○楯
委員 私は三つであろうと思うんですが、依然としてあなたは白紙ですね。そこで、私はもう沖繩の返還の基地の態様を決定するのは、
総理、あなた一人の意思といいますか、一存にかかっておると思うんです。といいますのは、新聞にはいろいろアメリカの——たとえば前のライシャワーさんなんかはこういうことを言っておった。本土並みでなければならない、核を置くことは中国を刺激する、日本人の反対している基地では意味がない、ライシャワーはたびたびこういうことを言っていますね。非常に好意的なんです。それからアメリカの上院外交
委員長のフルブライトさんも、二十年以上も占領するなんということは、これは常識に反しておる、こういうようなことをアメリカの人たちでも、同情論といいますか、友情論といいますか、そういうものを盛んに言っておるわけです。ところが、これまた
答弁を引用いたしますが、二月六日の日に民社党の
麻生君の質問に答えて、
総理はこういうことを言っておられるんです。アメリカ軍部の
考え方がはっきりしないと構想の立てようがない。アメリカの軍部がどう考えておるかわからないから私は白紙だ、こういうことを言っておられるわけです。こういう
総理の
答弁から考えると、アメリカの極東戦略が変更にならない限り、アメリカの友情論、常識論なんというものは——
佐藤総理が本土並みなり、あるいはもうきれいにして返してよこせ、社会党のいっているように、返すのだから、基地をなくして返してよこせという意思を強力に表示をされれば、アメリカのこの友情論とプラスして大きな力になると私は思う。ところが、アメリカのほうでは友情論、同情論が出ておるのですが、日本の
総理が白紙だ、白紙だということになれば、アメリカのこの友情論、同情論というものは単独では、アメリカの極東戦略の前にはこれはかすみみたいなものですから、力がないと思うわけです。こういう点を考えてみますと、あなたが白紙だ、白紙だと言っておられることは、すでに本土並みという線から一歩後退しておるという印象をアメリカなり日本国民に与えておるのですよ。私は自民党の
佐藤総理のまわりの方々がそういうことを言われるかどうか知りませんが、あなたが白紙だと言うことは、社会党は基地なし返還ですけれ
ども、本土並みという線から
総理みずからがもう一歩後退をしておる意思をアメリカなり日本国民に表示をしておる、こういう意味に幾ら好意的に考えましてもとられるわけです。中にはこういうことを言う人もありますよ。
総理はいまだに白紙だ、白紙だと言っておる。
総理はどうせジョンソンと、現状自由使用で日本へ返還するについて三年かかって日本国民を説得しなければならぬから、それで白紙だと言っておるのではないか、率直に言うとそういうことを言っておる人もある。白紙だ、白紙だとおっしゃるものですから。だから私は、返還の基地の態様を決定するのはもう
総理一人しかない。アメリカは極東戦略が変わらなければ、もうライシャワーさんでも、フルブライトさんでも、その極東戦略の前には、同情論はあっても力はないと思います。だからその態様を変更するものは
佐藤内閣総理大臣以外にはない。こういう点を私は特に考えてもらいたいと思うのです。
それからいま
一つは、たとえ無理な形で沖繩が処理されましても、現地の住民あるいは本土の国民が猛反対を行なっておるような基地は、ライシャワーさんではありませんが、もう基地としての価値はない、こういう面も私はほんとうに真剣に考えないと、せっかく、アメリカの歓心ということばは悪いかもしれませんが、アメリカの歓心を買うためにやったことが、半年なり一年なり二年過ぎにはかえって日米紛争の起爆力になってしまう、こういうことになるのではないかと私は思うのです。こういう点、私は真剣に考えてあなたに言っておるのですが、どういうふうにお考えになりますか。