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1969-02-18 第61回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月十八日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 大村 襄治君 理事 進藤 一馬君    理事 田中伊三次君 理事 永田 亮一君    理事 濱野 清吾君       大竹 太郎君    鍛冶 良作君       渡海元三郎君    中垣 國男君       藤枝 泉介君    松野 幸泰君       黒田 寿男君    中谷 鉄也君       山田 太郎君    松本 善明君  出席国務大臣         法 務 大 臣 西郷吉之助君  出席政府委員         法務政務次官  小澤 太郎君         法務大臣官房長 辻 辰三郎君         法務大臣官房会         計課長     安原 美穂君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局経理局長  岩野  徹君         専  門  員 福山 忠義君     ————————————— 二月十二日  委員山田太郎辞任につき、その補欠として中  野明君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員柳田秀一君及び中野明辞任につき、その  補欠として中谷鉄也君及び山田太郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十三日  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一八号)  犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政に関する件  法務行政に関する件  検察行政に関する件  国内治安に関する件  人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  まず、最高裁判所長官等出席説明承認についておはかりいたします。  今国会中、国会法第七十二条第二項の規定による最高裁判所長官またはその指定する代理者から出席説明要求がありました場合、その承認に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議ないものと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 高橋英吉

    高橋委員長 次に、裁判所司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件並びに国内治安及び人権擁護に関する件について、調査を進めます。  この際、西郷法務大臣から法務行政等当面する諸問題について、説明を聴取いたします。西郷法務大臣
  5. 西郷吉之助

    西郷国務大臣 それでは、ただいま高橋委員長のおっしゃいましたとおり、所信を表明さしていただきます。  委員各位には、平素から法務行政の諸問題につきまして種々御尽力いただいておりますことに対しまして、この機会に厚く感謝申し上げる次第でございます。本日は、今年初めての法務委員会に出席いたしましたので、法務大臣として日ごろ考えておりますことを申し上げたいと存ずるのでございます。  まず、私は、法務行政は、法秩序維持いたし、国民権利を擁護して、平和な国民生活を確保することが使命であると存じておりますが、   〔委員長退席進藤委員長代理着席〕 今後ともこの重要な責務の遂行に全力を尽くしたい所存でございます。このような観点から、当面重要と考えております二、三の点について申し述べたいと思います。  第一は、治安対策についてでございますが、最近の治安情勢を見ますと、皆さま御承知のとおり、全国数多くの大学におきまして、いわゆる学園紛争が発生し、これが深刻化、長期化するとともに、なおかつ暴力的傾向が顕著となり、大きな社会問題に至っておりますが、憂慮すべき治安問題と考えるのでございまして、国民の強い関心を引くに至っております。