に差しさわりのない問題であるかどうか、その段階で考える必要があろう、こういうふうに考えます。
  208. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現在板付基地関係では、いろんな被害の調査が行なわれておると思うのですが、どういう調査が行なわれておるのですか。また過去行なわれましたか。
  209. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 板付基地について過去にいろいろな調査をいたした内容につきましては、ちょっと私詳細存じておりませんので、他の政府委員から説明させます。
  210. 足立篤郎

    足立主査 どうしますか。答弁を求めますか。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 聞いておるんです。
  212. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私の説明は、過去のずっと昔のことも含めてのお話かと思いましたので、そう申し上げましたが……。  ただいまいたしておりまするのでは、人身影響調査というのを福岡市を通じて九大に委託しておるということがございます。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が調査したところでは、騒音度の分布調査、それから乳牛の被害調査、それから農業の実態調査、それに人身影響調査、四つほどやられておるのですね。そして現在継続して行なっておるのは人身影響調査、そうですね。
  214. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先生いまおっしゃったような各種の調査を過去にやり、現在人身影響調査をやっておるということは事実でございます。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこでお伺いしますが、現在継続してやられております人身影響調査に問題をしぼってお伺いをしたい。  これはたしか三年ほど前にも私はお伺いして、そのときの御答弁では目下継続中であり、まだ公表の段階ではないという御答弁をいただいたわけです。そこで、これは三十六年に始められたと思いますが、今日までの各年ごとの予算をひとつお示し願いたい。
  216. 高橋定夫

    ○高橋(定)政府委員 お答えいたします。  三十六年度三百万円、三十七年度五百万円、三十八年度同じく五百万円、三十九年度同じく五百万円、四十年度四百五十万円、四十一年度四百七十五万円、四十二年度五百万円、四十三年度四百六十五万円でございます。で、四十四年度では四百万円の要求をいたしております。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、今年度の分についてお伺いしてみます。  この調査費というのは、四十四年度四百万円要求されているという話ですが、これは五千万円の移転調査費との関係はどうなんですか。これのワク内で、関係ないでしょうか。
  218. 高橋定夫

    ○高橋(定)政府委員 全く関係ございません。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これの契約の状態はどうなんですか。——じゃ私のほうから申し上げますが、福岡施設局と福岡市がまず契約をして、委託を福岡市にやる、そして福岡市が九大にまた委託をしてやらせておる、こういうことですね。
  220. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そのとおりだと思います。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうするとこの調査費の予算というものは、いま各年度出されましたこの予算は、福岡市にそのまま、まずやられるわけですか。
  222. 高橋定夫

    ○高橋(定)政府委員 そのとおりであります。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると福岡市が今度は九大にやるわけですか。
  224. 高橋定夫

    ○高橋(定)政府委員 そうでございます。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この契約を見ますと、公開をしてはならないという条項がありますね。これはなぜですか。第七条ですね。
  226. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これは防衛施設局が公表するまでは全部、一部を発表してはいけないということを約束して過去ずっときております。というのは、調査の途中の段階でいろいろ資料が出るということも、継続的な調査でございまするから、総括を最終的な段階において発表するのがしかるべきではないかという意味合いにおいて、当方で調整をしておるという考えでございます。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 四十三年度の調査分は、昭和四十三年十月一日より四十四年三月三十一日まで、そして四十四年、本年の三月三十一日に調査結果を出しなさい、こういうことになっているんですね。これでいきますと、各年ごと、こういうことになっておりますね。
  228. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると四十二年度までは全部出ているわけですね。
  230. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 全部出ております。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、これは第一次調査段階と第二次調査段階とに分けられておるんですか。
  232. 高島正一

    ○高島説明員 お答え申し上げます。  第一次段階、第二次段階と申しますのは、第一段階というのは、いわゆる一般でいうアンケート調査でございます。被害地区とそれから全く被害の見当たらない地区と対照でもってやる。それをアンケートでやった。それから第二段階は、モルモット等動物あるいは人体を使ってやる調査でございます。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 年度を言ってください。
  234. 高島正一

    ○高島説明員 年度は、三十六年度から三十九年度までが第一次調査でございまして、以後第二次段階に相なります。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、四十二年度までの調査結果はお手元にあるわけですね。
  236. 高島正一

    ○高島説明員 ございます。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 第一次調査分は、これは人身影響調査報告書(総括)としてすでにまとめられておりますね。
  238. 高島正一

    ○高島説明員 そのとおりでございます。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはいつ出されましたか。いつまとめられましたか。
  240. 高島正一

    ○高島説明員 第一次段階の調査、先ほど申し上げました三十六年度から三十九年度までのやつを四十年度に総括的にまとめられたのが報告になっております。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 四十年の三月にこれをまとめておられますね。ただいま申しましたように人身影響調査報告書として(総括)、これは三年前ですが、もう三年もたっておりますから公表はできますね。これはどういう見当になっておるのですか。
  242. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほど最初に私が申し上げましたように、これは継続した調査でございますので、総体の調査が取りまとまったところで公表したいというふうに考えておる次第でございます。
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いつまで続けられますか。
  244. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 一応今年度で中間的ながら総括的な報告が出る見込みでございますので、その段階で公表したい、かように考えております。
  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、この第一次調査段階でまとまったものは、それなりに公表していいと思う。なぜ公表しないのです。これは私は世界でも類のない非常に重要な調査だ、このように見ておるわけです。この種の調査で、いわゆる大学の専門家が総合的にやった調査というのはありますか、ほかに。
  246. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 この種の調査を総合的に、ほかでやった事例はないと思います。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうであろうと思うのです。これはほんとうに世界的なものだ。オーバーに言えば非常に貴重な調査だと思うのです。貴重であるだけに、これは私は重要な影響を持つものであろう、基地問題について。それゆえに私はこういうものは早く公表すべきであると思う。なんでこれを公表しない。これを公表すると、私は社会党の軍事基地対策委員長ですが、反対運動に利用される、そういう懸念でもあるのですか。これは自衛隊の基地であろうと米軍基地であろうと、この爆音の被害、人身に与える被害というものは全部一緒です。非常な影響を持つこれは調査だと思う。福岡市民だけの問題じゃないのです。基地周辺全部です。なぜ公表しないのですか。第一次調査段階の総括だけでもなぜ公表しない。
  248. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほどから申し上げましたとおり、近く、それを含めての総括的なまとまりの報告が出されると予想されますので、その段階で発表いたしたい、かように考えておる次第でございます。と申しますのは、第一段階は、これはアンケート調査を前提にいたしたものでございます。その後において実際の実験等を加えて調査いたしております。これらを総括したものが近く出される見込みでございますので、それの総合した成果を発表するようにいたしたい、そのほうがベターだ、かように考えております。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 第一次段階のものはもうまとまっておるのですか。これに第二次段階のものが出てきて、また総括を変更されるのですか。筆を加えるのですか。
  250. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま申し上げたとおり、両方を含めた総括的なものが出るから、それまでお待ちください、もうそう長くはかからない、早く出したい、かように考えております。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、この人身影響調査報告書のその中の総括の分ですね。第一次段階分の目次だけ確認しておきますが、四つに分かれておって、一般健康状態調査、これは九大の第一内科山岡憲二教授、二番目に分泌乳幼児発育と学童の一般健康状態及び発育調査、これは小児科永山徳郎教授。三番目に聴覚に対する影響調査、これは耳鼻咽喉科河田政一教授。疲労度調査、これは衛生学教室猿田南海雄教授、これは間違いありませんね。
  252. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 そのとおりでございます。
  253. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、先ほど各年度の予算を言われましたが、この報告書によりますと、三十六年度は百八十八万円、三十七年度は五百万円、三十八年度は五百万円、三十九年度も五百万円、こうなっているのですが、三十六年度はどうしてこんなに金額が違うのですか。
  254. 高橋定夫

    ○高橋(定)政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘になりましたように、初年度の三十六年度だけ成立予算と執行予算が違っておりまして、三十七年度以降は予算どおり執行いたしております。初年度の三十六年度には成立予算が三百万円でございましたけれども、これは板付におきまして、福岡市に委託調査をお願いしました額が百八十八万七千円でございまして、その差額につきましては、同年度におきまして横田基地周辺の乳牛の騒音調査というほうに使用さしていただいております。
  255. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それじゃ、そう言わなければだめじゃないですか。さっき三百万円出したと言ったじゃないか。
  256. 高橋定夫

    ○高橋(定)政府委員 これは成立予算は幾らかということでございましたので、成立予算の額を申し上げました。
  257. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この問題はいま福岡市議会の総務文教委員会で問題になっているのです。なぜ公表できないのか。それからまた九大でも学生たちの間で問題になっている。こういう契約の七条の条項があるものだから、福岡市も九大も困っているのです。だから私は一日も早くこれは公表してしかるべきだと思うのです。第一次段階の総括だけでも公表すべきであると私は思うのですよ、影響が大きいから。最後にそれだけ承って……。
  258. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 たいへん恐縮でございますが、もう間もなく総括的な報告ができ上がってくると思いますので、それと一緒に発表するのが一番いい方法である、こういうように考えております。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 第一段階の調査はアンケートだけではないです。アンケートだけじゃないでしょう。どうしてそう軽やかに——アンケートだけというようなものなんですか。アンケートだけじゃないでしょう。いろいろやられているでしょう、機械を使って、器具を使って。でたらめ言っちゃいけませんよ。
  260. 高島正一

    ○高島説明員 先ほどは非常に概括的に申し上げたので、大学当局のほうの調査の分け方としては、第一段階はアンケート、第二段階は実験調査、こういうことでございまして、御指摘のように、第一段階としてもいろいろな器具を使っての調査もございます。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それじゃこれで終わります。
  262. 足立篤郎

  263. 福岡義登

    福岡分科員 自衛官の募集についてお伺いしたいのですが、まず初めに、陸上自衛隊の現在員は、定員が十七万三千人に対して、たしか去年の十一月末現在で十五万七千百八十四人、欠員一万五千八百十六人、その充足率は九〇・九%だと承知しておりますが、そのとおりで間違いありませんか。
  264. 麻生茂

    麻生政府委員 ちょっと数字を聞き漏らしたのでございますが、陸上自衛隊定員が十七万三千、現員が十五万七千百八十四人、欠員が一万五千八百十六人、充足率が九〇・九%ということでございます。
  265. 福岡義登

    福岡分科員 そこでお伺いしたいのですが、今度、四十四年度で六千人増員計画があるわけです。現在不足をしておる一万五千人と合わせると、約二万二千人に近い要員不足ということになるわけです。そこで、直接、間接経費合わせまして、年間三十億の募集経費がかかっておるのでありますが、昭和四十三年度における陸上自衛隊の採用は何名になっておるのか。その頭数だけでいいですから……。
  266. 麻生茂

    麻生政府委員 当初の計画は二万三千人でございますが、実際の計画として、その後修正しまして、二万四千人になる予定でございます。
  267. 福岡義登

    福岡分科員 そうしますと、二万四千人の自衛隊員を採用するために三十億の経費を使うといたしますと、一人当たり大体十万円近いものになる計算になりますか。
  268. 麻生茂

    麻生政府委員 いま先生は陸上自衛隊のことだけを言われたわけでございまするが、われわれは、陸上自衛隊自衛官だけを募集しておるわけではございませんで、陸海空の自衛官も募集しております。また、防衛大学の学生あるいは看護学生、少年自衛官というようなものも募集しているわけでございまして、分母としましては、三万三千人ということにしていただいたほうがいいのではないかと考えます。
  269. 福岡義登

    福岡分科員 三万三千人を採用するために三十億も直接、間接経費がかかっておる、こう解していいわけですか。
  270. 麻生茂

    麻生政府委員 先生は四十三年ということでございますが、私は、実は四十二年度の資料しかいま持ち合わせておりませんので、まことに恐縮でございますが、昨年は直接経費として募集経費が三億七千万円でございます。それから間接経費が二十三億八千万円、合計しまして二十七億五千万円、こういうことになるわけでございます。したがいまして、昨年の採用者一人当たりは八万三千円、こういうことでございます。
  271. 福岡義登

    福岡分科員 わかりました。  そこで、次の質問に移るのですが、募集事務の委任は、自衛隊法第九十七条の規定によって、その一部を都道府県知事、市町村長、警察庁及び都道府県警察に対して事務委任することができるのでありますが、それ以外にはできないと思うのでありますが、そう考えてもよろしいですか。
  272. 麻生茂

    麻生政府委員 法律上申し上げますと、本来、自衛官の募集は国の事務でございまするが、これが先生いま御質問になりました自衛隊法の第九十七条の規定によりまして、都道府県知事及び市町村長に機関委任をしておるわけでございます。また、一部警察庁及び都道府県警察にも協力をお願いしておるわけでございます。これは法律上そうした一つの職務権限として行なうということになるわけでございます。しかし、募集につきましては、やはり国民的な基盤におきまして募集を行なうということが、募集基盤の確立あるいは良質な防衛力のある自衛官を安定的に募集していくという上から、望ましいことでありますので、自衛隊員の募集に協力するような団体、たとえば隊友会とか防衛協力会とか父兄会というような、そういう自衛隊の活動に対して積極的に支援しようする、こういう民間のいわば財団法人的と申しますか、あるいは社団法人的な、そういう公益法人的な性格を持った人の協力というものも、できるだけ求めているというのが実情でございます。これは協力の要請ということでございます。
  273. 福岡義登

    福岡分科員 後段のほうは私はお伺いしていないのです。事務委任ができるのは、九十七条の規定によって四つしかない。都道府県知事、市町村長、警察庁、都道府県警察、後段でおっしゃったのは協力でありますから、これは別なんです。要らぬことは答えぬようにしてもらいたい。  次の問題なんですが、募集事務の一環として防衛庁がポスターを発行される。それは市町村が委任された形でやる場合もあるのですが、これは私、公文書だと思うのですが、そう理解してよろしいですか。
  274. 麻生茂

    麻生政府委員 防衛庁自衛官の募集の広報宣伝をいたすために、ポスターを作成して都道府県あるいは市町村に配布、あるいはまた地方連絡部で使っているわけでありますが、これは公務所の用に供するものでございますから、公文書であるというふうに理解しているわけでございます。
  275. 福岡義登

    福岡分科員 そこで、見ていただきたいものがあるのですが、長官、このポスターを見ていただきたい。このポスターは、昨年十一月名古屋市の烏森町に張ってあったポスターなんですが、ある名古屋の市民が私のところに持ってきたのでありますが、承知しておられるかどうか。
  276. 麻生茂

    麻生政府委員 最近にこのポスターは拝見いたしました。
  277. 福岡義登

    福岡分科員 最近承知されたということでありますが、このポスターを作成する経緯などについて御承知であるかどうか。
  278. 麻生茂

    麻生政府委員 私、最近そのポスターを見たわけでございますが、どういう経緯でこういうポスターができたかということにつきまして、私なりに調べてみたわけでございますが、このポスターは、いわゆる防衛庁で指定企業と陸幕で申しております企業が二十五ばかりございますが、そのうちのトヨタ自動車は一つでございますが、自衛隊員は、いわゆる任期制の勤務をやっているわけでございます。したがいまして……。
  279. 福岡義登

    福岡分科員 ちょっと待ってください。時間が三十分しかないのですから、要点だけ答えてもらいたい。そのポスターのつくられる経緯、どこが印刷して、どういう経緯でと簡単に言ってもらえばいい。指定企業なんかの問題を聞いているんじゃないですよ。
  280. 麻生茂

    麻生政府委員 ただ、こういうポスターが出てきたという基本的な動機と申しますか、発想というものがあると思いますので、それをまず先にお話し申し上げたいと思います。  自衛官は、任期制の隊員でございまして、二年たつとやめるということになるわけでございます。したがいまして、いわゆる職業としては、ある意味では不安定なものであるわけでございます。したがいまして、任期制の隊員を募集するという場合、あるいは任期制の隊員をとりまして、これを任期一ぱいつとめさせようとする場合においては、任期が終わった後も職が何とかあるのだという、そうした将来に対する明るい見通しというものがありませんと、募集というものはなかなか円滑にいかないわけでございます。したがいまして、おそらくこの募集をやりましたポスターをつくりましたのは、上のほうに自衛官の採用というのがあるわけでございますから、自衛官の採用された場合におきまして、自衛官の除隊者というものは有力な企業において求めておるんだということが周知されることは、自衛官の募集に側面的に寄与するのではないかというような発想が基礎にあったのではないかという気がするわけでございます。したがいまして、これをつくりましたのは、愛知の地連とそれからトヨタの会社両方の話し合いでできたというふうに考えるわけでございます。つくったのは、もちろんこれはトヨタ自動車の名前が載っているくらいでございますから、トヨタが印刷をした、一万枚くらい刷ったというものでございます。
  281. 福岡義登

    福岡分科員 要らぬことを答えぬようにしてもらいたいんですよ、時間がないから。いまの弁答の中を要約すれば、このポスターは地連とトヨタが相談してつくったと言えばそれでいいんです。私が聞いていることについて、余分なことはあまり言わぬようにしてもらいたい。  そこで、お伺いするのですが、さっき、ポスターは公文書だとおっしゃった。その公文書作成を特定の企業——その場合はトヨタですね。トヨタがポスターの印刷費は負担していることになっているのですよ。その辺見解はどうです。
  282. 麻生茂

    麻生政府委員 先ほど先生の御質問に私が念頭に置きまして考えましたのは、自衛隊が国費でつくっているポスターというものを念頭に置いてお答えをいたしたわけでございます。
  283. 福岡義登

    福岡分科員 さっきあなたは、自衛官募集のポスターは公文書であるとおっしゃった。その公文書作成をこういう民間企業に金を出してやることがいいんですか。九十七条第三項には、事務を一部委任をしても、その経費は国が負担すると書いてある。広告ポスター、募集ポスターは募集事務の重要な一つだと思うのですが、その経費を民間企業から出させるということについては、どこに合法性があるのです。
  284. 麻生茂

    麻生政府委員 このポスターは、トヨタの自動車会社が自衛隊の募集に協力をしたということでございまして、われわれのほうがトヨタに募集事務の委任をしたということではないと思います。
  285. 福岡義登

    福岡分科員 事実関係を明らかにしたいのですが、こういういきさつがはっきりしているのですよ。トヨタ本社の採用課のある人が、トヨタ工場の人が足りないために、自衛官の退官した人を採用しようと思って、愛知地方連絡部へ相談に行った。愛知地方連絡部は、そういうことをやられるのなら、自衛官募集も一緒にポスターをつくってもらいたいという要請をしているんですよ。自発的に協力しても私は問題があると思うんですよ。募集ポスターは公文書ですからね。自発的にトヨタが協力をしたとしても、公文書を民間がそうかってにつくることはよろしくない、あるいはそういうことを承知しておってつくらせることもまた許されない、こう思うのです。ところが、今回の場合は、愛知地方連絡部のほうが積極的にそういう要請をしておるんですよ。一体どういうことなんです。
  286. 麻生茂

    麻生政府委員 私も最近この事実を知りましたので、詳細の事実にまで立ち至って調査を遂げておりませんが、私が聞いておるところでは、あるいは愛知地連から先生の言うようにイニシアチブがあったのかもしれません。いずれにしましても、両方の話し合いでこのポスターができたというふうに了解しておるわけでございます。
  287. 福岡義登

    福岡分科員 問題はそこなんですよ。自衛官の募集については、さっきも言いましたように、ちゃんと九十七条で、これこれ、これこれには一部委任することができると書いてある。しかも、それにかかった経費は国が負担すると書いてある。自衛官募集のポスターというのは自衛官募集の重要な事務の一つでしょう。それをなぜ特定の民間企業にさせるのですか。正しいやり方だと思っているのですか。経費が足らぬということは言わせませんよ。一人当たり八万三千円もかけて募集しているんですからね。
  288. 麻生茂

    麻生政府委員 これは私のいま感ずるところでございまするが、先ほど申しましたように、任期制の自衛官というのは、その任期が二年である、したがって、二年たった後どうなるのかということは、必ずしもはっきりしていない。ただ、こういう企業において自衛官は大いに歓迎しますというような意図があらわれておるということは、自衛官を募集する人にとっては、これは自衛隊に入ればあとはどうにか就職ができるかなあという、そういうある意味での安心感を与えるのではないか、そういう気持ちが募集をやる者としての出先の担当官としては働いたのではないか、こういう感じがするわけでございます。
  289. 福岡義登

    福岡分科員 聞いてないことを答えぬでもいいじゃないですか。九十七条によって、事務の委任ができるのはこれこれと規定してある。民間ですることになっていないんですよ。長官、どうですか。
  290. 有田喜一

