○清水参考人
短期給付の問題につきましては、他の一般の社会保障制度の健康保険その他の
短期給付と同様に、一番大きな原因は医療費が上がったということと薬価
基準の
改正という一般的な事情、これが一番大きな原因になっておりますけれ
ども、
私立学校の場合は特殊事情がございまして、
先ほども申し上げましたようなぐあいに、大学から幼稚園、各種学校までが包含されておりまして、約九千校といいましても六千校近くは幼稚園並びに各種学校である。こういうようなことで幼稚園、各種学校の
先生方は比較的若くて
給与の安い方が相当多くいる。したがって、掛け金に比べて相当高い
給付を支払わなければならない。そのために生じる
赤字があるわけでございます。
それから、
先ほど小林
先生のおことばにもございましたように、国公立に
均衡を保つようにということを
考えておりますが、
短期給付につきましては遺憾ながら付加
給付が実現を見ておりません。付加
給付が実現を見ておらないというのは、主として財源がないから付加
給付をしたいけれ
どもできないというのが実情でございます。
共済組合は、
短期給付の対策
委員会を内部に持ちまして
短期給付の
赤字の問題並びに待遇改善の問題を今後どうしていくかということを真剣に
考えて、それを実行に移したいということで、
委員会を近く発足させる予定になっておりますが、従来から私
どもは他人にたよるわけにいかないからということで、
昭和四十年に、従来六十であった掛け金率を千分の七十に
引き上げました。それからまた当時八千円と七万五千円でありました
標準給与を一万二千円から十一万円に
引き上げたのでございます。そこで各都道府県ごとに職員が出張して会合等を持ち、
組合員並びに学校法人の
事務担当者と相談をいたしまして、
短期給付の健全化をはかるような
方法をとってまいりました。今回もまた
標準給与の
引き上げを最低一万八千円、最高十五万円にいたしましたのも、
短期給付の面だけから申しますと、そういった財政効果をある程度
考えたわけでございます。しかし、最近の現象を見てみますと、たしか読売新聞の四月十六日の記事に出ておったと思いますが、幼稚園に就学する数が漸次ふえてきておって、全国の小学校に上がる児童の七〇%から八〇%は幼稚園に行ってそれから小学校に上がる、こういうぐあいになっておるということで、全国的に幼稚園の数はどんどんふえていくというようなこともいわれておるわけであります。したがいまして、掛け金率はひとしくても、
俸給が安ければ納められるであろう掛け金の額は少ないことは当然でございますが、そのしわ寄せを全部大学、短大に持ってくる、あるいは高等学校に持ってくるというのでは、なかなか皆さんの納得をいただくことができない。それが
一つは未加入校の加盟が
短期についてちゅうちょされる
一つの原因でもある。こういう点から
考えてみますと、今日他の、たとえば国民健康保険あるいは健康保険組合の中で
赤字の相当出ているところ、そういうところには国の補助金が計上されておるわけです。特に国民健康保険のごときは
給付費の百分の四十が国庫から負担をされております。国民健康保険と申しますのは、健康保険に入れない常時五人以下の事業所に働いておる方々を対象とし、また働いておらない方々も対象になっておるようでございますが、
私学の中には常時五人以下の事業所を持っておる、こういう幼稚園なり学校が相当あるわけです。常時五人以下の職員しか持っておらないというところですから、もちろん経営はきわめて苦しい、生徒や児童は非常に少ない、こういう
傾向でございますので、その常時五人以下の学校法人等に採用されておる、いま言ったとおりきわめて経営の困難な、しかも
俸給がきわめて安い
教職員の医療保障に要する費用を、国民健康保険並みに助成をしていただけないかということを実はこの二、三年来お願いをいたしておりますが、現在まだその実現を見ておらないところであります。
実は余談になってたいへん申しわけございませんが、私、
共済組合連合会の
理事もさせていただいておるのですが、各
共済組合連合会におきましても、国の社会保障でありながら
短期給付には何も国がめんどうを見てくれないのはおかしいじゃないかということをよく話が出ておるわけですが、私たちは、そういった共通の問題のほかに、切実な問題といたしまして、何とかしてせめて
国公立学校に準ずるだけの付加
給付を行ないたいというぐあいに
考えて、私たち自身も対策
委員会を持ちましていろいろな点について検討をして改善することを努力いたしますけれ
ども、できればこういった点についてもぜひ御心配いただきたいということをお願いをしておるわけでございます。
それから、ただいま小林
先生のおことばもございましたが、
長期給付の問題につきましては各
先生方からの力強いおことばもあり、
大臣からもお答えがありましたが、私たちは百分の二十もらうのは当然であるというのは固く信じておるわけで、いただけないほうがおかしい。どうしておかしいかというと、創立のときには厚生
年金と全く同じ百分の十の補助率をもらっておったのです。そして
昭和二十九年に厚生
年金が国の補助率が百分の十五に
引き上げられた。翌三十年
私学共済は百分の十五に
引き上げた。それから全く十年間同じ補助率をもらっておった。それが三十九年に厚生
年金が百分の二十に
引き上げられたのに、四十年になってなお十六にとどまって、四年も五年も足踏みをしておるのです。これは私たちは本質的にどうしても納得のできない問題でありますから、何としてもこの悲願は達成したいということで、毎年毎年二十はどうしても通してもらいたいというお願いを続けておるわけでございます。
それからもう
一つは、
私学共済と国公
共済とは、
給付の面は国公
共済に準じたように国公
共済の
給付の率と同じにしたいということで努力しておりますが、財源の問題は国公立の問題とは本質的に違っておる。どういう点が違っておるかと申しますと、これは言うまでもないことですが、
国家公務員とか
地方公務員、
国立学校の
先生や
公立学校の
先生に準用されておるのですが、そういう
公務員の方々は本人の負担以外は全部公費が持っていらっしゃる。ところが、
私学共済とか農林
共済というものは本人と事業主が折半負担である。厚年、健保と全く同じです。厚年、健保も本人と事業主が折半負担である。あるいは農林
共済も本人と事業主が折半負担である。こういうぐあいに財源のもとが全く違っている。それから整理資源という不足財源については国が補償をしておる。その補償が
私学共済や農林
共済にはないという点。それからさらに事務費その他につきましても、国から一部の補助はちょうだいしますけれ
ども、われわれは掛け金率の中から事務費を出しておる。
国家公務員の掛け金率の中にはこの財源は、事務費はたしかないと思います。こういう点では厚年、健保と同じなんです。ですから
給付の面が国公
共済に準じているから、だから補助も国公
共済に準じろというのはちょっとおかしいと思うので、われわれとしてはやはり健保、厚年の特例法である以上、厚年が二十出したならばわれわれもやはり二十いただくのが当然であろう。
それからその次の
理由は、
先ほどの小林
先生のおことばと全く同じでございまして、
適用除外を受けておって抜けておる学校は国は百分の二十の補助をしておる。
私学共済へ入った学校や
教職員に対しては十六しか補助してくれない。これもおかしいと思うのです。将来やはり補助率は全部ひとしくした上で
私学の
共済組合に育てる。そのためにはこの問題もやはり片づけて同じ補助率にしていただいて入れるということをすることが必要ではないか、そういうぐあいに
考えておるわけでございます。もちろん、これは今後の問題でございますけれ
ども、
共済組合の仕事を
担当いたしております私たちといたしましては、ぜひ長期に対する国の補助率は、
ほんとうになるべく早い機会に百分の二十を達成していただきたいということを念願をいたしております。
以上でございます。