運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-03-06 第61回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月六日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 帆足  計君    理事 小笠 公韶君 理事 金子 一平君    理事 木部 佳昭君 理事 竹内 黎一君    理事 武藤 嘉文君 理事 阿部 助哉君    理事 武部  文君       青木 正久君    大野 市郎君       佐藤 文生君    周東 英雄君       山下 元利君    唐橋  東君       戸叶 里子君    内藤 良平君       村山 喜一君    岡沢 完治君       有島 重武君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         厚生政務次官  粟山  秀君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         通商産業省企業         局長      大慈彌嘉久君  委員外出席者         農林省農林経済        局企業流通部長 大河原太一郎君         通商産業省重工         業局次長    山下 英明君     ――――――――――――― 二月二十日  公共料金値上げ反対に関する陳情書外四件  (第八〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 帆足計

    帆足委員長 これより会議を開きます。  この際、八塚国民生活局長より発言を求められておりますので、これを許します。八塚国民生活局長
  3. 八塚陽介

    八塚政府委員 まことに申しわけないことでございましたが、実は前回の本委員会に対しまして、私どものほうから四十四年度の物価安定対策費ということで、四十四年度の物価対策に関連いたします予算につきましての資料を提出いたしまして、かつ簡単ではございましたが、御説明を申し上げたわけでございますが、その後、予算委員会に対しまして大蔵省のほうから出されております物価対策費とのいわば考え方相違予算委員会で問題になりまして、大蔵省、私どもあるいは関係各省打ち合わせをいたしまして、新しく物価対策関連予算ということで政府考え方を統一いたしましたので、このたび当委員会に対しましてもそれを資料として提出をいたしたいと存じます。物価対策をどこまでどういうふうに考えるか、なかなか議論のあるところでございますが、そういうことで統一いたしたわけでございます。  前回出しましたものとの異同について概略申し上げますと、低生産性部門生産性向上ということで、大きく農林漁業関係の費用をその対策費であるというふうに出したわけでありますが、たとえば干拓あるいは旧制度の開拓の関係等は、やはり物価対策という点からいえば縁がはなはだ薄いということで今回は省かせていただきます。そのほかそれに類するもの、それから食糧管理に対する繰り入れ、これは昨年の場合には私ども物価対策関連費として出したのでございますが、前回は落としたのでございます。やはり消費者物価に直接相当関連があるということで入れさせていただきました。  大体、前回どもから出しました資料との大きな異同は以上でございます。  なお、大蔵省の出しましたものをベースにして申し上げますと、たとえば道路あるいは港湾等の経費も物価対策関連費ということで出ております。これはかなり前からそういう形で出ておりますが、今回は、それはもちろん多少の関係はあるわけでございますけれども、落としてあるというようなことでございます。  なお、それにいたしましても、予算の中でどれが物価対策関連予算であるかというのは、今後ともいろいろ検討をいたしまして、来年度からはこういうことのないようにいたしたいというふうに考えております。御了承をお願いいたしたいと思います。      ――――◇―――――
  4. 帆足計

    帆足委員長 それでは物価問題等に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤文生君。
  5. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 私はまず富士八幡合併による、その中で問題点になっておるブリキ価格のことについてちょっとお聞きしたいと思いますが、最近のブリキ価格はどういうぐあいに変化をしておるか、重工業局局長さんがおいでなかったら山下さんでもけっこうですから、御答弁をお願いいします。
  6. 山下英明

    山下説明員 ブリキ価格でございますが、建て値は八十五ポンドものでここ十年ばかり十万一千八百円という値段で動いておりませんが、御承知のように鉄鋼製品建て値は、ほかの品種でもそうでございますが、一つ目標価格でありまして、実際の販売価格はその建て値よりも下で取引されておる実情でございます。ブリキの場合の販売価格もほかと同じく建て値より安くなっておりますが、現在までの趨勢を申し上げますと、過去十年間で二へんばかり値下がりしてまいってきております。
  7. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 公取委員長にお尋ねしますが、このブリキの問題について、事前審査過程においてどういう調査をされましたか。庶民の声、特に零細企業の声を聞かれましたか。そういうことについてお尋ねします。
  8. 山田精一

    山田政府委員 ユーザーにつきましてのクェスチョネアを出しまして調査をいたしました。
  9. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 その調査の対象の中に、いわゆる庶民のいっているブリキ屋さんですね、従業員が一名ないし二名といったような小さなブリキ屋さんの声を聞かれましたか。
  10. 山田精一

    山田政府委員 私ども調査をいたしましたのは主として食かん用ブリキでございます。いわゆる町のブリキ屋さん、これはさほどシェアも高くございませんので、特に調査はいたしておりません。
  11. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 私は東京都内ブリキ屋さん二軒について調査をしました。それをちょっとここで申し上げますと、文京区の田中鈑金店という、家族二人と職人一人、こういった小さなブリキ屋さんですが、先ほど重工業局次長の言ったように、ほとんどこの十年間は値段が全然変わっていない、ほとんど変わってない。ただしかし、そこの二十歳前後の長男があと継ぎになってやっているんですけれども、今度の八幡富士合併について非常に不安感を持ってきた。いままでの取引価格が高いのか安いのか実はわからない。安定はしているけれども、他の物価比較して高いか安いかどうもわからない。そこで、どうも合併によって高くなるんじゃなかろうか、こういう素朴な感じ方を披露しました。  そこで、この安定した価格というのが高位安定なのか低位安定なのか、そういう点について山下さんの御返答をお願いします。
  12. 山下英明

