○村山(松)政府
委員 大学紛争の定義は二条にありますように、最終的には
教育、
研究が阻害されている状態という物理的、客観的な状態をさしていっておるわけであります。その
原因としては
学生による正常でない行為、それから態様としては授業放棄あるいは施設の封鎖、占拠といった、それらの要素を備えたものを
大学紛争といっておるわけであります。これは客観的な
事態でございますから、客観的に認知し得るわけでありまして、まず当事者である
大学が一番認知しやすい状態にございますので、そういう
紛争状態を認めれば
文部大臣に
報告をする。
報告をされて
文部大臣も了承するという具体的な若干の手続はあろうかと思いますけれ
ども、具体的には客観的な
事態が発生して、当然認知されて、
大学の
報告、
文部大臣の了承という形ではっきりする、こう考えられております。そのような
紛争状態をどこかの
学部等の部局に持っておる
大学を第五条で
紛争大学、こう定義づけておるわけであります。
それから
紛争大学の処理は、原則的には全学的になされるべきことでありますけれ
ども、
教育、
研究の休止、停止といったような非常な措置は、これをとったほうが
紛争収拾に役立つと思われる場合にやるわけでございます。
紛争大学は何カ月たったら自動的に休止をしなければならぬというような筋合いのものではございません。そこで、もちろん全学的にやることを禁じておるわけでもございませんけれ
ども、
学部によっては、他の
学部が
紛争を起こしておっても、別にその
学部には影響がないというような場合もございます。そういう場合には、一部の
学部で
紛争があるからといって、休止、停止ということを常に全学的にやるということは、関係のない教職員、
学生に累を及ぼす。それも全学的な連帯
責任だからしかたがないではないかという見方もあり得るかもしれませんけれ
ども、この法案の原案ではそういう立場をとらないで、休止、停止といったような非常措置は
学部等の単位ごとに一応見ていこうという立場をとったわけでございます。
それから、
先ほど答弁を落としましてたいへん失礼いたしましたが、副学長のように現行
制度にないものをなぜ設けるか、その場合の待遇をどうするかという点でありますが、
大学の管理
運営の問題を論ぜられる場合、これは
紛争がなくても、学長一人で、あとは合議機関の議論によって
運営をしていくということは、
大学のような複雑な有機体の
運営機構として十分でない。むしろ
教育、
研究、管理といったような機能別に学長を補佐する副学長のような職を置いて、管理
運営を能率的、機動的にする必要があるという声はかなり高まっております。将来の
大学の管理機構のあり方として副学長的なものが望ましいというような線は
審議会の
答申にも出ておりますし、それから世論でも指摘されておる点でございます。これを全
大学に
制度として設けることは、これは基本的な問題でございますが、少なくとも
大学の意思決定あるいは学長の執行を能率的にするために必要な機関として多くの推奨がなされておる副学長のような機関を、
紛争大学のようにそのような措置が最も必要な場合に採用することは有意義であろうということで、この法案で、
大学が必要と認めるならば採用し得る措置としての副学長制というのを採用いたしたわけでございます。こういうものを設けますからには、その処遇につきましても、学長、
学部長、
研究所長等の管理職とのバランスを考えまして、待遇上の措置も考えるべき筋合いのものと思っております。