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1969-02-27 第61回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十七日(木曜日)     午後三時三十三分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 大村 襄治君 理事 進藤 一馬君    理事 田中伊三次君 理事 永田 亮一君    理事 濱野 清吾君 理事 猪俣 浩三君    理事 神近 市子君       大竹 太郎君    鍛冶 良作君       渡海元三郎君    中村 梅吉君       松野 幸泰君    中谷 鉄也君       山田 太郎君    松本 善明君  出席国務大臣         法 務 大 臣 西郷吉之助君  出席政府委員         法務政務次官  小澤 太郎君         法務大臣官房長 辻 辰三郎君         法務省刑事局長 川井 英良君         法務省保護局長 鹽野 宜慶君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  寺田 治郎君         専  門  員 福山 忠義君     ――――――――――――― 二月十八日  委員松野幸泰辞任につき、その補欠として江  崎真澄君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員西宮弘辞任につき、その補欠として畑和  君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員畑和辞任につき、その補欠として北山愛  郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として畑  和君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員坂田英一君及び柳田秀一辞任につき、そ  の補欠として松野幸泰君及び中谷鉄也君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員松野幸泰君及び中谷鉄也辞任につき、そ  の補欠として坂田英一君及び柳田秀一君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十一日  刑法の一部(姦淫罪改正に関する請願(戸叶  里子君紹介)(第一〇六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十日  徳島地方裁判所交通事件専門判事配置に関す  る陳情書(第一七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一八号)  犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  法務行政に関する件  検察行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  去る十三日付託されました内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。     —————————————
  3. 高橋英吉

    高橋委員長 まず、両案について政府提案理由説明を求めます。西郷法務大臣
  4. 西郷吉之助

    西郷国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  この法律案は、裁判所職員員数増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。  第一点は、裁判官員数増加であります。これは、高等裁判所における訴訟事件の適正迅速な処理をはかるため、判事員数を十五人増加し、また、簡易裁判所における交通関係業務過失致死傷事件増加に対処するため、簡易裁判所判事員数を二十八人増加することにいたしております。  第二点は、裁判官以外の裁判所職員員数増加であります。これは、下級裁判所における事件の適正迅速な処理をはかるため、裁判所書記官家庭裁判所調査官及び裁判所事務官を増員しようとするものでありまして、合計百十九人を増加することにいたしております。  以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案による改正要点は、地方更生保護委員会における仮釈放の審理その他の事務処理の一そうの適正迅速化をはかり、また、同委員会事務局事務処理能率化をはかるため、現在三人以上九人以下の委員をもって組織することになっている委員会を三人以上十二人以下の委員をもって組織することに改めるとともに、法務大臣指名する委員事務局長を兼務することとされているのを改め、専従事務局長を置くこととするものであります。  これにより、委員八人及び専従事務局長八人の増員が見込まれるわけでありまするが、これは、事務局内部組織合理化をはかるため、地方更生保護委員会事務局組織規程昭和二十七年法務省令第三号)の改正により廃止することを予定している事務局部長の定数十六の組みかえ措置によって行なうこととしております。  以上が、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案改正趣旨でございます。  何とぞ慎重に御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。
  5. 高橋英吉

    高橋委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 高橋英吉

    高橋委員長 次に、法務行政に関する件及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。松野幸泰君。
  7. 松野幸泰

    松野(幸)委員 私は、昨年十一月、岐阜県で起きた大垣土地改良安井工区の前大垣会議長安井工区長横谷業務横領事件について、お尋ねしたい。  法務省は、この事件について報告を受けておられますかどうか。受けておられましたら、その内容について差しつかえない限り詳細に公表していただきたい。
  8. 川井英良

    川井政府委員 若干の報告を受けております。  内容は、本年一月二十二日に大垣警察署から岐阜地検大垣支部事件の送致を受けまして、取り調べをいたしました結果、二月十日に業務横領という容疑でもって起訴をいたしております。もちろん被告人身柄を勾留の上で起訴いたしたわけでございます。  公訴事実の要点でございますが、ただいま御指摘になりましたこの安井工区長である被告人が、業務として保管しておった金のうち六千万円をほしいままに自己の用途に費消して横領した、こういう容疑起訴をいたしております。その程度報告を受けております。
  9. 松野幸泰