    山下説明員 いま佐藤先生の、町のブリキ屋とおっしゃいますのは、私どもの区分しております電気ブリキ、いわゆるブリキを取り扱っておられるのか、俗称トタンという種類のものを取り扱っておられるのか、それによっても違ってくると思いますが、ブリキにつきましては、過去十年間の価格が、わずかではありますが実勢販売は下がってまいりまして、十年前に比べると二割程度平均して下がっております。小さい町の取り扱い店において、その値下がりが実感として受け取られているかどうかは疑問でございますが、全国的には下がってきており、かつほかの鉄鋼製品小型棒鋼その他、市中市中価格がおびただしく上下するものに比べますと、ブリキ比較的安定した値段取引されてきた品種だと考えております。
  13. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 この町のブリキ屋さんの扱い品目は、大体トタン屋根用でございますね。トタン屋根用の三、六という、九十センチメートルと百八十センチメートルの、大体こういったような屋根用ブリキもあるし、厚手用ブリキも扱っておる。こういうような品目ですが、大体厚手が三、六の四百円ぐらい、それから屋根用の三、六が二百九十円、この二種類ブリキを扱っておる。これがこの十年間ほとんど、他の物価が上下するのにもかかわらず、これは非常に安定をして取引されておる。どこから買っているんですか、こう私は尋ねたんですが、すぐ付近問屋からこれは仕入れている。どういう買い方をしているんですかと聞きますと、金がないので現金のあるときに払っていくという。手形も切らない。信用で問屋から買っておる。だから、高いものであるのか安いものであるのか、われわれにはさっぱりわからない。だがしかし、八幡富士合併することによって高くなるんじゃなかろうかという素朴な感じ方を持っておるわけです。こういったようなブリキが当然公取で問題になったわけですが、このブリキ屋さんは、合併がいいとか悪いとか、そういうようなことについてはわからない、こういう私の質問に対しての答弁です。  それから、豊島区の長島というブリキ屋さんに参りました。ここはその主人が出てきたんですが、従業員がやはり二人という町のブリキ屋さんです。ここは、合併に関しては賛成できないと、もう最初から私の質問について答えた。理由は何かと聞いたら、値上がりの原因となる。それから当局――当局というのはとこのことを言っているのですかと聞いたら、よくわからないけれども役所なんでしょう。その役所がどうなんですかと聞いたら、一つの窓口だけに重点を置いて弱小企業に対しての関心を示さなくなるおそれが非常にあるのだ。特にわれわれトタン屋は、従業員も少なくて二、三人でもって経営しておる。ですからわれわれは、八幡富士合併によって経済が非常に寡占経済になっていって、われわれみたいなのはつぶされてしまうおそれがある。そこで、対策をどうしていいかわからないのだ、こういう不安感を率直に述べておりました。ところで、ブリキ取引値段はどうですかと聞きましたところが、ここは十年間値上がりしているというのですね。自分の取引商店問屋からとるのが、毎年わずかずつでも値上がりしておるというのです。ですから、手間賃は大体一日二千五百円から三千円取って仕事に出かけていく。仕入れの取引値段は十年間わずかながら値上がりしておるということで、私は注文書まで見てきましたが、わずかながら値上がりをしておる。いま通産省重工業局の言われたような安定した、むしろ値下がりしているという御説明と、ブリキ屋さんの感じ方というものは、全然そこにズレがある。私は、取引条件はどういう取引条件ですかと聞いたら、ここは五万円以下くらいのときは現金で、五万円以上のときは手形でやっておりますと、こういう取引の状況であります。  したがって、将来合併によるところ問題点一つであるこのブリキが、やはり庶民にとっては、あるいはそういったような小さなブリキ屋さんにとっては、値上がり心配経営心配、そういうものが率直にあるという事実を私は知ることができました。この点について、企業局長として、こういった小さなブリキを扱っているブリキ屋さんの経営指導、そういうようなものについてどういうお考えを持っておるか、あわせてお聞きしたい。
  14. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 先生からただいま御指摘をいただきました件でございますが、お話を伺っておりますと、この問題は中小企業の問題とそれから流通機構の問題と、両方が問題ではないかと思います。  中小企業は、中小企業庁においていろいろな政策を講じております。協業化であるとか共同化であるとか、各般の合理化相談業務技術指導ということもやっておりますが、そういう中小企業分野でできるだけのお手伝いをしなければならないのではないかと考えます。  それからもう一つ流通機構の問題でございまして、流通関係合理化というのがまたたいへんむずかしい行政の中に入るわけでございますが、資本自由化を控えまして流通合理化をどういうふうに持っていくかというのは、私たちがいま与えられております最も大きな行政一つだと思います。各業種について流通実態調査というのを行なっておりますが、ブリキの点は私まだ詳しく存じませんが、流通合理化問題に取り組む必要が大いにあるのではないか、こういうふうに思います。
  15. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 重工業局次長にお尋ねします。  食かん用ブリキについてお尋ねしますが、食かん用ブリキ販売価格輸出価格よりも高い現状を改善してもらいたい、こういう要望業者から出ておる。輸出価格よりか国内価格のほうが高いということでこういう要望が出ておるが、これは事実なんですか。
  16. 山下英明

    山下説明員 ただいま手元に食かん用ブリキ輸出価格国内価格の正確な数字を持ち合わせませんので恐縮でございますけれども、一般的には鋼材全部に共通していえますことは、輸出取引の場合には数量、金融その他の取引条件から、同じ蔵出し価格でも値段は安くなるというのが普通でございます。その程度を越えて食かん用ブリキについて輸出ダンピングをしておるという話は聞いたことがございません。
  17. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 食かん用ブリキについて輸出価格よりも国内価格が高いという、こういう業者の話を私は聞いておりますので、これは数字的に調査をしていただいて後刻お知らせ願いたいと思います。
  18. 山下英明

    山下説明員 かしこまりました。
  19. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 次に、私は鋳物銑鉄についてお尋ねしたいのですが、鋳物銑鉄を扱っておる大田区の富士鉄工所というのに行ってみましたが、これは従業員九人です。合併についてどうだという話を聞きましたら、率直に、合併は大いにけっこうだ。合理的配置でやれば市場独占の思惑も心配ないと確信する。品物も安くなるし技術向上も望めるし、日本威信回復にも国富にも役立つ。業界に活気が出てくることは確かだ、こういったようなそこの代表者の率直な意見。そこでは鋳物を扱っているのですけれども、この十年間の鋳物用銑鉄価格はどうなっておるのですか。これは重工業局のほうから御返事願いたい。鋳物用銑鉄価格の十年間の動き、概略でけっこうです。
  20. 山下英明