    有田国務大臣 御指摘のポスターは、除隊する自衛官の再就職の道が開かれるということについて、認識を高める意図を持ってやったものと思いますが、先ほど拝見して、あの図柄その他から見まして適切ではなかった、かように私は感じます。
  291. 福岡義登

    福岡分科員 他にもこういう例が二、三あるように聞いておるのですが、防衛庁承知していますか。
  292. 麻生茂

    麻生政府委員 他にも同じような例が二、三あることも、最近の機会に発見をいたしました。先ほど申しましたように、いま大臣からもお答えがありましたが、やはり自衛隊は国民の自衛隊でありますし、また国民から信頼される自衛隊でなければならぬわけでございます。したがいまして、また自衛官は国民全体の奉仕者たるべきものであるわけでございまするから、その国民全体の奉仕者たるべき自衛官の募集に特定な企業の求人広告が一緒になっておるということは、やはり行き過ぎではないか。ものにはそれぞれの限度があるわけでございまして、いかに二年任期の隊員に対して除隊後何か就職があるという安心感を与えるという善意の意図に出たといたしましても、やはり自衛隊の募集である、また国民全体の奉仕者としての自衛官の募集という本来の目的の大きな筋というものがあるわけでございますから、その限度内にとどまらなかったこの募集ポスターは、少し度を過ぎたものといたしまして、今後適切な措置をとりたい、こう考えております。
  293. 福岡義登

    福岡分科員 これは単に度が過ぎたというような問題ではないです。九十七条違反であるということは明確なんですよ。協力を要請するとか、そういうことは一般的にあると思うのです。明らかに募集ポスターなんですから、募集事務の重要な一つでしょう。九十七条に違反だと思いませんか。そこのところだけ答えてもらいたい。合法かどうかということ。
  294. 麻生茂

    麻生政府委員 筋から申しますと、国の行なうべき自衛官の募集につきましては、国費をもってこれに充当していくというのが本筋だろうと思います。
  295. 福岡義登

    福岡分科員 そういう自衛隊法違反をして、しかも国費が一人当たり八万三千円も募集費に使われておる。言語同断だと言わざるを得ぬと思うのです。ここらにも政治不信が出てくる一つの大きな要素があるし、そうでなくとも、防衛庁は防衛産業と何かあるのではないかということがいろいろいわれておる。そういう事情の中でああいうポスターがぱっと街頭に張られると、国民は一体どういう印象を受けますか。何かなくたっておかしいと思うでしょう。いろいろいわれておるときにそういうものが出るのですから、ことさらじゃないですか。簡単に一枚のポスターだということで済まされぬ問題がここにあると思うのですよ。一万枚刷ったやつをどのように回収しておりますか。
  296. 麻生茂

    麻生政府委員 この問題につきましては、適切な処置をするよう、いま陸幕のほうに指示をしておる段階でございます。間もなく解決したいと思います。
  297. 福岡義登

    福岡分科員 防衛庁がこの事実を知ったのはいつなんですか。
  298. 麻生茂

    麻生政府委員 フランクに申しますと、私がこれを知りましたのは先週でございます。
  299. 福岡義登

    福岡分科員 去年ポスターが張られましたのは、私がもらったそのポスターは十一月の八日なんですよ。相当画びょうのさびも出ておるので、一週間や十日前に張られたものじゃないでしょう。おそらく九月、十月ごろに張られたと思うんです。それと時を同じくして、いわゆる防衛庁の印刷したポスターで張られたものがここにありますが、これは四十三年九月四日の名古屋市の広報室の検印があるわけです。これと大体並行して張られておる。  それから次に、時間がありませんから急ぎますが、このポスターはもう早く知られて全部回収されなければいけぬ問題だが、まだその事情がわかっていないんだが、これは急いでいただきたい。  それで、このポスターの配布なんだが、こういうルートになっているんですね。トヨタの本社の採用課が連絡部へ相談に来て、そうして先ほど言いましたように従業員募集に合わせて自衛官募集も一緒にポスターをつくってもらいたいということを要請して、トヨタがポスターを印刷に出して、その印刷を連絡部がもらった。さすがに名古屋市に持っていくことができなくて——持っていっても検印を押しませんから、それをどうしたかというと、市内の町内会長のところに持っていって、これを張ってもらいたいという要請をしておるわけですね。これはけしからぬ話ですね。町内会長のある一人は、防衛庁の話だからいやいや張りました、こう言っておるんですよ。こんなことが二度と再びあったら絶対に許せないと思うのです。場合によっては、私は問題を後刻に残しまして、この問題の責任の所在を追及したいと思うのですが、きょうは事実だけ述べておきたい。  それから次に、そのポスターの左下のほうに、陸幕指定企業第一号ということが書いてある。これはどういうことなんですか。
  300. 麻生茂

    麻生政府委員 私、直接このポスター作製に関与しておりませんので、これが正確かどうかわかりませんが、しかし、私の推測によりますと、昭和三十九年から陸上自衛隊におきましては、指定企業という考え方を打ち出しております。そのときの第一回にトヨタが入っておりますので、ここで第一号となっているんではないかと思います。
  301. 福岡義登

    福岡分科員 私は、きのう防衛庁政府委員室を通じまして資料要求をしたんですが、この質問に間に合わなかった。意識的に間に合わせなかったのかどうか、そこはわかりませんが。  そこで、次のことをお伺いしたい。防衛庁はトヨタ自動車から年間どのくらいのものを買っておるのか、ここ二、三年にわたってひとつ述べていただきたい。時間がありませんから、要点だけで、こまかい資料はあとでもらいますが、おそらく自動車が中心だ、車両の自動車が中心だと思うのですが、購入総台数は幾台で、そのうち何台をトヨタから買っておるのかということが一つ。  それから第二番目に、自衛官を除隊をして、トヨタに就職をしておる幹部一般の者、それはどういうことになっておるのか。  それから第三に、陸幕指定企業の名前をあげていただきたい。
  302. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 装備費の中で、特に自動車でございますけれども、その中でトヨタから買っておりますシェアと申しますか、四十年度は百九十二台、全体が千五百二台でございます。金額比で申しまして約七%がトヨタでございます。四十一年度がトヨタから三百三十八台、全体は千八百十三台、比率は一二%、金額の比率でございます。もちろん、この総額というのは、いろいろなものを買っておりますので、数量のほうの比率ではございません。四十二年度がトヨタが二百三十台、全体が千八百四十六台、約八%でございます。
  303. 麻生茂

    麻生政府委員 退職自衛官がトヨタ自動車会社に入社しておる状況を申し上げますと、三年ですね。——昭和四十年度が、幹部自衛官が一名、それから曹と士、これを両方合わせまして二百五十五人、合計二百五十六人でございます。昭和四十一年度が、幹部は一人もございません。それから曹、士が二百九十三人、合計も二百九十三人になるわけでございます。それから昨年、四十二年度が、幹部が二名、それから曹、士が三百二十九名、したがいまして、合計が三百三十一名ということでございます。  それから、昭和四十三年度で、陸上自衛隊が特別措置指定企業として考えておりますのが二十五社あるわけでございます。一々名前を……。
  304. 福岡義登

    福岡分科員 代表的なものを読んでください。
  305. 麻生茂

    麻生政府委員 大体自動車会社、それから鉄鋼会社、造船会社というようなものがおもなものでございます。
  306. 福岡義登

    福岡分科員 大体どういうところがあるのですか。
  307. 麻生茂

    麻生政府委員 いすゞ自動車会社、東洋工業、トヨタ自動車、日産自動車、石川島播磨重工業株式会社、それから川崎重工業株式会社、日立造船株式会社、三井造船株式会社、川崎製鉄株式会社、神戸製鋼所、それから住友金属工業株式会社、日本鋼管株式会社、富士製鉄、それから小松製作所、三菱重工業、東京芝浦電気、日本電装株式会社、日本電池、それから住友電気工業、古河電気工業などでございます。
  308. 福岡義登

    福岡分科員 さっきおっしゃったトヨタからの購入車両はトラックだけですか。
  309. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 装備費という中で、車両全部を含んでおります。トラックとかその他車両関係で、装備品として買っておるものを含みます。大体中心が四分の一トントラックと四分の一トンのカーゴ、それが中心でございます。
  310. 福岡義登

    福岡分科員 そうしますと、四十一年度でいうと、千八百十三両のうち、三百三十八両がトヨタから購入されている、こうおっしゃったのですが、昭和四十一年度で一番たくさん購入した相手先はどこになっておりますか。
  311. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いすゞ自動車でございます。
  312. 福岡義登

    福岡分科員 何台ですか。
  313. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 六百七十四台であります。
  314. 福岡義登

    福岡分科員 時間がありませんので、これ以上追及できないのですが、いずれにしても、今回の問題を通じて考えられることは、さっきも言いましたように、防衛庁と特定の企業が非常に何か別の意味で結びつきがあるのじゃないか、しかも、いま陸幕指定企業を見ましても、二十五社ほとんど大企業ですね。同時に、この防衛庁と取引のある企業である。それで確かに、除隊した隊員の就職先をめんどうを見てやるのは、われわれも必要だと思うし、賛成なんです。逆の面からいえば、人手不足が非常に深刻になってきておる。それは大企業だけではないのですね。中小企業だってあるのですね。今度この募集を通じて言えることは、トヨタに対して防衛庁は特別の便宜を与えておる。別のことばで言えば、あのポスターから受ける印象は、陸上自衛隊というものはトヨタ工場の技能者養成所であるかの感を呈しておる。そうとられてもしかたないでしょう。ポスターをだれに見てもらっても、そういう印象が出てくる。就職先も幹部の方は四十年一名、四十二年二名ですが、おそらく顧問に就職した人はこれに入っていないと思うのです。それからさらに、トヨタの系列に行っておる人も何人かおるんじゃないかと思うのです。その辺の詳細はまた調べてみたいと思うのですが、初めに言いましたように、防衛庁と防衛産業界と何かあるんじゃないかということが一般にいわれておる。そういう事情の中でこういう問題が起きるということは、決して望ましいことではない、事柄が事柄であるだけに。そういう意味で、私は、今回の問題は、ただ単に自衛官の除隊後のめんどうを見るために善意でやった、そういうことだけで問題は済まされぬと思う。今後の方針あるいは今度の問題について、長官のほうから聞かしていただきたいと思う。
  315. 有田喜一

    有田国務大臣 私は赴任以来、防衛庁といいますか、自衛隊といいますか、綱紀の粛正ということをやかましく言っております。ややもすると、いわゆる防衛産業と自衛隊が結びついておるというような、いろいろ福岡さんのお話もありましたが、そういうことは絶対にないようにいたしたい。  そこで、さっきのポスターの問題は、そういうように疑われるきらいがある、かように考えましたから、私はあれは適切でなかったということを申した。すみやかにその善処をいたしたいと思っておりますが、ただ、防衛庁におる自衛官の方ですね、先ほど言いましたように、一定の若い人で二年、あるいは海空にありましては三年の場合もありますが、わずかの期間でやめてしまうのです。それから曹というような方も、どうしても定年というものが若いわけですね。そういう人が先で自分の生活に事欠くというようなことがあってはならない。そこでそういう方面には——福岡さんも賛成だとおっしゃったのですが、やはり生活を守るために、私はそういう方面にも喜んで使ってもらうようにいたしたい、かように思います。しかし、そういうような誤解を受けないように今後とも一そうの注意を払いたい、かように考えます。
  316. 麻生茂

    麻生政府委員 補足して申し上げますと、先生から中小企業のほうをあまり顧みないのじゃないかというお話でありましたが、われわれ、この除隊者につきましては、中小企業のほうの求人の申し出がありますならば、それに対しても喜んで応ずるつもりでやっておるわけでございまして、別に大企業と中小企業を差別しておるというつもりは毛頭ないわけでございます。ただ、こうした指定企業というような制度ができましたのは、何と申しましても、二年間という勤務をやってくるわけでございますから、その二年間の勤務の実績というものを雇用する際に何らか考慮してもらうということが、自衛官というものをほんとうに尊重してもらうゆえんではないか、また自衛官の募集も円滑にいくのではないかという気持ちから、この指定企業制度というようなものを陸としても考えたと思うのでございまして、その点は、やはり自衛官を思うあまりの一つの制度であるということもひとつ御了解願いたい、こう思うわけであります。
  317. 福岡義登

    福岡分科員 時間も参りましたので、これでやめますが、いま長官からお話がありましたような筋で、二度と再びこういうことのないようにしていただきたい。  それからもう一つは、いまお話がありました陸幕指定企業の指定基準といいますか、こういうものについて、若干私どもは異論を持っておるわけです。いずれ機会を改めて問題を取り上げたいと思いますが、防衛庁のほうでも、その指定基準について十分実情に合うような、どこから見られても落ち度のないようなものに検討していただくように要望して、終わりたいと思います。
  318. 足立篤郎

    足立主査 午後の分科会は、本会議散会後直ちに再開することとし、これにて休憩いたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————     午後三時三十分開議
  319. 足立篤郎

    足立主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁所管に関する質疑を続行いたします。山花秀雄君。
  320. 山花秀雄

    山花分科員 私は、きょう、防衛庁長官も御存じの、東京都下昭島市拝島町四千八十九番にある都営拝島住宅の集団移転問題についてお伺いしたい、そう思いましたが、一つ新しい事項が発生いたしましたので、それを先に簡単に質問したいと思います。  たぶん長官もお読みになったと思いますが、きょうの東京新聞に、王子病院の移転先を多摩の弾薬庫にということで、アメリカと地元と防衛庁との関係で折衝を始め、これが規定づけられておる、こういう意味の新聞報道が出ておりました。東京新聞は権威ある新聞でありますから、間違った報道はないと思いますが、これは一体どうなっておるか、長官、ひとつこの間のしさいの様子をお聞かせ願いたいと思います。
  321. 有田喜一

    有田国務大臣 王子病院の移転のことにつきましては、移転先の某候補地点を目標をつけていま交渉中でございます。しかし、まだ私のほうからこういうことになっておるという、言うべき段階にはいっていない。山花さんも御存じのとおり、いままで移転ということは盛んに言いましても、移転先がきまらずに、こういうので、ずいぶん迷惑をかけておる面もあるわけでございます。そこで、もう少し見通しをつけて、その上に立ってやりたいと思っておるのですが、きょうの東京新聞の記事は確かに読みました。けれども、これは一つ憶測記事として御了解を願いたいと思います。
  322. 山花秀雄

    山花分科員 大臣のいまの言明によりますと、かわることは、予算も十億円組んでおるのだから、これは既定の事実だと思いますが、移転先をどこにするかということはまだきめてない、こういうお話であります。東京新聞も大臣は読まれて、それは単なる憶測記事だ、こういう御答弁でありましたが、大体きまっておるのじゃないですか。私は推察するに、思いますけれども、根回しをぐっとやって、一挙に従来の形のようなことで——場所がもしここであるとしたならば、それはたいへんなことになるということだけを私はひとつお伝えをしておきたい。前に、この地区は、ミサイル基地として防衛庁が候補地としてずいぶん運動をやられましたが、地元の圧倒的反対で、これはまたアメリカの軍事政策の変更かもわかりませんが、一応つぶれた経験のあるところであります。  それから、この記事によりますと、立川か横田の飛行場の中とは考えたけれども、ちょうど弾薬庫があいておるから、ここが適当だということが一つと、それからアメリカの軍人の家族の人が、立川や横田に来られたらいけないというので、反対があったから、たまたまあいておるこの弾薬庫にきめた、こういうように記事が出ておるのですが、この間のいきさつは大臣知っておられるのか、知らないのか、あるいはうわさ、推測というようにお答えになるのかどうか、一応この点を聞きたいと思います。この問題は、日本の居住民がうんと反対をしていても、アメリカの軍人家族の意向でもし移転先がきまるということになりますと、われわれ日本人として、また日本国家としても、こんな情けない話はないのでありまして、自主独立の日本国家の大臣としての気がまえをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  323. 有田喜一

    有田国務大臣 あくまでこの問題は日本の立場で折衝したいと思います。向こうの家族がどう言うからどうだというような、そういう考えで進むわけじゃございません。ただ、先ほども言いましたように、いまどこであるかということは、責任ある私から申しかねる事態にあるということだけはひとつ御了承願います。
  324. 山花秀雄

    山花分科員 長官もたぶん御承知と思いますが、この地区は東京都のベッドタウン地区といたしまして、三十万人の都市計画をやっておる地区であります。そういう意味から、地元の諸君も、もし野戦病院がそこに移転されますと、前にはミサイル基地が移転されますと、三十万ベッドタウン都市の建設がとんざするというので、これは東京都にとってもえらい問題であります。また、あそこの開発に力を入れておる地域住民、あるいは開発ということになりますと、ある程度資本が入ってまいりますが、資本投下の問題についてもとんざするわけでございます。そういうように三十万都市の建設途上にあるところへこういう野戦病院が来るということは、これは地元にとってはゆゆしき一大事であります。それと同時に、長官も御存じのように、そういう都市づくりをやっておるところへそれを持ってきていいかどうかということは、もう判断がつくと思います。だから、某所を検討しておる、適当なところを検討しておるというお話でございましたが、某所とはどこを考えておられるか知りませんが、三十万都市づくりをやっておるところへは持ってこさせないという、そういう見通し上の言明は私はできると思うのですが、いかがなものでしょうか。
  325. 有田喜一

    有田国務大臣 いろいろと御意見もありましょうし、私もそういう都市計画その他との関係も勘案しながら考えておるわけでございます。少しおまかせを願って、何とかうまく善処したいと思っておりますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  326. 山花秀雄

    山花分科員 おまかせを願いたいというよりも、むしろそういうところへは持ってこないのが至当だというのが、私は長官の感覚としては当然の答えじゃないかと思うのです。何かにやっと笑っておまかせを願いたい——これはまかせるわけにはまいりません。三十万都市計画がそれによってくずれるというようなことはいけないことであるから、そういうところは候補地としては考えない、こういう御答弁がほしかったのですが、いかがでしょうか。
  327. 有田喜一

    有田国務大臣 御意見は御意見として拝聴しております。ひとつ私もそういうことを勘案しながら善処してまいりたい、かようにっ思ております。
  328. 山花秀雄

    山花分科員 この問題については、私はこれで質問をとめますが、ただ一言申し上げておきたいことは、前のミサイル基地にも問題がございましたが、今度もいろいろうわさが立ちまして、地域住民の間では相当反対運動が起きております。もしあやまって選定ということになりますと、そこには地域における大きな社会問題、これが全体の軍事基地問題に波及して、全国的な、ちょうどあの砂川の闘争が全国的に波及いたしましたような形になるということだけはひとつ心して、問題の選定に十分日本の将来を考えて、あるいは地域のそういう密集地帯を避ける——大体、王子が問題になりましたのは、あれは密集地帯だから問題になった。その点は、一言だけ私はとどめを刺すような意味で長官に忠言をしておきたいと思います。  次に、先ほど申し上げましたところは、横田飛行基地の滑走路のちょうど延長地帯になっております。あまり危険のないようにということで、相当国では予算を組んで立ちのき事業を始めました。前に、総理大臣も、基地周辺の問題については公害防止その他について考慮を払う、予算措置も組む、こういうような演説もさきの臨時国会ではやっておられます。長官はたまたま異動によってかわりましたが、先任者からいろいろ事務の引き継ぎをやっておられると思うのでありますが、七十戸余りの都営住宅だけ残っております。前の昭和飛行機の社宅の払い下げは全部片づいた。それから商店街が全部片づいた。ただ一部に七十戸残っている。この問題の解決のときには、昭和の社宅の問題を解決して、商店街を解決して、あとは必ず早く解決するという防衛庁の方針でございましたが、まだこれがもたもたしておる。住んでおる人々は、商店街がなくなりました、おふろに行くのも、買いものに行くにも、バスで遠距離のところへ行かなくてはいかぬ。もう住むにたえないような環境になっておることは、防衛庁の皆さんもよく御存じだと思います。これを早期に解決する具体的な方策がいま何かあるかどうか、また、地元民との折衝においてどの程度まで進展しておるかということを、ひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
  329. 有田喜一