東大も警察機動隊の導入を契機とし、一応平静な状態を回復しつつあるようでありますが、これらの大学紛争の事例を見ますと、一部の学生の中には、法と秩序を無視し、自己の主張を一方的に貫徹するためには暴力に訴えることも辞さないとする傾向が顕著に見受けられるのでございます。私は、真の民主社会は法の支配の原則が確立されて初めて実現できるものと考えており、この観点から、暴力行為社会秩序を破壊する違法行為に対しては、断固たる態度をもってこれに対処し、治安維持に万全を期するとともに、学生はもとより、国民全体が法と秩序を尊重する精神に徹するよう、格段の努力をいたしたいと存ずるものでございます。  第二に、綱紀の粛正についてであります。申し上げるまでもなく、国政に対する国民の信頼を高め、かつ国政の効果的な運営をはかるには、これに携わる者が、みずから厳正な綱紀を保持しつつ、国民全体の奉仕者として真摯な態度で職務の遂行にあたることが強く要請されるのでございます。私は、最近の情勢にかんがみ、公務員の汚職事犯につきましては、特に厳正な態度をもって臨み、綱紀の振粛に今後ともつとめ、適正な国政の運用に寄与いたしたいと考えます。  第三に、法務行政充実についてでございます。皆さん方承知のように、法務省所管いたしますところは、民事、刑事、矯正保護人権擁護、訟務、出入国管理その他国民権利義務にかかわる多くの事項でありますが、効果的な施策を講じて、これらの事務処理適正迅速化をはかりまして、国民の期待にこたえたいと存じます。特に最近の著しい経済成長等に伴ない、登記事件その他の行政需要が著しく増大している情勢にかんがみまして、国民権利保全経済活動円滑化に資することができますよう、民事行政をはじめ、各般の法務行政にわたって有効適切な施策を講ずるなど、一段と努力いたしたいと考えております。  また、法務行政は人による、人に対する行政でありますところに一つの特色があると考えるものでございますが、それだけに行政運営上における国民に対する便宜の供与及び収容者等に対する処遇向上等をはかることはもとより、これらの業務に従事いたしております所管庁職員待遇改善等につきましても、特に配意いたしたい所存でございます。  第四に、提出予定法案についてであります。今国会におきましては、出入国管理法案をはじめ、所要法案提出を予定いたしておりますが、各位の慎重な御審議によりまして、すみやかにこれら諸法案の成立をはかりたいと考えております。  最後に、法務行政全般充実強化をはかるための予算につきましては、できる限りの措置を講じたいと考えております。この点につきましてもよろしくお願い申し上げたいと存じます。  以上、はなはだ簡単でございますが、私の大臣としての所信の一端を申し上げ、各位の今後の格段の御協力をお願い申し上げる次第でございます。      ————◇—————
  6. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次に、昭和四十四年度法務省関係予算、及び裁判所関係予算概要について、政府及び裁判所当局からそれぞれ説明を聴取いたします。法務省安原会計課長
  7. 安原美穂

    安原政府委員 昭和四十四年度法務省所管予算内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  昭和四十四年度の予定経費要求額は、八百二十二億五千八百八十万六千円でありまして、これを前年度予算額七百三十四億二千二百三十一万六千円に比較いたしますと、八十八億三千六百四十九万円の増額となっております。  増減額分内訳を大別いたしますと、人件費八十二億十八万八千円、一般事務費十一億八千十七万九千円が増額となっておりますが、営繕施設費につきましては、五億四千三百八十七万七千円の減額となっております。  まず、増員について申し上げますと、第一に、公安労働事件増加に対処して適正な検察権を行使するため、検事十九人、検察事務官十九人が増員となっております。  第二に、公判審理迅速適正化をはかるため、検事十一人、うち五人は訟務事件担当でございます。検察事務官六人が増員となっております。  第三に、自動車等による業務過失致死傷事件増加に対処し、事件処理円滑適正化をはかるため、検事五人、副検事十人、検察事務官五人が増員となっております。  第四に、悪質な会社犯罪脱税事犯等処理適正化をはかるため、検察事務官十三人が増員となっております。  第五に、法務局において事務官百九十人が増員となっております。