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1969-07-03 第61回国会 衆議院 本会議 第55号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十四年七月三日(木曜日)
—————————————
議事日程
第四十六号
昭和
四十四年七月三日 午後二時
開議
第一
船舶整備公団法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
参議院送付
) 第二
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の 一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) 第三
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律
案(
内閣提出
) 第四
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の 一部を
改正
する
法律
及び
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(
内閣提出
) 第五
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ………………………………… 一
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
議員請暇
の件
土地鑑定委員会委員任命
につき
同意
を求めるの 件
日程
第一
船舶整備公団法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
日程
第二
失業保険法
及び
労働者災害補償保険
法の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第三
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第四
失業保険法
及び
労働者災害補償保険
法の一部を
改正
する
法律
及び
労働保険
の
保険
料の
徴収等
に関する
法律
の
施行
に伴う
関係法
律の
整備等
に関する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第五
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後二時七分
開議
石井光次郎
1
○
議長
(
石井光次郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
議員請暇
の件
石井光次郎
2
○
議長
(
石井光次郎
君) おはかりいたします。
議員桂木鉄夫
君、同
広沢直樹
君、同
山口敏夫
君及び同吉田之久君から、七月七日より十六日まで十日間、また、
議員伊賀定盛
君及び同
千葉佳男
君から、七月七日より二十一日まで十五日間、右いずれも
海外旅行
のため、
請暇
の
申し出
があります。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
石井光次郎
3
○
議長
(
石井光次郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、許可するに決しました。
————◇—————
土地鑑定委員会委員任命
につき
同意
を求めるの件
石井光次郎
4
○
議長
(
石井光次郎
君) おはかりいたします。
内閣
から、
土地鑑定委員会委員
に
有泉亨
君、
樺山俊夫
君、
櫛田光男
君、
黒澤清
君、
嶋田久吉
君、
三澤勝
君、
吉野公治
君を任命したいので、本院の
同意
を得たいとの
申し出
があります。
右申し出
のとおり
同意
を与えるに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
石井光次郎
5
○
議長
(
石井光次郎
君)
起立
多数。よって、
同意
を与えるに決しました。
————◇—————
日程
第一
船舶整備公団法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
石井光次郎
6
○
議長
(
石井光次郎
君)
日程
第一、
船舶整備公団法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
石井光次郎
7
○
議長
(
石井光次郎
君)
委員長
の
報告
を求めます。
運輸委員長砂原格
君。
—————————————
〔
報告書
は
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
〔
砂原格
君
登壇
〕
砂原格
8
○
砂原格
君 ただいま
議題
となりました
船舶整備公団法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
運輸委員会
における
審査
の
経過
並びに結果を御
報告
申し上げます。
本案
は、最近における
造船技術等
の急速な進展により、
在来貨物船
の不
経済化
の傾向が顕著となっておりますので、これら
船舶
の
改造等
を行なら内
航海運業者
に対し、その必要な資金の貸し付けができるよう、
船舶整備公団
の業務の
範囲
を拡大しようとするものであります。
本案
は、四月七
日本委員会
に
付託
され、四月十一日
運輸大臣
より
提案理由
の
説明
を聴取し、自来、
参考人
を招致するなど慎重なる
審査
を行ないましたが、その
内容
は
会議録
によって御承知願います。 かくて、七月一日、
質疑
を終了し、討論の
申し出
もなく、直ちに
採決
いたしました結果、
全会一致
をもって
原案
のとおり
可決
すべきものと議決した次第であります。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
