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1969-02-24 第61回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十四年二月二十日(木曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十二日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       仮谷 忠男君    田中 龍夫君       塚原 俊郎君    野田 卯一君       野原 正勝君    松野 頼三君       久保 三郎君    楯 兼次郎君       石田幸四郎君 二月二十二日  野原正勝君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十四年二月二十四日(月曜日)     午前十時三分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       仮谷 忠男君    田中 龍夫君       塚原 俊郎君    松野 頼三君       加藤 万吉君    唐橋  東君       久保 三郎君    楯 兼次郎君       中井徳次郎君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    石田幸四郎君       斎藤  実君    兼務 兒玉 末男君 兼務 高田 富之君    兼務 畑   和君 兼務 広沢 賢一君    兼務 岡沢 完治君 兼務 北側 義一君    兼務 山田 太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         運輸省航空局長 手塚 良成君         海上保安庁長官 河毛 一郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  分科員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君     ————————————— 二月二十四日  分科員楯次郎君及び石田幸四郎委員辞任に  つき、その補欠として加藤万吉君及び樋上新一  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員加藤万君及び樋上新一委員辞任につき、  その補欠として岡田春夫君及び岡本富夫君が委  員長指名分科員選任された。 同日  分科員岡田春夫君及び岡本富夫委員辞任につ  き、その補欠として広瀬秀吉君及び松本忠助君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員広瀬秀吉君及び松本忠助委員辞任につ  き、その補欠として堀昌雄君及び斎藤実君が委  員長指名分科員選任された。 同日  分科員堀昌雄君及び斎藤実委員辞任につき、  その補欠として中井徳次郎君及び石田幸四郎君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員中井徳次郎委員辞任につき、その補欠  として唐橋東君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員唐橋東委員辞任につき、その補欠とし  て楯兼次郎君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第一分科員畑和君、広沢賢一君、第二分科員岡  沢完治君、第三分科員兒玉末男君、北側義一君、  山田太郎君及び第四分科員高田富之君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十四年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十四年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、運輸省、郵政省及び建設省所管につきまして審査を行なうことになっております。審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  なお、各省所管事項説明各省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十四年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。まず説明を聴取いたします。原田運輸大臣
  3. 原田憲

    原田国務大臣 昭和四十四年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は三十九億五千九十三万円、歳出予算総額他省所管計上分百八十三億六千七百十二万五千円を含み一千八百二億二千七百三十九万七千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、二百五十五億九百八十五万五千円の増加となっており、一六・五%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では百三十一億九千四百六十万一千円、公共事業費では百二十三億一千五百二十五万四千円の増加となっております。  次に特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億二千二百三十九万九千円であり、前年度に比較して八百十九万一千円の増加となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は一千九百八十五億二千三百五十三万五千円であり、車両数増加により、前年度に比較して百四十一億三千一万円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は八百八十七億七千六百八十九万六千円であり、前年度に比較して百三十二億一千七十九万八千円を増加し、港湾整備五カ年計画の第二年度として港湾整備推進することとしております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は三十八億七千百一万八千円であり、車両数増加により、前年度に比較して一億百八十万八千円の増加となっております。  このほか、昭和四十四年度財政投融資計画中には当省関係分として七千四百九十四億円が予定されております。  昭和四十四年度予算におきましては、当省は次の諸施策重点を置いて運輸行政推進いたしたいと考えております。  第一に、国民経済及び社会生活基盤たる運輸交通に関しまして、効率的な交通体系の形成を目ざし、各交通機関が有機的な交通システムの中で可能な限り効率的にその機能を発揮できるよう、公共投資その他を通じて政策的に誘導することが必要であります。このため、鉄道港湾空港等輸送基礎施設計画的な整備充実につとめ、あわせて過密、過疎対策推進に資する所存であります。  第二に、海陸空にわたる交通量の激増による交通事故の多発を防止するとともに、排気ガス騒音等交通機関のふくそうに基因する公害の増大を防止し、かつ、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通安全対策交通公害対策及び防災対策強化につとめる考えであります。  第三に、わが国経済をめぐる国際環境は、最近ますますきびしさを加えており、今後の国際収支は予断を許さない情勢にありますので、当省におきましては、海運航空、観光の各分野において貿易外収支改善をはかるとともに、船舶、鉄道車両等の輸出の振興につとめ、国際収支改善に寄与したいと考えております。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。昭和四十四年度の予算の編成にあたりましては、最近における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、昭和四十四年度以降十カ年間において国鉄収入及び支出の均衡を実質的に回復することを目途として国鉄財政再建を促進することとし、国鉄自体経営合理化近代化推進するとともに所要の鉄道運賃改定財政措置強化をはかることを基本方針といたし、損益勘定におきましては、鉄道運賃改定、四十三年度から設けられた日本国有鉄道財政再建補助金七十一億円、四十四年度から新たに設けられた日本国有鉄道財政再建債利子補給金十三億円等を含め、収入支出予算一兆一千一億円を計上し、また、資本勘定におきまして、財政投融資二千九百億円を含め、収入支出予算五千四百十五億円を、工事勘定におきまして三千八百十九億円を計上いたしまして、大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力増強及び保安対策強化等推進してまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきまして、お手元に配付してあります昭和四十四年度運輸省予算説明及び昭和四十四年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十四年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 野原正勝

    野原主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 野原正勝

    野原主査 質疑に先立ち念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にしていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれまするようお願い申し上げます。自質疑の通告がありますので、順次これを許します。楯兼次郎君。
  6. 楯兼次郎

    楯分科員 運輸全般のことをお聞きしたいのでありますが、いま委員長から御注意がありましたように、たくさんの質問者で時間が制約されておりますので、当面の問題でありまする国鉄のことにしぼってひとつ聞いてみたいと思います。  この間運輸省国鉄から参考資料をもらったわけです。その参考資料は「国鉄財政再建推進会議意見書の要旨」——これはあなたのほうからもらったやつですが、これをざっと目を通してみますると、あまり頭に入らない点があるわけです。それは、二番目の「国及び地方公共団体財政措置」というところのイロハニのニの「長期低利資金確保」こういうことがうたってあるわけです。これはどういうことを想定をされておるのかという点をまずひとつ最初にお伺いしたいと思います。
  7. 町田直

    町田政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、国鉄建設費は最近の状況によりまして年々非常に増加してきております。したがいまして、それに要する資金は、できるだけ長期間返済期間であり、しかも利率が安い、当然のことでございますけれども、そういうものを十分確保するように、こういう趣旨でございます。
  8. 楯兼次郎

    楯分科員 いまおっしゃるとおりだと思うのです。私のお聞きしたいのは、具体的に何を対象にしておられるのか。つまりこの推進会議意見書が出て——推進会議も何か具体的な目標があると思うのです。この意見書を受け入れて、国鉄なり運輸省がこれの解釈、具体的に何を対象にして長期低利資金確保をされようとしておるのか、具体的に。いや別に私はあげ足をとってやるわけじゃない。いまちょっとそういう疑義が出たのでお聞きするわけですから……。
  9. 町田直

    町田政府委員 具体的には、長期低利資金と申しますと、現在国から借りておりますいわゆる財政投融資でございますが、これが御承知のように利率が六分五厘でもございますし、それから償還期間は大体二十年から二十五年ぐらいでございますので、この財政投融資範囲をできるだけ拡大するように、そういたしまして再建公募債利用債あるいは特別債等範囲をできるだけ少なくしていきたい、こういう趣旨であろうというふうに考えております。
  10. 楯兼次郎

    楯分科員 それでは次に、三番目の「再建期間初期における一〇%程度運賃改訂とその後の適切な運賃是正」、今度大体平均一〇%の運賃値上げ国会へ要請しておるわけですね。それはわかりますが、賛成、反対はここでやりませんが、「その後の適切な運賃是正」ということは、これは何を言わんとしておるのですか。
  11. 町田直

    町田政府委員 具体的にお読みいたしてみますと、その後における物価騰貴等のやむを得ない要因に基づく運賃改定につきまして適切な時期にこれを行なうように措置をしなさい、こういう趣旨でございます。
  12. 楯兼次郎

    楯分科員 そうしますと、十年かかって償却赤字をなくする、こういうことですね、今度の推進会議あるいは国鉄のほうでそれを実施するというのは。そうすると、今度の値上げで大体その目的は達したんだ、あと物価上昇にスライドして考えればいい、そういうことなんですか。
  13. 野田卯一

    野田政府委員 今度のいまお願いいたしております運賃改定によってその目的が達したというふうに考えるべきであるかどうかにつきましては、この文章の読み方でございますけれども、ここに書いてございますように、再建期間初期においてとりあえず一〇%程度運賃改定をしなさい。それから、その後につきましては、先生指摘のように、物価変動等がございますので、その物価変動等によりまして経営費がいろいろと変わってまいりますので、それでおそらくここで言っております意味は、生産性向上等で吸収できないような分については運賃改定をその後していただかなければならないであろう、そのしかたは適切な時期にこれを行ないなさい、こういう趣旨であろうと思っております。
  14. 楯兼次郎

    楯分科員 私の聞かんとするところをもっとわかりやすくざっくばらんに言います。  一ぺんにたくさん運賃値上げをやると、これは反撃もひどいし、なかなか通過が困難である、したがって、まあ初年度は一割、一〇%くらいにしておいて、なお足らないところは情勢を見て上げていく、つまり、もっと上げるのが必要であるけれども、あるいは是正するのが必要であるけれども、一挙にはいかぬだろう、そういうことではないかというような意味にとれるわけなんですね、われわれがこの文章を読むと。ところがいまあなたの答弁は、まあ大体運賃値上げというものはこんなものだ、あと物価上昇に合わしてスライドしていけばいい、こういうところにやや力が入っておるので、少しわれわれの従来理解してきた点と違うわけですよ。もっと上げたいんだけれども、一ぺんにたくさん上げるとぐあいが悪い、通らない、だから初めは小出しにしておいて、以下年次計画的に……、そういうことも言われたんですね。総裁かだれかの談話でそういう記事も読んでおったんですが、これはそういう意味じゃないですか。
  15. 町田直

    町田政府委員 御承知のように、運賃改定は、やはり物価上昇等がございまして、労働賃金あるいは経費というものが上がっていく、そういうものに対しまして、これは本来生産性向上等で吸収すべきであろうと思いますけれども、それが吸収し得ない分については、やはり運賃を上げてこれをまかなっていかなければならぬという考え方でございます。したがいまして、先生指摘のように、現在うんと上げてしまって十年間もう上げないんだ、こういう考え方に立つのもあるいは一つの考え方かもしれませんけれども、ここで考えておりますのは、一〇%程度というのがまあ現在の原価を償い、かつ収入——収入と申しますか、一般負担もそれでまあまあがまんができる、こういう程度の上げ方をいたしまして、その後におきましては、ここへ書いてありますように、やはり物価値上げ等に従って適時適切に十年間の間にやはり上げていく必要はあるのだ、こういう考え方であろうと思います。したがいまして、いまうんと上げてやりたいけれども、それは全部とれないから、この程度でとどめておく、こういうのではなくて、現段階で一〇%くらい上げるのが原価関係その他等で適当である、その後につきましても、やはり物価騰貴等関係で適切に上げていかなければならないだろう、こういう考え方であろうと思います。
  16. 楯兼次郎

    楯分科員 そうしますと、大体一〇%程度現時点における——むずかしいことは時間がかかりますのでやめますが、大体そのくらいで運賃面からくる国鉄収入というものは、減価償却とかなんとか、むずかしいことは別にして、大体バランスがとれておる、こういう意味ですか。私が聞いているのは、いまここに持ってきておりませんが、何か、年次計画を立てて、一〇%か五%か知らぬけれども、一挙に上げるということは、これはいかぬので、年次計画を立てて上げるのだといようなことを聞いたことがあるのですよ。だから、ここはちょっとひっかかるわけですが、先ほど私が言ったふうに理解をしておいていいですか。
  17. 町田直

    町田政府委員 ちょっと私の理解が十分でないかもしれませんので、あるいは御質問の筋に合わないかもしれませんけれども、要するに、繰り返しますが、現時点において一〇%程度上げる必要がある、しかしそれでこの十カ年間の期間値上げはもう一切終わりなんだ、こういうことではなくて、やはり十カ年間の間には、これは物価騰貴等状況が将来の問題でございますのではっきりいたしませんが、一応そういうものが続けてあると仮定いたしますと、この間やはり適時適切な値上げは必要であろう、こういうことを前提としておるわけでございます。ただそれが、いまおっしゃったように、いつ、どれだけ上げるのだということをこの段階で決定することはできない、したがって、現在においては一〇%上げます、しかしその後においては適時適切に上げていく、こういう趣旨であろうと思います。  それから、ちょっとつけ加えて申し上げますが、御承知のように、今度の推進会議の答申は、国の助成とそれから国鉄自身合理化近代化、それに合わせて国民負担と、こういう三本立てでおりますので、運賃だけでやろうということでは当然ございませんので、この間におきまして、国の助成というものをできるだけ拡充していきたい、そういうものに合わせて十年間で国鉄財政再建をいたしたい、こういう趣旨でございますので、蛇足でございますけれども、申し上げておきます。
  18. 楯兼次郎

    楯分科員 運輸大臣にお伺いしますが、あなたは、予算委員会か本会議で、三方一両損ということを盛んに言っておられるわけです。だから、それはいま監督局長の言われる、政府利用者国鉄もですか、三者が寄り合って是正をし埋めていく、こういうことだろうと思うのですよ。しかし結論的にいうと、政府財政で全部埋めればいいじゃないか、めんどうを見ればいいじゃないか、それが妥当である。毎回毎回国会議論されておりまするから、あまりこまかいことは言いません。公共企業体の切りかえ当時から、原田運輸大臣も知っておいでのように、私はもう二十年間にわたって一体政府国鉄幾ら出資をした、ただおんぼろになった施設レールを九十億か百億かに換算して——換算したというか、経理上の用語は別として、八十九億か九十八億か知らぬが、出資をしておるという、帳簿上はそうなっておるだけじゃないか。ほかの公共企業体を見たって、何がしかの政府出資というものをやっておるじゃないですか。一銭もその後出資をせずして、あれをやれ、これをやれというのは無理じゃないか。こういう議論を約二十年にわたって議論してきたので、ここでは言いませんが、そういう歴史的経過があるので、政府が全部財政めんどうを見てやればいいじゃないかと私は思うのですが、三方一両損ですか、そんなしちめんどくさいことをやらぬでもいいじゃないか。また国民物価対策上それを望んでおる。経企庁長官あたりは、多勢に無勢でまいってしまったのですが、そのことを望んでおっただろうと私は思うわけですが、どうですか。
  19. 原田憲

    原田国務大臣 私はわかりやすい表現を使うために、三方一両損ということを言いましたが、その後三位一体論、こういう表現にかえておるのですが、お説のように、私は端的に申し上げますと、楯さんの言われている考え方を出されておるのは社会党の今度の法案だと思っておるのです。だからやはり考えておる目標一緒なんですけれども、その方法において、おっしゃるように、一般会計予算でまかなって国鉄出資をしてやったらいいではないかというお考えもあると思うのです。これは大橋運輸大臣のときでございますか、強くそういう考え方社会党の方が要望されて、それに対して政府が一銭も出さぬということで、今度の場合にも反対意見の中に強く申されておることはよく私承知いたしております。私もできればそういう方法もと思いますけれども、実際問題といたしまして、いまの国家財政における財政需要、使うほうの側でこれもやりたい、あれもやりたい、ますます財政需要が強いときに、一般会計の中から国鉄に対して何千億という金をつぎ込むことが理屈でできても実際上できるだろうかということに立って、私どももこの国家財政支出について強く迫ったのでありますけれども、この結果、推進会議——これはほんとうに去年のことを言いますと、予算が成立した直後に、この推進会議が持たれて、そこから出されておる三位一体論ということは、適切な措置じゃなかろうか。初めてと申しますか、今度はその道が開けた、こういうことになるので、これを基盤にして国民経済の中、国民生活のために国鉄が果たすべき任務を必ず果たさせよう、こういう考えを持っておるわけであります。
  20. 楯兼次郎

    楯分科員 運輸大臣三位一体論、それはそれなりにわかるわけですが、だれしも、国会議員全部がそうだと思うのですが、いままで国鉄に対する財政の取り扱いについて、大なり小なり腹に思っておると思うのですよ。たとえばそれほど金のない国鉄から地方財政赤字を埋めるために納付金というような名前を使っているが、こんなものはやらぬでいいではないか。やることはいいが、政府が出せばいいではないか。これは戦争前から、戦争直後からあったものじゃないのですよ。地方財政が非常に赤字になって、どこかに財源がないか。よその、林野か何かのほうはおつまみで出しておる。池田内閣のときにこれに目をつけて、国鉄にはレール施設があるから固定資産税ということでひとつやろうじゃないか。地方赤字を救うために、年度ははっきりは忘れましたが、昭和三十年か三十何年だったと思うのですが、急に地方財政救済のためにつくった。それが百二、三十億ある。二十億か三十億今度の予算では削ったから大幅削減なんていうことを言っておるが、そういう地方財政のほかの目的のために、赤字でピーピー言って困っておる国鉄から金を出さしておる。これは歴史的に昔からあったのじゃないのです。思いつきです。こういうことをやって赤字赤字だと言っておる。たとえば、あと質問したいと思いますが、建設公団だってそうですよ。田中大蔵大臣のときに、私は一国会で三回か四回ついたのです。これはどうしてもつくらなければいかぬ、つくらなければいかぬのなら、金のない国鉄利子のつく金を借りてきて、そうして七十五億も——いまは七十億ですが、七十五億も投資をしてできあがったものをまた赤字で引き受ける。こんなばかな不合理なことがあるか。だからつくるなら年次計画を立てて、七十五億の国鉄出資というものを肩がわりしなければいかぬ。それはやります——当時はやりますやりますという答弁であの法案が通過した。ところが数年たっても、やはり利子のつく金を借りて国鉄が出して、ああだこうだ、そんなことを言っておる。そして今度は、一等の通行税が二、三十億あったと思いますが、もうたまりかねちゃって国鉄のほうでやめてしまって、ほかの名前でやるらしいのですが、あんなものは、何も大蔵省政府が吸い上げなくたって、国鉄赤字ならばやればいいじゃないか。やるべきことをやらずに、三位一体論だとか、あなたになって多少進んできましたな。去年は五十一億か二億ことしは多少進んできたわけですが、そういう議論をされておったんでは納得いかない。これは国会議員全部が一緒だと思うのです。幾らもっともらしい議論をしておっても、やることがちぐはぐじゃないか、こう思うわけです。  それから、時間がありませんから進んでいきたいと思いますが、一番わからぬのは、運賃値上げ反対だといって、政府が金を出せと言いますと、受益者負担ということを言いますね。今度の国会では、私予算委員会へ、ずっと入っておったもので、よくわかりませんが、過去においては、もうそれは税金から出してはいかぬ、受益者負担だ、こういう答弁政府側はしておったわけです。この受益者負担という理屈ほどわれわれには理解しにくい、わからぬ理屈はない。運輸大臣三位一体論だから多少変わってきただろうと思うが、受益者負担というものは理屈に合っておるのかどうか、あなたはどう思いますか。
  21. 原田憲

    原田国務大臣 受益者負担という考え方よりも、私はこのごろは利用者負担、こういうことを言っております。この国鉄というものが独立採算制をとって企業経営をしていく、こういうたてまえをとったときには、一つの基本的ななににはやはり利用者負担というものがなければいかぬと思うのです。それは、やはり鉄道というものの収入の一番大きなものは、それに乗る人の運賃でありますから。しかし国鉄の場合は、国有鉄道からいまの国鉄公社になりまして、そこにいろいろいまのあなたが話をされておる議論があるわけです。それから、この広い日本の国の全体の交通を引き受けておる。だから、いわゆる公共負担分と申しますか、もうからないところでもやらなければならないという任務がある。こういうことでございますから、国鉄問題を、議するときには、私は、受益者負担だけで解決ができるということはむずかしいから、お話をしておりますように、三位一体という考え方に立たなければならぬ、こういうように解釈いたしております。
  22. 楯兼次郎

    楯分科員 三位一体論も、受益者でいけなければ利用者と言いますが、利用者負担という線のほうが強いですよ。運賃値上げをするということになれば、九〇%まで利用者負担という考え方に立っておるだろう。私どもはいままでわからなかったのは、国鉄赤字というのは一方で利用者——貨物だとか公共割引というものが六百億とか書物に書いてあるのですが、受益者というのですか、つまり利用する者の負担を軽減をして、それによって出た赤字は一方の利用者にまかなってくれという理論にいまはなっているのですよ。総理大臣あたりもよく、予算委員会質問すると、利用者負担だ、利益者負担だと言って平然としておるでしょう。国鉄赤字の大宗は、あと質問をしますが、ローカル線やいろいろの点もありますが、公共割引だとかなんとか——われわれには原価計算をやるだけの能力はないのですが、国鉄の書類を見ても本年度で六百億でしょう。いままで終戦後二十何年間利用者の軽減のために赤字が累積しておるわけだ。それを一方の利用者には、利用者負担だ、税金では見るわけにはいかぬから受益者負担というので、一方には二重に負担をさしている、こういう理屈がどうしてもわれわれはわからない。どう思いますか。
  23. 町田直

    町田政府委員 ただいま先生の御指摘になりました、一方の赤字を別のほうで負担さして運賃で取っている、こういうことでございますが、国鉄というのは御承知のように全国の主要な路線を運営いたしております。それから、貨物も旅客もやっております。これを個々に各路線ごとに原価計算をして、それぞれについて利用者に対する負担考えるという考え方は事実上不可能でございますし、また国鉄一体として経営する、こういう考え方から、御承知の総合原価という意味で、全体を合わせまして原価と費用が運賃でまかなえる、こういう考え方でいままで来ておるわけでございます。したがいまして、御指摘の公共負担につきましては、これは何らかの形で国である程度見る必要もございましょうと思いますけれども、いままでの形は、総合原価ということで全体として見てきた、こういう状況であることは御承知のとおりでございます。
  24. 楯兼次郎

    楯分科員 いまの監督局長の話は、東急か名鉄の民営がやっておる理論ならいいのですが、国鉄ですから、独算制か公共性かといったって、公共性をゼロというわけにいかぬと思うのですよ。だから、その総合何とかの計算で、たとえばいまやかましい、もうからぬ線云々というのは公共性という立場でとっておいたとしても、その理論は別としても、運賃そのものから見た場合には、公共割引だとかなんとかというので、六百億だとか七百億ということがいわれておる。これは少なくなったほうだと思うのですよ。いままでは九百億だとか一千億に近い、そういう面の損失といいますか、どういうものですか、入るべき収入が入らないというのが毎年一千億近くずっと累積しておるわけです。だから、国鉄赤字というのは、これが大体私は赤字だと思う。新幹線とかなんとかというのは、また別の面から議論すべき問題であって、通常に経営をしておる赤字というのは、公共負担とかなんとかという、大体そういうものでしょう。本年度は一千億、前年度は九百億か八百億という赤字はこういうものだと思う。だから、国鉄赤字というのは、いわゆる公共負担といいますか、そういうもので赤字なんですよ。それを片方の利用者で埋めるという理屈というものは、どうしてもわれわれは納得がいかぬのです。原田さんはどうか知りませんが、いままでの運輸大臣は言っていましたよ、公共負担、利益者負担ということを。
  25. 原田憲

    原田国務大臣 私はたびたび申し上げておるのですが、あなたのおっしゃっておることもわからぬではないのですよ。(楯分科員「わからぬかな、私の言うことが」と呼ぶ)いや、わからぬことはないです。しかし、一つのことが定着してしまって、一つの公共料金の中の運賃というものの組み立て方が長い間定着してしまっておる。あなたのおっしゃっている、たとえば公共負担といわれておるところの通勤、通学、それは非常に大きな部面を占めておりますね。それは法律によって五〇%を引いて、これ以上はもう取れないということになっているから、それは五〇%の法律できめていることが運賃ということで定着しちゃっているわけですよ。それをまたそこから割引しておる。こういう状況が続いている。なぜこの法律で五〇%をやったかというと、当時、インフレでどんどんものが上っていくときに、通勤、通学料金というものを上げることが一番生活にこたえる、こういうことから、これだけは法律でとめてしまおう、こういうことであったと思うのですよ。だから、戦前でもやらなかったことを、戦後の一時期において、給与でいうと生活給、食べられないというときに、一番輸送というものを背負っおる運賃というものを法律でもってとめておるということは、これはそれならその分だけはだれかが持ってもらわなければいかぬじゃないか。国鉄の総裁がよく議論されていることは、私は大臣としてでなく長くお聞きいたしておりました。だから、あなたがおっしゃるように、その分は国があるいは地方団体が負担してもいいじゃないか、こういう先ほどの議論になってくると思うのです。それから今度の場合でも、いまおっしゃっていることは、貨物の運賃を押えておいて、そして一般運賃だけにかけてきているじゃないか、貨物は上げたらほかへ流れてしまうからよう上げぬのだろう、それじゃその分まで一割のほうへ入り込んでいるじゃないか、それは公共負担として当然国か地方が持つべきものじゃないか、こうおっしゃっている議論だろうと私は思うのです。正直に言いまして、いま貨物運賃というものを上げましたら、そういう部面が出てくるということは予期されます。この間本会議久保さんがお尋ねになったところもそこだったわけです。私は、そういうことの根本的な、ちゃんとよそへとられぬようにして当然適正な運賃をもらったらいいじゃないか、こういう御議論はわからぬではないけれども、いま根本の国鉄財政というものがひっくり返りかけているときだから、それを建て直すことをまず先にやらなければならぬ。そのときにはまず、何度も申し上げるようでございますけれども、いわゆる三位一体論、出しようが少ないというおしかりでございますけれども、いままでは極論しますと何にも——何にもとは言いませんけれども、私がやったわけではございませんけれども、初めて、先ほどの地方負担も、これは国鉄納付金、私はこれをまけてくれという立場に立ちまして、地方団体が苦しいから国鉄のほうから何とかしてくれと言いに回ったほうですが、今度は国鉄が苦しいのだから、何とか地方団体のほうでも御理解が願いたいということで、御承知のように二十五億という減額をやってもらうことになった。これは十年間では相当な額になると思います。また旧債の中の利子のたな上げということを実際的にはやる、これも相当な金額でございますので、いわゆる三位一体という立場でこれを解決していくことが現実的である、このように考えるのであります。
  26. 楯兼次郎

    楯分科員 だから理屈をいえば通勤、通学いろいろあると思うのです。それからまた、こういう利用者対象値上げをするということはわれわれは不賛成ですよ。ただあなたの、政府のほうがこれは戦後の特殊な状態で定着状態になって、それが運賃だと幾ら演説しておったって、国鉄赤字になることは間違いないのですから、そうであるから政府のほうがそんなものはめんどうを見ればいいじゃないかということを言っておるわけです。  時間が制約されておりますから前へ進みますが、あなたが幾ら弁解というか演説しても、予算書を見ると、貨物の赤字四十二億ですか、輸送すればするほど赤字になる貨物をほうっておいてそして旅客だけ値上げをするということは、これは何としても十人が十人、百人が百人国民にはわからぬことですよ。貨物をほうっておくならほっておくように、政府がその面のてこ入れなり処置をするということなら別ですけれども、そういう点から関連して、私はこれがどうしてもわからぬのだ。今度の十年間に三兆七千億を使って投資をして国鉄再建をやる。輸送すればするほど赤字になる貨物関係投資に八千百億を使っておる。本年度の予算でも、貨物を輸送して当然入るべき四十二億が、いろいろの公共割引によって、予算説明では入らぬということをいっておるわけですね。輸送すればするほど赤字になる貨物の輸送に八千百億円も使って、なお赤字を拡大再生産しようとしておる。これがどうしたってわからない。だから貨物というものは運賃を上げよとはわれわれは言いませんよ。上げようとは言いませんけれども、三兆七千億の中でばく大な費用を使って貨物輸送の拡大をしようとしておる。拡大すればするほど赤字になる。一体これの手当てをどうされようとするのであるか。これはどういうことですか。
  27. 町田直

    町田政府委員 先生承知のように、国鉄の使命というのは旅客だけではございませんで、貨物の輸送も非常に大切だと思っております。今後の国鉄の使命というのは、この答申にも書いてございますように、中長距離の大量貨物輸送というのが重要な使命であるというふうに考えております。そうして現在貨物が原価上正確に赤字であるかどうかという問題も、厳格な原価計算上は非常にむずかしゅうございますけれども、現在の状態では、貨物は他の輸送機関との競争がございまして、必ずしも十分な利益を上げていないということは言えると思います。ただ、それは何であるかと申しますと、現在の産業、経済の状態に対応して現在の国鉄の貨物輸送の実態が必ずしもそれに伴っていないというところに一番原因があるのじゃないか。今後貨物を大いに輸送するという前提に立てば、現在の貨物輸送体制に対して十分な投資をして、近代的な貨物輸送の体制をつくっていくことが必要であり、そのことが国鉄の使命を達成する上にも必要であると同時に、貨物の収益を上げるということにもなるであろう、こういう考え方から、この十年間、特に前半におきまして、貨物については十分な投資をして近代化をはかっていきたい、こういう考え方に基づいているものでございます。したがいまして、この投資をいたしました結果おそらく貨物につきましては非常に近代化がなされ、そうしてそれによる収益もまた上がってくる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 楯兼次郎

    楯分科員 それはいいですよ。あなたのほうの考えを述べるのはいいですが、あなたのほうの資料で、貨物の輸送からくる赤字は四十二億だ、公共割引から四十二億出るんだ、こういうことをいっておるわけですよ。それに八千百億円も投資をして、現状のままやったら、輸送すればするほど赤字が拡大していくのじゃないですか。しかし貨物は輸送をしなければならない。したがって投資をする。それはけっこうですよ。しかしそれではことし四十二億、それとどういう比例になるか知りませんが、投資をしてより以上輸送すればなお赤字はふえていく。赤字がふえないような具体的措置をやらなければいかぬじゃないか。あなたが述べられませんので私が一つの例を言いますが、同じ十トン車で物を輸送すれば、いま等級はどのくらいか知りませんが、トラックなら一日一台使って幾らですよ。貨車だと、われわれの若い時分には、十五色くらい、高いやつが一万円とすると、安いやつは千円ぐらいであったわけです、同じ十トンの貨車を一日使うにしても。だから等級をなくしてしまうか、あるいは割引をなくしてしまうか、何とか具体的な措置を講じなければ、投資をして赤字の拡大再生産をしておるのと同じだと言うのです。だからいま監督局長の言う抽象論では、そんなものは幾ら聞いたって納得できませんよ。等級を一本にするとかあるいは割引を全部やめてしまえば、大体もうからぬでもとんとんでいけますということにならなければ、われわれは納得できません。しかしそれだけの議論をしておる時間がありませんからこれはやめるのですが、そういう点ひとつ考えて、あとで将来どうするんだ——投資のやりっぱなしで赤字の拡大再生産しかやっておらないというふうにあなた方のいまの予算説明ではとれますよ。どうするのだということはあとで教えてください。  それから、この間から石田総裁はたびたび新聞で解説者等と対談をやられましたね。テレビで聞いておりますと、大体国鉄赤字の親玉は都市の通勤輸送ですか、都市の交通緩和のための投資国鉄赤字の親玉だ、こういうことがたびたび言われるわけですね。たとえば坪百万円も百五十万円もかかるような土地にレールを敷かなければいけませんから、その設備投資国鉄赤字の親玉である、こういうことを言われるのですが、それはどういうことですか。私どもが考えると、三倍も三倍半も人を詰め込んでおるから、それだけ投資をしてももうかるのじゃないか、こういうように考えられますがね。
  29. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  通勤輸送の問題でありますが、それは結論からいえば、国鉄としては非常な犠牲でありますよ。つまりもうからない仕事であります。御承知のとおり第一次五カ年計画、実際は四年でやりましたが、第二次五カ年計画、これも四年、この八年の間に国鉄が通勤輸送に使った金というものは九百億足らずであります。その結果非常な輸送力が足りなくなったということは、一方に都市の人口増ということがあるからであります。それで、これは国鉄としてはぜひとも解決しなければいかぬということで、第三次計画のときには五千百九十億ですか、それで今度の四十四年から五十三年までの十年計画においては五千五百億使うということで、第三次計画は四十三年でまずピリオドを打ったのですが、その間約二千七、八百億使いまして、四十四年から五十三年までの間に五千五百億を使うということで、八千億以上の投資をするのでありますが、御承知のとおりこれは非常に工事費に金がかかる。その一番大きなものは土地の代であります。昔山手線やなんかをつくっておった時分には、土地の代というものは総工事費の一割七分だった。ところがいま山手線をつくるとすると、土地の代に七割三分はかかる。現在やっておる総武線とか中央線とかそういう方面にも、それまではかかりませんが、それでもなおかつ四割ないし五割かかる。こういうようなことをやってもうかるはずがない。  さらに、楯さんにこういうことを説明するのは釈迦に説法かもしれませんが、なぜ一体通勤輸送というものはもうからぬかというと、要するにそれだけ大きな設備をしましても、ほんとうに利用される時間というものは一日に三時間か四時間で、あとの二十時間というものは全然輸送需要がない。あるいはあってもきわめて少ない。その間に車をからっぽでガラガラ引き回しておくわけにいきませんので、置き場所をつくらなければいかぬ。その休み場所に少なくとも通勤電車一両について千万円の金がかかる。たとえば大井のごときに対しては、利子やなんかをちゃんと入れて勘定しますると、一両について三千万円の費用がかかる。こういうようなことでコストは非常に高い。そこへもってきて利用率は非常に悪い。したがってああいう詰め込みのようなことをやるというのは、はなはだこれはサービスとしてはたいへんなことですが、実際の経済原価計算からいくととてもこれは引き合わないということで、通勤輸送というものは引き合わぬのだ、非常な犠牲だ、こういう意味で私は通勤輸送というものに対する問題を説明をしているのであります。
  30. 楯兼次郎

    楯分科員 それでは与えられた時間がだんだん迫ってきますので、次に移りたいと思います。  次はローカル線の撤去、これは大都市以外は大問題を起こしておりますので、この問題をひとつお聞きしたいと思いますが、われわれは新聞紙上で読んでおりますると、気の遠くなるようなことですね。六千キロもうからぬからやっつけてしまうとか、あるいは第一次は二千六百キロを撤去してしまうとか、全くびっくりするようなことを大胆に出されておるわけですが、私はこういう委員会国鉄のことを議論をするのは、こういうローカル線を存置をしておくために国鉄財政について議論をしておるんだということを、運輸大臣も総裁もまず前提に考えてもらわなければいかぬと思う。たとえば国鉄なんかもうからないところはみんな撤去してしまってやれば、こんなものは黒字になるし、また幾らでももうかるのですよ。そのかわり国鉄という看板だけはおろさなければいけないですね。だからそうでないから議論をしておるんだという点をひとつお考えいただかぬと話が合わぬと思うのです。  私どもは、いままでは過密対策が問題になっておりましたが、今国会から過疎対策ということが、各政党とも非常な重要な問題として浮び上がってきました。このローカル線はただむちゃくちゃにつくったんじゃなくて、つくるにはつくるだけの歴史的な背景があると思うのです。ただ、該当関係町村も国鉄のほうにも責任があると思うのですが、これを利用する総合的な計画といいますか、そういうものがなかった、私はこう思います。たとえば最近役場の新築をどんどんやっておりますけれども、役場をつくるとか農協を新築するとか、あるいは学校をつくるとか町営住宅をつくる。それから最近は労働力が不足しておりますから、農閑期の余剰労働力をねらって、いなかのほうへ二十人、三十人の下請工場がたくさんきておるわけです。そういうものをローカル線のある沿線の町村長、地方行政機関に、総合的に鉄道を利用するにはどうしたらいいかという計画があれば、学校なり役場なり農協なり、そういう下請工場なりを、土地は安いのですから、鉄道の沿線につくって、そして鉄道を生かす方法があったと思うのです。そういう点を沿線の町村長があまり考えなかった、こういう点がある。  それから今度は鉄道側に言わせますと、列車の間合いが三時間近くもあるわけです。これではだんだん乗らなくなるのはあたりまえです。それからあとで私は地元にある線の例を引いて申し上げますが、貨物を送りたいといっても、貨車を回してよこさぬのですよ。これは私はなぜ回してよこさぬかという意図もわかる。どうせこれはやめなければならぬから、利用率が減って、能率が下がらなければ困る、営業成績がだんだん悪くなっていかなければ撤去できない、そういう潜在的な意図があるわけです。だから物はあるけれども貨車を回してよこさぬから輸送ができない。こういう鉄道側のやり方、こういうものがマッチをして、だんだんと地方鉄道というものは衰微をしていく。しかし過疎対策がやかましく言われておりますので、今後はこれを利用する方向に進まなければならぬ、こう思っておるわけですが、どうですか。私のこういう意見に対して、運輸大臣からひとつ聞いていきましょう。
  31. 原田憲

    原田国務大臣 たびたびここでこの問題について私はお答えをいたしておるのでありますが、まずいまの地方赤字線、ローカル線廃止という前提にひとつ立っておるのは、これにかわる輸送機関、もっと便利なもの、たとえば自動車が出ておりますけれども、それにかえて、そしてそれが有効に代替し得るところということを前提にして、そこでもなおかつその地域に果たしておる路線というのですか、あなたのほうが専門家ですが、私は専門用語はよくわからないのですけれども、その線区というのですか、それの果たしておる役割り、経済性あるいは地方状況というようなものを見て対処していこうというのが考え方でありますということを私は申し上げておるのでありまして、ただ赤字が出ておるからすぐ廃止だということでは、お説のように、国鉄という名前をやめたらよかろうじゃないかということになりはせぬかというお考えは、私も冒頭に申し上げておるわけでありますから、こういうことについては慎重の上にも慎重に対処していきたい、このように思っております。
  32. 楯兼次郎

    楯分科員 これは、まあ私の地元のことを申し上げてどうかと思うのですが、これは全国同じ例だと思うので申し上げたいと思うのです。  私は岐阜県なんです。二区というので、岐阜県の特に山の中の選挙区なんですよ。だから、人口が昔ながらの都市の形をなしておるのは有名な飛騨の高山ですね。あそこが大体人口五万で、それ以上の町はないわけです。だから鉄道に対する執着というものは非常に強いわけです。そこで、越美南線ですね、日本海へ抜ける越美南線、あれをめくっちゃおう。それから明知線というのがあるんですね。中央線の恵那駅から入っておる明知線、これをめくっちゃおうというわけで、盛んに撤去の宣伝がなされておるわけです。  たとえば、明知線を例にとりますと、陶器の材料、ガラスの材料、日本の有名なガラス会社は全部ここに目をつけておるわけですね。材料は全部大手に取られるわけです。そこで、あそこで一時五百人か千人の日本碍子が工場をつくろうとしたわけですね。ところが、この輸送力ではこれはだめだというわけで、材料だけいま持っていっておるわけです。だから、貨車さえ入れてやれば、荷物は幾らでもあるわけですよ。ところが、入れてやらぬわけですね。牽引力も昔の小さいおかまでやっておるわけですから、幾らふやしてくれといっても、どうせめくる線だからというので聞いてくれぬわけですね。しかたがないから中央線の沿線へ材料を持っていって出しておる、こういうのが実態ですよ。  ところが、最近はトラックの規制がやかましいでしょう。いままで多少多目に輸送しておったやつが、ぴちっと荷重トン数だけしか輸送できぬというわけで、また最近鉄道の輸送ということがやかましくなってきておるわけですね。これは悪い面ですけれども……。荷重トン数をオーバーして運転してはいかぬのですが、そういうところなんです。それをめくってしまおうというので、もうほとほとこちらは困っておるわけですよ。資源があるけれども輸送ができない、貨車を回してやらない、牽引力をふやさない、そうして、次第弱りにしてやっつけてやろう、この意図はきわめて濃厚であります。  それから起美南線でもそうです。どんどんやってきて、もう北線とたしか十五キロか二十キロだと思うのですよ。あそこが開通すればいわゆる太平洋側から日本海側、南と北ですかの横断のレールができるわけですね。ところが、ずっとやってきて、まさにつなぎ合わさろうとする今日、これをめくっちゃおうというんですからね。だからそれはちょっとひど過ぎると思うのです。御意見どうですか。
  33. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  この赤字線の問題でありますが、国鉄がいわゆる赤字線というもので負担になっておるのは、三十七年においては約二百二十線で、四百四十七億円のマイナスになっておるわけです。これが四十一年には二百四十二線にふえまして、マイナスが千三百四十一億円にふえておる、こういうことで、年々赤字線のマイナスの数が非常にふえておる。四十一年度において千三百四十一億円マイナスになっておる。だからといって、何もこれを全部やめようというわけじゃない。赤字線のうちでも、いわゆる幹線というやつもあれば、いわゆる亜幹線と称するものもあって、国鉄としては、公共企業体というたてまえから、マイナスなるがゆえにそういうような重要線までどうしようというのじゃないのです。ただ、はなはだしいやつを言ってみると、まず八十三線ある。  楯さんにこういうことを私が申し上げるのははなはだ失礼ですが、大体赤字線というものがどうしてできたかというと、大正十年か十一年ごろに、国土開発のたてまえからいって、地方に輸送具というものを提供しなければならない。輸送具というのは何ぞやといったら、その時分にはただ鉄道あるのみだ。鉄道をもってするというと、輸送需要に対してきわめてアンバランスだ、あまりにでっかい、こんなものは不経済じゃないか、こういうことになるんだが、しかし、地方開発のためにはこれをやらなければならぬ。たまたま国鉄のその時分の収支の状況からいくと、いわゆる独占の上にあぐらをかいておった時分で、余裕しゃくしゃくだ。そんなことは何でもないということで、元気よく赤字線の建設をやった。だからして、公共事業体になる昭和二十四年ぐらいまでには現在の赤字線というものは国鉄としてはほとんど完成したわけだ。その時分には、国鉄赤字線というものに対しては、公共性という面から考えて非常によくやったものだと私は思う。ところが、御承知のとおり、その後道路が発達し、自動車が発達してきてから、国鉄のいわゆるそういう線に対する輸送需要というものは非常に減ってきた。せっかくつくったものでも、自動車ができ、バスができるというと、その地方の人たちというものは、いままで国鉄を利用しておったのが、もう国鉄を利用しないでもってそのほうへ向う、その結果、せっかくつくった赤字線というものが一向利用されなくなっちゃった。利用しないのは、つまり地方の人たちなんだ。その結果、輸送需要に対して輸送力というもののアンバランスがきわめてひどいものになってきた。  それで、われわれからいえば、国鉄もやはり独立採算制で経営しなければならぬという立場からいくと、何とか考えなければならぬ。そこで考えついたのが、自然の勢いでいままで鉄道でもって輸送需要に応じたやつを、もう少しハンディな、輸送需要に見合った輸送力を提供しよう、それがつまりバスであり自動車であるということで、その結果、これは例外もありますよ、大体一般論からいくと、地方の人が結局そのほうがいいんじゃないかということがあり、いかにも輸送需要と輸送力というものがアンバランスがひどいために、鉄道なんか引いておると一日に五往復か六往復しかやれぬ、ところが、バスなり自動車をもってすれば、二十五往復も三十往復もできる。停車場の数からいっても、鉄道の場合はきわめて少ないが、バスなり自動車ならば非常に多くなるということで、現に鉄道を捨ててバス、自動車に移った地方の人たちなんだから、国鉄がそういうものを提供すれば、そのほうがかえって地方の人のためにはいいんじゃないか、つまり、国鉄もよし、地方の人もよし、すべてよし、こういうことで解決しようじゃないか、こういうことなんです。  しかし、これはわれわれがそういうふうに考えただけのことで、実際の地方の人の立場からいくと、またいろいろの事情があるかもしれない。いま、すでに楯さんがおっしゃたように、貨物輸送というものは中央線を利用しておるというふうな事情があるところに対しては、これはひとつ別の考えを押し出す必要があるので、いずれにしましても、いよいよこの赤字線というものをわれわれが目途にするような方向に解決するというようなことについては、十分これからも調査し、さらに、最後においては地方へ参りまして、地方の人たちとひざを交えて懇談して、ほんとうにその御納得を得た上で実行するということなんでありまして、何も晴天に雷さんが落ちるようなことは決していたしませんので、その点はあまり神経質にならないように、落ちついてひとつ考えていただきたいということが私の考えであります。
  34. 楯兼次郎