    有田国務大臣 横田飛行場の周辺の集団移転の問題につきましては、御承知のとおり、昭和四十二年の末までに三百戸を終わりました。四十三年度においては、四十四戸についていま実施中でございます。来年度、すなわち四十四年度におきましても、約五十戸について実施する予定であります。なお、懸案の南側中心線下にある約七十戸の第一都営住宅の移転につきましては、御承知のとおり、関係住民と東京都の間の調整がまだついていない。そこで、何とか早くその調整をしていただいて、そしてできるだけ早い機会に円満な移転ができるように、こういうことで大いに今後ともひとつ積極的に努力を払う決意であります。  なお、詳細につきましては、施設長官から御答弁させていただきます。
  330. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま大臣のお答えになりましたように、都営住宅の移転につきましては、私のほうでは、これはできるだけひとつ早く処理できるようにということで——東京都との間の問題がございます。一方住民の方は、東京都の都営住宅ということでございますので、これを移転させるには、都のほうが住民の方に払い下げるというような措置を講ずれば、私のほうとしてさような移転ができるというような筋合いにもなりますので、いまさようなことについて都のほうにもおすすめし、できるだけそういう措置によって何とか移転の補助が出し得るように、そして中におられる方が移転できるようにというふうにわれわれ考えて、いませっかくこの間の調整に努力いたしておるということでございます。
  331. 山花秀雄

    山花分科員 努力していただいておることは、いまお話があったように私も納得できますが、努力しておると言って、えんえんとして延びておるということになりますと、ざっくばらんに申し上げまして、努力が足りなかったのじゃないか。そこでなお一そうの努力に励んでいただきたいと思います。環境は、私が説明するまでもなく、いま申したとおり、孤立してぽつんと残って、この間も、私は防衛庁へ行ってお願いしましたが、付近の雑草だけは刈り取ってもらいたい、そういう訴えです。雑草がはえて、万一たばこの火でも投げて、そこから火事にでもなったらたいへんなことだ。防衛庁のほうで雑草刈り取りをしてもらったと住民のほうからも報告がございまして、その点は私も感謝をしております。ところが、飛行機の滑走路の下でありますから、いつどんなことで事故があるかもわかりません。あそこが原っぱになっておりますと、飛行機が落っこったって別に人害がございませんけれども、現状のままでは大きな人害が私は出てくると思います。人害が出てきてからあとであわてふためいても、これはあとの祭りになりますので、その間の努力は大いに払ってもらいたい。  そこで、これは一つの意見でありますが、国有地でもひとつあてがって、住宅でも建てて移動させたらどうかというようなことも私は考えておりますので、そういうことは防衛庁としてはお考えになったことはありますか。それともまだそんなことは考えたことはないというようなことでしょうか。
  332. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 住宅の集団移転の際に、われわれのほうで通例のやり方といたしましては、移転なさる方が移転先で土地を購入して、住宅を建てるのに必要な資金に見合うようなという考え方で、現在建物の移転の補償をいたしておるわけでございますが、それだけではなかなか問題が解決しない場合が多うございます。したがいまして、移転先におけるところの土地の造成とか、そういったようなことも必要になってくるのではないかというような考えを漸次取り入れつつあります。  この東京都の場合には、必ずしも土地の問題ばかりでなくて、これは都営住宅でございますので、都の所有という形にいまなっておりますために、問題がこじれておるわけでございますので、この点は必ずしも問題が違うかと思いますので、それだけで解決はいたしかねると思いますが、いま私が申し上げたようなことは、全般として促進するために考えておるような一つの手段として考えておるということを申し上げておきます。
  333. 山花秀雄

    山花分科員 住民がいま訴えておりますことは、かつてこれは東京都ともいろいろ話をいたしまして——都営第一住宅でありますから、相当建築は古い。早くできた。当然これは払い下げされるべき土地、家屋であったのが、いままで延びた。ずっと前でありますが、念書が入って、東京都では払い下げをする、こういう確約をした。これは念書の写しでありますが、念書も入っておる。それが突然建設省のほうから、いろいろな関係で、一切今後そういうものの払い下げをしてはならぬ、こういうことでおくれておるということが、これは事実であります。だから、これは国と国との関係でございますし、総理大臣みずから、基地公害については大いに考慮を払う、こう言っている。一つの国の政策でありますから、横の関係、いわば防衛庁と建設省との関係の話が終われば、これは何でもなくスムーズに問題が解決すると思います。そういう努力を払われたことがあるかどうか。たとえば建設省のほうへ、ああいう通達は、これは基地の特殊な慣例だから、東京都が前に払い下げをするという約束をしておるのだから、認めてやったらどうだというような話し合いを、防衛庁が積極的にこの問題を解決するというのだったら、当然やるべきだと思うのでありますが、やったかどうか。それともやる一つの意思があるかどうかということをお聞かせ願いたい。
  334. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私のほうでは、東京都に払い下げをするようにということを強く勧奨いたしております。いまの、もとが建設省という点について、私といたしましては、非常にいいお知恵を拝借したと思いますので、今後そういう点は活用して、大いにその実現に努力いたしたい、かように考えております。
  335. 山花秀雄

    山花分科員 そうすると、従来は、都営住宅であるから、防衛庁としては東京都のほうへ払い下げの勧奨はしたが、建設省とはまだ話はしてない、こういうことですね。
  336. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 さようでございます。今後ひとつそういう線をやってまいりたい、かように考えております。
  337. 有田喜一

    有田国務大臣 そのことにつきましては、いいお知恵をいま授けてくださったのですが、私も建設大臣に向かってそのことを強く要請して、早くこの問題が解決するように善処したい、かように考えております。
  338. 山花秀雄

    山花分科員 防衛庁長官施設長官も、政府部内の問題だから、これから大いに横に話をして、早期解決のめどをつくっていきたい、こういう積極的な答弁がございましたので、私もたいへん質問をしたかいがあると考えておりますが、現状の時点においては、それ以外に私はちょっと解決の道がないと思うのであります。  それから、政策上の違いで各省間の争いというのだったら、これはまた別の問題でありましょう。佐藤総理みずからが、去年の臨時国会で、一日も早く早期にこれらの問題を優遇をして解決をしていきたい、こう言っておるのでありますから、その佐藤内閣のもとにある防衛庁であり、建設省でございますので、横の話をひとつしていただきたいと思います。また、建設大臣は御案内のように官僚出身ではございません。御承知のとおりでございます。政治家として長い間御苦労をなさった政党政治家の出身でございますので、長官もその一人でありますから、私は、話をすれば意味がよく通ずると思います。  それから、若干の障害はございましても、こういう仕事は政治的決断というのがやはり必要になってくると思います。それで、この仕事は他に類を及ぼすような問題ではございません。ただ基地存在の基地公害から来る一つの問題でございまして、当然大きな政策的には一致する問題であります。各省間のごたごたなんか私はあり得ないと思います。ぜひその方面で積極的に力を入れてもらって、建設省さえうんと言えば、東京都はもう払い下げするという内諾を与えるような書類を出しておるという段階でございますので、これは他の一般の公営住宅の関係で一律的に建設省が扱っておりますが、これは特に政府が基地の立ちのきを要求する、こういう政策上からきておるので、特例を開くということは私はでき得ると思います。そういう方面にひとつ大いに努力をしていただきたいと思います。  大体、私の質問する点で、努力するという御回答を得たものでありますから、これ以上枝葉にわたって質問する必要はございません。私の質問、これで終わりたいと思います。
  339. 足立篤郎

  340. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 これは施設長官にお聞きをしますが、相模原の相模総合補給処、この引き込み線が朝鮮動乱以来中止をしておりました。実はこの補給処の周辺が二万五千七百平米にわたって接収の解除がありまして、この解除された地域のちょうどまん中に補給処に通ずる引き込み線があったわけでございます。ところが、たまたま今回米軍のほうから、この引き込み線の再開をしたいという申し入れが市にありました。また、事実引き込み線の再開のための作業がいま進んでいるわけです。施設長官は御存じだと思いますが、この接収解除地域には公務員住宅があります。さらに、残った残余の土地には、地元の市議会からは駅前公園の設置あるいは勤労青少年のセンター、駐留軍労務者の離職者センター、こういうものを設置したいという申請が三十四年ごろからなされているわけです。もしこれが引き込み線の再開が行なわれますと、事実上こういう地域を開発する市の計画あるいは地元の住民の計画が実はすべて挫折をするわけです。私は非常にふかしぎに思うのですが、昨年米軍の基地がわが国に返還をされました。この引き込み線の再開は、いわば接収解除地域の再接収というような形に私どもは受け取らざるを得ないわけでございます。なぜかと申しますれば、いま申しました二万五千七百平米にわたる地域のどまん中が引き込み線で遮断をされるわけですから、事実上その地域は相模補給処のための敷地として囲いをし、確保しなければならない、こういう状況におちいってしまっております。  そこで、長官にお聞きいたしますが、この引き込み線の再開について、米軍のほうからわが国に対する何らかの通告あるいは協議等が行なわれたのでしょうか。
  341. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 この相模総合補給処への貨車輸送の問題につきましては、現在提供施設でありますところの鉄道側線、これは三十四年以来、ただいまおっしゃいましたように、使ってはおりませんでしたが、これを国鉄との関係で貨車輸送を再開するようにという話でございまして、国鉄との間の話し合いが行なわれておるということを伺っておりますが、私のほうには直接さような話は来ておりません。
  342. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私が申し上げましたように、この引き込み線、いわゆる側線を再開をすることは、実は二万五千七百平米にわたる接収解除地域そのものがちょうどまん中で遮断をされる結果になるわけです。補給処をごらんのように、四方へいでありまして、その地域だけが、公務員住宅の通路、道路、あるいは先ほど幾つか申し上げました市民の新しい青少年センターであるとか、駅前公園であるとか、そういうものをつくろうという計画のどまん中に、もし現状のままで行なわれたとするならば、引き込み線に沿ってへいで仕切られているわけです。したがって、これは引き込み線を再開をするという単に国鉄と米軍との問題だけではなくて、接収解除地域をどのように使うかという問題を含めて、実は問題になってくるわけです。したがって、私は、接収解除地域がそういう形で遮断をされることについて、日米間で話し合いがあってしかるべきだというように思うのですが、いかがでございましょうか。
  343. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま私が申し上げましたように、ただいま国鉄との間で話があるということを伺っておるだけでございまして、私のほうには直接話を伺っておりませんので、いまの点については、そういった貨車が輸送する必要といいますか、道路が非常に込んでおるので、何とか鉄道によって輸送したいということで、国鉄と話し合いを始めたということでございます。したがって、ただいまのような事情で、周辺の解除地域との関係はどうだということになりますと、これは別の問題になるかと思います。この点については、よく検討いたしてみたい、かように考えております。
  344. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 国鉄の方、見えていますか。——要求しておいたのだが……。   〔主査退席、倉成主査代理着席〕
  345. 倉成正

    ○倉成主査代理 加藤君、ほかのをやってください。
  346. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 それでは、全然違った問題でありますが、いらっしゃる方の中で御答弁できる範囲でお願いをいたします。  実は、大和市で、厚木飛行場から飛び立つ米軍の騒音問題に関係をして、いろいろな市民の要求がありました。ところが、この要求がなかなか実現ができません。特に飛行場から飛び立つ飛行機の騒音の規制に対して、たとえばNHKのテレビ料の全額免除であるとか、あるいは騒音防止のためのいろいろ事業であるとか、こういう要求をいたしましたが、なかなか要求が実現をいたしませんでした。その結果、市民としては何とか要求の実現をしようということでいろいろな抵抗運動を行なったわけです。その一つとして、飛行機に対するいろいろな意味の抵抗運動を行なおうとしましたところが、この飛行機に対するそういう行動は国内航空法の適用によって、それを実施することは刑事上の罰を受けるという通達が流れたといううわさを実は聞いたわけであります。  そこで私はお聞きいたしますが、一体米軍基地に対する国内航空法の適用という範囲はどういう点にあるのかということをお聞きしたいと思います。法律としては非常に長いものでありますから、特に私は指摘を申し上げますが、航空法の第百三十八条すなわち飛行機に対する、航空に対する危険を生じさせた場合には、懲役二年以上の刑に処するという百三十八条の条文がありますが、この航空法というものは米軍基地の飛行運航に対して住民が、たとえば立川においてあの飛行場の拡張に対して、やぐらを組んで赤旗を下げたり、掲げたりしていろいろ抵抗いたしましたが、そういうものにも適用をされるものでしょうか。
  347. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 航空法の適用除外につきましては、御承知のとおり昭和二十七年の法律二百三十二号で長い適用除外の特例法がございますので、そこに規定された部分につきましては適用除外ということになっておりまするが、その中にはいま言った百三十八条の関係は含まれていないとありまするので、そういった意味合いでは、飛行場周辺に対して妨害となるような行為をやったということが認定されればそういったものは適用になるのではないかというふうに考える次第であります。
  348. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 これは実は論議をすればたいへんな討論になるところなんです。安保条約の第六条並びに日米地位協定によりまして第六章あるるは三十八条、三十四条、百二十六、二十七条等々、いわゆる適用除外規定がありますね。この適用除外規定はそれなりに私は理解できる。ところが、たとえば第六章の中の適用除外条項ですね。粗暴運航の禁止、これは適用除外になっているわけですね。あるいは落下物に対してその責任を負うということは適用除外になっています。いわゆる飛行機から何を落としてもいいし、米軍の作戦行動ならば粗暴の運転もよろしいし、あるいは米軍の作戦行動という範囲に基づく限り、航空規制は事実上行なわれないということが第六章では大体明らかになるわけです。しかもその下には日本国民が住居し、生命と財産があるわけです。その生命と財産を守ろうというときに、第六章が適用除外であるから他の項は反論的に全部適用しますということになりますと、これはたいへんなことになる。たとえば九州のジェット機の墜落がありましたけれども、その際に墜落事故に対して福岡市民がもし、そういうことはいけないというので飛行場周辺までデモを行ない、赤旗を掲げたとします。それが罰則規定の第百三十八条でしたか、それに適用するというなら、これはたいへんなことになるわけですね。みずからの生命と財産が守れない、いわゆる抵抗運動といいましょうか、そういうみずからの生命と財産を守るという運動は一切罰則規定が適用される、こういうことになるわけでして、この見解はたいへんな問題になると思うが、いま一度お聞きをいたします。
  349. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 この関係につきましては航空局が見えておりますので、そちらから答弁をします。
  350. 梶田久春

    ○梶田説明員 お答え申し上げます。  先ほど加藤先生の御指摘のとおり、米軍に対します航空法の適用につきましては、特例によりまして大部分のところが適用除外ということになっております。ただ、たとえば進入する航空機に対しまして気球を飛ばしたり等の方法によって航空機の航行に危険を生じさせた場合には、当該航空機がたとえ米軍機でございましても、航空法第百三十八条すなわち「航空の危険を生じさせる等の罪」の規定の適用があると私ども考えております。
  351. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いまの百三十八条、これは長官、ぜひお聞きを願いたいと思うのですが、御承知のように刑法では罰則規定の場合には、たとえば窃盗をした場合に懲役何カ月、あるいは殺人を犯した場合に何カ月というように、きわめて具体的に刑罰規定を定めておるわけですね。航空法の第百三十八条はいわゆる航空に対する危険の障害、非常に範囲が広いわけです。たとえば、どうどうどうした場合に障害があるとか、あるいはこうした場合に危険の障害であるからこれは云々というならわかりますけれども、いわゆる航空運航全般について危険性を生じた場合には懲役二年以上に処すという刑罰規定がしてあるわけですね。私はこういうことはあまりよくわかりませんけれども、この法律のあり方は、日本のいまの罪刑法定主義というのですか、それからいくときわめて違憲性の強いものだというふうに指摘されておるわけです。いま航空局は、その二カ年以上の懲役を、たとえば飛行の混乱を生じた場合あるいは飛行に対する障害を与えるような影響があった場合にはこの法律を適用するという答弁です。それでは、先ほど言いましたように、たとえば飛行場のそばでデモ行進をやった、これ自身は飛行に対する混乱を生ぜしめたということで罰則二カ年以上の懲役に処することが可能になってくるわけです。いかがでしょうか。かかる航空法百三十八条それ自身問題がありますけれども、一体日米間で除外規定になった他の規定、国内法の適用米軍基地のいろいろな課題に対して適用するということは、私は問題ではないかというように思いますし、今日までその適用を行なったことはないと私は聞いておるわけです。たまたま厚木の飛行場のときに法務省と運輸省と防衛庁との間にそういう取りきめがなされたといううわさを聞いておりますから、その問題について明確にお答えをいただいておきたいと思う。
  352. 梶田久春

    ○梶田説明員 長官に御質問がございますが、私からお答え申し上げます。  いま仰せの点につきましては、航空法百三十八条の規定は本来刑法の中に取り入れらるべきものと考えております。すなわち現行刑法百二十五条には往来危険罪が規定されておりますが、この規定は「鉄道又ハ其標識ヲ損壊シ又ハ其他ノ方法ヲ以テ汽車又ハ電車ノ往来ノ危険ヲ生セシメタル者八二年以上ノ有期懲役ニ処ス」かような規定がございますし、第二項には灯台、浮標等についての規定がございます。航空法は御承知のように戦後昭和二十七年でありますか、制定せられました法律でございまして、いわば航空産業は非常におくれた産業でございます。そういった意味で、鉄道、電車等の規定と同じ規定を航空法の中に規定した経緯がございまして、その点については本来刑法に入るべきがしかるべきかと思いますが、こういう経緯を経ましてこの航空法の百三十八条に相当の規定をしたわけでございます。  それで、デモの話がございましたが、実際のこの適用にあたりましては、当該その周辺に行なわれました行為が航空の危険を生じさしたかどうかということにつきまして、その具体的ケースについて犯罪要件を構成するかどうかということの判断にかかると思います。私ども、先ほど先生からおっしゃいました運輸省それから防衛庁、法務省の間で、三者で会って統一見解を出したようなお話でございましたけれども、私運輸省で確かめましたところ、そういうことはまだございません。
  353. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 関連。いまの答弁は午前中の答弁と違うのです。それで一問だけ聞いておきます。  航空法によって、米軍基地の場合、航空障害物の規制措置ができますか。それだけ一問聞きます。
  354. 梶田久春

    ○梶田説明員 いまの楢崎先生の御質問、四十九条関係の障害物件の規定は、米軍の管理になっております飛行場については適用はしておりません。
  355. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから規制する法的な根拠がないのに、どうして罰則だけが適用されるのですか。おかしいじゃないですか。
  356. 梶田久春

    ○梶田説明員 百三十八条はそういった障害物云々ということでなくて、航空機の航行一般に関して危険を生じさせた場合にこの罰則を適用する、こういうことでございます。
  357. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 障害物と危険物はどう違うのですか。
  358. 梶田久春

    ○梶田説明員 先生のおっしゃる点は、おそらく立川の付近ではなかろうかと思います。私どもも立川で、慰霊塔と思いますが、慰霊塔を建設するという話を聞きました際には、本条の適用は運輸省としてはきわめて困難ではなかろうか、かように考えたわけであります。
  359. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 関連ですから一問で終わろうと思ったのですが、いまそのようなイーズメントが出ているのは立川、厚木、木更津、岩国、板付、横田、六つですね。そして、そういう法的な根拠がないのに障害物排除の規制をする。法的な根拠がないのにそういう障害的なものをやったら罰則とするなんて、罰則だけがどうしてそこへ適用されるのですか。だめですよそんなかってな解釈したのでは。
  360. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 この問題は、防衛庁長官もいみじくもここでたいへんな問題だというふうにおっしゃられたように私耳に聞こえたわけですが、本問題はきわめて重要な問題です。いわゆる米軍における飛行場の問題と、あるいは第六章に適用除外になっている条項と、片方の航空法の罰則規定だけは——適用除外の条項はきわめて国民の財産、生命を侵害する条件があるわけです。そこだけは適用除外にしておいて、片方の国内法の罰則規定だけは国民の側に可能だ、こういう論理でありますから、実はたいへんな内容を持っている。これは、きょうは私は質問時間がありませんから保留をしておきます。そしていずれ内閣委員会なりあるいは運輸委員会で本問題はわが党の同士なりを通して徹底的に究明をしたいというふうに思います。そのように心得ておいていただきたいと思います。  山花先生から少し時間をいただきましたので、先ほどの国鉄の問題についてお伺いいたします。大体話はお聞きになっていると思いますから、前の話は省略します。  施設長官が、この渕野辺の駅から相模補給廠に至る引き込み線は国鉄との間の問題と答弁をされたわけです。私は、この休止され中止をされておった引き込み線の工事、あるいはそれを使って運行するであろう貨車の車両等について、おそらく国鉄側に話があったというふうに思うのですが、米軍側からはどのような話があったのでしょうか。またその工事は国鉄がいまやっておられるのでしょうか。
  361. 湯川龍二