—————————————
石井光次郎
9
○
議長
(
石井光次郎
君)
採決
いたします。
本案
は
委員長報告
のとおり決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
石井光次郎
10
○
議長
(
石井光次郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり
可決
いたしました。
————◇—————
日程
第二
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第三
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第四
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律
及び
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(
内閣提出
)
石井光次郎
11
○
議長
(
石井光次郎
君)
日程
第二、
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
日程
第三、
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律案
、
日程
第四、
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律
及び
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
、右三案を一括して
議題
といたします。
—————————————
石井光次郎
12
○
議長
(
石井光次郎
君)
委員長
の
報告
を求めます。
社会労働委員長森田重次郎
君。
—————————————
〔
報告書
は
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
〔
森田重次郎
君
登壇
〕
森田重次郎
13
○
森田重次郎
君 ただいま
議題
となりました三
法案
について、
社会労働委員会
における
審査
の
経過
並びに結果を御
報告
申し上げます。 まず、
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律案
について申し上げます。
本案
のおもな
内容
は、 第一に、
労働者
五人
未満
の
事業主等
に雇用される
労働者
を、新たに
失業保険
の当然被
保険者
とすること。 第二に、
労働者
を使用する
事業
は、すべて
労災保険
の
強制適用事業
とすること。 第三に、
失業保険金等
の
扶養加算部分
を
扶養手当
に改めること。 第四に、
受給資格者
が死亡した場合、
失業保険金等
を遺族に支給することができること。 第五に、被
保険者
であった
期間
が通算して二十年以上である場合の
所定給付日数
を、二百七十日から三百日に改めること。 第六に、
日雇い失業保険
の
保険金日額
を、第一級五百円を七百六十円に、第二級三百三十円を五百円にそれぞれ
引き上げ
、これに伴い
保険料
の
日額
を改めること。 第七に、
就職支度金
及び
移転費
を
福祉施設
として行なうこととし、
就職支度金
の
内容
を
改善
すること。 第八に、
保険料率
を
現行
の千分の十四から千分の十三に引き下げること。 第九に、三年継続して
短期離職者
を多数発生させた
事業主
から
特別保険料
を
徴収
し、これを
通年雇用対策等
の費用に充てること。 第十に、
受給資格
を取得するために必要な
期間
を
暦月
をもって算定せず、百八十日とすること。 第十一に、
不正受給者等
に対する
現行
の
不正受給金
の
返還命令制度
に加え、
不正受給金額
と同額一以下の
金額
の
納付命令制度
を設けること等であります。
本案
は、去る四月三
日本会議
において
趣旨
の
説明
が行なわれ、同
日本委員会
に
付託
となり、七月一日の
委員会
において
質疑
を終了いたしましたところ、被
保険者期間
の
計算方法
、
施行期日等
についての
修正案
が提出され、
採決
の結果、
本案
は多数をもって
修正
議決すべきものと議決した次第であります。 なお、
本案
に対し、
附帯決議
を付することに決しました。 次に、
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律案
について申し上げます。
本案
のおもな
内容
は、 第一に、
現行
の
失業保険
及び
労災保険
の
適用
、
徴収
について、これを各
事業ごと
に
労働保険
という
一つ
の
保険関係
とし、両
保険
の
適用徴収事務
を一元的に処理すること。 第二に、
保険料
について、
現行
の
労災保険
と同じく、毎
年度
の初めに、その
事業
で一年間に支払われる
賃金
の
見込み額
に、両
保険
の料率を合算した
保険料率
を乗じ、これを
概算保険料
として
徴収
することとし、その
年度
末までに実際に支払われた
賃金
に基づき過不足を精算すること。 第三に、
現行
の
失業保険
及び
労災保険
の
事務組合
について、
適用徴収事務
の
一元化
に伴い、これを統合して新たに
労働保険事務組合
の
制度
を設けること等であります。
本案
は、去る四月十
日本委員会
に
付託
となり、七月一日の
委員会
において
質疑
を終了し、
採決
の結果、
本案
は多数をもって
原案
のとおり
可決
すべきものと議決した次第であります。 次に、
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律
及び
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
について申し上げます。
本案
は、
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律案
