○帆足
委員 そういう御
答弁でございますが、そのときの経験では、小
学校だけ出ました貧農の者が憲兵になりましたときは非常に拷問がひどかったです。中
学校を出た者はひどい拷問をいたしませんでした。ですから、まず拷問の度合いをはかりますためには、あれは小
学校出か中
学校出かということを聞きまして、小
学校出のときは覚悟をきめて参りました。中
学校を出ていればやや教養があって、多少は話がわかる。それほど
教育の効果というものは偉大なものでございます。いずれ
長官を呼びまして、関連事項といたしまして
警察学校を見学させていただきますから、そのように御準備のほどをお願いいたします。
本論に入りまして、子供の死亡というものは痛ましいものでございまして、人は、われら七たび生まれて祖国に報ずといいますけれ
ども、人は七たび生まれるものではありません。一度死ねば魂魄となる。それで靖国神社に参りましても、決して永遠の命が続くものではありませんから、人の命が二つ、三つあれば、
警察官が相当乱暴してもけっこうですし、引きずり回してもけっこうですけれ
ども、一億年に一度ある人の命ですから、人の命は地球より重いといわれております。ですから大切にいたさなければなりません。私
どもは限りある命でありますけれ
ども、子供たちを通じて民族永遠の命に連なり、そして人類永遠の
生命に連なるのでありますから、子供がわれわれのただ
一つの希望でございます。私の政治スローガンである「政治は母と子のために」というのは、もう人口に膾炙し、有名なスローガンでございますが、
ほんとうに心からそう思っておるのでございます。
先日統計を見せていただきましたが、肝をつぶさんばかりに驚きましたことは、子供の死亡率では、事故による死亡が第一位、ガンによる死亡が第二位、病気における死亡率の中ではガンによる死亡が第一位、私はこのことを知って
ほんとうに夜の目も寝られないくらいショックを受けたのでございます。
これよりさきに、私の友人で毎日
新聞の論説
委員をつとめておられる杉本要吉氏がお子さまをガンでなくされたということで、私は「サンデー毎日」でそれを見まして、このよき友に久しくお目にかからないときにこのような悲劇があったかと、
ほんとうに驚いたのでございます。そして、「ママぼくの病気はガンなの?」という書物を読みまして、一そう胸を打たれました。
したがいまして、まず二つの重要な問題があります。
一つは、事故による死亡率が最高、これは防げないものであるかどうか、そして
文部当局はこれを対岸の火災視しておってよいものかどうか、その
原因を
確かめ、その対策を講ずるならば、私は大半は防ぎ得るものであると思うのでございます。したがいまして、特に与党議員の皆さまのお力添えをいただきまして、それに必要な施策、必要な予算をとっていただきたいと思います。
第二に、幼児ガンにつきまして、私は癌研究所の幼児病棟に参りまして詳細に専門の医師に聞いてまいりまして、その結果を御
報告いたしますが、これも皆さんの御協力と御理解があればある程度防ぎ得るものでございます。したがいまして、子供のことになりますと、お互いに国会では時として怒号いたしますけれ
ども、わが子のこととなればPTAでは皆さんとよき友でございますから、それはもう党派の問題なしに申し上げたいと思うのでございますから、そのような御寛大な
気持ちでお聞き取りを願いたいと思います。不幸にして時間もさほどありませんから、もし時間が切れましたならば、ガンの問題を先にいたしまして、事故の問題は優先的に次の機会に譲っていただくよう
委員長の御了解を得たいと思うのでございます。
ガンの死亡率が第一位になりましたのは戦後のことでございます。これと同じ趨勢はイギリスにもアメリカにも見られるのでございます。そしてそのガンの痛ましいことは御承知のとおりでございますけれ
ども、老人がガンで苦しんでそして死にます。その死亡率の高いことは皆さま御承知のとおりでございますし、やがてわれらも宿敵に遭遇せねばならぬことと思いますけれ
ども、大体よいこともし尽くしたけれ
ども、悪いこともし尽くしたわれらのことでございますから、年貢の納めどきと思うてがまんしていただくことにいたしましょう。しかし、四つ、五つの子供から十前後の子供がなぜガンのために苦しんで死ななくてはならぬでしょう。「ママぼくの病気はガンなの?」というこの表題は親の心を泣かしむるものがあるのでございます。したがいまして、御理解深い文教
委員の皆さまにあえて訴え、皆さまのお力をかりるために私はきょう
質問するのでありまして、与党、野党の
関係で
質問するのでないので、皆さまは、われらの親しい友だちの一人がこの問題を調べて訴えておるというお心持ちでおくみ取りくださいますことを切にお願いしたいのでございます。
まず第一に、杉本要吉氏の著書によりますと、その結論のところに、私たちが自分の子供を失って、そして一番深く経験から
反省したことは、「自分の子供でもガンになりうるということ。」その蓋然率が最近非常に大きくなったということ、そしてもちろん、子供にもガンがあるということは、観念的には知っていたけれ
ども、しかも自分は親戚に医者が多く、弟さんが二人お医者さまでもあったのに、しかもこの健康な子供がガンになろうとは夢にも思っていなかった。まさか自分の子供がガンになろうとは夢にも思っていなかった。子供にもガンがあることを知ることがその対策の第一であろう、こう言われておりますけれ
ども、わが衆議院におきましても、子供にガンがあるということ、そのガンが事故を除いて病気の死亡率の第一位であることを私
どもがとも
どもに知ること、これは最も必要なことであろうと思うのでございます。
そこで
一つには、当局に
質問というよりも要望し、かつ