    松野(幸)委員 横谷工区長横領金額については、ただいまのお話で大体承知しましたが、いまのお話の中には重大な事柄が抜けております。すなわち、安井工区をめぐるうわさ地元で話題になり始めたのは、一昨年四十二年の十一月ごろで、横谷工区長が工区の金一億五千万円か二億円ぐらいを横領して大阪方面土地を買っているらしいという内容うわさが広がったため、同工区の役員調査したところ、昨年十一月の二十日、横谷工区長は工区の金の流用を認めて、同二十八日までの返済を約束したが、それが不可能となり、十一月二十七日、県公安委員長である西濃運輸田口社長のおいの結婚式場平野岐阜県知事大垣市議会議長安井工区長である横谷を同行しておもむき、その内容を全く説明せずに田口社長返済延期仲介役を頼んだといわれる。翌二十八日夜、横谷は、岐阜県知事平野三郎県公安委員長田口利八大垣市長山本庄一氏らとともに工区の役員会に出席した。田口公安委員長は、そこで初めて工区の金をめぐる事件であることを知って驚き、仲介役を断わって退席した。その後十二月六日には、岐阜県議会でもこのことが表面化した。このことは、さらに十二月七日の岐阜県議会における議会答弁でも明らかであるが、横谷とともに仲介田口公安委員長に依頼した平野知事は、横谷犯罪を知りながらそのもみ消しをはかり、事態を承知しておって収拾のために狂奔したものと思われるが、当局平野知事についてその間の事情を聴取されたかどうか。また、重大犯人を擁護するがごとき態度は、法に触れるものではないかと思うが、どうですか。  先ほどの答弁の中で使途不明金の御説明がなかったのでございますが、いま新聞紙上の報道によりますと、数千万円の使途不明金ということが出ておりますが、使途不明金については、今後明らかにできるのかどうか、その辺のお見通しを承りたい。  四十四年一月二十一日の中部日本新聞によりますと、「これ迄の調べでも横領金額の一部がいまだにはっきりせず、ましてや使途について不明な点が多かった。横谷逮捕によってこの点がはっきりするほか、横領金の弁償にあてるという私有財産関係が明らかになり、再建策が具体化する一方、横領金の一部が政治資金などに流れ、横谷が捕わると困る人があるのではないか、など黒い霧があると言う疑惑も多くの市民が抱いている。」と明記してありますが、この記事のごとく、市民のすべてが深い疑惑を抱いておりますので、使途不明金については徹底的に究明して、全貌を明らかにしていただきたい。  次に、この横領事件横谷犯罪もみ消しをはかった疑いがあるとして県民疑惑を買っている平野知事は、最近他の事件岐阜地検から起訴猶予処分を受けている人だ。この人平野県知事岐阜地検大島検事正は、二度にわたって、一回は一流料亭で、一回は個人宅囲碁対局をしておられる。もちろん検事正であるから任地の市民囲碁をしてはならぬ等とやぼなことを言うつもりは毛頭ありませんが、一回目の一昨年四十二年十二月には、当時検事正取り調べ中の被告訴人高級料亭対局し、しかもこれが堂々と新聞一面に数枚の写真入りで報道されている。このときも県民から猛烈な抗議があり、私もやむを得ず検事総長にその新聞を示して自重方を促しておきました。  ところがまた今回は、横谷事件県民疑惑を受けている平野知事と、その横谷が終戦後肥料横流しをして罪を犯したころの県庁の肥料割り当て当事者であったといわれる農務課長で、現在県共済連会長の小島氏の宅で、横谷逮捕後のこの二月五日に対局をしておられ、これがまた新聞紙上に明記されております。県民は実にあっけにとられたかっこうでありまして、もみ消しをはかったと思われる当人と取り調べをせねばならぬ検事正が、仲よく碁を打っておってくれては、適正な事件捜査などできるものか、使途不明金はきっとそのうちにうやむやに終わってしまうであろうと、怒りを込めてながめております。  一体、検察当局者がこんなことでよいのでありますか。法務大臣はどうお考えになりますか。これらの事実を承知しておられますか。前に私が検事総長に御注意申し上げたときは、何らかの処置をされましたか。こんな事実が二度もタイミングを合わせたように事件中に新聞に報道されていますが、検察の綱紀から見て、この事実をどう受けとめられますか。検察に対する県民の不信を回復するためにも、法務大臣はどう処理されますか、承りたい。
  10. 川井英良