のうち、
労働者
五人
未満
の
事業
についての両
保険
の
適用拡大
に関する
規定
及び
労働保険
の
保険料
の
徴収等
に関する
法律案
の
施行期日
を、公布の日から起算して二年をこえない
範囲
内で政令で定める日とすることとあわせて、これらの
法律
の
施行
に伴い、
関係法律
の
規定
の
整備
及び必要な
経過措置
を定めることであります。
本案
は、去る四月十
日本委員会
に
付託
となり、七月一日の
委員会
において
質疑
を終了いたしましたところ、
失業保険法
及び
労働者災害補償保険法
の一部を
改正
する
法律案
の
修正
に伴い、
本案
の
関係条文
についても
所要
の
字句整理
を行なう
修正案
が提出され、
採決
の結果、
本案
は多数をもって
修正
議決すべきものと議決した次第であります。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
石井光次郎
14
○
議長
(
石井光次郎
君) 三案を一括して
採決
いたします。
日程
第二及び第四の両案の
委員長
の
報告
はいずれも
修正
、第三の
委員長
の
報告
は
可決
であります。三案を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
石井光次郎
15
○
議長
(
石井光次郎
君)
起立
多数。よって、三案とも
委員長報告
のとおり決しました。
————◇—————
日程
第五
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
石井光次郎
16
○
議長
(
石井光次郎
君)
日程
第五、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
石井光次郎
17
○
議長
(
石井光次郎
君)
委員長
の
報告
を求めます。
農林水産委員会理事三ツ林弥太郎
君。
—————————————
〔
報告書
は
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
〔
三ツ林弥太郎
君
登壇
〕
三ツ林弥太郎
18
○
三ツ林弥太郎
君 ただいま
議題
となりました
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
農林水産委員会
における
審査
の
経過
並びに結果を御
報告
申し上げます。
肥料価格安定等臨時措置法
は、旧
肥料
二法の廃止に伴い、
昭和
三十九年に制定されて以来、
肥料価格
の安定、
肥料
の
輸出調整等
につき、おおむね所期の効果をあげてまいりましたが、
昭和
四十四年七月末日までに廃止することとされております。しかしながら、最近における
わが国農業
の実情及び
肥料輸出市場
の環境につきましては、なお当分の間、この
法律
の存続を必要とする
状況
にありますので、
本案
は、この
法律
を廃止する期限をさらに五カ年間延長することとし、引き続き
肥料
の
国内需要
の確保、
価格
の安定、
輸出
の
一元化等
、
所要
の
措置
を講じようとするものであります。
農林水産委員会
におきましては、六月二十五日
提案理由
の
説明
を聴取し、七月二日
質疑
を行ない、同日
採決
の結果、
賛成
多数をもって
可決
すべきものと決した次第であります。 以上、
報告
を終わります。(
拍手
)
—————————————
石井光次郎
19
○
議長
(
石井光次郎
君)
採決
いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は
可決
であります。
本案
を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
石井光次郎
20
○
議長
(
石井光次郎
君)
起立
多数。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり
可決
いたしました。
————◇—————
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
石井光次郎
21
○
議長
(
石井光次郎
君)
内閣提出
、
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
厚生大臣斎藤昇
君。 〔
国務大臣斎藤昇
君
登壇
〕
斎藤昇
22
○
国務大臣
(
斎藤昇
君)
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
日雇労働者健康保険
につきましては、
昭和
三十六年以来
法改正
が行なわれないまま今日に及んでおりますので、
給付内容
をはじめ
制度面
についての
改善
が緊要な問題となっておりますが、一方、その
財政
は、今日、非常な悪化を来たしており、本
年度
末には八百九十四億円の
累積赤字
が生ずる
見込み
でありまして、このまま放置すれば
財政
的に
破綻
し、
制度
の崩壊は必至という情勢であります。 このため、
政府
といたしましては、今回、
現行制度
のたてまえのもとに、
給付内容
の
改善
及び
保険料額
の改定を行なうこととし、過般、
社会保険審議会
及び
社会保障制度審議会
に諮問いたしました。両
審議会
からは、いずれも去る五月二十三日に
答申
をいただきましたので、その御
意見
に沿って
改正法案
を策定し、ここに提案いたすこととした次第であります。 次に、
改正案
の
内容
について申し上げます。 まず、
給付内容
の
改善
につきましては、 第一に、療養の
給付期間現行
二年を二年半に延長し、また、その後においても、
所定
の
保険料
が納付されていれば、引き続き
給付
が受けられるようにいたしております。 第二に、
傷病手当金
の
支給期間
は、
現行
二十二日でありますが、これを三十日に延長し、また、
支給日額
も現在二百四十円、三百三十円の二
段階