    ○湯川説明員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。  渕野辺に米軍の補給廠がございますが、ここで、従来道路でそれぞれ車で送っておったものが、最近道路が非常にふくそうするということで、米軍では——在来、これは旧陸軍が持っていた場所であり、また線路であるわけですが、それを現在米軍が使っている形になっているのは御承知のとおりだと思います。その中で専用線がございまして、この専用側線になっておる……。
  362. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 答弁者、その話は先にしたのです。
  363. 湯川龍二

    ○湯川説明員 それで、それをこの際復活をいたしまして、この線路は横浜線とつながるものですから、鉄道輸送で一部輸送したいというお考えだと思います。そういうことにつきまして昨年秋に話がありまして、このことにつきましては二つに分かれております。一つは、専用線は従来使っておりませんで、これを使えるような状態にしたい、ついてはこれを使えるような形に施工したい。こういった種類のものにつきましては他の個所でも幾多あるわけですが、国鉄がじかに工事をするわけではありませんが、国鉄の使用状況その他を考えて、適切な仕事をする人をあっせんして仕事をするという形でございます。この渕野辺の基地における専用線というものもそういう形で工事をしておるわけですが、これはもちろん横浜線を使って輸送するということですから、そういう線を生かすということでありまして、これについて横浜線で輸送することについては、これは米軍に限らず、一般にいかなる方の御要求であっても、国鉄の輸送に適切な貨物を輸送したいということでありますと、わがほうの輸送の能力があり、できるという範囲内においてお受けするということになっておりますので、そういったルールに従いましてお受けすることになったのであります。
  364. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 項目的に聞きますから、それに答えてもらいたいのですが、いま工事をやっておることに対して国鉄は責任がありますか、これが第一点です。  第二点は、横浜線を使って輸送される車両について米軍側から何かの要請があり、それに対して国鉄と話し合いがどのくらい進んでおりますか。
  365. 湯川龍二

    ○湯川説明員 工事そのものにつきましては、施工の難易あるいはそこで使われる状態において、車両が円滑な状態で横浜線に入ってくるかどうかということに関連をいたしまして、それらについて国鉄に委託をしてくるわけですから、そういう形においてはございますが、施工そのものは直接業者と米軍との関係で、直接の関係はございません。それから輸送につきましては、国鉄の輸送の能力に応じて受け付けられる範囲において受け付けるということでお話を受けることになっております。
  366. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 車両の台数その他についてはありませんか。
  367. 湯川龍二

    ○湯川説明員 いまのところ国鉄といたしましては、国鉄の輸送できる範囲内においてお受けするということで、それ以上のことについては、具体的な話はこれからすることになっております。
  368. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 聞くところによると、家具、食料品についてそれぞれ五両ないしは十両ぐらいでしょうか、その間の配車をしてほしいという米軍側の要請があったというように聞いておりますが、それはありませんか。
  369. 湯川龍二

    ○湯川説明員 輸送につきましていろいろお話があるようですが、具体的にまだ最終的にはきまっておりません。
  370. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 最初の第一のところですね。実はここに米軍の主計大佐の文書が手元にあります。これによりますと、「ただいま、日本国有鉄道より矢部駅から当補給廠に入る現在の引き込み線の修理を一九六八年十二月一日ごろより始めるという通知を受けました。工事完成時期は、一九六九年四月ごろ」という、そういう文書があるのです。これは明らかに国鉄がその引き込み線の工事はだれに委託するかは別にして、その責任と、工事指名を行なっているのじゃないですか。
  371. 湯川龍二

    ○湯川説明員 国鉄が米軍から委託を受けまして修理をいたしておるということについて、先生のおっしゃるとおりです。
  372. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 実は先ほど施設長官からちょっとお話がありましたが、この横浜線を使用するということは実は国道十六号線の緩和——一方においては緩和というようなことがあるわけですね。ところが、国鉄当局が地元に説明している範囲では、いわゆる食料品と家具であって、本来補給廠の主要な業務であるたとえばタンクの輸送、あるいは人員輸送車の輸送にはこの国鉄線は使用しません。こういうように地元に言っているのですが、この辺は間違いないでしょうか。
  373. 湯川龍二

    ○湯川説明員 米軍からお話がありました範囲内におきましては、そういった種類のものではないと聞いております。
  374. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いまの段階では米軍側はそう言っておりますけれども、かりにアメリカ側から、軍側からそういう要請があった場合に、現在の横浜線の状況から見て、国鉄当局としてはその輸送を拒否されますか、あるいは受けられますか。
  375. 湯川龍二

    ○湯川説明員 国鉄の輸送上危険を伴わず、また嫌悪感を伴うという種類のものでない限り、これはいかなる方からの御要請でありましても国鉄は輸送するという原則に立っておりますので、そういったことのない限り輸送するということでありまして、逆に申しますと、そういったことで国鉄の輸送にふさわしくないというものでありましたならば、それは避けるということであります。
  376. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 米軍のノースピアから人員輸送車、大型タンクあるいは中型タンクを高島駅に運びまして、高島駅から東神奈川駅を通って、淵野辺駅を通って、入れかえて、私ども聞いているところでは、これは施設長官御存じでしょうが、一九七〇年度はいまの車両台数の約三割から四割増、あるいは人員輸送車でいきますと千二百台以上、大型タンク車は御承知のように百トン近いものですから、しかもその中にはスクラップ車もあるわけですから、おおむね米軍が修理をされるであろうタンク車の倍は輸送のルートに乗るだろう。いまこれを全部トレーラーで運んでいるわけですね。もしも倍の量を横浜線を通して運ぶということになると、それでなくても横浜線は非常に混雑している。しかも北部開発を進めて、原町田までの複線計画があります。したがって夜間でも輸送しない限りほとんど困難であろう。いまのダイヤの中で、しかもこれだけの相模補給廠に必要な物資といいましょうか、タンクを運ぶことは事実上困難だろう、こういうふうに私どもは見ているわけです。したがって、私はもし日本国民の事情——神奈川県の北部地域、相模原から八王子にかけての混雑を緩和するためならば、横浜線の複線化を優先さすか、あるいはダイヤをいま少し回転をよくして通勤の足を緩和する。これが一番当面やるべき仕事じゃないかと思うわけです。いま米軍の相模補給廠に入る修理品を国鉄の軌道に乗せることは、そういう意味ではあの辺の市民の足を奪う結果になると考えるわけです。家具、食料品は従来も鉄道の輸送でやっておったわけですね。したがってその範疇で問題がおさまるというならば別ですけれども、もしもいま言ったような昨年に比べて三割、四割、しかも大型タンク車も含めて、聞くところによるとミサイルですか、人員輸送車も千二百台以上ということですから、たいへんな輸送量になると思うのですが、そういう面から見て、国鉄の現況からいっても拒否されるのが妥当ではないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  377. 湯川龍二

    ○湯川説明員 ただいまのお説、私はよく存じ上げないのですが、米軍からお話があります限りにおきまして、現在の国鉄の横浜線の輸送力の範囲内において、もちろん先生のおっしゃるように横浜線は多くの通勤の方、一般の御利用を得ておりますので、もちろんこれらを阻害することのないように配慮してお受けするということでございます。
  378. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いまお聞きになりましたように、これは施設長官が一番御存じでしょうけれども、七〇年代のM48A1のタンク、おおむね百二十台だろうと推定をされているわけです。修理です。それからM113、これが千二百台ぐらいではないかというようにいわれている。あるいはM551、これはミサイルが積めるのではないかといわれている戦車だそうですけれども、相当量相模補給廠で修理をし、しかも国鉄の運行計画の中に組み入れるとするならば、いま言ったように幾つか問題が起きてくるわけですよ。私が当初申し上げましたように、本来補給廠は縮小計画にあるべきだ。しかも二万七千五百平方米にわたるところが接収解除になっているわけです。しかも、そこに新しい都市計画の地図をつくろうとする市の努力が、こういう計画が進行し、引き込み線が入りますと、より恒久化をする可能性が非常にあるわけです。したがって住民はそういう意味では、この引き込み線の再開についてはきわめて強い反対の態度をとっているわけです。私はこの際、施設長官に一ぺんこの実情を検証していただきたい。そしてアメリカ軍側と相模補給廠のこれからの取り扱い、問題点、これはこの前も長官にお聞きしましたが、たとえばベトナムから運んでくる戦車の中の肉片の防疫処置は一体どこでやるのか、あるいはノースピアに上がってくるコンテナをそのまま国鉄の輸送計画にのせてくるとするならば、たとえば先般問題になりましたダニとか、ガとか、ああいう処置は一体どうするのか、だれが一体どこでチェックするのか、こういう問題等も実はのぼってくるわけです。そういう意味で、日米間でいま一ぺん引き込み線の再開という問題については話し合いをされる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  379. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 米側からの鉄道車両の再開についての話は、ただいま国鉄が米側との間で話している問題でございまして、私のほうは必ずしもつまびらかにいたしておらないのでございます。補給廠の任務といたしましては、各種の総合的な補給あるいは修理ということも当然任務の中に含まれておると思います。これが特に日本国民に著しい影響を与えるというようなことでございますれば、これまた考えなければならぬ問題もあるかと思いますので、この点についてはよく調べた上で十分検討してまいりたい、かように考えております。
  380. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 最後に一問だけ質問いたします。これは全く違った問題ですが、先般施設庁の情報を拝見いたしますと、小中学校に対する除湿防音の問題についていろいろテストケースで出ております。あの経過処置がこれから各小中学校適用されることになると、非常に参考になると私は考えたわけです。そこでひとつお願いといいましょうか、考え方をお聞きしたいのですが、小中学校に対してはああいう除湿防音のテストケースが行なわれましたかどうでしょうか。病院に昭和四十四年度ないしは昭和四十五年度にテストケースとして実現される気持ちはないか。もしあるとするならば、どこの地点をやられようとしておられるのか、この一点だけをお聞きして質問を終わります。
  381. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 学校について除湿工事を本年度実施いたしましたのは試験的なものでございます。この成果によりまして、よければ学校のみならず、さらに進んで他のものにも及ぼしたいというのがわれわれの考えでございます。ただ、明年度は一応学校を主体にして予算が組まれております。今後さらに拡張するかどうかということにつきましては、前向きで私ども検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  382. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 質問を終わります。
  383. 倉成正

    ○倉成主査代理 平林剛君。
  384. 平林剛

    平林分科員 私は、本日は同じく厚木のアメリカの海軍航空基地に関する問題について取り上げたいと思っております。  基本的な問題は別にいたしまして、私がお尋ねいたしたいという点は、都会地におけるところの基地、これに対して政府はもう一段と考え直さねばならぬのではないかという点であります。御承知のように大和市というのは東西が三キロ、南北が九キロメートル、総面積は二十八・六平方キロメートルの小さな都市でありますけれども、首都圏内の交通の要衝として近年目ざましく発展し、その人口もいまや十万都市になっておるわけであります。その都市のまん中にアメリカの海軍航空基地がある。その周辺における指定地域の存在、あるいは基地とアメリカ海軍の上瀬谷通信施設に隣接する地域、この基地周辺地域があるために市の総面積の三八%、約四〇%、十一平方キロメートルでありますが、これだけが基地になっておる。これでは人口が急増する場合に、これに対処する都市計画の実施ができない。都市としての発展はできない。都市の四〇%を基地にとられるということになれば発展できない。人口急増によって住宅の建設はどんどん進んでおるのでありますけれども、新しい都市計画法による措置もできなければ、区画整理事業の実施もできない。このために小学校とか中学校などの用地の計画的な確保もできない。こういう状態が大和市における基地の実情であります。この基地の存在のために航空機の響音——今度は別な角度から考えてみますと、この間も市長を中心として、われわれ地元の代議士が集まったときの市民の率直な声は、ジェット航空機の爆音というものははだで感ずるどころではない、骨身にこたえる。ジェット機の騒音はいまの騒音計では測定できないのじゃないか。これが現在の市民の悲痛な声であると私は承知しておるわけであります。このために聴力障害とか、女性は生理の不調を訴え、異常分べんあり、血圧高進等の具体的な被害が起こっております。思考力や判断力というものが欠けてきます。子供などははだに感ずるどころか骨身に感ずるという爆音によりまして、引きつけが起きる。その恐怖感は子供だけではありません。まして墜落事故の事例もございまして、その危険の中で生きておる市民、これが基地周辺の住民の状態である。都会地における基地の撤去とか移転という問題は、そういう意味では緊急の課題である。かつて内閣総理大臣は板付の基地の移転の問題をお話しになりましたが、私は都会地、しかも発展途上にあるこうした都市の基地の撤去あるいは移転ということは、板付に比べてみましてもそんなに劣りはしない、こう考えておるのでございます。この意味で、総理は板付の移転の問題についてかつてお約束したことがございますけれども、大和の場合どうなんだろうか、防衛庁長官、ひとつお考えを伺わせていただきたいと思います。
  385. 有田喜一

    有田国務大臣 わが国における米軍の基地は日本の安全のために必要なものである、こういう前提に私どもは立っておるのでございますが、基地周辺の方々が毎日騒音に悩み、あるいは事故のために非常な不安の念にかられて、非常に御迷惑を受けておることはよくわかっております。したがいまして、何とか基地周辺の方々に安心のいける方法を講じたい。ことに平林さん先ほどお話のように、都市の発展を阻害している面がたくさんございます。そこでわれわれとしてはそういうことを念頭に置いておるのでございますが、具体的な問題となってきて、たとえばいまの厚木をすぐどこかへ持っていけるかというと、そう簡単にはまいらない。そこでいま私どもとしては、その基地周辺の方々に少しでも騒音の悩みを緩和していく、あるいは少しでも民生安定のためにお役に立ちたい、こういうような気持ちで基地対策に懸命になっておるわけでございます。  大和のことにつきましても、おっしゃるとおりでございます。したがいまして、先ほど話があったように、あそこの学校なんかにおきましても防音あるいは冷房といいますか除湿工事というものを進めておるわけでございます。幸いにいたしまして比較的成績がいいということもわかりましたからひとり学校ばかりでなく、病院とかその他の方面においてもそういうことを拡充していく。また来年度の予算におきましてもいままでよりももっと新しく対象を拡大いたしまして、あるいは市役所の庁舎とか、あるいは幼稚園とか、その他そういう面にも拡大して、できるだけふだん悩んでいらっしゃる方々に対してその防止をやっていきたい、こういう気持ちでいま進んでおるということでございます。
  386. 平林剛

    平林分科員 まあ相手がアメリカでありますし、政府の態度そのものにも問題がありまして、その移転、撤去がなかなかできないということは私も百も二百も承知いたしております。しかし都市における基地の問題は、政府においても相当強くアメリカに折衝するという態度が必要である。特に、これは大和のアメリカ海軍航空基地の地図ですけれども、さっき言いましたように、四〇%が基地にとられている。それだけじゃなく、この赤いしるしはイーストキャンプですが、これだけがちょっと突き出ておる。この厚木基地の中心に離れ小島のように張り出しておる。この地図でいうと、大和の中央地区と福田地区を結ぶ幹線道路の建設もできないでいる。離れ小島のように突き出したこのイーストキャンプくらいはアメリカと何とか話ができないでしょうか。ちょっと地図をごらんください。その基地と小田急線との間にはさまれたこの周辺地域は、そのイーストキャンプの存在のために二つに分離され、さらに都市の発展に障害になっておる。せめてこのキャンプの活用を、市の都市計画、建設の長期構想で欠くことのできない重要性を持っておるのだから、これだけは何とかひとつ、とりあえずやってみたらどうだ、こういうことについてお考えを聞きたい。
  387. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 大和市の周辺の御希望としてさようなことがあることは承知いたしております。私どもこの問題について米側と過去において話し合ったこともございますが、この点につきましては、現在のところ、米側としてはこのイーストキャンプは外から見るとあまり使っていないようであるが、なお相当使っておるというようなことでございますので、いまのところこれの返還ということが実現できない実情でございます。しかしながらこの問題については、米側が使っておるという事実がございますので、そうむげにこれをどうするということはできませんが、今後また話し合いを進めてまいりたい、かように考えております。
  388. 平林剛

    平林分科員 今後話し合いを進めるというお話は承知しますけれども、アメリカは使っておるというけれども、市民はそれを一番よく知っておる。人影も少なく、ほとんど使用されていない実態を知っているから、私はこれは強力に進めてほしい。長官のお答えを伺います。
  389. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど施設長官が言いましたように、向こうは使っておると、こういうのですが、なおその使っておる程度といいますか、そういうことも十分調査いたしまして、われわれとしてはできるだけ強力に話し合いを進めていきたい、かように考えております。
  390. 平林剛

    平林分科員 ぜひ実情を調べて大臣、長官のおっしゃったように、強力な折衝を私は強く要請をしておきたいと思います。  そこで、先ほど基地につきまして政府としての立場をお話しになりまして、そのために民生安定や騒音の悩みを解決するために努力するというお話でございました。しかし地元の人々の非常な不満は、日米合同委員会で、厚木の海軍飛行場における航空機の騒音の軽減に関する規制の措置協定というのがあって、こまかいいろいろな規定があるのでありますけれども、それが一向に厳守されていないという苦情があるわけであります。たとえば日曜日は飛行時間を規制するとか時間の制限をするとか、いろいろこまかい規定があるのでありますけれども、ただアメリカのやむを得ない場合を除きと、こう書いてあるものですから、何でもみんなやむを得ないものを除き、を適用されてしまって、このときに飛行機が飛んでいるのは一体どういうことだというような市民感情がありましても、やむを得ない場合を除きということがあるために、ちっともそれが履行されていないということで、これはまたアメリカ側からいえば、実はやむを得ない事情でやっているんだという説明はあるでしょう。しかし実態はどうなのか。それはうかがい知ることはできない。そこで私は、こうした一つの協定があるのをしり抜けにして、実態はどうであるかをわれわれが把握しないでアメリカと話し合いをするわけにもいきません。そこで私はこの際、そうした措置協定の厳守のために、日本アメリカの合同監視機関を設けるというようなことをおやりになる必要があるんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  391. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいまの問題につきましては、日米間で飛行上の規制を約束いたしておる線については、われわれもしばしばこれの厳守について米側に申し入れをいたしております。米側自身もそのつど、もし問題等があり、あるいは他からそういう批判等の話がございまする節は十分調査しておるのでございまして、ただいまのところ日米合同の監視機関というようなものを設置しなければならないというほどの違反は、私どものところでは必ずしも確認いたしておりません。しかしながら、この問題については今後の問題もございますので研究いたしてみたい、かように考えております。
  392. 平林剛

    平林分科員 私は、この点は、相手が相手でありますから、なかなか困難なこともありましょうけれども、少なくとも措置協定の厳守を申し入れ、できれば日米合同監視機関というようなものをひとつつくろうではないかという提案をしてもらいたいと思うのですが、長官、お考えをお伺いいたします。
  393. 有田喜一

    有田国務大臣 この問題は、私どもにも現地の方々、また神奈川県の代議士さんもしばしば見えまして、非常に困っていらっしゃる実情はよくわかっております。そこでアメリカ側に対しましても、規制を少しやってくれ、ことに深夜間とかあるいはその他の困るような場合はぜひやめてくれということもしばしば申し出ておるわけであります。  そこで、いまの合同監視機関ということは一つの提案であろうとは思いますけれども、もう少し私のほうでも、少し駐在員でも置きましてその実情を、口だけで言うのではなくて、また陳情者の方々の言われるとおりであるかどうかということを検討しまして、その上に立って、しからばこういうようにしたいというようなことをまず検討してみたい、かように思っております。
  394. 平林剛

