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猪俣委員 私がさっき申しました、沖縄につきましてはほとんど日本
国民の合意というものができ上がっておるくらい、沖縄の復帰を日本
国民は熱望しておるわけでありますが、そういう際に突如としてか
ような、前の布令よりもなお人権問題としても許すことのできない
ような布令を出そうとしておる。このアメリカの態度に対し、非常に私どもは危惧の念を持つのであります。この十条のごときに至っては、さたの限りである。とにかく百十六号の布令では、その二十六条で軍用地内だけの組合
活動というものを禁止されておったんです。場所がちゃんけ限定されていたんだ。今度は、もういかなる場所でも、いかなる人に対しても、いかなる
行為に対しても、すべて罰則で処罰する。しかも、千ドル以下の罰金、一年以下の禁錮です。たとえば、これは労働組合のみならず、沖縄の民族主義者がそういう沖縄の本土復帰で大いにデモをやったりなどしても、場合によってはこの十条が発動する。そうして一網打尽にやられる。そうして千ドル以下の罰金をやられる、あるいは一年以下の禁錮を伴科される。まさにこれは恐怖政治ですよ。一九七〇年を前にして、か
ような弾圧法規を用意して、わが
国民の民族運動を阻害する意図を持ったんじゃなかろうか。だから、最初から何の動機だということを、
政府筋に私はお尋ねしておるんです。第九条を見ましても、軍労働者のみならず、一般の労働組合
——ほとんど沖縄全部が基地化しておるでしょう。しからば、沖縄の軍に
関係のない労働者というものは、ほとんどいないくらいだ。それを軍労働者から、民間労働者から、全部ひっくるめて弾圧する。そうして九条では、いつ何どきでも首を切られることが予測されます。そうして有給休暇戦術というものが封鎖されちゃっている。そしていつでも配置転換をさせられる、首を切られる、こういう弾圧的な条項を九条に含んでおる。それが十条に至っては、一般の
国民全部。私はこういう布令の性質を考えると、一体何をアメリカは考えているんだ、沖縄住民及び日本
国民のこれだけ熾烈なる世論というものをまるっきり顧みない、僣越しごくな態度だと思うのです。日本
政府は、もっと強硬なる抗議をすべきだと私は思う。大統領の
行政命令の精神にも、か
ようなことは違反しています。のみならず、世界人権宣言、国際憲章、ILOの八十七号条約、みんな違反しておるじゃないですか。
そこで、私は法務大臣に聞きますが、前に一度、十四、五年前ですか、この沖縄の施政権の問題について、国会で、内閣
委員会、外務
委員会、法務
委員会の連合審査会が開かれた。そのとき重光さんが外務大臣だった。牧野良三さんが法務大臣だった。一体アメリカの施政権といえども、権利の乱用は許されないんじゃないか。一切の権限をアメリカに委任したから、アメリカは沖縄住民を煮て食おうが、焼いて食おうがかってだというわけにはいかない。やっぱり彼らにも権力行使の
範囲があるはずだ。それは国連憲章であり、世界人権宣言であり、また国連憲章の信託統治の根本
原則、そういうものがやっぱり
基準になって、その精神に著しく違反したる施政権を行なったら、これは施政権の乱用だ。これは国際司法裁判所に訴えらるべきものではないか。私は
質問をしたのです。われわれは条約によってアメリカに施政権を委譲しましたけれども、乱用を委譲したわけじゃない。著しく、いま言った
ように、大統領の
行政命令の精神にも違反し、日本国憲法はもちろんのこと、国連憲章に違反し、ILO条約にも違反し、あらゆるこういうものに違反した布令を出すなんということは、一体権利の乱用じゃないかと思うのだ。これは国際裁判所へ訴えるべきものじゃないか、こういう
質問をしましたが、外務大臣は、初め何だかわけのわからないことを言っておりましたが、結局はそうだ。それから法務大臣は、はっきりそうだ。これは沖縄人は、日本国籍を有する住民だから、日本の
政府は保護権を持っておる。そういう意味からいうても、権利の乱用は許されない。これは司法裁判所へ提訴できる問題だと、法務大臣は
答弁いたしました。そこでか
ような労働布令、私はこれは権利の乱用だと思うのです。こんなものをやめる直前に置きみやげみたいにしてぱっと置いていく。ILO八十七号の労働者の団結権、
団体交渉権に関する条約に全く反していますよ、こんなことは。そこで、法務大臣に御
見解を聞きたいのだが、法務大臣のお答えの別に、外務省に聞きますが、いま外務省を通じて交渉している、その交渉の経過は、どうなっていますか。