でありますが、これを四百円、八百円、千三百円の三
段階
として
引き上げ
をはかることといたしております。 第三に、
出産手当金
につきましても
傷病手当金
と同様に、その
支給期間
、
支給日額
の
改正
を行なうことといたしております。 第四は、
埋葬料
につきまして、被
保険者本人
に対する
支給額
を
現行
四千円から一万円に
引き上げ
ることといたしております。 第五は、
分べん費
につきまして、さきに提案いたしました
健康保険法等
の
分べん給付
の
改善
に準じた
改正
を行なうこととし、被
保険者本人分べん費
を二万円に、
配偶者分べん費
を一万円に
引き上げ
ることといたしております。 次に、
保険料額
につきましては、
昭和
三十六年以来八年にわたり、
賃金日額
四百八十円以上の者は二十六円、四百八十円
未満
の者は二十円に据え置かれてまいりましたが、その後の
賃金
の上昇を考慮し、
賃金実態
に即して
合理化
をはかることとし、
賃金日額
千円
未満
の者は三十円、千円以上千七百円
未満
の者は六十円、千七百円以上の者は九十円に、
保険料日額
を
引き上げ
ることといたしております。 なお、
賃金日額
四百八十円
未満
の被
保険者
につきましては、
現行どおり
二十円に据え置くことといたしております。 最後に、この
法律
の実施の時期につきましては、
昭和
四十四年九月一日からといたしております。 以上をもって
趣旨
の
説明
を終わりますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。(
拍手
)
————◇—————
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
石井光次郎
23
○
議長
(
石井光次郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。これを許します。
西風勲
君。 〔
西風勲
君
登壇
〕
西風勲
24
○
西風勲
君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま
趣旨説明
のありました
日雇労働者健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
について、
佐藤総理
並びに
関係大臣
に対して、
日雇い健保
の
改悪
に反対し、その撤回を求める
立場
から
質問
をいたしたいと思います。(
拍手
) 周知のように、
日雇い健保
に加入している約百万有余の
人々
は、土建、山林、農村、港湾、失対
事業
などに働いている
人々
や
自民党農政
の犠牲となって年々増加している出かせぎ
労働者
などがその
圧倒的部分
を占めております。そして、これらの働く
仲間たち
は、きわめて不安定の劣悪な
就労条件
の中で、慢性的に
災害
や
事故
の危険にさらされ、あるいは職業病などの
疾病
にさいなまれつつある
人々
が多数であります。したがって、
日雇い健康保険
は、貧困と
疾病
の悪循環の中におちいりやすいこうした底辺の
労働者
に対する救済、
疾病予防
、さらには
健康管理
を行なうことを本来の
任務
としているものであります。
日雇い健康保険
のこのような
性格
は、
昭和
二十八年本
制度創設
に先立ち、
失業対策審議会
が次のような
意見
を述べたことに示されていると思います。すなわち、「
日雇労働者
は、
国民健康保険
の被
保険者
となり得ても
健康保険
の被
保険者
となることはできず
現行保険制度
の利益を享受しがたい
立場
にある。しかもその
生活基盤
は最も脆弱な階層に属しており
本人
及び被
扶養者
の
傷病事故
は、直ちに
生活
の
破綻
を招くこととなり、その
就労状態
とともに、常に
生活
不安を覚える大きな原因となっており、このことがひいては社会不安の一因となっている。」こういうように書かれておるのであります。「したがって
日雇健康保険制度
は、
日雇労働者
及びその被
扶養者
を保護することを目的として早急に確立する必要がある。」というのであります。これは
昭和
二十六年十月十七日に出された
意見書
の
内容
の一部であります。
日雇い健康保険
というものがこのような
性格
のものである以上、
保険財政
を
保険料収入
でささえ、
赤字
になれば
保険料
をふやすのは当然といった
考え方
、すなわち、
保険主義
はこの
制度
とはとうていなじめない、似ても似つかない対立した
考え方
であり、
日雇労働者
に対する非情にして冷酷な仕打ちといわなければならないのであります。(
拍手
)こういう点で、
労働者
を保護することをおもな
任務
としている
労働大臣
は、いかなるお
考え
をお持ちですか。あなたは日ごろから、おれは
労働者
の番人であると大言壮語しておられますが、こんなときこそ、
総理
と
厚生大臣
に対して、
日雇い健保
の
改悪
を中止しなさいと勧告するのが、これらの
労働者
を守るための当然の
措置
だと思います。ましてや、
抜本改正
を間近に控えているのですから、せめて、それまで現状のままでやるべきだくらいのことを言うのが
労働大臣
として当然だと思いますが、あなたはどういうお
考え
をお持ちでありますか。さらに、
労働大臣
は、この
制度
の持っている積極的な意義についてどのように評価しているか、この際お伺いしておきたいと思います。(
拍手
) 次に、
大蔵大臣
にお伺いいたします。
国家
の重要な
機能
の
一つ
は、あるところから、取れるところから税金を取って、ないところ、困っているところに重点的に
財政
を支出することにあると思うのです。こうした観点に立つならば、数少ない
社会保障
の
一つ
である
日雇い健康保険
を
保険主義
の
立場
で
改悪
することは、こうした国の
機能
を失うことを意味するわけでありますから、やるべきではありません。その上、
日雇い健康保険
の
累積
並びに単
年度赤字
は、
国家財政
全体から見れば、あなた方が言うほど処理できない額ではありません。
