○畑
委員 時間がきわめて少ないので、次の方が
質問をする間のつなぎとして、一点についてだけ、法務当局並びに
警察のほうにお聞きいたしたい。それは、私がこの前この法務
委員会で、かつて去年の臨時国会でしたかに
質問をした件であります。それの決着が最高裁でついたものですから、そのことについて関連して聞きたいのです。
それは、国学院大学の映画研究会のフィルム押収
事件でございます。この
事件は、当時私もここで申し述べましたけれども、
捜査、押収の
やり方がきわめてきたないというようなことが一点であります。同時にまた、押収の必要性というものが検察当局だけの専権にまかされておるものかどうかという点でございます。国学院大学の映画研究部員であったA君という人は、十九歳の少年でありましたが、その人が、昨年の一〇・二一国際反戦デーの新宿デモ
事件のときに撮影班の連絡員として
行動しておったということで、そのあとのデモでつかまったときに、いろいろ調べた結果、この
学生がその
事件のときに、いま申しましたように映画のフィルムにとった新宿
事件の騒乱の
状況、そういったものの撮影の連絡員をやったということで、そのフィルムで撮影したという事実がわかった。これを
警察の当局では、ぜひ立証上必要だというようなことだったと思いますが、押収した。ところが、この人はちっともフィルムに写っていないというようなことで、準抗告をした結果、映研側が勝ったわけですね。そのあと、今度はさらに別の理由で、騒乱
事件に関係したほかの人々の証拠を理由として、別の差し押え令状をとった。そうして一たん返したやつをすぐまた押収をして、そしてそれがまた、準抗告をした結果、前のは目黒決定だったが、今度は竜岡決定というので、二度目もまた
捜査当局の黒星になった、こういうことであります。その結果最後に、最初の
事件の決定に対して検察側と警視庁の公安一課で連名で特別抗告をした。要するに
捜査の必要性というようなことは、これは全部
捜査当局の専権に属するのだ、こういうのが主たる主張だったと思うのです。その私が
質問した当時は、まだそれが問題になって
事件が最高裁に回ったばかりのときでありましたが、その結果が、ことしの三月の中旬ごろに最高裁の判決が出まして、その結果、上告が棄却になった、こういう
事件についてであります。まあ、この判決は、私がその当時も検察当局に対しまして
質問した点を是認しているような形になったわけでありまして、私は、この判決の結果の行くえを見守っておった。ところが、ちょうどそういうぐあいになったわけでございますけれども、この
事件については、先ほど申し上げましたように、私の
一つの主張は、一たん準抗告で検察側が負けた。にもかかわらず、今度は別の理由でそれを用意しておいて、返すやいなや、目の前に並べて、すぐもう次の押収令状を出してまた押収してしまった。この
やり方がきたないじゃないかというのが、
一つの主張なんです。同時にまた、先ほど言ったとおり、報道の自由というか、表現の自由というか、それと
捜査の必要性というものはどちらが優先をするのかというような問題についてでありましたけれども、今度の判決は、結局、上告棄却ということになった。まあ、この判決文の中では、表現の自由という問題については明らかに触れてはおりませんけれども、間接的には、こうした具体的の場合に両者の利益を比較考量をしてやはりやらなければならぬのだ。同時にまた、その必要性というものについての判断は、検察官の専権に属するものではなくして、裁判所もこれに対して判断をなし得るんだ、こういうことが理由でありまして、上告の理由はないということで退けられた。直接的には表現の自由には触れておりませんけれども、結局、やはり間接的には表現の自由というものを重く見て、それと
捜査の必要性との比較考量の結果は、
捜査の必要性をそれほど重く見る必要はない。片一方のほうが重要なんだ。利益の比べっこの結果はそういうことになるということで、上告棄却になっておるわけです。この点について、
捜査当局、検察当局のほうに承りたい。どういう見解を持っているか。私は、これを強く
指摘したんですが、いずれは私は上告の結果を見守って、ひとつ
捜査当局、検察あるいは
警察当局に対して、この結果どういう考えになっておるかということについて、また、判決についての考え方等をもひとつ聞きたいと思っておったのです。ちょうど時間がたいした時間じゃありませんから、
局長にこの際聞くわけです。