○鹽野政府
委員 仮釈放の審理手続並びにその実情についての御質問でございます。
仮釈放と申しましても、刑務所から仮釈放になる仮出獄というもの、少年院から出てまいります仮退院というもの、それから拘留刑に処せられている者につきましての仮出場、いろいろあるわけでございます。
まず、代表的な仮出獄について、概略を御説明いたします。仮釈放の審理に入ります前
段階がございますので、それを一言つけ加えさしていただきます。受刑者が刑務所に入りますと、刑務所のほうでは直ちに
本人からいろいろ事情を
調査いたしまして、身上
調査書というものをつくります。そして、なるべく早い機会に、
本人が釈放になった場合に帰る場所、帰住地と申しておりますが、帰住地の保護観察所に、その身上
調査書を送ります。保護観察所では、担当の保護司をきめまして、保護司が帰住地の環境の状況を
調査する。また必要に応じてこれを調整させる。こういう手続をとるわけでございます。そして、保護司のほうから環境
調査調整
報告書が観察所に戻ってまいります。そういたしますと、この環境
調査調整
報告書を
本人の収容されております刑務所に送りますと同時に、担当の地方更生保護
委員会にも送る、こういうことになるわけでございます。刑務所は自分のところに収容している受刑者の生活状況はよくわかっておりますが、さらに、釈放後の環境の状況というものも知ることができるわけでございます。そうこうしているうちに、だんだんと刑期が進行いたしまして、仮釈放の時期が近くなってくる。さらに刑の執行の成績を見ておりまして、刑務所としてはもう仮釈放してもよかろうという
段階になりましたときに、地方更生保護
委員会に対して仮釈放の申請をする、こういうことになるわけでございます。
そこで正式の仮釈放の審査が始まるわけでございますが、その際に、
委員会といたしましては、最初の身上
調査書、それから環境
調査調整
報告書、それから仮釈放の申請書というような書類をこまかく
検討いたしまして、必要な場合には
裁判記録も取り寄せて
検討いたします。
裁判記録を
検討いたしますと、御
承知のとおり、
本人の生育歴とか、それから犯罪の動機とか、犯罪後の
本人の心境、あるいは
裁判時の
本人の態度、心境というようなものも、ある程度明確にすることができるわけでございまして、このような記録の
検討をいたしまして大体問題点を把握いたします。それから担当の
委員が、これは私
どもは主査
委員と申しておりますが、
施設に参りまして
本人に面接する。そしていろいろ問題点について質問をし、話を聞く。実際問題としては、面接の結果、さらに新しい問題がいろいろできてくるというのが実悟のようでございます。そこで戻りまして、またそういう面につきまして記録の
調査をする。さらに必要に応じて保護観察所等に
調査の依頼をする、照会をするというような手続が行なわれる。さらに面接の必要があれば、二回、三回と面接を重ねることもあるわけでございます。このようにして審査が大体主査
委員の手元で終了しました
段階で、
委員の合議にかかるわけでございます。三人の
委員の合議によって仮釈放が相当であるか不相当であるか、あるいは相当の場合にはいつ仮釈放をするのが最も
本人のために役立つかというような結論に達しまして、最終の決定がなされる、こういうことでございます。
大体手続はそのようでございますが、それでは申請を受け付けてから結論が出るまで、審理期間がどれくらいかかるかという点でございます。これは大方の
事件は申請を受けましてから二月あるいは三月というのが大部分でございます。ただし、いま申し上げましたように、
事件によって非常にいろいろな問題を蔵している
事件もございますので、さような
事件につきましては、中には六カ月ぐらいかかっているのもございますし、まれには一年くらいかかるというような
事件もあるわけでございます。
それから審査の結論でございますが、仮出獄の
事件につきましては、従来の統計を見ますと、大体申請の八五%程度が許可になっているというような状況でございます。少年院の仮退院につきましては、もっと許可の率が高くなっております。九〇%をはるかにこえるような率になっているようでございます。
それから先ほどお尋ねの中に、どの程度刑の執行が終わった者が仮釈放になっているかというお尋ねも含まれていたように存じました。この点につきましては、大体従来の統計を見ますと、刑期の七割あるいは八割以上の執行を受けたというものが仮釈放になっているという数が大部分でございます。
以上、概略でございますが、お答えいたしました。