日雇い健保
の
財政
は
赤字
になっても、すべての
日雇い労働者
が健康なからだで国の施策に感謝しながら仕事をするという、
日雇い労働者
の健康という黒字が出ればよいのではないでしょうか。こういう点から、
福田大蔵大臣
はどのようなお
考え
をお持ちになっておりますか。あなたは、近い将来
総理大臣
を目ざしているといわれておるのですから、
大蔵官僚
の言うような
財政赤字
などという
ミクロ的見地
ではなく、国の
政治
に対して
国民
の信頼を取り戻すため、
社会保障
を 一そう充実発展させるというマクロ的な
見地
に立った
答弁
を要求するものであります。 次に、
日雇い健保
の
主管大臣
である
斎藤厚生大臣
にお伺いいたします。
日雇い健康保険
は、
昭和
三十六年に一部
改正
が行なわれてから、
昭和
四十二年
健保特例法成立
の際にも手が加えられないまま今日に至ったのであります。この間、
政府
は、何回か
保険財政
の
破綻
を
理由
に
保険料
の
引き上げ
をはかろうとしましたが、そのつど、わが党をはじめとする総評、全
建総連
、全日自労など、
日雇い健保
に
理解
を持つ
国民
の圧倒的な反対で廃案のうき目を見たのであります。
昭和
四十年に
保険料
の
引き上げ
や一部
負担制
の新設が
考え
られたとき、
社会保険審議会
は次のように
答申
しています。「
日雇労働者健康保険制度
については、
根本的検討
を行なうこととし、この際は
制度
の
改正
を行なうことなく、
赤字
は
国庫負担
並びに借入金によって
措置
することが適当である。」こういうものであります。
昭和
四十二年、
特例法審議
の際にも、本
制度
に対しては手を加えなかったのであります。これはこの
答申
の
趣旨
に沿ったものであります。
政府
が
特例法
の
有効期間
二年間の間に
抜本対策
を立案するから、
日雇い健保
の問題は、それにあわせて根本的に
検討
を加えることにしたものであると私どもは
理解
をしております。
斎藤厚生大臣
はそのような
理解
に立っておられるかどうか、お伺いしたいと思います。 ここで、
内閣総理大臣
並びに
厚生大臣
に重ねてお伺いいたします。 いままで私が述べましたような
日雇い健保
の
性格
と経緯からすれば、
日雇い健康保険
の正しい
対策
をあわせた
抜本対策
を樹立できなかった
政府
が、そのしりぬぐいを最も下積みの
状況
に置かれている
日雇い労働者
の
保険料値上げ
による
赤字対策
に置こうとすることは、無
責任
この上ない
行為
であって、断じて許すことができないと思うのであります。(
拍手
)
抜本改正案
をまとめる
政治的責任
を負いながら、何ら
積極的努力
を行なわず、手をこまねいて今日のような事態を招き、本院で
誠意
のこもらない一片の謝罪のことばだけでその
責任
を免れたと
考え
ているならば、それこそ、はなはだしい思い上がりであるといわなければならないのであります。(
拍手
)きのう
厚生大臣
は、
社会労働委員会
で、わが党の
山田委員
の
質問
に答えて、
抜本改正案
は今月末に
審議会
に諮問するよう努力する旨発言されました。しかし、これは当面
健保
に関する
国会審議
をスムーズにするための方便、歯に衣を着せずに言うならば、全くのごまかしにすぎないと思うのであります。しかも、今月末では、
抜本改正
と深いかかわり合いを持ち、
抜本改正
の問題が明らかにならなければ
審議
できない
健保特例法
や
日雇い健保
の本院における
審議
には間に合わないのであります。
厚生大臣
は、
社会労働委員会
並びに本院における
審議
を保障するために、本院での両
法案
の
審議
に間に合うよう
抜本改正案
を
国会
に提出すべきだと思いますけれども、
責任
のある
答弁
をお伺いしたいと思います。 この問題は非常に重要な問題でありますから、
佐藤総理大臣
からも御
意見
を伺いたいと思います。
抜本改正案
を
日雇い健康保険
及び
健保特例法
の本
院審議
に間に合うように提出するのは、
厚生大臣
のみの
責任
ではなく、
最高責任者
である
佐藤総理大臣
、あなたの
責任
であります。あなたは、
内閣
と与党の
最高責任者
として、本院の二つの
関連法案
の
審議
に間に合うように
抜本改正案
を提出することを約束できますか。冗長な長い
答弁
は要りません。出すのか出さないのか、
責任
を果たすのか果たさないのか、明らかにしていただきたいと思います。そして、もし
日雇い健康保険
を
審議
する上で、その前提ともいうべき
抜本改正
の問題について
政治的責任
を果たすことができなかった場合には、
日雇い健保
の
改悪
を即刻やめるべきであります。
抜本改正案
を提出できない
政治的責任
については、百万言の美辞麗句を連ねるよりも、
日雇い労働者
にこれ以上重い
負担
をかけないという思いやりのある事実
行為
、すなわち、
日雇い健保
の
改悪
をやめるということのほうが、はるかに
誠意
のある態度であることをあなたは知らなければならないと思います。(
拍手
)重ねて
総理
に申し上げますが、
抜本改正案
をまとめて
国会
に提出することができなかったときは、
大衆負担
を重くする一切の
行為
を取りやめ、
日雇い健保
の
改悪
を撤回することこそ、あなたに残されたただ
一つ
の道であると
考え
ますけれども、この点に関する
佐藤総理大臣
の
責任
のある
答弁
を要求するものであります。 次に、
斎藤厚生大臣
に
法案
の
内容
についてお尋ねしますが、あなたは、
保険料
の
引き上げ
については、おそらく、
保険料
を
引き上げ
たが、それに見合うだけの十分な
給付
改善
をしているではないか、こう言われるだろうと思うのであります。しかし、
本案
件をしさいに
検討
してみますならば、そのごまかしとからくりに、すぐ気づくのであります。 その第一は、
保険料
の
引き上げ
によって九十一億円も増収があるのに、
給付
改善
に使われる費用はたった二十三億円、増収分のわずかに四分の一にしかすぎないという事実であります。 第二は、
