○辻
政府委員 お手元にお配りいたしました
提出予定法案の表に基づきまして、
提出予定法案の
概要を御
説明いたします。
まず第一は、
法務省設置法の一部を改正する
法律案でございます。その
内容の要旨は、まず第一点が中央
矯正研修所と地方
矯正研修所を統合することでございます。これは、現在東京に中央
矯正研修所がございまして、
矯正関係職員の、主として幹部
職員の研修をいたしております。また八つのブロック都市に地方
矯正研修所がございまして、ここでは
矯正関係の、主として初任研修を行なっておるわけでございますが、現在ではこの中央と地方とがそれぞれ別個の
施設になっておりまして、相互に
関係するところがございません。さような現状でございますので、機構の簡素
能率化と
矯正職員の研修の
充実一体化をはかる見地から、中央
矯正研修所を
矯正研修所とし、地方
矯正研修所はこれを廃止いたしまして、
矯正研修所の支所として設置するということを
内容とするものでございます。
第二点は、浦和
刑務所を廃止し、市原
刑務所を設置することでございます。
浦和
刑務所につきましては、現在川越市に
川越少年刑務所を
増設建設中でございます。これができ上がりますと、新
川越少年刑務所におきましては、現在の
川越少年刑務所と現在の浦和
刑務所を一緒に収容できるくらいの規模になりますので、浦和
刑務所が不要となる
関係で、これを廃止するものであります。
次に、市原
刑務所を設置する点でございますが、これは、現在習志野市にございます千葉
刑務所習志野支所におきまして、東京及びその周辺の交通
関係の受刑者の特殊の
矯正教育をいたしておりますが、今回千葉県市原にこの
施設を移すことで、現在市原に
施設を建設中でございます。これができ上がりますと、習志野支所を廃止いたしまして、市原の
施設を新たに市原
刑務所として設置したいと、かようなことがこの
内容になっておるのでございます。
第三点は、塩釜市等に入国管理
事務所の出張所を置くことでございます。
今回の
政府予算案におきまして、入国管理
事務所の出張所は、塩釜、水俣、直江津、蒲郡、富山の五カ所に新たに出張所を設置することが認められております。
予算案が成立いたしますと、これに伴う出張所の新設を、この
法案によりまして規定していただくという
関係になっておるわけでございます。
第四番目は、市町村の廃置分合等に伴い、官署の位置の
表示を改めることでございますが、これは、現在旭川
刑務所の位置が北海道上川郡東鷹栖村になっておりますが、東鷹栖村が東鷹栖町になりましたので、この
関係の
整備をいたす点でございます。
次に、
裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案でございますが、先ほど
最高裁判所経理局長からの御
説明もございましたとおり、今年度の
裁判所関係の
政府予算案におきまして、
判事十五名、簡裁
判事二十八名、その他の
裁判所職員百十九名、
合計百六十二名の
増員が認められております。これに伴いましてこの
裁判所職員定員法の一部を改正するという
内容でございます。
第三は、
犯罪者予防更生法の一部を改正する
法律案でございます。これは、現在八ブロック都市にそれぞれ地方
更生保護委員会が設けられておりまして、この
更生保護委員会におきましては、三人の地方
更生保護委員が一つの部をつくりまして、仮出獄の審査決定及び仮出獄の取り消しの審査決定等の
事務をいたしておりますが、この審査
業務の
充実をはかる
観点から、
委員の数を八名
増員いたしますとともに、現在の法律でこの
委員会に設けられております
事務局の
事務局長は
委員が兼務することと定められておりますが、この兼務を解きまして、もっぱら
委員としての仕事をしていただくということを考えておるわけでございます。実質的には十六人の
委員の増となるわけでございますが、この増を考えますとともに、この裏づけといたしまして、現在各
事務局に設けられております部制を廃止いたしまして、この部制を廃止することによりまして十六の部長の定数があくわけでございますので、この部長の定数をもってこの
委員の
増員に充てるということを
内容とするものでございます。
第四は、
裁判所法の一部を改正する
法律案でございます。その
内容は、
簡易裁判所の事物管轄を若干拡張するという点でございます。たとえば
民事訴訟の場合の簡裁の管轄の区分となっております十万円以下のものを多少上げて、三十万円以下とするというようなことを考えておるわけでございますが、この点につきましては、
最高裁判所当局におきましてなお
関係当局とそれぞれ折衝中でございますので、まだ確たる成案を得るに至っていない状況でございます。提案につきましては、したがいまして目下検討中ということでございます。
次に第五といたしまして、下級
裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する
法律案でございますが、これもここに掲記されておりますように、若干の