    楯分科員 これで終わりますが、もう一言、総裁の答弁でいいと思いますが、ただ貨物を出したいから側線をつくってくれ、どうせめくるんだからいやだ。貨車を入れてくれ、めくるんだからいやだ。——需要があるにもかかわらず、そういう前提があるので困ってしまうのですよ。利用しようというのに、してやらぬ、どうせめくるんだから。これは困るというんだ。これは時間がありませんからあとでお話ししますけれども、それでは困る。  ついでに私はもう一つ、めくるほうと新線建設を聞きたかったのですが、時間を守らなければいかぬのでやめますが、日本経済が発展をしておるのに建設をやめようというのは、ちょっと理屈が合わぬと思うのです。日本の経済が非常に萎靡沈滞をして、こんなことをやったんでは、というなら別ですよ。ところが、日本経済はもう成長につぐ成長を遂げてあるのに、片方では仕事をやめよう。しかも、数年前に公団必要論をあなた方はものすごくやられたわけだ、最近はもう必要ないというようなことを言っておるでしょう。こういうでは経済が発展しておるのにいけない。しかし、現実は現実ですから、私はいま建設線に入っておるやつくらいで一応ピリオドを打って、どうせ国鉄再建十カ年計画をやっておりますから、十カ年のうちに——この建設線に入るというのはなかなか並みたいていのことじゃないのですから、それだけの理由があるし、背景もあるのですよ。五十線くらいあるわけでしょう。四十線か五十線か知りませんが、追加は入れぬかもしれませんけれども、いまあるやつは、十カ年計画くらいでやるという方針でいっていただきたいと思います。  時間を守らなければならぬのでこれでやめます。どうもありがとうございました。
  35. 野原正勝

  36. 久保三郎

    久保分科員 私自身は、国鉄質問の予定はありません。ただ、よその方がわかりませんから、総裁は何かお急ぎで……。
  37. 石田禮助

    石田説明員 いや、急ぎませんよ。きょうはゆっくりしております。
  38. 久保三郎

    久保分科員 時間の都合でお尋ねするかもしれませんが、いまのところ国鉄は予定はございません。一応お話を申し上げます。  それでは、一番最初に、外務省来ておられますから、先に外務省にも関係することをお尋ねします。一番最初にお尋ねしたいことは、いわゆる日米間の航空協定の問題でありまして、いわゆるパシフィックケースについてお尋ねをしたいと思うのであります。  すでに御承知のように、昨年、というよりは、ことしになりまして、ニクソン大統領が、一月の末にジョンソン前大統領が退任まぎわに、アメリカの航空会社に対して、日本への乗り入れその他について一応の決定したことを白紙に返すというか、無効ということにしたといわれておる。そういう問題にからんで、今後パシフィックケースがどういうふうになっていくのか、日本に対してどういう乗り入れのしかたをしてこようとするのか、これは予断を許さないことでありますから、必ずしもとやかく申し上げることはできないと思うのです。ただ問題は、このパシフィックケースのアメリカにおける再検討に関連して、先般新聞紙上で見ますと、下田大使はアメリカ政府に対して、このパシフィックケースについて、前大統領のジョンソン大統領がきめたというか、許可したそれ以上の問題については困るという申し入れをしたというのであります。これはそのとおりであるかどうか、外務省にまずお答えをいただきます。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕
  39. 大河原良雄

    ○大河原説明員 お答えいたします。  下田大使はこの二月四日にロジャーズ国務長官と面会、会談をいたしておりますし、二月の十八日にジョンソン国務次官とも会談いたしておりますが、その際、他の問題、日米間のいろいろな懸案の問題の一つといたしまして、いわゆる太平洋ケースの問題につきまして、日本側の基本的な考え方を、米側に正式に訓令に基づきまして申し入れてございます。
  40. 久保三郎

    久保分科員 いまのお話だと、日本政府の訓令に基づいてわがほうの基本的方針を米側に伝えた、こういうのですが、運輸大臣、わがほうの基本的方針はどんなものでありましたか。
  41. 原田憲

    原田国務大臣 いまお話のありましたジョンソン前大統領のときに、十二月の十八日、私どものほうでは十九日でございましたが、大統領が決定を下したわけでございます。そして、お手元に資料があるかと思いますが、新しくパンアメリカンとノースウエスト、それから沖繩へはTWA、それから貨物線のフライングタイガー、この四つの新しい免許を与えた、こういうことが出たわけでございます。これに対しまして、わがほうとしては、いままで、これ以上いまの太平洋航路では過当競争にならないようにしようじゃないかということを話し合いをしておりましたが——外交問題でありますから、私が間違えましたらあとで訂正させていただくことを前提としてお話し申し上げますが、私が承知しておりますのは、ニューヨークに日本が乗り入れをしまして、そのときから、協定の中で、向こうの大統領がきめたことに対して、こちら側が承知をしないからだめだということはできない状態になっておる、だから、この四つの線はもう実現する、せざるを得ない、こういう日米間の航空問題としては既定の事実になってしまう、こういうことになっておるのです。そこでわがほうとしては、これに対して、それではわがほうもこの太平洋を中心とする日本の新しい航路というもの、いわゆる大圏コース、これの問題についてやるぞということを申し入れしなければならぬ、こういうことを考えておった。ところが、その後新しく就任したニクソン大統領がジョンソン大統領のきめたことを停止するという処置をとった、こういうことになっておりますので、基本的な考え方を申し上げますと、私が以上申し上げましたジョンソン大統領のときからとっておる態度が基本的な態度であると申し上げてよかろうかと思います。
  42. 久保三郎

    久保分科員 いまのお話の中に、これ以上過当競争になっては困るのでという理由もつけ加えられたのでありますが、これはそのとおりだと思うのであります。ジョンソン大統領の決定があったというそのケースだけ見ても、太平洋におけるところの輸送力というものはかなりだぶつく、これは過当競争のはっきりした傾向が出てくることは明らかだと思います。そういうさなかに今度は、ジョンソン大統領の決定はやむを得ないということが一つあるようでありますが、それと同時に、何か、聞きようによっては過当競争にならぬようなお話、わがほうは、御案内のとおり日航一社でありまして、お話しのように、大圏コース、ニューヨーク乗り入れをたとえばアメリカ側が承諾いたしましても、わがほうの権益というか、これはかなり低いものであります。御承知のように、路線の変更は別として、いわゆる便数の増加あるいは航空会社が新規に何社か乗り入れることは、アメリカ側の自由になっているわけですね、わがほうに対して。わがほうは、残念ながら日航一社でありますから、これは会社としては一つ、しかもそこへ便数を云々する場合は、これは残念ながら向こうの制約があるということでありまして、いままで長い間、言うならばニューヨーク乗り入れ、あるいはピヨンド・ニューヨークということでやってきて、かなり苦労されたことは事実でありますが、何か基本的な権益をかなり大幅に譲っておるし、また、この日米航空協定ができたのは、言うならば、われわれが自由の権能がない時代の遺産がここに引き継がれているわけです。こういうものは、この際、ニクソン大統領がどういう措置に出ようとも、わがほうとしてはフェアにしてもらう、公平に、平等に、対等にという主張をこの際やるのがほんとうではないかというふうに私は思うのです。ところが、先ほどの外務省のお話しのように、下田大使に訓令したというのです。訓令をしたのは、ジョンソン大統領の決定ならばまあいいけれども、それ以上のことは困りますよというふうにとれるのだが、これはそのとおりだとするなら私は誤りだと思うのだが、どうでしょう。
  43. 原田憲

    原田国務大臣 先ほども申し上げましたが、向こうがやったことについて、これをいなやを言えないのでございますから、かりに、これは仮定の議論でございますけれども、ジョンソン大統領がまだ任期が続いておったといたしましたら、この四つの新しく太平洋に認可した空路というものは開けておったろう、こういうことになるわけであります。このことでも、わがほうとしては、これは向こうがやることは向こうの権限でやることでありますから、さようにきまればやむを得ないことになるのでありますけれども、そうならないようにねばってきた。しかし、それがジョンソンのときにきまってしまった。それならば、今度は、先ほど言いましたように、大圏コースというものを日本は今度は持っていかなければいかぬ、こういう立場をとっておったわけでございます。事態は新しくなっておるのでありますけれども、要するに太平洋コースというのは、日航にしたら、いままだ国際空路の中のドル箱だと私は承知いたしております。したがって、諸外国から見たら、ここはやはり今後伸ばしてくるところである。だから、ここへ航路を持ちたいということは、これまた当然のことじゃなかろうかと思うのでありますが、ここで日本はよほどしっかりしていかなければならぬ、こういう立場に立ってこれから処していかなければならないということが最後の結論ではなかろうかと思うのでありますが、いま御指摘のように、こっちは一社で向こうはたくさん持ってきて、そいつをふやしてくるということは、日本にとって非常に不利じゃないか。これは確かに不利でございますけれども、向こうはそういう大きな国で、どこでも一つのなにがありますけれども、日本は、言いますと東京だけしかない。それに、もう一つ匹敵するところをこしらえるというなら大阪ぐらいでありますか、あるいは、これから今後の問題としたら北海道ということでありますから、取引するのにもなかなか交渉が不利な立場に立っておる。それをいま日本航空はサービスでもってがんばってお客を獲得しておる。これを日本の対抗手段でやっておる。向こう側からいうと、不公平、不公平というけれども、お客さんは日航ばかり乗っておるじゃないか、こういう言い分をしておると思うのですけれども、わがほうとしては、それは日本航空がサービスがいいから乗ってくださるので、アメリカの会社はたくさんあるから、それは少なくなるのはやむを得ないのだから、そうそうふやすことは困ります、こういうことを当然言うべきだ、私はこう考えております。
  44. 久保三郎

    久保分科員 ものによっては大臣のようなお考えで処理されることも当然だと私は思うのであります。ただ、すでにニューヨーク乗り入れというか、そういうものがきまったあとではこういうものが来るであろうというのは大体予想していた面があると思うのであります。しかしながら、言うならば、現行の航空協定の上に立って問題を処理していこうという政府の態度がいまだに続いておるわけです。われわれ国民としては非常に不満に思っておる。  それからもう一つは、その訓令なるものを出した態度に私は不満を持っている。大体、ジョンソン大統領が決定した幾つかの会社の便数増加なり乗り入れ、こういうもの、そして今度ニクソン大統領がこれを無効にして、いま新しい何かをしているというそういう情勢、いわゆるアメリカ国内における航空企業の問題さらにもう一つは政治情勢、こういうものを十分解析して、その上に立っての訓令ではないように私は思うのですが、そうではないのですか。  それから、あなたのおっしゃるように、太平洋はドル箱でどこでも目をつけているというのですが、なぜドル雑なんだ。これは単にアメリカと日本の中に太平洋がはさまっているからという単純なものではないと思う。言うならば、ニューヨークも一つのポイントである、東京も一つのポイントである。さらにこの次はモスクワあるいはロンドンになるかもしれませんし、あるいはローマということになるかもしれません。そういうことで、ポイントがあるわけです。日本はなるほど小さい島四つだけでありますから、アメリカ大陸のように、ポジションを幾つか持っているところと取引する場合に損だ。われわれの取引する——取引と言ってはおかしいが、いわゆる主張すべき権益というのは、東京、日本、そのものずばりで私はいいと思うのです。これはほかにはシアトルもあるだろう、ニューヨークもあるだろう、シカゴもあるだろう、いろいろ向こうにはあるかもしれない。しかし、われわれのほうの世界的な航空路のポイントは東京、日本であるということで私は当然足りると思うのです。  私はここで言いたいのは、時間もありませんからあまり長くおしゃべりはしませんけれども、どうもいまの訓令を発したことについては、私は不満である。しかも、ジョンソン大統領の決定に対して、政府は確固たる方針をきめて大圏コースだけ要求したのかどうか、これはあらためて聞き直したい。どちらでもけっこうです。
  45. 手塚良成

    ○手塚国務大臣 先生の御指摘はまことにごもっともでございますが、ただいまのお話で、訓令を出します前の前提といたしまして、アメリカ国内の情勢あるいは政治情勢というようなものに対応して十分分析を行なって出すべきである、出した内容について不満であるというようなお話が一つあったと思います。  ただいまのアメリカの国内情勢あるいは政治情勢につきましては、外務省もおられますが、外務省筋と協力いたしまして、いろいろな資料入手に現在つとめております。ただいままでわれわれで概括的にわかりました情勢といたしましては、向こうのCAB、一番の本件の担当でございます民間航空員会におきましては全く処置がわからない、いままでの非常に異例なことでございますので、処置なしというような状態になっております。それから今度は、大統領府におきまして本件を取り消すに至りましたのに、国務省が全然当初タッチをいたしておりません。大統領府のエルスワースという特別補佐官あるいは運輸省の一部というようなごく少数の方々でやられましたので、米国の政府の各部局において、特に国務省等におきましても現状と今後の推移について十分よくわからないというのが概括的な現状でございます。そのほか、新聞、雑誌等によります世論等を見ましても、現在非常にこんとんとしておるというようなことが所々に見られるという状態でございます。  しかしながら、私どもがこの日米の航空協定におきまして基本的に考えております基本原則、これは協定の第十条にもございますし、あるいは合意議事録にもございますが、先生承知のとおり、一つは、公平かつ均等な機会をお互いに持とうではないかということ、それから、明らかに不合理な輸送力の実施を許与しないというこの二つの大原則はこの日米間において非常に明確にうたわれておるわけでございます。先ほど外務省からお話のございました訓令と申しますのも、この二つの基本線をあくまでも向こうに十分認識をさせて、この基本原則に基づいて今回の事態に対処してもらいたいということを下田大使を通じてお願い申し上げたという段階であるわけです。  現状の姿におきましては、路線、あるいは主としてこれは附表の問題になりますが、経由地の問題とか以遠権の問題等に先生のおっしゃるように非常に平等を欠くと思われる事態があるわけでございます。こういう問題につきましては、今後の推移を見て、いまの基本線をもとにしながら相手の出方を注視いたしまして、適時適切な対策をとる。先ほど来大臣が申されておりますとおり、前ジョンソン大領統の処置が出ました直後におきましてわがほうは正式にコンサルテーションを申し入れまして、少なくとも大圏コース等については前回以来のある種の合意があるわけでありますので、こういったものについては正式に話を進める、それ以外につきましても附表におきます不均等と不平等と思われる内容についてこれを是正する、あるいは、均等なところまでわがほうの立場を持ち上げるという趣旨で会談を持って進んでいきたいと考えておる次第でございます。
  46. 久保三郎

    久保分科員 時間がありませんから、簡単に結論を申し上げますが、ニクソン大領統は、いままでわれわれが持っていた既成観念と違った政策というか方向を展開していくんじゃないかという見方もあるわけですね。その問題は別として、幸か不幸かわかりませんが、向こうは、一たんそういうものをきめて白紙に返した、こういうのでありますから、われわれのほうも、一ぺん将来の展望に立って——日米航空協定、特に附表が問題なのでありまして、本文の条文に公平あるいは対等とか平等とか、どんなに書いてあっても附表のほうで具体的に平等性を欠いていたのでは困るわけです。これは単にアメリカとか日本の権益だけではなくて、将来の太平洋における航空輸送の問題を処理するという共同の目的のために調整をはかる必要があると思うのです、もはやこの際は。というのは、われわれのほうは、皆さんの御努力もありまして、日ソの航空協定も改定の運びになって自主運航もできる、こうなってまいりますと、もはや単なる太平洋だけの問題ではないのですね。だから、この際は、訓令を出し直すというか、その前に政府として日米航空協定の特に附表について、将来の展望に立ってどう発展させるのが一番いいのか、これはやはりもう少し考えるべきだと思うのですね。いまの協定のままで便数がふえるのは向こうさんの言うとおりになっています、会社を追加するのも同じです、ただ経由地なりコースが違うときだけの協定で、わがほうの大圏コース、ニューヨーク乗り入ればコースが新しく追加になるから、これは航空協定の改定だ、向こうからやってくるものは一方的な通告で終わるのだというのでは、これは何とも納得いかないし、こういうことではますます混乱すると思うのですね。だから、まずジョンソン大領統が一応決定したといわれるものについて問題があるのでありますから、そういうものをもう少し取り上げて、これはもう一ぺんわがほうで検討し直す必要があると思うのです。これは一ぺん訓令を出したので、たてまえ上悪いかもしれませんが、やむを得ぬですな。外務省、どうなんです、あなたのほうは。
  47. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど私申し上げましたように、下田大使はこの問題に関する日本政府の基本的な考え方を米側に申し伝えたわけでございまして、ジョンソン大領統の決定がいいとか悪いとかいうこと自体を離れまして、協定の趣旨に沿った公平かつ均等な機会が与えられるべきであるという基本的な態度で進めているわけでございます。したがいまして、昨年の春、いわゆるパーク勧告というものが出まして以来、日本政府としましてはあらゆる機会をとらえてこの日本政府の基本的な考え方を米政府に繰り返し申し入れをいたしておりますし、その段階におきましてパーク勧告の処理いかんについては、日本政府としてきわめて強い関心を持っておるということを申し入れてきておるわけでございます。昨年の十二月十九日にジョンソン大領統の決定が発表された後におきましても、日本政府としては、こういうことでは日本の航空企業に対してまことに重大な影響を及ぼすことになるので、至急協議をしたいということを申し入れているわけでございますから、今回下田大使を通じまして申し入れた内容も、まさに現在の航空協定の目的に沿った円滑な航空運営が行なわれることを強く希望する、こういう趣旨につながるものでございます。
  48. 久保三郎

    久保分科員 いまの航空協定に沿ったと言うが、それは附表というのは航空協定の附表でありますから、さっきから申し上げているように附表が問題なのであって、そういう申し入れの趣旨ならそれはなおけっこう、あらためて具体的に附表の改定について交渉を開始するという申し入れをこの際すべきじゃないですか。単に大圏コース、ニューヨーク乗り入れだけで交渉しますなんて、そんなばかな話はだめです。この際は航空協定の精神に従って附表も改めましょう、それは世界の航空の問題として、いわゆる太平洋の航空のあり方としてやろうじゃないか、特に両側にある日米の間で処理されることがまず第一に責任ある国々の態度じゃないかというようなことで交渉するのがほんとうじゃないですか。交渉を開始してもらえないですか。
  49. 原田憲

    原田国務大臣 考え方として、今後の太平洋の航空路というものは大切であるからしっかりしろという御趣旨に受け取りました。私ども、いま局長から言いましたように、ニクソン大領統がやりましたことは、かつてないことをやっておる。そして、ずっと向こうで調べさせますと、いままでのこちらが折衝しておった人たちが、たとえばその役人の人がもうポストを去っているというようなことで、向こう側がこれからどうなるかということがまだ確実につかめないというようなこともあるわけでございます。したがって、いま久保さんがおっしゃったように、わがほうとしては、この表現がまた当たるか当たらぬかわかりませんが、敵を知り、おのれを知って戦わば百戦危うからずで、相手のほうがいまよくわかりませんので……。しかし、おっしゃっておることはよく私わかっておりますから、十分こちらで、政府政府——この前のときには、たしか国会でも、ニューヨークの場合は大切な問題であるからということで行動願ったように私は承知をいたしております。十分今後の問題について検討に検討を重ねて、今後の太平洋ケースというものが日本の国益につながるように、世界の発展につながるように対処していきたいと存じます。
  50. 久保三郎

    久保分科員 この問題は、時間もありませんので以上にとどめておきます。いずれ機会をあらためてその後のお考えを伺いたいと思いますので、外務省においても同様に承知しておいていただきたい、このように思います。  そこで、たくさん問題がありますので、主査からお話があったように、答弁は簡単に、質問も簡単にということでしたいと思いますが、次に、自動車関係をやらせてください。  まず第一は、予算の総括でお尋ねしようと思ったいわゆる自賠責の問題でございます。これはすでにその日の朝、私が質問しようとすることについて運輸大臣は記者会見をされて早手回しに御発表になったようでありますから、国会の場所でひとつ確認をしていきたい、こういうように思います。特に自賠責の損害賠償の限度額の引き上げの問題は、前運輸大臣の中曽根さんが昨年の通常国会の末期に私の質問にお答えいただきまして、この春から大体五百万円ないし六百万円に引き上げていきたい、そういう措置をしますと、これは明言しました。だから、これはほんとうにそのとおりやるのか。それからもう一つ、多少の料率の引き上げは、あるいはあるかもしらぬ。しかしながら、この間新聞で見るように、損保業界が言うように二倍半とかそんな引き上げはわれわれはどうもどう計算してもそんなことはないと思うのであります。もしも二倍半に引き上げなければ損保界が引き受けられないというならば、この際、いまのような四割を業界に頼む、六割国が再保険という制度を改めて、一本化して、国営、直営にしたらどうだという主張をまずしたいのであります。このお考えはどうか。  それから第二番目には、すでに私のほうから法律改正案として前国会から引き続き提案中の自動車損害賠償保障法、この改正案を提案しておりまして、中身は、御案内のとおり、この自賠責に入っていない、いわゆる適用除外の官庁その他の車及び大きい会社の自家保障をしているものの二つを全部自賠責の中へ組み込んでしまう、これが必要ではないか。これについては、大臣も同感の意をこの間表されているようでありましたから、これは法律改正によらなければなりませんから、もしも、野党提案でありまして、政府としては野党提案がじゃまであるというならば、即刻われわれのほうは引っ込めますから、あなたのほうから同じものを提案していただきたい。いかがでしょう。これが二番目。  それからもう一つは、飛騨川の事件について自賠責を適用いたしましたが、これは政府としてはあまりにも便宜的である。だから、こういう自賠責のあり方について基本的に検討する時期に来ている、こういうように思うので、これに対してはどう思いますか。これは簡単にいかないかもしれませんが、もしお考えがありましたらお聞きすることにしましょう。  以上、自動車関係と、もう一つは、過疎地帯におけるところのいわゆるバスの運行について今回の予算には何がしかの助成をしようという御方針であります。これは、額はかなりきつい額でありまして、実際に運行を確保させるのに用が足りるかどうか、私は疑念を持っております。これは、言うならば、赤字の企業に対して、人件費を除いた残りのいわゆる赤字分に対して地方自治体とともに二分の一ずつ助成しようということであります。こうなりますと、残念ながら過疎地帯におけるバスなどは新しいものはありません。償却費といっても、これはほとんどない。あと残りは、言うならばガソリン代を助成しようということであります。これではなかなか運行確保はできないだろうと私は思うのであります。この点について、もしお考えがあれば伺いたい。  それからもう一つは、運輸省設置法で改正しようとする地方陸上交通審議会というのは、いわゆる過疎地帯というものを対象にして審議するところなのであるかどうか、この性格を簡単に御説明いただきたい。  以上です。
  51. 原田憲

    原田国務大臣 自賠責の問題についてお答えを申し上げます。  限度額の引き上げ案については、お話のごとく前大臣が公約をいたしておるのでございますから、私もそれを引き継いだ限りこの引き上げはなさなければならぬ、このように考えております。ところが、お話にもございましたが、事故がたいへんふえてきまして、予想外の保険金支払いのために現行限度額のもとでも収支が相当の赤字が見込まれるに至っておりますために、この赤字補てんのための保険料の引き上げを検討する必要が生じておるのでございます。これをいま総合的に行なっておるわけでございますが、これは早急に結論を出すべく努力を事務当局にさせております。  そこで、その赤字が大きいからといって、今度は保険料がいま評判されておるようなことになるぐらいなら社会党法案に盛り込まれておるようなやり方のほうがいいのじゃないか、こういうことでございますが、このことにつきましては、私どもはこの保険制度を全国的に握っておる現在の組織を通じてやるほうがやはりよいのじゃないかと考えておりますので、方法を変えるということについては、従来の方法でやっていきたいと思っております。  その中で、先ほど話が出ました自家保障制度、それから適用除外制度、これについて私が前向きなことをもうすでに発言をしておるが、これをやるためには法律を改正する必要がある、自分のほうの法律を引っ込めてもやれ、こういう非常に激励と私は受け取りましたが、激励を受け取っておるのでございますが、この点につきましては、私が申し上げておりますように、前向きの姿勢で検討をしていきたいと思っております。  それから飛騨川のバスの問題でございますが、これは、これを適用するときに法務省はじめ関係機関に意見を徴することによって慎重審議をやって、それで、不可抗力ではなかったということを理由にして自賠法を適用するということになったと私は承知をいたしておるのでございます。いわゆる行政上の判断でやったのでございまして、これは最終的には司法上の判断を待つべきものであるということは申すまでもないことでございます。これらの問題もあることであるから、自賠責制度について、もう一度よく検討してみろというお話がございましたが、検討いたしたいと存じます。  それから、もう一つは過疎地帯におけるバスの対策でございますが、これは今度新しく制度としてつくっておるのでございますが、私どもが国のほうから補助金を出す——これは他省のことまで申し上げることはないと私思いますけれども、地方のほうでも応分の分担をしてもらって、そしてこの過疎地帯におけるところの交通を確保しよう、こういう考え方でございまして、十分とはいきませんけれども、少なくとも過疎対策について新しい部面を開いたというふうに受け取っていただきたいのでございます。具体的に、それじゃこの補助によって何往復やれるかということにつきまして、私よくわかりませんから事務当局から答弁をさせますが、要するに、新しい制度として過疎対策として道を開いておるというふうに受け取っていただきまして、今後十分にこれらの制度を活用いたしまして過疎対策をいたしたいと思います。  なお、私の答弁の不十分なところは政府委員から答弁をいたさせます。
  52. 久保三郎

    久保分科員 バスの助成は、これじゃとてもじゃないが確保できないとわれわれは思っている。ただ、政策としては前進であることは事実であります。いままでなかったのでありますから。しかし、これは大臣、いまの政府のこと全体を言ってはまた悪いのでありますが、どうも政策の谷間にいるようなものに対しての配慮というものが非常に少ないのですね。大きな、何とか一人立ちでやっていけるようなものに対しては、従来のいきさつもあるからどうだとかというようなことで、成り行きに従って大幅な助成もしている。こういう過疎地帯にいるものは大体においてあまり生活が楽じゃないことは事実であります。そこで、足といっても、自家用車を持つといったってこれはできないのですね。だから、こういうところにまるきり助成をしてみてもそんなにびっくりするほどの額ではないと私は思うのですよ。やるならもう少し、ああそうかといわれるような政策をひとつやってほしい。今度の予算は何でもやりますという予算なんですね。どこをめくっても大体こういう問題はあります。みなあるのですよ。あるけれども、みんなたいしたものじゃない。だから選挙対策予算だ、こういわれるのでありますが、運輸省は違うかもしれませんが、過疎対策などはもうちょっと力こぶを入れてもらいたい、こういうように思います。  それで、こっちのほうの話が長くなっては時間がございませんから、地方陸上交通審議会というのは官房長から……。
  53. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま先生質問地方陸上交通審議会の件でございますけれども、これは従来ございました地方自動車運送協議会というのをやめまして、そのかわりに鉄道も取り入れまして、陸運局長の所管に属しまする重要事項を調査審議するという趣旨で新設する予定にしております。したがいまして、その陸運局の管内で、かりに過疎問題が重要事項であるということになりますれば、その問題も調査審議する対象になるというふうに考ええておる次第でございます。
  54. 久保三郎

    久保分科員 この構成メンバーについては、十分各界を網羅して、片寄らないようにやってもらいたいと思うし、もう少しこの審議会にも注文はございますが、これはあとでまた申し上げる機会があると思うので、これだけにしておきます。  そこで、時間があまりありませんが、やはり設置法の問題でありますが、船員の職業安定審議会というものと、この労働委員会ですか、こういうものを一本にしてしまうというのがいま提案されつつあるようでありますが、これもどうも常識的に見てもいま労働力の問題が一番問題になっているわけですね。職業の政策というものが一つは問題になっている。  それからもう一つは、毎日の新聞に、最近漁船というか、船の事故、海難が非常に多いんですね。海難の事故が多いということは労働条件の問題にも一つはあるわけです。そういうさなかで、労働委員会の仕事というものも、かなり特殊なというか、陸上におけるところのものとはだいぶ違ったものでありますから、これは労働委員会としての機能を十分に発揮してもらわなければいかぬ時代だと思うのですね。ところが今度一本にしてしまう。きょうは行管に来てもらわなければ話がはんぱになりますが、何かどうも画一主義で、どっかで一つ減らせ、ここで減らそうかというようなことで減らします。きょうは通告しておりませんが、あとで気象庁の問題はだれかやりますが、気象庁の中でもそういうものがたくさんあります。観測というか、そういうものを簡便にしちゃおうというようなことですね。何か算術計算で全部やっちゃおうというようなことであって、現業機関などの必要なものをどんどん廃止していく傾向が多いのですね。昔の役所主義になって、管理体制というか、上のほうだけが頭でっかちで下のほうは少なくなってくるというような行政改革が何か逐次行なわれていくような、特にいま申し上げた運輸省の所管について、これは船員局長もお見えですが、あまりいままで活躍しなかった部面もあるとかないとかいう話もありますけれども、これはこれからが問題だと思うのですね。だから、これについてはどういうふうに指導されるのか、ひとつそれだけ簡単に御答弁いただきたいと思います。
  55. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど新しい審議会のメンバーに労働代表を加えるかという御趣旨のお尋ねがございまして、後ほどということがございましたが、それは十分御趣旨は尊重いたすということをお答え申し上げておきます。  それから、いまの問題につきましては船員局長から答弁させます。
  56. 高林康一

    ○高林政府委員 船員労働委員会と船員職業安定審議会を統合いたしますのは、行政改革の一環といたしまして、審議会をなるべく整理統合しようという考え方に基づくものでございます。この場合、先生指摘のございましたとおり、船員職業安定業務というものが、船員の労働力不足という要求にかんがみまして今後ますます重要になるということは、私どもも同様に考えております。そういうような意味において、審議会を統合いたしましても、船員職業安定審議会が持っておりました機能はそのまま船員労働委員会に移す、たとえば、会議の開催日数とか、あるいはまた委員の構成人数、そういうようなことにつきましては船員職業安定審議会と同じにしてやっていくというふうに考えて、そして機能の低下することのないように今後とも進めていきたいというふうに考えております。
  57. 久保三郎

    久保分科員 これは法案が出てくるようでありますから、その際にまた詳しく質問しましょう。  もう二つほどあります。海難が最近特に多くなっているわけですね。毎日一つぐらいずつ全損に類するものがある。これは救助体制以前の問題でもあると思う。海上安全の問題というか、安全操業というか、そういうものもあるし、航行の安全もあるし、いろいろな面からやらなければならぬと思います。一たん海難が起きた場合の救助体制がいまのままでいいはずのものではない。ところが、来年の予算を見ても、巡視艇とかそういうものは多少計画的にはやっているようでありますが、まだまだ足のおそい船がたくさん残っていることは事実です。それから、もう一つ近代化しなければならぬもの、たとえば航空機の整備についても必ずしも十分でないのですね。結局、海難も大型化しているわけですよ。全損というふうに。だから、この際は飛行艇ですね。いままではヘリコプターあるいはビーチクラフトみたいな飛行機で捜索するだけなんですね。救助というものはなかなかできない。だから、救助を含めたところの航空機である飛行艇をこの前にも申し上げているはずでありますが、最近自衛隊のほうではPX幾つというのを購入しているようであります。これは型式証明が出るとか出ないの問題があって、一般的な飛行はまだできないけれども、遠からずこれは型式証明が出る段階だという話を聞いている。よって、PXという飛行艇をぜひ来年度の予算には入れるくふうをすべきじゃないか。そのために、ことしは少なくとも三カ所ぐらいの基地整備を急ぐ。北海道、あるいは関東なら館山、九州なら大村、そういう三カ所ぐらいの基地を置いて、そこに適当な機数を配置していくならばいまの海難救助ももっと的確にいくだろうと思うのです。私はやぼな話はしませんが、自衛隊が使ってどんどんやっているのであります。それをどうして海上保安庁が持てないのかということです。国民としてはこれは素朴に感ずるわけですよ。戦争がいまあるかないかわからぬところにそういう優秀な飛行艇などを配置されるが、いままさに事故が起きているところ、必要なところには配置せられていない。これは大臣、どうでしょうか。こういうのは少し考えなければいかぬ。
  58. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございましたPXの件でございますが、先生指摘のように、ここ数年来、遠距離海難、特に、ことしに入りまして相当大きな遠距離海難が続発いたしておる状況でございますので、遠距離海難用の航空機を保有することの必要性というものを私どもも考えております。すでに本年度中にYS11型の飛行機を就役させることになっておりますが、これはこのような線に基づくものでございます。特に最近、ただいまお話のございましたPX−S型飛行艇が開発されまして、その性能は低速で飛行が可能なこと、耐波性が良好であること等、遠距離救難用の航空機といたしましてはすぐれた性能を持っておるというふうに報告を聞いておりますので、私どもといたしましても注目しておるわけでございます。ただ、海上保安庁が具体的にPXの問題を考えます場合に、なお相当検討をしなければいけない数点がございます。  まず第一は、報告されております性能、特に着水あるいは着水状態というものが波高四メートルというふうに報告されておりますが、これが十分なテストによりまして今後確認されるということが、私どもが現実に救難用として使用する場合はぜひ必要であるかと存じます。今後この点についてさらに試験結果をまちたい。それからいまお話のございました航空法による必要な耐空証明その他の問題につきまして、今後確実にそれが得られることというのが問題でございます。  その次に問題は基地でございますが、基地増設につきましては、私どももいろいろ努力いたしておりますが、基地の事情によりましてはこの飛行艇を水陸両用にするということが必要でございまして、この改造が十分可能であるということも検討さるべき問題であると存じます。  その次に、私どもは現在YSを入れておるわけでございますが、YSに比べましてこの飛行艇ははるかに高価でございます。したがって、この価格の点につきましても、予算上の問題といたしまして、私どもの全体の予算規模から十分に検討する必要があると考えられますので、これらの問題点につきまして、私どもも十分検討いたしまして、この飛行艇の採用につきましては、さらに慎重な検討を加えてまいりたい、こう考える次第でございます。
  59. 久保三郎

    久保分科員 YS11よりは高いというのはあたりまえだろうと思うのです。だけれども、YS11というのは、海難の場合ただ捜索ができるというそれだけなんですよ。救助は直接できない。だからさっきから申し上げているように、救助を兼ねるものとしては飛行艇以外にないであろう。こういうふうに思うわけで、いま御検討いただくということが何点かあったようでありますが、少なくとも四十四年度には調査研究をして、来年度は予算をつけていくという方向でやってもらったほうがいいじゃないか。もしあるならば、事と次第ではYS11の整備計画もあわせて、この中に織り込んでみたらどうか。あるいは船の問題もいろいろな問題を織り込んでみたらどうか。ただいままでの——いままでと言ってはたへんた失礼な話ですが、何か成り行きにまかせているわけじゃないでしょうが、船の建造がどうだとか、飛行艇はどうする、飛行機はどうするとかいうだけの計画じゃなくて、もっと立体的な構想から飛行艇はどうするかという研究をひとつしてもらいたいというふうに希望しておきます。  次に、時間がありませんし、海運局長もおいでですから、海運問題について、いずれ海運助成法案が出てきますから、そのときに本格的にお尋ねをしたいと思うのですが、予算関係するものでありますから二つ三つ申し上げておきたいと思います。  まず第一に、今度の海運政策というものには何か焦点がないようにわれわれは思うのであります。海運界は変わっておるかというと大いに変わっておる。大いに変わっておるというのは、単に国家助成によって再建ができたということではなくて、海上輸送におけるところの大きな変革並びににコンテナを中心にした港湾整備によって変わってきておるわけです。  それから日本に供給される原材料の問題も含めて考えれば、この辺で海運対策というのはもっと視野を広げて再検討する時期にありはしないかというふうに思っております。  と申します一つの問題は、三国間輸送の問題が従来ずっと引き続いて助成対象になっておる。これは外貨獲得、海運収支改善ということだが、なるほどいままでの説明だけで見てみると、海運収支の改善にはなるが、国際収支改善については、海運ばかりではなく総体的総合的な政策として考える必要があると思うのであります。海運収支の改善国際収支改善をはかることができればけっこうでありますが、しかし、おのおの特質、特徴がありますから、特徴を生かしながら国際収支改善というのはやっていくべきだろうと思う。今度の海運政策の提案に対しては、国際収支の問題をいわないで国際競争力の強化ということをいっておる。どういうわけかわかりませんが、海運の国際競争力の強化というのは、何か相撲をとって負けないようにしようということだと思うのでありますが、それは十分に自分の船が有利にかせぐということだと思うのです。簡単にいえばそうだと思うのです。その有利にかせぐということに対していまの場合は不利なのかということですが、不利ではないのです。全部目まぐるしく荷物収入があるわけです。だから、そういうものだけではどうも何か焦点が合わない。もし焦点を合わせるとするならば、海上コンテナの輸送の問題御案内のようにスペースチャーターということで三グループとか六グループとかの間では、そういう共同によるところの方策も考えておるようでありますが、われわれしろうとが見ますのに、たとえばコンテナバンがたいへん高いのだ、そういう高いものならば何も各社ごとにつくる必要はなくて、一つにまとまってつくって、運用もそういうもので一括してやったらどうかという気がするわけです。これが第二番目の問題ですが、こういう問題は考えておられないかどうか。  第三番目の問題は、今度の新しい海運助成のあれでは、インダストリアルキャリアに対しても、いわゆる集約、非集約の船と同じように助成をしようということであります。でありますから、この原材料を運ぶところの、たとえば専用船、タンカーというものは、言うならば、日本の国内におけるそれぞれの産業の自家用車的存在のものが多い。あるいは限定免許といった、陸でいうトラックですね。これは一つの石油企業なら石油企業という中の輸送を担当する海運会社、片方にはコモンキャリアとしての海運会社があるわけですが、これがいま画然と分かれつつあるわけであります。ところが、私はずっと従来から言っておるのでありますが、日本の海運企業は、食道はあるが胃袋は持っていない。食道は他人の胃袋につながっているということであります。幾らめしを食わしても自分の栄養にはならない。ほかの産業の育て役になってしまうということをいうのでありますが、そういうコモンキャリアとインダストリアルキャリアというものが画然と出てきた今日、ただ単にそういう船を対象にだけものを考えていくことはちょっとどうかと私は最近思うようになってきた。そういう意味でいつかも申し上げたのでありますが、いわゆる専門経営に直していったらどうか、政策の誘導はそういう方向で持っていったらどうかというようなことを私は言いたいのであります。  それから四番目は、このコンテナの一貫輸送の体制でありますが、外貿埠頭公団をめぐって海運界と港運界がいろいろやって、最近は落ちついたかもしれませんけれども、私は一貫輸送体制というのは、ある特定の企業が一貫をするわけじゃなくて、それぞれの分野で共同作業によって荷物そのものが一貫輸送体制がとられるという制度だと思うのです。そういう指導が運輸省としては多少後手に回っているんじゃなかろうかと思うのです。港湾のほうは港湾海運のほうは海運、陸運のほうは陸運、だから陸運一つ見てもあんなでっかい海上コンテナをトラックで輸送することを免許をして、それで今度は総合交通政策をやるので何かその審議会をおつくりになろうというのですね。これは何だかどうもわからないのですね。そういうものを少しこの際整理してみたらどうかということを申し上げて、時間でありますからこの辺でやめます。答弁は簡単にしてください。あとの方の質問に差しつかえますから。
  60. 澤雄次

    ○澤政府委員 まず第一に新海運政策の目標でございますが、新海運政策におきましては、再建整備期間中に力のつきました海運業界の力を最大限に活用して、そして今後日本の海運国際収支改善し、積み取り比率を改善しようとするものでございます。  それから第二に海運界はコンテナを中心にして非常に変貌を遂げてきた。あるいは原材料の輸入が膨大な量にのぼってきて、海運界の形も変わってきている。これは先生のおっしゃるとおりでございます。新海運政策におきましては、このようなコンテナあるいは原材料の輸入のための船の整備ということに重点を置いて考えてございます。  それからコンテナにつきましての協調でございますが、これも四社あるいは六社というものを互いに協調させましてグループをつくって、そしてコンテナのための膨大な投資額を六社相携えて出していく、こういう指導をやっているわけでございます。  それからインダストリアルキャリアに財政資金をつけろ、こういう海運造船合理化審議会の答申に基づきまして、その方向で検討いたしておりますが、これはインダストリアルキャリアの持つ船といえども、国際収支改善に貢献することはこれは同じでございます。もちろん集約体制というものを中心には考えております。そういう貢献をするものに金が足りないという場合に資金の補完をするということで、その協調融資がやりやすいように少しばかりの財政資金を出そう、こういう考えでございます。  それから最後にコンテナの一貫輸送体制につきましてはまさに先生のおっしゃるとおりでございまして、運輸省といたしましても海運界、港湾業界あるいは陸上輸送の業界のおのおのの分野におきまして協調して、その間の連絡をよくして一貫輸送がうまくいく、このように指導をいたしておりますし、現実にもそのように話し合いは行なわれております。  以上簡単でありますが、お答え申し上げます。
  61. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 次は加藤万吉君。
  62. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 大臣に最初お尋ねいたします。  首都圏整備員会で首都圏基本計画が発表されました。その中に港湾関係に対する計画が明らかになっておりますが、東京港外の主要港の整備について委員会は問題を提起をし、その中に鹿島港を大規模な工業港、さらに日立港を工業港と商業港の併用、さらにそのあとに「東京湾外において、拠点的港湾の建設を検討しその整備の促進を図る。」こういうふうになっておるわけでありますが、港湾整備五カ年計画の中に、東京港外の港湾整備建設の検討、この課題は一体どこの地名あるいはどこの地域をさして述べているのでしょうか。
  63. 原田憲