    平林分科員 ベトナムの和平問題がどういうふうに片づくか、われわれも十分注視をしておるわけでありますけれども、この解決がもしかりに行なわれると、ベトナムの基地におけるアメリカの飛行機がまた厚木に戻ってくる。地元の市民は、変な話ですけれども、ベトナムの戦争が起きているときは、酔っぱらいのおやじが外に出ていってくれてまあこうした問題も少ないかもしれぬけれども、ベトナムで和平が実現すると、酔っぱらいのおやじがまたうちに帰ってきてみんなが頭をいためると同じような感情でながめている。これは市民の感情であり、現実の問題でございますから、ひとついまのお話しのように実情を——これから直ちに問題になってこれは激しく起きてくる情勢にかんがみ、ぜひ実行してもらいたいということを要望しておきたいと思うのであります。  そこで私が、かりにさっき長官がお話しになったように基地の存在が防衛に役立つものであるという政府の言い分を百歩譲ってこれを認めたといたしましても、国防というものは国民全般の負担すべきものだ、なぜ基地のある地域だけがその重荷を背負わねばならぬか、なぜ基地の住民だけがその犠牲にならねばならぬか、これは沖繩の人たちでも私は同じだと思うのでございますけれども、大和市民の中における率直な声だと私は思うのであります。国は基地のある地域に対して何してくれるか、基地のある市町村自治に何をしてくれるか、ことしの予算は一体どうなっているか、こういう点では、現実の問題として大きな関心を寄せておるわけでございます。もちろん国としてはいわゆる基地交付金という制度があることは事実であります。国有提供施設等所在市町村助成交付金という、いわゆる基地交付金という制度があるわけでございますけれども、これは四十三年度ではわずか十九億円、四十二年度の十七億円に対して二億円ばかりふえたにすぎません。これもたくさんの人が陳情に来てやっとふえたというのが二億円。ことしは幾らになっておるでしょうか。大和の例を申し上げますと、こうした基地交付金はわずかに九百二十七万九千円、こういうことになっておるわけでございます。私どもがこの基地交付金の性格から見ますと、現在、いろいろ論争がありましたけれども、その対象にされるのは資産の評価額ということに大体落ちついてきておる。国全般とすれば三千五百億円あるわけでございますから、本来のたてまえからいえば、その一・四%ということを計算に入れますと五十億円なければならぬのだけれども、国の予算はそんなにつけておりません。私は、本来は交付金の総額は、そうしたものに対応する程度に国としての交付金をふやすべきではないか、こう思うのですけれども、長官いかがでしょう。
  395. 有田喜一

    有田国務大臣 私の気持ちもおっしゃるとおりのような気持ちで、いわば基地周辺の人々は日本の安全のために犠牲になられておる。そこで何とか国民全体として基地の周辺のために補う方法を講じてあげなければならぬ。それには基地対策に特に力を入れなければならぬということを強調したわけなんでございます。そこで、皆さんからいえばまだ十分じゃないということはよくわかっております。しかし、いま審議してもらう来年度の予算を見ますと、従来に比べまして三割二分程度増加もきておるし、またさっきの交付金も四十三年度は十九億、それがことしは二十六億、こういうふうに少しは上がってきておるわけです。そういうように努力いたしまして、少しでも基地の騒音に悩み、あるいは不安感にかられておるその姿を緩和といいますか、解消までいけばけっこうですが、そういう線に沿うように、この上とも一そうの努力をしていきたい、こういう考えでおるわけでございます。
  396. 平林剛

    平林分科員 大蔵省、あるいはこれは国の全般の予算を盛る者の意見も聞かなければならぬわけでありますけれども、現在の基地交付金ではとても償いきれるものではない、こういうことだけは申し上げておきたいと思うのであります。  もう一つ、それだけじゃないのです。たとえば基地におけるアメリカ駐留軍の軍人軍属に対する非課税措置による減収の国庫補てんの問題でも、やはり政府は十分な措置をとるべきだ、大和に住んでおるところのアメリカ駐留軍の軍人軍属は、その家族を入れて大体一千世帯と推定されるわけであります。これは大和の世帯の十何世帯かに一つの割合です。こういう状態でございます。市内に住んでおるところの駐留軍の軍人軍属も、一般市民と同じように道路とか下水道、じんかい処理など、すべての公共施設を利用しております。そういう意味では利便を受けておるわけであります。かりにこれらの人から徴税ができたとすれば、大和市の推定によると、年間五千万円から六千万円、戦後から今日までこれがほうっておかれたということを計算いたしますと、見積もりは十億円以上になるわけであります。この軍人軍属に対する非課税措置による減収だけではない。たとえば自動車税でもそうです。普通の乗用車が年九千円、軽自動車が三千円ということに軽減をされております。これはたいして大きな金額ではありませんけれども、こうした点においてもマイナスがあるということ。また自動車取得税でもそうです。今度は新車と中古車が、価格の百分の三を県が徴収するとかいろいろなこまかい規定がありましてできるけれども、これもできない。こういうことに対しまして、私は基地交付金その他手当の足りないところに与えて、安保条約に基づくところの協定によりまして住民税を取れないということに対してそれ相当の手当てが必要ではないか、こう思うのでございますけれども、これにつきましてはどういう措置をことしはとりますか。これは自治省のほうがあるいは具体的にお答えできるかと思うのでありますが、自治省の御見解を承ります。
  397. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  ただいま仰せのとおり、現在地方税法の臨時特例法によりまして、米国の軍人軍属並びに家族については地方税の非課税措置がとられておるわけでございます。これらの非課税部分につきましては、現在の地方交付税の制度におきましては、これを当該市町村の基準財政収入額に算入をしないということにしまして、財政収入面の減収というものは、自動的に地方交付税の措置によっていわば補てんされるというような仕組みになっておるわけでございます。  また、いまお尋ねがございました基地交付金につきましては、これも基準財政収入には算入いたしておりません。そういうことで、一般的にはそういう措置によりまして基地周辺市町村の財政措置が講ぜられておるわけでありますけれども、また一面考えます場合に、この基地周辺市町村の歳出面における特別な財政需要というものにつきましては、現在普通交付税の面におきましてはその需要額の算定がきわめて困難でございますので、現在は地方債におきまして、並びに特別交付税におきましてその措置をとっておるわけでございます。この基地対策等にとられました特別交付税の計算は、昭和四十二年度の実績を算定いたしますと、約六億円をやや上回った程度になっておる。四十三年度はまだ計算が未定でございますが、四十二年度の実績はそのくらいでございます。そのほか起債の面におきましても、四十四年度からはさらに一般単独事業等におきまして特別ワクの設定をいたしまして必要な財政措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  398. 平林剛

    平林分科員 自治省がそういう見解をとっておるから本質的な問題が解決できないんじゃないでしょうか。地方債には地方債の特別な目的なり定義があるし、それから特別交付税というものも一つの性格があるわけでしてね。それがあるからいいのだというわけにいかない。私、その点はやはり大蔵省と議論すべきところはしっかり議論してもらいたいと思うのですよ。大蔵省側の言い分をそのままうのみにするような自治省の態度では地方自治は守れませんよ。地方財政の今日の状態とこういう不合理については解決できません。私はいまのお話では満足しない。具体的に、大和市は昭和四十二年に交付分として七百六十一万円受けておりますけれども、ことしはどうなります。
  399. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 具体的に大和市について申し上げますと、大和市は地方交付税上の計算からいたしますと不交付団体でございます。通常の基準財政収入の面から申しますと、財源超過団体になっております。ただ基地関係の市町村であるという観点から、特別交付税におきましては若干の措置を講じております。昭和四十三年度につきましても、おそらくこの金額は相当額増加する見込みでございます。まだ決定が行なわれておりませんので正確な数字は申し上げかねますけれども、昨年度に比しまして相当額増加する予定でございます。
  400. 平林剛

    平林分科員 三月初めにはもう地方にあれしなければいけないじゃないですか。まだきまってないということはないですよ。何言っているんですか、あなた。三月初旬には通知することになっているんです。相当額というのは幾らです。なんでそんなわかっていることを言わないのですか。
  401. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 現在算定中でございます。近く計算が終了いたします。
  402. 平林剛

    平林分科員 相当額というのはどのくらいのつもりでいますか。
  403. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 正確な数字は承知いたしておりませんが、昨年昭和四十二年度の実績はたしか六百万円台の数字だったと思います。その倍額近い数字だと思います。
  404. 平林剛

    平林分科員 昨年度の倍額に近いものが今度はこれに充てられるという話を承知しました。しかしこれではまだ足りぬ。先ほど私言いましたように一千世帯、もしかりに徴収できる県民税、市町村税を勘案すれば、大和の例でも五千万円から六千万円でございますから、倍になったとしてもこれはまだだめです。基本的な考え方については、私きょう時間がありませんから、地方債とか特別交付税とかいろいろなことを言いましたが、やはりこの問題はこの問題として考えるべき性質のものだということを、いずれあらためて機会を見まして議論をしていきたいと思っております。  そこで、もう一つ最後にお尋ねしますけれども、こうした例は、この間の国会で新しい都市計画法が制定をされまして、基地のある市町村はこの新都市計画法と一体どういう関係を持つだろうかという点から問題が新たに出てくると思うのであります。繰り返すようでありますが、大和の総面積の四〇%が基地である。これでは新都市計画法による都市づくりということが非常に困難である。基地があるということで市街地にならず、市街地調整区域に指定されてしまう。その結果、発展が阻害されるだけでなく、現実的には公共用地の指定もできない。こういう関係をどうするかという問題がございまして、ここでも市町村は財政的ないろいろな面において負担を二重に受ける、こういうことに相なるわけであります。  これに加えまして、私はちょっと大蔵省に聞きたいのでありますが、飛行場周辺にはいま移転のあと地がたくさんあります。またこの飛行場周辺に買い上げ農地ができまして、もういま買い上げた農地あるいは移転をしたあと地などを入れますと、おおよそ四万千五百六十二坪、このごろは坪を使ってはいかぬそうですが、大体坪でいうとそれだけあるそうであります。この土地の周辺はバラ線で囲われておるわけでありまして、そこには国有地という掲示板が掲げられているわけであります。ところが、ほってあるものでありますから、カヤなどの雑草がはえるし、犯罪や非行の温床地にもなるし、火災のおそれもあるし、ごみの捨て場にもなってしまう、利用価値はどんどん下がる、国有地のために基地交付金の対象にもならぬ、したがって市町村の収入も減ずる、こういうようなことになっておるわけでありまして、こうした二重の不利益を補うために国は何をすべきか。私は国は国有地を集約整備して、国の負担で市町村に管理を委任し、その開発や維持管理に必要な費用を助成する措置を講ずべきである、こう思うのでございますけれども、国有地を管理するところの大蔵省のお考えを伺いたいと思います。
  405. 谷川寛三

    ○谷川説明員 ただいまお話しの点につきまして、私十分実情をつかんでおりませんけれども、市町村に委任いたしますかどうかは別として、とにかくあと地の利用につきまして被買収者の方々等から御要望が最近若干出てまいっておるようでございますので、普通の貸し付け料よりもずっと下げまして——普通の貸し付け料と申しますのは、国有財産の台帳価格の三%でいただいておるわけでございますが、台帳価格が、例のただいまお話しになりました買収地は時価で買収をしておりますので、非常に高くなっております。でございますからこれを適用しないで、固定資産税の課税価格の三%で貸し付けることにいたしました。これはほとんどただ同然になろうかと思いますが、そういうことで、管理の主体をどうこうという問題よりも、できるだけ安くお貸し申し上げまして、先ほど来伺っております地元の方々等のサービスの点でいろいろ寄与をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  406. 平林剛

    平林分科員 これについては大蔵省の国有財産局長、いま局長いなくなりましたけれども、防衛施設庁次長に対する通知が行きまして、使用を許可する財産の範囲であるとかあるいは使用許可の手続、相手方の選定、使用料の算定基準、使用料の決定のしかたなどございましたけれども、具体的に実施に移されておるわけですか。
  407. 谷川寛三

    ○谷川説明員 ただいま申し上げました取り扱いは、昨年五月ごろから実際にやっております。ただ申請はまだ許可になった面がないようでございますが、最近二十数件ですか申請がありまして、審査をしておるという状況でございます。
  408. 平林剛

    平林分科員 私はこの通知を大体読んでみたのでありますけれども、先ほど来私が述べてきた幾つかの問題点から考えまして、国としてできるもので、相手側があってなかなか交渉の手間どるという問題と違う。少なくともこうした国有地については国の負担で市町村に管理を委任し、そうしてその開発や維持、管理に必要な費用を助成するというような措置を講ずべきであると思うのです。確かに固定資産税課税価格の百分の三というようなことにはなっておりますけれども、本来私のいままで述べてきた趣旨から考えますと、むしろ無料でやるという程度のことができないわけはないと思う。そうした面でできることはやってやるということを私は検討すべきではないかと思うのですけれども、大蔵省としてもう一度その点を検討することを約束してもらえませんか。
  409. 谷川寛三

    ○谷川説明員 防衛庁御当局とも十分相談をいたしまして、実情に合うような検討をしてまいりたいと思っております。
  410. 平林剛

    平林分科員 これで終わります。
  411. 倉成正

    ○倉成主査代理 島本虎三君。
  412. 島本虎三

    島本分科員 長官にお伺いしたいと思います。  第二航空団千歳基地司令藤沢信雄という人が、二月二十二日午後、新聞記者会見で、次期主力戦闘機F4Eファントムについて、まだ配属はきまっていないが、ただ有力な候補地に千歳が入っていることは確かである、こういうふうにすでに断言しておるわけであります。これは国会等においても問題になったことは大臣も御承知のとおりですけれども、次期主力戦闘機のF4Eファントムの配属は千歳にもうすでにきまっておるのですか。
  413. 有田喜一

    有田国務大臣 いわゆるF4Eを実際に日本に取得するのはだいぶ先のことです。当面来るものもありますけれども、これはいろいろとライセンス国産でやる一つの試験台になるわけであります。そういうことでありまして、いまどこにかくかくのものを置くということは具体的にきまっておりません。しかし大体御承知のとおり、三方面隊がございますから、それぞれのところに全国的に配置される、こういうことが一応予想されておるわけです。
  414. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、千歳が配属される有力な候補地になっておるということは、そのとおりですか、うそですか。
  415. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたようなことでございますから、まだそれがうそかほんとうかとか、有力だなんというところまではいっておらない現状でございます。
  416. 島本虎三

    島本分科員 それを聞きたいのは、まだ来ないものに対していろいろ言っている、そのことのよしあしはもちろんありますけれども、そのことじゃないのです。私どものほうはファントムの騒音です。この騒音については、ある場合には雷鳴の数十倍ともいわれるし、またどれくらいの音なのか、これさえわからない。騒音対策の上からも十分考慮しなければならないわけです。急に持ってこられたならば困るのは日本国民ですから、こういうのは騒音公害の立場から、基地公害の立場から、これは十分検討しておかないとだめなんです。それで、ファントムF4Eの騒音について、ひとつはっきりしたデータをお示し願いたい。
  417. 有田喜一

    有田国務大臣 航空機による騒音度は、言うまでもなくエンジンの出力、あるいはエンジンの数、そのほか離着陸の速度とかあるいは上昇角度、あるいは旋回経路等の離着陸方式などによっていろいろと変わるわけでございます。そこで、ファントムF4Eといままでの主力機といわれておるF104JあるいはF105Dというものの騒音度について、実は同じ条件のもとで測定した記録はないのでございます。けれども、三者の間にそれほど大きな相違はない。たとえていうならば、F104Jをとりますと、これは場所が違いますから比較にならぬとおっしゃればそれまででございますが、これは百里の飛行場ではかったのでございますが、F104Jは、騒音が最低のときは八十八ホン、それから最高が百六ホン、平均すれば九十八ホンということになるわけでございます。F105Dを見ますと、これは横田の飛行場ではかったのでございますが、これは最低が九十六ホン、最高が百五ホン、平均すれば百一ホン、こうなるのですね。そこで、F4Eにつきましては、これまた横田ではかったのでございますが、最低が九十六ホン、最高が百七ホン、平均して百二ホン。三者のうちでは一番騒音がありますけれども、おっしゃるように、非常な大きな騒音が、いままでの104なんかに比べて比較にならぬというほどのものではない。しかし、これは条件が同一でありませんからはっきりしたことは申されませんけれども、私どもの見たところではそういう程度に考えておるわけでございます。
  418. 島本虎三

    島本分科員 ファントムF4E、これは走行距離が短い、こういわれております。短くて一番困るのは、それだけに騒音が大きいということが予想されるわけであります。当然これはF104、F105これに比べて大きいということはもうすでにわかるわけです。これに対する騒音の関係を完全にやるのでなければ、基地公害としても、また現在公害が及ぼしている悪影響、こういうようなものに対して、何も考えないで、ただ単に配置すればいいんだ、こういうような考えはもってのほかだ。私どもはこういうような点についてもっともっと配慮を促しておきたい。こういうふうに思います。  それで、大臣は、二月九日に航空自衛隊機の墜落事故に関するいろいろな対策委員会の方針を出して、航空自衛隊の全基地について、飛行コースが民家密集地の上空を通過することのないように再検討する、こういうように発表されましたが、このとおりですか。
  419. 有田喜一

    有田国務大臣 金沢のああいう不幸な事故が起きまして、そこでいわゆる進入コースといいますか、それを全国的に検討をしておるということは事実でございます。
  420. 島本虎三

    島本分科員 したがって、具体的な事実をここにまた指摘しなければなりません。北海道の千歳、あれは民間と自衛隊と共用しておるわけであります。また札幌の冬季オリンピックを前に控えて、大型飛行基地、国際航空基地としてなかなか嘱望されており、要望されておるのですが、自衛隊もそれと競合するので、なかなかこの問題の解決は困難だ、こういわれておる場所なんです。そしてあれは特に青葉中学校と末広小学校、これがちょうど飛行経路の真下にあるのです。そしてランウェイが先か学校が先か、いままでいろいろ予算づけの際に相当のもんちゃくがあった場所でありますけれども、プロペラの時代は過ぎて、もうジェット機の時代で、これはどうしても、すれすれに飛んでいく、もう移すか廃校にするか。それでなければどこかへ持っていくか、これはやむを得ないとするよりしようがないというような状態に追い詰められておるところです。そうすると、もう千歳に限ってはまっすぐそのまま市街地を飛んで入るのですから、これは全面的に検討し直さなければならない。それと同時に、前には、すぐ横のほうへ若干自衛隊の基地をずらしてもらったほうが、国際空港として両立するのだからいいというのに対しては、防衛庁のほうも反対してないが、現行のとおりということになったのです。いまや長官説明によって、もう一回十分検討し直さなければならない。それと同時にこういうような密集地帯、ことに小学校、中学校のある真上を通っていく。この上にまたファントムF4Eも来る、こういうような状態である場合には、もっとこの問題は真剣に考えてやらないととんでもないことになると思う。いままでの大臣の説明とあわせて、この青葉中学校、末広小学校の上をすれすれに飛んでいく、この現状から、移転その他について十分考えなければならないと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  421. 有田喜一

    有田国務大臣 千歳基地の滑走路は、御承知のとおり、南北に走っております。そこでこの北のほうの延長上に市街地があるわけですね。そこで南風を受けて南のほうに離陸するとか、あるいは北風に向かって南のほうから着陸するという場合には、市街地がはずれるというわけですからけっこうでございますが、そうでない場合に、実は市街地の上空を通過するということで、いま非常に悩んでおるわけでございます。そこで、いまいろいろ検討しておるのでございますけれども、この市街地上空の飛行を避けることができたらいいのですが、できない場合がある。そこで、私たちとしましては、ともかく検討は続けていくが、さしむきは飛行あるいは管制、気象等の連絡を密にして、まず安全飛行をやっていこう、こういうことで、現在、あの事故以来はそういう方策でやっておるわけであります。これはよく検討する必要があると思いますが、いまかくかくになるというところまでいっていないのであります。
  422. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいまの大臣の御説明に補足して申し上げます。  ただいまのお話の、末広小学校、青葉中学校は、騒音でいろいろ問題のありますことは承知しておるところであります。先生御案内のように、本件につきましては、過去におきまして三十四年から三十九年、この間に防音工事を実施いたしたという経緯がございます。これはその当時といたしましては、できるだけひとつ音の被害を少なくしようということでやってきたものでございます。その後、最近になって今度は——最近というとおかしいのでございますが、その後に至って移転という話が出ております。これにつきましては、いわばそういう一度防音工事を実施したものを今度は移転ということになると、経費の二重性という問題もございます。そこらの問題をどういうふうに解決するかということで検討いたしておるような次第であります。  なお、地元に一部いろいろな御意見もあるやにも聞いておりますので、それらもあわせて目下検討いたしておるということでございます。
  423. 島本虎三

