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1969-03-14 第61回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十四日(金曜日)     午後五時四十五分開議  出席委員    委員長 帆足  計君    理事 小笠 公韶君 理事 木部 佳昭君    理事 竹内 黎一君 理事 武藤 嘉文君    理事 阿部 助哉君 理事 武部  文君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       佐藤 文生君    山下 元利君       唐橋  東君    村山 喜一君       岡沢 完治君    有島 重武君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君     ――――――――――――― 三月十一日  物価値上げ反対等に関する請願(田代文久君紹  介)(第一八五〇号)  同(曽祢益紹介)(一八八一号)  同(中嶋英夫紹介)(第一九四二号)  同(畑和紹介)(第一九四三号)  同(広沢賢一紹介)(第一九四四号)  同(帆足計紹介)(第一九四五号)  同(中嶋英夫紹介)(第一九九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月六日  公共料金値上げ反対に関する陳情書外八件  (第一八三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 帆足計

    帆足委員長 それでは、これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件につきましておはかり申し上げます。  目下運輸委員会におきまして審査中の内閣提出国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案及び久保三郎君外九名提出日本国有鉄道鉄道施設の整備に関する特別措置法案、右について、運輸委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 帆足計

    帆足委員長 それでは御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、連合審査会が開会されます場合の日時につきましては、運輸委員長と協議の上、お知らせすることにいたします。      ————◇—————
  4. 帆足計

    帆足委員長 次に、物価問題等に関する件につきまして調査を進めます。  質疑のお申し出がございますから、これを許します。武部文君。
  5. 武部文

    武部委員 昨年の四月二十五日に当委員会消費者保護基本法可決決定をいたしました。その際に、詳細にわたって、現在の食品その他消費者保護に関して、与野党を通じて、いろいろな問題で政府考えをただしました。特に食品の問題については、その表示あるいは内容、特に非常に危険な食品が出回っておる、あるいはまたインチキ、ごまかし商品が非常に横行しておる、こういうような点について、現在の食品衛生法で取り締まることは非常に困難である。具体的にきょう私は時間の関係で申しませんが、あとで二、三申し上げますけれども、そういう点について、厚生省側から非常に詳しい答弁がなされました。同時に、現在の法律ではそれを完全に取り締まることが困難だ、したがいまして、指摘をされた多くの点について十分検討をし、来たるべき国会に前向きの形で取り組みたい、こういう答弁が各項目についてございました。  さらに、私どもは具体的な問題として、その法案の成立の際に当院で附帯決議決定をいたしました。その中に、食品衛生法、特に特殊栄養食品の標示問題、この問題については「食品表示制度海外諸国に比して立ち遅れており、かつ、最近の消費生活の実態にも適合しなくなっていることにかんがみ、統一的な観点から食品表示に関する制度のあり方とその運用について根本的な再検討を早急に行なう」べきである、こういう決議を行なったのであります。  前回委員会で、この附帯決議に基づいて、農林省農林物資規格法の一部改正案を用意しておるということをここで表明がされました。厚生省については非常にたくさんのやりとりがあったのでありますから、当然食品衛生法について、その改正法律が今度の国会に提案されるものと私どもは信じておったのであります。ところが答弁を聞いておりますと、努力中であるとか、ただいま検討中であるとか、こういう答弁でございました。きょうは大臣においでをいただいたわけでありますから、厚生省として、この消費者保護基本法附帯決議に関してこのたびの国会法律改正を用意されておるのか、その内容についてお承りをいたしたい、こう思います。
  6. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 消費者保護基本法制定の際のいろいろな御意見、また附帯決議等も、私も承りまして承知をいたしておるのでございますが、御承知のように、消費者保護という見地に立ちますと非常に幅が広いわけであります。厚生省といたしましてはいままで、もっぱら衛生という見地から、あるいは栄養改善向上という見地から、取り締まりの立場法律をつくり、また運用してまいったわけでございます。現在のその立場からいたしましても、あるいは規格表示というようなものをもう少し明確にしなければならぬものがございますので検討しておりますが、これは省令あるいは政令でほとんどできるわけであります。法律改正して、そして厚生省のいままでの分野でないところまで乗り入れていくということにつきましては、農林省あるいは通産省その他といろいろ関係を持つわけであります。これらにつきましては企画庁が中心になられて、いろいろと総合調整をはかってもらっているわけであります。農林省のいわゆるJAS法改正もまたさようでございますので、私のほうはそういう意味でまだ検討がおくれておるわけであります。したがって、できるならばこの国会に提案をいたしたいと思って事務当局努力をいたしておりましたが、今日になってまいりますと、ちょっとこの国会には間に合わぬのじゃないか、かように考える次第でございます。
  7. 武部文

