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米田委員 次に、私は、
大臣にまず御
質問をするわけであります。この
法案の、いわゆる出入国に
関係する外国人の取り扱いに対しまして、しばしば私どもはその主管の
法務大臣に、たとえば帰国事業の問題であるとか、あるいは在日
朝鮮人の一時帰国、再入国、要するに里帰りの問題であるとか、いろいろそうした問題につきまして、
法務大臣に従来からも善処を要請したり、またこの法務
委員会等で取り上げて
大臣の善処を要求したりしてまいっておるわけであります。そこでは、
大臣から相当前向きの御
答弁をいただくのでございますけれども、なかなかそれが実行されない、あるいは
大臣の誠意というものがどうも一向に行政の上に出て来ない。ある場合においては、
大臣の食言ではないかと思うような、全く違った現象すら出てくる場合がある。そういう点で、私はたいへん西郷
法務大臣に対しまして尊敬はいたしておりますけれども、必ずしもあなたのおっしゃるとおりの法務行政が行なわれておらないように実は思うわけであります。そこで、若干の問題をあげまして
大臣の見解をお聞きしたいのでございます。
まず、ことしの一月の十八日だったと思いますが、わが党、社会党の
朝鮮問題特別
委員会で、院内の社会党の
委員長次室で実は
大臣に帰国の問題について陳情したことがございます。そのときに、わが党の亀田議員が出入国管理法に触れまして、当時出入国管理法がどうも今国会に出されてくるのではないかという懸念がございました、したがって、わが党の亀田得治議員がこの問題に触れまして、
大臣の御見解をただしたことがございました、出すのか、出さぬのか。そのときに
大臣は、明確に出入国管理法は出しません。大体運用でこれは解決していきたいと思っておりますから、出入国管理法の提案はいたしません。
大臣は、そういうふうに明確にわが党の亀田得治議員に答えておられるわけであります。
朝鮮問題特別
委員会のメンバーがおりましたので、私どももそれをお聞きしておるわけであります。一国の主管
大臣が、公であるといなとを問わず、はっきりと言われたことでありますから、私どもはそう思っておったわけであります。ところが、日がたつに従って、御承知のような
法案提出というようなことになってきておる。
大臣がここで明確に言われたそのことは、
一体どうなっているのか、これが私は、どうしても
大臣の政治家のお
考えとして、この点はぜひ現在の
大臣の心境を聞きたい点であります。
それからもう一つございます。四月の十一日だと思いますが、やはりこの衆議院の法務
委員会で、私が
朝鮮の帰国の問題について
質問をいたしました。当時、
日本赤十字社が、
朝鮮に対しまして、国際赤十字社を通すことによって帰国事業を進めたいという提案をいたしました。それが
朝鮮赤十字会から拒否をされたその直後の
委員会でございます。そのときの議事録を私持ってきておりますけれども、私が
大臣の見解をただした点の要約は、この問題については、政治家西郷さんとしてひとつ取り組んでくれないか。出入国管理法の問題で、たとえば未
承認国の
朝鮮の赤十字会の代表を入れるというようなことについては、
理由があるとかないとか、現状の出入国管理令の運用上非常に問題があるとか、これはもう長いこと
政府部内でいろいろ検討されておる問題でありますから、そういう
法律論の問題ではない。この問題はもともと人道の問題であり、赤十字精神によってすでにこれは約十年間も続けられ、しかもこのことによって多くの、九万名に近い在日
朝鮮人の皆さんが祖国に帰っておるわけであります。この実績の上に立って、この
朝鮮赤十字の代表の入国の問題を解決するには、
法律を越えて、
法務大臣としての政治家西郷さんからひとつ適切な措置をしてもらう以外にないじゃないか、そのことについて
大臣の御見解はどうかという
質問でございます。これは議事録がここにあります。そのときの
大臣の御
答弁は、勇断をもって処理します、勇断をもって善処していきたい、こういうことを明確に議事録に残されておるわけであります。私はこのときの
大臣の勇断をもって処理するというそのことは、まさに字のとおり、勇気をもって断行するということを、私の前段の
質問に対して政治家西郷
法務大臣としては、いろいろ部内に問題もあるけれども、ひとつ人道の問題、赤十字精神の問題として勇気をもって事に当たって処理をいたしましょう、明確にそういうふうにお答えいただいたものと私確信しているわけであります。そうでなければ、
日本語の勇断ということばの解釈はできません。しかし、それからもう半年近くもたちますけれども、依然として西郷
法務大臣の勇断がどういうふうに
一体示されておるのか、政治的にこれがいま進められておるのか、全然これはわかりませんし、また、事態の進展もないように実は思うわけであります。それで、これはあとでまた十分私は聞きたいと思いますけれども、こういうふうに
大臣の御
答弁は、きわめてそのときにおいては誠意ある決断を持った御
答弁をいただいたと思って喜んでおると、一向に進まないということについて私は不信を申し上げておるわけであります。これは
一体どうなのか。
それからもう一つ、私は例をあげたいと思う。十二月から一月にかけまして、あなたは、在日
朝鮮の方々の里帰りを八名
許可されました。非常に私どもは、けっこうなことであり、
法務大臣のこの措置に対しまして敬意を表しておるわけであります。しかし、残念なことに、そのうち六名は実現いたしましたけれども、あとの二名は残されております。しかも、
法務大臣がわが党の亀田議員におっしゃったことからいきますと、まず四日か一週間、その次はまあ一カ月か二カ月、その次はお正月の墓参りはだめだからお盆の墓参り、だんだんそういうふうにずれてきておる。
一体、これはどういうふうに処理されようとしているのか。一たび
大臣が決裁をされて
許可をされたとするならば、私は、やはり
大臣の権威のためにも、これは実現されなければいかぬじゃないか。おそらく、残された二人に対しましては、
理由があるでありましょう。私はその
理由もお聞きいたしておりますけれども、しかし、今日までこれをなお遷延してよろしいということには、私はならぬと思うのであります。それで、里帰りの残った二人の措置につきましては、どうこれを進められようとするのか。
私は、一連のこの三つの問題を申し上げましたが、要は、
韓国に対する
日本政府の配慮がこうさせているんじゃないか。
日本の主権は侵されておらないか。
大臣権限が何かそういう外部の圧力によって侵されておるというようなことがあるのか、ないのか。もしそうだとすれば、どんなりっぱな出入国管理法ができましても、
猪俣委員が
質問し、
指摘いたしましたようなことが、そのとおりとなってあらわれてくるし、現実に出入国管理令そのものがそうでなかったか、こういうふうに実は思っておるわけであります。したがいまして、私は、この三つの点について、
大臣の誠意ある所信をまずお聞きしない限り、
法案の中身に入れませんので、ひとつ御
答弁をいただきたいと思います。