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高田分科員 そこで、非常に重要な
段階にありまして、繊維関係の中小の卸売り業が存廃の危機に立っているというような状況になっておるのですが、そういうときにお互いに協力し、相談をし、知恵をしぼり合いながらある
程度自主的にその新しい
情勢に対応して立ち上がっていくというふうな体制をつくらせ、同時にこれを政治的に指導、助成する、こういう体制が必要だと思うのです。現在あります。これは具体的な例を申し上げるのですが、東京の織物関係の商業組合、卸でございますが、その構成を見てみますと、五百五十五店がこれに参加しておるのです。ところがこの五百五十五店は、全部中小企業ではないのでありまして、きわめて大規模のものも包含されております。
日本における第一級の企業もみな入っておる。総合商社の繊維部門がこれにみんな加盟しておりまして、伊藤忠、伊藤萬、兼松、三共、蝶理、田村駒、帝人、東棉、日綿、丸紅飯田というようなところがこの五百五十五の中に入っております。この総合商社十社を含めます大規模の卸商が二十一社ございますが、二十一社ですから全体の三・九%を占めておるわけでございますが、との二十一社でもって売り上げ高の四四・八%を占めておるわけであります。したがって、この総合商社十社を含む大企業が、わずか二十一社で半分の販売高を持っておる。これが同じ組合員になっておるという組織になっておるわけであります。そこで、これは中小企業団体法に基づいてできておるのでありますから、
趣旨は中小企業の立場を改善するための団体のわけなんですけれども、こういう構成ではなかなか運営はむずかしいわけでございまして、組合としては鋭意努力はしておるのでしょうけれども、これではいまのような激動期に存廃を問われておる中小の問題の立場に立った再編成
計画を立てて遂行するなんて力はここからはわき出さないわけでございます。昔の非常に安泰な時代の同業組合のようなものでございまして、一種の社交といっては言い過ぎなんですが、比較的当たりさわりのない全業界共通の利害に関することだけを処理するということにとどまらざるを得ないと思うのです、こういう構成では。そのためにしばしば実は内面的に問題を起こしておるわけでございまして、役員の選挙のときなどは、大企業による一種の買収に似たような不在投票でありますとか委任状集めとかいろいろなことが行なわれたりいたしまして、なかなかそういう面では公正に運営することがむずかしい。またいろんな不公正取引やなんかについて調整
規定がありましても、これを的確に摘発し、きびしく扱うなんてことはなかなかやりにくいという面がございます。そういうのを考えますと、いわゆる中小企業という概念が
——私はこれはひとつお考え願いたいのですが、全般に共通する中小企業ということで、資本金一千万円、従業員五十人とかいうふうな線で切っておりました時期といまとでは
情勢が違うのじゃないかと思うのですね。もっときめこまかく、業態によりまして、製造業、卸、小売り、またその中の
品目別などこまかく検討いたしまして、その中における少数の大企業がぐんぐんのしていく時代、金融力なども全部そこが独占してしまうというような時代でございますので、これに対応した組織づくりをさせるためには、この中小企業団体法の組織原理にも少し考え方を新しくしてもらわなければならぬだろうと私は思います。中小企業の定義、
範囲のきめ方ももっときめこまかくしなければならぬではないか。具体的に申しますと、いまこの組合を見た場合で申しますと、いま申しましたように五百五十五のうち、いまの
基準でいきますと、二割近くが大企業
——三割くらいですか、が大企業ということでしょうけれども、そういう
基準では実際的でない。五十人以下というのでは実際的でないし、それにさっき申しましたような総合商社十社を含む二十一社が飛び離れておるわけですが、売り上げ高においても次のランクを大きく引き離しておるわけでございますので、これを
一つの大企業と見、この二十一社以外のものは中小の企業と見て、それ以外のものがいかにしてその立場を近代化し、
強化し、そして今後大型化していく、組織化されていく小売り
段階とどう組織的に結びついていくか、また生産
段階における
構造改善とどう結合していくかということを考えなければならぬ。その立場にあるのは、その二十一社を除く大部分の企業だと思うのですね。ですから、こういうときに
基準を上げる必要があるんじゃないか。これでいきますと、一社当たり平均が、いま言いました二十一社については三百六十人雇用しておるのでありますが、次のランクになりますと
——いまの二十一社というのは、年商五十億円でございます。ですから、その五十億円以上というのはいまの二十一社で、五十億円未満のところ、そのすぐ次の三十億から五十億というランクになりますと、平均百二十人、がたっと落ちます。この売り上げの比率も、その次のランクが二十二社ありまして一二・三%ですが、その上のランクが四四・八%占めるのに対しまして、がたっと落ちるわけであります。ですから、そういうふうなところあたりでこれからは相当階層の分化が明確に出てくるというふうに考えられますので、対策の対象にすべき層というものを明確に位置づけて、これに対する適切な
措置をとるには、やはりこれらの団体のあり方自体も考えなければならぬのじゃないか。そうしなければ、この中でただ
行政指導などによって区別をして指導、
推進するといいましても、なかなかむずかしいのではないかと思われるのですけれども、さしあたっては、こういう中での運営を中小企業の立場から
合理化するための
行政指導というものが、現在強く要請されておるのです。ですから、そのことは
一つありますが、根本的に考えると、中小企業団体の組織原理そのものの再検討期になっておるのじゃないか、そういうことを考えざるを得ません。これらについての
中小企業庁長官のお考えを承りたいと思います。