    武部委員 先ほどから申しますように、この基本法が通ったのは一年前であります。具体的に申し上げる時間がないのを非常に残念に思いますが、その際に数点にわたって明確な答弁がされておるのであります。厚生省にほんとうに消費者保護という立場のそういう気持ちがあるとするならば、この一年の間に当然そのような検討がなされ——特にあのライスオイル問題等が発生をいたしておりますが、いま国民はこの問題に非常に関心を持っておるのであります。私は、当然今度の国会に、厚生省検討をされて法案を出されるものと期待をいたしておりました。私ども与野党を通じてそのように思っておりました。ところが、いま大臣答弁を聞きますと、検討してみたが間に合わぬ、こういう答弁であります。厚生省熱音曲がないのではないか、われわれはそう思わざるを得ないのであります。これからいろいろ論議をいたします農林物資規格法の問題についても、内容的には問題があります。問題がありますが、少なくとも農林省はこの附帯決議の線に沿って、JASマーク改正に取り組んで法案準備をいたしておるのであります。にもかかわらず、厚生省だけが一体どのような理由で間に合わなかったのか、何を検討いたしたのか、それをひとつお伺いしたい。
  8. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいました、たとえばライスオイルというような、これは本来厚生省所管で処理しなければならない問題でございますので、こういう問題につきましては、先ほど申しますように政令あるいは省令改正して完備していく、その準備をいたしておりますので、これは近くできるだろうと考えております。法律改正して、いままでの分野からさらにはみ出ていくということにつきましては、あるいは消費者保護法消費者保護のための食品法とかなんとかいうようなものをつくるというようなことになってまいるなら、その主管省をどこにするか。いま農林省JAS法消費者保護見地を持っておられるわけでありますが、そういうようなものも一緒に含めていくということになるのが一つの手段ではなかろうか。厚生省ももちろん、これは各省ともでありますが、その行政をやりますのには消費者保護ということを頭に入れてやらなければなりませんが、それをやるについてのおのずからの分野があるわけであります。その分野企画庁調整をしていただくというのが今日のたてまえになっておりますが、しかし消費者保護をどこかで取り切ってやるということになれば非常に進むんじゃないだろうかというふうに私も思います。厚生省分野における、先ほど申しました表示あるいは規格、あるいは検査あるいは製造等における認可の基準というようなものにつきましては、政令あるいは省令でできるものは、できるだけ近い機会改正をして完備をはかりたいと準備をいたしておるわけでございます。
  9. 武部文

    武部委員 そうしますと、この附帯決議なりあるいは委員会やりとりをいたしました幾多の問題について、厚生省としては省令なり政令改正で事足りる、食品衛生法改正は必要ない、こういうふうにお考えになったのですか。
  10. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 必要ないとは申しません。その点につきましても検討をいたしておるわけであります。できるだけこの国会で若干でも改正をしてやれないかというので検討をいたしておるのでありますが、これをやりますのにはまだまださらに検討を続け、そして実際それをやった場合に、その実施機関として監視をしたりあるいはいろいろな事柄が伴いませんと実効を来たしません。また厚生省守備範囲も広めなければならぬというようなことで、各省ともいろいろと関係を持つことになるわけでございますので、いま慎重に検討をいたしておるわけでございます。
  11. 武部文