    山下説明員 鋳物用銑鉄値段は、過去十年間実際上の取引価格は少しずつ下がっております。
  21. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 少しずつ下がっておるどころか、ここの鉄工所鋳物用銑鉄値段はこの十年間どういうぐあいになっておりますかと聞いたら、この十年間三〇%ないし四〇%値上がりをしておる。さっきのブリキと同じように。ブリキもあなたは安定しておるということですが、しかしある一軒のブリキ屋は安定しておる。ところがある一軒のブリキ屋値上がりをしておる。ここの鉄工所に至っては三〇ないし四〇%値上がりしておる。支払い方法については、現金で払う場合と四ないし五カ月の手形で払う、こういう従業員九人の鉄工所です。  いま一つ、先ほどのは東京鉄工所ですが、これは大分市の興国鋳造株式会社という従業員十五名の鋳物工場ですが、この五、六年間価格は、一度三千円くらいに下がったことがあるが、あまり上下はない。鋳物銑鉄は一度上がれば五年くらい、下がれば五年くらい、その間の変動はないというのがそこの代表者意見です。さらに合併については特に意見はありません。  こういったような、鋳物銑鉄を扱っておる中央の鉄工所とローカルのいなかの鉄工所代表者意見、この両方意見を通じてみると、むしろ下がっておるというあなたの御意見と、上がっておる、あるいは上がったり下がったりしておる、こういったような現実鋳物銑鉄を買って使っておる鉄工所意見とは食い違いがある。これも公取が問題にした品種一つでありますけれども、そのように、あなた方の考えている考え方と小さな鉄工所取引価格というものは現実に違っておる。こういうところはたいへん大型合併に影響された重要な点だと私は思うのです。この点を流通過程の中から今後どのように導いていくか、どのように安定した価格なりあるいは価格ダウンに持っていくかということはたいへん重要な点だと思います。この点の相違点、まあ価格に対するお答えと鉄工所価格取引での差というものをここで私認めざるを得ないのですが、この点どうですか。
  22. 山下英明

    山下説明員 鋳物銑値段につきまして、たとえば建て値を御披露いたしますと、昭和三十六年から二万六千五百円で現在まで七、八年安定したまま続いております。しかしながら、建て値は先ほど先生にお答えしましたように一つ基準価格でありまして、実際の取引はそれよりも安く、全国平均ではわずかながら下がってきております。ただ、いま先生の御指摘の個々の鋳物業者買い付け値段ということになりますと、御承知のように鋳物の大きな需要機械業界でございまして、これが日本経済成長過程で非常に好不況の激しい業界でございます。したがいまして、機械設備投資機械生産が急増いたしますときには、ときによって鋳物供給がきつくなってくることが過去においても多々ございます。通産省としましては、その点の鋳物銑需給について大きな関心を払っておりますし、また機械業界の団体でございます日本機械工業連合会も、その点について常時全体の趨勢を監視しております。現に、去年からことしにかけて一年間、鋳物銑需給見通しという作業もしてまいった次第でございます。
  23. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 鋳物銑について三菱重工の自動車事業部長代理が次のように言っています。鋳物用銑鉄八幡富士による競争が激しい。にもかかわらず、現在でも価格が高位安実している形なので、合併によってこの状態がさらに高まることが心配である、こういう表現をいたしております。私は、いまあなたが言われておった鋳物銑に対するあなたの感じ取り方と業界感じ方とは、そこに若干のズレがあるように思います。この点も、やはり公取が問題にした点はその付近にあるのじゃないかと私は思うのです。  そこで次に、私は問題の一つになっておるレールにつきまして、同様に質問をいたします。  国鉄レール購入はさておいて、私鉄において次のような心配をしております。その第一点は、レール供給合併によって希望どおりに時期的に入れられるかどうか。第二点は、国鉄納入分との価格差が大きくなるのじゃなかろうか、この点を非常に心配しておる。この点について、公取はどういうお考えでございましょうか。こういう心配私鉄関係にあるやに私は聞いております。
  24. 山田精一

    山田政府委員 さような、御指摘のような問題がございますので、レールは問題のある品目ということで内示をいたしたわけでございます。
  25. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 通産当局としては、こういったような懸念に対してどういうお考えでございますか。
  26. 山下英明

    山下説明員 御指摘私鉄側懸念ということは、私どもも従来から関心を払っておりまして、現在、公正取引委員会レール問題品種として指摘されましたので、私どもは、その当事者たる富士八幡側応答ぶり公正取引委員会の御判断を待っておる次第でございます。ただ、従来の取引実績におきましては、国鉄私鉄とも比較需要そのものが安定して、急増も急減もないという分野でございますので、値段も安定して推移してきておる状態でございます。
  27. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 レールの問題についても、そういった業界懸念というものが非常に出ておるということで、当然これは公取で問題にしたのだろうと思いますが、次に私、珪素鋼板についてお尋ねします。  珪素鋼板欧州並み価格にせめてしてほしい、どうも取引欧州価格に比べて高いのだ、こういうような声が業界に出ておりますが、珪素鋼板国内価格欧州比較して、業界が言うように高値でもって取引されているのかどうか、国際価格との比較を御説明願いたい、こういうぐあいに思います。
  28. 山下英明

    山下説明員 珪素鋼板国際比較でございますが、日本値段は、この品種につきましてもまた建て値がございまして、この建て値をドルに直しますと、たとえばG11という品種の場合には六百二十五ドルというような数字になります。しかしながら、この品種につきましても実際の取引価格は、最近の状態では五百ドル以下でございます。これに比べまして、同じ品種アメリカ建て値が五百三十ドルでございます。アメリカで実際にどのくらいの値段取引されておるかという調査がまだ不十分ではございますが、私どもの見方では、実際の取引では日本と同じ、もしくはそれよりも高く取引されております。で、この品種につきましては御案内のとおりに、アメリカのアームコという会社技術が非常に世界的に先行をいたしまして、日本でもヨーロッパでもその技術指導のもとに生産されてきたものでございますので、ヨーロッパにおいても実際の取引価格日本及びアメリカとほぼ大差ない程度で行なわれていると思われますが、現在ヨーロッパそのものの実際の取引価格が判然といたしませんので、ただいまのところヨーロッパについて推測で申し上げて恐縮でございますが、私どもとしましては、一部言われているようにヨーロッパよりも日本が高いという状態ではないと思います。
  29. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 電機業界が率直にいま感じていることは、電機業界から珪素鋼板価格を見るというと、価格が非常に硬直的な売り手市場であって、国内建て値欧州などに比べて高い、こういう感じ方電機業界の一部の人は持っております。したがって、いまのあなたの答弁業界の一部の人の考えておる珪素鋼板に対する価格感じ方が違うようです。この点も欧州価格を調べていただいて、ひとつ資料を出してください。こういう点から、珪素鋼板価格も追及する必要が私はあると思うのです。  レールにしてもブリキにしても、鋳物銑鉄にしてもあるいは珪素鋼板にしても、やはり皆さん方考えておる考え方と、零細企業なりあるいは業界の受け取り方が、微妙な私は誤差が出ているように思います、物価の面から。そこで、こういったような問題点を残しながら、公取八幡富士合併問題点を出しながら、そこに合併への大きな動きに動いていっておるということだと思うのです。そこで公取委員長にお尋ねしたいのですが、このような世界第二の大製鉄会社の成立、日本にとっても初めてでしょうし、日本産業、戦後の産業政策の中で大きな曲がりかどというか。そういうものが私来ておると思うのですが、数字的な一定取引市場におけるシェアの問題とか、そういう問題については、これはもう御専門ですから相当調査されておると思うのですけれども、こういったビッグビジネスに対するところ調査というものをやったのですか、やらないのですか。やったとすればどういう方法で、こういうビッグビジネスができる、そういうものについてどういう受け取り方を国民はしているのだろうかといったような調査をやったかどうか。やったとすればどういう方法でやられて、どういうような答えが出ているのだろうかということを私はお尋ねしたい。これは公取通産当局にお尋ねしたいと思います。
  30. 山田精一