    川井政府委員 大臣にお尋ねの点もございますが、こまかい点、私からお許しいただきたいと思います。  最初に御質問になりました本件についての詳しい事情でございますが、実は私もこの事件背景についてある程度また別の面からの報告に接しておりますので、いろいろ若干のことは承知しておるのでございますけれども、非常に膨大な事件の中から、その一部を証拠固めができまして、そして使途不明金といわれるものの中から、先ほどあげましたように、とりあえず六千万円についての証拠が十分だということで、一部裁判所のほうに起訴検事がいたしております。そうしますと、まだ余罪と申しますか、若干の疑問のある部分が残っておりますので、その残っている疑問の部分については、引き続き警察検察庁とが協力して目下取り調べ中である、こういう報告になっておりますので、近い機会に、その残った分について起訴になるか、不起訴になるか、いまから予断は許しませんけれども、何らかの検察庁の判断が明らかになると思いますので、いまここで最初の御質問にお答えいたしまして、その内容について当局としてはこう思うのだということは、ここではちょっと申し上げかねますので、この点はひとつもうしばらく御猶予をいただきたい、こう思うわけであります。  それから、あと使途不明金がそれじゃ幾らばかりあるのだということでございますが、これもいま六千万円起訴した、ほかにも若干あるという報告がきておりますけれども、はたして具体的に何億円あるのか、何千万円あるのか、その辺についてはまだ詳しい報告に接しておりませんが、とにかく若干の疑い部分が残っておる、こういうことでございますので、もうしばらくその辺につきましてもその程度でひとつごかんべんをいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、これは一部起訴になっておりますので、御承知のとおりすでに裁判所で係属している事件でございますし、まだ公判が開かれておりませんので、国会でもって私ども立場からいろいろとその内容に立ち入って議論をいたしますことは、これから開かれる公判にもいろいろな影響があろうか、こういうふうに思いますので、裁判の公正という面から見ましても、具体的な点についての説明については、そういう面からももうしばらくお待ちをいただきたい。これは私からのお願いでございます。  それから二番目に、岐阜検事正が、たまたま問題になっておるその知事との間に囲碁対局を二回にわたってしておるのではないか、そういうようなことが、本件についても、あるいはもう一つの問題になっておる知事被告人になっておる事件についても、県民立場から釈然としないものがあるが、どうだろうか、こういうふうな御趣旨の御質問でございますが、これにつきましても、いろいろ最高検察庁を通じまして、その内容について一応の調査をしてまいりました。結論といたしましては、二回平野知事大島検事正とが囲碁対局をしたということは、そういう事実は間違いございません。そのいきさつは、地元新聞紙が、たまたまそういう県の中における知名な役人が両方ともにかなり碁が強いようでございますが、そういう名士を戦わせて、その棋譜新聞紙に載せたい、こういうふうな希望でもって両者を説得して、そして公明正大に囲碁対局をさせて、その棋譜なりあるいはそれにまつわるエピソードなりを新聞に連載した、二度ともそういうケースだそうでございまして、これはいろいろ考えようがございますけれども、そういうような明朗なガラス張りの囲碁対局であります。いろいろ事情はありましょうが、私ども立場といたしましては、検事正としてもまあまあその程度交友関係なりあるいはその行動なりというふうなことが許されていいのじゃなかろうか、こういうふうなことで、最高検察庁も、法務省のほうも、私から大臣に詳しく御報告を申し上げてありますけれども、そういうことであるならば、これはよくお話をして、そして御了解をいただくべき筋合いのものではなかろうかというふうなことで、調査の結果はそういうことでございます。したがいまして、私どもいままで調査の結果では、決してそういうことがあったためにこの事件追及をゆるめているとかいうようなことはございませんで、身柄をきちんと勾留いたしまして、そして調べて、そして一部を起訴し、さらに余罪追及中だ、こういうことでございますので、そういうような行動面からも一応ぜひ御了解を賜わりたい、こういうように思います。
  11. 松野幸泰