    原田国務大臣 非常に具体的な問題でございますので、港湾局長答弁させます。
  64. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  ただいま港湾整備五カ年計画の中で、首都圏の中の東京湾地域外の港湾整備がどこが入っているのか、こういうお尋ねかと思います。いまお話しのように鹿島港、これはもちろん入っております。それからそのほか日立でございますとか、千葉県の港でございますとか、あるいは湘南につきましては大磯をこれから検討いたしておるわけでございまして、五カ年計画といたしましては、そのほかには重要な大きな問題は、大きな港の大きな計画ということはございません。
  65. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 昭和四十三年度、四十二年度引き続いてでありますが、相模川の河口の、私どもは新湘南港と呼んでおりますが、運輸省のほうでは相模新港、この調査が行なわれております。昭和四十四年度、すなわち今年度予算の中では、この整備五カ年計画の中に相模新港の整備について具体的にその計画はどう入っておるのか、お聞きしておきたいと思います。
  66. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  相模新港とか、あるいは新湘南港とか、いろいろ申しておりますが、五カ年計画の中にはまだ全部入っておりません。  それから昭和四十二年、四十三年で調査したということは事実でございます。昭和四十四年におきましても調査したい。これは御承知のように、昭和四十四年度調査費というものは全国一本の調査費でございまして、まだ四十三年度の調査の成果と申しますか、そういったものはまだできてきておりませんので、各港ごとにそういった成果を聞きましてから、どこのどういうような調査をするということをここ一、二カ月の間にきめたい、かように考えております。
  67. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 同じように首都圏整備員会で東京湾を中心とする海上輸送、これが昭和四十年に比して昭和五十年ではおおむね二・五倍になるだろう、こういうように報告をされておるわけです。いま新湘南港の問題が具体的には調査の段階を経て、実施計画を行なうための調査といいましょうか、単なる検討の段階から予定をされる港としての調査、そういう方向に私はまいっているのではないかというように推定をするわけですそれはこの委員会でも提起をしておりますように海上輸送の貨物量が二・五倍にもなるということになれば、しかも昭和五十年度にその事態の解消のための港湾整備を行なわなければならない。こうなりますれば、当然のこととして東京湾外の港の設置、それはより早い時期に具体化をしなければならない、こういう結論が生まれてくるわけであります。したがっていま局長が述べられたことは、単なる調査、たとえば四十三年度の調査を見て、いま一ぺんどこに問題点があるかという調査を行なうという段階ではないのではないかと私は判断をするのですが、いかがでしょうか。
  68. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 まだこのいわゆる湘南地域の相模湾一帯に本格的にどこに港をつくるということを目標にした調査をいたしているわけではございません。私どものほうでは、御承知のように、科学技術庁でつくりました湘南海岸のやぐらを使いまして、波の方向、波向き調査と申しますが、これを四十三年度にはやりました。それからもう一には、もし湘南地帯のどこかに港ができた場合には、つまり企業の方々がお使いになるだろうかどうだろうかといったふうな調査を私どもの出先でやっております。したがいまして、これを具体的にどこそこにきめてというふうには私どもは考えておりませんが、まだ実は、御承知のように、県の段階と申しますか、県の段階でまだ議論が非常にあるようでございます。港湾の建設は、先生御存じかと思いますが、港湾管理者側が開発、発展の一切の責任を負っております。国がみずから手を出してやるというような飛行場みたいなことではございません。港湾管理者が設立されまして、その港湾管理者が地方議会にはかりまして、そして港をつくるとかどの程度の規模にするということをきめて、それを本省に申請をしてまいる。その中で、私どもは、それが国全体から見てそれぐらいの規模が必要かどうかということを調査、検討をいたして、陸上輸送の関係でございますれば、運輸省国鉄あるいは道路局、首都圏そういったものと話し合いをいたしまして、その計画というものが具体化できる計画かどうか。さらには、予算段階になりますと大蔵省というところがございます。いま新湘南港の段階と申しますのは、私どもはまだ県からその詳細な内容について、担当の者も全然聞いておりません。過去におきまして、昭和三十九年からかくかくこういう調査をいたしました。漂砂の調査をいたしましたとかこういう調査をいたしましたとか、これは聞いております。四十四年度内に何とか県の段階で結論を得たい、そういう話は聞いております。しかし、県の段階で結論をお得になっても、御承知のように港湾管理者もできていない。港湾管理者をつくるのに、これは県だけでできるものではございません。その港湾区域というものを明示いたしまして、そこの地元市町村の同意がなければできないわけでございますから、私どもはまだまだ実施の段階とは思っていないわけであります。
  69. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 実は、たぶんそういう御答弁があろうかと思って、県の議会での知事の答弁の議事録を詳細に調べてみたんです。神奈川県自身としては港の必要性を感じない、むしろ国全体の、首都圏の輸送量等々の状況から見て、相模新港がその適地とされるならば、それに対する国の財政的な援助の問題あるいは国の施策上の問題等をよく聞いてから慎重に配慮をしたい、これがここ二、三年にわたる県側の答弁なんです。ですから局長が言われるように、事業主体が地方自治体であることは私も十分承知しております。しかし、その必要性というものは一体その地方自治体なり市なりから生まれてくるのか、あるいは今日の首都圏全体の貨物輸送量の面から見て、国という角底で問題が提起をされてくるのか、これは非常に重要なところなんですね。地方自治体がみずから必要だとするならば、それなりに地方自治体の財政負担なりあるいはみずからの計画というものがあるでしょうけれども、国全体の視野からそれが必要だというふうなことになってきますと、地方自治体の意見はこちらに置いて、いわゆる首都圏全体の整備関係からという問題の提起が強くなってくるわけです。そこでもし設置されるとするならば国がどのような財政的な援助をするのか、補助をするのか、こういう問題に私はなろうと思うのです。どうなんでしょう、この辺は。
  70. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 国といたしましては、地方公共団体からいろんな計画の問題が出てまいるわけでございますが、そのときにそれを一々さようごもっともというわけにもまいりません。国全体から、たとえば首都圏についてはどことどこくらいに設置したほうがよかろうという国の腹がまえも必要でございます。したがいまして、いろんなそういったものの調査をやる、そうして地方公共団体から要求があった場合にはそれをチェックするということはいたしております。しかし、現在の法律から申しまして、国が港湾管理者になり得ない限り、何もそういうことは実行上はできません。地方公共団体反対するのにできません。神奈川県におきましても、やはり首都圏という大きな問題ではなしに——神奈川県は御承知のように西北部の発展というものが最近はすばらしいものがございます。ここに置きます工場あるいは住宅などの建設資材、こういったものをいまの東京湾の混雑状態から考えますと、あそこに揚げたほうがいいんじゃないかというような必要性と申しますか、そういった御関係から、県といたしましては昭和三十九年から調査をお始めになったというふうに聞いておるわけでございまして、私どものほうはそういう首都圏の問題いわゆる各省間といろいろ話します際に、どうも相模湾のあたりにほんとうに海の窓口が必要ではないかということから、県の調査も相当進んできたのではないか。そしてまたそういったことからやっとおみこしを上げまして、昭和四十二年度から実は調査をいたしておるわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃるような実施にあたって国が主導権をとるとか、国が何割補助を出すとか、こういったような問題はまだまだ先の問題で、ほんとうは地元の港湾管理者を設立いたしまして、その管理者からの要望がなければ——国が強制するという、そういった法律のたてまえにはなっておりません。
  71. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 先ほど御答弁にありました調査の段階で、貨物の輸送量がどのくらいあるだろうかというアンケートが運輸省の第二港湾建設局企画課長さんの名前で各社に出ております。これを拝見いたしますと、前段では、実は相模新港という構想があります。したがってこの構想に基づいて、おたくの貨物はどのくらい港を通して流通機構の中に入っていくのでしょうか、あるいはそれができたらおたくの会社がどういう便宜を得るだろうか、そういう前段の文章なんです。ところが後半にまいりますと、そういう構想というのが計画になっております。その次には、これは非常に重要なところですから読んでみますけれども、「ところで右図のごとく相模湾の相模川河口に相模新港という新しい港の建設が予定されています。」というのです。これはこの文章のとおりです。これは運輸省が出されたのですよ。地方自治体が出されたのなら、そういう予定なり何なりは地方自治体の問題でしょうけれども、答弁が違うじゃないですか。構想があり計画があり、しかも予定をされていますという、運輸省がそういう角度をとられているのじゃないですか。いかがでしょうか。
  72. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 私は土曜日に、先生の御質問があるということで急速、実はこういう問題はどういう問題なんだろうというふうに聞いてみたわけであります。県でやっておるというものですから、県のほうから聞いてみましたら、二建のほうでもそういう経済調査をやっているんだということで、私はその資料を土曜日に初めて見ました。  御承知のように実施が予定されているというのは、だれがつくるかということでなしに、多分企画課のほうでは——第二港湾建設局というのは運輸省の支分部局でございまして、その部局の下の課長の名前でそういう調査をしたということでございますが、実施が予定されているといっても、港湾建設局や運輸省が、先ほど来申し上げましたように法的に実施の決定をする機関でもございませんので、あるいはそういう予定されているというのは、県その他のところでどうもそういうようないろんな調査が進んでいるというようなことかとも思いまして、まあ多少表現もどうかなという感じもいたしますが、いわゆる港湾建設の基本的な考え方を知っている者にとっては、それは国が予定しているということには解釈できないだろう、かように思います。
  73. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 日本語というのはなかなかむずかしいですからね。構想ですね、頭の中で想を練るということ。計画となりますとこれは予定計画もありましょうし、計画の変更ということもあります。だが、私は予定ということは、これは相当実施を——計画をされ、それを事実上実行に移すということばに日本語的には解釈ができると思うんですよ。そうなりますと、いま局長が言われたように、単なる調査は四十三年度の調査をあげて、それを再検討して四十四年度にはいま一ぺん調査の対象をどうするというような問題ではないのじゃないですか。実際は県の知事は、去年の十二月十三日の県会でしょうか、その答弁でも、県としては慎重に配慮したい、まだ国の計画がはっきりわかりませんから慎重に配慮したい、こう言っておるのです。慎重に配慮をし、構想を練るという段階と、運輸省がいわれている予定をするという段階というのは、私は、相当ズレがあるか、あるいは実際実施をする上の計画の違いといいましょうか、そういうものがあるような気がしますが、県と運輸省との間でいま調査をし、あるいはこの計画について進行する状況はどんな状況で進められておりますか。
  74. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 私といたしましては、先ほど来申し上げましたように、その調査の実質的な段階は全然存じていないわけでございまして、まだいわゆる構想、首都圏の中であの辺に海の窓口がほしいなという構想の段階でございまして、県のほうで計画段階に入っておられるというふうに、計画と申しますかコンサルタントに依頼いたしまして、ある程度のことをやっておられるということだけしか聞いておりません。したがいまして、県の御態度がきまれば、正式に運輸省にいろいろ話があるだろうと思うわけでございます。また、先ほど来二建のパンフレットにつきましては多少問題はあるかと思いますが、二建としましては意思決定するところは決して自分ではないというようなことは万々承知いたしておるわけでございまして、私がこの問題につきまして県の当局者、知事、あるいは土木部長、そういった人方と話をしたことは全然ございません。
  75. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 それではこの二建の企画課長さんが、出された文面の後半の部分ですね、予定をされているという問題についてはまだ構想の段階であり、調査の段階である、こういうふうに理解をし直してよろしゅうございますか。
  76. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 おおむねそのとおりでいいと私は考えています。
  77. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 このアンケートを見ますときわめて誘導的なんですね。このアンケートは、港をつくることに対してノーということばが書けないようになっているのです。イエスであるけれどもこういう条件がある、イエスだけれどもうちはあまり貨物の輸送量がない、そういう書き方なんですね。ごらんになられたと思いますけれども、この港ができるとおたくの貨物はこうこうこういう有利な条件になります、ついてはその港をつくることについて貴社は賛成でしょうかどうか、こういうのです。  私は、本来港をつくられるときには二つの側面があると思うのです。一つは確かに国内での貨物輸送全体の経済的条件、あるいは流通的条件ということを考えなければいけないでしょう。いま一つは、この港ができることによって地域の住民がどうなるのだろうかという面が側面としてあるわけです。もう御案内でしょうけれども、もしいま、図まで書いてあるわけですから、この図面でいうところに予定された港ができるということになれば、局長御案内のように、藤沢、江ノ島というきわめて観光地としては優秀な地帯があるわけです。しかも藤沢から湘南地帯、いわゆる自然地帯——きょうは総裁も見えておりますが、国鉄総裁のお住まいの地帯までは、御承知のようにこの首都圏の中では残された唯一の自然美だ、自然地帯だと私は思うのです。しかも御案内のようにあそこは風致地域に指定をされています。丹沢あるいは大山をかかえて、これまた箱根を控えて、国立公園の窓口でもあります。この海と山との一体感があの辺の自然美を保ち、また東京を中心にして千六百万がら千七千百万の人口、人々のいこいの場所にもなっているわけです。そういう環境、そういう住民の住みたいという気持ち、その中に港をつくられるとするならば、当然住民に対して、ここにこのような港をつくるのだけれどもどうだろうかというアンケートがあってしかるべきだと思う。単に輸送関係の貨物の流通機構だけの問題をとらえようとするならば、それはまさに高度経済成長の中に住民が犠牲をしいられる以外の何ものでもないでしょう、どうでしょうか。これは貨物輸送の量がどのくらいあるかという観点ならば、その調査されたことはそれなりに意義がありますけれども、それでは、住民に対する、私がいままで提起したような問題に対するアンケートあるいは調査をやられる意思があるかどうか、お聞きしたい。
  78. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港をつくります場合に、地域住民の考えを聞かなければならない、こういうお話でございますが、これはごもっともでございます。そういった関係から港湾法というのは——この港湾法ができましてから、終戦後できたわけでございますが、非常に一般的に、港というのは地域住民のものだ、こういうような考え方になっているわけであります。したがいまして私どもといたしましては、港のそういったような問題というものは、これはあげて港湾管理者のおやりになることだというふうに理解をしております。したがいまして、運輸省自体がそこに港をつくるわけでもございませんので、この点につきまして、地域住民の御意思は港湾管理者を通じまして出てくるというふうに考え、またそれが筋だ。これは議会におきましても、市議会において議論されなければならぬ問題ですし、また県議会において議論されなければならぬ。その前に、実は申し上げましたように、どこに港をつくるのか、どこの市が関係があるのかということさえまだ全然わからないわけでございます。その点は、先生の御主張はよくわかります。したがいまして、それは市議会なり地域住民のお考えというものが相当支配的になろう、かように考えるわけでございます。
  79. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 くどいようですけれども、管理者、すなわち県でいえば知事でございますね、市でいえば市長ですね。その管理者がノーと言った場合には、運輸省はその建設の推進といいましょうかあるいは促進といいましょうか、それは行ないませんか。
  80. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 それは現在の法律上できません。
  81. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私の持ち時間がまいりましたから、最後に私はお願いをしておきます。  おそらくこの問題は、このまま実行されるということになりますと、住民の感情の面から、あるいはあの周辺、いわゆる藤沢から小田原までに住むあの地に求めた人の抵抗はきわめて激しい、またそういう場所を求めてそれぞれが居住しているわけですから、そういう意味で、この問題の扱いは、私が申し上げましたように地方自治体との関係を綿密にとらまえなければならない問題であろうと思うのです。したがって、この計画をこのまま遂行するのではなくて、一ぺんそういう住民の意思の、討議といいましょうかあるいは意見発表といいましょうか、そういう場所を求められて、その後にいまの計画——私が当初申し上げました構想、計画、予定というその段階にワンクッション設けるべきだと私は思う。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕 したがって、もし予定コースとして進められておるとするならば、その面は今日の状況、今日の時点で取り下げる——取り下げるといってはおかしいが、一ぺん中止をして、いわゆる構想の段階でもう一ぺん地方住民の意思を聞かれて、次の方向に進められることが至当だというふうに考えます。どうか、住民もあげて反対の意思が非常に強いようでありますから、私どももあの自然地域を何とかして守りたいという意思が旺盛でありますし、もし運輸省が強行されるということがあれば、これは住民のそういう意思を体して、私どもも反対の抵抗闘争をせざるを得ないと思いますので、その辺を十分配慮をして次の処置を講ぜられんことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  82. 野原正勝

  83. 北側義一

    北側分科員 私は、本日の質問にあたりまして、ちょうど大阪の実情に詳しい原田さんが運輸大臣の席におられることにつきまして、非常に心強く思っておるわけです。  御存じのとおり、最近の過疎、過密状態、これは最近大きな問題になっているわけです。この都市化の問題に対します交通対策、これが非常にアンバランスのような気がするわけなんです。と申しますのは、たとえば現在東京また大阪、これらの大都市を見ますと、その五十キロ圏内は急激な宅地造成がなされておる、それが現在の実態であります。しかもそういう宅地造成はどうしても地価の安いところへ行なわれ、そこには何ら交通の便がない、そういうところ住宅に入居したり、産業はまたそういう地価の安いところへ工場を立てる。したがって、道路交通網は非常に混雑してくる。また鉄道、私鉄なり国鉄なりの幹線鉄道がないので、ほとんどがバス通勤である。こういう実態から見まして、この都市化に対す交通対策は、今後ますます都市化が激しくなってくる段階でありますので、やはり何らか早急な手を打たなければならない、このように私は考えておるわけですが、そういう問題に対して、特に私は大阪出身の議員でありますから、大阪のことについては幾分か詳しいわけでありますので、どのような考え方でおられるのかということについてお聞きしたいと思うのです。
  84. 原田憲

    原田国務大臣 いまの北側さんの御質問は、住宅と交通という問題をとらえて、今後どうしていくのか、こういうことをお問いになっておると思います。そしてなお具体的には、大阪方面の通勤対策というものがどうなっておるか、こういうお尋ねであろうと思います。私は御指摘のように、地価という問題が住宅問題の非常に大きな問題で、これは住宅だけでなしに公共投資全般の大きな問題となっておると思う。お説のように、安いところへ、安いところへと行かざるを得ない。そうすると、従来の通勤網以外にないところへ行きますものですから、お説のように、従来の輸送のあるところまではバスで出ていく、そこから従来の鉄道を利用する。それに非常に過重されてくる、こういうことになっておるのが現状であると思います。そこで国鉄国鉄、あるいは私鉄は私鉄としまして、この通勤対策を長期的な計画のもとに立てておるわけです。従来は、たとえば国鉄の場合は、七年長期計画の中で四十七年にはどういう形になるというようなことでやってきておるわけですが、それにも増していまのお説のようなことになるから追っつかんじゃないか、こういうことで、これを今度は国鉄問題の中でも取り上げて、通勤通学対策にはこうするというようなことを申し上げておるわけでありますが、具体的には大阪におきましては、従来の長期計画の中には、片町線四条畷までですか、を複線化していく。それから福知山線、これは宝塚までを複線電化していく計画等を取り入れて、通勤対策をやっておるわけですが、なかなかそれでは供給力が需要に追っつかないというので、もっと需要を満たすための工事着工をやれという要望が地元に高いことは、私はよく承知をいたしております。私自身も就任の前までは、あなたとも一緒になってこの問題に取り組んでおった一人でございます。
  85. 北側義一

    北側分科員 いま片町線の複線電化と福知山線の複線電化を言われたわけですが、これは非常にけっこうなことだと思うのです。ところが御存じのとおり、いま大阪を中心としてその周辺部の都市、特にこれは大臣の選挙区ですが、吹田とか寝屋川、また東大阪市、それから大東市、それから八尾市、松原市、この周辺の人口の急増というのは、いま日本で一番なんです。ところがこの大阪というところは東西の交通は全部あるのですね。たとえば京阪とか近鉄片町線とかあるのですが、南北を結ぶ線がいま全然ないのです。それで国鉄としては城東貨物線及び阪和貨物線ですか、これの電化をやって、そしてこれらの都市を結ぼう、このような計画があったことは知っておるわけなんです。私、市会議員をやっておった当時にこれに参加しておりました。ところがそれが一向に具体化されてきてない。初めの私の市会当時の書類を出してみますと、これは非常におくれておるように思うのです。全国で一番激しいそういう人口急増のあるところのそういう計画を、資金面その他いろいろあろうと思いますが、これは当然早急にやらなければならない路線ではないかと私は思うのです。いまのこのままの現況でいきますと、まずいま御存じのとおりの大阪内環状これは実際の問題として朝のラッシュ時なんというものはすごいものなんです。私もちょくちょくラッシュ時に乗りますが、それはたいへんなものです。というのはあれ一本しかないわけです。たとえば八尾の人が新大阪に行くにしても、また松原方面の人が新大阪に行くにしても、片町線の人が新大阪に行くにしても、全部あれを利用する以外にないのです。だから当然あの内環状というのはラッシュ時になると、とてもじゃないが女性では乗れないような混雑ぶりを示しておるわけです。そういう面から考えましても、もう外環状は早急にやらなければならない、そのように私は認識しておるわけなんです。その点、その計画は一体いまどのようになっておるのでしょうか。
  86. 原田憲

    原田国務大臣 私もあまり我田引水になりますから、これは督促していますが、国鉄が来ていますから、ひとつ国鉄から説明させます。
  87. 長浜正雄

    ○長浜説明員 担当しております常務理事、長浜であります。  いま先生質問の大阪付近の通勤あるいは通学、その他都市付近の輸送の状況につきまして、大臣からいろいろお話がございました。また先生が御指摘になりました内環状線もいま非常に混雑しておるというお話もございました。これらにつきましては最近第三次計画の中におきまして相当やっておるのです。初めのスタートがちょっとおくれておったようなきらいがあるのでございますが、最近万博関連その他もございまして、できるだけ仕事を急ごうということで仕事を進めております。お話のございましたたとえば内環状線につきましても、現在非常に混雑しておりますが、これは六両運転でやっております。これをピッチを詰めるのももう過密で限度がございますので、われわれとしましてはこれを八両運転にしよう、そうしますと約三割以上の輸送力増強になるということで、混雑緩和がはかれるということでやっております。あるいはまた阪和線の編成両数をふやすとか、あるいは関西線の高架化にする問題いろいろやっております。またいま大臣言われました片町線の複線電化。これを四条畷まで、この春には複線を完成する予定でございまして、間もなく使っていただけるようになろうかと思います。  そのほかに第三次計画の中で計画にあがっておりましたのですが、まだその緒についたばかりである、というのは、実は城東貨物線の旅客を通すため複線電化にする、この問題でございます。これは、計画当初約百四十億か百五十億だったと記憶しておりますが、百四、五十億で新大阪から吹田を通りまして、そして放出を通って、加美、杉本町、こういうルートで城東貨物線を複線にしまして、加美から杉本町のほうは新しい線を敷設しなければならないことになろうかと思いますけれども、そういう計画で進んでおったわけでございますけれども、途中から、地元の皆さん方の非常に強い要望がございまして、せっかくつくるなら都市の将来の発展のために高架にしてほしい、こういうお話が出ました。それで計画を急逝変更いたしまして、これを高架化にする。もちろん、高架化といいましても、盛土の部分もありますし、あるいはスラブ高架の部分もあるわけでございますが、いわゆる道路とはすべて立体交差にする、こういう計画に変更したわけでございます。  そうしますと、概算いたしまして、計画を煮詰めてみますと約二百五十億という巨額の金が要ることになります。しかし、将来の都市の発展のためからいいますと、それぐらい、将来のためには高架化にしたほうがいいだろうということで、われわれもそうすべきであるというふうに考えておるわけでございますけれども、何ぶんにもそれだけの巨額の金が要るということで、なかなか全線の工事に着工するというふうには踏み切れなかったわけでございます。たまたま新大阪の付近に、これは大阪市でございますが、区画整理事業がございまして、この際に用地を確保しておかないと将来の計画に支障するということで、これに数億の金を出しまして用地を確保いたしております。あるいはまた、将来この付近が複線電化になった場合の旅客を通す場合の電車庫を収用する場所といたしまして、放出付近をいま考えておるわけでございますが、これの用地も、地元との関係がございまして、急速買収しようということでこれも約六億くらいだったと思っておりますが、用地買収いたしました。今年度に入りまして、また吹田付近でやはり都市計画に基づきます区画整理事業がございまして、これもその計画とあわせて用地を確保しておかないと地元も将来また都市計画を変更しなければならない。あるいはまた、国鉄といたしましても、用地買収に非常に難儀をするというようなことがございまして、話がつき次第これも買収に入れるように、金が払えるようにわれわれも金の準備をしておる状況でございます。  ただ、いま申しますように、全線を複線電化にするということにつきましては、さいぜん申し上げました二百五十億の巨額がかかることと、もう一つ重大な問題は、前国会でもあるいはお話が出たんじゃないかと思っておりますけれども、線路を高架化にいたします場合の費用負担の問題でございます。在来は一国鉄と道路管理者、すなわち建設省あるいは府県、市町村とが費用負担をするのに、大体在来ある線を高架にする場合には折半負担しよう、それから新しく線路を敷設する場合にはこれは国鉄でやる事業だから国鉄でやる、こういう協定になっておったわけでございます。ところが、最近全国の各市町村の都市計画的な発展が非常に目ざましくなりまして、全国各地から高架化の要望がございまして、ざっといま出ておりますだけでも約六十件ばかり。これを全部御要望どおりに計画いたしますと、約四十億、いまもう四千億をこえると思いますが、大体それくらいの工事費がかかろうかと思います。これをさいぜん申しますような、建設省あるいは国鉄との費用分担の協定に基づきまして折半をするということになりますと二千億ばかりの金が必要になってくるというようなことがございまして、高架化にする場合の費用負担方法につきまして建設省、道路側と国鉄との間で協定を新しくしようじゃないか。国鉄としては受益者の範囲にとどめたいということで協議を進めまして、大体基本的な話がまとまりましたので、それに基づいて話を進めていくということになるわけでありますが、本件に関しましてもそういうことで、建設省、いわゆる道路側との費用の分担を進めていくつもりでございます。  とりあえずそれではいまどうしておるかということになりますと、実は御承知のように放出と加美の間に放出と高井田付近の道路の新設計画が万博関連でございまして、これがいま城東貨物線と平面交差するということになりまして、これは急速立体交差をしなければならぬということになりまして、それの協議を道路管理者側とわれわれいたしました際に、これは城東貨物線はいずれは複線電化して高架にするんだということがございますので、その計画の前提といたしまして、この工事をやりますときにこの道路との単独の立体交差ということでなく、連続の高架化の工事としてこの工事を行なうということにしまして、現在あります線の横に新しく高架をつくりまして、そうして道路と新しい枚岡線を立体交差にしよう、そういう計画で進めておりまして、これがせんだって協定がまとまりまして、約十億の工費で工事に着工した次第でございます。これが高架化による複線電化の前提としてまずこの部門から着工したというようなかっこうになっておるわけでございます。  以上でございます。
  88. 北側義一

    北側分科員 よくわかりました。問題は、大体計画が、どのような順序によって工事がなされていくのか、そういうことについてお伺いしたいのです、具体的に。
  89. 長浜正雄

    ○長浜説明員 こういう現在平面で単線であります線路を高架にいたしまして、しかも複線で電化をするという場合には、もちろん最初に工事の段取りといたしましては用地の買収をいたしまして、そうして在来の線路をそのまま上げるわけにいきませんので、運転中でございますので、そのそばに新しく用地を確保いたしまして、そこへ新しい線を高架でもってつくりまして、それが運転開始ができました暁におきまして、在来の線を撤去いたしまして、そこをまた新しく高架につくっていく。そして複線の工事を完成するというかっこうになろうと思います。具体的にいまの中央線で中野から三鷹までの工事をやっておりますが、ああいうふうな工事の段取りになっていくわけでございます。
  90. 北側義一

    北側分科員 大体の期日は……。
  91. 長浜正雄

    ○長浜説明員 工事の工期でありますが、大体あの間が二百五十億ございまして、工事の量といたしましても相当いろんな各線との立体交差の問題、立体交差といいますか、下を近鉄あるいは関西線、それらとの立体交差が各所にございますので、工事としては相当むずかしい工事があろうと思います。また橋梁関係一般の河川を渡ります橋梁関係もございますので、ちょっといま具体的に工期何年というふうには資料を持っておりませんが、少なくとも数年は要するであろう、こういうふうに考えております。
  92. 北側義一

    北側分科員 一応私のほうで前に、いわゆる国鉄が当初の第三次長期計画できめられたその第一期工事について聞いたのでは、昭和四十年の三月から四十四年三月、このように聞いておったわけです。いま非常にこれがおくれてきておるんですね。その間には新大阪−加美間十九・二キロ、加美−杉本間、これは現状単線のままで第一期の工事をやるんだ、このように私は聞いておったわけです。ところが一向にできないし、これが非常におくれてきておる。いまのあなたの答弁でも全然わからないですね。だからもう少し年月のはっきりしたものがあったら示してほしいものです。
  93. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま私ちょっと御質問を感違いしておりまして、全体の工期どれくらいということで御答弁申し上げたのでございますが、前にもお話し申し上げましたように、やはり旅客の関係からいいますと、急ぎますのは、新大阪から放出を通りまして加美までがまず第一期工事になろうかと思います。加美から杉本町にかけましてはこれは第二期工事になろう、こういうふうに思います。その中でも、実は放出から加美まで、これが非常に、一番の住宅街を通っておりますので、この区間を早く高架化すべきじゃないだろうか、こういうふうに考えておりますので、言うならばこれを第一、それからもう一つ新大阪から放出までを一ダッシュ、こういいますか、そういう感じでわれわれはしておるわけでございます。そうしましたときに、放出から加美までの工事がやはりまた一番工期もかかります。住宅街を通ります関係上、あるいは近鉄その他との立体交差との関係上工期もかかりますので、これに着工すべく今年度から立体交差、すなわち将来の高架化の工事の前提として着工したわけでございます。
  94. 北側義一

    北側分科員 再度お尋ねいたしますが、私の申し上げておるのは、完成期間は大体どのくらいの見通しでやっておられるのか。たとえば、放出から加美までの区間ですね、なお八尾街道等がございます。これは当然高架化しなければいけない面もあると思います。そういう点から、高架化なさるのはまことにけっこうなんですが、やはり期間というものはなければこれは計画じゃないわけですよね。それをお聞きしたいと思うのです。
  95. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま着工いたしました放出から永和までの区間は万国博までに間に合わしたい、こういうふうに考えております。これは単線で高架にいたします。これは万国博までに間に合わす、ちょっと苦労が要ると思いますが、むずかしいと思いますが、ぜひそうしたいと思います。それから、引き続きまして予算のつきぐあいによりましてその全体の問題をいつ着工するかきめていきたい、こういうふうに考えております。
  96. 北側義一

    北側分科員 いまあなた言われたとおり、特に新大阪−加美が非常に重要である、私どももそう思いますが、また加美−杉本間も御存じのとおり——あなた御存じないかもしれない。大臣はもうよく御存じだと思うのです。いま大阪市の住宅建設というのは、ほとんど大半が東南部の東住吉区になっておるわけです。特にこの路線計画がある長吉−瓜破、この方面の住宅建設というものは、もうずっと団地なんです。ところがこの方面は、先ほど言いましたとおり、やはりバス運行しかないのです。少しバスに乗りおくれますと、もうハイヤーで帰る以外に手はない。そういうことで、せっかく入居なさっても非常に困っておられる。そういう点でこの工事も、私は新大阪−加美間に決して劣らぬ重要な路線だろうと思うのです。その点もひとつお願いしたいと思うのです。  それから再度お願いしたいことは、いま関西線があります。関西線の天王寺−平野間は三・九キロあるわけです。この間は昔、百済という小さい土を盛った駅があったのです。今度交通の渋滞を緩和するために高架になったわけです。非常に交通の点はよくなったわけですが、その間、あの杭全周辺というのは猛烈な勢いでいまたんば、畑等が住宅になっておるわけです。あそこらの住民としても、やはりバス交通しかないのです。あれだけの大きないわゆる重要な場所でありながら……。この天王寺−平野間、この間三・九キロという距離がありますので、できたらこれは当然駅をつくるべきではないか、昔あったのですから。それがいまはなくなっておるわけなんです。逆の傾向を示しておるのじゃないかと思うのですね。そういった点、国鉄本社の企画室のほうで何かそういうあれがあるのですか。
  97. 長浜正雄

    ○長浜説明員 駅新設の問題につきましては、実は全国で非常にたくさんの駅新設の御要望がございますけれども、最近の国鉄の経営の面から申しましても、駅新設一カ所しますと相当な要員が要るわけでございますので、その点が一つ問題でございます。  それからもう一つは、特に都市内の新駅につきましては、道路事情が非常にいいものでございますので、そういうことで、一般的な話でございますけれども、バス、地下鉄その他で代行できるということが考えられるわけでございます。ただ具体的のどの場所のどの新駅ということにつきましては、これは具体的に必要かどうかということをよく現地と御相談申し上げて問題にしていきたい、こう思います。
  98. 北側義一

    北側分科員 もう時間がありませんからこれで終わりますが、先ほど申しましたとおり、非常に都市化の激しい大都市周辺、これのいわゆる通勤対策、これは非常に大事だと思うのです。団地が建っても足がない、こういうことが非常に随所で起こっているわけです。そういう問題と、またいまあなたが言われた駅の問題にしましても、都市は道路整備がよくできておる、こう言われるが、いいといったってしれているのです。混雑するのはものすごく混雑するのですから……。杭全町というのは大阪でも有名な交通渋滞地区なんです。そういう面から地元住民の要望である駅をぜひともつくってもらいたい。昔あったものがいまなくなっているわけです。しかも天王寺−平野間は三・九キロある。距離が長いわけです。当然できてもふしぎじゃないわけです。このことを強く私要望いたします。  今後たびたびお伺いもすることがあるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いしたいものです。どうもありがとうございました。
  99. 野原正勝

    野原主査 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  100. 野原正勝

    野原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
  101. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 私は、時間もわずか三十分でございますので、単刀直入にお伺いしたいと思います。  愛知県下の問題について二点ばかりお伺いします。  実は、愛知県の知多半島を縦断しております武豊線の問題についてお伺いしたいのでございますが、まず最初に、総裁にこの写真を見ていただきたいわけです。——この状況をちょっと簡単に御説明申し上げますと、愛知県の知多半島を縦断しております武豊線の亀崎駅の状況でございます。これは実は何年も前の写真ではないのでありまして、おととい私が頼んでとってもらった写真でございます。非常に列車の長さに対しましてホームが短いために、いまそういうような状況になっております。これは特に私が問題にしたいのは、乗客、なかんずく通勤客が多いわけでございますけれども、それらの安全性の問題について、こういう問題をどう考えておられるか。この列車編成によりまして、四十年からこういうような問題がずっと毎日のように繰り返されておるわけでございます。特に問題になりますのは、ホームからおりて、列車に乗るために線路へおりるというような状況ではないのでありまして、通勤客のかなりの数が、列車が停車しているのを目がけて線路の両側からこの列車へかけ込んで乗っているような状態でございます。この写真を見てもわかりますように、駅員が一人出てはいるんでございますけれども、こういう状態が長く放置されているということは、いつしか人身事故が起こるんではないか、こういう問題を私は非常に危倶しておるわけでございます。こういった問題に対して今後どのように対処されるのか、国鉄総裁に御答弁をお願いしたいわけです。
  102. 石田禮助

    石田説明員 こういうような状態にあるということは、ただいま実は私は初めて承知いたしましたのですが、この点はよくひとつ詳細に調べまして、善処するようにしたいと思います。
  103. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 この問題について強力に善処をお願いしたいわけでございますが、この武豊線については、名古屋へ通勤する人たちの通勤列車でございますので、列車を短くなんかしますと、それだけまた混雑が増すというような状況で、そういう問題もあるわけでございます。  それから、中央部に一等車が二両ばかりついておりますので、そういう問題もからんでくると思います。いずれにしましても、この列車が武豊線だけではなくて、北陸縦断急行列車というふうになっております。そういう編成はどうしようもないというような状態でございます。いままでしばしば地元からも、こういう問題についての陳情が名古屋の国鉄当局のほうになされたと思うのでございますけれども、一向に状況は変わっておらぬわけです。そういうわけで、ひとつこの問題について十分審議をなさって、乗客の安全性を確保していただきたいと思うわけです。  それから、こういうような乗客安全のためにいろいろな指示ないしは監督を行なっていると思うのでございますが、国鉄自身としてはどういう基準で、また、どういうような定期的な監査をしているのか、この点についての御答弁をお願いします。
  104. 石田禮助

    石田説明員 この問題につきましては、長瀬常務理事がよく承知しておるようでございますから、長瀬君からお答え申し上げます。
  105. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 武豊線の問題につきましては、先ほど御指摘のような現状であるということにつきましては、われわれといたしましても、通勤輸送につきまして非常に苦慮いたしております。特に、名鉄とそれから武豊線につきまして、極力通勤輸送の改善をはかっております。現状は、ホームからはずれているということで、通勤輸送の数自体から申しますと、それほどは急増いたしておりません。しかしながら、あのような編成があるということについて問題があるわけでございます。これを解決する方法として考えられますことは、まず第一にホームを延ばす、しかし、これは亀崎駅につきましては、御承知のとおり前後がちょうど山のてっぺんになっております。二十の勾配になっておりますので、ホームの延伸ができないということで、これをやりますと、たいへんな山をくずさなければならぬというような状況でございます。  それから一等車が入っておりますので、それを名古屋あるいは大府あたりで組みかえるということができるかどうか、これも検討しなければなりません。  第三の方法といたしましては、現在急行編成で運行いたしております車両を通勤型にかえていくという方法があります。これは全体の車両の問題でございますので、これは十分検討しなければならない問題だと思います。ただ、御指摘のような監督というようなお話、あるいは指導の問題につきましては、私どもといたしましては、駅長あるいは管理局長に対して、そうした面について傷害事故の起こらない方法について十分検討する、あるいは指導する、誘導その他につきましては、十分間違いないようにしろということを言っておりますが、さらに現地におきましては、駐在運輸長その他がそういう点について現地で監督いたしております。  以上でございます。
  106. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 いま常務理事からお話がございましたが、現にこうやって駅員も立っているわけでございます。しかし、これが四十年以来守られていないというのは、私は大問題だと思うのです。しかも亀崎駅だけではなくて、多少この武豊線の各駅についてもこういうような傾向があるわけです。ですから、地元ではまるで西部劇に出てくるようなインディアンないしそういった人たちが昔の列車を襲うような状況と同じように感じておりまして、アパッチ列車と呼んでいるらしいのです。そういうような状況考えますと、ただ駅長に厳重に言うておきますだけでは、この問題は解決しないのです。当然ホームの問題もありましょう、いろいろ問題はありましょうけれども、現在とりあえずやらなければならない問題は、特にこういうような状況下にあるということを承知しておるわすですから、線路を伝わって改札口を通らないで通勤客を乗車させるというような行為は、通勤列車でございますから、朝二本ぐらいの問題でしょう。ですから、臨時に駅員をそこに配置させるとか何らかの手を打って、こういう危険性を排除していかなければならないと思うのです。そういった点について、今後絶対にこういうような状況を回避できるかどうか。また、安全性を確保するためのとりあえずの措置をなさるかどうか、そこら辺の見解を承りたいわけです。
  107. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 乗客に対する安全ということは、国鉄といたしまして一番大切な問題でございます。ただいま写真で拝見いたしますような状況については、通勤者が正常な通路を通るというようなことは、現在ホームからはずれているという現状からむずかしい問題でございますが、それらにつきまして、もう一度現地とよく打ち合わせまして、検討いたしたいと考えております。
  108. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 特に私がいま問題にしておりますのは、ホームから線路におりて、それは問題じゃないわけです。列車がとまっておりますと、両わきの線路のほうからホームにも関係なしに、どんどん線路内を走ってきてこれに乗る。そこに一つの危険性を私は感ずるわけです。また、改札の上からいってもこれはまずい、そういった点の是正をお願いしたい、こういうふうに思うわけです。  次に、運輸省のほうにお伺いしたいのでございますけれども、こういう問題を含めて、私は当然国鉄ないし私鉄に対する乗客の安全性を確保するための監督、そういうものが行なわれていかなければならないと思います。たとえば、名鉄の名古屋駅の通勤状況を見ますと、非常な混雑ぶりでございます。私は非常に危険を感じまして、名鉄当局に私が直接参りまして、副社長に会って安全性確保のためにホームを整備すべきであると強力に実は申し入れをしたわけです。しかし名鉄当局の答弁は、いや、名鉄名古屋駅だけの話じゃない、東京あたりの主要駅へいきますと、このぐらいの混雑はどこでもあるじゃないですか、こういうようなまことに不遜な答弁をしていらっしゃる。幾ら乗客等の陳情がたくさんありましても、一顧だにされておらないというのが、こういう駅等の混雑性の問題になっておるわけでございますが、こういう問題に対して、私は国鉄当局なりあるいはまた運輸当局なり、当然基準を示してその基準によって指導すべき責任があるんじゃないか、このように思うのでございますが、運輸大臣はこの問題についていかがお考えでございますか。
  109. 原田憲

    原田国務大臣 御指摘のように、乗客の安全を守るということは第一番でなければならぬと思います。また、そのような指示をしなければならぬと思います。従来からどういう基準でやっておるかということについては、政府委員からお答えさせます。
  110. 町田直

    町田政府委員 ただいま大臣がお答えいたしましたように、安全を守ることは鉄道の最も大事なことでございます。現在規則といたしましては、まず建設いたします場合に、安全のための建設規定がございます。それに従いまして、建設の基準に従ってつくるようにいたしております。それから運転につきましても、運転のための安全規則がございまして、それに従いましてやるようにいたしております。なお、それらの実施状況につきましては、業務監査を適切な時期にいたして監査をいたしておる次第でございます。  ただいま御指摘のありました駅の混雑につきましては、具体的な事情がわかりませんので、私として、ただいまどういう基準を適用しているかということを申し上げかねるわけでございますけれども、建設並びに運転に伴います駅の安全というものも、当然守らなければならないことでございますので、そういう面から具体的な問題につきまして、監査の際に十分見ていきたいというふうに考えております。
  111. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 いまの答弁では、ちょっと様子がわからないのでございますが、たとえば国鉄でいえば、新宿駅であるとか、いま私が申し上げました地方へいけば名古屋の名鉄の駅であるとか、こういう問題については、では基準は示されておるわけですね。ただ、建設当時と今日とは、非常にそういった通勤客並びに一般乗客の状況というのは流動的に変化してきていると思うのですが、その変化した状態もなおかつ踏まえて、そういう基準は出されているのかどうか。それから定期的にこれが行なわれているものかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。  なお、もう一言加えますと、その基準はどういう基準になっておるのか、お示しいただきたいのです。
  112. 原田憲

    原田国務大臣 私が答えることはどうかと思いますけれども、こまかい問題は別にしまして、私の考え方を述べます。  それは何でも基準というものは、私は正直にいいましてあると思うのです。たとえば列車は定員何名というようにきめてある、ところが、これがもう実際ではいま、先ほどの写真も見ましたけれども、あなたのおっしゃっているように事情が変わってきまして、そのような状態にない。そこに順法闘争ということがよくいわれますけれども、実際にきめてある基準というものを守っておったら、今度はその機能みずからがとまってしまうというような状態にまで立ち至っておるのが現状ではなかろうか、私はこう考えるのであります。したがって、それを解消するために、どうするかということが根本の問題であろうと思っております。そこで、いまあなたの御指摘になっておる問題は、そういうことを踏んまえて、これからどうするかという考えに立たなければ対処できない。しかし、そういってほっておいて事故が起きたらこれはたいへんなことでございますから、そういうことについて十分な注意をして、事故を起こさないようにということについては、私といたしましても、まあ事故防止という立場からでございますけれども、十分安全を守るための指示も再三いたしておる次第でございます。
  113. 石田禮助

    石田説明員 石田さんに、国鉄の問題について通勤問題についてちょっと私の意見を申し上げます。  実は、私が三十八年に国鉄総裁に、就任いたしますと同時に、通勤状況というものが実にひどいということを聞きましたので、さっそく新宿の駅へ行ってみました。そして、あの八時十五分から九時十五分までのラッシュアワーのいわゆる交通地獄というようなものを実見したのでございますが、見ると、いかにもひどいプラットホームにおける状態なんというのは、必ず事故が起こるということに私は考えました。そこで駅長に対して、一体この実情に対して君はどうするのだ、何か案があるかということを言ったところが、案がありません。案がなければ、ひとつ私しろうと考えで、これはいいことかどうか知らぬが、君に申し上げるのだが、要するにプラットホームを混雑させないようにすればいい、あそこを混雑させるがゆえにおりてくるホーム、乗るホームに早く行けぬ、そしてさらに大きな事故が起こるチャンスがある、だからして、あのプラットホームにたくさんの人を入れないようにしたらいいじゃないか。どうするのだ。改札口をとめてしまえ。それであそこでもって調節しなければならぬということを申し上げまして、さっそくやったところが、非常に成績がよかった。それで東京の近所の駅というのはみなそれをやっておりますが、要するに、問題はこの通勤輸送力というのを増強するのが根本的な解決の方法だということで、第三次計画を策定するにつきましては、まずいま第一次、第二次の八年間にわずかに八百億ちょっとしか使っておらないやつを、第三次計画においては五千百九十億使うということで四十年、四十一年、四十二年、四十三年ということで二千七百億ちゃんと予定どおりやりまして、今度四十四年からのやつに対しては、その残ったやつのほかに追加して五千五百億をかける、四十四年から五十三年の間には八千百億を投じてやろうというようなことで着々やっておるのでありまして、いまの武豊の問題なんかにつきまして、私がああいう状態があるということを知ったのは、はなはだ遺憾千万でありますが、国鉄総裁としては、この通勤輸送というものに対しては、国鉄独立採算の上からいって、これは非常なしっぽが出るということを覚悟の上で一生懸命やっておりますから、その点はひとつ御了承願いたいと存じます。
  114. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 いまの数字を示していただきたいわけでございますが、私が言うのは、当然そういうような事情も知っております。私自身も東京のそういった混雑は、電車に乗って通勤をした経験もございますので、よくわかっております。ですけれども、これは抜本的に解決しなければならないことは当然でございます。しかしながら、いま国鉄総裁がおっしゃったような、そういうような臨時的な措置というものを当然とれるわけでございますから、やはり流動的な乗客の変化に伴っての指導というものが確立されていかなければいかぬと思うのです。また、輸送量というものは、ここら辺が限度だという問題は、やはり私は明確にしなくちゃいけないのじゃないか。と申しますのは、実際に国鉄当局なりあるいはまた運輸当局にいたしましても、そういうような監督業務をやる場合の基準というものが示されていかなければ、行政上これはスムーズにはいかないわけですよ。そういった意味で私申し上げておるわけなんです。そこら辺の数字わかりますか。
  115. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  鉄道の駅の施設の問題と、結局列車の運転の問題という問題に関連いたしまして、そういう問題の関係で、この種の問題が出てくるわけでございます。したがまいして、たとえば列車の長さが短ければ短いホームでもよろしいし、当然短い線路でもよろしいということになるわけでございまして、武豊線のように、最近非常に名古屋の発展のために輸送量がふえたところに特にそういう問題が多く出ておりまして、そういう意味で、施設と運転列車の長さとの関係という問題になりますと、結局そういう輸送需要で長い列車を運転しなければならないということに相なるわけでございまして、その意味で、ただいま総裁からも申し上げましたように、輸送力全体としてどうしていかなければならぬかという問題で、輸送力の増強が一番の問題だ、こういうことになるわけでございます。
  116. 原田憲