登記事件経済発展等に伴い著しく増加しておりますので、登記事務の迅速、適正化をはかる観点から、百八十五人の増員が行われたものであります。また、国の利害関係のある民事税務等争訟事件処理充実するため、事務官五人が増員となっております。  第六に、刑務所における職員勤務体制改善し、あわせて保安警備充実をはかるため、看守九十一人が増員となっております。  第七に、非行青少年対策充実する観点から、関係職員四十二人が増員となっております。その内容は、一、少年院教化活動充実のため教官十九人、二、少年鑑別所観護活動充実のため教官十一人、三、保護観察所観察機能充実のため保護観察官十二人でありまして、犯罪を犯した青少年の健全な社会復帰を強力に推進しようとするためのものであります。  第八に、国際交流活発化に伴い、近時とみに増加しつつある出入国審査業務の適正・迅速化及び在留外国人資格審査適正化をはかるため、地方入国管理官署におきまして、入国審査官二十人、入国警備官舟艇要員でございまするが、三人が増員となっております。  第九に、公安調査庁における破壊活動調査機能充実するため、公安調査官二十人の増員となっております。  増員内容は以上のとおりでありまするが、御承知のとおり、四十三年八月三十日閣議決定に基づく定員削減計画による四十四年度削減分として四百十九人が減員されることとなりますので、所管全体といたしましては、差し引き三十五人の定員増加となるわけであります。  次に、一般事務費について御説明申し上げますが、前年度に比し、旅費類四千六百六十六万七千円、庁費類五億一千七百七十四万二千円、収容者食糧費弁償金等その他の類六億一千五百七十七万円が増額となっております。  法務省におきましては、昭和四十四年度予算案主要事項を「治安対策充実強化」「国民権利保全強化」「非行青少年対策充実強化」「刑務所等収容者処遇改善」「出入国管理業務充実」の五項目に取りまとめておりますので、これらの主要事項を中心に御説明申し上げたいと存じます。  第一の「治安対策充実強化」につきましては、さきに申し上げました公安労働事件担当検事十九人を含む合計百八人の増員及び関係職員人件費を含めまして六十五億八千百四十八万一千円を計上し、前年度に比しまして六億七千三百二十八万一千円の増額となっております。これによりまして、集団的暴力事犯を含む公安関係事件交通事件等の発生に対処して適正な検察権を行使し、矯正施設における保安警備態勢充実し、破壊活動調査機能充実し、集団示威運動関係争訟の適正な処理を行なうことにより、法秩序維持に万全を期することといたしております。  その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係といたしましては、四億一千二百七十六万六千円が増額されておりまするが、その中には、直接検察活動に必要な検察費四千七百九十七万五千円、公安関係事件処理の適正をはかるための捜査用器材等千五百三十七万円、並びに自動車等による業務過失致死傷事件処理適正化をはかるための現場検証用器材等三百六十七万六千円等が含まれております。  次に、矯正関係としましては、二千八百四十六万三千円が増額されておりまするが、これには、いわゆる集団的暴力事犯関係収容者を拘禁する刑務所拘置所等保安警備充実をはかるための警備用器材千五百三十一万四千円等が含まれております。  次に、公安調査庁関係としましては、二億二千七百三万円が増額されておりますが、その中には、調査用器材三千万円、調査活動費二千四百六十五万円の増額が含まれております。  次に、法務本省関係としましては、訟務部において三百五十八万九千円が増額されておりまするが、これは集団示威運動(デモ)関係争訟を迅速に処理するための出廷旅費、疎明意見書作成経費等であります。  第二に、「国民権利保全強化」につきましては、まず、登記事務処理適正化に関する経費として、さきに申し上げました事務官百八十五人の増員及び関係職員人件費を含めて九十億七千四十二万二千円を計上し、十四億二千三百三十四万円の増額となっております。これにより経済発展公共事業活発化等に伴う登記事件増加に対処して、事務処理の適正、迅速化につき一そうの改善をはかることとしております。その増額のおもなものは、登記諸費、すなわち、法務局地方法務局において登記台帳等事務処理するために要する経費でありまするが、一億六千六百二十八万四千円、内訳登記登録旅費千五百九十九万五千円、庁費一億五千二十八万九千円であります。