日雇い労働者
の労働と
生活
の実態から見て、療養の
給付
及び
傷病手当金
の二つが大幅な
改善
を最も必要としている点でありますけれども、この二つの点について、今次
改正案
と
現行
政管
健保
と比べてみました場合、著しい格差が存在しているのであります。このことは、
厚生大臣
のみならず関係閣僚の皆さん、広く御承知のとおりであります。
厚生大臣
、あなたは
主管大臣
として、この両
制度
間に存在している不当な
給付
水準の格差をどういうふうにするつもりか、明確にしていただきたいと思います。療養の
給付
と
傷病手当金
についても、はっきりした方針を示していただきたいと思います。そして、低廉でしかも適切な医療を最も必要とする
日雇い労働者
に対して、最も劣悪な
給付
が行なわれているというわが国の医療保障の貧困を、あなたはどのように根本的に改革されようとしているのか、この点についても明確にしていただきたいと思います。 第三の問題点は、擬制
適用
に関する点であります。いわゆる擬制
適用
が行なわれている建設技能
労働者
の
保険料
を第一級にランクしたことであります。これに従えば、たとえば日給二千円で月に二十日間働いた場合、その月の
保険料
は実に千八百円となり、これまでの五百二十円に比べて三・五倍の
引き上げ
になります。もしこの人が政管
健保
に加入することができるならば、
保険料
は月に千三百円、
現行
特例法
のもとでさえ千四百円で済むのであり、しかも
日雇い健保
と比較して、はるかに高い
給付
を受けることができるのであります。
厚生大臣
並びに
労働大臣
、これは幾ら何でもひどい
改悪
といわなければならないではありませんか。最も劣悪な
給付
水準に置きながら、ひときわ高い
保険料
をこの人たちに限って支払えというのは、一体どういう
理由
に基づくものか、納得のいく
説明
をお願いしたいと思うわけであります。 日雇い労働というものは、元来雇用関係が不明確なものであって、それゆえに擬制
適用
ということが必要なのであり、この
制度
あるがゆえに、
日雇い健保
は生きたものとなっているのであります。
厚生大臣
、擬制
適用
の対象を、建設技能
労働者
に限定しているのはどういう
理由
によるのですか。さらに、今後この
制度
の充実をはかるとともに、
適用
範囲
を拡大するのが当然だと思うのですが、その具体的な計画をお示しいただきたいと思います。 また、
労働者
を守る役所の
最高責任者
である
労働大臣
は、
適用
範囲
の拡大には当然
賛成
であると思うのですけれども、念のために、どのようなお
考え
をお持ちになっているか、お聞かせ願いたいと思います。 次に、
総理大臣
並びに
関係大臣
に、本件の取り扱いについてお伺いいたします。 佐藤
内閣
と自民党は、暴力的、非合法的な手段をもって、
国会
を七十二日間も延長したのであります。それにもかかわらず、延長
国会
は残すところあと一カ月となったわけであります。正常な目で見るならば、残された会期中に
本案
件を衆参両院で十分
審議
することは事実上不可能であります。本院
社会労働委員会
は、きのう二日から
健保特例法
延長
法案
の
質疑
に入ったばかりであります。たびたび指摘しましたように、この
法案
は、
佐藤総理
の公約じゅうりんという許しがたい
行為
の上に、それでなくてもおくれているわが国の医療保障を大きく後退させるものでありますから、本
法案
の
審議
には、特別慎重な
審議
が必要であります。このことは、与党はもちろん、良識のある人ならだれでも認めざるを得ない原則であります。だからこそ、
社会労働委員会
の慎重な
審議
とともに、大蔵
委員会
との連合
審査
、あるいは
参考人
からの
意見
聴取を行なうなど、十分な
審議
の徹底を期することが、与野党の間で一致しているのであります。このようなわけですから、さきの
国会
正常化に関する申し合わせとともに、与野党一致の確認などが多数の暴力によって踏みにじられるようなことがない限り、本院
社会労働委員会
の
特例法
に関する
審議
は、いかに急いでも今月末までかかることは自明の理であります。このように見てまいりますと、
本案
件の
審議
は、事実上行なえるわけがないのであります。 与党議員の中には、
特例法
を強行成立させる代償として、
本案
件を廃案ないしは継続
審議
にするなどということを公然と言う者があるように伝えられておりますけれども、これが事実とすれば、ゆゆしき問題であります。だれが見ても時間的に通る
見込み
のない
法案
を無理押しして、あるいは万一の場合にも他の
法案
を通す取引材料に使うというがごときことは、神聖であるべき本院で行なってはならないことであります。こういうことを繰り返すことこそ、
国会
の権威を傷つけ、
国民
の信頼を裏切るものと断ぜざるを得ないのであります。与党の総裁であり、
国会
運営に重大な
責任
を持たれている
佐藤総理大臣
のお
考え
と、
本案
件の見通しについて、明確な態度を示していただきたいと思います。 いま
一つ
、自民党総裁としての
佐藤総理大臣
に伺いたい。 去る六月十九日、本院
社会労働委員会
において、与党は、わが党の八木一男議員の
質問
を突如打ち切って
委員会
を大混乱におとしいれたことは、まだ記憶になまなましいところであります。第六十一通常
国会
において、これと同様な与党の暴挙が重ねられること、これで実に八回を数えるのであります。
総理大臣
、これほど異常な
国会
がかつてあったでしょうか。このように異常な事態が今日かえって常態となっているところに、
国会
と
国民
との間における断絶があるのではないかと思うのであります。今日、
国民
の間に広がっている
政治
不信について、
総理
、あなたはどこに原因があるとお
考え
になりますか。深刻化する公害や交通
事故
、いまなおやまない受験地獄や大学教育の空洞化、それに物価上昇や住宅難など、
国民
生活
の上に重くのしかかっている諸矛盾を、佐藤
内閣
は何
一つ
解決できないのみか、
総理
の率いる自民党が、国鉄運賃値上げや
健保特例法
