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菅野国務大臣 物価の問題については、
お話しのとおり、これは数年来の問題であって、佐藤総理が実現してからも、この
物価の問題に取り組むということで、佐藤総理はしばしば
物価の安定ということを声明されておるのであります。そこで佐藤総理は、この
物価の問題を解決するという
意味において、
経済社会発展計画というものを立てまして、それは四十二年からこれを実施することになったのでありますが、大体
物価の問題は、その
経済社会発展計画で織り込んでおる
消費者物価の
上昇の予定以内でおさまってきておる。ところが、四十三年度は大体四・八%という
計画であったのでありますが、昨年の上半期に五・七%
上昇いたしましたので、これは容易でないということにみんなが気づき、したがって、この
物価の問題は
政府の最重点施策としてやろうという決意を、総理をはじめわれわれ一同が持った次第でありまして、また、昨年内閣改造の場合にも、その点ははっきり総理からも
所信表明をされたのであります。
でありますからして、
物価に取り組んで今日に来ておるのでありますが、そこで、昨年は上半期が五・七%で、その勢いをずっと持続させれば、四十三年度はあるいは六%近くなるんじゃないかということを予想されましたので、それでは
経済各方面に
影響するところ大きいということで、いろいろ勘案いたしまして、四十三年度は五・四%というように
見通しを立てたのでありますが、私は四十四年度からはぜひ五%以内におさめたいということを決意したのであります。しかし周囲のいろいろな情勢から見ると、五%に押えることは非常に困難です。困難でありますが、私は、五%で押えなければ
国民が人心安定しないし、先ほど
お話しのとおり、政治不信感というものはこの
物価の騰貴によって
国民は持っておるのでありますからして、この政治の不信感を払拭する
意味においても、せめて四十四年度は五%以内でおさめなければならぬということを決意いたしまして、そしていろいろの
対策を講じたわけであります。
したがいまして、まず第一に、
国民一般が
考えておることは、この
物価の
上昇は
政府が主導しておる、すなわち
公共料金を
政府が上げておるから
物価が上がるんだという
考え方、この
考え方を払拭せしめなければならぬということを
考えましたから、そこで
公共料金を一切上げないという
方針を定めまして、そして閣議もたびたび開いて関係
大臣とも相談いたしまして、結局、先ほ
どもちょっと申し上げましたが、
国鉄料金だけはやむを得ないが、ほかの
公共料金は上げないという
方針をきめたのであります。たとえば米価の問題でも、米価は据え置くという
方針をきめたのでありまして、これは総理がたびたび言明しておるとおりであります。そのほかの問題、麦の問題、塩の問題にしても、あるいは電信電話の問題にしましても、それぞれの
各省からこれはぜひ
値上げしてくれという要望がありましたけれ
ども、私は、
物価を押えるという
方針からして、それらの要望をみなお
断わりをして、そして
物価安定に御協力を
お願いすることにしたのであります。そういうことで、さしあたりの問題としては、
政府主導型の
物価上昇ということをまず払拭してしまうという
方針をとっておるわけであります。
まあそれで、
国鉄の
運賃の
値上げに
関連して、
皆さん方から非常に完ぺきじゃないじゃないかということでおしかりをこうむっておるのでありますが、その点は実は私も重々覚悟はいたしております。そこで、
国鉄の
料金の
値上げの分は、先ほ
どもちょっと申し上げましたが、いままで問題は、
国鉄の
料金を
値上げしますと
私鉄の
料金が便乗
値上げをしております。これはいままでの例がそうです。そこで、この便乗
値上げは許さぬといりかたい決意をもちまして今日までやってきておるのであります。そういう点で
公共料金を押えるという
方針で大体来ておる。
それから、根本はやっぱり
日本の
経済が二重
構造であるということです。これが解消しなければ
物価の問題も解決はできないのである。ところが
日本の
経済の二重
構造ということは、これは阿部
委員も御承知のとおり、戦後あの悲惨な
日本の
経済がここまで立ち上がるということについては、これはいろいろな無理もしております。そこでいわゆるひずみというものが起こってきておって、一方では
生産性の高い産業はどんどん発展するが、
生産性の低い産業というものは発展しないということで、二重
構造というものができ上がっておる。それによってまた
物価が上がっておるのでありますからして、この二重
構造をなくするということ、その点を
考えなければならぬということで、
政府はそういう
方針でいろいろ予算も組んでおるのであります。これはしかし、その効果をあらわすのには、直ちに効果があらわれるものではありません。数年かかります。先ほど
武藤委員からも
お話がありましたが、たとえば流通機構の問題でも、これも流通機構をよくして、そして流通経費を少なくするということについては、これはそうにわかにできるものではありません。多年の商業慣例などで、これを改めるということは容易なことではありませんが、しかし漸次私はこれも改まりつつあるという
考えをしております。そういう二重
構造をまずなくするということについて、
政府があらゆる手段を講ずるということで、これは具体的な予算については、
政府委員からもし御必要があればお答えさせますが、そういうことでいろいろ各方面について予算をとってやっておるわけであります。
そこで問題は
——(「長いな」と呼ぶ者あり)
政府はそういう
方針でやっておりますからして、
政府は何も
方針をとっていないじゃないかという
お話があるから詳細に
お話をしておるのであって、
政府はかくのごとくいろいろ苦心してやっておるということをひとつ申し上げて、決して
物価というものをないがしろに、軽視しているのではない、これを重要施策としてやっておるということをひとつ御
理解を願いたいと思うのであります。