    武部委員 私は、消費者保護の問題について厚生省の態度は非常に不熱心だと思うのです。具体的な例を申し上げますが、私どもは、いまの食品の問題について監視体制等については非常に不備がある、こういう点についてはそうたくさんの費用が要るわけではないのだから、今度のこの消費者保護基本法論議を通じて明らかになった点については、こうした問題について厚生省は必ず解決してくれるだろう、そういう期待を持っておったのであります。  たとえば輸入食品監視体制についても当委員会で取り上げたのであります。現実にいま食品輸入監視体制というのは、十一の港にわずか二十人の監視員しか配置されておらない。その輸入食品は一年間に十二万件の多きにのぼっておる。ところがこの十二万件の輸入食品を一体どれだけチェックをしておるかということを厚生省に聞きますと、わずかに六%、七千件の食品を一応検査をした、こういう形にしかなっていない。十二万件について七千件。特にひどいのは、横浜の港においてはわずか四人の監視員しかいない。そこでは四万二千件の輸入食品が一年間にあったのに、検査をしたものはわずかに九百十七件、二%足らずです。こういうことで一体危険な食品チェックができるのか。少なくともこうした問題について、この監視員の増員を今度の国会において、予算要求においては厚生省は当然行なうべきだということを私どもは主張をしたわけであります。残念ながら一名もふえておりません。  さらに、いま地方の保健所あたりで、食品についての政令で定められた監視を行なっておるかということについて厚生省答弁を聞きますと、二百五十三万カ所もある食品の取り扱い、そういう個所について政令で定められたもののわずか二〇%の監視しか行なっていない。それだけ人間が少ない、こういう答弁でありました。残念ながら、今度の予算を見ましてもこういう問題には全然触れておられないのであります。  この一事をもってしても、さらにまた、いま大臣答弁になった省令政令検討しておる——一年前からの問題なんですよ。そうして法律についても間に合わなかった、こういうことでは私ども納得できないのであります。  そこで具体的にお伺いをいたしますが、私はこの三月六日、つい先日の委員会で、国民生活審議会消費者保護部会懇談会を持った内容を聞きまして、このことを当委員会で質問をいたしたところが、それは正式な委員会ではないというような答弁でありました。この総理大臣諮問機関である国民生活審議会消費者保護部会が三月七日「食品表示制度についての意見」というものをまとめております。この中の大要は省きますが、三点について商品表示基本原則というものを定めておるのであります。そうしてそのあとのほうに、この「三原則に適合した食品表示を確保するためには、将来の措置としては、食品法ともいうべき統一法必要性についても検討すべきである」、こういうことがこの保護部会決議をされておるのであります。私どもが、一年前のこの基本法附帯決議の中にこの統一食品法のことを実はうたったのであります。統一的に各省がこの食品問題については見解をまとめ、そのような方向で進むべきである、こういうことを決議の中に入れておるのであります。その前段は当然食品衛生法改正にあると私どもは見ておったのであります。食品法というものが早急にできるとは思いません。思いませんが、その前段としては当然食品衛生法改正、あるいは栄養食品問題等を含めてこのことが用意されてしかるべきだ、そのことの上に立って将来の食品法というものの制定の一歩前進があるというふうに私は見ておったのであります。ところが、この三原則の問題が出てきたわけであります。この総理大臣諮問機関である消費者保護部会は、私ども指摘したと同じことを決議いたしておるのであります。厚生大臣はこの食品法というものについて一体どういうお考えなのか、それをお伺いしたいと思います。
  12. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私も先ほど、その答申にあったかなかったか知らなかったのでありますが、食品法というようなものが必要ではなかろうかと申し上げたわけであります。私もそういうものは必要であろう、かように考えます。
  13. 武部文

    武部委員 そういたしますと厚生省としては、今回農林省が出しておる農林物資規格法改正のこの中に食品表示の問題があるわけであります。これは前委員会でも私どもは取り上げたわけでありますが、この分野厚生省分野ではないかと思うのです。したがってこの農林物資規格法の中に新たに表示という項が載った、このことについて、厚生大臣はこの農林物資規格法改正案についてどういう見解をお持ちか、それをひとつお伺いしたい。
  14. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 それも先ほど私は申し上げたつもりなんですが、農林省守備範囲にある食品について食品表示をやられる、あるいは規格をさらに検討されるということはけっこうなことじゃないか、それはおれのほうだからおまえのほうでやるんじゃないというような考えは持っておりません。食品表示は一切厚生省でやらなければならぬともただいま考えておらぬのであります。したがって私は、そういうことは経済企画庁で統制をされて、本来なら経済企画庁でそういう食品法というようなもの、あるいは消費者保護見地からのものをこしらえていただければいいんじゃないかと思います。あるいは食品に関するものは一切厚生省でやるということにきまれば、あるいはそういうことになるかもわかりません。今日食品に関しましては、いわゆる食品衛生あるいは栄養という見地からやるということになっておりますので、そこをさらにはみ出すか出さないかという問題であります。いま、はみ出さないという考え方で、農林省のやっていただくこともけっこうだ、大いにやっていただきたい、私のほうからも助言することがあれば助言いたしましょうということでやっているわけでございます。
  15. 武部文