不動産登記簿粗悪用紙改製に要する旅費庁費賃金等)として二千二百二十一万六千円、事務処理能率化をはかるための超高速度複写機等庁費二千五百五十一万二千円、公共事業関係登記事件処理に伴う応援等旅費二百七万二千円、庁費三百七十三万六千円、商業法人登記簿ファイル化に必要な庁費九百八十三万九千円、不動産登記簿表示メートル法表示に書きかえるために必要な職員旅費二百五十四万八千円、庁費千九百七十三万三千円等であります。  次に、基本的人権擁護の伸長に関する経費におきまして、関係職員人件費を含めて二千七百十万円の増額となっております。そのおもなものは、人権侵犯事件調査強化をはかるための調査相談旅費等百四十八万五千円、人権擁護委員活動強化をはかるための実費弁償金三百十九万四千円、昭和四十三年七月の現在員九千百九十人の人権擁護委員につきまして一人当たり平均年額四千百円に増額をしたものであります。それからケース研究出席委員旅費百二十八万七千円等であります。  第三に、「非行青少年対策充実強化」につきましては、さきに申し上げました少年院教官等四十二人の増員及び関係職員人件費並び収容関係諸費を含めまして百四十二億八千六十二万八千円を計上し、前年度に比して十九億七千三百四十四万九千円の増額となっております。これによりまして、前年に引き続きまして粗暴化凶悪化傾向にある青少年犯罪に対処する検察体制充実をはかるとともに、少年院少年鑑別所機能を人的、物的に整備し、同時に青少年に対する保護観察機能強化して、罪を犯した青少年更生と再犯の防止をはかることといたしております。  その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係としましては、十億六千四百二十八万一千円が増額されておりまするが、その中には検察取り締まり経費、いわゆる検察費でありまするが、四千四十五万九千円等が含まれております。  次に、少年院関係としては、四億八千百七十六万八千円が増額されておりまするが、その中には、初等少年院の被収容者のうち義務教育修了者に対する教育充実をはかるための教科資材費百七万六千円、教育生活用備品二百十万円、収容者用図書医療衛生資材食糧費(被収容者一人一日当たり六円六十四銭の増)等収容経費二千七百三十五万七千円、職業訓練器材安全管理費二百六十六万二千円等の増額分が含まれております。  次に、少年鑑別所関係としましては、一億九千九百八十四万五千円が増額されておりまするが、その中には、鑑別観護用備品六十一万円、鑑別資材食糧費、被収容者一人一日当たり六円六十四銭の増額であります、等収容経費九百三十一万七千円等の増額分が含まれております。  次に、保護関係としましては、二億二千七百五十五万五千円が増額されておりまするが、その中には、保護観察充実をはかるため、保護司等との連絡通信費事務能率器具等庁費五百十万九千円、保護司活動充実をはかるための保護司実費弁償金及び更生保護委託費単価引き上げによる所要経費七千三十一万円、保護司実費弁償金補導費一人一カ月当たり八百五十円ないし五百七十円を千円ないし六百二十円に、それから更生保護委託費食事つき宿泊費一人一日当たり二百八十九円三十五銭を三百二十六円九十七銭に、宿泊費九十八円九十二銭を百十一円七十八銭に、事務費百五十円を百七十円にそれぞれ改定するものであります、等が含まれております。  第四に、「刑務所等収容者処遇改善」につきましては、さきに申し上げました増員及び関係職員人件費を含めて二十六億二千百十四万三千円の増額となっております。そのおもなものは、刑務所作業賞与金支給計算高を一〇パーセント引き上げるための四千五百八十一万五千円、被収容者に貸与する図書費入浴用燃料、医療器具借損料、浄化槽清掃料等収容諸費収容人員一日平均六万四千人としての千人減に伴う減額を含めまして、三千二百二十三万九千円等であります。  なお、被収容者食糧費につきましては、昨年度の米価改定等に伴う主食及び菜代(被収容者一人一日当たり二円一銭ないし二円四十七銭の増)の単価引き上げに必要な経費として三千四百五十四万五千円、並びに被収容者の心情の安定をはかるために茶、脱脂粉乳等を加給するのに必要な経費として三千百十八万円が増額となっております。  第五に、「出入国管理業務充実」についてでありますが、さきに申し上げました入国審査官等増員及び関係職員人件費を含めまして二億二千二百九十七万五千円の増額となっております。