    島本分科員 現に行って見たほうがいいですよ。先般私は二十二日に実は行ってきたのです。学校へ入って見てみたのです。どこが防音工事がどうなっておるのか。相当に古い建物なんです。あれで防音が十分だというなら、まさにあなた見てきたほうがいい。全くちゃちなんです。そして市のほうでは小学校の移転は議会できまって、それぞれ運動しているのだが、どうも皆さんの言うことがだめなんです。そうじゃありませんか。大臣、こういうのがあるのです。昭和四十年十二月三日、これは防衛庁内局の予算担当の鈴木参事官——いまは江藤さんになっているが、その人と教育長とわざわざ談話にして確認し合ってきているのがあるのです。それは小学校の移転のことなんですが、その移転のことは、板付の例もあるから、旧校舎を自衛隊で使用するアイデアもあるから図面をよこしてくれ、利用方法は検討いたします。金は見舞金で出す方法もあるのだ、具体的にこういって、四十年以来こういう交渉を何回続けても、皆さんのほうでてんとしてがえんじない。あげくの果てに、いまや鈴木参事官はほかへかわっておられる、こういうようなことで、ますますその不信感を——何回もなじっているじゃありませんか。その辺に、今後事故がないようにする、そう言っていますが、もうその一、二秒の間に自衛隊機が墜落しているのです。そういうような事故があるし——人命はとうといものです。ことに義務教育を実施している子供の場合では、やはり責任を持たなければいけません。そういうような関係で、いろいろ要請しているのです。これはやはり大臣、聞いてやらなければいけないことです。いままでこんなペテンみたいなことをやっていたら信用にかかわります。有田大臣、そんなことをやってはいけません。いま言っておることは双方確認していることなんです。十分相談してやってほしいと思います。よろしゅうございますか。
  424. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 なるべく早急に結論を得るように検討いたしたいと思います。
  425. 島本虎三

    島本分科員 もっとゆっくりやりたいのですが、時間のほうが惜しいのです。したがって先に進ましてもらいます。  私は、千歳にはきのう、おととい行ってまいったばかりですから、これは真新しいのです。あそこに行きましたら、やはり青葉公園という公園があるのです。あの公園の下には旧海軍が縦横無尽に防空壕を掘って、ボンベやドラムかんなどが持ち込まれていた。ドラムかんに何が入っていたのか知らぬが、それを持ち出した人がいるけれども、何本残っているかわからない。それをそのままで今度は閉鎖されてしまって、その中にどういうものが残っているか知っている人もいない。また、迷路のようなものですから、それを知っている人もいない。そして二十年以上もたった現在、火山灰ですからどんどんそれがくずれて、大穴が山にあいているのです。それは公園です。公園でありながら立ち入り禁止の立て札が立っているのです。危険個所あり、立ち入り禁止です。子供も公園に行けない。こういう公園があっていいんですか。これは沖繩以上に、まだ千歳やそこらで戦後が終わっていないのです。これはどっちが管理しているのですか。大蔵省ですか、厚生省ですか、自衛隊ですか。これはこのままにしておいてはだめです。あぶない。
  426. 谷川寛三

    ○谷川説明員 確かに北海道へ照会しましたところ、青葉公園にそういう危険な防空壕がございまして、立ち入り禁止の立て札が立っておるそうでございます。この土地はただいま私有地でございますが、二十九年の三月に北海道の営林局の用地を売却したようでございまして、そのときに防空壕もつけて売ったらしいと申しております。これは実情は調査しなければならぬわけでございますが、所管の点は、実は終戦直後、軍の施設を引き継ぎますときに、防空壕等につきましては、もとの陸海軍省が所管をして措置をするということになっておりまして、大蔵省に引き継いでおりません。それはその後陸海軍省が解体いたしまして、その仕事を厚生省が引き継いで厚生省の所管になっておりますが、よく厚生省と相談いたしまして、さっき申しましたように、どうも国有のものでもないようでもございますが、実態を調べまして善処したいと思います。
  427. 島本虎三

    島本分科員 ようでございますという、大蔵当局が、それも理財局次長がそういうような、ようでございますというのじゃ困ります。
  428. 谷川寛三

    ○谷川説明員 大蔵省が所管いたしておりませんので、厚生省の所管でございますので、かわっていま申し上げたわけでございますが、実情をよく調査いたします。
  429. 島本虎三

    島本分科員 では、いつから厚生省に移ったんですか。厚生省だってまだ知っておらぬという。厚生省の公園部長いますか。いつあなたはこれを受け取ってやったんですか。
  430. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 いまの件につきましては詳細知りませんので、調べさしていただきます。
  431. 島本虎三

    島本分科員 大蔵省も知らない。そっも知らない。そっちに移ったというのに厚生省は知らない。やっているのは自衛隊じゃないですか。長官どうなんですか。
  432. 有田喜一

    有田国務大臣 それはわがほうには関係ないようでございます。
  433. 島本虎三

    島本分科員 関係あるのです。もともと戦後処理以前は旧海軍、海軍のほうでやっていて、それが今度戦後になってから、これは管理は大蔵省に移っていたと思っていたんです。公園ですから厚生省のほうに移ったかもしれないけれども、その辺は私は大蔵省だと思っていました。問題は、どっちでもいいから早くこれのケリをつけなければだめだということです。穴があいて立ち入り禁止、これをそのままにして管理が不明だという。この管理を国がやっているなんというばかな話がありますか。
  434. 谷川寛三

    ○谷川説明員 先ほど申しましたように、この土地が防空壕つきで売られたようでもございますし、その実態をまずよく調べます。国有地か私有地かを調べます。それから所管は、先ほど申しましたように終戦後国有財産として引き継ぎますときに整理をいたしました。そうして防空壕等の臨時仮設物で価値のないものにつきましては、陸海軍省に残す、そうして陸海軍省がなくなりましてから、厚生省の設置法に、陸海軍でそれぞれ課が違いますが、陸軍省は何課、海軍省は何課というふうに、その残務の整理に関することについて援護局で所管をすることに明記しておりますが、よく実情を調べまして、厚生省とも相談いたしまして善処いたしますということを申し上げておる次第です。
  435. 有田喜一

    有田国務大臣 いずれにしましても、こういうような昔の防空壕で危険が伴うようなものは、これは何とか早く整理して善処しなければなりません。これは私のほうの所管でないですけれども、国務大臣として関係省に言いまして、早くこういうものを避ける、避けるといいますか、なくすように善処したい、かように考えております。
  436. 島本虎三

    島本分科員 前の園田直氏が厚生大臣のころに、やはりこれが問題になっておる。それを知らないなんということはどうも私としては聞きとれませんので、これは委員長留保さしてもらいまして、次に移らせてもらいます。  これは今回北海道の余市に魚雷艇基地が設置されるとか何とかいろいろなうわさがあるわけでございまして、用地の買収それから移転補償、配置に要する魚雷艇、こういうようなものについても、もうすでに計画があるやに聞いておるわけであります。しかし、現地ではこれが漁業基地であり、小樽国際貿易港を控えてすぐその隣でございますので、いろいろな意味でこれは話題を生んでおるわけです。三月の九日には、全道的な反対運動が展開されようとしている最中であります。こんなことをしていたずらに騒ぎを起こすようなことはやめてもらったほうがいいはずなんですが、一体こういうような計画は実際あるのですか。
  437. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 御指摘の余市は魚雷艇基地としての候補地の一つでございます。三次防という計画がありますことは御承知かと思いますけれども、三次防でわが国の周辺海域の防備力を強化したいというふうな計画を持っておりますが、その一環としまして、北海道の西方面の海岸に魚雷艇の基地を設けたいというふうな計画を持っております。その候補地の一つとして余市を考えておる、こういうことでございます。
  438. 島本虎三

    島本分科員 魚雷艇は何のために必要になるのですか。
  439. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 海上の哨戒がおもでございます。
  440. 島本虎三

    島本分科員 こつ然として海上の哨戒が必要になったんですか。いままでは何でもなかったんですか。
  441. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 先ほども申し上げましたように、三次防で計画をしておりますわれわれの防衛計画は、逐次国力、国情に応じてふやしてまいりたいと思っておりますが、その全体の一環としまして海岸の防備力もふやしていきたいという考えを持っておりますが、それを三次防で考えたわけでございますが、その一環として余市方面も候補地の一つとして考えている、こういう事情でございます。
  442. 島本虎三

    島本分科員 三矢作戦によるところの仮想敵国、これに対する一つの防衛手段ですか。
  443. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 わが国は仮想敵国というものを持っておりません。もっぱら自衛でございます。自衛のための防備力を強化したいということでございます。
  444. 島本虎三

    島本分科員 すでに、四方海に囲まれていま侵略を受けるようなそういうな状態もないし心配もないと、前の幹事長だった福田現大蔵大臣ははっきり言明したところです。それからもう半年もたっている。それなのに魚雷艇をやらなければならないような緊迫した情勢になったということは常識上考えられない。何のために必要なのか。漁船の遭難救助をするのに魚雷艇が必要なんですか。何のために必要になったのですか。
  445. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 先ほどから申し上げておりますように、わが国の自衛のためにいろいろな手段が必要かと思います。その中の一つとして、海岸の防備力も必要かとわれわれは考えます。その一環として余市の方面も考えている、こういうことでございます。
  446. 島本虎三

    島本分科員 のれんに腕押しというのはこのことだ。あなたは心配があるからだと言うけれども、片や心配がないと言う。ましていままで何にもない。ただ問題になったのは、いわゆる三矢作戦による仮想敵国がそうだから、上陸用舟艇並びに魚雷艇をひっさげていくというのはつい一年ほど前に聞いたことがある論文なんです。それと同じようなことをいまやっているから、何の危険があるかと言っているのです。何もないのです。何もないのにそんなことをやって、もうすでにサントリーウイスキーが四十三年の十一月に小樽港から船積みされて対岸に行っている。それと同時に、ニッカウイスキーも四十二年小樽港から船積みして出ていっている。そうして対岸貿易上ほんとうに重要な国際貿易港が小樽なんで、すぐそばにある。ソ連の副領事も、魚雷艇基地づくり、これは内政上の問題だからあえて意見はありません、しかし是か否かはみずから判断すべきでしょうと、なかなか意味のあることを言っているのです。何にもないのにこんなものを持ってきて、そうして国際貿易港の伸展を阻害するようなことになったらどうしますか。余分なことをせぬでもいいです。これだけ社会保障のほうへ回してごらんなさい、どれほど喜ぶかわからぬ。大臣、こういうようなむだなことはこの際しないとかなんとかと言えませんか。
  447. 有田喜一

    有田国務大臣 立場があなたとは違うものでございますが、私どもは、日本防衛力を国力に応じて整備していきたい。そこで、先ほど政府委員が申しましたように、第三次防計画におきましては、わが国の海岸周辺をもう少ししっかりやってくれ、こういうことで、北海道の西海岸における海上防備体制をもう少し整備したい、しかも海上救難にも使用いたしたい、こういうことから一応余市を候補地として考えておる、こういうことでございます。
  448. 島本虎三

    島本分科員 海上救難は必要ございません。小樽に海上保安庁の第一管区本部があるのです。ここへもうちゃんとそういう準備をしてあるのです。いままで手不足だったということはないのに、おせっかいです。そういうようなことはやる必要はないのですから、これは考えないといけません。どうも私納得できない。  それで、時間ももうあと三分ぐらいしかないので残念ですけれども、大急ぎで聞きますよ、これも大事なことだから。  米軍基地返還はいろいろな問題をはらんでおりますけれども、返還してもよろしいという基地がありましたが、その一つに、千歳の国立公園の支笏湖の水上訓練場の一部、これについてはよろしいということがあったようです。承りますと、米軍が再び、返還は誤りであって、避暑地として恒久的に使用させてもらったほうがいい、またそういうようなことを言っているように聞きました。これは困ったことだと思ったら、第二航空団のほうで着水訓練場にしたい、こういうようなことを希望しているかのように承りました。陸上自衛隊のほうではレンジャー部隊の基地にしたい、こういうように言っているそうであります。あそこは国立公園ですよ、国立公園であって、返還の発表になったあとは千歳市でも観光、保健、レクリエーションの施設をそこへつくって、青少年のキャンプ村、こういうようなものも開設して、そして、これをやっていきたいのだ、これまた陳情を国にいろいろしているのです。厚生省にもしているでしょう。こういうような中に、またそれを返さないようなことをするのは、これはいけません。これは町村知事、自民党の知事ですよ、この人もやはり恒久的な自然保護の立場から、支笏湖は保持したいと考えていると談を発表している。こういうような状態ですから、ひとつ強力にこれを返還させてやって、千歳市青少年保護のレクリエーションの中心地にしてやるように、これはあなた努力願えると思うのですが、大臣、最後ですから、よろしゅうございますと一言言ってください。
  449. 有田喜一

    有田国務大臣 支笏湖の問題は、昨年の十月二十三日でございましたか、日米協議会におきましても返還の対象にしたわけでございまして、いま合同委員会におきまして、これは間違いなく日本には返還する、ここまでははっきり言える。
  450. 島本虎三

    島本分科員 その際には必ず千歳市に返してやるように強力に、自衛隊のああいうようなちょっかいをかけるようなことのないように十分注意してやっていただきたい。  最後に、これは大臣に聞いておきたいのですが、陸上自衛隊の北部方面総監部の総監の着任のあいさつが新聞の記者会見に出ました。それによると、国内治安、抑圧する特殊訓練を施す部隊を今度つくり上げたい、こういうようにはっきり言っているわけであります。これは自衛隊法の何条による訓練になるのですか。——ちょっと時間をもう一分まけてください。これもひとつ承りたい。そんなのあるんですか。
  451. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 北部方面総監がどういうことを言いましたか私つまびらかにしておりませんが、先生のおことばをおかりしますと、治安訓練のため特殊訓練とおっしゃいましたか、特殊部隊とおっしゃいましたか、(島本分科員「特殊訓練をする部隊をつくる」と呼ぶ)特殊訓練をするための特殊の部隊をつくるということでございましたら、自衛隊にはそういう事実はございません。一般に、御承知のように自衛隊は主たる任務として直接侵略に対処する任務を持っておりますが、同時に従たる任務として治安行動の任務を持っておりますが、特殊な部隊をそのためにつくるということは考えておりません。
  452. 島本虎三

    島本分科員 こういうようなことを放言されたらやはり困るのです。これでも地域のほうではけんけんごうごうたる批判があるのです。こういうようなことを言ってはやはりいけません。あげくの果てに、いままで十数年間も続けてきた札幌市の世界的に有名な雪祭り、これも自衛隊がいままで協力して、築城訓練か何かの名においてこれをやって、あれはすでに文化的な施設として、自衛隊これほどやるならばと見直されている行事、こういうようなものをやめちまえと言っているのです。こういうようなのこそやったらいいんですよ。そうしてよけいなことはしないほうがいいんですよ。(「雪だるまつくるのはいい」と呼ぶ者あり)雪だるまぐらいつくっていいんですよ。雪祭りには協力する、これは持続しておいてもらいたい、これを申し上げておきます。最後にこのことをお伺いしておいてやめたいと思います。
  453. 有田喜一

    有田国務大臣 もちろんわが自衛隊日本の防衛に当たることが第一の任務になっております。しかしいまの雪祭りのような問題にもわれわれも協力しておるわけですが、本年も御承知のとおりちゃんと陸上自衛隊が協力して盛大に雪祭りが行なわれたことは御承知のとおりと思います。この問題は続けてやります。
  454. 島本虎三

    島本分科員 終わります。
  455. 倉成正

    ○倉成主査代理 大柴滋夫君。
  456. 大柴滋夫

    大柴分科員 茨城県にあるアメリカ軍の射爆場が新島に移転をされるといううわさを聞いておりますので、そのことについて四点ばかり御質問をしたいと思います。  運輸省の航空局の方おられますね。  二月十五日のある新聞によれば、こういう記事が書いてあるわけであります。「羽田空港や成田空港へはいる航空機が混雑した場合、着陸指令がでるまで旋回して待機するための“空の待合室”の位置が、それぞれ新島の射爆場の危険区域の上空にあたるという。」「安全確保のためには“待合室”を他の場所に求めることはできないとし、このため新島射爆場が実現すると、横田基地から飛んできて、急上昇、急降下、反転などをくり返す米軍機と民間機がこの“待合室”付近で衝突するなどの事故をおこす恐れが強いとしている。」それからさらに進めて「運輸省が民間機の安全上、同地域では飛行高度千三百メートルぐらいから六、七千メートルまでの間の空間が必要だとしているのに対し、米軍計画も高度百六十メートルぐらいから、同様、六、七千メートルまでの間を予定している」「運輸省としては、高度ばかりでなく、飛行の安全を確保するには1“空の待合室”への民間機の進入経路にひっかからないよう、射爆場の予定地をずらすこと、2そのうえで、米軍機の航行を日本側の管制下に置くこと、などを条件としている」、こういうように書いてありますけれども、大体いままで私が読んだ運輸省側の見解並びに防衛施設庁に出したこの条件というものは真実なものでありますか。
  457. 梶田久春

    ○梶田説明員 お答え申し上げます。  新島に射爆場を設置するという問題に関しまして、運輸省といたしましては、当地域がちょうど羽田へ出入港いたします航空機の航空路の集中圏になっておること、また同空港への待機空域になっておること、さらには将来成田に新空港ができました場合における待機空域との関係を考慮いたしまして、当該新島に射爆場を設置するについては種々技術上検討を要する問題があるということで、現在防衛施設庁と技術上の問題点につきまして種々調整をはかっておるところでございます。
  458. 大柴滋夫

    大柴分科員 それをもう少し具体的に願いたいのです。あなたのほうでは三つぐらいの条件を出しているわけです。一つは高度、それからもう一つはさっき言ったように射爆場の予定地をずらせ、それからもう一つは米軍機の航行を日本側の管制下に置くこと、こういう条件を提示しているようでありますけれども、これは提示しているのですか、いないのでありますか。
  459. 梶田久春

    ○梶田説明員 私どものほうからは、技術上の問題点について、運輸省としてこの経路の条件ということで防衛施設庁に対しましては条件を提示いたしております。その中には高度制限、さらにできれば米軍が使用いたします空域の縮小、さらには訓練の時間の制限、こういった問題につきまして条件を提示いたしております。
  460. 大柴滋夫

    大柴分科員 時間がないので、その条件というのを、恐縮ですが、資料として私の手元へ後日でも出していただきたいと思います。  そこで運輸省の方にお尋ねしますが、その条件というのは譲れないものでありますか。あるいは先ほど言ったような国の必要とか防衛庁施設上必要だというのであれば、伸縮自在のものなんですか。   〔倉成主査代理退席、楢崎主査代理着席〕
  461. 梶田久春

    ○梶田説明員 私どものほうで技術上の問題点として出しました条件というものは、航空交通の面からいたしまして、その条件によって調整が可能なものであれば、当該航空交通に支障はないというものでございます。
  462. 大柴滋夫

    大柴分科員 別に私どもは反対の立場からあえて声を大にするわけでもないのでありますけれども、これから羽田並びに成田というような、たいへんな飛行機の数は、ふえることはあっても減ることはないであろうと思うのです。そうすると、運輸省当局としては、そういう重要な場所にそういう危険なものが出るということは、概括的にどういうお考えを持っておりますか。
  463. 梶田久春

    ○梶田説明員 運輸省といたしましては、御承知のように、大島上空は航空交通の非常にふくそういたしますところでございますので、できればそういった航空路、さらには待機空域をはずれたところでやっていただきたい、かような考えを持っておりますが、かりに射爆場を設置するにいたしましても、航空交通の安全の観点からいたします調整が可能ならばという考えでおります。
  464. 大柴滋夫

    大柴分科員 立場上、あなたそう答えるのでありましょうけれども、いずれにしても、その出した条件というものを私のほうに見せていただきたいのであります。  それから次に、水産庁関係の方にお尋ねをいたしますが、御存じのとおり、新島付近はわが国の三大漁場の一つであります。たいへんに魚のとれるところでありまして、あの付近に魚をとりにくる人はみんな反対をいたしているわけであります。昨年でありますか、農林大臣の西村さんのところにおたずねした際、農林省としては反対なんだ、こういうことを言っておられましたけれども、この反対の漁民というものを何か説得などをいたしておりますか。
  465. 竹原幸吉

    ○竹原説明員 ただいま先生の言われましたように、新島周辺の海域は日本でも有数な重要な漁場の一つであります。太平洋沿岸のほとんど各都県から漁船が多数出漁しております。カツオとかアジ、サバとかいったような漁業も盛んに営んでおります。よほど重要な水域であります。したがいまして、各都県の漁業者も新島に射爆場が設置されることに強く反対しておる現況でございます。水産庁といたしましては、従来から申し上げておるわけでございますけれども、そういったような観点からいたしまして、水産業の立場から見ますと適当なところではないというふうに考えておるわけであります。  さらに、水産庁は一応漁民サイドの立場に立っておるものでございまして、したがいまして、水産庁が省接漁民に説得いたすということはただいま考えておりません。
  466. 大柴滋夫