    武部委員 私はいまの厚生大臣見解に疑問を持ちます。というのは、この農林物資規格法というものの持っておる性格というものは、いま大臣のおっしゃったようなものじゃないのですよ。少なくとも、前回委員会で、あなたがおられないところでやったわけですが、農林物資規格法というものの性格はそういう性格じゃないのです。品質向上であるとか、そういう問題についてこの農林物資規格法は定めておるのですが、食品の問題については、私は、主管官庁は当然厚生省だと思っておるのです。  そこで引用いたしますが、こういう答弁厚生省からありました。食品品質というようなものも必要によってきめ、かつそれが消費者の方にわかりやすい形で表示される、そういう方向厚生省検討する。さらに、健康の保持あるいは国民生活の安全と衛生というものを考えた、食品衛生法内容をより広げていくというようなことを考えてみたい。私は二つだけいま抜粋いたしましたが、こういう答弁が去年の国会でいろいろやりとりいたした中にあるのであります。少なくともいまあなたがおっしゃったように、守備範囲農林省のものであればそれでいいじゃないか、こういうものの考え方表示問題等について農林物資規格法をお考えになるならば、これは私は誤りだと思うのですよ。これはおのずから法律内容が違うのですよ。われわれはそれがあるからこそ、食品衛生法改正について非常に長い時間をかけてここでやりとりをしたのです。当然あなたのほうも食品衛生法の中に表示問題や、あるいは公取景表法の問題について取り上げ——この附帯決議をどういうふうに読んでおられるかわかりませんが、この三つをみんな一緒にして食品表示については十分考えなければならぬという附帯決議になっておるのです。そのうちのたった一つ農林省だけが自分のところで表示だけを持ってきたから問題なんですよ。少なくとも三つがそれぞれ連係をとって、この附帯決議についての食品表示は一体どうしようか、これだけ問題になっておるのだからこれをどうしようかというような、そういうことを十分話し合った上で農林省が出してきたものならば、私はまあまあ話がわかる。農林省農林省表示問題を出してきた。あなたのほうは食品表示については全然おやりにならぬ。公取も、あとでお尋ねしますが、おやりにならぬ。こういうようにちぐはぐになっておるから、われわれはこれを取り上げておるのです。  ですから、もうくどいことを申しませんが、それならばこの消費者保護部会決議の線に沿って、あるいは附帯決議の線に沿って、食品法制定について厚生大臣としては企画庁十分連絡をとって——私は食品法については主としてあなたのほうのことだと思うのです。少なくともイギリスやアメリカにあるのですから、でき上がっておるのですから、ないのは日本くらいなものなんですから、このことについて十分検討して、それでは早急に法律をつくる、そういう御決心でしょうか。
  16. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 食品法とその内容でございますけれども、私は、消費者保護という見地から考えますると、単に衛生栄養というだけでなしに、いろいろな面が入ってくるだろうと思うのであります。価格の問題も入ってくるかもしれません。いろんな問題が入ってくるだろう、かように考えます。そういうものを企画庁考えていただいて、そしてこれは厚生省がよかろうということであればお引き受けもいたしますが、いま直ちに食品衛生厚生省でやりましょうというだけの自信は持ちません。
  17. 武部文