    原田国務大臣 いまあなたのおっしゃっていることは、私は十分注意して指図します。そういう小手先のことじゃないんで、いまあなたのおっしゃっていることはわかっていますから、指示いたします。
  117. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 了解しました。  時間がございませんので、次の問題に移りたいと思いますが、名古屋地区の発展に伴いまして、今度は国鉄で八田地区に貨物基地を設置されるようなお話を聞いております。これは地元との折衝がぼつぼつ始まっておるわけでございますが、八田地区の名古屋の貨物の基地は、いわば名古屋市内に設置なさろうということになっておるわけでございますけれども、この辺を見ますと、だんだん人口もふえておりますし、住宅も非常に急激な勢いでふえている、そういうようなところにこういった広大な貨物基地をどうしても設置しなければならないのか。もっとそういったところを避けまして、この貨物基地というものが設置されなければならないんじゃないかと私は思うのでありますが、地元の反対意見も非常に強いので、この点お伺いしたいと思います。
  118. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いまの御質問の八田の件でございますが、御承知のように、中京地区は非常に経済が発展しておりまして、昭和三十五年くらいから比べてみますと、いまあの付近の貨物輸送量が、貨物の発着が鉄道を含めまして全部で二倍以上になっておるようでございます。片や鉄道の貨物設備は、その当時からほとんど変わっておらない、こういう状況でございます。名古屋の経済発展を非常に阻害しておるのが現状のようでございます。それでよく御承知のように、笹島とか各方面の現在の貨物駅を何とか有効に利用するようにというようなことで、いろいろ努力をしてみたんでございますが、なかなかもう限度がございます。将来の展発を期せられないだけでなく、現時点でも非常に困っておるというようなことで、どこに新しい貨物駅を設けるかということを流通面から、あるいは物理的な面から、いろいろな点で技術的に検討いたしまして、八田に貨物駅を設置したい、こういうことできめたわけでございます。
  119. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 私はこういった地域発展のためには、原則的にはやむを得ないと思います。しかしながら、やはりそこに設置されるところの地元民は直接的な利益の還元がない。ここに反対の大きな理由があろうかと思うのでございますが、国鉄当局やあるいは名古屋市当局にいろいろ要望されているところを見ますと、こういうような貨物基地、いわゆる貨物駅であるかしもしれませんが、こういったところには、やはり通勤の便あるいは一般の問題も考えて、そこに旅客駅なども併設してもらえないか、こういうような意見があるようでございます。  また、私は名古屋地区全般を見ますと、たとえば臨港線なんかの問題を見ても、単なる貨物だけでは非常にもったいないような気もいたします。そういう点を踏まえて順次そういうものを利用できないのかどうか、一般乗客を乗せるような鉄道も建設できないものかどうか、この点についての見解を承りたいと思います。
  120. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいまの御質問の件でございますが、ただいま名古屋付近でわれわれ一番困っておりますのは、地元の方々と御相談申し上げまして、やはり何といいましても貨物の点でございます。特に御承知のように、最近貨物の流動が非常に速度を要求するようになりまして、在来のような古い貨物駅、古い貨物ヤードを通過する非常に時間のかかるような輸送方式をやっておったのでは、経済の規模に合わないということになりますので、御承知のように国鉄ではコンテナを非常に拡充しよう、こういうふうに進めております。  八田につきましても特にそれを重点考えまして数百万トン、の貨物駅の扱いができるようにして、その付近の将来の発展のために貨物設備を相当額をかけてやりたい、こう思っておるわけであります。したがいまして、いまわれわれ考えておりますのは、御承知の大府からの南方貨物線というものを含めまして、八田のヤードと一緒にして貨物の流通ということを主体に考えておるわけであります。  いま御指摘の旅客の件につきましたは、いまのところまだ考慮の段階に入れていないのでございますが、どうせ名古屋地区全体としまして、関西線の問題あるいは東海道の将来の輸送、あるいは将来岡多線の問題、中央線その他も全部踏まえまして、将来の旅客輸送ということも考えなければならないであろう、こういうふうに考えておりますけれども、いまのところ、八田についてはそういう段階でございます。
  121. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 この問題は大いにまだ議論のあるところでございますけれども、時間がございませんので、一点だけ私は確認をしておきたいのでありますが、この貨物基地は、南北に細く長く伸びておるわけでございます。このようにされますと、地元で一番問題にしているのは、東西の交通は完全に遮断されてしまうということでありますが、これに対しは、私はその貨物駅の下を道路を通過させるなり何なりしましてやらないと、おそらくこの地元民の反対は強硬になってくると思うのです。おそらく貨物基地の必要部分の買収ができなくなってしまうのじゃないか、そういう危険性がきわめて濃厚だ、私はこう申し上げたいと思うのです。そういった意味におきまして、そこら辺は十分配慮されるかどうか。市当局では、いまの計画路線よりもさらに三本ほど東西線の道路を確保してもらいたい、こういう要望書をお出ししているはずですが、その点はいかがですか。
  122. 長浜正雄

    ○長浜説明員 確かに、こういう大きな貨物駅をつくりますと、縦方向に長くなるのは、これは物理的にやむを得ませんので、そのために地元の方々にある意味において非常に都市計画上の御迷惑をかけることは、もう当然になることでございます。ただ貨物の流通という点からぜひこれを仕上げまして、将来の名古屋地区の発展のために、われわれとしては努力をしたいと思っておるのですが、御指摘の、それによって東西の交通が遮断されるということになりますと、非常に御迷惑をおかけすることになりますので、われわれといたしましては、こういうものをつくりますときには、必ず上を越える道路あるいは地下をくぐる道路、いずれにいたしましても、東西あるいは南北を横断する交通路線を計画いたしまして、地元の市当局あるいはその他県、建設省の道路管理者側とも協議をいたしまして、都市計画側とも協議をし、また、地元の利用される皆さん方ともできるだけ御協議申し上げて、御理解をいただいて、一刻も早く用地買収を進めてこの工事を完成させたい、こういうふうに願っておりますので、よろしくお願いします。
  123. 石田幸四郎

    石田(幸)分科員 あと一分半ばかりありますので、お願いしたいのですが、特にこの地域につきましては、最近名古屋のいわゆる公害問題の発生をしている、そういう地区に非常に近い、だんだんこちらにもそういうような問題が出てきております。そういったところで、この操車場を建築するにあたりまして、ほこりであるとか雑音であるとか、そういう問題の発生が予想されるわけでございます。そこら辺はひとつ十分に留意されまして、公害問題がさらに増大しないように留意されつつこの建設に当たっていただきたい。このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  124. 野原正勝

    野原主査 岡沢完治君。
  125. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 私は、片町線にしぼって御質問したいと思います。  大臣と同じ地元でございますので、よく事情を御承知だと思いますが、片町線、おそらく総裁のほうは御存じないかと思いますが、長浜常務理事さんがお詳しいはずでございますから、御答弁は長浜常務理事さんでけっこうでございますが、ぜひ私は総裁にも御記憶にとめておいていただきたいと思います。  片町線というのは、明治の二十七年に開通をした関西でも最も早く建設された路線でございますが、その路線は、いまだにほとんどが単線でございまして、私はその沿線に住んでおりまして、三十年前、中学時代にその路線を通って中学に通ったわけでございますが、三十年前と現在とちっとも変わらない。いまでも昼間は一時間に一本の電車しか走っていない。しかも、距離的にはきわめて大阪に近い地区であります。私は府議会に議席を置いておりましたときに、ヘリコプターで大阪の市内の上空を飛んだことがございます。御承知のとおり、大阪のターミナル、梅田にいたしましても、天王寺にいたしましても、上六にいたしましても、すばらしい発展を遂げておりますけれども、いわゆる湊町という駅と片町という駅は、上から見たところどこに駅があるかわからないくらいのさびれ方であります。しかも片町というのは、大阪府庁及び大阪城にきわめて密接した地区でございます。ところが、全く忘れられた存在になっておるのが現状であります。この三月にその路線のうちで、放出から四条畷までという地区が複線化され、地元民は非常に喜んでおりますが、この複線化が九・六キロを複線化するために、何と十二年間かかっておるわけであります。大臣がお住まいの池田−大阪の距離と、それからたとえば枚方から大阪までの距離はほとんど同じでございますが、そういう意味からいいますと、大阪にとりまして、住宅地としてもあるいは経済的な用地といたしましても、同等の価値があるべき土地でございますけれども、一方は私鉄で、しかも小林一三さんのようなすばらしい経営者がおられたために、あれだけのすばらしい発展を遂げております。ところが対照的なのがこの片町線でございまして、先ほど申し上げましたような単線のままで七十年間放置され、三十年前と全く変わらない運転間隔で現在も運行を続けておる。しかも、人口は爆発的な増加をしておる地区でございます。ラッシュ時の乗車率は三〇〇%をこえておりますけれども、しかも昼間には、一時間に一本の間隔でしか運転しておりません。そのために、やむを得ないで沿線の住民は多くバスを利用しまして京阪電車の駅まで出まして、京阪を利用して高い運賃を払いながらも、不便な片町線よりは京阪を利用しているのが現状であります。また、最近の工場進出というのはすばらしいものがございます。住宅団地、公団、公社あるいは私鉄業者の住宅地としても異常な発達を遂げておる地区であります。このまま放置していいのかどうかという問題について二、三お尋ねをしたいわけでありますが、私は、特に地域的な問題を取り上げたことについて、いささか気がひけたのでございますけれども、この路線に関する限りは、いわゆる政治路線の逆でありまして、もし私鉄であれば、もうすでにすばらしい発達を二十年も三十年も前に遂げておった土地である、あるいは国鉄であっても、いわゆる政治家らしい政治家がおれば、当然に大きく発展を遂げた地区でありますが、国鉄であっても、いわゆる政治家がおらなかったということのために、きわめて不利益な扱いを受けた路線だということを痛感いたしておりますだけに、あえて本委員会で取り上げさせてもらったわけであります。  ことに、この片町沿線地区というのは、先ほど申し上げましたように、明治二十七年に開通したということからもわかっていただけますように、遠く平安朝時代から京都近郊の最もすばらしい住宅適地として、たとえば太平記にも「落花の雪に踏み迷う、交野の春の桜がり」とうたわれたほどで、水、風景あるいは住宅適地としての諸条件は、たとえばいま発展を遂げております阪急沿線、京阪沿線とは比較にならないほど立地条件として恵まれている地区であります。ところが、いわば先ほど申しました政治的な意味から発達が故意に妨げられてきたということを、私はすなおに申し上げても御理解いただけるかと思います。そういう点につきまして、片町線の問題で具体的に二、三の問題についてお尋ねいたします。  先ほど指摘いたしましたように、三月二十五日に四条畷まではようやく複線化が実現いたしますけれども、それから以北についての複線化の御計画をお持ちかどうか、その見通しについて最初にお尋ねいたします。
  126. 原田憲

    原田国務大臣 片町線に対する岡沢議員の熱情に敬意を表します。  具体的問題については国鉄側から答弁させます。  ただ話の中で、政治力が足らなんだから、片町線が阪急沿線、京阪沿線と比べて発展しなかった。私はやはりそれだけではないと思うのですね。やはり産業というものが農業だけであった。また、水という問題がどう持ってくるとかいうような問題、よく話に出ますけれども、松下さんのところがいまえらい花形みたいに言っていますけれども、あそこが大阪から見ると鬼門という——昔の古い迷信で言うと、鬼門だからだれも行かないという、その時分にあの人はあそこへ行ったから、安い土地を買っておいたから、いま広い土地を持っているというようなことで、いろいろなことがあったと思うのですけれども、だから、私は片町線というものが、やはり今日まで発展をしなかったという中には、いろいろな問題が錯綜しているから——ただ、まあえらい政治家が出ていたらやったやろうという話ですが、えらい政治家といえば幣原さんがおられたし、それから松原さんもおられたし、まあ岡沢さんが出られたからおそらく推進されると思いますが、私も推進してまいりましたけれども、いまもう事情はよく御存じでございますから、現在の状況、これらについて国鉄側からひとつ説明をさせたいと思います。
  127. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま岡沢先生から御質問がありました片町線につきまして、確かにおっしゃいますように、長いこと単線で放置してありました。大都会の付近でこんなにいままで単線のままあったというようなことは、こことあるいは片や福知山線というような感じでなかろうかと、大阪付近については思っております。その福知山線も複線電化の計画がきまりまして、これは工事を始めておりますが、片町線も先生おっしゃいますように、この春には四条畷までの複線が完了いたしまして、開業する見込みになりました。少しはいいのでございますが、あとそれでは、四条畷から先の問題についてのお尋ねでございますが、実は第三次計画の中では、いまのところ盛られてございません、第三次計画の中では四条畷までということになっております。ただ四条畷までが十二年かかりましたように、非常にひまがかかっておりましたが、最近になってピッチが上がってきたということは、片町線沿線の最近の発展状況が、先生指摘のように非常に急激に発展してきたように思われます。私も実はあの辺の地元でございますので、よく承知しておりますが、これが今後ますます発展の方向にあるようにわれわれも思われますので、今後新しい計画整備いたします段階において、どういうふうにこれを取り上げていくかということを検討していきたい、こういうふうに思っております。
  128. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 大臣から、政治的な原因だけではない——だけではないと思いますけれども、きわめて大きなウエートが、政治的な面での疎外要件が働いたということは、私は否定できないだろうと思うのです。地元の原田議員に大臣になっていただいただけに、ぜひこれは、私は決して政治的な意味ではなしに、おくれを取り戻す意味でもがんばっていただきたいということから、特にきょうお願いをするわけですが、いま長浜常務理事からお答えがありましたけれども、具体的には三次計画にも入ってないということで、お答えがございませんでした。しかし、私は大阪近郊の輸送路線としても、あるいは特に大阪府の一番大きな問題の一つであります住宅開発用地を確保する意味からも、また、京都と大阪を最短距離で結ぶという意味からいいましても、この片町線の四条畷以北の複線化の問題は、ぜひ具体化するような御努力をお願いいたしたい。あわせまして片町線の中で大住という駅がございます。その大住駅と国鉄の宇治駅とを結ぶ路線、これは地図をごらんいただきますと一見してわかっていただけると思いますが、きわめて距離は近うございまして、しかもその付近はいわゆる山城平野で、いまはほとんど住宅はございませんので、新線敷設には好条件でございますが、大阪への住宅地として、おそらく大阪で唯一の取り残された地区でもあろうかと思います。この新線の計画についてもぜひ御検討いただきたいし、私たちが承知いたしております貨物輸送につきまして、東海道線が飽和状態にきておるということの隘路打開の意味からも、あるいは沿岸貿易に結びつけまして敦賀から山科、そして東海道線の鳥飼、この貨物路線といたしましても、大きな効果を発揮する、しかも、経済的にも十分に採算のとれる路線ではないかという感じがいたしますが、その私がいま指摘いたしました構想につきましての国鉄当局の御見解を聞きたいと思います。
  129. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま先生指摘の、山科から宇治に出まして、それから宇治から長尾に出る、そして片町線を経由して大阪に出る、あるいは一部吹田のほうに行くという構想も、実は東海道線の輸送力が非常に逼迫しておりまして、それのバイパスとして何か考えなければならぬというときに、われわれとしては湖西線の完成等考えまして、そういうことも構想の中に持っておるわけでございます。そうしてまた、あの付近は、いま先生がおっしゃいましたように、確かに大阪から長尾、京都にかけまして非常におくれておって、しかも最近発展しつつある土地でありますので、総合的に奈良線を片町線に結ぶようなルートを新しく敷設していただくとか、あるいは片町線を長尾から複線にして四条畷まで持っていく、そうして片町に入れるというような、全体的なプランと、いろいろ構想を新たに考えまして、あの辺の抜けております輸送力をどうつけていくかということを検討していきたい、こう考えております。
  130. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 片町線のもう一つ大きな着眼点と申しますか、隘路というのは、終点が片町であるということにあろうかと思います。これが城東線と結びつく京橋——あるいは最近地下鉄が入りました天満橋あるいは地下鉄の本町線の淀屋橋とか本町と結びつけますと、異常な発展を遂げるのではないか。このことは、私鉄でありますけれども、京阪電車が終点の天満橋から淀屋橋に乗り入れましたときに一挙に乗客もふえ、あるいは便利さも増しまして、異常な発展を遂げたことからも首肯できるかと思います。幸い、片町と京阪電車及び地下鉄の淀屋橋とは、わずか八百メートルであります。この一キロ足らずの土地を結ぶことによって、沿線全体の開発に大きな効果を発揮することは、これはもう客観的に明らかに予測されることであります。投資効果としても、十分採算も成り立つかと思います。この点につきまして、私は非公式でございますけれども、私鉄の京阪にお話をしたときに、京阪電車としても、その路線については十分に意欲があるし、国鉄のほうであまり積極的でないなら、むしろ片町線は私鉄に払い下げてもらいたい、地元としても、これは地元の市町村とか議会筋とも話してみましたけれども、先ほど指摘しましたように、放出−四条畷間の九・六キロに十二年もかかるという国鉄にまかしておいたのでは、異常な沿線の発達とは全く合わない、むしろ私鉄に払い下げてもらうことが、どれだけ地域開発に役立つかわからないという要望すらあるわけでございまして、私たちも、必ずしも私鉄に払い下げることが唯一の道だとは考えませんけれども、しかし、沿線の住民の空気として、国鉄にまかしておいたのでは、いつになるかわからないという気持ちは、過去の実績から見て、いなめない事実だと思います。そういう点からも私は、私鉄との相互乗り入れあるいは終点の片町につきまして、何か格別の配慮——国鉄から延長していただいて天満橋に結びつける、これはちょうど市電の下があいているようでございますから、技術的にも可能かと思います。それが無理な場合に、逆に大阪の地下鉄を天満橋から片町まで延長する方法、あるいは私鉄であります京阪電車の相互乗り入れの方法その他で、いわゆる根っこを押えられております終点の片町というものを何か打開する方法といいますか、考え直していただくということが片町沿線全体の今後の発展に不可欠かと思いますが、これについての御見解を聞きたいと思います。
  131. 長浜正雄

    ○長浜説明員 確かに、御指摘のように片町線が片町でストップになっておりますので、現在の御利用いただいておりますお客さんも、ほとんどが京橋で環状線に乗りかえておられるというような状況でございます。また、鉄道輸送の面からいいましても、行きどまりになっております路線というのは非常に使いにくうございますので、われわれといたしましても、片町線を地下で大阪のシビックセンターに入れまして、できれば福知山線とも結びたいというような構想を持ちまして、大阪府、市等とも御相談をいま申し上げておるような段階でございます。確かに市内に入れるべきであろう、こういうふうに考えております。そのために、地下鉄と相互乗り入れするか、あるいは京阪電車のような私鉄と相互乗り入れをするかというようないろいろな問題もあろうかと思います。いずれにしましても、あそこでとまっておるということによる不便さに利用者も少ないというような点から、確かに考慮される点でございます。  また、先生ただいま御指摘のように、地元としては私鉄に払い下げてもらいたいというような希望も出るほど、実はいままでおくれておったという点もあることは、いなめない事実でございます。ところが、御説明しましたように、四条畷までの複線は、最近相当急ピッチで進めたような次第でございまして、最近の片町線沿線、あるいは京都方面からの旅客の流れの情勢が変化しつつあるということも踏まえまして、われわれとしましては、私鉄との相互乗り入れあるいは地下鉄との相互乗り入れ、あるいは新しいルートの敷設というようなことも、前向きで新しい社会情勢に合うような複線化、あるいは相互乗り入れというようなことを積極的に考えていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  132. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 この際、実業界の御出身であります石田総裁に基本的な問題についてお聞きしたいのでございますが、国鉄が私鉄を買収するということはよくあります。ところが、いまの片町線のように、それほど国鉄としては、いわゆる黒字をあげている路線ではない。しかし、私鉄に払い下げれば、私鉄は喜んで受け入れる態勢がある。しかも、相当な資金を出してでも買ってもいいというような条件がそろいましたので、いま赤字で悩まれる国鉄として、思い切って国鉄の一部を私鉄に払い下げるというようなことが、片町線に限ってお尋ねするわけじゃありませんが、考えられてもいいと思います。何かそれについて絶対だめだとか、法律的な隘路があるとか、あるいは総裁としては思い切ってそういうことも考えてもいいというようなお考えか、お尋ねをいたします。
  133. 石田禮助

    石田説明員 実は、私は片町線のことについてはよく存じません。しかし、私鉄から払い下げてもらいたいというようなことを言われるということは、一体、国鉄は何をしているんだということを言われてもしかたがないと私は思います。この問題につきましては、さっそくひとつ徹底的に調べまして、国鉄として恥ずかしからないようなことにしたいと思っております。
  134. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 いまのお答えもわかりますが、理論的に国鉄は一切私鉄に路線を払い下げるということは考えられないのか、一般論でけっこうです。あるいは場合によっては可能なのか、考えてもいいというお考えなのか。特に総裁の経済人としてのお答えをいただきたい。
  135. 石田禮助

    石田説明員 私鉄は買収して立っていくのに、なぜ国鉄自身でやれぬか、このように私自身は考えるのです。そういうことも考えて、きわめて安易に私鉄に払い下げるなんということは、国鉄の名誉にかけてもすべきではないと思います。これは、ひとつ徹底的に調べるだけの余裕を与えてもらいたいと思います。
  136. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 合理的な、総裁に似合わない名誉とか権威とか——実際にはもう少し思い切った御答弁をいただいても、一般論としてはよかったんじゃないかという感じがいたします。これは大臣の御地元でございますので、よくおわかりだと思いますが、地元の気持ちといたしましては、私が指摘しましたように、もし私鉄、特に大臣の御縁故の小林一三さんあたりのようなすばらしい経営者がおられたら、何十年も前に文句なしに阪急沿線並みに発達しただろう。国鉄なるがゆえに取り残されたということは、住民のいなめない感情だろうと思います。それだけに、こういうことも場合によったらお考えいただきたい。私はおそらく現在といたしましては、京阪神といたしましてもこういう考え方には乗り気であるし、地元の市町村あるいは住民としては、思い切ってそういう運動もしたいという動きすらあることも事実でございますので、指摘さしていただきます。  先ほど長浜常務理事からの前向きな御答弁はありましたが、具体的な予定の計画につきましては、一切御答弁がないわけであります。できますことならば、四条畷以北の複線化の見通し、これはこれからの問題ではございますけれども、地元の努力、あるいはまた沿線の開発状況とももちろん見合ってでございますし、国鉄財政状態とも見合うことだとは思いますけれども、どれくらいの見通しで、できることならば、たとえば長尾とか、先ほど申しました大住あたりまででも複線化したい、そういうことがないと、私鉄ならば、おそらく払い下げを受けた一年後くらいには複線化してしまう路線だと私は思います。そういう点についての見通しを一つと、それからそれまでの間、長尾から四条畷までの運転間隔、先ほど申しました昼間の場合、三十年前の私の中学時代と同じように、昼間は三十分に一本しか通っていないわけでございます。私は誇張して申し上げたわけではありません。そういう運転間隔をせめて縮める御予定であるかどうか、その問題についてお答え願います。
  137. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま実は御承知のとおり、四条畷までにわれわれとしては全力を尽くしておりまして、一日も早く開業しようということでやっておったわけでございますので、それから先につきまして、いままだ具体的に計画段階になっておりません。したがいまして、これからどういうふうにこれを計画にのせますかということにつきましては、今度おきめいただきます国鉄財政再建法の措置法の中で新しい投資規模もきめていただきますので、それに基づきまして新しい変わりつつある現地の事情をよく見まして、いろいろ研究をいたしまして、これは運輸省のほうに、また、運輸大臣のほうにそのわれわれの希望の計画を提出しましておきめいただく、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、いまのところ、いつから着工というような具体的な案は、まだこれから今度の第三次を含めた財政再建の方針の中できめていくことになりますが、早急に計画は詰めていきたいと考えます。
  138. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 運転間隔は。
  139. 長浜正雄

    ○長浜説明員 運転間隔につきましては、いま二十分ヘッドあるいは三十分ヘッドというような段階になっておりますので、単線で許せる可能な範囲で旅客がふえておるならばふやしていくことに、もちろんやぶさかではありません。これはダイヤ改正を行ないます際に考慮したい、こういうふうに考えます。
  140. 岡沢完治

    ○岡沢分科員 もう時間があまりないのでございますけれども、乗客の増加に応じてというお答えがありましたが、逆なんでありまして、乗客はあるのでありますけれども、一時間に一本では間に合わないということで、わざわざバスを利用して、京阪の駅まで出て大阪へ出ているのが実情であります。これは、そこが私鉄に払い下げてもらいたいという住民の感情が出てくるゆえんでありまして、乗客は現にあるのに、国鉄がその隘路になっておるというのが実際でございます。  それから、先ほど来誠意のあることばではありながら、おことばを返すようでございますけれども、四条畷まで最大の努力をした。ところが、その最大の努力が九・六キロ複線化するのに十二年もかかった、これが最大の努力だと言われたのでは、住民が私鉄のほうに顔を向けるのは当然だという感じがいたします。ぜひ具体化してもらいたいと思います。  ただ私は、私鉄への払い下げの問題に触れましたけれども国鉄の諮問委員会の四十三年九月四日の意見書によりますと、片町線は鉄道輸送が有利な線、そしてまた、当分の間、鉄道輸送を続けるべき路線ということが意見書で述べられておるのであります。それだけに、ぜひともこの問題は、単に総裁がおっしゃった国鉄のメンツにかけても、また、実際に大阪府あるいは大阪市の住宅難、輸送難を解決する意味からも、忘れられた路線を思い起こしていただきたい。大臣自身は地元でございますから、おそらく御自分でもそういう御意欲は十分持っていただいていると思いますが、私は政治路線といわれるどころか、政治的におくれた路線を引き上げるので、どこからも非難の出る路線ではないと確信をするわけであります。  あわせまして、この機会に四条畷から長尾までの間で、特に津田−長尾間の駅の間隔が非常に遠うございます。そしてその付近には、最近久保田鉄工、小松製作所あるいは大阪府の中小企業団地、そして大阪府の供給公社の団地、そして住宅公団の団地経済的に、あるいは住宅地としてすばらしい発展を遂げておりますので、中間に駅が一つ必要ではないかというふうな感じがいたします。地元の要望もございます。御検討をいただきたいということが一つでございます。  もう一つ、今度ようやく電化されました住道駅と四条畷駅との間に、昔東住道駅という乗客専門の駅があったわけです。それが戦後廃止されております。昔あって、いま廃止されておる。しかも、付近は過去とは比較にならないほどの発展をいたしております。昔の駅があったあとは、いま法務省の四条畷拘禁所の職員が農地として耕したりしておる。用地もあるわけでございます。この片町線とその東住道駅と接する地点が、いわゆる大阪から奈良に行く阪奈国道と接する地点でもあります。あの付近も、大阪産業大学というのができましたり、奈良への交通量その他含めますと、駅としての必要性と価値の十分にあるところだと思います。用地もあることでもあり、これは貨物の扱いはむずかしいと思いますが、せめて乗客の扱いだけでもしていただくということは、国鉄の採算上からも必要だし、また住民の喜びとも通ずると思うわけで、ぜひ御検討いただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  141. 野原正勝

  142. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 運輸大臣国鉄総裁に対しまして、主として国鉄の経営問題と赤字線廃止の方針との関係等について御質問をいたしたいと思うわけであります。  国鉄経営が赤字が非常に累積して苦しい状況にあるということは、今日ではもはや全国民の常識になりつつあるわけでありますが、こういう赤字というものが一体どうして急速に——急速にといっても、かなり長い時間かかったわけでありますが、そういう状況に落ち込んだのか、その点についての総裁のお考えと、それから運輸大臣のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
  143. 石田禮助

    石田説明員 国鉄は近ごろ赤字という問題でだいぶん世の中の注意を喚起しておるのでありますが、御承知のとおり、国鉄は二十四年ですか、公共企業体になってから、三十二年まではずっと赤字だった。三十二年にプラスになりまして、三十八年までは、はなはだ僅少でありましたが、プラスでいたのでありますが、三十九年になってから三百億のマイナスを出した。これは御承知であろうと思いますが、私が国鉄総裁になりましたのが三十八年でありますが、そのときに問題になったのは、三公社のうちで国鉄の職員の給与が一番低い。約四千円ばかり低いということを記憶しております。しかも国鉄は、年齢構成の上からいっても、他の二公社に比べて四年も長い。そうしてまた、男女の割合から申しましても、電電公社なんというものは男七十人に対して女三十人、専売局のごときは、男六十人に対して女四十人、国鉄は、男九十八人に対して女二人というぐあいに、男子が非常に多い。それから一番大きな問題は、仕事の性質なんです。専売局なんというのは、朝行って夕方帰ってくる。仕事なんて何ら危険もない。ほんとうに女子供でもできるような仕事なんだ。電電公社の仕事だって、多少危険がないとは言わぬが、国鉄に比べたら問題にならぬ。国鉄の仕事というものは、もう昼も夜もないでしょう。しかもその危険度においては実にひどいものです。私が総裁になった時分には、殉職者が八十人から九十人くらいあったのです。そうして負傷者が二千ないし三千人。専売局なんか一人だってありはしない。電電公社だってありはしないというようなことで、これはいかにも不合理だということで訴えましてそして仲裁裁定を見まして、国鉄の職員に対して給与の問題について特別の判決を下してもらった。それがためにちょうど三百億の資金が要った。こういうことが三十九年の三百億の損の原因です。  四十年におきましては、四十年から第三次計画をやる、これについては、通勤輸送なんかに対して五千億以上の投資をしなければならぬ、これは借金をもってしてはとてもその利息の負担にたえぬ、国鉄は独立採算を維持できぬ、何とか自己資金をつくらなければならぬということで、国会政府に嘆願いたしまして運賃値上げをやったわけなんです。ところが、それはいいということで一たんは許可が下ったのだが、最後の段階になってから、ちょっと待て、こういうことで、十一カ月便々として待たされた。それがために国鉄としては約千三百億ミスした。それがつまり四十年における千二百三十億円の損の原因です。  四十一年については、これはそういうふうじゃない。経費というものがえらい勢いで上がっていくにかかわらず、収入というものが一向に上がらない。まず第一、経費の点からいうと、一三%ぐらい上がったでしょう。にかかわらず、収入のほうは七%ぐらいしか上がらない。こういうぐあいに、収入支出の大勢というものがもうこの時分から非常に悪くなってきた。これが一番大きな原因だ。  さらにもう一つの大きな問題は、通勤輸送の改善の問題。これがために国鉄としては五千二百九十億の投資をしたのでありますが、こんなものはもう損になることは目に見えているにかかわらずこれをやらなければならなかったほど、国鉄の交通、通勤輸送状態というものは実にひどい状態だ。私がもしももう少し賢明であるなら、政府に談判して、こういうことはとても国鉄の力をもってはできぬ、しかもこれは住宅政策の一環じゃないか、こういうことでねじ込んで、こういう通勤輸送に対しては特別のれんびんの情をたれてもらって、それの承諾を得たところでやるということが本来の筋だと思いますが、しかし、あの交通事情を見ると、そんなことは言っていられぬ。そこで、とにかくまずやって、しかる後に政府に談判して何とかしてもらおう、こういうことで、主客転倒したわけだ。これが、国鉄が収支の状態が悪くなったということのほかに、国鉄の収支状態を悪くした非常に大きな原因なんです。  そういうことで、四十一年におきましては六百億でしたか、それから四十二年においては九百億ということで、これはいままで国鉄というものが独占の上にあぐらをかいておったやつがだんだん悪化しまして、いまや国鉄というものは四面非常な敵を迎えて輸送競争していかなければならぬということで、さっき言ったように収支の状況が非常に悪くなったということと、通勤輸送その他の投資による損害、これがおもなる原因でありまして、ことにひとつあなた方に御記憶願わなければならぬのは、なぜ一体こんな国鉄が四十年から思い切ったような輸送の改善のための投資をしなければならなくなったか、こういうことなんです。これははなはだ忌憚なく申しますが、国鉄公共企業体になりましてから政府なり議会というものが国鉄をどういうふうに扱ってくれたか。実はこれは冷々淡々たるものだ。とにかくインフレでもって国鉄の経費というものはえらい勢いで上がる。しかも一方にあのぶちこわされた路線の修理、これもやらなければならぬ。金が要る、しかも収入のほうはなかなか上がらぬ。そこで、つまり運賃値上げということをひとつ……(広瀬(秀)分科員「わかりました」と呼ぶ)これは詳しく説明せぬとわかりませんから、ひとつしんぼうしてお聞き願わなければいかぬ。——ということで運賃値上げを要求する。ところが議会なり政府なりというものは何だ。いまや政府なり議会というものは、物価問題でもって戦っているときに、こんな公共料金を上げるなんてけしからぬ、こういうようなことで全然見向きもされなかったし、あるいは、受け入れられてもカットダウンされたということのために、国鉄の自己資金というものは足らぬ。この間も久保さんが国会で言ったのだが、その上に大きな公共負担というものをしょわされておる。ちょうど、慈愛のないおやじが、子供にめしを食わさないで栄養不良にして、そこに大きな荷物をしょわせている。どうして国鉄負担できますか。そういうことで、高くなった工事費を使って輸送力の増強をやらなければならなくなった、これが国鉄の今日の悲惨な状態にある根本原因です。  もう少し申し上げたいのですが、あなたの時間をとるようになりますから、この辺にしておきます。
  144. 原田憲

    原田国務大臣 私は、あまり長い時間をとるとあなたの時間に差しつかえますから、簡単に言いますと、いま総裁が申し述べられましたことに尽きておると思いますが、やはり投資の増高というものにたえがたくなってきて、それに見合うべき収入というものが減ってきた。なぜ減ったか。一つはやはり大きな輸送構造の改変、モータリゼーションというようなこともありますし、あるいは空というものも、いま国鉄総裁の中に入っていますから、つけ加えて詳しくは申し上げませんが、それが国鉄の一番問題であろう、こういうように解釈いたします。
  145. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま総裁からるる御説明があったわけでありますが、要するに、新しい設備投資をしなければならない、しかもそれが巨額にのぼる設備投資をやったことが、やはり国鉄の今日の経理状況を悪化させておる大きな原因である。その中で総裁はことばを強めて、政府みずからの責任というものが、きわめて冷々淡々、まさに冷淡な態度に終始したということを、運輸大臣も半ば認められたと思いますが、運輸大臣もそういう点では国鉄経営の悪化の原因についてそういうことをお認めになりますか。
  146. 原田憲

    原田国務大臣 私は全面的にというわけではありませんが、国会でも答弁いたしておりますが、確かに財政支出をやって国鉄の経営に対して打つべき手はあった、私はそう思います。今度はそれを私のときにやった、こういうことでございます。
  147. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 高度成長政策が始まって以来の、大体三十五年からでけっこうですけれども、四十四年の予算まで含めてどのくらいの設備投資をやったか。これはすぐわかりますか。わかっている方でけっこうです。
  148. 長浜正雄

    ○長浜説明員 昭和四十年度から四十三年度まで約一兆四千億でございます。それに、いま四十四年度の予算が出ておりますが、それを加えるということになれば、一兆八千億弱、こういうことになると思います。
  149. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 非常に巨額なものでありますが、これに対して国の補助、援助というものはまさに微々たるものでありまして、この間、ことしを入れれば大体一兆八千億にのぼる投資をやってきた、それに対して国の補助額はその期間にどれくらいありましたか。
  150. 長浜正雄

    ○長浜説明員 一兆八千億は四十四年度が入りますから、四十三年度、今年度までですと一兆四千億でございますので、お間違いのないようにお願いします。
  151. 町田直

    町田政府委員 御承知のように、第三次長期計画の四十四年度までの投資額は、いま御説明したとおりでございます。そして国の直接の補助金といたしましては、四十四年度からの工事に対しまして、本年度五十四億、それから来年度として七十一億を予定いたしております。  それから、国の補助と申しますか、要するに、低利長期の資金が必要である、こういうことで、その間の資金につきましては、できるだけ低利長期、すなわち財政投融資というものを十分に見る、こういう考え方で出しております。
  152. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この問題を徹底的にやりますと、とても時間が三倍も四倍もかかるわけですので、この程度にしておきますが、これは運輸大臣にも、国鉄経営の悪化の原因というものの根本的なところをこの際ひとつ十分肝に銘じていただきたいと思うわけであります。  そういうぐあいにして、昭和四十四年度の予算の中でも、予算書を拝見いたしますと、損益勘定のところで、利子及債務取扱諸費一千四百六十九億円というものが計上されておるわけであります。さらに、資本勘定のほうを見ますと、債券及び借り入れの償還というのに一千五百億出しておるわけです。合わせますと約三千億、こういうものが、それらの設備投資に要した他人資本の元利の支払い、こういうことに了解してよろしゅうございますね。
  153. 石田禮助

    石田説明員 そのとおりです。
  154. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 収入の大宗である運輸収入が約一兆円というような中で、約三千億がこの元利の償還に充てられるというような企業の状態、これがもう国鉄の今日の経営を端的に示唆していると思うわけであります。そういうような中で、この国鉄を将来発展さしていくというような立場において、総裁も国鉄諮問委員会に答申を求め。さらに運輸大臣国鉄財政再建推進会議に答申を求めた、こういうようなことで、が然赤字路線を切り捨ててしまえということがクローズアップされてきたわけであります。八十三線区、二千六百キロというものが当面——さらに二千六百キロを六千キロくらいまで整理をしてもいいというような裏の話もあるようであります。  そういうぐあいに、国鉄財政赤字であるという面からそういう問題が出てきたわけでありますが、それと同時に、再建推進会議等においては、国鉄の使命というものは、大都市間の旅客輸送だ、中長距離の貨物輸送、フレートライナー方式等によるそういうものにしていこう、あるいは大都市の中における通勤輸送、この三つぐらいでいいんだというようなものを出してこられた。はたしてそういうような方向でいいのかどうか。国鉄の使命というのはその三つくらいで足りる、いますぐにでもそういう方向に切りかえていいんだ、そういうように運輸大臣はお考えでありましょうか。
  155. 原田憲

    原田国務大臣 広瀬さんの言わんとしておられるところは、時間がないから、端的にこちらから申し上げますと、いま赤字路線というものを推進会議でぶった切れというような意見が出ておるが、そのまま実行してそれでいいのか、逆に言うと、こういう問いではないかと私は思うのです。  そこで、たびたび申し上げておるのでございますが、この赤字路線という——これは議論は別ですけれども、先ほど国鉄総裁が答弁の中で、民間の私鉄が払い下げてくれと言ったらするかという話に対して、国鉄のメンツにかけてもという話がございましたが、先ほどから話が出ておるモータリゼーションという、国鉄が独占しておった輸送、汽車というようなものから新しい自動車時代が来た、その自動車にしたほうがよいという判断に立てるものの中で、ほんとうにこれを廃止していいのかどうかというのが、私は赤字路線の問題だと思っているのです。だから、これは非常に慎重にいかなければならぬ問題が含まれておる。したがって、地方では、地方の代表である町長さんだとか市長さんだとか知事さんというようなものが、この赤字路線を簡単に廃止してもらったら困るぞという声をあげておられる問題を含んでおる。その地方の線区が果たしておるところの使命というものがいろいろな面で私はあると思うのであります。したがって、それをよく検討いたしまして、また、そこらの方々ともよく話をして——中には、廃止してもいいというところがあることも事実なようでございます。そういうところは別にいたしまして、十分よく慎重に検討していかなければならぬということを、私は赤字線の問題について申し上げておる次第でございます。
  156. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この赤字線の問題は、私どももこの答申の中でいわれておる線区を四つばかり現地に行って見てまいりました。その中で、推進会議がいったような、そういう線区は切り捨ててしまってもいいんだ、国鉄財政を立て直すためにはそれしか方法がないんだというような、それが最も大きい柱だというような言い方をされる。しかし、現地の対象にのぼっている線区を利用している人たちから言わせるならば、愛着心という非常に情緒的な問題ばかりではなしに、現実に国鉄に対する輸送需要が非常に根強いものがあるということをあらためて痛感して帰りました。しかも、それは旅客の面においても貨物の面においてもあるのであります。しかも、国鉄がダイヤ改正のたびに高度経済成長政策に追いつく、あるいは大都市通勤を向上させようというようなところに資金と手間をかけて、そういうものを重点にやられるものだから、赤字線に対しては、俗なことばで、しけを食わせるというようなことがいわれてきた。せっかく利用したい人も利用できないような問題というものを抱えているというようなことをいわれておったわけでございます。たとえば真岡線等につきましても、あるいは鳥山線等につきましても、りっぱな工業団地ができておるというようなことが、この再建推進会議あたりに出された資料の中にそういうものが入っていない。烏山線の場合には、八溝開発という地域開発、過疎地帯からバランスのとれた開発をやるというような、非常に重要な開発計画がある。そういうようなものについての最近の動き、計画というものが取り入れられていない問題があるわけであります。したがって、そういう過疎地域の解消というような問題からいいましても、バランスのとれた国土発開という問題からいっても、あるいは大都市と地方における所得の格差あるいは産業の格差というものをなくしていくというような面がほとんど取り入れられていない。こういう問題について、非常にこれは問題のあるところだと思うのですが、いかがでございましょう。
  157. 原田憲

    原田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
  158. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういうことで、この問題は、財政再建推進会議では、十カ年計画くらいで八十三線区をやるべきだというような答申をされておるわけでありますが、それについて十カ年でその二千六百キロ、八十三線区を廃止の方向に持っていけるんだということをお考えでしょうか、どうでしょうか。
  159. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど私が冒頭に申し上げましたように、国鉄の中で自動車等に転換したほうが国民経済的に見ていいというものを前提とした議論であります。推進会議でいっておるのは、ただもういま赤字が出ているのを全部廃止せいというような議論には私は受け取っておりません。いまあなたがおっしゃっておりますように、その会議をやっていたときには、こういう情勢が出てくるとは資料として出ておらない、こういうような事例もあると思います。私どもが出しております再建法というものの中に、基本的なことを政府できめて、国鉄計画をお立てください、こういうことになるのでありますが、その計画を立てる責任者である国鉄総裁も、十分そのことを答弁されておりますから、私は、八十何線区廃止だ、こういうようには受け取っておらないのでございます。
  160. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 総裁、時間がございませんので簡単にお答えいただきたいのでありますが、この閑散線区、赤字線区において、今日、二十キロとか四十キロとかいうようないわば盲腸線のようなところで、一日、定期、普通乗客合わせて三千とか四千とかいう乗客があるわけですが、そういう人たちが、もし廃止されたらどうなるのだろうという非常な不安を持っているわけです。しかもそれはモータリゼーションだ、あるいはバス化だというようなことを考えても、一体どこの会社がやってくれるのだろうというようなことで、そんな、ラッシュ時だけたくさんの人が乗る、データイムは三〇%か四〇%くらいしか乗らぬというような不経済なものを営業会社がやるだろうかということがあるわけであります。そういうような点について、国鉄がもしおやりになるとするならば、そういう問題について、いまの輸送人員というものをどう代替させていくか、何に代替させてどういう方式でやっていくかというようなことについては、国鉄自身としてはもはや成算がおありなのでございましょうか。
  161. 石田禮助

    石田説明員 われわれといたしましては、ああいうぐあいにとにかくたこを上げたわけでありますが、問題はこれからであります。これから地方の人の反対なども聞きまして、慎重に検討して、現在の輸送事情に対して適当なる輸送具は何か、国鉄というものはいかにもアンバランスじゃないか、もしもこれを自動車なり何なりにかえることによって、地方の人たちの足を十分に提供することができ、地方の人も満足するようなことになり、そして国鉄としてもそれがために相当な利益になる、こういうような場合にやることでありまして、かりにやろうといたしましても、その前に地方へ行きまして、地方の人たちとひざを交えて十分に検討して、御満足を得たところで初めてやる。やると決定したら、運輸審議会にかける、審議会にかけた後に運輸大臣のオーケーを得てやるということで、国鉄総裁の独断によって、赤字なるがゆえにやる、そういうけしからぬことは決していたしません。
  162. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 時間がございませんから、あと一問にとどめますが、今度の推進会議の案等によりましても非常に矛盾が多いわけであります。たとえば、いま新線建設工事で野岩線の建設工事が続行されております。その野岩線が、今市から会津線を経由して米沢のほうに行くという計画でいま建設中でありますが、接続する会津線が廃止の対象になるということになりますと、片方では建設をやって延ばそうとしておる、そういうような矛盾もあるわけであります。そういうような矛盾については運輸大臣としてどうお考えになるかということ、それから、野岩線が、これはたしか四十八年完成ぐらいの目標だったと思いますが、今市に接続するために東武鉄道と一部重複するような形になるものですから、それについての東武との調整についてどうなっておるのか、大体予定通りの年次に建設目標が達成されるかどうか、この点についてお聞きをいたしたいと思うわけです。
  163. 原田憲

    原田国務大臣 いま具体的な線でございますので、事務当局、政府委員から答えさせたほうがいいと思います。何か地元の問題になりますと、あっちへ行けとか、こっちへ行けとかいうような問題があるそうでございますから、私から答えるより、政府委員から答えさせます。
  164. 町田直

    町田政府委員 ただいま御指摘の問題二つございまして、一つは、建設中の野岩線に続く会津線がどうなるんだ、こういうお話、それから野岩線の建設はどうなるんだ、こういうことだと思います。  会津線の問題につきましては、繰り返し大臣、総裁から御答弁いたしておりますように、別にいまの段階で会津線をとりますということを国鉄なり運輸省がきめたわけではございません。したがいまして、この問題は野岩線の建設とも非常に関連がございますので、そういうことも含めて考えなければいかぬ、こういうことに考えております。できるだけ地元の状況等もよく検討の上で、どうするか決定いたしたい、こういうことでございます。  それから第二点の脚岩綿の建設に伴う東武との調整の問題でございますが、この件につきましては、実はここ数年いろいろとやっておりますが、まだ最終的に東武鉄道国鉄との間の調整がついておりません。しかし、これにつきましては、現在建設中の野岩線が当然その調整する問題点のところへまいりますので、できるだけ早い機会に調整いたしたいと考えてもっぱら努力いたしておる次第でございます。
  165. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 終わります。
  166. 野原正勝