    大柴分科員 だれか自治省の関係の方おられますか。——御存じのとおり、新島射爆場移転ということについては、第一に、新島村会が反対をいたしております。それから伊豆七島の町村会がこぞって反対をしているわけであります。これに加えて、漁業の関係もありますけれども、静岡、千葉、東京あたりの知事も反対をいたしております。こういうように、賛成のところがほとんどなくて、全部反対をしておる。しかも先ほど水産庁の方がおっしゃったように、漁民を説得する任に水産庁は当たるつもりはない。こういうような場合に、地方自治を守るというような立場から、自治省としてはこの時点において、これだけの反対があるのに、やはりわれわれも反対しようという立場をおとりになるのか、あるいは政府の言うことであるからしようがないじゃないかという立場をとっておるのか、どっちでありますか。
  467. 森清

    ○森説明員 この問題は、実は地方自治という観点からどうこうということで自治省という政府の機関が判断すべき問題ではなくて、あくまで防衛庁なり水産庁なり、あるいは地元のそれぞれの関係の方々で御判断なさる問題で、政府機関としての自治省がそれに対して判断すべき問題ではないと思います。
  468. 大柴滋夫

    大柴分科員 それに関係県市町村というものは全部反対をしているわけでしょう。それをあなたのほうでは、それは防衛庁がやれ、施設庁がやれというようなことになれば地方自治を守る一番のあなたの省としては少し他人まかせじゃないですか。
  469. 森清

    ○森説明員 地方自治行政の運営、仕組み等については、政府機関として責任を持っておりますが、その行政の具体の内容になりますと、それぞれその行政については関係各省で責任を持っておるわけですから、関係各省において御判断なさるべきことだと考えております。
  470. 大柴滋夫

    大柴分科員 厚生省の公園部長の方がおられるようですが、ここは御存じのとおり伊豆の国立公園であります。昨年私どもが陳情にまいった際、園田厚生大臣は、反対なんだ、こういうような立場を持っておられましたが、この国立公園の中にこういうようなものを持ち込まれることについて、厚生省の立場というのはこのごろどうでありますか。
  471. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 新島は、ただいま御指摘のように富士、箱根、伊豆国立公園といたしまして三十九年に格上げになったところでございまして、非常に景色のいいところでございます。最近ここを利用する方も年々ふえてまいりまして、相当数の利用者がいるわけでございます。そういう面からいたしまして、そこに射爆場をつくるということは、これは国立公園の目的と全く正反対のものでございますので、国立公園行政を担当する者としては反対の立場をとっております。ただこれは国立公園だけが唯一最高の行政ではございませんので、どうしてもこういう射爆場が日本のどこかに必要であるという前提に立つならば、はたしてそこしか候補地がないのであろうか、あるいは射爆場をつくるといたしましても、どういう規模なり、あるいは弾丸がどの辺に落ち、あるいは騒音がどの程度あるか、自然の保護並びに利用者に与える影響がどの程度であるかということを十分にお聞きした上で、慎重な態度でこの問題は検討しなければならない、そういうふうに考えております。
  472. 大柴滋夫

    大柴分科員 防衛施設庁長官にお尋ねをいたしますが、いま聞いただけで、自治省のお役人さんを除いては全部賛成の立場になっていないわけですよ。第一、羽田並びに成田から飛行機が飛ぶ、あるるは魚がとれなくなる、あるいはまわりが全部反対する、あるいは国立公園がある、こういうところへ持っていって賛成できる自信があなたにございますか。
  473. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 新島に水戸射爆場の移転をしようということは昭和四十一年六月に松野・プレストン共同声明というものがございまして、自来そういう問題になっているわけでございます。ここに至るまでには水戸射爆場が、近隣に原子力施設等があるということも問題でございまして、地元としては返上したい、あるいは国会等におきましても、そういうような委員会における決議もございました。しかしながら水戸射爆場は、御承知のとおり在日米軍の空軍におきまして射爆訓練をするところでございます。これを提供するということは、日本の安全保障のために米軍にいてもらう限りはやはりどこかにそういうものを提供するということを考えなければならないという前提に立っておるわけでございます。したがいまして、これをどういうふうに移転するかということの探求をいろいろした結果、四十一年に各地方をいろいろ研究し尽くしたあげく新島しかないというようなことで、そういう結論に達したというふうに私ども伺っておりますし、そういう経過でございます。したがいまして、ただいま関係各省からいろいろ御意見もございましたが、政府におきましても、そういったようなことを四十一年以来たびたび協議もいたしまして、地元等につきましては、今後地元等の反対を押し切って強行するなんという考えはございませんが、御理解を得ればここへ移転したい。また関係各省との問題につきましては御納得のいくように調整をいたしたい。目下この調整を進めておるという段階でございます。  今後の見通しについては、きわめて困難な条件を多々かかえておるということは十分承知いたしておりますが、われわれとしては最善の努力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  474. 大柴滋夫

    大柴分科員 これは長官、何年か前、八丈島へロラン基地を設けたいということがありまして、質問をしたらいまのようなお答えだったわけです。しかし、八丈の条件がそろわぬために結局どこかへ持っていかれたわけで、だから関係者としては、あなたの説明は、あなたの立場としてよくわかりますけれども、ほかへ持っていくということは、これだけ反対が多ければ、お考えになるほうが賢明だと思います。  もう一つお尋ねしますが、御存じのとおり、昭和三十五年にこれはミサイルの試射場になりまして、たいへんな騒動があったわけであります。あの際、施設庁としては賛成の村長なり賛成の誘致連盟の人なりに、もうこれ以上基地をエスカレートはしませんという約束をしているわけです。その約束をあなたたちのほうが破ったために、たいへん変なことばでありますが、政府なり防衛施設庁をうらんでいる。あなたは、そのエスカレートをもういたしませんという約束を知っておりますか。
  475. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 当時の防衛庁長官と村長さんとの間に文書が取りかわされているということは承知いたしております。したがいまして、今回射爆場の候補地となることにつきましても、もちろんこういう話し合いを前提として、地元と十分な話し合いの上で実現してまいりたいというふうに考えております。
  476. 大柴滋夫

    大柴分科員 これはたいへん政府としては、踏んだりけったりだろうと思うのですよ。もういろいろなことはしないからこれだけは置いてくださいといって、島を二つに割って賛成者をつくったわけです。ところが、今度はこの賛成者に射爆場だといって、賛成者というのは全くどうにもならぬ立場になるだろうと思うのです。そういう二枚舌を政府はお使いにならないように御注意願いたいと思います。  それから防衛庁長官に要請をいたしておきますが、おそらく新島というようなところは人も住んでおらないから、茨城から持っていくことについては損害はないだろう、こういう考えで茨城から移転をするんだろうと思いますけれども、これは、私は、政治家としてはお考えを願いたいのであります。というのは、新島というようなところは、何といっても貧しい村であります。四千の人口が住んでいる貧しい村へ、さらに何か気違い病院のようなものを持ち込むことであります。だから、条件の悪いところはますます悪くなっていくわけです。こういうことについては、もしあなたが政治というものをお考えになるんなら、——それはアメリカから来る、いろいろ上からの圧力もありましょうけれども、よけいそういう貧しい村を変なぐあいにするだろうと思うのです。たとえば、あの村では、あのミサイル闘争以来——たいへんな親族縁者がいるのでありますが、二つに分かれまして、賛成派のほうへ行ってもものを買わない、反対派のほうは賛成派のほうへ行っては買わないというような、たいへんな村八分の状態であります。そういう状態が曲がりなりにも一本になって、今度のこの射爆場は反対しようというようにものをきめたところへ、またあなたのほうがよけいなちょっかいを出せば、これは建設業者もいるし、いろいろいるから、するだろうと思いますが、いずれにせよ、御注意を申し上げておきますが、ひとりこの新島の村民にたいへんな不幸を与えるだけでなく、これはたいへんな反対運動の基盤になるだろうと思う。だから、どうか善処を願いたいと同時に、若干王子野戦病院のことをお尋ねしておきます。  何か多摩弾薬庫あるいは横田あるいは立川等に、王子野戦病院が移転をするというようなことが書かれてありますが、施設庁のほうではもうどこへ移転をするかというような態度をおきめになりましたか。
  477. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほどの新島の話ですが、これは実は頭を悩ましておる一つなんですが、御承知のとおり水戸の射爆場、これはなかなか長い間の懸案でございまして、何とか水戸を離して、その移転先を新島ということに一応きめて、そして了解を得つつあるわけでございます。各省とも関連が、先ほど御指摘のように相当あります。そこで、いま政府といたしましては、基地問題閣僚協議会というものがありますが、その下部機構として幹事会がありまして、運輸省の航空の問題、また漁場の問題、また国立公園の問題、こういうことについて目下政府部内において調整中であります。しかも、地元は御指摘のように、なお反対がございます。しかし、私は無理押しにそういうことをやろうとは思っておりませんけれども、少なくともこれで政府部内は調整を遂げて、そして地元に誠意を持って当たれば何とかなるんではないかという一るの望みを持ってやっておるわけであります。しかしその最後の、いろいろの手を打って、どうしてもいかなければ、これは考え直さなければなりませんけれども、しかし水戸射爆場というものを、あれだけ約二十年近く問題になっておって、これをそのまま放任しておくわけにもいかぬ。そういうことで、いま鋭意努力中というところであります。これはやはり御承知のとおり、私どもとしては、日米安保条約によりまして、(大柴分科員「それはわかっていますよ」と呼ぶ)あれがあるものですから……。
  478. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 答弁を簡単にしてください。
  479. 有田喜一

    有田国務大臣 これは捨てるわけにはいかない。  そこでもう一つの問題である王子病院の問題、これは実は王子病院は、御承知のとおり、ことに町のまん中にありまして、何とかこれを移転してくれという声が非常に強かったわけであります。そこで私どもとしては、何とかほかに移転させたいと思って、実は米軍の基地のうちということまでは私は言うておるのですが、そこで目下話し合いをしておる最中でございます。いまそれを具体的に、その場所はどこだということを発表せいということで、けさほどもございましたけれども、いままでの経験によりますと、移転先を、内容をまとめずして移転するということだけきめましたら、たいへんな問題を起こしがちになりますので、もう少しいろいろな話し合いをしてそして移転先が大体見通しがついたならば、そこできっちりと、かくかくだ、こうしたいと思いますが、これも王子の問題を考えたときに、このまま放任するわけにはいかないというので、微力ながらも大いにいま努力をしておる。こういう状態でございます。
  480. 大柴滋夫

    大柴分科員 先ほどの、大臣せっかくお答えですけれども、要するに新島の村会は反対を決議をして、その強弱の度合いはありましょうとも、現役の村長も反対をしておる。こういう限りは、工事の着工その他というものはないわけですか。どうですか。
  481. 有田喜一

    有田国務大臣 私のほうとしては、やはりそういう施設をやるにつきましては、地元住民の理解の上に立ってやらないと——無理押しにやるというわけにはいかない。そういうことでは、基地が存立しない、かように思いまして、新島の問題につきましても、極力地元の理解が得られるように努力をしていきたい、かように考えております。
  482. 大柴滋夫

    大柴分科員 その地元住民の理解ということも、はなはだ抽象的なことばでありまして、村会が反対を決議をしている限りはやらない、こういうふうに判断してよろしいか。
  483. 有田喜一

    有田国務大臣 いまのところでは、村会が反対されておるようでございますが、いままでいろいろ私も経験がありますが、いろいろと誠意をもって話をしていけば、その間におのずから通ずるところがありまして、そして話ができる、また理解が得られるときが来るのじゃないか、かように考えて、進んでおるわけであります。
  484. 大柴滋夫

    大柴分科員 先ほどの王子野戦病院でありますが、何か十億円の予算が計上してある。この内訳は、どういうふうに使うものですか。
  485. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 十億円と申しますのは、これは移転の工事をいたすのを主体にいたしております。現在ありまする王子病院を移設するに要しますところの、病棟その他の建物の工事並びに設計費、これで明年度において十億円計上いたしております。しかしながら、これは十億円をもってそれで完了するというふうには考えておりません。これは全体計画の一部としての十億円、こういう考え方であります。
  486. 大柴滋夫

    大柴分科員 変なことでありますが、たとえば多摩なら多摩へ移転をするとするときに、その地元民を説得する説得費というものもありますか。
  487. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 場所につきましては、まだ決定いたしておりませんので、どこということは申し上げかねますが、この費用といたしましては、一応設計費並びに工事費でございます。その他の費用を、かりに対策等が必要があれば、これは別途に考える次第であります。
  488. 大柴滋夫

    大柴分科員 時間がありませんから、これで譲りますけれども、いずれにしても、この新島のこれだけ大きな反対というものを押し切ってやるということには、たいへん私は無理があるだろうと思うのです。だから、ミサイルのときでもあれだけの騒動が起き、あれだけの事件が起きたわけでありますから、どうかひとつ慎重に対処して、われわれから言うならば、できるならばほかのところへ持っていっていただきたい、こういうようなことをひとつ島民を代表して要請をしておきます。  これで終わります。
  489. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほども言いましたように、決して無理押しをやってやろうというようなことは考えておりません。あくまで理解と納得の上に立ってやりたい、こういう考えでおりますから、その点だけは御了承願います。
  490. 大柴滋夫

    大柴分科員 私と長官とはここでスムーズに話をしておりますけれども、これには血の雨が降ったり、ろくなことがないのでありますから、十分ひとつ御注意を願います。
  491. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 華山親義君。
  492. 華山親義

    華山分科員 最近、日本アメリカの飛行機がこもごも事故を起こしておりまして、飛行場の付近、そういうところに不安を起こしておりますけれども、飛行場の付近というものはどうしてもそういう危険に脅かされることは当然でありまして、私ども、飛行場というものがどこにどういうふうになるのかということについては関心を持たざるを得ないわけでございます。  伺いますけれども、今度の予算日本及びアメリカの飛行場についての予算、それを整備するとか、移すとか、新しくつくるとか、そういうふうなための管理費以外の飛行場に関する予算を、総額だけでよろしゅうございますから伺っておきたいと思います。
  493. 佐々木達夫

    ○佐々木(達)政府委員 昭和四十四年度における自衛隊の航空施設整備に要する経費は、四十三年度の二十六億六千百万円に対しまして十五億五千五百万円という数字になっております。
  494. 華山親義

    華山分科員 自衛隊のほうをおっしゃいましたので自衛隊について伺いますが、その中でどういうものがおもなるものになっておりますか。
  495. 佐々木達夫

    ○佐々木(達)政府委員 いまの十五億五千五百万円の内訳は、陸上自衛隊の飛行場整備費が約二億八千七百万円、それから海上自衛隊の飛行場整備費が四億五千四百万円、それから航空自衛隊施設整備費が八億一千三百万円でございます。
  496. 華山親義

    華山分科員 時間が長くなりますから、その内容はまたあとで伺う時期があると思いますが、その中に、陸上自衛隊だったと思いますけれども、山形の東根に関する経費がありますか。
  497. 佐々木達夫

    ○佐々木(達)政府委員 山形の神町のことでございますか。——神町の経費については四十四年度の予算にはございません。四十三年度の予算に若干計上されております。
  498. 華山親義

    華山分科員 そうすると、もうすでに工事は終わったのでありますか。
  499. 佐々木達夫

    ○佐々木(達)政府委員 神町関係につきましては、隊庁舎の関係、それから誘導路の舗装、それからエプロンの舗装、格納庫、ベースオペレーション等の経費につきまして、予算金額は一億三千八百万円でございますが、示達額は一億三千三百万円という数字になっております。
  500. 華山親義

    華山分科員 四十三年ですか。
  501. 佐々木達夫

    ○佐々木(達)政府委員 四十三年でございます。
  502. 華山親義

    華山分科員 四十三年の予算を組む際には、何かあそこは県で管理する飛行場でございますけれども、県との話はついたのでございますか。
  503. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 この神町の飛行場につきましては、これは従来陸上自衛隊の神町部隊訓練所だったわけでありまして、それを県の民間空港のほうに移管する場合に協定を結びまして、それで将来自衛隊が飛行場として共用する際には十分県も協力するという覚え書きがありまして、それに基づいて県と話し合いまして四十三年度の工事を実施いたしたのであります。
  504. 華山親義

    華山分科員 県との協議が整わない前に予算ができたわけでありますね。県との協議が整ったのは去年の秋でしょう。その前にもう予算をつくってしまったのですか。
  505. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 予算はもちろん四十三年度の予算で計上いたしたわけでございまして、その後実際に工事をいたします場合に地元のほうと話をいたしてまいったのでございますが、そのもとになりますものはすでに三十九年に覚え書きを結んでおります。
  506. 華山親義

    華山分科員 それで山形県との間に何かこういう飛行機を置くとかなんとかいうことについて話し合いがついたのですか。ただ無条件になったのですか。
  507. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 ここには飛行機を大体八機置く予定になっております。そういう話し合いは県と十分いたしたことになっております。
  508. 華山親義

    華山分科員 種類は何でございますか。
  509. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 固定した飛行機が五機とヘリコプター三機であります。
  510. 華山親義

    華山分科員 非常に残念でございますけれども、そういうことで県との協定がついたということであれば、私、遺憾ながらここで何とも申しようがない。ただ御承知のとおり、あそこは安全性からいいますと、もう人家のすぐそばなんですね。人家のすぐそばで、そして二つの市に沿うて飛行場があるわけです。その二つの市には東根という温泉場と天童という温泉場がある。ともに人口は五、六万の市です。私はあそこで事故を起こされてはたいへんだと思うのですよ。それでいまおっしゃったように、飛行機についてはもう県のほうと話し合いが済んだのだということであれば、私は残念ですけれども、それをどうこうしろと言うわけにはいかないかもしれませんが、将来それを足場にしてほかの飛行機を持っていったり何かするようなことはあるのですか。
  511. 有田喜一

    有田国務大臣 華山さんも御承知のとおり、ここは陸上自衛隊の航空基地であります。したがいまして、先ほど言いましたように、連絡機とかヘリコプターというようなものでありまして、こういう種類のものは将来苦干ふえることが予想されますけれども、ここに戦闘機を持ってくるとかそういうようなことはありません。ほかの種類のものはいまのところでは考えておりません。
  512. 華山親義

    華山分科員 大きい輸送機も困りますね。それでよろしゅうございますか。
  513. 有田喜一

    有田国務大臣 県との話し合いは、あそこは御承知のとおり民間空港として、その方面に支障のない限りということで話し合いをしたわけでございます。そういうことで了解を得ておりまして、これが航空自衛隊の基地とかなんとかいうことになると御心配のようなことになるかもしれませんけれども、先ほど申しましたような陸上自衛隊航空機が行くわけでございますから、それほどおそろしいものではないということを御了承願います。
  514. 華山親義

    華山分科員 私がおそろしいと思うのは、私があそこの県庁におりましたときに、もうずいぶん前の話ですけれども、自衛隊のほうからあそこにジェット機を持ってくるという話があったのですよ。あんな狭いところに、両方の川に二つはさまれたところで滑走路の延長のしようがないじゃないかということを申したところが、いやそんなことは平気なんだ、川の上に橋といいますか、何かおおいをかければあんな小さな川は何でもないというふうな話がありまして、私はそのときにそんなばかなことをしてもらっては困るということで断わった、そういう経験を持っているのです。  それで、ここで、私は、議事録にとどめておきたいのでございますけれども、大臣にお願いしますが、今度のことを足場にして、いろいろなことでエスカレートすることはない、そういうことをひとつ御明言願いたいと思います。
  515. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたように、あそこは陸上自衛隊の飛行場に使いたいと思っております。種類としましては、連絡機及びヘリコプターでございます。ヘリコプターの種類は変わることがあろうかと思います。飛行場全体が、御承知のように、滑走路も千二百程度でございまして、大きなジェット機とか輸送機というものには、現在の空港だけでは使用に不向きであろうと思いますので、現在のところでは、いま申し上げたような連絡機、ヘリコプター、そういうものを考えている、そういうことでございます。
  516. 華山親義

    華山分科員 現在のところじゃたいへん心細いのですけれどもね。ひとつ、将来そういうことのないということを、大臣、おっしゃっていただけますか。
  517. 有田喜一

    有田国務大臣 しばしば申しましたように、陸上自衛隊の航空基地でございます。飛行場でございます。したがいまして、そんなにエスカレートして、ここに戦闘機とかジェット機を配置するようなことはいたしません。
  518. 華山親義