その中には、近時増加する出入国審査業務及び在留資格審査事務適正充実をはかるための港審査等旅費百七万四千円、出入国審査費四百万四千円、万国博覧会開催に伴う出入国審査業務増加に対処するための旅費庁費三十一万八千円等であります。また、港出張所を宮城県塩釜港等五カ所に新設し、審査業務等の迅速適正な処理をはかることとしております。  次に、その他の事項経費のうち増額となったおもなものについて申し上げますと、一、刑務所作業費につきましては、原材料費が相当額増額されましたほか、金属、印刷等作業充実するための機械器具更新費、栃木県喜連川町に新設予定刑務支所における開放的処遇に必要な土木機械器具整備費作業付帯経費等合わせて一億三千二百八十三万七千円が増額となっております。二、訟務費、訟務部法務局地方法務局において、国の利害関係のある民事行政事件等訴訟事務処理するために要する経費でございまするが、につきましては、前に述べました集団示威関係事件処理経費を含めまして、弁護士等謝金六百八万円、訟務旅費二百六十万六千円、庁費類三百四十一万円、保証金五百万円、計千七百九万六千円が増額となっております。  以上が、一般事務費関係増額となったおもなものであります。  次に、施設整備につきましては、まず施設費といたしまして、五億四千六百五十七万七千円の減額となっております。これは、検察庁法務局等庁舎の新営整備経費が二千八百三十五万八千円減額される一方、刑務所少年院等収容施設の新営整備経費が二億八百三十七万八千円増額され、差し引き一億八千二万円の増額(五パーセント増)となりましたが、旭川刑務所等特別取得費七億二千六百五十九万七千円が前年度限りの経費として減額されたことによるものであまりす。  また、営繕付帯事務費及び各所修繕費におきまして二億一千六百二十九万九千円が増額されましたので、施設整備経費全体といたしましては三億三千三十万八千円の減額にとどまったのであります。  なお、年次計画に基づく法務局出張所整備として前年に引き続き三十八庁の新営が認められ、また、公安担当検察官等執務環境改善するための仮眠室等の設置が認められております。  このほか、法務本省電子計算機室等新営費として、建設省所管官庁営繕費に八千十六万二千円が計上されており、さらに、従来当省所管一般会計に計上されておりました刑務所等特別取得費大蔵省所管特定国有財産整備特別会計に計上されることになりましたので、同特別会計川越少年刑務所岡山刑務所施設整備費として十五億五百二十七万九千円が計上されております。  以上が、法務省所管歳出予算予定経費要求概要であります。  終わりに、当省主管歳入予算について一言御説明いたします。  昭和四十四年度法務省主管歳入予算額は、二百六十一億五千五百九十八万六千円でありまして、前年度予算額二百八十八億七千十四万二千円に比較いたしますと、二十七億一千四百十五万六千円の減額となっております。  これは、刑務作業収入等において、過去の実績等を基礎として、六億三百二十三万四千円の増額となっておりますが、他方、昭和四十三年七月から実施されました交通反則通告制度に伴い、検察庁で取り扱う罰金及び科料が、三十三億一千七百三十九万円減額となることによるものであります。  以上をもちまして、法務省関係昭和四十四年度予算案についての御説明を終わります。
  8. 進藤一馬

  9. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 昭和四十四年度裁判所所管予定経費要求額について、説明申し上げます。  昭和四十四年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、四百二十三億八千五百八十六万八千円でありまして、これを前年度予算額三百七十七億八千百九十五万四千円に比較いたしますと、差し引き四十六億三百九十一万四千円の増額になっております。  これは、人件費において四十五億八千七百五十九万九千円、裁判費において二億三千四百二十四万一千円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等において一億八千二十万二千円が増加したのに対し、営繕費において三億九千八百十二万八千円が減少した結果であります。  次に、昭和四十四年度予定経費要求額のうち、おもな事項について説明申し上げます。  第一は、人的機構充実のための経費であります。  