○鹽野政府
委員 仮釈放の審査手続を簡単に御説明いたしますと、まず、少年院でも刑務所の受刑者でも大体手続が同じでございますので、まず受刑者につきまして御説明をいたしたいと思います。
受刑者が刑務所に入りますと、刑務官が受刑者についていろいろ
調査いたしまして、身上
調査書というものを作成いたしまして、その
調査書を本人が釈放後に帰住する地を管轄する保護観察所に送るわけでございます。保護観察所は、それを受け取りますと、帰住地の本人の帰る場所の環境を
調査するという仕事をするわけでございます。これは、実際問題としては、御
承知の保護司にお願いしてやっております。環境が必ずしもよくないという場合には、早期に環境の調整ということも行なわれるわけでございます。そうしてそのような環境の
調査調整の報告書が、保護司から観察所のほうへ戻ってまいります。そういたしますと、それを観察所からもとの収容されておる刑務所に送りますと同時に、これを担当の
委員会にも送るという手続が行なわれるわけでございます。したがいまして、刑務所のほうは、
自分のところでつくりました身上
調査書と、それから保護司から保護観察所を通じて参ります環境
調査調整報告書というものが、手に入るわけでございます。その間にだんだん刑期が進行いたしまして、矯正教育の効果もあがってまいるという段階になりまして、御
承知のように、三分の一の刑期を過ぎてしかるべき時期になるというところで、刑務所のほうから仮釈放の申請というものが地方更生保護
委員会に対してなされる、こういうことになります。そして地方更生保護
委員会の審査が始まる、そういうことでございます。
ただいま御指摘のその段階における
資料は、
最初の刑務所でつくりました身上
調査書、それから環境
調査調整報告書、これは六カ月ごとに何回もやることになっておりますので、二通も三通も集まるということも、しばしばあるわけでございます。それから刑務所から出てまいりました仮釈放の申請書、この三つは必ず手元にあるわけでございます。まずそれを検討いたしまして、さらに必要のある場合には、観察所等に
調査の嘱託、依頼をする、こういうことで、観察官あるいは保護司等が各種の
調査をして
資料を
委員会に送る、こういうことになるわけでございます。
そこで、それらの
資料を書面審理をいたしまして、本件について問題点がどういうところにあるかということを大体把握いたしまして、その段階で面接に出かけるということになるわけでございます。そこで
先ほど申しましたように、それぞれ必要な時間をかけて面接をいたしまして、その結果、従来問題とされていたところが解明されるという点もございましょうし、また面接の結果、新しい問題点が出るというような場合もあるわけでございます。また地方に帰りまして、関係
資料を
調査する。さらに必要な場合には、観察所等に
調査を依頼するというようなこともございます。またさらに、これは
最初の段階で行なわれることもございますが、刑事裁判記録を取り寄せて検討するということも、しばしば行なわれるようでございます。これは御
承知のとおり、重要事件につきましては、本人の成育歴とか、犯罪の動機、犯状、それから本人の裁判時の気持ちというようなものが裁判記録にはよくあらわれておりますので、仮釈放の審査につきましても有力な参考
資料になり得るわけでございます。さような書面
調査あるいは新しい
調査依頼等をいたしまして、いろいろな
資料を入手いたしまして、そこで結論の出るものは審査会の合議にかけて結論が出る。さらにまた問題点が残っておるというようなものにつきましては、再度の面接が行なわれ、そして同じような手続が何回か繰り返されまして結論に到達する、かようなことでございます。