    松野(幸)委員 ただいま御説明の中で、一回は、確かにこれは一流料亭新聞社の主監でやりましたけれども、二回目は、私説明しましたように、かつて肥料横流し事件のときに配給に関係のあった前農務課長、そのときに罪を犯して刑に処せられ、執行猶予になりましたけれども、その人のうちで、最近この事件の最中に囲碁をやった、この問題はどうかということですが、私別にこれを特に強く申し上げるわけじゃありませんが、県民としては、こういうような時期の悪いとき、ことさらこういうことをお選びになったとは思いませんけれども、そういうことについて、検察当局威信を今後守っていく上において、私は十分御配慮あってしかるべきだと思います。  そこで、最後にもう一点お尋ねしたいと思いますのは、先ほどの御答弁によりますと、横谷大垣市議会議長横領金は六千万円くらいというようなお話でしたが、もうすでに新聞紙上に出ただけで約三億円くらいになっております。その他警察当局によってまだこれくらいになるだろうということが、県議会のほうで、これは表面に出せることかどうかわかりませんが、まあ七億円くらいになるではなかろうか、こういうようなことをいっております。これは、約三億円というのはすでに新聞に出ましたから、六千万円という金額ではないことを申し添えておきたいと思います。  そこで、あれほど世間が大騒ぎをしました日通事件を思い出していただきたいと思いますが、特捜本部を設けて、検察が全力をあげて当たられたあの事件でさえ、数人の人が業務横領起訴された金額は二億九千万円であります。しかも、直接市民がこのために被害を受けたというものは少なかったと思うのであります。この横谷事件は、市議会議長であるという要職にあるということもありまして、その主役が政治責任者である立場もあって、この人一人によって日通事件を相当上回るような金額横領され、しかもこのために直接被害を受けた農民は多数にのぼるのでありまして、善良なる農民の中には、一人で三千数百万円の被害を受けているものさえあります。この意味におきまして、地検の一支部のみをもってこの事件処理に当たらせることに、大きな無理があるのではなかろうかと、私は思います。当局は、岐阜地検の総力をあげて、また中央からも応援させる等、この事件糾明のためにもう少し力を注がれるべきではないかと思いますが、どのようにお考えでございますか。  最後に、私がいま申し上げましたような背景のもとに、横谷事件については県民が徹底的な糾明を望んでおりますので、あくまで使途不明のままに終わるというようなことのないように、厳重に捜査を進めていただきたい。私の聞いておりまする話では、使途不明金が約六千万円あって、二千万円ぐらいは酒を飲んだり、女を買ったりというようなことでつじつまがどうにか合わせられたが、四千万円は相当くさいにおいがする、こういうふうに聞いております。そこで、そうでないと検察のもちろんこれは威信の問題で、十分おやりになっておると思いますが、事岐阜県においてはそういう心配があるということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  12. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 検察官の私的な交際の範囲の問題について法務大臣の所見を問われたのでございますが、大臣にかわりまして申し上げたいと思います。  検察官が、国家公務員の一員として公私を明らかにする、そして不偏不党、ことに検察指揮に当たる者が疑惑を受けるようなことのないように、十二分に注意すべきことは当然でございます。また一面、松野先生も私も県知事をやっておりまして、検事正との交際は盛んにやった御経験があると思いますが、検察責任者として検事指揮いたしておりまする立場にある者が、やはりみずからの世界をみずから狭めるということなしに、できるだけ広く交際をし、見識を広めるということが、検察指揮の上において非常な効果をもたらすこともあり得るということでございまして、一がいになかなか申しかねることでございますが、そういうようなことで十分に戒心をしながら、かつまた広く、検察がからに閉じ込もらないような立場に立たなければならぬというような点も御賢察をいただきたいと思いますし、また私は、そのことが正しいのではないか、かように考えます。  具体的な例につきましては、先ほど刑事局長から御答弁申しましたとおりでございまして、さらにいまこれは係属中の事件でございますし、調査いたすべきことはさらに調査いたしたいと思います。
  13. 高橋英吉

    高橋委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会