裁判官等増員関係では、高等裁判所事件の迅速な処理をはかるため、判事十五人、裁判所書記官十五人、裁判所事務官十人の増員に要する人件費として四千六百十二万八千円、簡易裁判所交通事件略式事件)の適正迅速な処理をはかるため、簡易裁判所判事二十八人、裁判所書記官二十八人、裁判所事務官五十六人の増員に要する人件費として六千八百十八万五千円、少年事件における少年についての資質検査強化するため、家庭裁判所調査官三十人の増員に要する人件費として二千百三十五万二千円、執行官法所定の金銭の保管及び予納事務を取り扱うため、裁判所事務官、これは歳入歳出外現金出納官吏補助職員でありますが、裁判所事務官三十人の増員に要する人件費として一千五万九千円、合計一億四千五百七十二万四千円が計上されております。  次は、家庭裁判所専任所長増設関係でございますが、家庭裁判所充実強化するため、専任家庭裁判所長増設二庁に要する経費として百八十九万八千円が計上されております。  第二は、裁判運営及び庁舎維持管理近代化能率化をはかるための経費であります。裁判官執務体制近代化をはかるため、下級裁判所裁判官研究庁費一億七千三百二十八万四千円、資料室図書図書館図書充実をはかる等のため、裁判資料整備に要する経費一億二千百五十五万六千円、裁判事務能率化をはかるため、検証用器具等整備に要する経費一億一千八百二十六万円、電子計算機による事務機械化調査研究のため、研究開発に要する経費九十三万円、庁舎維持管理近代化をはかるため、庁舎維持に要する経費五千二百三十二万六千円、合計四億六千六百三十五万六千円が計上されております。  第三は、営繕に必要な経費であります。最高裁判所庁舎新営に要する経費として設計委嘱に要する経費を含む営繕事務費五千六百九万三千円、敷地買収のための不動産購入費二千万円、下級裁判所庁舎新営、増築等に要する経費として、裁判所庁舎の継続工事十庁舎、新規工事二十庁舎の新営工事費及び営繕事務費等二十八億二千百万円、執務体制確立に伴う施設整備等に要する経費六億一千二百二十二万円、合計三十五億九百三十一万三千円が計上されております。  第四は、裁判に必要な経費であります。国選弁護人の報酬、証人、調停委員等の日当、その他裁判に直接必要な旅費庁費等として二十五億二千八百十三万七千円が計上されました。なお、この経費には、国選弁護人の報酬を約一〇%増額するに必要な経費三千三百七十九万九千円、国選弁護人等の日当の現行の単価八百円を九百円に、証人等の日当の現行の単価六百円を七百円にそれぞれ増額するために必要な経費七百四十六万八千円、調停委員等の日当の現行の単価千円を千百円に、鑑定委員の日当の現行の単価千二百円を千三百円にそれぞれ増額するに必要な経費三千六百二万六千円、裁判官等の機動的な配置をするためのてん補に必要な経費千七百一万二千円、計九千四百三十万五千円が含まれております。  以上が、昭和四十四年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。      ————◇—————
  10. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次に、今国会法務省関係提出予定法案概要について説明を求めます。辻官房長。
  11. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 お手元にお配りいたしました提出予定法案の表に基づきまして、提出予定法案概要を御説明いたします。  まず第一は、法務省設置法の一部を改正する法律案でございます。その内容の要旨は、まず第一点が中央矯正研修所と地方矯正研修所を統合することでございます。これは、現在東京に中央矯正研修所がございまして、矯正関係職員の、主として幹部職員の研修をいたしております。また八つのブロック都市に地方矯正研修所がございまして、ここでは矯正関係の、主として初任研修を行なっておるわけでございますが、現在ではこの中央と地方とがそれぞれ別個の施設になっておりまして、相互に関係するところがございません。さような現状でございますので、機構の簡素能率化矯正職員の研修の充実一体化をはかる見地から、中央矯正研修所を矯正研修所とし、地方矯正研修所はこれを廃止いたしまして、矯正研修所の支所として設置するということを内容とするものでございます。  第二点は、浦和刑務所を廃止し、市原刑務所を設置することでございます。  浦和刑務所につきましては、現在川越市に川越少年刑務所増設建設中でございます。