○石田(幸)
委員 過激な
学生というふうに
規定をすること自体が非常にむずかしいと思うのでございますが、やはり高校の学園
紛争は、現在のいろいろな政治
運動への、いわゆるデモや何かの参加というような方向にかなりあるとは思いますけれども、まとまったかっこうの
一つの高校なら高校の学園
紛争というようなことになりますれば、これは必ずしも政治
運動ではないはずであります。したがって私は、そういった今後起こり得る高校の学園
紛争の問題点についての分析を、やはりそろそろ
文部省等ではしっかりなさらなければいけないのじゃないか、このように思うわけであります。したがって、私は
一つの学校の例をあげまして、現在こういうような問題も起きているんだというようなことを例証しまして、今後の高校の学園
紛争に対処していただきたい、こう要望を申し上げたいわけであります。
私が取り上げますところの
紛争校は愛知県の両国学園弥富高校であります。この学校は
昭和三十九年四月に創立になりまして、
理事長はお医者さんであります。ここで
一つ大きな問題になりますのは、こういった私立高校が設立をされますところのいろいろな条件が
文部省によって示されておるわけでございますが、こういう認可
事項について、はたして適切な検討が加えられておるのかどうか、こういう問題について私はたいへんに疑問を持つわけであります。たとえばこの弥富高校の校舎の敷地でありますけれども、これは弥富町というところから、
最初この学園の
理事長に貸与されるような
予定であったのでございますが、私立学校
設置の基準について、これは学園の財産でなければ認可にならないという問題点がございまして、この町有財産を無償で払い下げてしまったわけであります。この町有財産払い下げについては、もちろん条例で定めるのが普通でございますけれども、条例が全くございません。さらにまた無償払い下げは、
自治法の二百三十七条二項に違反をしておるのであります。その条文を読んでみますと、「第二百三十八条の四第一項の
規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の
目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。」、こういうような条件が
自治法によって
規定をされておるのでございますので——もちろん申請の段階においては譲渡を受けた形をとっておるわけでございますけれども、こういうような問題が審査の段階で的確に審査が行なわれないから、私は今日の学園
紛争が起こっておると思うのであります。
これは去年の七月のたしか十五日ごろから約一週間にわたって地元の中部本社版の各紙にはかなり大きく報道された学園
紛争であります。しかし、その学園
紛争の
内容を見ますと、
一つ一つ生徒たちの言い分がもっともであるという点が非常に多いのであります。こういう点についても行政
指導を一体どうなさっているか、お伺いをいたしたいと思います。幾つか問題を指摘しますので、これに対してお答えをいただきたいと思います。
まず、学校経営の問題でございますけれども、教師が極端に不足を来たしておりまして、満足な授業が行なわれておらないのであります。三十九年四月の創立でありますから、今日に至るまで約五年であります。その五年間に校長が三人も交代しておる。あるいは教師が、これはたしか少なくとも二十名前後の人が首になっておると私は記憶しておるのでございますが、こういうような状態に対しての
指導、監督というものは一体どうなっておるのか。
もう少し
内容を申し上げますと、たとえばそういうところから教師が足らなくて、
通常でも二ないし四クラスの合同授業がしばしば行なわれている。こういうことは過去五年間のうちにかなり行なわれてきたわけであります。あるいはまた、こういう普通高校でございますと、理科の実験設備や何かを必要とするわけでございますけれども、こういうようなものにつきましては実験設備がほとんどない。
文部省から助成金が出ているわけでございますけれども、一体この助成金をどこへ使ってしまったのかと疑いたくなるような、そういう
事態があるわけであります。県から視察に来れば、他の学校から実験器具を借りてきて、そして一時しのぎをして監察官の目をごまかしておるというようなこともあるわけであります。
あるいはまた、この弥富高校の前身というのは、実は看護婦の不足から、この
理事長のお医者さんである人が、看護学校を設立したらいいのではないかという発想から起きておるわけでございまして、現に看護科がこの学校の中に
設置されております。ところが、この看護婦の
教育をするための資格のある
先生が全くおらぬのであります。
〔
委員長退席、
高見委員長代理着席〕
この看護科では自習がほとんどでございます。看護婦としての
教育はほとんど行なわれておりません。したがって、そこに学んでいる看護婦志望の生徒さんたちは非常に不安に思っておりまして、ある一人の女の子は、はたして私たちは資格が取れるでしょうか、卒業できるでしょうか、こう言って泣いてきたような事実もあるわけであります。あるいは授業全体を
考えてみましても、この学校では一単位三十五時間というふうに
規定を設けておるそうでございますが、実際には二分の一から三分の一くらいの授業しか行なっておらないというような高校
教育というものは、あるはずがないのでございますけれども、ところが実際に行なわれておるわけでございます。二分の一か三分の一しか出席時間がないわけでございますから、当然卒業資格がない。ところが、出席したことにしてどんどん卒業させてしまった。そういうようなおそるべき実態もあるわけでございます。あるいはまた、試験の問題にいたしましても、前もって試験問題を教えてそれから試験をやる、これでは成績がいいのはあたりまえでありまして、こういうようなことは全くたいへんな——そういった私立学校の
教育の実態ではないかと思うのですが、一体ここら辺のことについて——まず設立の問題について、これは全然県にまかせっきりなのか、それからこういういろいろな
教育の
実情について県から報告が来ていないのかどうか、こういう問題からお伺いをいたしておきたいと思います。