    武部委員 それじゃ企画庁にお尋ねしますが、最初にこの消費者保護部会意見書についてお伺いいたしますが、この中に栄養改善法というものが抜けております。これがどういうわけで抜けたのか、それが一点。  それから第二点は、いま厚生大臣からお話がございましたが、「食品法ともいうべき統一法必要性についても検討すべきであるが、現状においては、これらの諸制度所管する関係省庁が相互に協力して食品表示適正化を推進すべきである。」こういう意見書をまとめておりますが、企画庁はこの食品法についてどういう見解でしょうか。
  18. 八塚陽介

    八塚政府委員 この前も申し上げましたように、私直接この保護部会に出ておりませんでしたので、詳しくはこの起草の方の意図をあるいは十分わかってないかもわかりませんが、ただいまの第一点の御指摘につきましては、必ずしもそれを意識的に落としておるということではないと存じます。「法等」ということで、確かに具体的に名前をあげてはおりませんけれども、それだからといってそういうものについてはずしておるというふうには考えなくても、保護部会の御意見の解釈としては適当ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから第二点の問題でございます。先ほど来からの御意見もございましたが、私どもといたしましても、具体的に、食品法というふうにいわれております中でどういうことをどういう構成で考えておられるか、必ずしも判然とはいたしませんけれども、しかし消費者保護あるいは消費者の利便という観点からは、ここにあります「わかりやすく明確に表示されていること。」とか、あるいは「必要かつ十分な表示であること。」とか、あるいは識別がよくできるとかいうようなことを、いろいろばらばらな観点から表示するということは、ごく簡単にいいましても消費者保護という観点からは不十分である。そういう意味で「食品法ともいうべき統一法必要性についても検討すべきである」、これは、目的についてはもう当然そういうことであろう。ただ現状におきまして、上記のいろいろな法律をそれぞれ関係省庁所管をいたしておりますし、それはそれで各省庁のいわば基本的な性格に基づいて所管をいたしておるわけでございますから、現状においてはそういう諸制度をじょうずに使って、その諸制度所管しておる各省庁が協力して、目的をとにもかくにも食品表示適正化というところに置いて推進すべきであるというふうに私どもは解しておるのでございます。
  19. 武部文

    武部委員 ちょっとわかりにくいのですが、そういたしますと、この食品法の問題は、前委員会でも言いましたが、二年前に厚生省環衛局長食品法制定について検討を進めるということを言っているのですよ、参議院の委員会で。いまの厚生大臣の話を聞きますと、所管がどこになるかわからぬというような話もございましたが、いずれにいたしましてもこれだけ食品問題が大問題になっておるのですから、食品法ともいうべき統一した法律を、積極的に企画庁厚生省農林省等で相談をして、早急にその制定に向かっての準備を進める、そういう答弁はできますか。そういう意向はございませんか。
  20. 八塚陽介

    八塚政府委員 いまも申し上げましたように、そういう法律目的というのはきわめて必要なことでございますから、当然食品関係をいたしております、あるいは消費者保護という観点から食品関係をいたしております各省庁は、その問題について当然検討を進めなければならないと思っております。ただ、先ほどもちょっと申し上げたかと思いますが、かなり基本的にむずかしい問題もあろうと思いますし、私どものほうといたしましても、たとえば、やや迂遠な道であるかもわかりませんが、国民生活審議会保護部会に対しましても、いわば表示あるいは消費者に対する情報というものをどういうふうにやっていけばいいかというのをかなり根本的に御論議願おうというふうに、同じ線に沿った問題意識を持って歩んでおるつもりでございます。そういう意味におきまして、早急に立案できるということはなかなか困難であろうということをはっきり申し上げなければならないと思います。しかし、研究に早く手をつけなければならないということだけは御指摘のとおりでございますので、私どもといたしましてもさっそく機会をつかまえまして、研究を各省庁の御協力をいただいて取り進めてまいりたいというふうに存じます。
  21. 武部文

    武部委員 企画庁考え方はわかりましたが、それでは厚生大臣は、先ほどの御答弁のように、この食品法制定については積極的に協力する意思がある、このように解してよろしゅうございますね。
  22. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 協力はもう積極的といいますか、最善を尽くして協力をいたします。
  23. 武部文