など、
国民
の
負担
をさらに倍増させる
法案
を、あたかも一党独裁であるかのように、暴力的に強行して恥じないのが慣習化してしまったことが最大の原因ではないでしょうか。(
拍手
)
総理
、
国会
運営の
最高責任者
の一人として、いまからでもおそくはありません、
国民
の前に約束していただきたいのであります。残る延長
国会
の会期一カ月の間に、あらゆる案件について、さきの
内閣
委員会
における防衛二法のように、徹底的に
審議
を尽くすことを約束していただきたいのであります。
審議
打ち切り、強行
採決
というような、議会主義のむなしい自殺
行為
はもうやらないと、はっきり明言してもらいたいのであります。
石井光次郎
25
○
議長
(
石井光次郎
君) 西風君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
西風勲
26
○
西風勲
君(続) 約束できますか、それとも強行
採決
をしますか。イエスかノーで、はっきり答えていただきたいのであります。 最後に、
総理
にお伺いいたします。 自民党の田中幹事長は、
健保特例法
延長などの重要
法案
が流れたときには、直ちに臨時
国会
を開いて、流れた
法案
を通すという旨を発言していますが、これは
総理
の御意思かどうか、明らかにしていただきたいと思います。不法にも、常識では
考え
られなかった七十二日間も
国会
の会期を延長しておいて、みずからの指導力が足りないために
法案
が流れたからといって、すぐ臨時
国会
を開くなどという、どうかつ的発言をすることは、
国会
と
国民
を愚弄する恥ずべき
行為
であります。この際、
最高責任者
である
総理
の、高い次元に立った御
答弁
をお願いするものであります。 以上、私の
質問
について、
誠意
のある具体的な
答弁
を要求して、私の
質問
を終わる次第であります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣
佐藤榮作君
登壇
〕
佐藤榮作
27
○
内閣総理大臣
(佐藤榮作君) 西風君にお答えいたします。 まず、医療問題の抜本策について、そのおくれておる
理由
、今後の見通しなどにつきましてお尋ねがありましたが、これらの問題につきましては、すでに去る五月八日の本
会議
における
健保特例法
の
趣旨説明
の際にお答えをいたしたところでありますので、詳しくは申し上げませんが、
国民
医療を確保するためには、医療
保険
制度
ばかりでなく、医療
制度
の関連諸
制度
につきましても総合的に
検討
する必要があり、それだけに、問題の所在は根深く、かつ複雑な問題をはらんでおりますので、
特例法
を延長して、いましばらくの猶予をいただき、この間、各方面の御
意見
を十分伺いながら、鋭意作業を進めている
段階
にあります。でき得る限り早急に、
国民
各位の納得のいく、りっぱな成案を得るようにいたしたい、かように
考え
ております。このことが、私の
責任
を果たすゆえんでもある、かように私は確信しております。 次に、西風君は、医療の
抜本対策
がきまってから、あらためて
日雇い健保
を見直せとの御
意見
のようでありますが、私はそのようには
考え
ません。
日雇い健保
につきましても、一般
健保
と同様、基本的に多くの問題をかかえており、その抜本的
対策
の
検討
に着手しているのではありますが、
日雇い健保
の制定が、
昭和
三十六年以来
改正
を行なっていないままに今日に及んでいるため、
給付内容
の
改善
につきまして関係者から強い要望があり、また、
財政
状態につきましても非常に悪化を来たし、このまま放置すれば
財政
的に
破綻
し、
制度
の崩壊すら招きかねない情勢になっておりますので、
賃金実態
に即した
保険料額
の改定を行なうこととしたものであります。今回の
改正
は、当面この
制度
を維持し、将来の
抜本改正
に円滑に移行していくために、ぜひ必要な
措置
である、かように
考え
ております。西風君から撤回の勧告がありましたが、
政府
はただいま提案をしたばかりで、これを撤回する
考え
はありません。どうか、よろしく御
審議
のほど、お願いをいたします。 次に、
国会
の
審議
につきまして、御
意見
を交えてのお話でありました。私は、
国会
が、各党とも話し合いの結果、
審議
を慎重に、しかも十分尽くすようにいたしたい。このことは、すでに各党間の話し合いでもきまっております。私は、
国会
が
国民
に対しての
責任
を果たす意味におきましても、そのことは必要だと思います。いたずらに
審議
を拒むとか、あるいは
審議
を遅延するとか、そういうことばかりが能ではありません。(
拍手
)こういう点につきましては、各党が話し合ったとおり、
国会
は
国民
のために
審議
するところだ、
国民
のために
審議
するところだ、この点を十分御
理解
いただきまして、今後とも
国会
の正常化について、私も努力をいたしますが、野党の各位も御協力をお願いしたいと思います。御批判は御自由だと思いますが、この点では
国会
の本来の姿でありたい、かように思います。 次に、幹事長から臨時
国会
を開くという話をしたということでありますが、
政府
は、さような
考え方
をただいましておりません。ただいまの
国会
中、この
国会
をできるだけ能率をあげて、そうして
国民
の期待に沿うように努力する覚悟でございます。次の
段階
の話は、ただいま
考え
ておりません。(
拍手
) 〔
国務大臣斎藤昇
君
登壇
〕
斎藤昇
28
○
国務大臣
(
斎藤昇
君)
日雇い健保
の
改正案
を、
抜本対策
を待たずになぜやったかということにつきましては、先ほど
総理
が御
答弁
申し上げましたとおりでございますから、私は繰り返しません。 さらに、医療
保険
制度
の
抜本対策
の要綱を、この
日雇い健保
並びに
健保特例法
の
審議
中に関係
審議会
に諮問すべきであるという御
意見
に対しましては、先般の衆議院の
社会労働委員会
におきまして、
山田委員
から御
質問