これができ上がりますと、新川越少年刑務所におきましては、現在の川越少年刑務所と現在の浦和刑務所を一緒に収容できるくらいの規模になりますので、浦和刑務所が不要となる関係で、これを廃止するものであります。  次に、市原刑務所を設置する点でございますが、これは、現在習志野市にございます千葉刑務所習志野支所におきまして、東京及びその周辺の交通関係の受刑者の特殊の矯正教育をいたしておりますが、今回千葉県市原にこの施設を移すことで、現在市原に施設を建設中でございます。これができ上がりますと、習志野支所を廃止いたしまして、市原の施設を新たに市原刑務所として設置したいと、かようなことがこの内容になっておるのでございます。  第三点は、塩釜市等に入国管理事務所の出張所を置くことでございます。  今回の政府予算案におきまして、入国管理事務所の出張所は、塩釜、水俣、直江津、蒲郡、富山の五カ所に新たに出張所を設置することが認められております。予算案が成立いたしますと、これに伴う出張所の新設を、この法案によりまして規定していただくという関係になっておるわけでございます。  第四番目は、市町村の廃置分合等に伴い、官署の位置の表示を改めることでございますが、これは、現在旭川刑務所の位置が北海道上川郡東鷹栖村になっておりますが、東鷹栖村が東鷹栖町になりましたので、この関係整備をいたす点でございます。  次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案でございますが、先ほど最高裁判所経理局長からの御説明もございましたとおり、今年度の裁判所関係政府予算案におきまして、判事十五名、簡裁判事二十八名、その他の裁判所職員百十九名、合計百六十二名の増員が認められております。これに伴いましてこの裁判所職員定員法の一部を改正するという内容でございます。  第三は、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案でございます。これは、現在八ブロック都市にそれぞれ地方更生保護委員会が設けられておりまして、この更生保護委員会におきましては、三人の地方更生保護委員が一つの部をつくりまして、仮出獄の審査決定及び仮出獄の取り消しの審査決定等の事務をいたしておりますが、この審査業務充実をはかる観点から、委員の数を八名増員いたしますとともに、現在の法律でこの委員会に設けられております事務局の事務局長は委員が兼務することと定められておりますが、この兼務を解きまして、もっぱら委員としての仕事をしていただくということを考えておるわけでございます。実質的には十六人の委員の増となるわけでございますが、この増を考えますとともに、この裏づけといたしまして、現在各事務局に設けられております部制を廃止いたしまして、この部制を廃止することによりまして十六の部長の定数があくわけでございますので、この部長の定数をもってこの委員増員に充てるということを内容とするものでございます。  第四は、裁判所法の一部を改正する法律案でございます。その内容は、簡易裁判所の事物管轄を若干拡張するという点でございます。たとえば民事訴訟の場合の簡裁の管轄の区分となっております十万円以下のものを多少上げて、三十万円以下とするというようなことを考えておるわけでございますが、この点につきましては、最高裁判所当局におきましてなお関係当局とそれぞれ折衝中でございますので、まだ確たる成案を得るに至っていない状況でございます。提案につきましては、したがいまして目下検討中ということでございます。  次に第五といたしまして、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、これもここに掲記されておりますように、若干の簡易裁判所の所在地の変更等を行なうことを内容とするものでございます。この簡易裁判所の所在地の変更等につきまして、なお最高裁事務当局及び私どものほうでいろいろと検討をいたしておりますので、まだこの成案を得る運びになっておりません。したがいまして、提案につきましても目下検討中という状況でございます。  次は、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案でございます。これは民事訴訟、刑事訴訟等における当事者及び証人並びに鑑定人等の日当の最高額を若干増額するということを内容とするものでございます。現在たとえば民事訴訟の証人の一日の日当は最高千二百円と定められておるわけでありますが、先ほど最高裁判所から御説明がございましたように、この関係予算が多少増額されております。