    武部委員 それでは農林省にお伺いする前に公正取引委員会に、今回出される予定の農林物資規格法の一部を改正する法律案というものが私どもの手にあるわけですが、この法律は、名称が農林物資の規格及び表示に関する法律ということになって出てくる模様であります。公正取引委員会としては、この第三章にある表示、このことについてどういう見解をお持ちでしょうか。
  24. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 公正取引委員会といたしましては、表示の問題につきまして不当景品類及び不当表示防止法の執行に当たっておりますので、今般の法案の中の表示に関する部分につきましては、重大な関心を持っておるわけでございます。先ほど来御質問のように、食品表示につきましてはいろいろな角度から、総合的な方針が強力に打ち出されなければならない立場にあると私ども考えておりますが、経済企画庁を中心といたしまして大きな線で政策の調整をしていただきまして、その範囲内で私ども調整してまいりたいというふうに考えております。
  25. 武部文

    武部委員 重大な関心を持っておられるというような答弁でありますが、私は、少なくとも公取はこの第三章の表示については大きく異論を持っておるものだと思っている。当然お持ちにならなければならぬと思うのです。そういう点について、積極的にこれは農林省なりあるいは企画庁と相談をされて、いまの景表法との関係、こうした点については早急にひとつ見解をまとめていただかなければならぬ、こう思うのです。  そこで今度は農林省にお伺いをいたすわけでありますが、私は前のこの委員会で第三章の問題について触れました。この第三章は削除すべきではないか、こういう見解を述べたのであります。その見解を反復することはやめますが、きょう申し上げたように、この表示問題というのは、特に食品表示問題というものについては、厚生省なり公取との間に非常にこれは問題があるのだ。それをただ農林物質規格法の中に改正をして表示を入れる、それだけで問題は片づくものではない。むしろそれによって、本来正当に取り締まらなければならぬ問題が、農林省のこの法律によって肩がわりされてくるのではないかというような気持ちを私は持ったので、この第三章の削除をされる意思があるかということをお聞きをいたしました。農林省としては、第三章はどうも削除する意思がないような答弁でありました。  それで、むしろわれわれがいま農林省に望みたいことは、現行農林物資規格法の中で非常に多くの欠点があります。これは二つ私は例をあげる。これは新聞に出たことですから皆さんもお持ちになっていると思うが、いまのJAS規格というものが全く有名無実、極端な言い方ですが野放しになっておる。  たとえば、これは先月の十八日の新聞でありますが、住宅用木材のJAS規格が「二十年間放ったらかし」という記事が載りました。これを調べてみました。このJASマークのついた日本農林規格の住宅用の木材が「やっと日の目を見る」こういうことから、「昨年暮れからこの十七日までに全国製材量の約三割に当たる二千五百工場がJAS規格の製品工場として林野庁の許可を得た。」これは認定工場だと思うのですが、二十年間この問題をほったらかしにしてあった。これは一歩の前進だと思うけれども、こういう問題が出ました。  さらに、つい先日、これは「十九年間そっぽむかれた“ザル規格”」、食用油です。簡単ですからこれを読み上げてみます。「JAS(日本農林規格制度が二十五年に定められてから、これまで十九年間、この制度にそっぽをむき、受検率はゼロ、もちろんノーマーク品ばかりという食品がある。家庭料理にかかすことのできない食用植物油がそれだ。これまでほうっていた農林省や業界も、さすがに「これでは消費者に申しわけない」と、近く制度をもっときびしく改正し、JASを徹底させることになった。」こういう表題で相当大きなスペースで出たわけです。先ほど私は木材のことを言いました。これは食用油です。なぜそういうものがJASマークになっていないかといえば、「業界がJASをけった最大の理由はJASの規格があますぎたためだ。」こういうことになっておるのです。  このJASの運用についてほったらかしにしておいて、今回消費者保護基本法ができたからといって、この法律の第三章に表示を載せればそれでもってこと足れりというようなものの考え方では、私はやっぱりだめだと思うのですよ。いまの運用について、もっともっと的確に、規格の問題についても、あるいは対象範囲にしても輸入食品の問題についても適用するとか、そういう問題について農林省はもっともっと力を入れるべきだ、私はそう思うのです。それは当然こういうふうに出てくるのですから……。一体このJAS規格の問題について農林省はどういうふうにお考えなのか、これをひとつお伺いしたい。
  26. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 お答えいたします。  ただいまの御意見でございますが、後段で御引例になりましたような事例も考えまして、今回の改正ではJAS規格の問題につきましてもあるいは工場認定の問題につきましても、あるいはまた輸入品を含めるような範囲の改正等もはかりましたり、一そうひとつ内容を充実しようというのが第一点でございます。  第二点は、表示適正化をはかろう。すなわち第三章を撤回する意思がないかというお尋ねでございますけれども、むしろこれこそ消費者保護基本法制定のときに皆さま方国会のほうでその意思をはっきりと附帯決議の(2)項に示されまして、表示制度の充実をはかれ、こういう国会の御意思があるわけでございます。その御意思に基づきまして、私どもは今回JASの問題につきましても表示の基準を制定してしっかりやろう、それ以外の品目につきましても表示適正化を大いにはかって消費者の保護の万全を期そう、こういうことでございますから、私どもはこの第三章の撤回をする意思は持っておりません。
  27. 武部文

