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坂田国務大臣 一般的に申しまして、私はやはり
教育にはお金がかかる、またかけねばならぬというふうに思っておるわけでございます。各国によって
教育投資の方向がいろいろ違うし、やり方も違うと思います。たとえばイギリスあたりは、量は少ないけれ
ども質に重点を置いておる。フランスもそうだと思います。ドイツもそうだと思います。しかしながら、量的な面についてはやはり日本よりも少ないということで、いまや高等
教育機関をどうやってたくさんつくるかということに悩んでおる。ところが、ソ連とアメリカというものは量も質も両方追っておる、こういえるかと思います。日本はその中間であるというふうに思います。国立
大学だけを取り上げて申しますると、諸外国と比較いたしますと、おそらくフランス並みくらいにはいっておるというふうに思うのでございまして、そう劣っておるとは思われないのでございます。ただ、国立
大学三十万にプラスいたしまする公立——公立はまあ国立と似通っておりますけれ
ども、私学の百数万というものの学生一人当たりということを
考えた場合の国としての
教育投資ということを
考えると、財政投融資を含めて一人当たり三万円、国立の場合は一学生当たり七十六万円、こういうことでございまして、このアンバランスの解消ということがわれわれの当面の課題でなければならない。したがって、私学援助に対する大幅な増額ということは、当然われわれといたしましても
考えていくべき課題であるというふうに思います。
それから寮の問題、これもやはり学生の生活ということを
考えていく場合に非常に大事な問題だと私は思うのでございますけれ
ども、実を申しますと、この寮それ自体がいわば学生の派閥の
一つの根拠になっておるということも
考えなければならない問題である。それから、旧制の高等学校等におきまして全寮制度をとっておりましたけれ
ども、これにはやはりそれ相応の指導教官というものが十分に備わっておった。あるいは相当人数も少なかったというところにおいて初めて成り立つのではないかと思います。イギリスにおいてはオックスフォード、ケンブリッジにおいて全寮制度をやっております。まだ残っております。しかし、新しい
大学においては、むしろ全寮はその三分の一、三分の二はやはり通学制という形に変わってきつつある。しかし、やはりイギリスのいいところは、通学する学生も、その寮におる、内部におる学生と同じように、勉強する場所あるいはスモールキッチンあるいはまたラウンジというものに対しての特別の
配慮をしておるというようなことにつきましては十分われわれも参考にすべき問題であって、日本における寮というものあるいはドーミトリというものをどう
考えるかということは、やはり大事な問題じゃないかと思います。全部が全部全寮にすべきであるか、その何分の一かを寮にするかということは別として、寮の問題について
根本的に
考えるということは必要であるというふうに思います。
それから奨学資金の問題については、御指摘のとおりだと思うのでございます。
それからもう
一つは、石田さんの御提案のアメリカ等に行なわれておりまする貸し付け制度の問題、これは私も実は検討いたしておる問題でございまして、まだ十分に調査研究をいたしておりませんけれ
ども、ひとつ
考えてみるべき制度ではないかというふうに思っておるわけでございます。アルバイト学生がアルバイトしなければ学校へ行けないというような
状況でなくて、やはり学業に専念できるというような
状況をつくっていくために奨学資金制度を確立する。そして
一般学生がほんとうにまじめに勉強ができ、そして研究ができるというような
状況をかもし出すために、まず、何と申しましてもそういう予算を注ぎ込むからには、
大学それ自体が暴力を排除し、秩序を維持し、かつての静かな
教育と研究の場にふさわしいところの
大学というものを取り戻していただかなければならないと思うわけでございます。
そういうようなことについて、この乏しい知恵をふりしぼって実は検討いたしておる次第でございます。