簡易裁判所の所在地の変更等を行なうことを
内容とするものでございます。この
簡易裁判所の所在地の変更等につきまして、なお最高裁
事務当局及び私どものほうでいろいろと検討をいたしておりますので、まだこの成案を得る運びになっておりません。したがいまして、提案につきましても目下検討中という状況でございます。
次は、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する
法律案でございます。これは
民事訴訟、刑事訴訟等における当事者及び証人並びに鑑定人等の日当の最高額を若干
増額するということを
内容とするものでございます。現在たとえば
民事訴訟の証人の一日の日当は最高千二百円と定められておるわけでありますが、先ほど
最高裁判所から御
説明がございましたように、この
関係の
予算が多少
増額されております。それをもとにいたしまして、この最高額を若干上げるかどうかという点につきまして、現在
最高裁判所当局と
法務省の間において鋭意打ち合わせ中でございます。近日中に結論を得まして、おそらくこれは提案をさしていただくことになろうかと考えておるものでございます。
次は、刑事訴訟法の一部を改正する
法律案でございます。この
内容は、無罪の裁判が確定した場合、被告人に当該裁判に要した訴訟費用を補償するということでございます。これは現在議員提案で当
委員会で継続審議されております「刑事補償法等の一部を改正する
法律案」と関連するものでございます。この刑事訴訟法の一部を改正する
法律案のただいま申し上げました
内容は、何ぶん刑事訴訟の根幹に触れる幾多の問題を含んでおりますので、目下
法務省におきまして鋭意検討中でございます。したがいまして、現在のところ、この提案につきましては、いつ提案できるか、まだ申し上げる段階に達していない状況でございます。
最後は、
出入国管理法案でございます。御
承知のとおり、現行の
出入国管理令は、
昭和二十六年、いわゆるポツダム政令といたしまして制定されたものでございますが、その後十八年を経過する間に、わが国の国際的地位の向上と国際旅行意欲の増大は、特に航空機の発達と相まちまして、わが国への出入国者を飛躍的に
増加せしめるに至っております。この事態に対応いたしますために、出入国手続の簡素化をはかるとともに、在留管理体制を
整備することが要請されておりますので、この
観点から、ここに
出入国管理令を廃止いたしまして、新たに
出入国管理法案を提出しようとするものでございます。現在、なおこの
内容につきましては鋭意検討中でございますので、最終的に確定したという段階に達していないわけでございます。
現在、
法務省におきまして考えております改正点のおもな
内容をごく簡単に申し上げますと、まず第一点は、短期の旅行者につきまして出入国手続の簡素化をはかる点でございます。たとえば現行令の観光客にかえまして一この観光客というものは在留期間六十日とされておりますが、この観光客にかえまして、観光のほか、スポーツ、親族訪問、視察、見学、会合への参加、
業務連絡その他これに類似する目的をもって短期間本邦に旅行する者につきましても、短期旅行者という新たな在留資格を設けることによりまして、しかもこれは在留期間を九十日とすることによりまして、またこれらの者につきましては査証の取得を容易化いたしまして、この短期旅行者の上陸の手続を簡易化していくというような点でございます。
次に第二点といたしまして、
国民生活に影響を及ぼす在留活動を行なう者に対する管理をより適正ならしめたいと考えておるわけでございまして、この
観点から考えておりますのは、外国人に対し、在留資格の範囲内でその者が従事すべき活動を限定し、その他順守すべき条件を付することができるようにしたいという点や、あるいはまた資格外活動、条件違反等を反復継続する外国人に対しましては、直ちに強制退去手続に入ることなく、まず出国命令を発し、出国命令に従わない場合に退去強制をするというようなことに改めていきたいというような点でございます。
第三点は、いわゆる政治的亡命者についてでございますが、政治的亡命者の庇護につきましては、政治的亡命者なるがゆえに、当然わが国への入国を認めるとともにその在留を保障するというような規定を置くことは考えておりませんけれども、これを送還いたします場合には、その本国に強制送還することが適当でないと認められるような場合には、他の国を送還先に指定することができるようにするというようなことをその
内容として考えておるわけでございます。
第四点といたしまして、
昭和二十七年法律第百二十六号第二条第六項はこれをそのまま残しまして、戦前から日本に在留いたします朝鮮人及び台湾人の地位には変更を加えない、現行のままでいきたい、かような点が第四点でございます。
以上が、
出入国管理法案の現在考えております改正のおもな点でございます。目下鋭意
事務を進めております。おそらく三月には提案できる運びになるものと考えておる次第でございます。
以上が、
法務省関係の
国会提出予定法案の
概要でございます。