    武部委員 再び引用いたしますが、総理大臣諮問機関消費者保護部会はこういう意見決定いたしております。「とくに現在問題となっている農林物資規格法改正案の趣旨は、消費者保護対策を前進させようとするものであると認められるが、そのうちの表示義務制の措置は、表示の統一化への配慮を含めて再検討すべきであろう。」こういう決議がなされているのであります。これは私は当然のことだと思うのです。これをわれわれは主張しておるのです。この決議内容は、言うまでもなく「表示の統一化への配慮」というふうになっておるのであります。この第三章をずっと読んでおりますと、私がいつも言うように、食品表示ということについて疑問が出てくるからであります。食品表示について、農林省がこの問題ですべてを律すると言っては語弊がありますが、こういうことについて、この決議もその点の疑問を持っておるから私はこういう決議になったと思うのです。景表法もしかりであります。こういう点について、何回も言うのですが、公正取引委員会あるいは厚生省農林省で、この第三章の取り扱いについて、消費者保護部会のこうした決議の線もあることですから、再度考慮されて打ち合わせをされる意思がおありかどうか、それをお聞きしたい。
  28. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 私は、先生の御意見に対しては、この附帯決議の(2)と(3)の問題についてひとつ私ども考え方を申し上げなければいかぬと思うのですが、(3)では「統一的な観点から食品表示に関する制度のあり方とその運用について根本的な再検討を早急に行なうこと。」というのが国会附帯決議を通じての御意思であるわけでございます。しかしながら、やはり現実に一歩も二歩も消費者保護立場から前進をしなければいかぬだろうから、附帯決議の(2)で、現在の農林物資規格法については、ひとつ表示制度の充実なり表示方法の明確化をはかってやれ。これはすなわち、いまの私ども法律改正案をできるだけ早くまとめて、消費者保護のためにもひとつ制定をしろという御意思だと私どもは解しておるわけでございます。  先ほど来、私も質疑応答を聞いておりまして、統一された食品法制定についての御議論がございました。ずうっとお伺いをしておりまして、要約をいたしますと、先生の御意見は、統一された食品法というようなものが制定されるまでは、いま私ども考えておる——まだいま調整中でございますが、農林物資規格法というものの改正の中の表示適正化、第三章の規定はしばらくやめたらどうだ、食品法というような表示の問題をめぐって統一的な立法がなされるまで、しかもそれを早急にやってくれるまではやめておいたらどうだというふうに承るわけでございますが、この総合的な食品法——アメリカには御承知のように食品と医薬品の法というものがございます。これは主として衛生立法だと私どもは理解をいたしておるわけでございますが、現在日本では食品衛生法あり、栄養改善法あり、農林物資規格法あり、不当景品類及び不当表示防止法等があって、確かにいろいろな法律でいろいろな面から規制をされているということをごらんになりますと、また受け取る消費者は同じわけでございますから、これが一本になって何らか表示制度が統一されるようになってほしいという要望があることもよくわかります。先ほど厚生大臣に対する御質疑を聞いておりまして私感じたのでございますが、食品の生産と配給、消費ということについては、これは農林省が一応主たる責任官庁でございます。その食品をめぐる栄養の問題なり衛生の問題なりの問題について、厚生省国民衛生を守り、栄養改善をはかっていく見地から、それぞれ食品衛生法栄養改善法というものでまたそういう面からの責任を明らかにする意味法律制定されているわけでございますが、要するにこの統一された食品法制定というものは、確かに将来の理想図として私どもも理解をいたしますし、また国民のためにもそういうあり方に向かって進んでまいらなければいかぬと思いますが、現在御承知のような行政機構あるいはそれぞれの責任関係、権限関係をいろいろ見てまいりますと、そう急にこれが統一をされてはたして有効な効果をあげ得るかどうか。ただ企画庁なりあるいはその他のところで調整をすればいいという問題でなくて、実効をあげていかなければならぬ場合に、それぞれの実施官庁というものの立場、権限からどういうふうに考えていかなければいかぬのかという点については、非常に関係するところが多いものでもございますので、相当の期間を置いて検討してまいらなければいかぬものではないかと私は考えます。  しからばそれまで、現在の私どもが持つJASの法律というものの中に消費者保護考え方を取り入れないでいいか。これはやはり一歩も二歩も前進しまして、御承知のような列挙された問題等もございますので、また国会附帯決議等もございますから、早急にひとつ一歩も二歩も前進をして、食品をめぐる表示適正化をとにかくわれわれの分野ではばかっていって、消費者保護に役立たすようにしたい。同時にそれが生産の改善なりあるいはまた合理化なりにつながっていくようにしたい。こういう考えで目下法案制定に鋭意努力をいたしておるわけでございますので、ぜひ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  29. 武部文