    華山分科員 その次に、新しく自衛隊の飛行場ができるところがありますか。先ほどの予算の中でですね、どこかにできますか。
  519. 佐々木達夫

    ○佐々木(達)政府委員 新しくつくるところはございません。
  520. 華山親義

    華山分科員 それから、アメリカのための飛行場、このために、先ほど言ったような意味で装備をするとか拡張をするとか、そういうことのための予算というのは幾らになっておりますか。
  521. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 米軍の飛行場の予算等は米軍自身が計上いたしますために、私どものほうでは詳細を存じておりません。私どもの予算におきましては、飛行場の関連では、その地域の安全地帯等の取得予算並びに防音関係あるいは集団移転、これらの経費を計上しておるのでございます。  先生のお尋ねの点がちょっとはっきりいたしませんが、私申し上げた地域の安全地帯のための取得予算でございますれば、明年度は、二億八千万円ほど計上してございます。
  522. 華山親義

    華山分科員 先ほどお話のありました水戸射爆場についての予算はありますか。
  523. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これにつきましては、調査費を計上しております。
  524. 華山親義

    華山分科員 幾らでございますか。
  525. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 八百万円でございます。
  526. 華山親義

    華山分科員 それは、毎年八百万円ぐらい計上して使っておるわけでございますね。昨年は不用額になっていますか。
  527. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 毎年計上いたしておりますが、金額の詳細は……。
  528. 華山親義

    華山分科員 不用額になっていますか。
  529. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 一部、不用額になっております。
  530. 華山親義

    華山分科員 何を調査された金なんですか。
  531. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 御承知のように、現地に行ってまだ調査できる段階になっておりませんので、いろいろ資料によって調査するといったようなことをやるわけでございます。
  532. 華山親義

    華山分科員 板付の飛行場については、何か予算が来年度ありますか。
  533. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、移転の調査工事費といたしまして五千万円の予算を計上してございます。
  534. 華山親義

    華山分科員 お尋ねがあったと思いますので、詳しくはお尋ねいたしませんけれども、まだ場所はわからないのでございますね。
  535. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 まだ全く未定でございます。
  536. 華山親義

    華山分科員 きまったら、その金で建設を始めようというわけですか。
  537. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 この金は建設工事費ではございませんで、調査工事費でございます。
  538. 華山親義

    華山分科員 ちょっと私しろうとでわからないのですが、調査工事費って何ですか。
  539. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これは飛行場として適しておるかどうかということについて、たとえばボーリングをするとか測量するとかいうような経費でございます。
  540. 華山親義

    華山分科員 それから立川の基地について伺いたいのですけれども、立川基地のこの滑走路延長の問題は、前から有名な砂川事件等起こしまして、今日まで延々としてきておるわけでございますけれども、昨年の十二月に米軍が滑走路の延長を撤回したということが出ておりますけれども、これは新聞などで私が見ましたとおり、事実でございますね。
  541. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 立川飛行場の北側に滑走路を延長するという問題は、最近になりまして米側から計画を中止する。しかしながら従来要求しておった地域は、安全地帯として引き続き必要であるという意思表示がございました。
  542. 華山親義

    華山分科員 安全地帯って何ですか。
  543. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 安全地帯と申しますのは、飛行場に離着陸する航空機が、進入表面下に障害物がございますと、墜落その他の事故が発生する。そこで一定の範囲におきましては、高層建築物その他工作物を設置することを制限し、航空機の航行の安全を維持する、こういう意味合いの地域でございます。
  544. 華山親義

    華山分科員 私はそれがわからないのですがね。この滑走路を延ばした際の、いまおっしゃった安全地域というのはどこだったのですか。
  545. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 滑走路を延ばしました場合の前提として、従来米側が要求しておりましたのは、五日市街道の北側の部分を含めたところが、その安全地帯として要求されておったわけでございます。
  546. 華山親義

    華山分科員 それがどうしてこんなに広くなっているのですか。たとえば五日市の北方でございますと、五万六千平米ぐらいですね。それから五日市から南のほうですか、いまの基地までの境まで入れますと十一万七千平米、両方合わせまして十六万、十七万ばかりだ。七百メートル延ばたしときに五万六千平米で間に合うものが、どうしてこんなにたくさん要るのですか。あなた方それを是認されますか。
  547. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 御承知のように、飛行機が離着陸する場合には、一定の角度をもって離着陸するわけでございますが、その際航空法によりますと、五十分の一という角度ということでございます。  そこで前は、滑走路を延長するという前提が、今度はなくなったわけでございますが、やはり滑走路そのものが、何といっても非常に短いという現実の事態もございます。そこでもし不測の事態があって、飛行機がオーバーランの末端を越えて行くような事故の場合もあり得ますので、そういう点も含めまして、従来どおりの範囲を安全地帯として要求をしておる、こういうふうに理解しております。
  548. 華山親義

    華山分科員 その安全地帯なんかは従来どおりじゃないのですよ。従来どおりの安全地帯は、五日市街道から北のほうでしょう。今度はそうでなくて、滑走路をつくるために要するといわれたところの十一万七千平米をも合わせることになる。なぜ五万六千平米、そういう程度のもので間に合わないのかということが私にはわからない。とにかくアメリカの言うことを何でも、はあさようでございます、アメリカの要求でございますからやりましたじゃ、私は困ると思うのです。それで、そういうふうなことでこれからまだ買っていないところも買うつもりでございますか。
  549. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 米側の今般の要求の内容については、現在われわれのほうと米側といろいろ折衝中でございますが、いまの安全地帯の問題につきましては、すでに従来五日市街道の北側につきましてもかなりの部分を買収済みであるというような点もございまして、安全のためにわずか残っておるところは、やはりできれば買収をして航空機の安全をはかりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  550. 華山親義

    華山分科員 くどいようですが、理屈が合わぬですね。七百メートル延長した場合には五万六千平米で間に合った。その延長がなくなったところが突然十六万の安全地帯が要る、理屈が合わないと思うのですよ。私は五万六千平米要るならば、当否は別として、五万六千平米というものが必要なんだ、ほかのところはもう要らないのだ、それだったならば——私は何に使ったらいいかということはここでは言いませんけれども、これを返すなり、あるいはほかの目的に使うなり、そういうことにできないものですかね。とにかく五万六千平米で間に合うものに十六万平米のものを安全地帯だといってアメリカさんにあげる必要はないんじゃないですか。
  551. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 その点は、先ほども申し上げましたように、滑走路の延長は計画を中止しましたけれども、現実の滑走路は立川の飛行場に離着陸する大型の輸送機にとってかなり短いものであるという現実はやはり今後も継続するわけでございます。したがいまして、適正な滑走路の長さのある飛行場の場合には、それほどの安全地帯は必要ないかもわかりませんが、立川飛行場の場合にはやはり滑走路が現実に短い。したがって、オーバーランを突破して航空機が突っ走ったような場合の事故もある程度考えざるを得ない。そういう前提に立ちますれば、従来の範囲というものはすでに七割も八割も買収済みでございますし、これを安全のために確保するということは総合的に考えますと必要じゃなかろうか、このように感じておるわけでございます。
  552. 華山親義

    華山分科員 私にはわかりませんね。そうすると、今度はいままでの滑走路にもっと大きな飛行機が入るわけですね。
  553. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 入る航空機の種類は従来と同じでございますが、従来でも短かった。それで延長したいという計画があったわけでございますが、その延長が取りやめになったということでございます。
  554. 華山親義

    華山分科員 そうすると、滑走路の延長が短ければ、要約するというと、安全地帯というものを広げる、こういうことですか。
  555. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 滑走路が必要よりも短い場合には、やはりそれに対応した安全地帯というものが常識的には必要になってくるということでございます。
  556. 華山親義

    華山分科員 これはしかし、何か住民に対しまして、滑走路をつくるんだ、そういうふうなことでこれは買ったわけですね。みんなそういうことで納得さしたわけでしょう。ところが今度は目的が違った。今度は安全地帯でございます。私のような疑問を持つのはあたりまえでしょう。これで住民が納得しますか。私はこれは納得しないと思いますよ。私はどうもこの点わからないのですね。そうすると、大体この街道はどうなるのですか。オーバーランするときには五日市街道越えていくのですか。
  557. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 五日市街道そのものは従来と変わりがないわけでございます。
  558. 華山親義

    華山分科員 私にはよくわかりません。私はおそらく住民も納得はできないだろうと思います。どういうふうに処分なさるのか、これからここを。あなたのほうでもう大体買ったのだから、これからも買おうというふうなお考え、私は無理だと思います、従来の例からいいまして。やっぱり国民には正直でなければいけないと思う。その点はひとつ慎重にお考えを願いたい。なお、あとでほかの方からもいろいろお話があるかと思いますので、時間が長くなりますので、これでとめておきます。  それから、F4Eファントムのことにつきまして、前の大臣にはいろいろお聞きいたしましたので、もう一度新しい大臣にお聞きしておきたい。と申しますことは、ずいぶん長い時間かかって私決算委員でいろいろお聞きしたのでございますけれども、そのときに私が疑問に思っていろいろ聞いたところによりますと、このF4Eファントムは、純粋技術的にはいわゆる爆撃装置を載せることができる、日本で載せることができる、ただ政策的の意味でそういう爆撃装置は載せないのだ、こういうふうに政府委員の方はお答えになったわけです。そういうふうに了解いたしましてよろしゅうございますね。
  559. 有田喜一

    有田国務大臣 御承知のとおり、F4Eは将来における日本の防空要撃能力を高揚するという角度から決定いたしたわけであります。私のほうとしましては、あくまで要撃性能を有する戦闘機である、こういう前提に立っておるわけです。しかしおっしゃるように、あるいはこの爆撃装置をつくればそういうことになるおそれもある。そこで、私たちの要撃能力を有する意味において、誤解を避ける意味において、爆撃装置はつくらない、専用爆撃装置はつくらない、こういう態度でおるわけであります。
  560. 華山親義

    華山分科員 純粋技術的にはできるということでございましたが……。
  561. 有田喜一

    有田国務大臣 爆撃用に使うことが可能かといいますと、私たちの考えでは爆弾、これはまあ爆撃には使いませんけれども、爆弾をかりに搭載したとき、爆弾を八発で二百五十海里あるいは爆弾を四発搭載したときには四百海里、こういうようなことでありまして、そう足が長いというわけでもないんですね。そういうようなことで私たちのほうはあくまで要撃用としてこれを使う、こういうことです。
  562. 華山親義

    華山分科員 長官、この飛行機は空中給油を受けられるのです。日本には空中給油機はないとおっしゃるでしょうけれども、この飛行機が要撃するということは、日本が要撃するということでございましょう。要撃するというふうな場合にはおそらく日米合作の戦争になろう。そうすれば、アメリカの給油機から給油が受けられるわけです。何トンの爆弾とか、行動半径が幾らなんということは、これはもう御破算ですね。それは世界一周もできないでしょうけれども、そういう性能を持っている。とにかく日本で国産化する。オーバーホールができる。自衛隊の専門家のお話によれば、純粋技術的には爆撃機は爆撃装置は載せられるのだ、こういうふうな話です。空中給油ができる。そうするならば、一たんのことがあったならば、これは大体日本の考えていられるところの、アメリカが考えているところのいろんな国というのは近いんですから、私はそういう国々に対して脅威を与えないということはないと思うのですが、その点私はおそれてお聞きするわけなんです。これは脅威を与えないと思いますか。ただこれは政策的にやらないんだということを政府委員はおっしゃっている。どうなんでしょうね。この点は、長官、この前増田防衛庁長官にもお聞きいたしましたし、くどいようですけれども、お聞きしているのです。長官のお話を聞いてもわからぬのですよ。ほかのことはおっしゃるけれども、こういう要点に触れたことはおっしゃらない。この飛行機というものはそういうことができるにしても、決して相手国には脅威を与えるのだということはおっしゃらない。私はこういうものは日本が欲するならばいつでも、遠距離のものはできないでしょうけれども、ある程度の距離の正確な爆撃をやれるところの戦闘爆撃機に変わるんじゃないか、変わり得るんじゃないか。そういう飛行機を持ってもいろいろな国に脅威を与えないといえるかどうか、こういうことなんです。
  563. 有田喜一

    有田国務大臣 御存じのとおり、日本憲法によりましてあくまでも防衛でございます。ことに日本はこういう島国でございまして、ヨーロッパのような大陸のところならば、わりあいに距離が短くても爆撃機として使われるかもしれませんけれども、日本は御承知のとおりこういう海に囲まれておりますので、先ほど言いましたような関係で、せいぜい四百海里、爆弾を積んでも四百海里あるいは二百五十海里、こうなれば、それほど外に脅威を与えることはない。それでももしもそういう心配を与えちゃいかぬというので、爆撃専用装置はつけない、こういうことでありますから、私はそう脅威を与えるものとは考えておりません。
  564. 華山親義

    華山分科員 私のお聞きしたいと思っていたことを、長官、くしくもおっしゃったので、私はこれでやめます。私のお聞きしたかったのは、これは一つの政府の政策というものじゃない。憲法の規定によってそういうふうな飛行機は持てないのだ、私はそう思っていた。いま長官憲法によってと、こうおっしゃいましたから私はこれでやめますが、憲法によってこの爆撃機、このF4Eファントムというものはいろんな爆撃装置をするというようなことはできない、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  565. 有田喜一

    有田国務大臣 このF4Eが憲法で禁止されておる、そういう意味じゃないのです。私はさっき憲法によって、日本は防衛はできるけれども、外国へ侵略はできない、こういうことを申しております。イコールこのファントムというわけじゃないのです。
  566. 華山親義

    華山分科員 ファントムから爆撃装置をおろしたあとはそれでいいと思う。いつでも載せられるじゃないかということを言っている。載せることは憲法の規定に反する、憲法の精神に反する、こういうことであれば、これからのいろいろな政府がまいりましてもみな縛るわけですね。ただ、いまのところ政策上そうしているのですということになったんじゃこれはそのときの政府がまたいつ何どき——純粋技術的にはできるんですから、そういうものを載せないとは限らない。そういうわけで、私はそういう飛行機を持つこと、すなわち遠距離まで行って爆撃のできる飛行機を持つことは憲法上許されない、こういうふうに了解したいと思います。よろしゅうございますね。
  567. 有田喜一

    有田国務大臣 私はそういう見解をとらないのであります。憲法上はF4Eを持っても差しつかえない。けれども、日本憲法によって外国へ侵略するようなことは絶対できない。したがいまして、初めから言っておるように、これは要撃用として使います。そこで爆撃専用装置というものをはずしておると、外国も、これはもう日本の要撃飛行機だということですね。それで安心して、そういう脅威を与えない、こういうことを申しておるのです。
  568. 華山親義

    華山分科員 もう時間がありませんから押し問答もやめたいと思いますけれども、わからないですね。憲法上、F4Eファントムに爆撃装置は載せられない。したがって爆撃装置を除いたものは、これはいいかもしれない。しかしF4Eファントムに爆撃装置を載せることは憲法には反するのだ、こういうふうに私は理解したい。よろしゅうございますか。
  569. 有田喜一

    有田国務大臣 何回も同じことを繰り返すようですけれども、このF4Eを持つことが憲法違反になるか。爆撃専用装置を載せても、さっきのように航続距離から、行動半径から申しますと、そういうおそれはないのですよ。しかし、しかしそういう誤解を受けてはいかぬので、爆撃専用装置を取りはずす、こういうことでございますから……。
  570. 華山親義

    華山分科員 それはありますよ。空中給油を受けられるのだから。空中給油の受けられないような——そこをこわして買うのですか。どうなんです。今度買うときには爆撃装置は除いたものを買うのですか。載せたまま買うのですか。どっちなんですか。
  571. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 爆撃専用装置は、もとはアリメカの生産のものですが、日本向けに生産する場合に設計を変えまして、爆撃装置をはずしたものをつくる、こういうことです。
  572. 華山親義

    華山分科員 買うときです。二機買うのでしょう、来年。
  573. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 最初に買いますものにはついております。それをはずすわけでございます。それからその後日本で国産いたしますから、設計が変わってまいります。
  574. 華山親義

    華山分科員 時間もないからもうやめますけれども、ますますおかしいですね。あちらから、初めからはずしたものをつくらして買ったらいいじゃないですか。なぜつけたまま買ってくるのか。
  575. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 最初の原型には、アリメカのものですからついておりますが、それをはずしたものを買うということでございます。
  576. 華山親義

    華山分科員 日本に入ってきたときには、はずれているわけですね。
  577. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 さようでございます。
  578. 華山親義

    華山分科員 私、その点、非常に行動半径のことをおっしゃいますけれども、この行動半径だって、私はどこの国なんということは言いませんけれども、私はできると思いますよ。これは行動半径が狭いからなんということじゃないと思う。いわんや空中給油ができる。それに爆撃装置も載せることができる、こういうことになったら、この飛行機というものは外国に脅威を与えると私は思います。もしも長官の理論をもってすれば、B52だって日本に駐留していいわけだ。憲法違反じゃない。日本はB52戦略機を持ったって憲法違反じゃない、こうなる。それでいいんですか。
  579. 有田喜一

    有田国務大臣 これはとんでもない話で……
  580. 華山親義

    華山分科員 いや、憲法のことを聞いている、持たないでしょうけれども。
  581. 有田喜一

    有田国務大臣 B52といえば、これはもうファントムなんかと比較にならぬほど航続距離が長いのですから、これは何と弁解しようと攻撃用ということが言えますけれども、ファントムのほうはそういうように一がいに攻撃用といわれない。私どもは要撃用として使うということでございます。
  582. 華山親義

    華山分科員 私がお聞きしたいことは、B52なんというものを持つということは憲法違反だということですね。よろしゅうございますか。それで日本の内地にB52を置くというようなことは憲法違反だ、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  583. 有田喜一

    有田国務大臣 憲法問題は別としまして……
  584. 華山親義

    華山分科員 別じゃなくそれを聞きたかったんですよ。
  585. 有田喜一

    有田国務大臣 それは、憲法に許されるのは、先ほど来言うように守る、防衛のためでございますから、B52なんというものはもう攻撃用のはなはだしいものでありますから、これは憲法解釈は別として、核というものは持たない、こういうことですね。
  586. 華山親義

    華山分科員 もうそれは、私が言うのは、核はアリメカが持ってきてもこれは憲法に違反しないというのでしょう、政策の問題と言われる。だったら、アリメカがB52を板付の飛行場なりどこに置いたってこれは憲法違反じゃない、許されるわけですね。ただそういうものを認めないだけのことでございます、こういうこと。私は、それは限度がなくなると思うのですね、日本憲法の解釈で。核だってB52だって同じですよ。B52を板付のアリメカの飛行場あたりにどんどん持ってきたって、日本は、それは日本憲法に違反するから持ってこないでくれということはいえるですよ。またいろいろな安保条約の協議事項についてもそういうことばがいえると思う。どんな危険なものでも、アリメカが持ってくるものならそれでいいんだというふうになってはもうとめどがない。私はそう思うから心配して申し上げる。B52だってファントムだってそんなに違いが——たいへんな違いがあるでしょう、爆撃力とか何とかということにおいてですね。ただ敵に脅威を与えるような性格のものじゃない、そういうふうなことで、政策のためにということでなしに——いまわかりましたことは、憲法にまっ正面に法律論として違反するのかどうかわからないですけれども、大臣の言われるとおり、憲法の精神から見て——憲法ということばを、私は言わないうちに長官はおっしゃったんですからね。憲法の精神から見て、そういうことはできないのだ、しかしそれは憲法にほんとに違反するのかどうかということについては、いまここでは明言はできない、こういうことに私要約したいと思う。よろしゅうございますね。
  587. 有田喜一

    有田国務大臣 これは水かけ論になりますけれども、わが自衛隊憲法の拘束を受けます。のみならず、日本の原子力政策といいますか、核は持たない持ち込まないということでございますからこれは当然ですが、米軍日本憲法をそのまま適用するわけじゃございませんので、このほうは別問題、かように考えております。
  588. 華山親義

    華山分科員 私これは、法制局長官もおいでになりませんし、うかつなことをおっしゃって問題を起こしてもたいへんだから長官もなかなかおっしゃらないのだろうと思いますけれども、私は、アリメカの持ってくるものだったら核もいいということで、核を持ってくるのはアメリカのやることだから憲法違反じゃないということならば、B52だってそうだと思いますよ。防衛用といったって、抑止力は、これはだめですよ。B52を置けば相手から来ないから抑止力でしょう。抑止力というのは防御用だといって、だんだん、だんだん拡大してしまったら、もうとめどがないですね。そうしたら、どんな武器を持ったって抑止力だ、抑止力というものは防御用だといったら、何でも日本にはアメリカさんは持ってきていいということになる。いまここで論議を詰められません。この程度にしておきます。たいへん失礼いたしました。
  589. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 本日の質疑はこの程度にとどめ、明二十六日午前十時より開会し、外務省、会計検査院及び防衛庁所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十七分散会