質問いたし、また希望もいたすのでございます。そういたしますと、ガンについては病気のことだから文教
委員は
関係ないと思われる方があるとしたならば、ちょっと体温計で平熱であるかどうか熱を計っていただかなければ、万一、三十四度、冷血動物であられるならば何をかいわんやであります。子供に対して
文部当局はすべてに対して
責任を持たねばならぬ。直接の担当でないときには
関係官庁と協議をせねばなりません。したがいまして、きょうは厚生省からも来ていただき、また
関係各省からも来ていただきましてお聞き取りを願い、お答えを願いたいのでございますけれ
ども、このガンが最初にわが国において問題になりましたのは明治四十一年のことといわれております。当時わが国におきまして癌研究会設立の議が起こりましたけれ
ども、「我邦ニ於テモ、亦小児ニ癌テフ病ナカルベカラズ」、当時の東京医科
大学小児科の三輪信太郎博士はこう書いております。そうして「然ルニ余輩小児科ヲ専攻スル者、未ダ之ニ接セザルハ遺憾ナリ、精査多年怠ルコトナクンバ、之ヲ発見スルノ機アルベシト」、当時はそのように書いてありまして、ガンの子供を発見することも困難な程度でございました。しかるに今日ではガンが幼児、少年の病気の第一位になっておるということは驚くべき問題でありまして、当然
文教委員会としては取り上げねばならぬ重要な問題でございます。
問題はいろいろございますが、順を追うて御要望も申し上げ、御
質問もいたしたいのでございますが、お手元に統計表を差し上げたらよろしいのでありますが、若干数持ってまいりまして、あとはこの写しを
文部省当局の事務局においてつくりまして、後ほど
委員各位に小児ガン統計を差し上げていただきたいと思います。
今日のところ、小児ガンに対する対策はおとなのガンに対しますよりも相当進んでおります。したがいまして、早期に発見し、対策よろしきを得ますならばある程度の成果をおさめることはできるのでございます。それから五十、六十の成人がガンになりました場合には、さまざまな人生の経験をしてまいっておりますから、その内容は複雑でございますけれ
ども、二歳、三歳の子供たちがガンになりました場合には、まことに純粋な形でガンがあらわれてくるのでございますから、病理の追跡をすることは、それはガン全体の追跡ともつながり得るものでございます。もちろん、子供をこのための実験の具にするということの意味ではいささかもございません。
まず、
政府当局のほうにお願いいたしたいことは、今日子供のガンが年間千五百人程度と推察されておりますけれ
ども、厚生省のほうでお聞き取りになりまして、私の申し上げることにあやまちがありましたならばまた御訂正を願いますが、
文部省当局においても御存じのことと思います。しかし、小児ガンに対する専門医は僅々数名と伺っておりまして、小児病棟のあります場所は、東京のがんセンターだけでございます。その小児病棟もわずか十数名の患者を引き取ることができるだけでありまして、年々千数百名の命を失うこの幼い者たちは、専門に治療する医者もなく専門の病棟も持っておらないのが今日の現状でございます。したがいまして、
文部大臣並びに厚生省当局に切に御注意を促しまして、小児ガンに対する対策について、具体的設備、それから早期発見、予防策等につきまして、系統的な対策を立てていただきたいと思うのでございます。
また、その小児ガンの
原因は何であるかとなると、これもまだはっきりいたしておりません。しかし、明治時代の空気の清らかであったころはガンがほとんどなく、現在急激に、特に東京においてふえておりますところを見ると、やはり空気の汚染、特にタール物質の刺激、それからいま物価
委員会で問題になっております。食品添加物の影響等が大きくはないかとわれわれは想像いたしております。(「
質問の要点は何だ。」と呼ぶ者あり)私は
政府の生徒でありませんから
質問するだけはいたしません。ときには教え、ときには問い、また問いただし、要望いたすのが議員の仕事でございますから、それは議員各位の、特に
理事各位の品位を見習いまして、私もそういう議員でありたいと思いまして、決して役人の生徒ではございませんから、
質問するだけはいたしません。ときには問い、要望し、疑問を発し、ときには愚問を発することもございます。
それで、治療に関する施設がおくれておりますのは、大体二億円くらいのガンに対する治療設備が、その予算のためもあって小児ガンに対する対策が困難であるとも聞いております。それから化学療法は、小児ガンにおいては成人に比べて非常に効果があることも伺っておりますが、それを十分使いますためにはやはり専門医が必要でありすす。また、その専門委のセンターがどうしてもなくてはなりません。たとえば東京の小児病院に小児ガン対策があるかというと、私はないように聞いておりますが、がんセンターにやっと病床が十数床あるにすぎないという現状はあまりにもおくれておる。したがいまして、これを
文教委員会として放置しておくことはできません。子供というものは学齢から後を子供というから、学齢以下の者はこれは
文部省の
責任でないなどというやぼなことはわれわれは
考えておりません。学齢以下の者でありましたならば、幼稚園とか託児所のほうは厚生省と相談するし、学齢以後
文部省の担当しております分野におきましても、非常に大きな率のガンの患者が出ておるわけでございますから、したがいまして、きょう御
質問申し上げました結果に基づきまして、適切な注意を、
学校の
先生、父兄に小児ガン対策について必要な知識、啓蒙の必要があるとしまするならば、
文部省からそれを出していただきたいと思うのでございます。
ただいま申し上げましたことにつきまして、とりあえず
文部省当局並びに厚生省当局から、御説明なり御
答弁なりいただいて、あと今度具体的に御
質問したいと思います。