    山田政府委員 ただいま御指摘の点は幾つかの問題を含んでおると思います。大企業の問題というお話でございましたが、これは私どもは法律第十五条に定めるところに従いまして、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなるかならないか、この点で検討を続けてまいっておるわけでございます。もちろん、御指摘のようにシェアだけを機械的に適用いたすのではございませんで、シェアも考慮には入れまするけれども、ただいま御指摘のようにユーザーの側の地位、それから競争をいたすところの同業者牽制力と申しますか、チェック・アンド・バランスの関係にどの程度関係するか、あるいは代替品でございますとか、輸入品関係、あるいは新規参入問題等を総合的に勘案をいたしまして審査を十分厳正に、慎重にやっていきたい、こういう覚悟でおるわけでございます。  それから、鋳物用銑でございますとか、そのほかブリキでもって御指摘になりました問題は、これはおそらく、合併と一応関係なくとも大企業中小企業、こういう問題が相当主要部分を占めておるのではないかと考えております。その場合におきましては、公正取引委員会といたしましては、いわゆる不公正な取引方法、たとえば優越したサプライヤーが優越した地位を乱用いたしますとか、あるいは不当な価格、不当な高値で販売をいたしますとか、あるいは差別価格を適用いたすとか、かような場合には法律に定める不公正な取引方法に該当いたしますので、その措置をいたしたい、かように考えておる。先ほど鋳物用銑鉄の御指摘がございましたが、すでに鋳物業界では組合で一団となって銑鉄の購入をいたしておる事例もございます。その辺によって、先ほど企業局長から御指摘がございました流通面も逐次整備されてまいることと思います。私どもは公正取引法、独禁法、ないし鋳物業界が下請であります場合には下請法、これらを十分運用して中小企業の保護を、中小企業庁とも御連絡をとりまして、十分に果たしてまいりたい、かようなつもりでおります。
  31. 帆足計

    帆足委員長 なお、佐藤文生君の御要求に従いまして、鉄鋼各品種価格の推移並びに海外価格の推移等の資料は、当委員会としましては事実と統計に基づいて深く論議し、審査する必要がございますため、それぞれ委員から要求のありました資料につきましては、関係当局御協議の上、重工業局から御提出のほどお願いいたします。  ただいま質問がございましたから、それでは大慈企業局長
  32. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 大企業に関する調査の御質問でございますが、今回の八幡富士両社の合併問題につきましては、公正取引委員会のほうで詳しくお調べになっております。仕事の面からいいましても、私のほうでは特に調べておりません。ただし、鉄鋼政策の立場から全般的に各社についてどうかということは、それぞれ検討いたしております。  それから企業経営の分析等につきましては、これも鉄だけでなくて、各社についてそれぞれ検討はいたしておりますが、特に大企業だけの分析というのはやっておりません。
  33. 竹内黎一

    ○竹内委員 ただいま公取委員長が独禁法十五条にちょっと触れた答弁をされましたので、関連してお伺いしたいと思います。  私が伺いたい点は、第十五条について、いわゆる統一解釈なるものが存在するかどうかということでございます。山田委員長もおそらく聞き及びでございましょうが、昨日、すなわち五日、衆議院の商工委員会において、委員長を除く各委員の出席を求めて、この八幡富士合併問題をいろいろと論議しております。その詳細は、まだ会議録ができておりませんので私ども承知しないわけですが、新聞の報道するところによれば、その独禁法第十五条について、ある委員は統一解釈をつくったとこう申され、またある委員は特に統一解釈はつくっていないと、何か委員の見解もまちまちであるかのように報道されているわけでございます。委員長みずから、今回の合併問題のキーポイントは十五条だとしばしばおっしゃっているわけで、その意味で、はたして十五条について公取委員会におきまして統一解釈なるものが存在するかどうか、その点をお答え願いたいと思います。
  34. 山田精一

    山田政府委員 統一解釈という問題でございます。これは書面にしたものであるかどうかというお尋ねでございましたかいかがですか存じませんが、格別書面にいたしたものはございません。委員会の合議を通じまして統一された解釈というものはあるわけでございます。
  35. 竹内黎一

    ○竹内委員 そうすると、ただいま委員長がお答えになった内容というものは、一月の二十七日の記者会見におきまして、いわゆる柿沼事務局長質問に答えながら明らかにした、そう報道されている内容のものを公取の統一解釈とわれわれは了解してよろしいわけですね。
  36. 山田精一

    山田政府委員 一月二十七日の新聞記事を私記憶いたしておらないのでございますが、大体において、東宝・新東宝の判例がございます、そのラインに沿いまして解釈をいたす、かようなことに相なるわけでございます。
  37. 竹内黎一

    ○竹内委員 それじゃ私のほうからある点を指摘しまして、その解釈が間違いであるかどうかということをむしろ伺いたいと思います。  十五条にいうところの「一定取引分野」、これはいわゆる中間製品ではなくて、特定の完成品で判断するという点、この解釈でいいかどうか。第二に、その中における競争の実質的制限というものは、いま御指摘の東宝・新東宝事件に関する高裁の判決に従って判断をする。第三に、いわゆる合併競争制限関係は、その合併により市場構造の変化が起こり、これによって支配力が形成される可能性で判断する。こういう内容のものが公取の統一解釈であるとわれわれは了解してよろしいですか。
  38. 山田精一