それをもとにいたしまして、この最高額を若干上げるかどうかという点につきまして、現在最高裁判所当局と法務省の間において鋭意打ち合わせ中でございます。近日中に結論を得まして、おそらくこれは提案をさしていただくことになろうかと考えておるものでございます。  次は、刑事訴訟法の一部を改正する法律案でございます。この内容は、無罪の裁判が確定した場合、被告人に当該裁判に要した訴訟費用を補償するということでございます。これは現在議員提案で当委員会で継続審議されております「刑事補償法等の一部を改正する法律案」と関連するものでございます。この刑事訴訟法の一部を改正する法律案のただいま申し上げました内容は、何ぶん刑事訴訟の根幹に触れる幾多の問題を含んでおりますので、目下法務省におきまして鋭意検討中でございます。したがいまして、現在のところ、この提案につきましては、いつ提案できるか、まだ申し上げる段階に達していない状況でございます。  最後は、出入国管理法案でございます。御承知のとおり、現行の出入国管理令は、昭和二十六年、いわゆるポツダム政令といたしまして制定されたものでございますが、その後十八年を経過する間に、わが国の国際的地位の向上と国際旅行意欲の増大は、特に航空機の発達と相まちまして、わが国への出入国者を飛躍的に増加せしめるに至っております。この事態に対応いたしますために、出入国手続の簡素化をはかるとともに、在留管理体制を整備することが要請されておりますので、この観点から、ここに出入国管理令を廃止いたしまして、新たに出入国管理法案を提出しようとするものでございます。現在、なおこの内容につきましては鋭意検討中でございますので、最終的に確定したという段階に達していないわけでございます。  現在、法務省におきまして考えております改正点のおもな内容をごく簡単に申し上げますと、まず第一点は、短期の旅行者につきまして出入国手続の簡素化をはかる点でございます。たとえば現行令の観光客にかえまして一この観光客というものは在留期間六十日とされておりますが、この観光客にかえまして、観光のほか、スポーツ、親族訪問、視察、見学、会合への参加、業務連絡その他これに類似する目的をもって短期間本邦に旅行する者につきましても、短期旅行者という新たな在留資格を設けることによりまして、しかもこれは在留期間を九十日とすることによりまして、またこれらの者につきましては査証の取得を容易化いたしまして、この短期旅行者の上陸の手続を簡易化していくというような点でございます。  次に第二点といたしまして、国民生活に影響を及ぼす在留活動を行なう者に対する管理をより適正ならしめたいと考えておるわけでございまして、この観点から考えておりますのは、外国人に対し、在留資格の範囲内でその者が従事すべき活動を限定し、その他順守すべき条件を付することができるようにしたいという点や、あるいはまた資格外活動、条件違反等を反復継続する外国人に対しましては、直ちに強制退去手続に入ることなく、まず出国命令を発し、出国命令に従わない場合に退去強制をするというようなことに改めていきたいというような点でございます。  第三点は、いわゆる政治的亡命者についてでございますが、政治的亡命者の庇護につきましては、政治的亡命者なるがゆえに、当然わが国への入国を認めるとともにその在留を保障するというような規定を置くことは考えておりませんけれども、これを送還いたします場合には、その本国に強制送還することが適当でないと認められるような場合には、他の国を送還先に指定することができるようにするというようなことをその内容として考えておるわけでございます。  第四点といたしまして、昭和二十七年法律第百二十六号第二条第六項はこれをそのまま残しまして、戦前から日本に在留いたします朝鮮人及び台湾人の地位には変更を加えない、現行のままでいきたい、かような点が第四点でございます。  以上が、出入国管理法案の現在考えております改正のおもな点でございます。目下鋭意事務を進めております。おそらく三月には提案できる運びになるものと考えておる次第でございます。  以上が、法務省関係国会提出予定法案概要でございます。
  12. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次回は来たる二十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十四分散会