○真田
政府委員 その確認書につきまして私の役所でタッチいたしましたのは、
文部大臣のほうから御依頼がございまして、この確認書の各項目の
内容について現行法に触れる点がないかどうかということを調べていただきたいという御要請がありまして、私たちのほうで実は中身を逐一調べたわけでございますが、私のところは法制局でございますので、その確認書ができたいきさつとか、そういうことは一切
責任を持って
お答えできませんので、ただこの中身について法律に照らしてどうであるかということを調べた経過、それからその結論のようなものを御
説明させていただきたいと存じます。
私のほうで
文部大臣から御依頼を受けましたのは、たしか一月の十八日か十九日だったと存じますが、その後私たちのほうでいろいろ
会議をもちまして、中身について調べたわけでございます。そして一月三十一日に
文部大臣あてに「確認書についての法律的
検討(覚書)」という表題をつけまして、御返事申し上げてございます。その「確認書についての法律的
検討(覚書)」という中にも触れておきましたけれども、この確認書は、一見いたしましておわかりのように、非常にあいまいでありまして、いかようにでも意味がとれるというようなしろものでございまして、実は法律的
判断を下すにもかなり困難といいますか、苦慮いたしたわけでございます。非常にあいまいなものでございますので、対立する両当事者の各一方がそれぞれ自分に都合のいいように解釈するということが可能であるという面を含んでおりまして、文言自体から直ちにこれが違法であるというふうにきめつけるということも、いささか困難であるという部面が非常に多かったということを申し添えておきます。
この確認書は、大体大きく分けまして十項目ございますが、そのうちで私のほうでチェックいたしましたと申しますか、多少問題があるというふうに
指摘いたしました個所が幾つかございますが、それを順序を追って簡単に申し上げさしていただきたいと存じます。
まず、最初に「医学部処分について」という項目がございまして、さらにこまかく分かれておりますが、その一番最後の「4」というところに「評議会はこの処分に関し直接重大な」、つまり医学部学生に対する処分でありますが、この処分に関し「直接重大な
責任をもつ豊川、上田両教授の退官につき、適切な
措置をとる。」ということがありまして、これがまず第一に、最初に私たちのほうの審査にひっかかったわけでございます。この意味が、先ほど申し上げましたようにまことにあいまいでございまして、法律の条文どおりのことをやるのだというのであれば、もちろん違法のかどは毫もないわけでございますが、わざわざここに確認書の中に一項目として掲げてあるところを見ると、かなり意味があるのではなかろうかということも推測できるわけでございまして、その推測といいますか、その意味
内容が、豊川、上田両教授の意に反して退官させるのだということをもし言っているのだとすれば、現行法に照らしてはなはだ問題があろうというふうな結論に達したわけでございます。その
程度でよろしゅうございましょうか。
——もう少し詳しく申し上げましょうか。その次は、項目といたしまして第三に、「追加処分について」というのがございまして、その確認書の追加処分について「1」の
内容でございますが、これは「昨年一月二十九日以来の闘争の中で行なわれた学生・院生のストライキをはじめとした抗議行動については、
大学側に重大な誤りがあった以上、
大学当局は処分の対象としない。」ということが書いてございます。もともと学生に対して処分をするかしないか、どういう処分をするかということは、
大学当局に実は法律上まかせられておりますので、その
大学当局が法律上持っております処分権限の行使のしかたとしてこういうことを言っただけである。しかも逐一、過去にすでに起きた
事件でありますから、その抗議行動を全部調べてみたところが、やはりたいしたことがないから処分をしないのだというものであれば、これはとにかくそれほど違法だというようなかどもないかとも存じますが、一月二十九日以来行なわれた抗議行動の中には、かなり刑法犯に触れる住居侵入とか建築物損壊とか
傷害暴行というようなものもあったのではないか、もしそういうものを全部ひっくるめて一切処分の対象にしないということをここで確認書が約束をしたということになりますと、かなり法律上問題でなかろうかというふうに感じたわけでございます。といいますのは、処分をするかしないかは
大学側の裁量にまかされておりますけれども、やはり裁量でありまして、裁量を逸脱するということは、やはり法律上問題であろうと存じたからでございます。
それから次は……。