○坂田国務
大臣 今回政府から提出いたしました
学校教育法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
本
法案は、小
学校、中
学校、高等
学校等における教職員の組織及び職務を明確にすること及び各種
学校制度の改善、
整備をその内容といたしております。
小
学校、中
学校、高等
学校、盲、ろう、養護
学校及び幼稚園の教頭は、教諭をもって充てられる職として取り扱ってまいりましたが、各
学校における実態は、校長に次ぐ重要な職となっておりますので、この際、その地位に応じて、教諭とは別の職としてその位置づけを明確にする必要があり、また、養護助教諭、講師、実習助手、寮母は、いずれも
教育公務員特例法の適用については、教諭等と同様の扱いを受ける職員でありますが、その職務に関する
法律上の
規定を欠いておりますので、それを
整備する必要があると考えます。
各種
学校は、主として職業、家政その他実際生活に必要な知識、技術を習得させる実用的、専門的な
教育機関として大きな役割りを果たしており、また、中
学校または高等
学校卒業後の青年のための
教育機関として重要な地位を占めているものであります。このように各種
学校は
わが国民のための
教育機関として社会の要請にこたえる重要な任務を持っているものでありますが、
現行の各種
学校制度は、その
対象、内容、規模等においてきわめて多様なものを、
学校教育に類する
教育を行なうものということで、一括して簡略に取扱っており、制度上きわめて
不備であります。そのため各種
学校の制度的な意義が不明確であるばかりでなく、各種
学校の振興をはかるための適切な措置を講ずる上で障害になっているというのが現状であります。また、
昭和四十一年十月に行なわれた中央
教育審議会の「後期中等
教育の拡充
整備について」の
答申等においても各種
学校教育の改善、充実が望まれておりますところから、この際、各種
学校制度の改善、
整備を行なおうとするものであります。
まず、教職員の組織および職務に関する
改正内容について申し上げます。
小
学校、中
学校、盲、ろう、養護
学校および幼稚園には、原則として教頭を置くこととし、その職務は、校長を助け、校務を
整理し、児童、生徒等の
教育をつかさどることとするとともに、校長が欠けたとき、あるいは校長に事故があるときは、校長の職務を代理、代行することができるようにいたしました。また、高等
学校につきましては、全日制の課程、定時制の課程及び通信制の課程には、それぞれの課程に関する校務を分担
整理する教頭をおかなければならないこととし、その職務については、小、中
学校等の場合と同様にいたしました。次に、講師及び養護助教諭につきましては、教諭または養護教諭が得られない場合にこれらの職にかえて置かれる職とし、その職務を明確に
規定いたしました。また、高等
学校に実習助手を置くことができることとし、その職務を
規定するとともに、盲、ろう、養護
学校に寄宿舎を置くこととし、これらの
学校には寮母を置かなければならないこととしてその職務を
規定いたしました。
次に、各種
学校制度の改善、
整備の概要は次のとおりであります。
第一に、
現行制度においては、各種
学校は「
学校教育に類する
教育を行なうもの」とのみ定められておりますために、
学校制度としての積極的な意義が不明確であるばかりでなく、その
目的や
範囲も明確さを欠いております。よって、各種
学校の
目的を「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ること」と明示するとともに、修業年限、授業時数及び生徒数の三点を基準にしてその
範囲の明確化をはかることといたしました。
第二に、各種
学校の中には、中
学校または高等
学校卒業後の青年に対しまして、後期中等
教育または高等
教育程度の有意義な
教育を行なっているものが相当数ありますので、これらの
教育を行なう課程をそれぞれ高等課程、専門課程として位置づけ、特にその内容の充実、向上をはかることといたしました。
第三に、各種
学校の設置者の要件、設置基準、教科の基準、教員資格等につきまして、その特色に即した
整備を行ない、各種
学校の水準の維持向上をはかることといたしました。
なお、もっぱら
外国人を
対象として
教育を行なう
外国人
学校については、従来そのための制度がないので、便宜的に各種
学校として取り扱われてきたものがあります。しかし、今回各種
学校の
目的の明確化、基準の
整備等の
改正が行なわれますと、各種
学校の制度と本質的に異なる
外国人
学校にも及ぼすことは不適当となります。したがいまして、
外国人
学校につきましては、本
法案による各種
学校の改善、
整備とは別に、
外国人
学校制度として
整備をはかることとしたのであります。
最後に、この
法律の
施行日は、各種
学校制度の
整備関係につきましては、公布の日といたしておりますが、小
学校、中
学校、高等
学校等の教職員
関係につきましては、公布の日から起算して三月を
経過した日といたしております。この
法律の
施行の日に存しております
改正前の
規定に基づく旧各種
学校につきましては、
外国人
学校をも含めて必要な
経過措置を講ずるほか、関連する
規定の
整備を行ないました。
以上がこの
法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御
審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)