    山田政府委員 「一定取引分野」につきましては、御指摘のとおりでございます。それから競争の実質的制限でございますが、これは判例によりますと、正確には記憶しておりませんけれども競争が減少して、特定の事業者または事業者集団が、ある程度自由にその商品の価格、数量、条件等を左右することによって市場を支配する状態を引き出す。そして、言いかえれば競争業者が、それらの特定の事業者ないし事業者集団の意思にかかわりなく、自分の自由な意思判断に従っていま申し上げました価格、数量、条件等を決定して、そして十分な利潤をあげてその企業を存続させていくことが困難になった、これを競争の実質的制限、こう見ておるわけでございます。  それから、合併競争の制限との因果関係でございますが、これは当然企業構造の変化によって、いま申し上げました競争の実質的制限が起こるかどうか、そのようなことでございます。
  39. 竹内黎一

    ○竹内委員 関連ですからこれで終わりますが、どうでございましょうか、この十五条の解釈というものは、相当今回の八幡富士を議論する場合にも大きなかなめであるわけです。その意味におきましても、統一解釈を文書にしたものはないということでございますが、この論議の整理ないし前進をはかる意味においても、この十五条について公取の統一解釈を、ひとつわれわれにも文面でお示し願えないものでしょうか。この点いかがでございますか。
  40. 山田精一

    山田政府委員 委員会にはかりまして、できるだけそのようにいたしたいと存じます。
  41. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 先に続いて質問しますが、公取あるいは通産省が、こういったような八幡富士という合併問題を取り扱うのに並行して、ビッグビジネスというものが日本のためになるのかならないのか、あるいはそういう大きな企業体というものを解体すべきか――解体というか、そういうことをさせないでやるのがいいのか悪いのかといったような、素朴なそういう疑問というものが出てくると私は思うのです。そういう疑問点について、業界の、大企業なり小企業の声、国民の声としては労働組合あるいは一般国民、こういったような調査というものを私はやるべきだと思うのですが、それはできておるのだ、しかしこれは発表できないというのですか。できておれば発表できるなら発表していただきたい。
  42. 山田精一

    山田政府委員 ユーザーにつきましては規模の大小を問わず、先ほど申し上げましたごとくアンケート調査をいたしております。その結論ははなはだ区々でございまして、賛成、不賛成、入りまじっておる状態でございます。  それから、大企業自体の問題について御指摘がございましたが、私どもの立場といたしましては、大きいことそれ自体ということよりは、くどく申し上げますように、一定取引分野における競争の実質制限になるかならないか、その角度から検討をいたしておるわけでございます。絶対的な大小ということは、私どもとしては競争の制限、そこに重点を置いて判断をいたしておるわけでございます。
  43. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 大企業の問題でございますが、これは先生承知のように、国際的な問題ではないかと思います。今日世界企業の役割りということが問題になっております。少し話がそれて恐縮でございますが、国際商業会議所でも、現在、世界企業の役割りということで検討が行なわれております。といいますのは、世界企業の生産というのが一般の企業に比べて非常に大きなシェアで伸びているという事実に立脚いたしまして、この役割りを検討しよう、こういう国際的な研究でございます。  こういうふうな事態を踏まえまして、日本も開放体制といいますか、資本自由化を行ない、国際的な経済社会に入っていく、こういうことであります。したがいまして、私ども産業政策のテーマといたしましては、国際的に栄える企業、国際的に通用する企業を育てていきたい、こういうことになろうかと思います。しかし、そういうふうな大きな企業にはプラスの面とマイナスの面が当然伴うと思います。プラスの面につきましては、企業の利益を追求しまして、コストが下がるとか、技術の開発力がふえるとか、品質がよくなるとか、いろいろ考えられると思いますが、そういうふうなプラスの面が需要者なり消費者なりに適正に還元されることが最も大切ではないかと考えます。そのためには、やはり競争条件を整備するということが必要であろうかと思います。その点については、公正取引委員会のほうで実質的な制限になるかどうかという御判定をいただくわけでありますが、私のほうとしましても、企業の集中の問題と並行しまして、競争条件の整備ということは考えていく必要があろうかと考えます。具体的には輸入政策の活用であるとか、外資の導入政策の活用であるとか、あるいは新規産業の助長であるとか、いろいろな政策があると思いますが、そういうふうな心がまえでやっていく必要があろうかと考えます。
  44. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 われわれがこの合併について物価委員の立場として問題にしたいのは、やはり消費者を中心にした価格の安定というか、消費者を中心にした安い価格というか、そういうものが展開されることを望むわけです。そこで、こういったような大きな合併問題が今後続いて起こる可能性が出てくる。それと並行して、私は当然労働組合員なりあるいは一般国民、大企業、小企業、男女の性別を問わず、あるいは高額所得者、中低額所得者、こういったような広い分野に分けて、日本ビッグビジネス日本のためになるかならないかといったような広い意味における調査を直ちに展開すべきだと思うのです。  ここで私は、アメリカの幅広い資本主義経済日本経済と、あるいは規模なり底の広さは違いますので比較にならないと思いますけれども、私の手に入りました、これは古い資料ですが、一九五五年の二月に、アメリカのルックという雑誌に発表されたプリンストン調査研究所の結果が出ておりますが、ビッグビジネスというものがアメリカのためになると思うか思わないか、この調査の結果から見て、アメリカのためになると思う者が八〇%、ためにならないと思う者が八%、ためにもなるしためにもならないと思う者が七%、意見なしが五%、十対一でビッグビジネスというものによしという判定を出しておる。これはアメリカ調査の結果です。この調査の対象は、高額所得者、中額所得者あるいは低額、こういうぐあいに、あるいは男性、女性、あるいは共和党員、民主党員、労働組合員、非組合員、広い分野にわたった結果そういう資料が出ておる。私はむしろこれよりか、ビッグビジネスは解体すべきかいなかという問いを第二次に出して、どういう返答がきているかというと、八四%が厳重にビッグビジネス動きを監視せよ、これが八四%、一〇%が解体すべしとしておる。つまり、ビッグビジネスは必要だということは、圧倒的に支持は出ておるけれども、その不安感というものがまた圧倒的に多い。その不安の第一が中小企業を圧迫する、それからビッグビジネスは独占になりやすい、あまりにも多くの権力が集中する、こういう順序に不安感を持っているという資料が、ルックに発表されております。  われわれが問題にするのは、このビッグビジネスに対するところ中小企業不安感、あるいは価格の問題なりあるいは過大な権力なり、そういうものに対して、私は物価を通じて非常な関心を持たざるを得ない。そこで今後、特に通産当局としては、この合併問題について出てきておる世論の中で、監視しろ、監視体制をつくれという声が業界の中にもあるいは学者の一部の中にも出ているやに私は聞いております。当然公取委員会でもそういったような声も出ておると思うのですね。どういう監視の方法をするのか。監視だけでもってこういうビッグビジネスに対するところ物価政策というものが完全にできるのかできないのか。もちろん公取の強化なり通産行政の強化なりによって、自由競争ができるような環境の監視というものは私はますます大切だと思いますけれども、監視体制でもどういう監視体制、どういう考え方でこういうビッグビジネスに対する監視の体制をとることが妥当であるのかどうか、一応通産当局のこれに対する御意見を聞いてみたいと思います。
  45. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 合併が行なわれました企業に対する監視体制でありますが、新しい価格の監視機構が必要ではないかという御意見が半年ほど前でございましたか、あったことを記憶しております。合併と構造改善の問題について、私のほうでは産業構造審議会という審議会で三カ月にわたりまして検討いたしました。その際この監視機構の問題もいろいろ審議をいたしたわけでございますが、新たな監視機構をつくるということはどうであろうか、それほどの必要はないのではないか、ただし合併が行なわれましたあと価格がどういうふうに動くか、それから中小企業需要者、消費者に対してどういうふうな影響が出たかというのは、役所の機構をあげまして、常時といいますか、よく注意をいたしまして、その結果は委員会に対しても報告をしてほしい、こういう答申になっております。したがいまして、いまそのような方向で、もし合併ができた場合は、これは今回の問題以外、一般の合併でございますが、それ以外の合併につきましてもそういうような心がまえで対処したいと考えております。
  46. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 こういったような大型合併に伴って監視体制を強化せよという声は当然起こるのですが、私は監視ということだけで対策はできないという基本的な考え方を持っております。公取の現在の力というか、公取の現在の体制より以上の監視体制をつくれという声をたまたま私は耳に聞くのですけれども公取委員長として、今後こういうビッグビジネスに対するところの監視の限界といいますか、公取委員会としては現在のスタッフで、現在の能力でもって十分、自由競争の原理なりあるいは生産性の向上なり、そういうものに対する公取としての立場からのそういったような指導というか相談相手というか、そういう点ができるかどうか、その辺をひとつ御意見をお聞かせ願いたい。
  47. 山田精一