    武部委員 申し合わせの関係もありまして、きょうは時間が非常に少ないので、いずれこの問題はなおまた機会を見て、いろいろ農林省なりの御見解も承りたいし、特に公正取引委員会見解もどうもまだふに落ちませんので、もっと明確なお答えをいただきたいのでありますが、特に農林物資規格法の中には木へんの標示というのがいまあるのですから、あらためてこの表示問題をこの段階で農林物資規格法だけに出すということは必要ない、むしろ混乱を起こすのではないかという気持ちはなお変わりません、先ほど新聞記事を二つばかり申し上げましたが、むしろあなたのほうではJAS規格を厳正に強化する、こういう必要があるのではないか、こういう点が特に痛感をされます。さっき二つばかりの例しか言いませんでしたが、まだたくさんあります。そういうものを農林省はひとつどんどん厳正にやっていただきたい。このことを特に要望しておきたいのであります。  それから、まだ打ち合わせがあって、これが完全なものになっていないようなお話でもございますが、少なくとも公正取引委員会なり厚生省なりの意見は十分聞いて——表示の問題については、この中に何か厚生大臣とよく話し合ってきめるのだという一項目があります。この一項目だけ見てもはたして厚生大臣とどういう打ち合わせになるかわかりませんが、これだけの一項目で厚生省関係をする食品の問題が片づくとは私は思わないのです。そういう点がありますので、きょうは厚生大臣から、食品衛生法が今国会にどうして法律として出なかったのか、この点についての明確な御回答を聞きたいということでおいでをいただいたわけであります。  さらに統一食品法の問題については、先ほど消費者保護部会なりあるいは私ども附帯決議なり、そういうもので十分意思ははっきりしておるわけでありますから、企画庁が音頭をとって、早急にいまのこの大問題である食品問題について、統一された食品法というような、そういう法律がむずかしければ、名前は食品法でなくてもけっこうです。まだいろいろな名前ができると思うのです。そういう問題についてひとつ検討を加えていただきたい、こういうふうに思います。  きょうは申し合わせのとおり、時間が来ましたので、これで、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 帆足計

    帆足委員長 ただいまの点は、前回委員会におきましても同様の希望がありまして、前回は六日でございましたが、本日はもう十四日になっておりまして、十六、七日ごろが法案提出の大体の目安といわれておりますから、関係官庁におきましては、次回には明確な御返答のできますよう十分な御検討置きを願いたいと思います。  本日の委員会はこれをもって散会いたしまして、次回は公報をもってお知らせいたすことにいたします。    午後六時三十五分散会