    野原主査 畑和君。
  167. 畑和

    ○畑分科員 私は、まず最初に地下鉄の問題についてお聞きいたします。それからそのあとで、京浜東北線、高崎線、そういった方面の通勤の非常な混雑の解決策の問題こういった問題について質問いたしたい。  まず第一に、地下鉄の問題であります。これは運輸省のほうにお伺いいたしますが、私も運輸関係のほうは全然しろうとでございます。したがって、非常に素朴な、またプリミティブな質問になるかと思いますが、そういう点はひとつ教えてもらいたい。私はいま実は埼玉県に住んでおりまして、毎日京浜東北線と地下鉄を利用させてもらって国会まで通っておるわけです。若干そういう体験もあわせてお伺いいたしたいのですが、まず地下鉄です。  実は埼玉県のほうに向かっている地下鉄の路線の問題なのでありますけれども、いままで東武のほうが乗り入れているのが一つありますね。それから東武東上のほうで相互乗り入れするのが一つございます。それからそのほかに、今度は赤羽まで来る路線ですか、それは決定されておると思います。それからさらに、国会の議事堂の前を通っている池袋でとまるもの、これくらいだと思うのですが、そういう地下鉄の路線の決定について、どういう方針できめておるのか、機関はどういう機関できめるのか、その路線の決定できる地域というのは一体どこまでがきまりなのか、そういうきまりがあるのかどうか。最近、東京都だけでなくて、その近接した地域の人口がどんどんふえております。こういった点を総合してとらえてやっているのかどうか、その辺がちょっとわからない。その辺をまず聞きたい。
  168. 原田憲

    原田国務大臣 事実問題をたくさん含んでおりますので、政府委員から答弁させます。
  169. 町田直

    町田政府委員 まず地下鉄の路線の決定でございますが、その前提といたしまして、運輸省といたしましては、運輸省の諮問機関でございます都市交通審議会というのがございますが、その都市交通審議会におきまして、東京をはじめといたしまして、主要な都市の地下鉄の路線について整備を要するものを審議していただく、こういうことをいたしております。その都市交通審議会の答申を得まして上で、あとは法律上の手続でございますが、路線計画を各事業者から運輸大臣に申請いたしまして、運輸大臣としては運輸審議会にかけて決定する、こういうことでございます。それと同時に、御承知のように、地下鉄の場合は別途都市計画との関連がございますので、それぞれの都市の都市計画審議会でも審議をする、こういう段取りになっております。  それから御質問の第二点の、範囲はどうかということでございますが、法律上から申しますと、東京を例にとって申しますと、東京は御承知のように都営と営団の二つでございますが、都営も営団も、ともに必ずしも東京都内だけということではございませんので、最近のように近郊にだんだん延びていく場合には、そういう方面にまで事業を拡張するという可能性は当然あると存じております。
  170. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、地域は別に東京の場合は東京都にきまったわけではない、その近郊に最近非常に人口が稠密化してきたような時代においてはそういった近隣の土地も含めてそういった路線の決定をする対象にすることがあり得る、こういう御答弁でございます。  そこで、われわれの住んでいる地区の問題でありますけれども、さき申したとおり、東武のほうについてはちょうど受け入れ体制ができておる、また、東武東上のほうにも池袋からずっと出ている線がございます。そこで、八号線ですか、板橋、志村まで来たのが、さぞかしわれわれは埼玉県のほうにまっすぐ延びてくれるんだろうと思っておったところが、東武東上線が受け入れる、相互乗り入れということで、あそこで曲がってしまった。そして大和町のほうへ行って、あそこで合流して相互乗り入れ、こういうことになったのでありますが、埼玉県のほうにたまたまそういった私鉄がほかにない、そういう関係で埼玉県自体で県営でやるとかなんとかいうようなもくろみもないではなかったらしいけれども、急に武士の商法でなかなかそういうこともできないというようなことで時間を遷延しているうちに、東武東上のほうへあちらへ曲げて相互乗り入れということにきまったようであります。こういうことが私はやはりうまくないのじゃないかと思う。むしろ、当局のほうで大きな目で見て、将来の人口の動向等も考えて、中心からずっとそのまま大体延ばすような方向で、もし受け入れ体制のようなこともあるとすれば、それもあわせて協議をしてやるべきではなかろうかと思うのであります。そういう点で、実はまん中に京浜東北線が御承知のように走っております。一本だけです。そのほかには御承知のように、ずっと東のほうに東武線が走っておる、それから逆のほうには東武東上あるいは西武が走っておるということでありまして、人口の非常に多い、しかも交通の非常にひんぱんな十七号国道、あの辺のところにそういった線路がないのであります。そこで、東武と京浜東北線の間に一本、それからさらに京浜東北と荒川の間に一本、十七号あたりに沿ったところに一本どうしても必要だというふうにわれわれは痛感をいたしておるわけなんであります。そうなると、先ほどの東武東上のほうに曲がった、相互乗り入れをした線が、そのまま分岐をして埼玉のほうに乗り入れるようなことができるのかどうか。  もう一つは、池袋でとまっておりまする四号線ですか、この国会の前を通っておりまして池袋で終点になります、あれを埼玉のほうへ延ばすことは技術的に不可能なのかどうか、その点ひとつ伺いたい。  それからもう一つ、赤羽までつくる予定の路線、七号線かと思いますが、その七号線は、何かいま受け入れ等について埼玉県の市町村等で寄り合っていろいろ話しておるようであります。それを大宮のほうへ持っていく、すなわち通勤緩和路線、あるいはずっともっと岩槻のほうへ持っていって、将来の発開をはかる発開路線、いろいろ両方考えておるようでありますが、そういった少なくとも二つの路線、こういった問題の可能性についてひとつ伺いたいと思います。
  171. 町田直

    町田政府委員 御指摘の問題でございますが、まず四号線、荻窪・方南町−池袋間でございますが、これにつきましては、私鉄とか国鉄線からの乗りかえ客で非常に限界に来ておりまして、しかもこの六両編成という輸送能力、現在六両編成でございますが、これを延ばすことも非常に困難でございますので、一応、先ほど申しました都市交通審議会の答申では、現在のところこの延伸は考えられない、こういうことでございます。  それから六号線、桐ケ谷−大和町間において東武鉄道と直通することになっております。これが志村−大和町間が現在工事中、こういうことでございます。  それから御指摘の七号線でございますが、これは実は先ほどの答申では中間答申でございまして、埼玉方面への延伸については、できるだけ早い機会にさらに検討をして答申する、こういうことになっております。これをできれば今年度中くらいにしていただきたいというように考えております。御承知のように、この七号線の事業主体が現在のところまだ最終的にきまっておりませんが、これで先ほどお話のございました埼玉県方面の受け入れとの関係というものも調整いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  172. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、十七号国道に沿ったあたりのほうは可能性はありますか。
  173. 山口真弘

    ○山口説明員 ただいまの問題は、現在、池袋−明石町間につきまして、新しい免許を受けた新線の建設が始まっておりますが、その線が将来成増方面に延伸をいたすことになっておりまして、これは八号線と申しております。それが将来埼玉方面にどのように延伸していくかということにつきましては、今後の検討ということに相なるかと思います。
  174. 畑和

    ○畑分科員 これは最後の要望ですが、もうきまりきった要望ですが、さっき私が申し上げましたようなことで、埼玉県の県南地帯が非常に人口が稠密している関係上、地下鉄関係の路線決定につきましてもひとつそういう点を十分考えてやっていただきたいと要望します。  それから次に、今度は国鉄のほうに二、三質問いたしたい。  私も、先ほど言ったように、自分でこの電車を利用させてもらって通っております。ところで、この間、昨年の十月に、国鉄のほうで、非常な鳴りもの入りというか、宣伝で、ダイヤ改正をやった。ところが、これがわれわれの、少なくとも埼玉県のあの辺の土地にとって、はたして通勤という点では緩和になったかという点を実は非常に疑っているのです。特急や急行などはなるほど非常に増発され、非常にスピード化された。これは間違いない。ところが、通勤する人たちあるいは学生、こういった人たちは、逆に非常に苦しんでおる面が相当多いのです。特に大宮から北の人たちは非常に多いと思う。熊谷から北は特にひどい、こういう状態にある。こういう点が私は非常に不公平だと思うのでありまして、国鉄合理化というのは、多数の利用者に対してのサービスと安全ということを犠牲にするのじゃないかとすら考えたいくらいなんです。この点、ひとつ国鉄当局の基本的な方針を承りたい。
  175. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の京浜東北線あるいは高崎線の問題につきましては、国鉄の第三次計画といたしまして、東海道をはじめ各線について線増工事を行っております。線増工事を行なうということは、列車回数がふえるということであります。もう一つの解決策といたしましては、車両をふやしていく、いわゆる車両の編成値を大きくしていくという方法しかないわけであります。ただいまの京浜東北線につきましては、三十九年時点におきましては非常な混雑をしておった。ところが、これに対しましては、編成を十両にいたしまして、それによって大幅に混雑が緩和されたわけでございます。そのほかに、上野の駅の改良問題、あるいは浦和に中距離電車をとめるということによって京浜東北線を緩和するというような方法をとっているわけであります。それによって今後乗車効率としましては最終的には二四〇%というような目標を立てて、現在鋭意努力いたしております。先ほど御指摘のような大宮の先の問題あるいは高崎線の問題につきましては、これは確かに現在中距離電車が非常に込んでおります。乗車効率で申し上げますと約二五〇%程度になっております。現在の計画といたしましては、現在十二両編成で走っておりますので、これをことしの秋から十五両編成にしたいということによりまして通勤輸送の緩和をはかるような計画を立てております。
  176. 畑和

    ○畑分科員 実は昨年の十月のダイヤ改正後に、ある新聞が埼玉版で、通勤戦争というような記事をずっと連載しました。この記事は国鉄当局としても十分参考にして読んでおられると思うのでありますが、あるいは読んでいないかもしれない。これは非常に参考になるから、読んでないとすれば、読んでもらいたい。埼玉県なんというのは管理局がないからいいかげんにされるのかどうかわからぬが、やはりそういった地方の声というものをよく聞いてもらいたい。埼玉県、千葉県、それから神奈川県等は、御承知のように非常に人口がふえております。埼玉の場合には、一日の通勤客が四十万といわれておるのであります。ところが、千葉の場合は御承知のように総武線が乗り入れをする。それから神奈川の場合には東海道線が相当増線された。そういうようなことでだんだんと具体策が進んでおる。その割りに、どうも埼玉県の場合には一番虐待されておるのじゃないか。この間なるほど線増工事が終わりました。終わったけれども、これではほかに比べて非常に足りない。国鉄にとっては相当黒字になっておるはずですが、埼玉県の場合はその辺がほかに比べておくれているのじゃないか。この点を簡単に答弁してもらいたい。
  177. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 私どもといたしまして別に埼玉県を無視しているなんてとんでもないことでございまして、人口の増は確かに埼玉県、神奈川県方面に多いわけであります。ただ、通勤と申しますと、結局東京を中心としまして、たとえば現在の京浜東北線で申し上げますと、上野、御徒町、こういうところが一つの問題になるわけであります。さらに、北浦和−浦和間というようなところが問題になりますが、現在、電車区の関係で南浦和から電車が出ております。したがって、北浦和−浦和間あるいは大宮−浦和間というところにつきまして、現在の効率から申し上げますと、約一九〇%程度でございますので、今後人口増等によりましては、現在の南浦和から出ております電車を大宮から出すというような手も考えなければなりません。それから大宮以遠につきましては、先ほど申しましたとおり、十五両編成化、これが行なわれますと大幅な混雑緩和ができるということでございまして、ことしの秋からこれを一部実現したい、こう考えておりますので、通勤全体につきまして国鉄として公平に行なっているということを申し上げます。
  178. 畑和

    ○畑分科員 当局では公平にやっていると言われますが、どうもひがみかもしれぬけれども、われわれのほうは虐待されているような感じがしてならぬ。それというのは、やはり上野の問題、それと赤羽、これを何とか改善しなければだめですよ。上野は、行き詰まりで、昔みたいな、それで終わりで、それから人力車で走ったような時代と違うのだから、何とか上野を相当金をかけても東京まで持っていくようなことにしないと、これは根本的な解決にならぬと思うのです。私らも乗ってみたけれども、なるほど今度のあれは速い、そのかわり上野で乗りかえる、乗りかえに五分要する。そういうことで、てくてく歩くのは容易じゃない。しかも変な、頭をぶつけそうなところをくくって——あれは毎日ほとんどやっているのだけれども、非常に人間を虐待し過ぎますよ。それにはどうしても上野の改造をやる以外にない。私はこの前も副総裁に会ったけれども、それは理想だけれどもなかなかできない、こういうことなんだが、これはやはりお金をかけて上野を何とかする。同時に赤羽も何とかする。赤羽は池袋のほうへ持っていくやつをやはりやらなければだめだと思うのです。赤羽と上野がネックです。したがって、どうしてもこれがほかの地域と差別されるもとだと思うのです。赤羽についてだってお召し列車はずっと行けるでしょう。実際問題はなかなかたいへんなんだろうけれども、お召し列車にすればみんな通れるわけですか。その辺はどうなんですか。根本的に考えてもらいたい。もっと根本的に考えなければだめですよ。
  179. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 東北、常磐線並びに高崎線、この線につきましては、先ほど申しましたとおりでありますが、駅といたしましては上野駅の改良、これは現在鋭意工事中でございまして、これが完成いたしますと非常に乗りかえが便利になる。現在のように長大なホームのところを歩くという必要はなくなるわけでございます。それによって混雑を緩和することを計画いたしております。赤羽につきましてはすでに巨額の投資をいたしまして改良いたしましたが、赤羽線の乗りかえというものについては確かに問題がございますが、これも跨線橋の拡幅等についての問題がございます。  それから先ほど御指摘のように、すなわち、上野−東京間に直通したらどうか、これは確かに考えられるわけでありますが、現在の東海道線自体も、先生の通っておられます東北線と同じように混雑いたしておりまして、相互に直通するという設備が現在ございませんし、これは現実といたしましては不可能でございます。一部の列車は通しておりますが、通勤のような列車を通すということは、現状といたしましては不可能でございます。今後検討いたしたいと思います。
  180. 畑和

    ○畑分科員 現状としては不可能はわかっているのです。だからそれを何とかしなければならない。新大阪と大阪の場合とか、大阪、京都、名古屋、あの辺は相当うまくいっている。それがどうも首都東京へ北のほうから来るやつはみんなあそこでストップなんです。全部乗りかえなければならない。それが非常に混雑を倍加する根本だと思う。それは金をかけて上野の駅の構造そのものを全部変えちゃう、赤羽も変える、こういう根本的な改造をしなければ、私はいつになってもわれわれのほうの地域の不満が埋まらないと思う。かように思うのです。どうですか。いまはだめだということはわかっているが、基本的にどうやるかということの決意をひとつ聞きたい。
  181. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 現状におきましては、確かに幾多の問題がございますが、今後の問題といたしましては、たとえば首都圏の高速鉄道建設、こういう問題も構想としてはございますが、現在の設備を直すということはなかなか困難ではないか、また、それだけの資金を投入いたしましても効果がないのではないかというふうに考えられます。
  182. 畑和

    ○畑分科員 いまの方法より方法がないというのでは、一体それではどうするのですか。これを何とか根本的に考えてもらわなければ、どうしてもわれわれのほうの混雑は終局的に緩和でぎない、こう思うわけです。そちらにいい案はないですか。
  183. 石田禮助

    石田説明員 御承知でしょうが、たとえば東海道線、あれは非常な通勤旅客の増、これに対処するために複線を敷く、こういうことなんですが、いま土地の問題でひっかかってなかなか進行していないのですが、進行してみたところで、小田原までは行きますが、小田原からはやはりもぐらざるを得ないということで、非常に大きな金をかけて、これは費用にかかわらずやらなければならぬ。総武線のほうでも、これは当然両国からもぐってそうして東京駅に行く。東京駅には大きな二百五十億をかけて駅をつくる、こういうようなことで、国鉄としてはできるだけのことをやっていますが、要するに、国鉄の力以上に四隣の人口がふえているので、これはいかんともすべからざることであります。これは、そういうことで、いかんともすべからざるということで手をあげているわけではなくて、現実にできるだけのことをやっていますので、どうかひとつ……。
  184. 畑和

    ○畑分科員 どうも国鉄総裁といえどもなかなか名案はなさそうである。これは困ったことである。これは何とかしなければ国鉄の不名誉になりますから、これは課題として預けておきますから、ひとつ大いに研究してもらいたい。そのかわり金も相当使わなければだめですよ。金を使わなければ間違いなくだめ。  ところで、運輸大臣に聞きたいのですが、そういう点も、通勤輸送の改善も、結局は輸送力増強が必要だということになることは、これはだれでもわかっている。そのための投資は、道路の整備と同様であって、これは国の責任だと思う。先ほどからも広瀬分科員との間の問答で総裁が言われておったのでありますけれども、ともかくそれに対して国はどういう責任を持とうとするのか、この点が非常に重要だと思うのです。採算ベースだけを考えると、私鉄にしろ、国鉄にしろ、やっていけないのはあたりまえです。こういった通勤通学の人口の急増というようなことはまことに大きな政治的な問題だから、これを解決するには国鉄だけにまかしてはとてもだめだ。したがって、国鉄の企業努力だけに期待しても、とても見込みがないのでありまして、この点はあくまでもやはり国の責任だと思う。運輸大臣はどうお考えですか。
  185. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄財政全般の問題といたしましては、私は、現在私どもが提案して御審議をいただいております財政再建考え方を実現していくことによって、十年目には黒字に転じていくことができる、このように考えておるのであります。  なお、いまのようにこの通勤対策については、私は、この間におきましても、たとえばの話、きのう、おとといでしたか、坂本二郎さんが、ある新聞に——私はそれを一ぺん見たいと思ったのですが、技術的に中央線で現在のままで二階建ての線増をやっておるじゃないか、これを地下で二階、三階やっているなら、上でも二階、三階やれないわけはないじゃないか、このやり方というものは新しい技術じゃないかということを書いておられた。私は技術屋じゃないからわからぬのでありますけれども、もしそれが事実といたしましたら、それはきょうのお話の中にも出ていましたが、線増するために一つ別にここに用地を買収して高架をつくっておいて、そしてこれができたら、今度はこっちをやろう、こういう考え方でいままでやっておる、こういうことが解決されていく一つの大きな方法である、もっと大きなイメージ的にいうと、その上に今度は高速道路を通し、住宅公団に家を建てさせ、これで空間を利用するのが未来の都市づくりではないかということを、ひとつどこか大阪か東京でやってごらんになりませんかということが出ておりましたが、私は、現在の時点だけを考えずに、未来というものを考えるならば、さようなことも考え合わせながらやっていくことによって打開できる、こう思うのですが、財政関係につきましては、いまの私どもの考えておることに御協力を賜わったならば、一応の解決というものが見られるのではないか、このように考えております。
  186. 畑和

    ○畑分科員 以上で終わります。
  187. 野原正勝

  188. 山田太郎

    山田(太)分科員 最初にまず運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、本州・四国の連絡橋の問題です。このことについてはもう世間注視のことであるし、また同時に、瀬戸内海沿岸の工場、あるいは住民にとっても、ことに四国の開発にとってはどうしても早急に着工しなければならぬ問題です。そこで、これはもう言うまでもないことですが、大臣は、小さい声で言いますが、私的な立場では鳴戸大橋推進の立場、ここでは公的な立場として公平な立場でひとつお伺いしたいわけですが、先日坪川建設大臣は、大体五月、六月、七月と段階を追って七月決定の線にしたいというお話がありました。ところが国民は、なぜこんなにおくれたんだろうかという非常に疑惑の点をある意味においては持っております。と同時に、この七月もまたおくれるのじゃなかろうか、そういうふうな疑惑の目も持っております。その関係の閣僚として、この線については間違いないという運輸大臣としての御答弁ができるかどうか、これを期待して待っているわけですが、その点についてどうでしょうか。
  189. 原田憲

    原田国務大臣 ただいま、本四架橋問題について建設大臣がこの間答えておるが、おまえはどうか、こういうお尋ねでございます。ちょうどあのとき私はおりませんで失礼いたしましたが、私も同じ考えを持っております。大体私は、いま運輸大臣でございますから、固定的な考えは持っておりません。それは確かにあなたがおっしゃるように、架橋ということについて熱意を示しております。   〔主査退席、久保主査代理着席〕 もうだいぶ以前から私は瀬戸内海に三つくらいの橋はあってもよいという考えを持って推進をしてまいっております。それは事実でございます。そこで、いまそれの調査費がつきまして、もうこの間建設大臣が答弁しておるように、経済効果がどうだ、この橋をつくった場合はどうかという調査、それからもう一点は、海の上の問題との関連はどうか、海上交通との問題はどうか、こういうことにかかっておると私は承知をいたしております。その結論もやがて出るだろう。そこで七月ごろにはそれらの調査の結果を踏まえての結論も出る、こういうように私も承知いたしておる次第であります。
  190. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで再びお伺いしたいわけですが、もし運輸大臣の所管以外であるならば担当の方から答えていただいてもけっこうですが、いわゆる七月までに事務的レベル——それは大体六月に審議会にかけるというこの前の答弁であったと思います。したがって、事務的レベルはもうすでに完了しておるのじゃないか、そういうふうに思うわけですが、その点についてはどうでしょうか。
  191. 原田憲

    原田国務大臣 いまの審議会にかけるというお尋ねなんですが、そこのところは私はわかりません。まだそのことは聞いておりません。なお事務当局から答弁をいたさせます。
  192. 町田直

    町田政府委員 この本四連絡架橋につきましては、運輸省関係といたしましては、鉄道敷設法に基づきまして調査をしているわけでございます。鉄道敷設法に路線が二路線指定してございますので、そういう意味で、鉄道建設審議会にかける必要があるかどうかという点はなお検討いたしたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、もしそういうことであれば鉄道建設審議会にかけるということになります。  それから先ほど御指摘の道路につきましては、おそらく、これは所管が違いますので、間違うかと思いますけれども、道路審議会のことを建設省としてはいっておられるのじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、調査の現段階は、ただいま申しましたように経済調査と海上航行調査をいたしておりまして、結論としてはまだ最終的に出ていないということでございますが、目標としては最終的には七月ごろということで事務的に取り運びたいということを考えております。
  193. 山田太郎

    山田(太)分科員 まず七月では間違いないという大体の線が出たと思います。確認したわけでございますが、そこで、これも直接担当とはいえないと思いますが、この事業主体の問題です。これが道路公団でなければならぬ、あるいは併設橋ならば当然鉄道建設公団等々も担当の主になってくるわけですが、そこにおいて事業主体が、併用橋になる場合、ここに問題点があるわけです。関係閣僚としての一応の構想といいますか、そいうもの、たとえば架設公団のようなもの、架橋公団のようなものをつくるとか、そういうふうな点についてはどのようなお考えであるか。
  194. 原田憲

    原田国務大臣 私、正直に言いまして、まだそこまでは実は考えておりません。お尋ねの点は、たとえば成田の空港をつくるときに、新成田空港の公団をつくっておるじゃないか、ああいうものをつくるかというお尋ねであろうと思いますが、そこまでは私は考えておりません。
  195. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこでもう一歩踏み込んでお尋ねすれば、経済効果という問題もいまお話がありました。これについては、これは本四架橋についてではありませんけれども、ほかのデータを見ますと、資料の与え方いかんによって、あるいは時期の決定のいかんによって非常に差がある。ものによっては反対の結果が出たりするような場合があります。この点について国民が一つの疑惑の目を持っておるわけです。というのは、世間一般でいう政治力といいますか、そういうものに左右されるのじゃなかろうか。ある新聞の報道によると、大臣の多いところはとか、そういうふうな話さえ出ております。そのような政治力に左右されるようなことがあったんでは、これは世紀の事業といたしましても一番将来に悔いを残すことになると思う。当然もう御答弁はわかるような気がしますが、しかし、これはあくまでも、大臣としてこの点についてはっきりした明言をしておいてもらいたいと思います。
  196. 原田憲

    原田国務大臣 もとより私はさような私情をはさむべきものであるとは考えておりません。また、現在大臣がたくさん出ておるところというふうな話がありましたが、私はさようなことは毛頭考えておりません。政治的に有力者というなら、あなた、岡山でしょう——岡山にはあなたもおられるし、江田さんもおられるし、大平さんだとか成田さんだとか偉い人がたくさんいますから、そういうことは一切ない。私どもが、出てきたもの対にしまして十分正しい公正な判断で判断は下さなければならぬ、このように考えておりますし、また、こういうものを政治的な判断で、あっちがいい、こっちがいいというようなことで時期を失して、かえってマイナスするというようなことがあってはならない、このようにも考えておる次第でございます。
  197. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、もう一歩、しつこいようですが、なぜここまでおくれてきたかということですね。工期とかあるいは工費とか、そういう点については土木学会なりあるいはその他からの一応の発表がありましたけれども、この工期あるいは工費あるいは技術面、そういう点においては一応の見解が示されておる段階であると思う。これはなぜおくれてきたか、ここがやはり一つのポイントになっていると思うのです。なぜこんなにおくれてきたか。御承知のようにおくれてきたのは確かですね。去年着工するといったのが、去年決定するといったのが、またことしになり、七月には絶対間違いないという判断をしておりますが、おくれてきた原因はどこにあるのか、この点についてもう一度答弁願います。
  198. 原田憲

    原田国務大臣 私は、そこのところ正直言って、あなたが問われておりますのは、おくれたおくれたとおっしゃいますが、私はこれは大臣としてより個人としてですが、もっと早く決定することはできたんじゃないかと思いますけれども、いま大臣になって、こうして話を聞いてみますと、やはりかような国費を相当つぎ込まなければならないことでございますから十分調査を進めておかなければならぬ。こういうことから現時点で、これは、ここに事務当局からいままで経済調査の作業がおくれたためだ、こういっておりますが、私はすなおにそう受け取っていいんじゃないか、このようにと思っております。
  199. 山田太郎

    山田(太)分科員 もう一つ、蒸し返すことになりますが、経済調査のためであるということがやはり非常に語られております。そこで、この経済調査ということ自体が、先ほど申し上げたように、どこにポイントを置くかというようなことによって非常な差が出てくるわけですね。それを国民の納得のいく判断がほんとうに下せるかどうか、そういう点について一点の危倶を持っております。それについて、これも明確な答弁をしていただきたい。
  200. 町田直

    町田政府委員 御承知のように、経済調査につきましては、建設省は道路橋としての経済調査、私どもは道路鉄道併用橋としての調査を別途両者やっております。その内容は、人口の推移あるいは需要の動向、今後の見通し、他の交通機関との関係等非常に広範にわたりますので、先生指摘のようにできるだけ一般的な条件を与えまして、いろいろな研究団体、学者等を含めた研究団体に委託をしてやっておる次第でございます。これが出てまいりました場合には、運輸省運輸省といたしましてそれにさらにいろいろな条件を加えまして調整をし、また建設省は建設省で同じような作業をいたしまして、両方突き合わせた上で最終的な判断をいたしたい、こういうことを考えております。したがいまして、先生指摘のように、いろいろなケースを想定して、両者で十分相談の上やりますもので、何と申しますか、それについて御批判いただくということになると思いますので、それが一方的な考え方ばかりではないようにということを十分注意いたしております。その点でひとつ御了承いただきたいと思います。
  201. 山田太郎

    山田(太)分科員 そのような当たりさわりのない御答弁しかできないと思います、いまの段階では。しかし工期の面とかあるいは技術の面とか工費の面、この点についてはもうこれは明らかになっております。この点についてこれ以上問いません。また答弁もできないでしょうから、これ以上問いません。だけれども、公正な判断を下さないと、これは非常に大きな問題になってきます。これはことに公正な判断を下す、だれが見ても妥当であるという線を出していただかないことには、国民承知しないと思います。  そこで次に移りますが、この前の新聞の報道によりますと、田中幹事長発言等々問題にされましたが、いま現在計画案が三本あるとしますと、この三本を同時に着工するというふうな話も出てきたわけです。これは新聞の報道です。それで、民間の資本を導入して特殊法人をつくる、これは議員立法でするとか、そういうふうな話が報道されたことによって大きな問題を提起いたしました。この点について大臣としては関係閣僚として、同時に着工したほうがいいと思うのか、あるいは順位をつけたほうがいいと思うのか、そういう点について政府ももうすでに解決しなければならない時期に来ておりますし、いま答弁する時期でないと言われればそれまででございますが、しかし関係の大臣としてどんな考えを持っていらっしゃるか、その点についてもう一度お伺いしておきたいと思います。
  202. 原田憲

    原田国務大臣 田中さんのことは私実は知らないものですから、お答えをいたしかねるのでございますが、それは私見という立場で述べられたのではないかと思うのであります。私は大臣としてこの瀬戸内海の架橋について決断を下すためには、先ほど言われましたように公正な立場で臨むということは間違いないことでございます。  それから順序をつけるか同時かという問題につきましては、ただいままだどちらにも決断をいたしておりません。
  203. 山田太郎

    山田(太)分科員 もう一つ、特殊法人の問題……。
  204. 原田憲

    原田国務大臣 それもまだ考えておりません。先ほどのことと同じことでございます。
  205. 山田太郎

    山田(太)分科員 運輸大臣として考えてはおられても答弁できないのかもしれません。その点はどうですか。
  206. 原田憲

    原田国務大臣 いや、いまのところ全く考えておりません。
  207. 山田太郎

    山田(太)分科員 その点については怠慢であるということも、ある面においてはいえるかと思います。これは最後の結論は公正な世論も納得する線をということが一番大切だと思いますから、ことにこれは強調しておきます。もちろん我田引水というわけではありません。その点はお断わりしておきます。  そこで、時間がないので山陽新幹線のことについてお伺いいたします。まず国鉄当局にお伺いしたいことは、山陽新幹線のまず岡山までの工事ですね、これは一応四十七年三月末に完成、そして四月開業というふうに聞いておりますが、この点については間違いないかどうか、もう一ぺん確かめておきたいと思います。
  208. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま御質問の山陽新幹線、新大阪−岡山間の工事は、いまのところ仰せのとおり四十七年三月、それを目標に工事を進めております。
  209. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで重ねてお伺いしますが、これをもっと早目に完成したい、そういう当局の意向があるということも聞いておりますが、この点についてはどうでしょうか。
  210. 長浜正雄

    ○長浜説明員 仰せのとおり、これだけ多額の金を使いまして工事をいたしますのと、完成の暁は地元の国民の皆さんに非常に御利用いただく、利便を与えるということで、一日も早くわれわれとしては完成させたい、こう思っておりますが、御承知のように新大阪−岡山間で、用地買収、設計協議等で非常に御協力をいただいております地元の方々には厚くお礼申し上げるのでございますが、実はまだ細部の点で一致していない点もございまして、そういう点の用地買収、設計協議にいま全力を尽くしておる段階でございます。  また工事としましては、六甲トンネルが非常に難工事でございまして、御承知のとおり地質も非常に悪うございまして、水も相当たくさん出る、しかも長大トンネルということで、鋭意このほうを技術的に克服するように努力をしておる段階でございます。
  211. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間がないので少しまとめて聞きます。  いまの答弁をもう一歩進めて、完工する時期をもう少し早める、あるいは半年なら半年早める、そういうふうな計画がありやなしや。  それから二点は、これは東海道新幹線の場合ですが、新幹線と道路との立体交差に関する協定というのですか、長い協定ですが、東海道新幹線には建幹協定があった。この新大阪−岡山間においては、これを適用するのかどうか。東海道新幹線の場合はオリンピックがあったからなどということは、理由にはならぬと思います。やはり公平を期する上から、これは当然適用すべきであるが、これについてどういう考えであるか、どういう方向において建設省と話を進めていこうとするか。  その点を二つ答えてください。
  212. 長浜正雄

    ○長浜説明員 第一の、事業を早く完成することにつきましては、いまのところそういう計画は持っておりませんけれども——持っておりませんというよりも、いまのところまだきめかねる段階でございます。というのは、用地買収あるいは工事はまだ初期でございますので、まだきめかねる段階でございます。しかし、できれば一日も早く完成したいことは論をまたないところでございます。  それから第二の点の建幹協定と申しますか、建設省と国鉄との立体交差その他に関する協定のことをおさしだと思いますが、これは確かに国鉄と建設省の間で、新幹線建設の場合の立体交差の問題その他に関する協定を東海道新幹線の場合に別途結んでおります。普通一般的には、国鉄と建設省の間で道路の立体交差に関する費用負担その他の建国協定というものがございますけれども、東海道の場合にはそういう別途の協定を結んでやったわけでございます。山陽新幹線の場合には、いまのところ建設省あるいは地元の地方公共団体とその点について協議を進めておる段階でございまして、実はその点につきましては、一般の道路側にしましても、全国の幹線道路の建設の問題その他がございまして、簡単に原因者負担というわけにはいかないような点もございますのでもこれをどういうふうに進めるかということを建設省と地方公共団体と鋭意進めておる段階でございます。なるべくみんなが満足するような段階に進めたい、こう思っております。  いまのところ、見通しとしては、やはり原因者負担の方向でいかざるをえないんじゃないか、こういうふうには考えておりますけれども、まだ最終結論には達しておりませんので、こうだというふうにお答えできないわけでございます。
  213. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、東海道新幹線と同じような方向で話を進めていくというふうに解釈します。それでいいですね。  そこで、その次にもう一つお伺いしますが、同じく、これも世上非常に問題になっております件です。時間を早めるために簡単に言います。それは、山陽新幹線のスピードアップ等も含めて、東海道新幹線よりもより一そう、いわゆる風圧にしても音にしても、住民は非常な心配をしております。そこで、山陽新幹線の側道及び緩衝緑地帯の設置について、国鉄の基本的な考え方をお伺いしておきたい。
  214. 長浜正雄

    ○長浜説明員 側道の問題につきましては、もう御承知だと思いますけれども、国鉄の事業といたしましては、鉄道敷を用地買収いたしまして、鉄道施設をつくるということはできるのでございますが、道路をつくるということは国鉄としてはできないわけであります。国鉄としては、あくまで線路構造物をつくって鉄道を通すということに限定しておるわけでございます。  ただ、御質問のように東海道新幹線の場合に引き続きまして、山陽線の場合も、高速のために振動あるいは騒音というようなことで、あるいはまたその地域で縦断されるということのために、地元からの強い御要望がございまして、そういう緩衝地帯をとってほしい、こういう御要望がございます。これに対しまして、国鉄としては、山陽新幹線は高架になります、あるいは盛り土区間もあります。でき上がりました暁にこれを保守いたしましたり、あるいは線路保守のために通行しなければならない。あるいは現在ありますいろいろな道路をつぶしていきますので、これのかわりの道路をつくらなければいけないというような問題がありますので、何がしかの通路としての用地を提供しなければなるまい、こういうふうに考えております。  ただ、われわれが考えておりますのは、それの必要としては大体四メートルぐらいでいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、地元としましては、道路として使うならばもっと幅の広いものがいいというような地域も都市区域にはあるわけでございます。これにつきましては、われわれとしては、道路管理者であります建設省あるいは地方公共団体と協議を進めまして、地方公共団体のほうで道路をつくっていただく、都市計画を変更するなり、協力をして、将来の道路にもする、そのためにそういうふうに協議を進めまして、国鉄としては、いま申しますように四メートルの幅員の用地を確保しまして、それを提供することによって地元の人たちの利便に供したい、こういうふうに考えておる次第でございます。これが基本線であります。
  215. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、一言申し添えて次の質問に移ります。  いまの四メートルの線ですね、それを幅員を広げるという点、これは地元の要望が所によっては非常なものです。これについては、もちろん関係公共機関と協議して、地元の方々の要望に沿えるように、ひとつ努力していただきたいと思います。  次にもう一つお伺いしたいことですか。同じく山陽新幹線の岡山以西の問題です。この岡山以西の問題について、昨年各新聞等の報道によりますと、数カ月内に認可申請をするというふうな報道をされたこともあります。しかし、これは依然としてまだやみくもになっております。この認可申請の点について。  それからもう一つは、博多までを一応五十年目標という案も報道されております。この完成時期ですね。考えてみると、東海道新幹線の場合は、あれだけの急ピッチな工事で進めて、三十四年でしたか、それでやっと三十九年。ちょうど同じような、報道どおりの五十年を目途とするならばもうおそいのじゃないかというぐらいの時期にきております。したがってこの認可申請についての件と、もう一つは完成時期をどうするかという点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  216. 長浜正雄

    ○長浜説明員 岡山以西の山陽新幹線を延伸する問題につきましては、東海道新幹線の利用の状況その他を見まして、あるいはまた地元のいろいろな空気といいますか産業経済の状況を見まして、なるべく早くこれを建設して利便に供したほうがいいであろうというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、何ぶんにも実はまだ岡山以西約四百キロばかりございまして、この間には御承知のように広島県下の西条付近の高原地帯がございますが、これをトンネルでやりますと十六キロぐらいのトンネルになろうか、あるいはもっと短くなるかという非常にむずかしい地域、あるいは関門トンネルなどございまして、この間には技術的に非常にむずかしい問題がたくさん含まれております。したがいまして、いまわれわれとしましては、こういう点を大体解決のめどをつけまして、そして運輸大臣に認可申請を出したい、こういうふうに考えておりますので、いまのところなるべく早く、こういうようには考えておりますが、技術的に自信のある認可申請を出したい、こういうように考えております。  完成時期につきましては、一応いまからそういうことで段取りをいたしますと、昭和五十年目標ということで大体いける見通しでございます。以上でございます。
  217. 山田太郎

    山田(太)分科員 認可申請についての目標については明確な答弁がなかったわけですが、これについてもう一度聞きたい。
  218. 長浜正雄

    ○長浜説明員 認可申請につきましては、実はいろいろこれから、私申し上げましたような点をどの程度まで煮詰めて認可申請するかということで部内的によく相談をいたし、そしてまた運輸大臣のほうに認可申請の書類を出すつもりでおります。  あと、おくれると工期がそれだけおくれるじゃないかという話になるかと思いますが、これにつきましては、いろいろ地元の協力をいただくというふうに、いま空気がそういうふうになっております。また建設省その他の都市計画関連のほうも御協力をいただくように御連絡を申し上げておりますので、予定どおりに完成することができ得るであろう、こういうふうに考えております。
  219. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間が参りましたが、もう少しいただきます。お願いします。  その点はあえてもう問いません。そこで、これは岡山県のことで恐縮でございますが、国鉄当局にお伺いしたいことは、山陰の過疎地帯、全部をいま言いませんが、山陰地方、開発のおくれているところ、これから山陽と山陰とを結ぶ線において非常に大切なのが伯備線でございます。この伯備線についての複線化あるいは電化問題についてどのような計画がおありか、その点について教えてもらいたいと思います。
  220. 久保三郎

    久保主査代理 時間ですから簡潔に答弁願います。
  221. 長浜正雄

    ○長浜説明員 三次計画で伯備線の線増計画は乗っておりまして、いまそのうちの部分的に備中高梁までを着工することにしておりまして、豪渓までが完成しております。それから豪渓から二区間おきまして美袋まで近く完成したい、美袋まではいま着工しておりまして、四十五年の秋には完成する予定でございます。美袋以遠につきましても、広瀬かあるいは高梁までの二区間と、なおそれ以外に奥のほうで一区間か二区間着工したい、こういうふうに考えております。
  222. 山田太郎

    山田(太)分科員 いつまでの計画ですか。
  223. 長浜正雄

    ○長浜説明員 そのうちの一部は四十五年十月で、残りは四十七年ごろになろうかと思います。工事の都合でそういうことになります。
  224. 山田太郎

    山田(太)分科員 ではこれで時間がきましたので、まだ海上保安庁にお伺いしたい点もありましたが、きょうは割愛させていただきます。せっかくおいで願いましたが、御了承願います。  以上で終わります。
  225. 久保三郎

    久保主査代理 次に広沢賢一君。
  226. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 時間がないですから端的にお伺いします。  帝都高速度交通営団にどのくらい政府としてはいろいろめんどうを見るというか、利子補給しているのですか、していないのですか、お聞きしたいと思います。
  227. 町田直

    町田政府委員 帝都高速度交通営団につきましては、四十二年を初年度にいたしまして、前年建設いたしましたものに対する一〇・五%に相当するものを五年間に分けまして補助をしておるという形で実施いたしております。   〔久保主査代理退席、仮谷主査代理着席〕
  228. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 ちょっと聞きますけれども、それは利子補給ですか。
  229. 町田直

    町田政府委員 正式には利子補給という形ではございませんで、前年度の工事額に対する補助ということでございます。
  230. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、今度は東京都の地下鉄になりますが、交通局経営のこういうものについてはどういう手当てをしておりますか。
  231. 町田直

    町田政府委員 全く同様でございます。
  232. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 今度は海運のほうについて聞きます。ずいぶん飛びますが、海運についてはどういうような手当てをしておるか、利子補給はどのくらいか、それをお聞きしたいと思います。
  233. 澤雄次

    ○澤政府委員 海運におきましては、開発銀行の融資につきましては六分五厘と五分五厘の差一分を利子補給ということに相なっております。これは最終の船会社の負担金利は五分五厘ということになります。それから市中融資につきましては、八分二厘一毛五糸と六分の差二分二厘を利子補給しております。船会社の最終金利は六分ということに相なっております。
  234. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、帝都高速度交通営団並びに地下鉄建設の側にとっては、船会社と比べて不公平だと思いませんか。
  235. 町田直

    町田政府委員 実は船会社に対する利子補給と帝都高速度交通営団等地下鉄に対する補助につきましては、それぞれ一応目的もあるいはやり方も違いますので、両方必ずしも一がいに比較してどうこうするということではないと思います。
  236. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 大衆の足を預って、それでもってそのくらいの答弁じゃ、大蔵省は出しはしないし、何を気がねしているのかわからないのです。たとえば船会社についていろいろと資料がそちらにもあると思いますが、私のところにある一つの資料では、日本郵船について、たいへん自社船が多いために収益力が高く、財務内容も他社に比べてひときわすぐれておると書いてある。六分配当は余裕を持って据え置く、原価償却は一ぱい見積もっておるというのです。これは私企業ですよ。そうすると地下鉄とか国鉄は、もう毎日毎日の都民の足、国民の足を預かっておる。万一のことがあったら、たいへんな人命問題です。船会社は少し景気が悪くったって何だって、少し無配になったって、人命に損傷はないのです。そうしますと、やはりその衝に当たっておる人が、いまのことを聞いても、船会社は大体あれですよ、その利子補給額というのは大したものですよ。ここに出ているけれども、大体百三十億くらい、間違いないですね。それで、たとえば地下鉄の場合でも、交通局の職員というのは去年の賃上げを、ほかの公務員がもらっているときにももらっていないのです。赤字だというのでその分をもらっていない。それほどのむごいことを受けていながら、それについてこれはおかしいということを言わないのがどうかしていると思いますが、どうですか、運輸大臣
  237. 原田憲

    原田国務大臣 いまの海運と地下鉄の経営というものを比較してのお話でございますから、そういうお考えもあろうかと思います。しかし、いま鉄監局長が言っておるように、それはそれぞれ別のものでございますから、それぞれの立場に立った助成策というものであるという見方もあろうかと思います。
  238. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それぞれ別のものだといったら比較することができないのです。これは私企業です。もうけたら自分のふところへ入れちゃうのです。一方はたとえもうかっても国民のものなんです。帝都高速度営団はちょっと国民のものじゃないのですが、だけれども、大体において国民のものなんです。そういうことだったら、比較するんだったらなおさらですよ。船会社の人がボーナスをもらえないという話はないんだから、賃上げの差額を一年も据え置かれているということはないのですから、そのためにストライキが起きるのです。禁止していながら起きるのです。そうすると、運輸大臣としてはやはりこれは別ものということばかりを言うんじゃなくて、もう一回検討し直すと佐藤さんだって言っていますね。国鉄とか私鉄については、これは政府が何とかしなければならぬと言っているのですよ。結局、話が長くなっちゃうとあれだけれども、国鉄でも私鉄でもやはりいろんな公の負担を企業がしょい込んでおるのです。そのために税金を出してもいいのです。船会社が輸出振興、外貨かせぎというが、これは間接的なんです。しかも、もうかっている。これはおかしいと思いませんか。
  239. 原田憲