    山田政府委員 ただいま御指摘のように、公正取引委員会の立場といたしましては、価格の問題は、どこまでも公正にして自由な競争によってその価格が形成されたかどうか、ただいま自由競争の原理という表現をお使いになりましたが、結局有効な競争の条件を確保する、それが私どもの役目である、かように考えております。一つ一つの商品につきまして幾らが適正であるかというようなことがもしも監視機構という意味であるといたしまするならば、私どもがこれをやっていくことは適当ではない、かように考えております。私どもはどこまでも競争条件を整備いたしまして、かりに独占なりあるいはカルテル価格なり、あるいは先ほど申しました不公正な取引方法、こういうような現象がございますれば法に照らして処置をいたす、かようなふうに全力を注いでまいりたい、かように考える次第でございます。
  48. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 経済企画庁からどなたか来ていますか。国民生活局長来ていますか――。  私は、現在の物価動きを見てみまして非常におもしろい現象を耳にしたのですが、おととい私、町の散髪屋に行きましてやっておりましたところが、隣の人がどうも二世らしくて、アメリカからやってきたのでしょう、アメリカからハワイにやってきて、ハワイから日本にやってきたところが、海を渡るごとに物価が高くなっている、こういう印象を受ける。何て物価が高いねなんということを、散髪屋でアメリカからやってきた二世の人がひとり言を言っておったのを聞きました。ところ政府は一月の中旬に、消費者物価の上昇率が四・八%という目標を五・四%に目標がえをした。ところがつい最近、四・九%くらいにいきそうだ。その理由は野菜なりくだものが非常に安くなったからだ。主として農産物でしょう。こういったような発表をしましたので、一応何か物価が安定して、インフレ状況といいますか、そういうような感じ方がとまったような、数字からの印象を私は受けました。しかしアメリカからハワイに来て、ハワイから日本にやってきた人の感じ方というものは、ビフテキをアメリカで食ったら約三ドルだったのが、ハワイに来て六ドルになっちゃって、日本に来て六本木でビフテキを食ったら十五ドルになっちゃった。なるほど一人五千円のビフテキがあるから、そんな高いのを食ったのでしょう。しかしそういったようなことをビフテキの例をとらえて言っておりました。ですから、数字の面と一般大衆の考えている物価値上がり考え方とどうも違うようですね。  そこで経済企画庁に私お尋ねしたいのですが、アメリカ物価動き日本動きとを対比して、どこにその物価変動の動きの焦点が、食い違っておるところが出てきておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  49. 八塚陽介