があり、私は、できるだけこの
国会
中に関係
審議会
に、少なくとも大綱だけでも諮問できるように取りまとめたいと御
答弁
申し上げましたところ、
健保特例法
案の
審議
中に、ぜひ関係
審議会
に諮問をするように努力をせよという重ねての御要請がございましたので、私は、そのことは非常に困難だと思いますけれども、しかし、できるだけ努力は申し上げますと、かようにお答えを申し上げたわけでございますので、それによって御了承をいただきたいと存じます。 それから、
日雇い健保
の
保険料率
の
引き上げ
は高きに失するという御
意見
でございますが、これは今日の
賃金
の実態に合わせて料率の
引き上げ
をいたしたわけでございまして、三十六年当時定められました料率から
考え
ますると、今日の
賃金実態
に合わせてこの
保険料
を改定するのは当然ではなかろうか、かように
考え
ます。
保険料収入
の増額が、今度の
給付
の増額よりも上回っておるとおっしゃることは事実でございます。それは、すでに今日の
保険
給付
は
保険料率
の収入を非常に上回っておりまして、御承知のように、三十六年に改定をせられました当時の
保険料収入
と
保険
給付
の割合は、
保険
給付
に対しまして
保険料収入
は当時約五五%でございましたが、
昭和
四十二年では二一%ということになってしまっているわけであります。本年においては、おそらく二〇%を下回っているだろう、かように
考え
ます。したがいまして、
保険料収入
の増加は、これは
保険
経済の健全化ということもさることながら、実態に合わせた
保険料収入
に改定をいたしたい、かような
考え方
でございますので、御了承をいただきたいと存じます。 さらに、擬制
適用
の問題でございますが、擬制
適用
の方々は、いわゆる
事業主
がないのを、あるがごとく擬制をするというところに擬制
適用
があるわけでありますから、
保険料
は、普通の日雇い
保険
の方々よりも倍になるというのが当然でございますが、そういった土建
労働者
の方々の労働
対策
という意味も込めまして、
法律
にないのに擬制をして
適用
をいたしておるわけでございます。したがって、
抜本改正
の際には、この種の方々の
健康保険
をどうするかということをさらに
考え
なければならないと存じまするが、それはそのときに譲りまして、ただいまの
段階
では、今日の基本方針に従ってやってまいりたい、かように思う次第でございますので、御了承をいただきたいと存じます。(
拍手
) 〔
国務大臣
福田赳夫君
登壇
〕
福田赳夫
29
○
国務大臣
(福田赳夫君)
社会保障
制度
を拡充充実して弱い者の
立場
を助けよ、これはもう
政府
の根本方針であります。さればこそ、
日雇い健保
につきましても、
政府
管掌
健康保険
とともに、特例的に定率の補助をいたしております。特に
日雇い健保
につきましては三五%というような高率補助をいたしておるのであります。また、さらにその上、定額補助を今度は十億円にふやそう、こういうことをよく御承知願いたいのであります。
赤字
が小さいからというようなお話でございますが、
赤字
は決して小さくないのでありまして——この
制度
は小そうございますが、しかし
赤字
は、四十三
年度
末におきまして六百五十億円に達するわけであります。しかも、このままに放置しておきますと、四十四
年度
におきましても二百億円の
赤字
をまた追加しよう、こういうようなことに相なるわけでありまして、
給付
改善
を行なわなければならぬという事情にあるこの
保険
制度
が、料率の改定もそのままだということになりますると、これはもう
給付
の
改善
どころか、
制度
の崩壊ということにもなりかねない状態でありますので、今回、中間的な
措置
をいたした、かような状態でございます。何とぞ御協力を願います。(
拍手
) 〔
国務大臣
原健三郎君
登壇
〕
原健三郎
30
○
国務大臣
(原健三郎君) 西風さんにお答え申し上げます。 第一は、
保険料額
を高く
引き上げ
て、それは
日雇い労働者
を苦しめ、
日雇い労働者
をして耐えがたいものとする、であるから
改悪
であると思うがどうかということでありますが、
日雇い労働者
の
賃金
は、
労働者
の毎月勤労統計調査によりますと、
昭和
四十二年には一日当たり千百五十二円で、
昭和
三十年に比べると約三倍と著しい
改善
をされておるところであります。これによって、
昭和
三十三年には常用
労働者
の全産業の平均
賃金
の五六・六%であったものが、
昭和
四十三年には六三・四%と、常用
労働者
に対する格差も著しく縮小いたしておるところであります。 次に、このたびの
日雇労働者健康保険法
の
改正
は、
保険
給付
の
改善
によって被
保険者
である
日雇い労働者
の
生活
の安定に寄与することを目的としておるものでございます。
保険料額
の改定は、これに伴う必要最小限のものであって、まあやむを得ないものであろうと存ずる次第であります。また、
給付内容
の
改善
については、私といたしましても、
日雇い労働者
の福祉向上を願っておる観点から、十分関心を持っております。それで、過去においても
厚生大臣
とよく話し合いをしてまいりましたが、今後とも意のあるところをよく伝えていきたいと思っております。 さらに、
日雇い健保
の
適用
を五人
未満
にも行なうべきではないか、
範囲
を拡大することは
賛成
じゃないかとおっしゃいましたが、五人
未満
の
事業
所の
人々
に対しては、すでに
国民健康保険
等によりカバーされておるところがあります。将来の方向としては、
労働者
の福祉の向上から見て実効のあがる観点から
関係大臣
とも十分協議をしていきたい、こう思っております。(
拍手
)
石井光次郎
31
○
議長
(
石井光次郎
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
石井光次郎
32
○
議長
(
石井光次郎
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後三時一分散会