    原田国務大臣 海運助成策というものは、広沢さんもよく御存じだと思いますけれども、日本の経済というものの中で忘れてはならない国際収支というもので、これが赤字になった場合には、日本経済はすべて赤字になります。これは間接経済というものがこうなっていますから、やはりサラリーマンが地下鉄に乗ってかせぎに行く、そこまで影響してくる問題を含んでおる。だから、国際的にどういう助成策をやっておるかということを踏んまえた助成策だと思うのであります。だからあなたがおっしゃっておるいまの地下鉄の問題をどうするかということは、それにのっとって、その企業というものがどういうことになっておるか、これに対する助成策はどうしたらよいかという観点に立って行なうべきものであろうと思います。だから私が言いましたように、そういう見方もあろうと思いますから、海運にはこういうことをやっているじゃないか、だから同じようなことはできないか。今度国鉄再建策の中にも取り入れられている考え方というものは、それに近いものがあるかと思います。利子補給制度を去年からやっておる。だからそれはそれとして取り上げるべきものである。いまのあなたがおっしゃっている地下鉄助成策というものを考えるべきじゃないか、こうおっしゃられると、私はそれは考えるべきだ、こう思います。
  240. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そのとおりだと思うのです。やはり助成策をうんと講ずるべきだ。何も私は船会社をとっちめるために言っているのじゃなくて、ものには順序がある。一つは、生命の危険を預かっておる。命が一番大切ですからね。佐藤さんは人命尊重と言っている。したがって命にかかわる問題を第一番目にする。国鉄なんか過密ダイヤで大へんですよ。世界で一番大へんな仕事を受け持っているのですね。そうすれば、そういうものを先にして——いま私が申し上げましたとおり日本郵船はもうたいへんもうけている。ドルをかせぐというのは、いまアメリカがドル防衛で、今度は輸入制限をやるあるいは自主規制をやる、それでこのくらいでかんべんしてくれという交渉をやるのでしょう。そうすると輸出入の見通しというものは、ドルの不安、ポンドの不安で全然変わってくるのです。そうすると、その中で日本郵船その他の船会社に出した利子補給がどれだけドルをかせぐのに生きてくるか、もしくは不足の状態がどうなったかというところまでとことん議論しなければ、これは比較して正当性があるということは言えないのです。赤字でもってひいひい言っているとき、戦後の若干のときだったら利子補給といったって、だれでもそうだというでしょう。やはりこういうふうにれっきとして出ているからには、その前のことをきちっと見て、それから科学的な答弁が必要じゃないかと思う。  もう一つ、今度は交通一元化の問題です。時間がないからどんどん飛びますが、いま東京の中で走っているのは、私鉄のバスがどんどん乗り入れてくる、交通局のバスも走っている。切符はみんな別々です。地下鉄は通っているけれども、全然違った帝都高速度交通営団と都の交通局のとが通っていて、交差していて、やっと連絡はとったものの部品や何かもおそらく違うでしょう。何かごたごたがあったらしい。おまけに今度は両方で私のところにこれだけの線を敷いてもらいたいということで猛運動している。年がら年じゅうそれが問題になっている。こういう状態というのは許されるべきじゃなくて、交通一元化のために一日も早く処置をしなければいかぬと思うのですが、運輸大臣いかがですか。
  241. 原田憲

    原田国務大臣 そのお考え方は私は同感のところがたくさんございます。そこで、原則的には一元的に建設、運営されることが望ましいのでございますが、営団のみならず都においても、今後の問題として、運営主体の一元化に対して検討できないか、こういうことをいたしてみたいと思います。当面の対策としては、地下鉄を中心に、いまおっしゃるとおり、他の都市交通機関についても機能上、運営上一元化と同様な利便を与えるよう、郊外私鉄の地下鉄との直通乗り入れ、地下鉄の郊外延伸等の措置を講じておりまして、今後とも行政措置を通じてこれを推進していく考えであります。なお、営団及び都営地下鉄にまたがる利用の運賃につきましては、現在普通運賃について十円、定期運賃については一五%割引を実施しておりますが、利用者の利便を促進するよう今後ともさらに検討する所存でございます。要するに、いまやっているのは相互乗り入れだけやっておりますが、今後はいまあとのほうで申しましたように検討していきたい、こういうことでございます。
  242. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 ぜひともそれを進めていただきたいと思うのです。  それで、たとえば給与も一方と一方では違っていて、それで同じ乗り入れをしている。働いている人たちの一方と一方で違う。どっちがえらいか。帝都高速度交通営団と、都の交通局とどっちがえらいと思いますか、どっちを主とすべきだと思いますか。運輸大臣いかがですか。
  243. 原田憲

    原田国務大臣 いまのえらいというのはどういうことを言っておられるかわからぬのですが、私鉄と公営企業との給与の面を言っておられるといたしますと、これはいろいろ違いがあると思います。この違いは、同一業種で同一賃金ということが望ましいという考えもありましょうけれども、現在のところではこれはおのずから違っておるのもいたし方がないのではないか、このように私は思います。
  244. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 いま大臣は私鉄とおっしゃいましたが、大臣は帝都高速度交通営団というのは私鉄というふうにお考えになっていますか、どうですか。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  245. 原田憲

    原田国務大臣 公営の地下鉄とは違うのですけれども——やはり公共企業ですな。
  246. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 大臣が人がいいからあまり追及できないのですが、これはとてもじゃないけれども、だめですよ。帝都高速度交通営団が私企業なのか公企業なのか、特殊法人だという。帝都高速度交通営団が正体もわからないようなぬえ的存在だからこそいろいろ問題が起きたのです。東京都の交通一元化の問題でも何でも、出資者から何からいって、この性格が差しつかえになっているのです。公団とかいろいろなものがずっとできています。これをどういうように処理するかということは行政管理庁の任務だけれども、ひとつ整理しなければだめなんです。それで大臣にお願いします。東京、大阪、各都市をごらんになって交通一元化のためにいろいろと具体的な案をつくってやっていただきたい。そうしないと、給与の不公平ばかりじゃないのですよ、連絡の不備、それからあの都市では一元化してバスがちゃんと通っている、この都市では私鉄がのさばり返っている——私鉄を言っているのじゃないのですよ。どっちか一つにきまらなければだめなんです。歴史的伝統もあるけれども、東京都なんかこのことで非常に交通の渋滞に輪をかけている。だからその点についての努力をお願いします。どうですか。
  247. 原田憲

    原田国務大臣 いまのは事務当局のメモを見ますと、営団でちゃんと一本でやっていたのを、あとから東京都が入ってきたからややこしくなってきたのだと書いております。私は、おっしゃるように、これからの都市交通は実際むずかしい問題をかかえていると思います。現実の問題として、たとえば一つの団地をこしらえた。これで新しい交通機関をつくろうとしてもできないのですね。もういまの状態だと、企業経営に乗らないのです。だから特別な安い金利の金を貸して今度やっていますね。大阪で開発銀行の金を貸して、そして堺の団地に初めて電車をつける。いまの一般の私鉄にやってくれといってもやらぬですよ。現在やれないというのですね。そういうことですから、都市交通問題に対しましては一元化をしていくことにどういうようにして持っていったらよいかということが、先ほど言いましたことの裏づけに問題としてあると私は思うのです。これは私は十分努力してみたいと思っております。
  248. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そのとおりだと思います。  最後にお尋ねしますが、たいへんな国費をかけて道路を非常に拡充しています。五幹線の道路から、国際空港から、一ぱい出しています。四千九百七十二億一般会計から出しているのですが、こんなに国費をかけて道路を広げて、自動車がばりばり走って、桜の木も枯れてしまうという公害が生まれている。人間も十年寿命が縮むというのですよね、いまの亜硫酸ガスや何かの許容限度では。それで自動車は過剰生産になろうとしている。これはおかしいと思いませんか。この自動車行政について、やはり野放しにしておいたらだめだ。もちろん道路を広げて中高層住宅をつくるとかなんとか、各都市でいろいろな努力はします。けれども、ここまで来てしまったら、大元である自動車行政について考える必要があるのじゃないかということが一つ。  それからその次に、その中のタクシー行政ですが、タクシーで運賃値上げをやろうという動きがずっとありますが、タクシーの運転手さんは半分歩合給なんです。歩合給だから、時は金なりといって夢中になって走っている。これは運輸委員会でも先輩委員がずっと詰めていますから、これは既定の事実です。したがって、今度タクシー会社が運賃値上げをするとかそういう場合には、交通事故のもとである歩合給の問題についていろいろ行政指導されるお考えはないでしょうか。
  249. 原田憲

    原田国務大臣 自動車産業に制限を加えるつもりはないか、こういうことでございますが、これは私はございません。ただし公害問題等について注文を出すことはございます。一酸化炭素を出すことを少くせよとか通産省に申し入れをする、こういうことはやらなければならぬと思っておりますが、いまの生産体制について、私から通産省に制限をしたらどうだと言う考えはいま持っておりません。  それから、あとのタクシーの問題でございますが、タクシー料金の値上げ問題につきましては、毎度お答え申し上げておりますように、企業内容それから物価の問題がございますが、企業内容からだけいたしますと、タクシーの料金は他と比較しますと安いということが出ておることは皆さんも御存じだと思うのです。ただし安い運賃でも会社がもうかっていればそれでいいのです。ところが、そこが赤字が出てくるということになると問題でございます。それでは値上げしてやったらいいじゃないか。そうはいかぬ、物価という問題と関連してくる。それでいまお答えいたしておりますのは、私は慎重な態度で臨んでおるということを申し上げておるのでございますから、タクシーの料金とからんで値上げをした場合にどうするかということについては、まだお答えができる段階ではないと思うのでございますが、給与問題につきましては、正直に言いまして私は専門家ではございません。ただ、ほかの企業と違いまして、朝の何時から出てきて何時までやるという企業でないのが自動車です。朝出ていって自分でかせいでくるということから歩合給というものにウエートが置かれてきたのではないかと思うのです。それでいまおっしゃっているような点につきましては、私もよく検討させてもらいたいと思うのです。
  250. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 ここで二つ重要なことがあると思うのです。一つは、交通事業、運輸というのは国民の命に関する問題にいまなっています、前からそうですか。そうするとやはり公企業が優先である。さっきどっちがえらいかと言ったのはその意味なんです。つまり独占事業が多いですから、私でやっておる仕事よりも公の企業になるべく移すことがよろしい。帝都高速度交通営団よりも東京都のほうが優先する。これは大阪府でもどこでも同じだと思うのです。先ほどの大臣の答弁では、なるべくそういう形で、公営企業のほうがいろいろの問題を解決するとおっしゃいましたが、私はやはりそういう形のものを考えていくべきじゃないかと思うのです。そうすれば利子補給をしても、いろいろなことをしても、国民の財産になるのです。私企業をいじめるわけではないですけれども、なるべくならば公の企業でやっていくということが——たとえば国鉄はあれだけのたいへんな任務を負って、私はひとつも能率は悪くないと思うのです。いろいろな計数を見ますと、優秀な成績をあげていると思うのです。したがって、一元化の場合には公を優先する、公の立場をまず見て、それで営団の方々のいろいろな意見とか何かも聞いて、無理のないようにすみやかに進める、これを大臣にひとつお願いしたいと思いますし、先ほどのあれで念を押しました。  それからもう一つは、自動車ばかりをあれするわけではないのですが、たとえば、いまタクシーに対しては、もちろん自動車のコストが安くなったということもありますが、確かに、一般物価から比べると安いといわれているのです。そのために女の子かなにかみんな乗っちゃうのですね。女の子が乗っちゃ悪いというのじゃないんで、小さい子供から中学生までみんな乗るのです。これは世の中が進歩したからいいということだけれども、やはりそれがどんどん拍車をかけて、全く自動車のはんらんです。そうすると、やはり必要度に応じて、電車とかそれからバスとかいうのは、これははんらんということはないのです。ところが、自動車というのは一人一人が持っているものですから、規制しようにもどうにもなかなかたいへんです。そうすると、大もとでやはり人権を侵害しないようにして、何らかの自動車に対する規制——いろんな案が出ておりますが、税制上でも出てますし、それから、たとえば排気ガス防止装置をつけるとか資格をこうするとか、それからタクシー会社の運転手さんの歩合い給を上げるとか、タクシー会社は実際はもうかっているのです。その証拠にどんどんふやしています、ものすごい勢いで。だから、そういう点をお調べになって、いまの交通事故に対する対処のしかたをお考えになっていただきたいと思います。
  251. 原田憲

    原田国務大臣 あとのほうは、私よく検討させていただきます。  先のほうは、少し誤解があると思いますので私申し上げておきたいのは、私は何でも公営企業がいいということを申し上げたのではないのであります。たとえばいろいろ問題があります。私企業は一生懸命働いて税金を払って、そして配当して、それで給与を払ってサービスをしておる。だから、一般の人からいうと、それはよう仕事しておる。ところが、公営企業というと、税金も払わぬ、配当もしないんだ。それで赤字を出せば一般会計から持っていく。それがはたして国民に対して、市民に対してサービスだろうかという見方もあるのでございますから、サービスを受ける側から、今度はどういうやり方がサービスがいいんだ、こういうことになってくるのでございますから、一貫して一元的にやっていくこと、すなわちこれは公共企業体でなければならないんだということでは私はないと思うのです。ただ知恵を出し合ってサービスを市民に対してよくする、こういうことから、働いておる人も給与もよくなり、事故も少なければ一番よいことなんでございますから、そういうことを考えていこう。交通機関でいうと、よく新幹線の話が出ますが、新幹線は事故が起こらぬようにしてあるのですから、四年間の間に、向こうから飛び込んで死んだやつは別でありますが、事故は起こってない。そしてお客さんも、隣に安い東海道が走っておりますけれども、早い新幹線に乗って、だれも高いと文句を言う人はない。給与の面は、国鉄一般全部でございますから、新幹線に働いている者だけ給与を高くするというわけにはいきませんけれども、知恵の出し合いをして、市民、国民にどうしたらサービスを与えられるか、こういうことが基本になっての経営体というものを考えていく、私はこういうことであろうと思います。
  252. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 もう終わります。  だから、そこまで言われると、今度はまた基本的な企業形態の問題になりますから、一元化ということについて、ひとつよろしくお願いします。
  253. 野原正勝

  254. 高田富之

    高田分科員 私は、最近の通勤難の緩和対策、この点につきましてお尋ねしたいと思います。  実は去る昨年末、十二月十六、十七日、並びに先般二月十二、十三、十四日、この五日間にわたりまして私どもが同志の諸君と一緒に高崎線の深谷駅、それから篠原、熊谷、この三つの駅頭に立ちまして、通勤者の諸君にこの用紙を配布いたしましてアンケートをとったわけでございます。近近のうちに本庄でも実施することになりまして、ただいま準備が完了しておるわけでございますが、かようなことを始めましたのはなぜかと申しますと、昨年の十月一日のダイヤ改正以後非常に不便になったということで、いままでこういうことはなかったのでありますが、不肖私、熊谷に住んでおる参議院議員の瀬谷英行、二人の国会議員のところに対しまして、朝な夕な電話がひっきりなしなんです。無名の電話でございます。国会議員は何をしているかということまで飛び出してまいりまして、これはとてもほっておけない、かように考えまして、これを実施します前に、不肖私と瀬谷参議院議員、関係会議員諸君と一緒に、高崎鉄道管理局並びに中央にも参りまして、いろいろとダイヤ改正についての御意見は申し上げました。しかし、単なる私どもの口からの意見だけでは必ずしも十分でない、こう思いましたので、さっそく、ただいま申しましたようなアンケートをとってみたのです。  私の驚きましたことは、深谷は通勤者が大体一万人くらいいたと思いますが、三千枚を配布いたしまして、三分の一以上、四割前後のものがその日のうちに返ってきております。熊谷、籠原においてもほぼ同様でございます。この非常な熱意というのですか、憤慨しているというのですか、これにじかに接しまして驚いたわけであります。アンケートというものはなかなかやっかいなものですから、おそらく駅頭で配られてもくしゃくしゃっとして捨ててしまうのが普通なんですが、その朝配りますと、その晩帰りには、いま言いましたように三割以上のものが返ってくる。翌日やりますと、また三割以上のものが返ってくる。しかも、返ってきた中でなお驚いたのでありますが、われわれはこのアンケートに、あなたは始発電車は何時ごろのがほしいと思っていますかとか、どこへ通学していますかとか、通勤通学に何時間ぐらい要していますかとか、定期券の何割ぐらいを自分で負担していますかとか、いろいろ項目をあげたのですが、項目には全部しるしをつけて返しましたことはもちろん、その他の要望事項という白紙の欄で、驚くなかれ、返答のきたものの約半分はぎっしり書いています。中には、表面のこんなに白い空白に書き切れなくて、裏までぎっしり書いている。これにはほんとに驚いた。これは非常に重大な問題でございますので、この間、委員会で総理にもお聞かせしておいたほうがよろしいと思いましたので、二、三枚読みまして、総理もうなずいておられたわけであります。きょうは、この中身につきまして、ぜひひとつ真剣に御検討を願って、要望がかなえられますように御努力願いたい、こう思いまして質問を申し上げるわけであります。  この間は二、三枚読みましたけれども、きょうは時間がございませんから読み上げることはいたしませんが、とにかく非常に憤慨している。国鉄の幹部たちはダイヤを改正するときにわれわれの意見を聞いてくれないか、一ぺんくらいはこの通勤の混雑している電車の中にダイヤをきめる連中は乗ってみる必要がある、こういうことを書いております。それから、憤慨し疲れたと書いている。もう憤慨にもくたびれた、というのもありますし、せっかくこういう機会を与てくれてほんとうに感謝にたえない、きょうは言いたいことを言った、というようなことを書いている女性もあります。とにかくこれは尋常一様じゃないですよ、いまの通勤難というものは。私は、これを軽視したらいつか爆発すると思う。この間総理にもこれをお読みしまして、雰囲気は爆発寸前ですよ、たいへんですよということを申し上げた。しかるに、今度はまた通勤定期の値上げとくるのです。これは何としても重大問題だと思うのですよ。一体、国鉄総裁はいまの通勤者のうちのどのくらいの者が全額会社で定期代を負担しておるのか、定期代をどのくらいの者が自分で負担しておると思っておられますか。
  255. 石田禮助

    石田説明員 通学については、これは全部御本人持ち、通勤につきましては、約六割ないし七割くらいが会社持ち、あとは自己持ち、こういうぐあいにとっておるのであります。
  256. 高田富之

    高田分科員 大体そういうことですね。ここでアンケートにとりましたのを見ましても、場所によって多少のパーセントは違いますが、籠原では全額会社持ちが三九%、熊谷では四二%、一部自己負担というのが非常に多いわけですね。四四%と、一方は五〇%、全額自己負担、これは一四%、一一%、こうなっております。ですから一部自己負担というのが非常に多いわけです。特に遠距離でございますから、これはアンケートにもありますが、大体深谷からですと、一時間から一時間半以上かかるのが四〇%、一時間半以上が三〇%、両方で七〇%でございます。深谷からですと、上野までが一カ月六千六百円ですね。それにあそこから都心までの地下鉄を入れますと約八千円近いものになっております。これがまた何%か上がりますと、ちょっと一万円ということでございます。全額持っておればなおさら、半分負担したって五千円ですから、これは相当重大ですよ。ですから、このアンケートの中には、この問題につきましては例外なしにみんな運賃値上げなんというのはもってのほかであるということを書いておるわけであります。  そこで、このアンケートの中でその他の事項で一ぱい書かれておりますから、これは大体整理いたしました。そういたしますと、皆さんの共通したいろいろな意見がほぼ何項目かに集約されます。  まず第一は、何といいましても、ダイヤ改正によって、上り下りともに通勤帯の汽車が減っているのですよ。特に一番多いのは、深谷からですと六時台ですが、六時台が三本あったのが二本になっているわけであります。帰りも、ちょうど帰りの時間のところが非常に時間があいてしまって、上野で一時間も待たなければならぬというような非常に不便が生じておりまして、上り下りとも、とにかくもとのダイヤに直すか、さらに一そう増発してもらいたいというのが全部の声であります。ダイヤ改正で減らしたのですから、これはそういうことになるのは当然でございます。  それからもう一つ、これは深谷から高崎までの場合特に言えることでございますが、籠原駅というのが御承知のようにございますために、あそこからの始発、あそこでとまってしまうのが相当数にのぼっております。そのために籠原以西の者は非常な不便を感じておるわけでありますし、同時に、増結、切り離しもみんなあそこでやるわけであります。すし詰めでもって高崎のほうからやってまいりまして、深谷あたりへ来ますと入れない。ぎゅうぎゅう詰めでございます。籠原、次の駅で全部おりるわけです。おりて増結するやつへ乗りかえるわけです。それがものすごい状況を呈するわけです。これはこの中にずいぶんこまかく状況が書いてあります。これはたいへんなことだということが書いてある。弱肉強食だ。これを見たら、昭和元禄なんという話じゃないということがここに書かれておるのですが、ほんとうにそうなんでありまして、毎日そういう苦労をしながら行ったり来たりしているのですからこれは能率があがりませんですよ。くたくたになってしまう。こういう状態ですから、この上り下りの増発は何が何でもやらなければならぬ。それから、さらに増結も、籠原で増結するのじゃなしに、わずかな距離なんですから高崎から増結をしてくる、そういうふうにすべきだという要望は非常に強いわけでございます。この点についていかがでございますか。
  257. 石田禮助

    石田説明員 通勤輸送の問題につきましては、私としては、国鉄としてはもう全力を尽くしてやっておる。その証拠には、第一、第二次五カ年計画の八年間に通勤輸送改善に使った金というものは八百四、五十億、九百億にのぼっておるわけであります。それを、これはとてもいかぬ、交通地獄を是正しなければいかぬということで、私が国鉄総裁になりましてから第三次計画を立てまして、第三次計画のうちでは五千百九十億を使ってやるということで、四十年、四十一年、四十二年、四十三年のこの四年の間に二千七百億を使いまして、今度は四十四年度から五十三年度までの間にはさらに五千五百億を投じてひとつ通勤輸送の改善をやろう、こういうことでありまして、国鉄としては財政の許す限りにおいて通勤輸送のほうに全力を尽くしてやっておるのであります。  さらに、ひとつ御参考までに申し上げますが、国鉄はこの通勤輸送について賃率の上で一体どういう犠牲を払っているか、こういうことを申し上げますが、まず法律によって五割までの値引きをしなければならぬ、こういうふうになっております。この五割というものの基礎はどこから来たかだれにもわからぬのであります。わからぬのでありますが、さらにこの五割のほかに通学輸送に対してはさらに二割六、七分の割引である。合計でもって七割七分くらいの割引をやっている。この五割でいかに国鉄が犠牲になるかというと、通勤においては千二百五十億、通学においては五百四十一億、合計でもって約千七百九十一億、こういうことでありまして、さらにいま残っておる通勤の五割以上のもので三百十二億、通学のほうは百三十億、合計で約二千二百三十億の国鉄は犠牲になっておるのであります。この交通地獄に対して、御不満があることは私もよく承知しています。実際、ああいうふうにすし詰めにされてだれも満足しておる人はいないのですが、御承知のとおり、いかに金をかけましても、あの通勤輸送力の充実というものは、ほんとうに利用されるのは一日のうちで三時間ないし四時間、あとの二十時間というのはきわめて閑散である。遊び場も——から車を引っぱってやるわけにもいかぬので、ちゃんと遊び場もつくらなければならぬ。それに対しては、ある場所については一両について三千万円の金を要する、普通のところでも千万円の金を要するということで、国鉄としては全力を尽くしてやっておるのでありますが、東京及び七県の人口の増加、一年に七十万もふえるという今日の情勢においては、国鉄の力をもってしてはこれ以上のことは私はできぬと思う。とにかく最善を尽くしてやっておるので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。  さらに、深谷の問題につきましては、私も実はこれはいろいろ専門家に質問して、何とか改善する方法はないか、こういうことでやっているのでありますが、いまのところではなかなか急にはいかぬ、しかし最善は尽くしつつあるということだけは申しておきます。
  258. 高田富之

    高田分科員 るる御説明なんですけれども、事実がこういうふうに出ておりますように、ダイヤ改正以後特に悪いわけでございます。ダイヤ改悪なんです。これはどうしても、どんなことがあっても本数はふやさなければならない。減らされたのですから、ふやさなければとうていのみ込めません。これはとうてい不可能でございます。ですから、どうしてもこれは是正をしていただく必要があると思うのであります。  それからもう一つ、総裁いまいろいろおっしゃるのですけれども、特に東京近郊の通勤客がどんどん激増しております。通勤者もだんだん遠いところからふえる傾向があるわけでございますが、そういう点での配慮が、特に高崎線について私は足らないように思うのですが、これは国鉄の出先機関が埼玉県にない。半分から向こうは東京、半分からこっちは高崎だということで、責任ある体制になっていないのですよ。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕 そういうことが影響しているのではないかというふうに思うのですが、今度は東京の管理局の三分割というようなことが問題になっているのですけれども、やはり乗客の便、不便ということ、国鉄の管理を地方自治体のあり方と行政とマッチした形に直すというようなお考えをお持ちにならないと、こういうエアポケットみたいなものができてしまう、そのための犠牲だと私は思うのですが、それはいかがでしょうか。そういうふうな見地からの国鉄の出先機関の再編成をお考えになりませんか。
  259. 石田禮助

    石田説明員 各県に管理局を置くというようなことは、私はその必要はないと思います。これは政治のあれとだいぶ違いますので、とにかく埼玉県に管理局がないために埼玉県におるけ通勤輸送というものがうまくいってないということは、これは絶対にないということを私は申し上げておきます。
  260. 高田富之

    高田分科員 それですから、いま言いましたように、深谷の問題については特に総裁も御留意なさっているようですが、籠原以西というものは、もう現在たいへんなことなんです。これは何が何でもひとつ関係者を督励されまして、この要望にこたえる改正をしてもらいたいのです。  時間がなくなりますから、このアンケートに出ておりますほかのことを申し上げますので、これについてひとつ誠意をもって善処していただきたいと思います。  いま申しましたように、上り下りの増発、籠原始発、籠原どまりが多過ぎる、高崎まで延長せよ。それからもう一つは、これはどこでやったのも共通でございますが、かっては、最近までは快速電車があり、準急があった、それで急行、こうなっておったのですが、いまは急行一本になってしまいまして、そして通勤帯の中に急行が何本も入っている。とまらない急行がたくさん走っておりますために急行待ち時間がうんとふえた。ですから、深谷、本庄から通勤する場合は、ダイヤ改正前よりも時間がずっと延びておる。スピードアップ時代にますますスローになっておる、のろくなっております。そういう問題もございます。ですから、通勤帯の中から急行をはずすように編成がえをしてもらいたい。それからもう一つは、急ぎの場合に定期券でもって急行に乗れないか、こういう要望もあるわけです。  一つ一つお答え願いたいのですが、定期券で急行料を払って、それで乗れるようになったらずいぶん違うだろうという要望がかなり出ております。それから快速を復活してくれ、もとあったのですから、急行券なしで乗れる快速を復活してくれ、この要求が非常に強いのです。それから、通勤であれだけ込んでいる中にがらがらの一等車がくっついて引っぱっていかれる、これは全然むだなことなので、何とかやめてもらって、そのかわり増結してもらいたい。車両数を目一ぱい熊谷から、こういう要望が強いわけであります。それからもう一つ、全部申し上げてしまいますが、都心への乗り入れが、これは畑君も触れたと思うのでございますが、相変わらずいつも上野で乗りかえる、東京へ行くのも上野で乗りかえる、向こうから来た者も東京で乗りかえる、こういうことになっておりまして、非常に不便であります。これは何とか——一本たしかできたと思うのですが、東京乗り入れが一本ではしかたないと思うので、ぜひとも東京−上野間の相互乗り入れ、これはぜひ実現してほしいという要望がきわめて強いのであります。  いま、おもなものを拾って申し上げたのですが、そのほかに駅の施設、これについての要望も非常に強いのです。と申しますのは、高崎線というのは、もともと中仙道の宿場時代に中仙道中心に町ができておったのですが、それに沿って駅がみんな旧町沿いのほうについておるわけであります、北側に。ところが、最近は新たに反対側に住宅街がずっとできまして、町の様相は全部一変しております。したがって、通勤者の大部分は反対側から——陸橋がまだできていないところが多いわけでありますから、反対側から一々踏切にとめられて、そして大事な急いでいる時間をとめられて、そしてぐるっと回って駅の改札口に入っていくという不便、これは全部異口同音に叫んでいる。何とかしていまの町の実態に合わせる、これはもう全部同じであります。高崎線沿線は、この辺の鴻巣から埼玉県の一番向こうの端に至るまで全部同じでありまして、両方に駅の改札口を設けろというような改正要求が非常に多いのでございます。  いま申しましたこのアンケートの中で、たくさん意見が出ておりますが、整理してみますと、ごくおもなものでみんなが共通しておりますことはほぼ以上のようなことでございますので、これにつきまして、ひとつ大臣から御回答願いたい。
  261. 原田憲

    原田国務大臣 けさほどからお伺いしている中に、いまの高崎線の問題、さっきも畑さんからお話が出まして、総裁も高崎線問題については非常に御検討されておると思います。いま私がお聞きしております問題は、すべて事実問題ばかりでございます。中には、いま聞いておる中で、これならできるのじゃないかという気もするようなものもございますが、いずれにいたしましても、これは国鉄の実際的な問題でございますので、国鉄のほうからお答えいたしてもらうことにいたします。
  262. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいまのアンケートの問題につきましてお答え申し上げたいと思います。  まず籠原どまりが多過ぎる、これは確かにお説のとおりでございますが、籠原は、御承知のとおり電車区がございます。そこへ電車をしまい込むということで、現状はそうなっておりますが、問題は、通勤というものにしぼって考えますと、籠原以遠の通勤とそれから籠原以南の通勤の量の問題になると思います。したがいまして、量から考えますと籠原以南のほうが確かにずっと多いということは事実でございますので、この辺につきましては、今後量の増加に伴いまして高崎方面から列車を増発するということについては検討いたしたいと考えております。  それから、通勤時間帯に急行列車が入っているというようなお話でございますが、通勤時間帯と申しますのは、たとえば大宮着の時間帯を押える、あるいは上野着の時間帯を押えるということを考えておりまして、上野の時間、これが一番量が多いわけでございまして、七時から九時、この時間には急行列車は一本も入っておりません。これは、東海道でも同じように急行列車は入れておりません。その後の時間帯において、あるいはその前において急行列車を動かす通勤優先のダイヤを現在組んでおりまして、通勤時間帯というものをどう考えるかということによりましていろいろ考えが違うと思いますが、私どもとしましては、上野の着あるいは大宮の着というふうに時間帯を押えて、最ピークの時間帯の前後を通勤時間帯と考えまして、その時間帯には急行列車は入れてない、これは東海道においても同様でございます。  それから、通勤定期で急行列車に乗れないかという御質問でございますが、これにつきましては、各方面からたびたびそういうお話がございます。ただ、急行列車の使命というものを考えてみますと、やはり通勤定期では——原則としては長距離の輸送というふうに考えられるわけであります。したがいまして、快速というような運転を今後考えなければならぬと思いますが、ただ、快速といたしましても、そのあとの快速の停車しない駅というものについてやはり問題があるわけであります。全体の各駅の通勤状況、これに合わせまして快速列車というものを動かすということは考えられますが、全体としての輸送量というものから考えなければ、ただ、ある駅だけのための快速ということは考えられないのじゃないかと思います。  それから、一等車の問題につきましては、今度一等運賃という制度を廃止いたしますが、この車の運用上、どうしてもつく列車がございます。たとえば、上野に着きましてからその列車を急行列車にするというような編成もございますので、この点につきましては、今後の通勤輸送の状況考えまして、通勤輸送用の編成を中心に考えるということになりますと、一等車の問題は解消するかと考えます。  それから、施設の問題でございますが、裏口の問題につきましては、確かに、高崎線といたしましては現在はないわけであります。一部の駅につきましてこれが行なわれておりますが、考え方といたしましては、裏口の設置というものにつきましては、これは地方の管理局長の権限にいたしております。ただ、それをどういう基準でつくっていくかということが問題でございますが、乗降が一日約一万人の駅、それから裏口の利用割合が三割、一日平均いたしますと五千人以上というような基準を設けております。これの工事費というものは全額地元の負担にお願いをしております。ただ、一例を申し上げますと、熊谷なら熊谷の駅につきましていろいろ調査をいたしますと、現在は裏側のところが私鉄の用地である、あるいは、地元とは現在そういう話がまだ出ていないとか、いろいろな問題がございます。同時に、今後の共用分野の問題その他を勘案いたしまして、裏口の問題については逐次解決をいたしたいというように考えております。
  263. 高田富之

    高田分科員 時間がだいぶなくなってしまったのですが、それから、休日、土曜の運休列車というのが若干数ございます。ところが、いまは必ずしも土曜、日曜だから、祭日だからといって休みでない労務者の方々の通勤が相当あるわけです。この点も相当出ております。私、これはいま落としましたが、これをそういうことでなしに、平日並みにできるだけ運転してほしい、こういうわけであります。  いま、いろいろ御答弁ありましたが、技術的に可能なものはひとつ誠意をもってすみやかに実行していただきたいのですよ。いまちょっとお話がありました東京に近いところのほうが通勤者の量がずっと多い、遠いほうが少ないからとおっしゃいますけれども、遠いほうだってふえているのです。減っているのじゃないで、ますます遠距離通勤がふえる傾向にあるのに、逆に、ダイヤ改正のたびに一本減った、この前は快速があったのに、なくなった、深谷始発があったのに、なくなったというように、改正のたびに減っていくのですからこれはどうしようもないのですよ。通勤者はふえるのです。比率は、南のふえ方よりは下かもしれません。絶対数では南のほうが多いにきまっていますが、ふえていくところを減らしていくのですから、全くお話になりませんよ。これは技術的に可能なものは誠意をもってすぐにやっていただく、それから、財政的にある程度必要なものについては、それについても実現できるように最大の努力をぜひやっていただきたいと思います。  運賃値上げのことにつきましては、もう言うまでもないのですけれども、先ほど総裁からは、割引率が高いために非常な損をしておって云々というお話でございます。お話でございますが、これはことばを返すようで恐縮ですけれども、しかし、いまの通勤者にしてみれば、これは受益者でも何でもないといっているのです。この中にもずいぶん書いてありますよ。被害者です。私たちは受益者じゃないのです。鉄道営業法二十六条に何と書いてある。定員以上乗せれば、これは罰金刑に処せられるのですよ。定員の二割や三割多いのならまだしもですが、定員の何倍と詰め込んで、それで料金を取ろうというのですから、これはとても割引率云々の問題じゃないですよ。ですから、通勤者を人間並みに扱えという叫びですね。これはぜひひとつ総裁も真剣にこの声を聞いていただきまして、定期の値上げはやめてもらいたいのです。  それから、これを必要経費として、課税の対象にすることだけはやめてもらいたい。これは必要経費ですよ。課税の対象にしない、それくらいのことはひとつぜひ御奮発を願ってやっていただきたいということをこの際強く御要望を申し上げておきます。  時間がもう来てしまったのでありますが、以上、いろいろ御要望やら質問申し上げました。時間がないので、一つ一つについてこまかなお話はできませんでしたけれども、また別の機会に直接お話しにあがりたいと思うのですが、最後に、ひとつこの問題は、さきに私が総理に申し上げましたように、爆発寸前です。ほんとうに怒り心頭に発するということは、これを見ればよくわかります。読んでいただくためにいま上げますが、どうかひとつ、大臣から誠意ある御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  264. 原田憲

    原田国務大臣 それはこの間瀬谷さんからだいぶいただきましたが、先ほども私、国鉄のほうでできるものがあるのじゃないかということを申し上げました中で、国鉄のほうで検討をいたすという答弁をいたしたものがございます。これらにつきましては、可及的すみやかに措置をするようにしてもらうことにいたしたいと存じます。  なお、通勤者に対するサービスということは、確かにおっしゃるとおり、私もけさほどから申し上げておるのでありますけれども、定員以上を詰め込まなければならない、こういうことは異常でございます。ただ、そうならないように投資をしてサービスをすべきであったものが現在に立ち至っておる、これをどうするかという問題といま取り組んでおるわけでございます。したがいまして、この問題に対しましては、ひとつ御協力を賜わりたいと思うのでございます。  定期運賃の問題も、できればもう値上げはしたくないわけでございます。去年値上げして、ことしまた値上げか、こういうことになります。いまの定期運賃に対するいわゆる法律による五〇%というものに対して、これは公共負担分である、国が負担するかあるいは利用者本人が負担するかという議論はあるところでございますが、これは国鉄負担することはどうであろうかという答申も国鉄の審議会ではいたしておりますが、去年上げて、また定期運賃を上げるということは問題があろうかと考えまして基本料金だけを上げる、こういう立場をとっておるわけでございます。したがって、定期が上がらぬわけではございませんが、そういう配慮もいたしておるというように解釈を願いたいと思うのであります。  それから、課税の問題に対しましては、この間本会議で大蔵大臣が答弁をいたしたと思いますが、これは国家公務員に対しまして人事院が勧告をいたします。その際に、通勤の費用に対するところの非課税措置というものがございます。現在もございます。これはそのときにまた遡及して行なうことになると思いますので、十分検討をいたすところでございます。  以上、まことに不十分でございますけれども、できるだけ御希望に沿うように検討いたしたいと思います。
  265. 石田禮助

    石田説明員 さっき高田さんのお話に、国鉄は定員以上詰め込むということは、これは法律違反じゃないか、こういうようなことがありましたが、これはだいぶ誤解だと私は思うのです。  つまり、法で禁止しておることは、本人が好まないのに国鉄が詰め込むことで、あれは別に何も国鉄では強要して詰め込むのじゃないのです。  つまり、あのしり押しなんというものを見ますとそういうことに考えるかもしらぬが、乗りたいというのをただ援助してやるだけの話です。決して国鉄では強要してやるというのではなくて、いやなら乗らないでもいいのです。その点は誤解のないように願いたい。
  266. 高田富之

    高田分科員 私は、もう時間が来たのでやめようと思いましたら、総裁がそういうことをおっしゃいますので言いますが、これは総裁、何ぼ何でも、いまのは全部お取り消しになったほうが総裁のおためでございます。だれも乗りたくて乗ってやしませんん。乗らなければ食えない。めしの問題ですよ。いいですか。通勤者というのは、あなたがどんなに虐待して、豚扱いにしても乗らなければ死んでしまうのです。つとめるということは、生死の問題ですよ。生死をもって脅かされているのですよ。生きるか死ぬかの問題ですよ。だから乗らざるを得ないのにつけ込んで、あなたは幾らでもぎゅうぎゅう詰めるだけ詰めて、高崎線なんかもうけほうだいもうけている。環状線と中央線と高崎線がもうけ頭じゃありませんか。さんざんもうけているのは、通勤者を犠牲にしてもうけている。そうして、大企業のつくるセメント、鉄鋼だなんて、ただみたいに輸送しているじゃありませんか。大きな赤字を出して、通勤者を犠牲にしている。だから、こういう運営の根本を改めなければだめなんですよ。だから、もし上げるなら、そういう鉄だとかセメントだとか、そういう基礎物資のでかいところがつくっているのがほとんど八割以上、これを上げたらいい。これを上げて、物価を上げるのを押えればいい。もうけておるのだから、幾らでも吸収できます。それを上げないでしょう。サービスばっかりしているじゃないか。トラックにとられるなんというけれども、とられるんじゃありませんよ。トラックのほうは、道は国が全部つくってしまうのです。ただ走らすだけだからトラックは楽なんです。もしあなたががんばって、レールを全部国につくらして、貨車を走らすだけにしてごらんなさい。うんと安くあがります。いま総裁のおっしゃることは、全くいただけない話でございますので、一応お返しして、私の質問を終わります。
  267. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 堀昌雄君。
  268. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は、実は山陽新幹線、伊丹の国際空港問題をやる予定なんですが、私は日ごろ石田総裁をたいへん尊敬しておりまして、いろいろとおっしゃることは、たいへん筋が通っていらっしゃることでたいへん尊敬しておったのですが、いまの御発言は、ちょっと総裁、筋が通っていないと私は思います。よろしゅうございますか。いまあのぎし詰めの国鉄国民が乗っておるのは、選択の自由を奪われておるのです。選択の自由がもしあれば、だれがあんなぎし詰めの国鉄に乗るものですか。ところが、残念ながら選択の自由を奪われておるから国鉄にいま乗っているんでして、だれも好きこのんで乗っているわけではないのです。だから、競争線が三本あって、その中の国鉄が一つで、横はすいているのに国鉄にみな乗っているというなら、いまの総裁の御発言は筋が通ると私は思うのですが、いまの御発言は、独占的にそのところを通っておって、その周辺の者はそれに乗ることなくしては交通の手段がない。バスや何かに乗っていったんでは通勤ができないという条件があるからそうなっておるのを、そういう御発想で割り切って言われたのでは、これはちょっと問題がある、こう思うのですが、いかがですか。
  269. 石田禮助

    石田説明員 私は、私の言っていることは、どう考えても間違いないと思います。定員以上に乗せるということの問題ですが、定員まで乗せるということで通勤輸送を改善するとしたら、一体いつの日にかこれはできるかと思うのです。とてもできませんよ。とにかく、御承知のとおり、通勤輸送というものは非常な工事費をかけて線路を引き、そして車両をあれいたしまして、一日でほんとうに働く時間というのは三時間くらいです。あとの二十時間というものはきわめて閑散なんです。この非能率な通勤輸送を国鉄がやっているということは、全く公共事業なるがゆえにしかりなんです。もしも、これが選択の問題で、利益を目的にするならばやるべきものではない。とても引き合いはしません。いまのところでは、一番多いのは三〇〇%あるでしょう。乗る時間帯だけですよ。一時間の間なんだ。その間に三倍に輸送力をふやすなんということはたいへんな金ですよ。むだが多いのです。この点はひとつ考えていただかなければならぬ。法律の規則によったって、強要して乗せるからいけないんで、御自分で定員以上の場合も乗るなんだって、われわれは何の拒絶する必要はない。通勤輸送の場合しかり、それ以外に実際国鉄はできない。定員以内ということであるならば、だれがやったってできやしない。その点はひとつ国鉄のお立場になってお考えいただきたいと思います。
  270. 堀昌雄

    ○堀分科員 ちょっと定員と罰金に総裁はこだわり過ぎておると思うのです。私も、昨年の国鉄の定期については、磯崎さんに前に大蔵委員会に来ていただいたときに、ルールを曲げてよろしいといったのです。それはそう言ったんですけれども、これはやはり待遇の問題に関係があるということを実は高田さんは言われたわけなんですね。だから、ぎし詰めにしておるものとそうでないものとが同じ条件だということにはならないから、ぎし詰めで運んでいるのなら定期を上げるのも考えたらどうかというのが、この論議の発端なんです。ただ、その例証として、定員以上に積んだら罰金ということがあるくらいだから、その点は通勤者のお立場になって考えろということなんで、それは、総裁も通勤者ですからおわかりになると思うのですよ、通勤者の気持ちは。通勤者、必ずしも好きこのんでやっているのではないけれども、それは国の政策なり、いろいろのところに問題がありますから、私は何も国鉄だけの責任だとは言いませんよ。ただ、いまのように、乗るのはかってだ、それはお前たちが悪いので、国鉄のせいではないと言われても、乗る側にすれば、やはり国鉄として、より便宜をはかってもらいたい。その気持ちは、国民の一人ならこれは総裁も同じだと思うのです。そこはどうですか。
  271. 石田禮助

    石田説明員 私は国鉄総裁になりましてから、とにかく通勤輸送だけは万難を排してこれは解決していかなければならぬ、こういうことで三十二年から三十九年までにわずかに八百四、五十億しか通勤輸送の改善に使わなかったものを、四十年からの第三次計画におきましては五千百九十億をかける、そういうことで四十年、四十一年、四十二年、四十三年にやってきまして、その間に約二千七百億をかけた。これから四十四年から五十三年までの間にはさらに五千五百億をかけてやろう、これは国鉄としては非常な犠牲なんです。これは運賃法によりますと、運賃というものは原価を計算して原価でやれ、こういうことなんだが、とても原価にも引き合ったものじゃない。普通の運賃率をもってしても引き合わぬ。いわんや、通勤者は五割以上の割引だ。現在やっているものを勘定しますと、さっき申し上げたような二千四、五百億になる。こういうことなんですから、一つは、あなたが国鉄を自分の金で経営すると考えられた場合に一体どうするか、こういうことに思い至ってくだされば、どうも同情に値する、こういうことになろうと思います。
  272. 堀昌雄

    ○堀分科員 まあ、私の肝心の問題がありますから一応ここでやめますけれども、総裁が国鉄のために一生懸命お考えになっておることはわかりますけれども、しかし、やはり国鉄国民のためにあるのですから、国民の側に立った気持ちもお考えをいただかないと、ただ国鉄の側だけから見ていただいたのではやはり国民として困るわけでありますが、お気持ちはよくわかります。私は、実はどちらかというと、これまでいろいろな点で国鉄協力している側なんですよ。この間も実は経済企画庁長官のところに行って、大体経済社会発展計画で電電公社の投資額と国鉄投資額を比べて国鉄のほうが少ないというのでは問題があるではないか、投資をしなければ利益も出やせぬ、しっかり投資をやらせろ、こう言っているんですよ。投資するためには、金はやはり国で考えなければならないわけですからね。国鉄にない金で投資もできやしませんからね。そこらを考えろと言うくらい、私は実は、言うなれば国鉄にわりあい理解のあるほうなんです。私は経済合理主義者ですからね。ですけれども、幾ら経済合理主義者でも、さっきの総裁のおことばはそのまま聞きのがすわけにいかぬということでちょっと申し上げたわけですから、ひとつそのように御理解ください。  そこで、原田さんが運輸大臣になって、実はきょう私のやることはいずれも原田さん、非常に関係があるわけです。  原田さん、あなたはお住まいはどこですか。
  273. 原田憲