    八塚政府委員 最初に、お断わりと申しますか、申し上げておきたいことは、確かに最近十二月あるいは一月の全国及び二月の東京都区部の指数は三%台になっております。ただこれにつきまして、したがって四十三年度は四・九であるということは、まだ非常に仮定を置いた計算でありまして、私どもそういうふうには申しておりません。四・九という数字は、一月、二月の水準がそのまま三月までいくならばということでございまして、まず常識的に見て、三月が一月、二月の水準であるということは考えられませんので、そういう意味では四・九ということは、政府としてはいわゆる見通しとしてはまだとうてい考えてはおりません。ただ、お話がありましたように、十二月、一月の段階で四十三年度の数字を見直しましたときには五・四になるというふうに、見通しを改定したわけでございます。それよりは確かに下がってくるということはほぼ確実でございます。  それから、お尋ねの本論でございますが、国際的な物価比較という問題は非常にむずかしいわけであります。もちろん、たとえば日本の場合は非常に消費者物価指数の上昇率が高く、しかも卸売り物価は非常に安定しておる、約五、六倍の比率になっておる。外国は必ずしもそういうふうにはなっておりません。たとえばアメリカで申し上げますと、一九五八年対一九六六年では、卸売り物価が五・四%、消費者物価が一二・四%ということで、二倍程度でございます。そういう点についてはきわめて特徴的でございますが、一つの問題は、生活実感としてアメリカが高いか日本が低いかという比較の問題でございます。よく外国の雑誌等で、日本の生活費が非常に高いという調査と申しますか、レポートが出ておりますが、これは一つ問題がありますのは、西洋式の生活を日本でするとすればあるいはそれぐらいかかるであろうということはほぼ言えると思うのです。やはり日本の消費生活のパターンというのは日本なりにございますから、消費生活のパターンの相違を無視してそのまま比べるというのは、正確という問題からすればなかなか問題があろうかというふうに存じます。しかし、いずれにしましても、日本消費者物価指数の上昇率が非常に高いということは、消費者物価指数の中で多くを占めておりますいわゆる低生産部門の生産性向上が、経済成長なりあるいは労働力の逼迫というようなこともあり、あるいは一面所得格差の均衡という要望があるというようなことを背景にいたしまして、低生産性部門の産物の値上がり率がやはり大きいというところにあると思うのです。反面、たとえばアメリカにおきましては、やはり何といいましてもきわめて大きな規模の農業等でございまして、むしろオーバープロダクションの問題に絶えず悩まされているような状況でございますので、そのあたりがその相違になってきておるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  50. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 私は、先般アメリカの国会議員が初めて大挙してやってきまして、その日米議員懇談会の席上で痛感したことは、太平洋をはさで日米経済競争的な協調時代に入ってきたのだ、そういう夜明けがやってきたのだというような印象を強く受けたのです。いま御説明があったのですけれども、私は、アメリカ物価日本物価に大きな特徴があることをこの日米議員懇談会の席上で発見したのですが、農産物と工業製品というものを比べてみて、農産物の生産性向上が一九六〇年から六七年にかけてアメリカは非常に進んでおる。したがって、農産物価格の上昇率がわりあいに日本比較して緩慢である。日本の工業製品はアメリカに比べて、むしろアメリカよりか自由競争の原理を入れて非常に物価の上昇率は緩慢である、こういったような自由競争生産性向上の二つの面が、農産物と工業製品において全然アメリカ日本は違っている対照面を私は見つけることができたのですが、こういったような考え方から、このようなビッグビジネスができる上においては、私は公取の強い態度なり、あるいは特に通産行政公取をオーバーした、公取ではできない大きな政治問題が産業政策そのものに大きく出てきたという感じ方をしましたので、自由競争の原理と、生産性向上をはかるという、この二本柱だけは私は積極果敢にやっていくことが大切だということを痛感しました。  そこで、いま一つ大切なことは、昨年われわれが超党派でつくり上げた消費者保護基本法です。消費者保護基本法の附帯事項というのが各項目あるわけですが、この消費者保護基本法の附帯事項について各省はどのような積極果敢なる政策を展開しておるか。これは経済企画庁にお尋ねしたいのですが、消費者保護基本法の附帯事項、これは物価委員会でつけましたが、その附帯事項については、農林省だって厚生省だって、大蔵省だって関係があるはずです。そういう問題が無視されているのじゃないか。私は、消費者保護基本法はできたが魂が入ってないような気がしてしょうがない。特にこういうビッグビジネスができる上においては、並行してそういう附帯事項も積極果敢にやっていかないと、私は非常にいけないのじゃないかと思うのです。その点について、経済企画庁は各省にどのような連絡をもって附帯事項というものを展開しておるか。たとえばかん詰めの商標の問題ですか、あるいは食品規格の問題、そういうような問題について指導、監視の体制を進めていかなければならぬということを附帯事項にしておるのですが、そういう問題については一体どうですか。
  51. 八塚陽介

    八塚政府委員 昨年の六月に制定されました消費者保護基本法の審議の経過につきましても、私どももよく承知をいたしておりまして、消費者保護基本法という基本法だけでは実体は進まない、それに付随したと申しますか、対応した各部門に関連する法律あるいは予算措置等が充実されなければならないということであったわけでございます。私どももその線に沿いまして、昨年の八月には消費者保護会議で大筋の基本法のいわば充実をはかるための施策をきめまして、その後関係各省において予算措置あるいは法律、制度の改正等について準備を進めてまいっております。私どもももちろん消費者保護基本法のいわばお世話役としての経済企画庁として、当然そのことについて関係各省に種々御連絡をし、その促進をはかっておるのでございます。したがいまして、現在、消費者保護に関します予算等につきましては、先般御説明申し上げましたようなことでお願いをいたしております。なお、たとえば関連法令等につきましては、現在農林省においては農林物資規格法の改正案を考えております。それから建設省におきましても、積み立て式宅地建物割賦販売業というものに関する法律につきまして審議会等にはかって検討を進める、そのほかに、通産省におきましてもガス事業法の一部改正ということを考えておられまして、新たなガス用品について、あるいは危害防止等についての充実をはかりたいということを考えておる段階でございます。なお、地方自治法の改正につきましても、やはり消費者の保護というものを自治体のいわば固有の仕事として明記するというふうなことも検討を進めております。それから食品衛生法の改正の問題につきましても、法改正をすべきかどうか、あるいはそのもとにおけるいろいろな政令、省令の充実をはかったらどうかということで検討が進められておるはずでございます。さらに消費者団体の組織という観点から厚生省においては生活協同組合法の問題について検討を進めておるというようなことで、確かに御指摘になりましたように、いまだ一つも国会には法案として提出されておりませんけれども、それぞれの部門におきまして関係省が消費者保護基本法の精神にのっとりまして具体的に進めております。
  52. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 消費者保護基本法をフォローして、その附帯決議についてそれぞれ各省において積極果敢な施策をしていただきたい、私はこういうように思います。  そこで、最後に大慈局長さんと公取委員長にお尋ねします。また、御決意をここでお聞きしたいのです。  私は、よく人からいわれておるソレンセンの「ケネディの道」、これを読んだのは四、五年前のことですけれども、たった一ページだけ私は感激して胸がふるえたことですが、いま私はこのケネディがとった道、これをやるような決意を大慈局長なり山田公正取引委員長に――むしろ大慈彌さんは内閣総理大臣になったぐらいのつもりでもってやらぬと、私はビッグビジネスに対する政策ではないと思うのです。アメリカのUSスチールを中心として鉄鋼業界が鉄の値段を上げる、こういうような動きがあったときに、私はほんとうに感激して読んだのですが、それを読んでみますと、「USスチールおよび他の有力鉄鋼会社がトン当たり約六ドルの値上げを同時に発表したことは、公共利益にたいする全く不当で無責任な反抗行為である。わが国がベルリンと東南アジアで重大な危機に直面し、精力を経済の回復と安定に集中し、予備役の国民諸君には応召をお願いしているこのとき、またこの二日間にベトナムで四人の米国軍人が死んだが、将兵には命を賭けるようお願いし、労働組合員諸君には賃上げ要求を控えるようお願いしているこの米国史上重大なときにおいて、一握りの鉄鋼会社重役が社会的責任を逸脱してまで個人的権力と利益を追求し、一億八千五百万のアメリカ国民の利益をこのように全く侮辱することは、私にとってもアメリカ国民にとっても、受け入れがたいことである」という一文を出した。ところが、その当時のプラウUSスチール会長が、報復攻撃である、こんなに国家権力が一企業に向かってやるのはもってのほかだ、こういうぐあいに反駁したが、直ちにケネディは、国防省が最低の値段で鉄を買うようにということを言い、さらに鉄の値段を上げる会社からは政府は買わないで、鉄の値段を上げない会社に鉄鋼の発注をやるという二つの方法をとった。そういうことで、ビッグビジネスに対するところの政治的、社会的責任を持たないような考え方を持った一握りの指導者に対してやった措置、私はこういうことが日本に起こるとは思いませんけれども、稲山さんにしても永野さんにしても、あるいはそういったような経営者はそういうような考え方は持たないだろうと思うけれども、しかし、ビッグビジネスのある存在理由、それを指導している経営者の考え方、そういうものが、よほどここでもって経営倫理というか、そういうものの考え方になっていただかないといけないと私は思うのです。去年の新聞ですか、八幡富士合併したって、その利益は消費者に還元しない――これは私のほんとうの意思を言ったのではなしに、新聞が間違ったのだとかなんとかあとから聞きましたけれども、消費者に還元しない。そういう経済理論もあるでしょう。まず資本を蓄積することが先だ、いろいろあるでしょうが、あのケネディが、この値上げをやめたその最後のときに、喜んでどのような声明をしたかというと、「消費者と実業人のために値上げに同調しなかった各社に感謝する」、こういう声明文を出した。USスチールが値上げする、他の会社は、同調しておったけれども値上げしない、最後にUSスチールが負けて値上げしなくなった、こういう姿を見たときに、やはり消費者を中心にしてケネディが考えておる事実を見ても、将来は消費者に還元するのだ。ブリキだって鋳物銑鉄だって、あるいはレールだって、合併によってどのくらい先においては低廉な価格で、しかも国際競争に勝ち得るのだ、こういうような見通しなり政府の強い指導というものを出していただきたいと私は思います。大慈局長山田公正取引委員長ビッグビジネスに対する基本的な将来の考え方を最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 たいへん貴重な御指示をいただきまして、よく大臣、次官に報告をさせていただきます。  私としましては、消費者行政にはできるだけ力を尽くしたいと考えます。
  54. 山田精一

