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宮地政府委員 最近
高等学校の卒業式におきまして、一部の
高等学校でいろいろなトラブルが起こっておる。たとえば答辞を読みます中に、
学校教育とかあるいは国の政策を批判したりするようなものがあるとか、あるいはあらかじめ読むべく用意された答辞が、その場になってすりかえられるとか、あるいは読むべき予定のものを読んだあとに、またいろいろ政治的なことを含めたことばをつけ加えるとか、その他、新聞等にございますように、一部の
学校では卒業式を妨害するために、一部の
大学生に似たようなかっこうをして式場を封鎖する、その他いろんな問題が起こっております。私
どもまことに遺憾なことだと思いますが、各
学校によってそれぞれ多少ずつの違いはございますが、総じてこれを見ますと、一つには三カ年の
高等学校教育が
大学の受験準備に追われて、予備校的な
教育であったといったようなことを言っておる。いわゆる
高等学校教育への批判というものが一つ特色としてあるようでございます。それからまた、安保反対とか、あるいは中には
教科書の検定
制度がよくないとか、その他沖繩問題とか、いわば政治的な面を含みました主張があるようでございます。
それから、たとえば答辞、送辞等をいわゆる総代として読みます者が、いま申しましたような中身のものを読みます場合も、本人が日ごろから信じておって、それを自分の主張としてぜひ述べたいということも中にはあるのかもしれませんが、多くの場合は、だれかに読まされた、あるいは本人も多少そういう気持ちもありますが、
生徒のグループでそういうことを読んだほうがいいじゃないかといったようなことで読まされる、あるいは、これはまことに遺憾なことと思いますが、まだ詳細はわかりませんけれ
ども、
教師の方がそういったようなことを何か
指導しておるような節も見られるというような点がございます。それからさらに、
高等学校の卒業生で
大学なんかに進んでおる者が、自分の
高等学校へ戻ってきて、そういうことをそそのかす、あるいは隣近所の
高等学校の卒業生、あるいは中途で退学させられた者、こういった者が入り込んでくるといったようなことで、私
ども、この問題につきましては、
大学とはおのずから違った面がございましょうけれ
ども、まだ
大学生よりも年齢の若い、成熟度もおそい
高等学校の
生徒がこういうことをするということは、たとえば
高校教育のあり方といった点につきましては、私たち
文部省なり、
教育委員会なり、
学校行政をつかさどる者としても十分考えなければならぬというふうに考えますが、その他の問題につきましては、これはただ行政上の問題ということよりも、日ごろからの
教師の
指導ということも相当影響があるのじゃないかといったようなことで、この問題は総合的に検討して、こういったようなことが、ただくさいものにふたをして、消してしまうということじゃなくて、もっと十分原因を究明し、また適切な対策を講ずる必要があろう。こういうふうに考えております。
以上申し上げましたような例につきましては、私のほうで報告を徴しておるのですが、まだ十分でもございませんし、幸い近く
指導部課長
会議を開く予定にいたしておりますので、そこで十分報告をしてもらい、また
指導部課長
会議でもこういうことについての原因を十分さぐり、また、正すべき方策はどういうことかといったような話し合いもしてみたいと思っております。