    原田国務大臣 もう堀さんよく御存じの阪急沿線池田市でございます。
  274. 堀昌雄

    ○堀分科員 あなたの家の周辺、いま伊丹空港の騒音、どうですか。
  275. 原田憲

    原田国務大臣 たいへんやかましゅうございます。
  276. 堀昌雄

    ○堀分科員 あなた、いまこの問題の主たる責任者である運輸大臣になられて、この伊丹空港の騒音問題及び特に問題になりますのは、あの土地の買収をできる千三百メートル問題というのが実はぺンデイングになってきているわけですが、あなたも、私もあの空港のすぐ近くにおりますからこの空港周辺の住民の苦痛というのは身をもってわれわれも経験しておる。あなたもよく御存じのとおりです。運輸大臣として、これはもう、こまかいことはやめて、あなたひとつ政治的にどうやって解決しようと考えるか、ちょっと先にそれをお答えいただきたい。
  277. 原田憲

    原田国務大臣 どうやって解決するかということにつきましては、いま騒音対策として取り上げておる問題について、これを拡充していく、こういうことですね。いますでに騒音対策五カ年計画というものを立てていますから、これでやっていく、こういうことが一つ、それから、あそこの飛行場は、あなたも御存じのとおり、内陸も内陸、昔はあのまわりにそう家もなかったのですが、いまは完全な住宅地、特に住宅地域でありますから、あの飛行場はこれ以上の計画を拡充していくことはできない飛行場である、こういうように考えております。
  278. 堀昌雄

    ○堀分科員 これ以上に拡充しないという問題もあるのですけれども、やはりああいう内陸の国際空港なんというものは世界中にほとんど例を見ない。特に住宅地帯の密集地帯の中にあるということは例を見ない飛行場だと私は思う。だから、私どもは実はあれを国際空港にすることには反対だったのだけれども、無理にああいうものができた。できた結果としては、住民はいまさらのように驚いておるというのが現状ですが、この国際空港は、これは万国博がある間はしかたがありませんが、将来的には国際空港はどこかもっと公害の少ない地帯に移して、あれはせめて国内航空用の飛行場に充てるということが、これが一番根本的な解決策ではないのか。あなたのほうで五カ年計画と言っておられても、これが学校だとか、そんなところだけの騒音を防止したって住民はこの被害から逃げられないのですね。あなたはさっき騒音はたいへんだと言っておられる。私のところもたいへんです。お互いそういう周辺にいるのがいかにたいへんかよく痛感しているわけです。方向としてはそういう解決方向しかない。こまかいことは幾らやっても、ごく部分的なんですね。いまの五カ年計画といったって、部分的な、学校に防音装置をつけるとかその他のもの——具体的にいうと、住宅全部に防音装置なんかできない。将来的な方向としてはどうですか。
  279. 原田憲

    原田国務大臣 いまあなたのおっしゃっていることは、もっとほかに飛行場をこしらえて騒音の迷惑をかけないようなところへ国際飛行場を持っていけ、こういうお話しであろうと思いますが、私は、一つの都市に国際空港が二つあって悪いとは思っておらないのです。これは専門家に聞いてみなければわかりませんが、たとえばニューヨークにはラガーディア空港もあるし、ケネディ空港もある。これはスケールが相当大きなものを二つあるいは三つ持っておるので世界の先進国といわれる国々の飛行場の状態であろうと思います。これは何もほかにつくらないというのではなしに、町の中に飛行場がある。たとえばベルリンのテンペルホッフ飛行場というのは町の中にある飛行場でございますから、ないわけじゃないと思いますけれども、いずれにしましても、あなたのおっしゃっておることは、日ごろ私とあなたとしゃべっていること、騒音の被害の少ないところ、しかも、やはりどこでもいいというわけにいきませんから、適当なところに持っていこう、それに対しては調査費もつけてやっておる、こういうことはもう御存じのとおりであります。
  280. 堀昌雄

    ○堀分科員 ですから、私の言いたいのは、移す先のほうのことはいいですが、あの伊丹空港を主として国内線の飛行場として使うならば、これは発着の頻度がある程度少なくなるわけですね。国際線と両方重なっているからたいへん困っているわけですからね。そういう意味では、やはり将来的には国内航空を主体とする飛行場ということを主とすべきではないか、こう思っておるのですよ。それをひとつ……。
  281. 原田憲

    原田国務大臣 それは、はたしてもう一つ飛行場をつくったらあれが少なくなるかということについては、私は少なくならないのじゃないかというものの見方をするのです。先ほど自動車の議論をしておったようですが、自動車をとめないかというお話しがありまして、私は自動車の生産について検討しなければならぬと思いますけれども、いま具体的にとめるということは考えてないということを申し上げた。これは通産大臣の所管事項でございますからなんですが、これは、これから情報機関というものが時代とともにますます伸びていく。これは現在より減るということが考えられるだろうかということを想像しますときに、飛行場を別のところへ持ってきて、そこに主力を置いたことをやることは、これはけっこうなことだと思いますが、いまより減るということについては、私はこれよりふやさないということを申し上げたのです。これも新しいものができるまではふえてきますけれども、そのときにあんばいしたらいいと思いますが、そういうことじゃなかろうかということを、未来というものを描いたときに私は考えざるを得ないのですが……。
  282. 堀昌雄

    ○堀分科員 私はちょっと考えが違うのです。それは、いま御承知の727のような小さい飛行機を飛ばしておりますが、将来的には、飛行場が大きくなりまして、ジャンボのようなものがエアバスのようなかっこうでふえてきたら回数はいまよりずっと減ると思うのですが、問題は、飛行場は大きくなったっていいのですが、回数が減ることが一番問題なんであって、方向は、合理化の問題からすれば、いまのような少さなもので運ぶのではなくて、長期的にはジャンボのようなもので運ぶようになりますからそれは少なくなる。しかし、国際線と国内線を共用しておる限り減りませんね。そういう意味では、あなたは最もこの公害に関心のあるところに住んでおる所管の大臣だから、やはりこの際、将来、方向としては国内線を主たるものとするというくらい、あなた、ここで思い切って言いなさいよ。
  283. 原田憲

    原田国務大臣 まだそこまでいっておりませんんから実際を言うと。まだ現在のところは大阪の国際線として四十五年万博ということで、それからほかの問題も、あなたも御承知のとおりいろんな問題でこれから取引というと語弊がありますが、いろいろな話が出てきますから、新しい大阪における第二空港というものが確立してくるときにおきましてはこういう運営をしようじゃないか、こういうことについての相談はできると思うのです。私は、いまの段階で、あそこをもう国内だけだ、こう言うことについては、まだちょっと自信ないですな。
  284. 堀昌雄

    ○堀分科員 正直でいいけれども、やはりだれが考えたって、あんなところはあまりやかましくないようにするということは政治の要諦ですよ。だから、そうするためには、いま私の提案するように、国内線を主として——これは国際線を一切入れてはいけませんということは言いませんが、国内線を主として、新しいところに国際線を入れるということになるのが、私は政治上の常識だと思うのです。だから、あなたと私の仲だからあまり詰めた話をしようと思わないからいい答弁をしなさい、こう言っておるのだから、そこらは意のあるところをくんでもらいたい。
  285. 原田憲

    原田国務大臣 あなたの意のあるところは十分くんでおります。
  286. 堀昌雄

    ○堀分科員 次に、今度は国鉄のほうにお伺いをいたしますが、実は、これはもう三年越しでこの予算委員会分科会でやってきておる問題に山陽新幹線問題というのでございます。  実は、私がおります尼崎市あるいはその隣の伊丹市、西宮市というのは、これも公害ですね。まさにわれわれの住んでおるところは、空に公害、陸に公害で、もう至るところ公害攻めにあっておるたいへんなところです。この国鉄新幹線問題をずっとやってまいりました中で非常に大きな問題が一つありますのは、総裁、東海道新幹線をつけまして、これは初めてのケースでしたから、住民の方たちはそれの公害がどんなものであるかあまり予測をしていなかった。そうして、実は新幹線が通った結果は非常な公害が起きてきた。ところが、できてしまったあとは、いろいろ問題が提起をされても、国鉄側としては必ずしもそのことに対して真剣に協力をしておられないという問題が実は一つある。行政監察局がいろいろ問題を提起をしても、それもほとんどネグレクトされてきておるというのが現状です。そうして、これらの新しい新幹線の通る周辺の住民は東海道新幹線の二の舞いになってはたいへんだと考えておるわけです。通ってしまったらあとは何ら顧みられないという不信感を実は国鉄に持っておる。これが私は山陽新幹線問題の最大の問題点だと思う。石田総裁がずっといらっしゃれば、石田さんならそんなことはなさるまいと思うけれども、あなたもお年だから、十年、二十年国鉄総裁をやるわけにいかぬでしょうから、やはり国鉄全体が国民に不信を買っておるようなことを先に改めるべきではないか。山陽新幹線の公害問題を処置するためには、まず東海道新幹線で問題になっておる公害対策をここできちんとあなた方がすれば、山陽新幹線の問題はおのずからまた変わると私は思いますが、総裁どうでしょうか。
  287. 石田禮助

    石田説明員 公害問題は、実は私としてはどうしていいかわからぬ。ということは、公害問題は何も新幹線だけの問題ではなくて、在来線にだってずいぶん大きな公害というものがある。騒音からいえば、むしろ新幹線より在来線のほうが非常にきついと私は思いますよ。たとえば私のうちなんというのは、新幹線から四、五町しか離れていないけれども、そうたいして聞こえやせぬ。聞こえたって全く微々たるものだ。ところが御殿場線なんか、遠いのにずいぶんえらい音がしている。そして東海道線なんというものも、貨物線なんか夜じゅう走っている。風のぐあいによってはそれも非常に聞こえる。こういうようなことで、この解決を一体どうするか。たとえば国府津あたりで、あなたは御承知ありませんでしょうが、国府津館というのがありますが、同じ問題で河野謙三氏から私に出されたことがありましたよ。河野さんは、平塚の在の小学校、これは騒音でとてもたまらぬ、国鉄の費用においてこれを移すことを考えぬか、こういうことでありましたから、ちょっと待ってください、それについてあなたにひとつお教えを受けたいんだ。ということは、たとえば国府津館の前にえらいりっぱな道路ができまして、近ごろ非常にやかましい。それがために、表のほうの部屋なんか、いままで客を泊めておった部屋なんかとても使いものにならぬ。それで裏だけでやっておる。ところが裏のほうへまたりっぱな道路が通って、表裏からやられた。それで国府津館なんというものは、旅客商売に関する限りはお手上げですよ。それに対し県なり国なりがどうするんだ。これに対しては何ら回答もありません。解決しようとする意思もないようだし、私は事実できぬと思う。というのは、国府津あたりのあの道の両側のうちなんというのは、初めてあんなところに行ったら寝られやせぬ。ところがよくしたもので、あの近所にずっと長く住んでおりますと、あの騒音がなければ寝られないと言うんだ。(笑声)この解釈はなかなかむずかしいですね。初めは騒音でたまらぬというところも、入っているとこれはたいしたものではないわい、あえて騒音がなければ寝られないということはないかもしれないが、さほど気にかけることはないんじゃないか。現にもう在来線や何かの近所のうちや何か、ずいぶんやかましいんだ。あれは東海道新幹線のような、ああいういい音、と言っては相済まぬが、わりにやわらかな音ではなくて、ずいぶん荒い音なんですよ。これは理想的にいえば何とかしなければならぬのです。東海道新幹線なんぞにつきましても、とにかく常識から考えて何とかしなければいかぬというものに対しては、国鉄としては相当に手を打っていますが、そのすべてのあれに対してやるということは、費用の点からいっても実にたいへんな問題だと思う。この公害の問題は国鉄だけの問題ではなくて、いろいろの公害が起こっているのですから、大勢に順応して解決するということにひとつ御承知願いたいと思います。
  288. 堀昌雄

    ○堀分科員 石田総裁とこういう議論をしますと、どうもたいへん次元が高い議論になってしまいまして、住民はもっと次元の低い話で頭を悩ましているわけなんです。だから、それはおっしゃるとおり広い道路ができれば、いま自動車の音もたいへんな音がします。もちろんそれは私も了解しておりますけれども、ただ国鉄の新幹線というのは騒音と振動が相当にあるということは、もうすでに御承知のとおりなんですね。非常に静かな文教地帯、学校や住宅だけのあるところのまん中をそういう線が通るということになれば、その周辺の住民が、これはたまらぬということになるのは当然なんです。  今度西宮市では、国鉄でいろいろおっしゃることが信用できないものだから、京都大学の工学部にお願いをしていろいろ調査をしてもらったのです。調査をしたらどういうことがわかったかというと、なるほど線路の下のところは、十二、三メートル掘れば岩盤になって非常にかたいから、ここはいいだろう。しかし、その周辺は非常に土地が軟質なものだから、場合によっては、国鉄は十メートル離れたら振動は何でもないと言っているけれども、これは科学的にやると、振動が増幅されて、四、五十メートルのところでたいへんな振動を起こすおそれがあるから、工法その他に対してはそういうことも配慮して検討する必要があるというような調査結果が実は一つ出ておるわけです。  またもう一つ、あそこでトンネルに入りますところの上に、丘陵地帯に住宅がたくさんあるのですね。国鉄では何か横に防音壁をつくる、こう言っていらっしゃるけれども、これは横向けには大体問題がないようですが、上に対しては関係がなくなりますから、丘の上にあるものに対しては九十ホン以上の相当な騒音が来るということも、この調査の結果で明らかになっております。  私は残念なのは、そういうようによそで調査をして、国鉄で言っておられることがそうではないというように科学的に立証されたりすることは、やはり国鉄に対する信頼感というものに非常に動揺を来たすもとになると思うのですね。だから、ここでこういうせっかくの調査が行なわれた以上、国鉄としては、その調査が科学的である以上は、その科学的な調査結果に基づいて、遺憾のないような工法なり対策をとっていただく必要がある、こう考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。
  289. 石田禮助

    石田説明員 この問題につきましては、技術者のほうでも相当に研究しておりますが、これは結局費用の問題。費用の問題になると、国鉄運賃というものをどうするか、こういうことになってくるわけで、私はなかなかそう簡単にはいかぬと思うのです。要するに、さっき申しましたような公害という問題につきましては、これはあに鉄道のみならず、あらゆる方面に起こっておる問題でありますから、この適当な解決方法はそのうちに出てくるのではないか。国鉄としてもそれに順応してやらざるを得ないだろう。ただしかし、国鉄がいま率先してどうというようなことにつきましては、著しいものに対してはやりますが、そうでないものに対しては、これはやはりかすに時をいただいて、よく慎重に考えさしていただきたい、こういうこと申し上げておきます。
  290. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま堀先生おっしゃいました国鉄への信頼感の問題云々で、東海道新幹線の場合でございますが、これは実はおっしゃるように、われわれそれほど音が出ないであろうというような想定をしておりましたが、想定以外の点が出てきた点がございます。四十二年度までにも、二億何がし、三億近い金をかけました。また今後も、いま総裁申しました騒音の特に激しいような小学校とか病院、こういうところに関しましては、大体東海道は全部が防音壁をつくっておりませんので、そういうところには防音壁をつくるとか、そういうことの処置をしたい。  それからもう一つ、東海道新幹線の場合には、無道床げたといいまして、鉄橋が、わりにあるのです。鉄橋の場合にはたいへん音が大きく出ます。非常に反響いたします。山陽新幹線の場合には、その例にこりまして、今度は無道床をなくしまして、全部有道床にいたしまして、道床で音も振動も吸収するというような方法をとっております。東海道の場合に、そういう振動の激しい無道床橋梁につきましては、中にパッキングを入れるとか、そういうくふうを講じよう、こういうことで実験もしております。騒音、振動に関しましての根本的な解決というのは、これだけの速度なり重量でございますので、しかたがないのでございますけれども、何とか音を少なくするというくふうを、幸いにわれわれのところにも研究所がございますので、ことしも三千万ばかりの研究費をかけまして、全般的な音を少なくするための軌道の構造だとか、あるいは構造物の構造だとか、あるいは車両の構造だとか、そういうものの研究をいま進めております。それをできるだけ採用していきたい、こう思っております。  それからもう一つ、先生がおっしゃいました岩盤云々があるというお話で、構造物についてそういう点を十分検討しろ、こういうお話でございますが、確かにわれわれのところでも研究いたしまして、基礎が十分しっかりした岩盤に到達しておりますときは振動が比較的少ない、こういうデータも出ております。そういうことを実際に使っていきたいと思っておるわけであります。振動につきましては、いろいろ調査したり学者の研究などを見ましても、大体構造物から四メートルくらい離れて相当減衰するようでございます。そういうことなども考慮に入れまして、できるだけ御迷惑のかかることを少なくするように努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
  291. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのままではちょっと山陽新幹線は住民の不信感が強いですから、なかなか測量もできません。ですからやはり私は、運輸省国鉄も誠意を持って、地元民なり地元の地方自治体と話し合いをしてもらいたいと思うのです。そうしてやはり事後に、いまおっしゃるように当初予想しなかったことが起こるわけです。新しいことをやるわけですから、新しいことが、予測せざることが起きたときに対する補償というか対策というか、そういうことについての誠意を示さない限り、この問題は私は進捗しないと思う。ですから、どうかひとつそういう意味でこの山陽新幹線の問題には特に過去のいろいろな経緯がありますから、せっかく各地域がやっておられることについて——私は、かねてからグリーンベルト方式というものを言っていて、十メートルまできたようですけれども、十メートルでは私はなかなか落ちつくまいと思っておりますが、考えてもらいたいと思うのです。  最後に運輸大臣、青森から大阪まで国道にドライブインというのが四百六十九ほどあるのです。そこの中で二十二だけが酒を売っていない。あとの四百四十七のドライブインは全部そこで酒類を提供しておるわけですね。いま盛んにめいてい運転とかいろいろ問題が出てきておるときに、これは私は所管がどこかわからないが、輸送関係だからあなたに検討してもらいたいと思うのですが、長距離トラックの運転者が泊るときは、泊る者にだけは酒類も提供しないと、彼らも疲れていて、一ぱい飲んでぐっと寝て次に行こうというのもありましょうから、宿泊者には例外として認めるとしても、一般の食堂分において酒類を提供することは法律的に禁止すべきだと思う。それをしなければ、酒を前にしておいてめいてい運転するな、なんというのは、ネコにかつおぶしの論理ですから、これはひとつ運輸省として——警察庁その他にも関係があるのだろうけれども、どこでどういう法律をつくるかは別として検討してもらいたいと思うのです。どうですか。
  292. 原田憲

    原田国務大臣 検討いたします。
  293. 堀昌雄

    ○堀分科員 検討いたしますということは、要するに法律をつくって禁止をする方向で検討するということでしょうね。ちょっとはっきり言ってもらわぬと……。
  294. 原田憲

    原田国務大臣 いま私のほうの所管か建設省か警察庁か、そういう問題でございますから、法律をつくって、禁止をするということにまでいくかどうか、いずれにいたしましても早急に、その問題はいま明らかになりましてから、あなたのおっしゃることが間違いないと思いますから、私はすぐに取り上げます。
  295. 堀昌雄

    ○堀分科員 終わります。
  296. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 次に斎藤実君。
  297. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 最初に国鉄総裁にお尋ねをいたします。  最近の傾向といたしまして、非常に人口が大都市に集中をしてきております。したがって交通量もまた激しくなり、最近は自動車が相当ふえてまいりましたが、特に私が問題だと思うのは、大都市を横断をしております国鉄でございますね、現在は立体交差あるいは高架がないところで相当交通が渋滞をする。多いところは一日に十二時間も遮断機がおりてストップする。それは時間的あるいは経済的な効果を非常に失わせる大きな問題であろうと思うのです。全国的に国鉄を高架にするという意見、要望等が非常に強いのですが、この踏切の立体化あるいは高架化という問題について総裁はどのようにお考えですか。
  298. 石田禮助

    石田説明員 この問題の詳しいことはあとから長浜常務から説明いたさせますが、それは私は時の問題で、できるだけ早い機会にひとつ何とかしなければならない問題であるということを考えております。ただ問題は、国鉄というのは初め鉄道を敷いた場合には町のはずれに大体つくったものであります。鉄道を敷いたためにだんだん人家がそのほうへできてしまって、いまは町のまん中を走るようになるということでこういう問題が起こったのです。この因縁については何をか言わんや、いずれにしたって現在の状況に対して解決する方法はどういう方法か、国鉄としてはやるとしたらどれくらいかかるかということですが、それは四千億はかかるだろうということだったのです。ところが四千億という金では、やりたいと思ってもなかなかむずかしい、何か方法はないだろうかということでいろいろねばりにねばった結果、その後実際にやり得るような線に大体近づいてきた。これはまず国鉄予算の許す範囲において着々としてやるということになるのじゃないか。詳しいことは長浜君から御説明いたします。
  299. 長浜正雄

    ○長浜説明員 都市の高架化の問題につきましてはいま総裁から御説明申し上げましたとおりでございまして、いままではそれほど高架化の要望が各市町村にそう熾烈ではなかったのでございますが、最近、ここ数年来、鉄道の高架化という問題があちこちで起こりまして、いま私たちの手元にありますだけでも約六十カ所ございまして、これを概算いたしますと四千億をこえるくらいの工事費になろうかと思います。大体が都市の高架化ということでございますので、工事費が非常に高くなる、用地費も高くなるという状況でそういうことになるわけでございます。いずれの都市も非常に強い要望があるわけでございますが、四千億になりますと、これの費用をどこから捻出するかということが非常に問題になると思います。在来は国鉄にいままでの鉄道時代からの関係がございまして、国鉄と建設省との間でこういう高架化をいたします場合の費用負担の方式が、建国協定と申しまして、協定書ができておりまして、大体フィフティフィフティで鉄道側と道路管理者側で持とうじゃないかという協定になっておるわけでございます。いま申しますように四千億ということになりまして、国鉄が二千億を持たなければならぬということになりますと、いまの国鉄財政事情からとても負担しきれるものではない。また高架化の必要性というのが都市計画といったものの考え方から必要になってくるというようなことから、関係各省、建設省あるいは運輸省、自治省、国鉄その他といろいろ御相談いたしまして、大体国鉄のたてまえから、国鉄は受益分だけを持てばよろしい、あとは都市計画事情として都市計画のほうでやろうじゃないかということに大体話がまとまりまして、そういうことで費用分担方式をきめていこうということにいま進んできているのでございます。そういうこととなりますと、都市計画事情としてこの高架化が行なわれることになりますので、今度は一般会計その他の関係でいろいろまたそれの費用の捻出の点で関係個所が協議を進めていかなければいかぬということが多くなろう、こう思います。
  300. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 全国的に六十カ所をやるとすれば四千億くらいかかる。ただいまの答弁で都市計画事情でやるように話し合いがつく。そうしますと国鉄負担というものはどれくらいになる、何割ぐらいですか。
  301. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄負担はまだ最終的に最後の詰めまでできておりませんけれども、いま話がついております段階では、大体在来線を高架にいたします場合は約一割ぐらいを国鉄負担いたしまして、残りを都市計画側で負担する、こういうことに話が進んでおります。
  302. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうしますと、地元でこれをやりたいという場合はどういう手順になりますか。
  303. 長浜正雄

    ○長浜説明員 これは担当は建設省の関係になろうかと思いますが、私たちが考えますのに、やはり鉄道を高架にするということの都市計画決定をしなければならない、こう思います。それをいたしますのには、都市計画決定者がいまのところは建設大臣でございますが、近く都市計画法の改正の発効があるはずでございまして、そうなりますと一般には知事のところで行なわれることになるというふうに私は理解しております。それが行なわれまして、そのかわりにといいますか、都市計画決定をいたします際には、もちろん国鉄と都市計画決定者とが協議をいたしまして、これでいいかどうかという都市計画決定の内容の協議が成立した上で都市計画が決定される、こういうことになると思います。
  304. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いま総裁からも、着々と国鉄としてもこの問題を解決するために努力をするというお話がありました。私は現在困っているということの実例を申し上げたいと思うのですが、御承知のように札幌市は豊平川から発寒川までの八キロの間に二十一の踏切があるわけです。その間に立体交差が二カ所ある、十四カ所が踏切道改良促進法の基準を越えるものがある、こういうわけです。例を申し上げますと、西二丁目踏切、これは一日に十二時間遮断機がおりている。それから東二丁目、これも十一・八時間、苗穂教習所の踏切、これも十一・七時間、東三丁目から四丁目、これも十・七時間、西十六丁目、これも十・二時間というように、百万都市のどまん中を線路が走っているわけです。こういう現状でありまして、この問題を何とか解決してもらいたい。これは知事も期成会の会長でもありますし、札幌市としてもこれは特別委員会をつくって、昭和四十七年二月には札幌オリンピックもあるということで、強い要望があるわけです。私も地元の人間ですから、これにはほとほとまいっている。これがいまお話がありましたように、都市計画事業でやるようになるというお話もありましたけれども、これは総裁ひとつこの問題について積極的に取り組んでもらいたいと思うのですが、再度御答弁願いたいと思います。
  305. 石田禮助

    石田説明員 これは技術上の問題もありましょうしいたしますから、私はここでやりますという確言は申し上げかねますが、町のほうの事情もよく考慮いたしまして、できるだけ早い機会においてやるようにいたします、こういうことだけは申し上げて差しつかえないと思います。
  306. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 それでは次の問題に移ります。  全国の新幹線について、これは全国の総合開発計画とも関連があると思います。東北新幹線については早く実現をしてもらいたいという期成会もできておるようでありますが、この東北新幹線について現在どのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
  307. 石田禮助

    石田説明員 ただいま決定いたしておりまするのは、新大阪−岡山間、それから岡山から北九州ということでありまして、その他の線につきましてはいまのところまだ決定はいたしておりません。しかしこれは時の問題でありますが、私が総裁の間においてはこういうのを北海道まで持っていくということはちょっと考えられぬことであります。
  308. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 何も私は総裁が任期中に北海道まで持っていけということを言っているわけじゃないのです。やる、やらぬということは別として、将来こういう地元の強い要望もあるし、東北、北海道開発ということから考えて、何らかの計画国鉄のほうでいま進んいるのかどうか、その点でも伺いたいと思います。
  309. 石田禮助

    石田説明員 国鉄はこの問題についてはまだ真剣に検討しておるというところまでいっておりません。しかしこれは結局時の問題じゃないかと私は考えております。
  310. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうしますと、現在まだ計画が進んでいない、こういうことでございますか。
  311. 石田禮助

    石田説明員 そういうことです。
  312. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 それでは青函トンネルについて若干お尋ねします。  現在調査斜坑、水平坑が本州側と北海道側から進められていますけれども、この調査坑の完成予定はいつでございますか。
  313. 町田直

    町田政府委員 大体一、二年のうちに調査を終了いたしたいと考えております。その時点において調査坑もまた完成するということであります。
  314. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 一、二年と申しますと、大体のめどは何年ですか。
  315. 町田直

    町田政府委員 一、二年ないし二、三年、一−三年と申したほうがいいかもしれませんが、その程度にお考えいただいたほうがいいと思います。と申しますのは、この間もちょっと出水がございましたように、ときどき事故というか、出水等がございますので、いまの段階では必ずしも確定的な時期は申し上げられませんけれども、大体その程度くらいとお考えいただきたいと思います。
  316. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 調査坑の全予算はどのくらいでございますか。
  317. 町田直

    町田政府委員 昭和四十四年度は二十億と予定いたしております。
  318. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 全額……。
  319. 町田直

    町田政府委員 ただいままで使いましたのが約百億くらいでございます。今後の予算につきましては、いまの進行状況によりまして、確定的なことは申し上げられませんが、来年度は二十億ということであります。
  320. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大体わかりました。青函トンネル完成について運輸省は本坑をいつごろまでにやるというお考えでしょうか。
  321. 町田直

    町田政府委員 まだ調査の段階でございますので、調査の結果をまって検討いたしたいと思います。
  322. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 それはそうでしょうけれどもね。大体もう斜坑の斜面もできたし、あと水平面に移るだけであるというようになっておりますし、だいぶ機械も導入され、経験もあるようでありますから、運輸省として、これは何年くらいというめどは立ってもいいんじゃないか、いかがですか。
  323. 町田直

    町田政府委員 重ねての御質問でございますけれども、調査の結果によりまして変わってまいりますので、いまのところ何年くらいというめどもちょっとはっきりしたことを申し上げられません。
  324. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうすると、大体の費用もわからないということですか。本坑をやるための費用は大体どのくらいと考えておりますか。
  325. 町田直

    町田政府委員 これも確定的なことは申せませんが、大体、非常に大ざっぱにいって千億くらいということを考えております。
  326. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうしますと、これだけの工事をやっているのでありますし、将来これを在来線のようにするのか、新幹線にするのかという問題が当然起きてくるだろうと思いますが、工事をやるほうにしても、それ相当のやはりある程度のものをつかんでいなければ、これは進んでいかないんじゃないか。この点どうでしょう。
  327. 町田直

    町田政府委員 もちろん新幹線が将来どうなるかということは、先ほど総裁から御答弁ございましたが、現在のところ、新幹線をいつどこまでどういうふうに引くかということは、政府部内としても決定いたしておりません。ただ、経済企画庁で、新全国総合開発計画をやっておりまして、その中におきまして一応の考え方をいま検討しているということでございます。そこで青函トンネルをつくります場合には、やはり一応新幹線を通す、こういう前提のもとに工事の設計等もすべきであるというふうに考えております。
  328. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 それじゃ、青函トンネルが新幹線を通すという計画でこれからもやられる、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  329. 町田直

    町田政府委員 設計上は新幹線が通り得るという形で考えたいということを申し上げていいと思います。
  330. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 わかりました。  それから、国鉄赤字線問題について総裁にお尋ねしたいのですが、だいぶ全国的に財政的な理由から赤字路線は廃止するんだという運輸審議会からの意見書国鉄に出ているようですが、これについて総裁どういうようにお考えですか。
  331. 石田禮助

    石田説明員 赤字線をいつまでに廃止するかということは、赤字線にかわるのに他の適当な輸送機関をつくるということでありまして、それは単に財政的ということよりは、私は国民経済的に見てやったほうがいいんじゃないか、こういうことなんです。たとえば現在の鉄道なんというものは、相当なところにおいては輸送需要に適応しない。輸送力があまり大き過ぎる。その結果は、一日に五往復か六往復しか列車が通っていない。それよりは、一日に三十往復も四十往復も行くようなバスにかえたほうがいいんじゃないか。鉄道に合うだけの輸送需要がないんだから、しかも国鉄の経済から見てみると、そういう線は、輸送需要というものは減るばかりだ。せっかくあったけれども、最近はみんな地方の人というのは、バスとか自動車のほうに走っちゃって、一向に鉄道を利用してくれぬ。それならひとつそういうものにかえたらどうなるかということで、この問題は今後とも慎重にひとつ考えまして、そうしてさらに地方のほうへ行って、われわれの考えが及ばないような点があるかもしれませんので、地方の人たちとひざをつき合わしてよく検討した上で、御納得を得た上でやりたい。第一、これはやはり運輸審議会にかけなければならぬのです。そして最後には運輸大臣の許可を得なければならぬ、こういうようなことで、これは国鉄総裁だけの頭でもってどうしようというわけにはいかない。
  332. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 総裁から、地元住民の意見も十分考慮に入れてこれからも検討したいという話がありました。その点については私も了承します。  それから、一つ運輸省にお尋ねしたいのですが、北海道の千歳−追分線、これは十七キロです。これは札幌、千歳、釧路を結ぶ非常に重要な路線なんです。現在これは鉄建公団で工事をやっておりまして、トンネルあるいは橋梁、路盤もでき上がっているわけですね。あとはまくら木、線路等を入れればでき上がるというような現状になっている。ところが、昨年の秋からこれは工事を中止しているようであります。追分−千歳間、これができますと、札幌あるいは苫小牧に通ずる交通は非常に便利になるということで、地域住民も非常に期待しておるわけです。これは何とか早期に開業できるようにしてもらいたい。ところが、聞くところによると、鉄建公団のほうでは国鉄のほうがはっきり態度を示さないので困っているんだという意向も聞いているわけであります。この点はどうでしょう。
  333. 長浜正雄

    ○長浜説明員 追分線の問題は、いま先生おっしゃいますように、路盤はある程度できておりまして、あと軌道構造をつくっておる、こういう段階になっておるのでございますが、実はこの線は釧路のほうまで全線——紅葉山線とかそういうところまで含めまして、そういうものが全部でき上がりましたときにその効果を発揮する線のうちの一部分でございます。それについて鉄建公団からうちのほうに協議が参っておる段階でございます。それにつきまして、いま国鉄としてどういうかっこうで開業すればいいかというその開業の協議がきまる段階でございます。開業の条件その他の打ち合わせがまだ実はいろいろそういう輸送情勢その他をながめてといいますか、検討しておる段階でございます。われわれのほうが建設公団へ返事をいたしまして、それで工事に着工してもらう、こういうことになろうかと思います。
  334. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 これは話し合いが済む時期は、きまる時期はいつごろでございますか。
  335. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いまいつというふうに数字は申し上げられませんが、いまもう協議が参っておりますので、なるべく早急にどうするかということの処理をきめて返事をしたい、こういうふうに考えております。
  336. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 御承知のように北海道は積雪寒冷地でありまして、雪が降ると、鉄道もそうでありますけれども、トラック輸送等はストップしてしまうわけですね。そういう意味からも、この追分線の開業については非常に強い要望がありますので、ひとつ特段の推進をお願いしたい。  以上申し上げまして私の質問を終わります。
  337. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 中井徳次郎君。
  338. 中井徳次郎

    ○中井分科員 時間は三十分だそうでございますので、端的に日本国有鉄道の関西線、参宮線、それから四日市−津の間の短絡線、そんなことについて意見をいささか申し述べながら御質問を申し上げたいと思います。  よくテレビのクイズなどに出るのですが、名古屋と大阪の間の線路はたくさんあるが、一番近いもの、一番短距離のものはどこだというのです。それは関西線でございます。そう答えればよろしい、こういうことなんです。   〔仮谷主査代理退席、楯主査代理着席〕 ところが、その間の時間的距離はどうだということになりますと、新幹線は一時間五分、私鉄の近畿日本鉄道というのがあるが、それがノンストップで二時間二十分、東海道線は急行、準急で大体二時間半くらい。関西線は五時間半かかる。それならたいへん山があって走りにくいか、途中でアプト式でもあるのかというとないのです。大体百八十キロあったと思います。東京と静岡くらいだと思います。その間名古屋と亀山の間、六十キロはたんたんたる平原であります。西のほうは木津から湊町まで、これまたたんたんたる平原であります。途中、伊賀盆地、十五、六キロ、これも平原であります。山地はわずか三十キロくらいしかありません。それだのに五時間半かかる。ですから、いわば神さまが見れば、これは宝の持ちぐされだな。ばかばかしいからだれも乗らない。乗らないから列車を削る。したがって最近は名古屋−湊町直通がございません。名古屋−奈良なんというのがありまして、それが百三十キロくらいですかね、百四十キロくらいありますか。それは急行でありまして、その急行は亀山で十三分とまるのです。大体一割以上とまる。何ともどうもひどいことになっておるわけです。そこで、この周辺に人口はおらぬのか、都会はないのかというと、そうじゃありません。桑名には十万、四日市は二十五万、亀山、伊賀上野、奈良、王寺、八尾というふうに、大体、私ちょっと勘定してみたのですが、百六十万から百八十万くらいの沿線人口がございます。そうしてその並行線といえば名古屋と四日市の間だけなんです。これは四十キロばかりだと思います。あとは並行線じゃないが、私鉄その他支線が出ておりまして、それに乗ったほうが早いからみんな乗っちゃう。私鉄は一時間に十本くらい走っているのです。関西線は二時間に一本くらいで何ともどうも救いようがない。そこで私ども住民は、早くとにかく複線にしなければ、時間の短縮のしようがない。複線にすれば少なくともいまのような赤字はうんと減る。あるいは黒字になるということから、やれとやかましく言っております。国鉄のほうもやらぬとは言いませんけれども、だんだんおそくなっておる。ようやく四十三年度中に工事を始めます。名古屋と四日市の間は複線工事を始めます。よしというので愛知県が二十億、名古屋市が二十億、四日市以下の町が二十億、三重県が二十億、工費百二十億の中で八十億は鉄道債を引き受けます。こういうことで話ができておるのですが、実際やっておるのですか、どうですか。いまやっておられるのですか。まずそれを私は伺ってみたいと思うのです。
  339. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま中井先生の御質問の関西線の輸送力増強は、先生の仰せのとおりでございまして、単線であります関係上、列車回数も非常に少ないし、したがって利用者も非常に不便を感じておるということでございます。また四日市附近の工業生産がどんどんふえてくるということで、貨物上も必要であるので、地元の先生方知事さんはじめ、皆さん方の御要望、またわれわれも勉強いたしまして、至急着工しなければならないということで、いま先生がおっしゃいましたように、今年度から着工したい、こういうことでいま準備を進めておるわけでございます。いままでおくれましたことにつきましては、さいぜん来からのお話しのように、国鉄の工事資金がなかなか回り切らなかった関係もございましておくれておるわけでございます。関西線につきましては今年度から着工したい。実はもうあと一カ月余りになりましたので、早くと思って心急いでおるのでございますが、皆さん方との利用債の引き受けの事務処理、あるいは国鉄部内の事務処理その他が思うようにいっておりませんで、また私自身も実は若干焦燥感を持っておるわけでございます。できるだけ早い機会に利用債引き受けの契約をいたし、着工の運びに持っていくように努力したい、こういうふうに考えております。
  340. 中井徳次郎

    ○中井分科員 あと一カ月しかないのにやりますなんて言って、一体どういうことでございますか。愛知県、名古屋市、三重県、四日市市等が二十億ずつ引き受けるということは去年の五月か六月にきまったことでありまして、県会、市会といずれも去年の九月に通っておるというふうに私は聞いております。これは大臣どうですか。あなたは東海道線の沿線でございますけれども、天王寺から王寺まで、八尾とかあの辺は複線になっている。木津まで複線になっている。そして民社のあなたの選挙区の方が質問しておりますが、あれは非常に関係があるので、ちょっと申し上げますが、木津から八キロばかり片町線まで単線です。ちょっとの間なんですがね。京都府内です。京都府とけんかでもしたのですかね。それができますと、湊町から片町行きというのが出る。片町から大阪の外環状線ですね。それは国鉄の歴代の先輩たちが、やったらよろしい、中井先生推進してくださいと、名前はあげませんけれども、私は行くごとに逆に言われておるのです。これなんかも総裁は資金関係だとおっしゃると思いますけれども、たんたんたる平原なんです。みんな熱望しておるわけです。このごろあの辺に住宅もずいぶん建ちます。京都府内だと思いますが、ぜひひとつ近い将来にやっていただきたいと思います。あの辺の現場の国鉄職員の声でもあるわけです。どうですか。あと一カ月しかないのにやりますなんて言っておりますければも、私は率直にいって非常に怠慢のような感じがしてしょうがないのです。長浜君が怠慢というわけではなくて、国鉄は世帯が大き過ぎるのですかね。こまかいところまで気がつかないのかもしれませんけれども、とにかく東京名古屋、大阪あたりで、外へ出る国鉄で単線なのは関西線だけです。そしてしかも十分採算がとれる。いまちょっと言われましたが、特に四日市のこの工業地帯なんか、もう貨物で弱っちゃっているというふうなことでありますが、この際、監督の立場にあります運輸大臣から、これは初耳でありますならば、ひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  341. 原田憲

    原田国務大臣 関西線の問題につきましては、実はあとでまた御質問が出るかと思いますけれども、ことしの正月、お伊勢へ参りました際にいろいろと聞かしていただきました。ただ、ことしの予定が、きょう、二月のもう終わり、まさに三月になろうとしているときにはまだきまっていないということについては、実は正直に言いまして、初耳でございます。いまの国鉄側のお話を聞きますと、地元との利用債の問題でまだ話が煮詰まらぬのでというお話でございましたが、私はいま聞かしてもらっておったのでございますが、これがほんとうの話であろうと思います。これは私はしろうとでございますから、しろうとがこれがいいとか悪いとかと言うことは差しさわりがあろうと思いますけれども、いま中井先生の言われた貨物ということについて関西線が十分いけるんだという話は、そうじゃなかろうかというように私は思います。そのとおりではないかと思います。ただ、旅客の点につきましては、完全に一緒に走っていませんが、さっきの話のありました近鉄と一緒に走っているところが多い。駅も一緒に使っているところが多い。それが関西線がお客さんが少ない。これを複線にしてお客さんがはたしてふえるだろうかということに実は私は疑問を持った。そこで近鉄のほうがお客さんがあふれてどうにもならぬ、こう思って聞いてみたら、近鉄はまだ吸収力がある、こういうことを言っておりましたから、そこのところは私、複線にすることによってそれがふえるだろうかということには、少し疑問を持ちますけれども、貨物ということについて国鉄——私鉄はほとんど貨物をやらぬのですから、貨物ということも重要な国鉄の使命でありますから、これらのことは十分勘案して、きめたものなら地元と話を早く詰めてやらにゃいかぬ、私はそのように思います。
  342. 中井徳次郎

    ○中井分科員 大臣は御存じないので、近鉄と同じ駅というけれども、このごろあれは関西線といわぬのだ。紀勢線とか参宮線とか、南のほうで、私が申しておりますのは、四日市からまっすぐ奈良へ出る線ですね。これはもう近鉄と遠く離れておりまするので、共通じゃありません。ですからぜひお願いをしたい。それはわかっていただけますかな。それから貨物がだめなんです。貨物がふくそうしている。この人もそう言っているのです。四日市−名古屋間は全然だめです。あそこは石油の精製地ですから、ほとんど自動車で全国に運ぶ、あれは考えようですけれども、そういうところからもきておる一つの事実ですから、ひとつその辺のところをよく御勘案願いたいと思います。四日市から西は並行線じゃございません。  それで要するに、三月にかかるというが、いつかかってくれますか。たとえば債券の手続なんていいましても、それはちゃんと相手の金融機関なりなんなり、そんなことはもう非常に簡単にできることなんです。おそらく名古屋の鉄道局とかどこやとか、そういう組織内のことで、一度手紙をくれてどうやというようなことでおそらくおくれていると思うのですが、それで二カ月も三カ月もおくれておったらたまったものじゃないというのが私の考え方でございます。どうぞひとつ……。
  343. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま中井先生言われますように、確かにあと一月でどうするんだというお話でございますが、実は私たちも大体決心をいたしまして以来、工事を担当いたします工事局に命じまして、いろいろな測量、調査、設計を始めさしておりますので、現実に現場に着工するということはなかなかこれはおっしゃられますように無理なことでございますけれども、そういうことに着工できる、こういうことで、やはり土木工事でございますので、そういう事前の仕事が非常にたくさんございますので、これにいま取り組んでおる段階でございます。いま申しましたように、利用債の契約ができましたらこれで新たに用地買収に取りかかりたい、こういうふうに考えております。ただ、全線同時に複線にするほどいま急に輸送力が爆発的にふえるというものでもないと思いますので、部分的に逐次一駅間ずつ複線化をしていきたい、こういうふうに考えております。
  344. 中井徳次郎

    ○中井分科員 どうも認識がだいぶん違うのです。さっきの原田大臣の話も、何か近鉄はまだ収容力があるなんて、うそですよ。もうかってもうかって、もうドル箱で近鉄は……。
  345. 原田憲

    原田国務大臣 参宮線と私は間違うておりました。
  346. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そうでしょう。参宮線は近鉄が一番近いのだから……。私が申しておるのはそうではありません。いまの四日市と名古屋の間ができますと、今度はあと二十キロばかり西へ行くと亀山というところがあります。ここまでぜひ延ばさなければ実際は効果がない。  この間また二十キロばかり大きな川も山もありません。関西線というのは小さなトンネル、五十メートル、百メートルまでのトンネルを入れまして、百八十キロの間にトンネルは七つしかない、そういうところでありまして、特に四日市−亀山なんというのはたんたんたる平原でございます。これはもちろんできましたら私は黒字になると思う。それは建設費の高い、安いもありましょうし、金利の問題もございましょうけれども、私はそういうふうにこれを考えております。  それから、これと関連しまして、四日市と津の間にいま短絡線というのを建設中である、これは複線で建設をいたしております。これは建設公団の方にお尋ねしたいと思って私は要求しましたのですが、きょうは監督官の方がいらっしゃる、建設公団の方は参考人だからというので、監督の方に伺うわけですが、これは数年前から工事をやっております。やっておりますが、一向でき上がらない。しかも私はときどきその前を通りますが、まことにりっぱな建設でありまして、道路の上は立体交差でございますし、また、十メートルぐらいの山にトンネルを掘りましてその下を通るというような非常に理想的に、私どもの常識でいけばどかんと山を削ればいいだろうと思うのに、わざわざトンネル——ところがそのまん中だけをぼつぼつやっておって、両端をちっともしないものですからいつまでたっても利用できないわけでございます。この間建設公団の総裁に聞いたら、中井君それは用地を買収できないのだ、こういうことで、そうですかとは言うておきましたが、まあ老人のことでございますから私はそれ以上のことも伺わずにおきましたけれども、これはいかにもどうももったいない。おそらくもう二、三十億投じておるのでありましょう。それをほってある。これこそでさましたら近鉄と並行線になります。しかしそれとてもやはり四キロ、五キロ離れておりまして、いわばもう名古屋の郊外でございます。その関西線というのはもう大阪、名古屋の郊外です。その辺のところをどうして四日市からやっていかないのか、あるいは津から北のほうでやらないのか、早くやらないことには、利用価値が十分あるのに何をしておるか、これは現地の素朴な人たちの意見です。私が行くごとに、国鉄というところは赤字だそうやけれども、やはり大きいだけあってのんきやなあ、まん中だけやってゆうゆうとしておるわい。これは国鉄と違うのだ、建設公団だと言っても、それでも利子がかかるがなあと言うて、これは伊勢商人の本場ですからみなそう言うておりますが、これはあと何年ぐらいででき上がるか、ちょっと……。
  347. 町田直

