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板川分科員 ぜひひとつ
労働大臣がイニシアをとって、この問題解決のために骨を折っていただきたいと思いますが、こういうことになるんですね、いままでの例でいきますと。石炭山が急に廃山をする、こういうことになります。廃山をするということになると、来月一日からもう炭は出さないということを突然きめる。そして会社は、
政府の合理化救済措置によって、石炭山の従業員については、やがて
資金がおりて救済の道があるから自宅待機をしておってくれ、こういうことになるだろうと思います。ところが一方、それをいままで搬出しておった、運輸しておった鉄道部門は、急に鉄道の輸送が必要なくなってしまう。しかし山の奥に人が何千人と住んでおるのでありますから、唯一の交通機関である鉄道はやはり運行を続けていないと、これは土地の人は困るのであります。ですからぜひ運行してくれという
要請がありますと、私鉄は、石炭部門はなくなったけれども、やはり運行せざるを得ません。そのうちに、石炭
労働者の場合には七五%なりの退職金が支給され、さらにいろいろの手当がついて他に職を求めて移転をしていきます。その移転をしていく間は、やはり鉄道は運行を継続しておらなくちゃならない。収入は激減し赤字は累積をする。そうして全部転業を終わった時分になって、もう必要ないというときになると、私鉄の経営は全く行き詰まってしまう、まあそうなっちゃうんですね。そして退職金を払おうと思っても、退職金を払う金もありません。あるいは社会保険料を払おう、こういうことになっても、会社が使い込んでおって納めてないために、失業保険ももらえなかったという時期が一時あったんです。会社が全部使い込んで払い込まないのですから。そういうことになると、私は
労働行政の面からいっても、そういう形は好ましいものじゃないんじゃないだろうか。まして鉄道と石炭というのは、作業面で一体化しておるのでありますから、そういう差別をとるべきじゃないのであって、鉄道部門の
労働者も炭鉱部門の
労働者と同じように扱うべきではないか、こういうふうに実情を申し上げる次第であります。ただ、ある官庁によると、もし私鉄にそれを適用するとなれば、町の床屋
——まあ床屋は別として、下請企業にも払わなくちゃならないのじゃないかというような波及論が出てまいります。しかし、下請に払えるなら払ってけっこうでありますが、下請と鉄道とはまた違うのであります。下請の場合には、そのつど随時契約で注文に応じて仕事をしてもらおうということでありましょう。短期の契約でありましょう。あるいは注文が少なくなったら減らすということもあるでしょう。しかし鉄道の場合には、掘れば掘っただけ必ず鉄道で運び出すという
関係にあったのでありますから、そういう
意味で、鉄道に同じ待遇をしたから、下請にも、あるいはことによると床屋にも、町の商店にも全部やらなくちゃならないんじゃないかという議論は、少しオーバーじゃないかという感じがします。従来、第三次
答申までは閉山交付金というものがありました。今度は特別閉山交付金ですが、いままでは閉山交付金です。普通の閉山交付金というのは、可採埋蔵量、掘ればあるだろうと思う埋蔵量に対して、一トン二千四百円で買い上げて、その金を
労働者が半分取り、そのほかの債務に半分支払う、こういうことになっておったのです。ですから、従来の閉山交付金では、確かに炭鉱の労使がそういう合理化に対する援護措置をとってもらった。そこへ私鉄が入り込んで、その金の半分のうち幾分分けてくれということになると、取り分が少なくなりますから反対だという空気が従来はあったのです。ところが、今度の特別閉山交付金というものは、それに
関係ないのです。そこに働いておった
労働者の退職金と未払い賃金と労務負債、これの七五%は幾らでも制限なく優先的に払います、国が保証します、こういうことでありますから、山分け論は今回は特別閉山交付金にはないのです。ですから、そういう
意味で私は話がたいへんしやすいというふうに考えておるのであります。ただいま
大臣から、三省間で協議をしてできるだけ希望に沿うようにと
答弁がありましたから、ひとつその結果を私どもは見守っていきたいと思います。
もう一つ、これは
法律関係ですから事務局で
答弁してもいいのですが、炭鉱離職者臨時措置法というのがありまして、炭鉱離職者に対して職業訓練や再就職の援護措置を行なうということになっておりますが、この
法律は私鉄の場合に適用されておりません。しかし私は、この
法律の二条の定義等を拡大解釈をすれば一これは
法律上の期限等もありますが、この二条にはこう書いてあります。「この
法律で「炭鉱
労働者」とは、」「石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の業務に従事する
労働者をいう。」こういうふうに、掘り出す
労働者、選炭をする者、その他の業務に従事する
労働者をいうということになっておりまして、従来閉山交付金なんかもらってない組夫も、炭鉱
労働者ということで取り扱いを受けておるのであります。したがって、このその他の業務に従事する者という解釈か、あるいは選炭の次に運送を担当する者とか、何か拡大解釈するか、あるいは若干の解釈をすれば、同一企業で鉄道部門を担当した人にも、この炭鉱離職者臨時措置法というので援護措置がとられるのではないか、こう思うのであります。この点で法の拡大解釈か、ともかく適用できるような措置を講じてもらいたいと思いますが、この点いかがですか。