    町田政府委員 大体先生の御指摘になったとおりでございまして、伊勢線は御承知のように二十八キロメートル、昭和四十年十一月四日に着手いたしました。用地買収につきましては、御指摘のとおり四日市市と津市の一部を除きまして、大部分の用地の買収を完了いたしております。工事は、中間約十四キロメートルほど竣工いたしまして、現在小川付近工区外二工区を工事中でございます。未着工区間は四日市の方向に約五キロメートル、津の方向に五キロメートルということでございます。総工費は百十億円の予定でございますが、現在までの使用は、四十二年度までの決算で二十二億円、四十三年度で約五億円となると見込まれております。御指摘の点は、鉄建公団の総裁からお話があったというお話でございますが、やはり四日市市、津市の用地買収に非常に手間どっておる、こういうことでございまして、これをできるだけ促進いたしたいということを考えておる次第でございます。
  348. 中井徳次郎

    ○中井分科員 四日市や津市の用地買収に手間どっているといいますが、用地買収に反対をしているのはないと思うのですよ、みんな非常に熱望していますから。何か話の持っていき方じゃないですか。まん中の鈴鹿市は熱心だから、それじゃそこからやってやろうかということで市だけ残っている。これは非常に促進を願いたい。あと二年くらいの間にでき上がる、非常に簡単だと思うのですが、いかがですか、見通しを聞かしてください。
  349. 町田直

    町田政府委員 やはり鉄道建設公団としては全力をあげて市部の買収ということをやっているのだろうと思います。そういう趣旨で私どもも指導いたしておる次第でございます。二年くらいでできるかということにつきましては、もう少し鉄道建設公団の実情等をよく検討いたした上で御返答いたしたいと思います。
  350. 中井徳次郎

    ○中井分科員 工事が長いことかかるなどということでは絶対ないわけですね。結局、どれだけ予算をとって金をかけるかということです。用地買収みたいなもの、私にやれと言われれば私は一カ月でやってやる。私は立場が違うからやりませんけれども、どうも全体として何か楽しんでおるような感じがする。そのうちにできるぞというような、たるんでいるといえば失礼だけれども、何かちょっと言いたくなるような感じであります。あなた監督局長だから、二十数億の金を数年間遊ばしておいて非常にもったいないと思いますので、ちょっと申し上げておきたいと思います。  それから最後に、これは原田さんが伊勢神宮にお参りになったから聞いておられると思うけれども、伊勢市から鳥羽に行く鉄道赤字だから、もうやめたらどうだなんていう意見が審議会ですかにありますが、この間その辺の事情を聞きますと、実際は、戦前は、ああいう日本の国柄からいって、伊勢神宮にお参りをしなければならぬというので、津から山田までは鉄橋部分以外は全部複線であったそうです。戦時中に取りはずしまして、用地はまだずっと国鉄が持っておる。あと複線にしようというので、これも事業債の話がありまして、十年ほど前にいつでも出しますよというので文書も出してある。そして、国鉄さんのほうからもオーケーという返事があって、そのままだそうであります。いま私が取り上げますのは、それのさらに南でありますが、伊勢市と鳥羽——昔は東京から鳥羽行きというのが出たものです。これは近鉄が来年の四月、万国博までに宇治山田から鳥羽まで電車を延ばします。それについて運輸省の皆さんが認可をしておるわけです。どんどんいま工事をやっておる。それに沿っていく鉄道をやめると、こういうのですが、これはいかにもひどい話だ。しかも鳥羽から先の話ですが、さっきも北海道のトンネルの話があったから、私は先の話を楽しく言うのですが、鳥羽から東、伊勢湾を横断しまして渥美半島に行く鉄橋をつくれという話があります。伊勢湾の入り口は非常に広うございまして、東京湾よりは広いのですけれども、どういうぐあいか、あの湾口には島が四つばかりと暗礁があるのです。非常に危険な暗礁がありまして、船が出入りするのに、たいへん不自由を感じておるところでございますから、私もそんなところへ鉄橋なんてできるものかと言ったのですけれども、むしろ国連の調査団その他が来まして推進をしておる。そうしますと、浜松あたりからまっすぐに伊勢に行く、そういう計画が愛知県と三重県を中心にして、いま熱心に討議をされておるところであります。その途中に国鉄さんが、もう鳥羽まで行かぬでいいというのにみんなあきれ返っておるというのが実は真相なんです。山田と鳥羽の間は八十三かなんかある赤字路線の選考基準にはほとんど入らないで、ただ距離だけ入るというようなことを言っておりましたが、この辺のところをもう少し——国鉄幾ら赤字でも、赤字を克服するのに積極策で何とかならないか。私はもう数年前から予算委員会等におきまして、国鉄は資本金をふやしてもらえ、いま赤字なら配当せぬでいいじゃないか、黒字になったら配当する、その資本金を五百億でも一千億でももらってこい、どうしてもらわぬかということを言うておるわけです。これは電電公社でも同じでございます。いまの資本主義の世の中であれば、それに即応してそれをなぜやらぬのか。国有鉄道なんていって名前だけもらって、大蔵省のチンピラどもに、利子を払う金でないと貸せぬというようなことを言わしておってどうするのだとしょっちゅう言うておるので、おそらく皆さんも言っていらっしゃるとは思いますが、力足りずか何か知りませんけれども、そういうことでもう少し大国鉄、優秀な皆さんが大ぜいそろっていらっしゃるのだから、この辺のところでそういう意味のたがを締めて転換してもらえぬか。鳥羽なんかはひどい話です。そこにいくと近鉄はさらに南へ行くのです。賢島というところへ十分そろばんがとれるから行く、国鉄赤字だからやめる、どうもわかりませんので、その辺のところについて、最後でございますが、ちょっと石田さんの御意見等も承ります。
  351. 石田禮助

    石田説明員 近鉄が鳥羽線をさらにやるのに、国鉄が敷いてある線をなぜとるんだというようなことなんですが、だいぶこれは業務範囲に違いがありまして、近鉄があれをさらにやろうということについては、私は不動産というのに含みがあるだろうと思うのです。そこがつまり国鉄と近鉄との違いで、彼らは鉄道でもうからぬでも、不動産のほうでもうければいい。たとえば御承知のとおり、十四私鉄の決算を見ましても、昨年は鉄道では百三十二億利益が出て、それで鉄道以外の利益が百五十億というぐあいに、彼らの仕事は、鉄道が主であるか、不動産が主であるかわからぬ。いまの鳥羽線なんというのは、確かに私は不動産が主じゃないかと思う。そういうことで、これは国鉄としてはちょっと近鉄のまねはできないのでありまして、いずれにしても、その点は業務の範囲に非常な違いがあるということで国鉄の立場を御了承願いたいと存じます。
  352. 中井徳次郎

    ○中井分科員 もうこれでやめますが、もとより、いま石田総裁の言われたとおりの原因もあろうと思いますが、しかし、何といいましても電車中心の運行でありますから、それはあなたのおっしゃる不動産ということもございましょうけれども、そういうことになる前から、あの会社はだんだんと手を打っておるようでございますが、やはり問題はダイヤの編成その他につきましても、もう少し親切なやり方をしてもらえぬだろうかというふうなことを私は思います。あまりしゃくし定木と申しますか、私ども関西線の通しの列車を走らせなくなりましたのは、五時間半もかかってけしからぬじゃないかとやかましく言うたから、みんなやめてしまえ、それを早くするのはもうやめようじゃないかというような意識が、失礼だけれどもあるのじゃないかというふうにさえ私は考えておるわけでございます。それでもう少しきめのこまかいことをやっていただきませんと困る。今度料金の改定の案なんかお出しでございますが、これは社会党社会党として、先ほど申しましたような、もっと資本金や何かに大きく手を打っていくようなことも申しておりますから、一がいに賛成だと言うわけにはまいりませんけれども、何かそういう感じがしてなりませんので、一言これを申し上げまして、もうちょっと時間が経過いたしましたので、これで失礼いたします。
  353. 楯兼次郎

    ○楯主査代理 次に、唐橋東君。
  354. 唐橋東

    唐橋分科員 だいぶ時間がおそくなりましたので、私は要点だけを御質問いたしますが、ほんとうに具体的な問題でございますので、具体的な御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。  私の質問は、雪の多いところ、積雪地の積雪の期間中の輸送、こういうことに関してお伺いしたいわけでございます。具体的な例を取り上げてみたいのでございますが、私が具体的な例を取り上げますのは会津線あるいは野岩線、その関連になっております日中線という小さな線でございますが、この日中線は、すぐに西米沢に今後通じさせていただきたいという予定線の一部でございます。去る一月のあの雪の降ったとき、日中線が非常に込んで困難しておる。バスも自動車も不定期なので、あるいは運休になっているために、唯一の頼みがいまの日中線であったわけでございます。非常に混雑しておるということでございますので、私もその汽車に乗り込みまして、その実情を私のへたな写真でございますが、とってまいりました。それでひとつこの写真をおあげしますので、見ながらだとたいへんに……。(写真を提示)  問題は、喜多方−熱塩間といわれるこの線は、赤字線のあるいは筆頭でないか、こういうふうにいわれておる線でございまして、始発の喜多方以外は全部無人駅でございます。会津村松、上三宮、会津加納、熱塩、これだけの駅がございまして、熱塩というところで折り返し運転をしておるわけでございますが、始発駅の喜多方以外が無人駅でございますから、いま写真でおあげしましたような混雑しましたその乗客に対して、それを世話する方、いわゆる切符を車内売りをしたり、それを回収したりする人が、たった一人の車掌さんでございます。車内を通行できません。ですから、時間になれば、乗客がどっと入り込んで乗ってくる。車掌さんは、これだけ乗る人をどんどんうしろから押しながら整理しながら乗せていく、そして次の駅に行く。次の駅ではまたおりる人、乗る人、その世話だけでもう切符の精算なんということは思いもよらないわけです。このような状態が、冬季間のこの線の運行状況なんでございます。写真でごらんのとおりの状況でございますから、何も無賃乗車をしたいという人はおそらくないわけでございますが、金を払っている、つり銭をもらう、そうすればどんどん人が出てしまう、あるいは入ってしまう、このような状態になっているわけでございます。全く車掌さんもたいへんですし、乗客もまた、あれだけ込んでおります車掌さんに対して非常に気の毒がっておりました。  そこで私は、この計画に対して非常に疑問を感じました。その疑問の第一は、列車が混雑することは、雪が降った時期でございますからわかります。そうすれば何か助手の人をそこに臨時に振りかえる、こういうようなきめこまかいと申しましょうか、当然これだけの雪があれば、あの列車はこれだけ込むぞということがわかるのですから、そしてまた、御承知のように小さな線でございますので、そんなに運行回数はございません。だから、管理上はそうむずかしいものでないと思う。それをやっていない。こういう簡単な小さなことでございますが、ひとつ正式の車掌さんでなくても、このような臨時の助手の配置ということは当然考えられるべきじゃないか。その写真のように、車両はたった二つです。しかし、その車両の中はそれだけの人員なのです。それが一人の車掌さんで始末がつかないということは常識です。おりた駅も無人駅だから、いないのです。喜多方におりたい人は、今度は喜多方のホームから出ますから精算所で金を払う。ですが、喜多方以外の会津村松以降熱塩までの間は全然無人なんですから、だからそこの乗降客は、もういまのような状態なんです。こういうことを地元の人たちは非常にふしぎがっているわけです。こういう臨時の補助員と申しましょうか、助手と申しましょうか、こういうことに対する配慮というものがほしい。雪が降って鉄道が込むのだ、こういうときは当然わかるのでございますし、喜多方なり、あるいはその近くの会津若松駅なり、そういうところからの人員の回し方は簡単にできるのじゃないか、こんなようにしろうとなりに考えるわけでございますが、それに対するいままでの取り扱っている方針、やり方等について御説明願いたいと思います。
  355. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 日中線の降雪時におきます状態につきましては、確かに写真にございますとおり、また、御指摘のとおりのような状況がございましたことは事実でございます。ただ、この日中線の問題につきましては、雪がこんなにたくさん降るというのは非常に珍しいケースでございます。東北地方を襲った雪に関連いたしまして、バスが運休した。この場合の乗客の状態を見ますと、喜多方でおりる客が大部分、平生は定期のお客さんばかりでございます。したがいまして、無人化をしていく。国鉄財政再建会議意見書にもございますように、駅は極力無人化していくという方向でございます。これについては、地方の駅の扱い量でございますと、まあ無人化するということは考えられるわけであります。それで平生の状態が、大体が、列車によりますが、七人とか八人とか、通勤だけの列車が、実は平生大体百二、三十人から百五十人しか乗っていない。この日は、その約倍の四百人乗ったというような状況であります。したがいまして、いま御指摘がございましたように、人手の問題につきましては、こうした混乱を起こさないように、会津の地帯におきます管理部門としては、何か手を打たなければならないというふうに考えられます。このときにおきまして、全体としてあの地帯に雪が降ったというようなことから、人手も足らなかった。そうかといいまして、全然しろうとの方を配置いたしましても、これはむずかしいのじゃないかということで、私どもといたしましては、喜多方の駅の集改札体制を固めるということでございます。この点で御理解いただきたいと考えるわけでございます。
  356. 唐橋東

    唐橋分科員 雪はことしだけ多いような御回答でございますが、私は喜多方に長年住んでおるものでございまして、雪の少ない地方ではないのです。会津線の中のあの只見というようなところと比べればそれは少ないでしょうけれども、熱塩、加納に行けば、これは積雪量というのは非常に多いほうです、会津の地域の中でですね。大部分が喜多方だというのですが、結果がそういうように出てくるのですね。ちょうど喜多方を中心にして、喜多方の駅はこの市街地のこちら側にあるのです。市街地のこちら側は村松という駅なんです。だから、喜多方でおりる者は若松に近くなってしまって、市街地に戻らなければならない。市街地に入るものは村松なんです。だから、その村松が無人駅なんです。私、乗ったときにはやはり半分近くは、数字の上ではどう出ているかわかまりせんが、私の目測では、半分近く——半分まではありません、半分近くはこれは村松駅でおります。もちろんその中には、通勤、通学の者が大部分でございますが、雪になってみますと、ほかのバスやその他が使えないものですから、一般の乗客はほとんど入っていますから、そのとおり込んでいるのです。これを専門でないと困るというのですが、しろうとなりに考えてみますと、その区間だけの乗車の切符の取り扱いなんですからね。あと喜多方駅へ出てしまえば、これはもう専門でなければわからないのです。そうすれば、ほんとうにアルバイト的なものであっても、簡単にできるということさえ考えられるのです。改札口ですね、いわゆる高等学校の上級生くらいになればできそうな仕事です。こういうことが私はやはり必要ではないだろうか、こういうように考え、そしてそれを何も日中線だけの問題でなくて、この状態はやはり臨時に人を動かしながら、その状態に応ずる体制が他の地区にもあるのではないかということが私が持った疑問でございます。日中線だけでございますならばこれはしあわせでございますけれども、しかし、もと有人であった駅が無人化されたところはこういうような状態で、特に雪の降る地方はこういう状態ではないのか、こういうことが私の考えられる点でございます。したがいまして、積雪期のその地方に対する特別な配慮というようなものは、いわゆる除雪夫の問題等は十分お考えいただいているようでありますが、輸送関係の増員とか異動は、実際やっていないようでございますが、そういうことはできないのですか。全体として、日中線だけでなしに、私の地方では会津線もございますし、非常に込む場合に車内売りなんかはできっこないのですよ。会津線だって無人の駅はずいぶんございますが、そういう駅から乗った場合に、今度こちらのほうに来てから精算しなければならぬという状態を解消する方法をとれないのでしょうかね。それをひとつ……。
  357. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 日中線の問題につきましては、いま御指摘の列車は一本だけでございまして、あとの列車は、お客さまがたとえば五人しか乗っていない、四人しか乗っていないというのが現状でございまして、異常な事態に際会したという事態に対応する点については、先生指摘のような点がございますけれども、ここに常時人を張りつけるということ、その必要はないのじゃないか。むしろいまお話しのような降車駅、これに対する対策を今後機動的に考えていくということは考えられます。  他の地区にもそういう状態がないかという御指摘でありますが、列車回数が比較的多い沿線につきましては、そうした事例はございません。むしろ平生はバスに乗る。しかし、たまたまそういうような状態が発生したという事態だけの問題でありまして、そこに人を張りつけるということは、国鉄財政面から見ましても、また、実態面から見ましても、あまり意味をなさないのではないかというふうに考えております。
  358. 唐橋東

    唐橋分科員 私の質問のしかたが悪いので、何か御理解が逆になっておるようでございますが、常時張りつけていただきたいといっているんじゃないのです。いわゆるパートタイムやアルバイトでもいいじゃないのか、こういう臨時の異動というものが考えられるのじゃないか。他の地方にない、こういうことでございますが、会津線の込み合う時間は、その一本とか、あるいは帰りの汽車とか来る汽車、そのことがまた一番大切だ、その対策が必要じゃないのかと私は申し上げているのです。時間がありませんから次の質問に進みます。  次は、非常に残念に思いますのは、この駅にあります建物、これが全部、無人化の後にそのままあばら家で残っているわけです。あばら家というのは語弊がありますが、りっぱな建物が、だれも管理していませんから、ガラスは割れる、壁はこわれる。写真にあるように、この大雪になっても雪おろしはしない、こういう財産の取り扱いなんです。ですから、もと有人であった駅が無人化した。そうすれば、それをどのように活用しているかという一般の問題にも通ずるのじゃないだろうか。なるほど大国鉄から見れば、これはごくちっぽけな財産であるかもしれません。しかし、地方から見れば、駅のあるところというのは中心です。その中心にある駅が、ガラスはこわれ、壁は落ち、こじきが入って火たきをして火災の心配もある、そしてもとあった職員住宅は、これまたあいたまま、こういう状態をそのまま放任をしておく、こういうことでいいのだろうか。小さな問題ではございましょうけれども、国鉄自体の財産管理の一つの方針として考えていただきたい。その地方の役場の人が、その役場の近くにあるもとの職員住宅があいているものですから、何か役場のほうで使わせていただけないだろうかということを、正式ではないのですが、非公式に聞いてみたら、それはとても手続がめんどうだからとか、いまは使えないとか、こういうようなことでそのままなのです。国鉄納付金があれだけの問題になって、地方財政に多少なりとも減少だというならば——入った人を追い出すということが心配なら、地方自治体に責任をとらせて、その契約のところで、国鉄が必要な場合にはいつでもあけなさい、こういうようなことで市町村にあの建物を管理させ、活用させていく、こういうことは当然あってしかるべきではないだろうか、こういうことを考えるわけでございますが、この遊休の施設に対してどのような方針をとられているのか。
  359. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま御質問の日中線の事例につきましては、具体的な事例として調べてみないとわからないのでございますが、一般的な考え方といたしましては、こういうふうに無人化したために要らなくなったような施設につきましては、原則として私たちはこの建物その他は撤去したい、あるいは、もし御希望の方があるならばこれを売却する、こういうことにして整理をしていくのを方針としておるわけであります。これを一時貸すとかということになりますと、いろいろな問題がございまして、国鉄として将来使用見込みがある場合には、それを保存しなければなりませんので、これをしばらく貸すというようなことも考えられるわけでございますが、使用見込みがないというような建物あるいは土地というものにつきましては、希望があるならばこれを売却していきたい、なければこの建物は撤去していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ところが、たまたま撤去するにいたしましても経費がなかなかかかりますので、そのままになっておったのではなかろうかと思うわけでありますが、方針としてはそういうことでございます。なお、お貸しするといたしましても、原則として個人の住まいとしてお貸しするということは、これは後日いろいろ権利義務の問題が発生いたしまして、非常にやっかいな問題になりますので、これはいたしません。いま申しますように、要らないということになりますと、これは撤去するなり売却するという方針で臨んでおるわけでございます。
  360. 唐橋東

    唐橋分科員 撤却し売却するという方針であるが、この線の駅の建物並びに住宅がいまだに処分されておらない、こういうことに対しては、私はこのあとでお伺いする線にも通ずると好意的に理解して、かえってうれしいのでございますけれども、ただ私の申し上げておるのは、ああいうローカル線の赤字線に対してずいぶんと皆さん方は陳情を受けておるように、国鉄に対して非常に要望が強いと思うのです。と同時に、自分たちもそれなりに協力するという体制があるわけで、そうした場合にその該当市町村に、あばら家にしておけば火も危険だし、管理上も悪いのじゃないか、ひとつ管理を見てくれないか、こういうような簡単な契約の中で、りっぱに管理できると思うのですよ、もう全くの無管理なのですから。こういうことは、それはやはり一年、二年ではないのですよ。一年や二年でなくて、そういうような状態にしておくということはどうなんですか。やはり私は、国鉄が市町村と連絡しさえすればりっぱに管理できる、そして有効に使える。個人に貸すことは、いま言うように権利義務の関係が出てくると思いますが、市町村にその責任を負わせていくということにすれば、りっぱにできていくのではないかということを申し上げさせていただきたいわけでございます。  時間がございませんので——この線について確かに混雑するのは一本だ、こういうようなことを言われますが、この線は御承知のように、いまおかげさまで、栃木県と福島県の境目の野岩線の鉄道が建設線とされまして、あのトンネルが通じました。それを延長していきますと、今度先ほど申し上げました西米沢に通ずるということで、日中線はほんとうに短い線であり、いまこそ赤字ですが、この野岩に羽がついて、西米沢に出ていくのだということになれば、これは私から申し上げるまでもなく、私鉄の東武が鬼怒川−藤原まで、その先がすぐ滝ノ原、田島、それで若松、米沢、こういうことになって、やはり中間の建設線として非常に重要な線になってくる。こういう地元の強い年来の要望で、この線に対する建設の要望が出ておるわけでございます。  したがいまして、この建設線でさえ、もう赤字のために廃止されるのではないかというようなこの前の地元の不安、それは一応石田総裁が地元と十分話し合って相談をする、こういうことであの地元は落ちついております。しかし、この線だけではやはり有効でないわけでございまして、これが熱塩から西米沢に通じさえすれば、東京からすぐに鬼怒川、田島、若松、そしていま言うように米沢というような、いわゆるいま問題になっております過疎地域をほんとうに中央へ結びつける中心路線になってくるわけでございますが、それに対して総裁の御意見をひとつ率直にお伺いをし、そしてこのような場合に、どんな段階でこのローカル線の問題に取り組んでいくのか、こういうことも地元としては心配しているわけです。やはり廃止をされないようにというこの心配の中で、いま心配しているのは、八十何線か取り上げられた赤字線の中で、やはりふるい落とされるものもあるだろう、もうだいぶきまってきたのじゃないか、このような考え方があって、地元としては非常に心配しておるのでありまして、それらも含めながら、最後に総裁のこの野岩羽線建設に対する御意見をひとつお願いしておきます。
  361. 石田禮助

    石田説明員 私としては、毎度繰り返して申し上げますように、とにかく赤字線を取り払う場合には、必ずこれにかわる輸送機関をもってする。御承知のとおり、鉄道というものは、輸送事業に対してあまりに赤字が大き過ぎて管理できないという場合にはその方針で進みますが、いずれにいたしましても、とにかくこれを決定するにつきましては、地方に行きまして十分に調べまして、さらに地方の諸君とひざを突き合わせて懇談をして、ほんとうに納得を得た上で決行するということについては、絶対に変わらない次第でございます。  さらに、この問題につきましては、さっき申し上げましたように、国鉄総裁の一存ではいかぬので、運輸審議会の審議にかける、あるいはやはり公聴会なりも開かれるだろうと思います。そうしてさらに運輸大臣協力を得て、初めて実行されるということになるのでありますからして、もしも国鉄の判断に対して御不服の場合においては、運輸大臣に直接御直訴をなすって、ひとつ問題を円満に解決されるように願いたいと思います。
  362. 唐橋東

    唐橋分科員 最後に要望でございますが、運輸大臣にお願いいたしたいのは、私が問題に取り上げる会津地区ですが、やはり過疎化現象がはなはだしい。それが日光につながるということによって、香川県の広さと同じくらいの南会津郡というところにまっすぐに入るわけでございますから、過疎化現象というものをいまどうするかという場合の基本路線になってくる、この野岩羽線は。それが米沢に通ずるということになると最短距離になってくる。こういうことでありますので、そういう重要性の観点から、ひとつ十分御認識いただきたい、こういうことを要望しておきます。
  363. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど、赤字線問題についての考え方について国鉄総裁からもお話がございました。私も同様に考えております。再三お答えを申し上げておりますが、赤字路線というものは、うちでほかに転換できるというものを取り上げて、それを地元の方々と話し、また、その線がそこに果たしておる役目というようなものを十分検討しまして、結論を出さなければならぬ問題だと考えておりますので、いまのお話はよく承って、慎重に対処いたしたいと思います。
  364. 唐橋東

    唐橋分科員 終わります。
  365. 楯兼次郎

    ○楯主査代理 兒玉末男君。   〔楯主査代理退席、仮谷主査代理着席〕
  366. 兒玉末男

    兒玉分科員 国鉄当局にお伺いしたいのでございますが、いままで多くの同僚議員からも質問があったと思うのですけれども、当面、何といいましても、国鉄赤字線区の廃止の問題が大きな課題でございまして、先般、私たち社会党は六つの班に分かれまして、全地域の調査に参ったわけでございますが、地域住民の切実な一致した気持ちというのは、国鉄赤字線が廃止されたならば、自分たちの通勤、通学、われわれの足は一体どうなるんだ、この心配は非常に一致して訴えられておるわけでございますけれども、これに対して、これは仮定の問題でございますけれども、もし国鉄当局が赤字線を廃止した場合においては、当然これは高度の公共性を持つ交通機関として、その代行については万全の措置をとるべきだと私は考えておるわけですが、この赤字線廃止がもたらしたところの、あるいは将来予想されるところのこの交通確保については、どういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  367. 石田禮助

    石田説明員 私が繰り返し申し上げますとおり、国鉄赤字線の解決というものは、現在の輸送需要に適応した輸送具に直す、つまり鉄道というものはあまりに大き過ぎる、この結果、一日の運転回数なり何なりがわずかな回数である。これに比べると、もしもこれをバスなり自動車にかえると、二十回も三十回も往復ができる。さらに、駅の数にしましても、たくさんふやすことができる。やってみれば、なるほどこれはかえてよかったというようなことになる線が相当にあるのじゃないか。現にいままでも、かえたところで地方の人が非常に満足しておるところから見まして、さらに地方の人というものが鉄道から去って、バスなりマイカーに走るところを見ると、鉄道というものの存在に対して、地方の人から見れば一向敬意を表していないじゃないか、尊重していないじゃないかというような場合がたくさんあります。これは地方地方によって違いますが、いずれにしましても、国鉄というものは、そういう観点から地方線の問題を考えなければいかぬ。ことに地方線というものがあるがために、その損というものが一般乗客の負担になっておるということも、ひとつ地方の人には考えていただいて、国鉄の立場になってお話を願いたい。いずれにいたしましても、繰り返し申しますように、われわれとしては十分の調査をして、これはもうやらにゃならぬということにいたしましても、地方の人とよくひざ詰め談判して、ほんとうに御納得を得たところで初めてやるんだというこの鉄則につきましては、今後とも変わらぬのでありまして、ほんとうにやらにゃならぬ線は、国民経済的に見て、また、地方の人の便益の点から見ても、やるということがもう当然だというような線が、結局、赤字線廃止の目的になると私は考えておりますが、まああまり神経質に考えないで、ひとつ国鉄の人とよくひざ詰め談判してお話願う、御希望の点は遠慮なく申し出てもらう、こういう点で御了承願いたいと思います。
  368. 兒玉末男

    兒玉分科員 今回私たちが調査しました広島なり九州地区の状況を見ますと、たとえば国鉄と並行的に走っている他の交通機関というものを比較した場合に、通勤にしても通学にしましても、他の輸送機関の運賃が非常に高いということがはっきり指摘されるわけでございます。具体的な例として指摘しますならば、九州に香椎線というのがございますけれども、この香椎線とこの付近の西鉄バスの路線との比較をしました場合に、一つの区間でわずかに七百五十円の定期運賃で学校に行けるのが、他の交通機関、これは西鉄バスでありますけれども、約三・五倍から、高いところは五倍という運賃を払わなければ学校に行けない、通勤できない、こういう経済的な面からくる要素もあります。また、鹿児島の、これは私鉄でありますけれども、南薩鉄道等の場合におきましては、加世田というところがございますが、ここの高校の校長先生の話によりますと、約百七十名程度の通学生の中において、もしこの鉄道部門がなくなりますと、六十数名の学生は通学ができない。同じように、これは国鉄線でございますけれども、指宿枕崎線等の場合においても同様な訴えがなされておるわけでございますが、こういう運賃の比較論においても、経済的な面において、父兄が相当の犠牲をしいられるということになることが明確にいえるわけであります。まして、比較的バックの多い国鉄の場合ならいざしらず、民間企業の場合は、国鉄以上にその企業性というものが要請されて、公共性というものはどうしても次の次元になっていく、こういう点等についてはどういうふうなお考えを持っておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  369. 石田禮助

    石田説明員 国鉄のいまのいわゆる赤字線につきまして、最も多くの利用者というのは通勤者だと私は思います。したがって、鉄道というのがなくなりまして、バスや何かにかえた場合に、その通勤者の通勤割引をどうするかということが、まず第一に起こってくる問題だろうと思います。現にそういうものに対しましては、国鉄としてはバスの通勤料を払ってくれということにいかないで、ある期間を切るなり何なりいたしまして、とにかく鉄道のベースでいくようなことにするということがいい方法ではないか。これは、ただ未来永劫までそういうふうにするというのではなしに、ある期間を限ってやるということも考えておりますが、いずれにいたしましても、その辺につきましては、これは地方の人とお話するときに、いろいろの希望が出ると思いますので、そのあれをうまくコントロールして、地方の人の御満足のいくようにしたいというのが私どもの考えであります。
  370. 兒玉末男

    兒玉分科員 これは多少中身に入るわけですけれども、現実的にずっと地方の状態を見てみますと、結局、かりに鉄道が他のバス部門等に転換をする、あるいは国鉄バスが代行する、こういう形になった場合、やはりまた近い時点において、再びバス運行による経営上の問題というのが必ず提起されてくるのではないか。かりに、これを一歩譲りまして、民間バス等に代行させる場合におきましても、結局、先ほど総裁も触れておられたようですけれども、朝と夕方のラッシュのときには、確かにバスの運行も一〇〇近い運行が可能にしましても、比較的利用の少ないその昼間帯においては、相当の車が遊ばなくてはいけない、こういう点から、特に私企業の場合は、その経済性ということが強く要請される点から、相当長期の展望というもの——交通機関の持つその高度の公共性というものを考えます場合に、代行輸送というものは、相当長期の展望に立って考えないと、地域住民の足を守る可能性というものがまたすぐ一つの限界、壁に突き当たるのではないか。こういう点から、長期の立場での交通政策というものを考えていかなければ、この国鉄のローカル路線における企業の面からだけこれが追求されることは、当を得ないやり方ではないかと思うのですが、そういう総合的な交通対策という面について、その点は特に大臣の御所見を承りたいと思います。
  371. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄の経営のむずかしさというものを、いみじくも兒玉さんが言っておられると思うのです。お客さんの少ないところでは国鉄が安い、それがなくなってしまったら、高い自動車に乗らなければならぬから困る、こういう現状。一番お客さんの多い、通勤者を持っておる都市においては、私鉄のほうが安い運賃で運んでおる。それだけたくさんお客さんを運んでも、投資をしなければならぬから、そこに赤字が生じてきて、いなかのほうまで回っていかない、こういう投資不足というものがあり、そして赤字を背負い込んで利子を払わなければやっていけないという根本のところへきておると私は思うのであります。したがいまして、これをつかまえて何とかしようというときに、ここに一兆円でも実際のお金がありまして、それをつぎ込むことができたら、いまの現状で値上げも何もせずにやることは可能でありますけれども、それは、率直に言いまして、社会党の案というものは、一つは、それができるということを前提として出されておりますが、私どもが願っておることは一緒でございますけれども、いまの国家財政の中で、非常にそれはむずかしいから、いわゆる三位一体論という形で国鉄再建しよう、こういうことで今度の提案を、中身に入っての議論でございますが、いたしておるわけでございます。  国鉄赤字路線の問題について申し上げますと、何度申し上げておりますけれども、いま兒玉さんがおっしゃったとおりの状態である。したがいまして、それを一ぺんに廃止するということは重大な問題でございますから、よくその線区の果たしておる役割りというものを考え、将来の問題も、展望もあわせて考え、地元の方々とよく話をして、この赤字路線問題というものに対処する、こういう考えを持っておるわけでございます。
  372. 兒玉末男

    兒玉分科員 これは国鉄当局のほうにお伺いしたいのですけれども、現在の国鉄経営というものが重大な危機にあることは、私ども十分承知をするわけですが、問題は、先ほど私も触れましたように、国鉄運賃というものと、私鉄の関係の同じ区間における運賃差というものを考えます場合に、特にこのような不均衡というものをどういう形において是正するかという点と、同時に、たとえば国鉄が政策的に割り引きをしております通勤通学あるいは学生割引、新聞雑誌、さらに今回も暫定として割引木材運賃の割引を継続することになっておりますし、また、そのほか災害時におけるところの救援物資の無賃輸送なり、あるいは七十品目に近い貨物の社会政策的ないわゆる等級制度等、それから地方自治体の納付金も含めて、こういうものを総括して一千億円近いところのものを、国家的要請によって国鉄がそういうふうな公共割引政策をとっているわけでございますが、このような国鉄財政的、経済的に相当苦しい時点におきましては、この割引政策の負担というものは、当然もう国の責任において考慮すべき段階にきているのではないか、このように考えるわけですが、これに対して国鉄当局としては、今次の再建対策あるいは予算要求の過程において、どういうふうな措置をとってこられ、どのような対策をとられているのか、この点をお聞かせいただきたい。
  373. 石田禮助

    石田説明員 これは、私もごもっともなことだろうと思います。それで、今度の計画におきましては、第一に、国鉄はまず消極、積極の合理化に徹する、経費はできるだけ合理化する、同時に、収入のほうはできるだけふやすように努力するというまず国鉄の努力、その次は財政措置これがつまり、ただいま大臣のおっしゃった問題にからんでくるわけでありますが、国鉄というのは、御承知のとおり、これまで非常に大きな公共負担というものを背負わされてきた。つまり国の政策というものを、国鉄の犠牲においてやったものが公共負担でありますが、これがずいぶん大きな金額で、われわれからいえば、こんなものは、ひとつもとに戻して、利息でもつけて返してくれということを言いたいのでありますが、そういうことを、いままで国鉄が承諾してきたというところにも国鉄の非常な責任がある。だから、過去にさかのぼってどうしてくれと言ったって、これはもうそれを言い得る国鉄の立場ではない。しかし、国鉄がいまのような状態になったということについては、公共負担というものが相当重大な荷物になっておるのでありますから、政府はこれに対してやはり責任を痛感して、この補いをしてくれなければ困るということで、つまりここに財政措置というものになったのでありますが、これも今度の財政措置というのは、相当大きなものでありますが、何もこれがしまいになるわけではない。今後私は、大蔵省としては相当に見てくれるだろうと思います。そういうことで、まず国鉄合理化をやり、政府も公共負担というものを考えていただいて、ひとつ財政措置をして国鉄を援助してもらう。そこで足らぬところ、どうしてもいかぬところは、ひとつ運賃値上げにたよる。要するに、いまの国鉄のこの収支の状態を見ると、収入というものは一年に七%くらいしかふえないのに、経費というものは一三%以上もふえていく、これをどうするか。ことに通勤輸送のごとく、非常に大きな犠牲になる仕事にこれから多大の投資をしていかなければならぬということになると、どこかに助けの道、救いの道を求めていかなければならぬ。そういうことで国鉄合理化し、政府としても財政措置をとってくれた以上は、やはりコストアップになればプライスアップということと同じ原理に基づいて、これは利用者として一棒をかついでもいいじゃないかということで、この運賃値上げということになったのでありますから、これは何も全部を通勤者におっかぶせるというようなことでは全然ないのでありますから、その点はひとつ御了承願わなければならぬと思います。
  374. 兒玉末男

    兒玉分科員 いまの合理化の問題も含めて、これは後日また運輸委員会等でただすことにしまして、次に貨物輸送関係でございますけれども、これは昨年の当委員会におきましても、前中曽根大臣にもいろいろとただしたわけでございますが、道路輸送に対しては国が相当の投資をしまして、そして結局道路整備が路線トラック等の混雑解消に追いつかないという現状にあろうかと思うわけですが、私は現行の国鉄の輸送体制から考えた場合に、やはり貨物輸送の分野というものはある程度整理をして、国鉄にもし輸送力等の余力がありますならば、国の行政指導等なりそういうふうな貨物輸送の適正化といいますか、陸上交通路としてトラック等による道路の混雑を緩和するための対策を検討すべきじゃないかということをただしましたところ、前大臣も、十分検討し、配慮したい、特にまた国の投資の面においても、地下鉄なり国鉄等よりもはるかに道路行政に力を入れている、そういう点等からもやはり一つの限界というものがあるということで答弁されておりますけれども、これらの国内の物資輸送に対して、相当私は同一原料、同一物資が、輸送体制といいますか輸送分野を整理することによって、十分緩和が可能ではないか、こういう措置について国鉄並びに運輸省当局としては、将来の展望としてどのようなお考えを持っておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  375. 原田憲

    原田国務大臣 本会議で野間さんであったと思いますが、同一の問題について御質問がありまして、私は御意見に賛成の意を表したのでございますが、貨物輸送の分野において、国鉄が果たすべき分野というものは、推進会議意見書の中にもはっきりと明示されておるわけであります。いいますならば、中距離、長距離の大量輸送というものを国鉄は果たすべきである、こう言っておられる。私もそのとおりであろうと思っております。道路輸送の使命というものは、近いところを運ぶということが中心になろうと思います。したがいまして、国鉄においては物資別の適合輸送あるいは高速列車網の整備等を進めて、そして道路輸送の機動性というものと結びつけたフレートライナーを近く実施する等、積極的な貨物輸送に取り組んでいきたい、このように考えております。
  376. 石田禮助

    石田説明員 国鉄の貨物輸送でありますが、御承知のとおり、国鉄公共企業体になりましてから輸送力不足、サービスがはなはだ不満足なために貨物というものが相当にトラックのほうにいったのだろうと私は思います。いわんや道路というものは国がつくって、トラックなどというものは何ら負担なしに自由にこれを利用するが、国鉄は輸送するためには自分で路線を引っぱり、非常な負担のもとにやる、そういう非常に不公平なもとで競争を余儀なくされたということが今日の国鉄の貨物輸送の不振になった原因だと思います。しかしこれからは十年計画によりまして輸送力も相当にふえてまいりますし、また、国鉄としても、貨物輸送の問題についてはさらに改善に全力を尽くしまして、貨物に適合したような輸送を目的とするというようなことで、将来国鉄の貨物輸送というものは相当にふえるのではないかということで、希望をもって今度の十年計画におきましてはこの改善について相当に投資をしてやるということで進んでおりますから、これは現在の状態を見て将来またしかりというようなことを考えないで、国鉄は必ず面目を一新することができるという確信のもとに進んでおるわけであります。ただ、今度の運賃値上げなんかにつきましても、旅客についてやはり、貨物にはやらなかったということで、いまの状態では収入はふえるというものではありませんが、当分目をつぶって旅客輸送の値上げをやるということで進んだのでありまして、貨物輸送については、今後の国鉄の将来というものについてひとつ大いに御注意を願いたいと存じます。
  377. 兒玉末男

    兒玉分科員 もう一つ国鉄に関する問題として、これは多少地域的な問題によりますけれども、昨年国会におきまして、南九州地域の畑作を中心とする改善法案が出されまして、特に南九州に対しては、今後北九州なり京阪神等に対する生鮮食料品の供給地帯として国が積極的な投資をすることになりましたが、加えまして今回また南九州地域における総合的な、特にこの生鮮食料品の供給地としての開発計画調査要求というものがなされております。ところが、現在の陸上交通なり鉄道輸送におきましても相当強く輸送力というものが要請されておりますけれども、まだこれが十分ではございません。そういう点から、今後の生鮮食料品の輸送ということのスピードアップ、輸送力の増大、あるいはコンスタントの生産に応ずる国鉄等の輸送体制、輸送力の増強ということが強く要請されるところでございますが、特に太平洋ベルト地帯から九州に入りますと、今度は太平洋岸が国鉄輸送力が足らないために非常に発展がおくれておるわけでございますが、将来の政府の開拓展望あるいは今回のこのような南九州地域の開発展望から考えましても、国鉄の物資輸送面における比重というものが非常に大きいかと私は思うのですが、これは長瀬常務が特に貨物関係の担当であろうかと存じますので、これを含めた輸送力増強ということについてどういうふうな展望をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  378. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 貨物輸送力の問題につきましては、最終的には線路というものが大事でございます。ただいま御指摘のような山陽線の問題にいたしましても、これは山陽新幹線の早期完成によりまして現在の山陽線を貨物輸送に大いに使うことができるし、それから東海道にいたしましても部分複線を行なっておりまして、そうした輸送力の基礎的なものが整備される。同時にまたターミナルの問題が大きな問題でございます。たとえば東京−大阪間の輸送の場合におきましても、大井の貨物駅、鳥飼の貨物駅あるいは八田の貨物駅というようなところについての整備というものが急速に行なわれなければならない。ただいま御指摘のように南九州の生鮮食料品の高速輸送という問題につきましては、結局九州線の輸送力、それから東海、山陽両線の輸送力の整備とあわせまして適合貨車、しかも高速の適合貨車をつくってこれに対応するというような考え方に徹底いたしまして、先ほど総裁が申しましたとおり、貨物輸送の問題につきましては、今後の国民経済における流通経費という問題と同時に、国鉄がいつまでも貨物輸送が沈滞であってはいかぬ。むしろ今後といたしましては、いろいろな施策はすでに私どもとしては構想が描かれております。それを実行する、こういう段階になっていると思いますので、その方向に向かいまして努力いたしたいと思います。
  379. 兒玉末男

    兒玉分科員 時間がありませんので、最後に私鉄関係のことについて運輸省当局に、船伺いしたいのでございますが、先般調査に参りました鹿児島交通の南薩線の現況を見ましたところが、たくさんの要員の整理をやり、しかも現在特に大事な人命の輸送に当たっているこの地区が、線路補修面いわゆる安全輸送対策について私たちがいろいろと調査をし、また現実的に並行的な路線を通って感じますことは、保安度の向上なり安全輸送に対する経営者側の感覚を私は疑うような事例が数多く指摘をされているわけでございます。しかも一方的に沿線住民の意思を無視して営業を廃止する、あるいは極端に列車回数を減らすなどして、もっぱら経営ができないような段階に追い込んでいる実情に触れたわけでありますが、これに対して監督官庁としての運輸省はどういうふうな指導をし、さらにまたこれは地域住民の重大な足でありますが、この交通機関に対する対策をどういうふうにしようとされておるのか、この点お伺いしたいと思います。
  380. 原田憲

    原田国務大臣 中小私鉄の赤字路線の廃止許可にあたっては、当該路線の採算性のほかに、廃止後における代替輸送手段の確保の点についても、十分慎重に審査し、廃止後において地元における便益性が低下することのないよう配慮しております。  また、中小私鉄は地方における重要な交通機関でございます。このため路線が存続する限りは、運転保安面等においても、その利用者に対し関係法令に定める基準に適合した輸送サービスを提供することを義務づけており、経営内容が悪化したこと等を理由として輸送サービス内容を低下させることは認めておりません。そうして適時保安監査、業務監査等を行なうことにより、必要な指導を行なうことといたしております。これらの方法により、中小私鉄が経営内容の悪化等を理由として輸送サービス内容を不当に低下させることのないよう、十分配慮いたしておるつもりでございますが、いま見玉先生より御指摘されたような点がありましたら、十分今後注意してまいりたいと思います。
  381. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 次回は、明二十五日午前十時より開会し、引き続き運輸省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会をいたします。     午後八時十四分散会