    山田政府委員 私どもといたしましては、独占禁止法の適切な運用によりまして、先ほど来申し上げました公正にして自由な競争を促進いたしまして、正常な価格の形成がはかれるように、今後とも十分努力をいたしてまいる決意でございます。
  55. 帆足計

    帆足委員長 この際、資料要求についての要望がございますが、その前に、ただいま佐藤文生君から、消費者保護基本法に基づいて各省各局においてどのように誠意を持って実施されておられるか、またこれが具体的実施を推進するためにどういう関連法を準備されておるか等の御質問がありましたが、これにつきましては必要な資料を御提出のほどお願いいたします。  なお、資料要求につきまして村山宣三君から発言を求められておりますから、これを許します。村山宣三君。
  56. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 先ほど経済企画庁の国民生活局長から、一般会計の物価対策関連予算表に基づいて説明がなされたわけですが、これは私が予算委員会でも追及をいたしましたように、この事項のところを見てみますと、予算項目の中の項があり、あるいは目があり、あるいは四十四年度の予算説明書の中の事項が出されており、予算書の中にはないようなものがここに列記されておるものもあり、あるいは予算書と食い違って金額が適当に掲示されているものがあり、こちらのほうとしてこれを参考資料として使おうと思いましてもなかなか活用ができないのであります。そこで、やはりそれだけの集積をされたものがここに事項として金額が明示されているものだと思いますから、それについては、その中身をさらにわかりやすいようにするために、説明書をこの次にお出しいただきたい。それをもとにいたしまして、この予算がどの程度物価関係があるのかということがわかってまいります。いまのままではこれは程度がわかりません。九〇%関係があるものもあるし、中には五%ぐらいしか関係がないものもあります。だからその程度をはっきりしていかなければなりませんから、それをお出し願いたいと思います。これは一般会計のみならず、財投関係についてもそうであります。  以上、資料を要求いたしたいと思います。
  57. 帆足計

    帆足委員長 ただいまの村山喜一君からの資料要求につきまして、御答弁をお願いいたします。
  58. 八塚陽介

    八塚政府委員 確かに先生が御指摘になりましたように、今回出し直しました資料はそういう点で不十分な説明でわかりにくいところがあると存じます。したがいまして、私どものほうでは先生のいまの御要求になりました用に足りる資料を調製して提出したいと存じます。
  59. 帆足計

    帆足委員長 午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ――――◇―――――    午後一時十四分開議
  60. 帆足計

    帆足委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武部文君。
  61. 武部文

    ○武部委員 私どもは昨年の四月二十五日、相当な期間を討議に充てまして、議員立法によって消費者保護基本法を成立させました。その際に、各省の消費者行政に対するいろいろな御意見、あるいは計画、そうしたものをお聞きし、私どもとして消費者を保護する立場からいろいろ意見も申し述べ、法案通過にあたって消費者保護の強化に関する件という附帯決議を可決いたしました。その内容はすでに各省においても御存じのとおりでありまして、なかんずく現在の法体系のもとで基本法がかりに通過をしても、現実にはアフターケアの法律が改正されなければ基本法としての存在価値がない、こういう立場で意見の一致を見たわけであります。その中で、特に食品衛生法あるいは農林物資規格法、栄養改善法、不当景品類及び不当表示防止法、薬事法、工業標準化法、家庭用品品質表示法、あるいは宅地建物の前払い式割賦販売、生協の問題、こうしたことを当院の附帯決議として決定をいたしたわけであります。約一年経過をいたしたわけでありますが、この附帯決議に基づいて各関係省庁において法改正の準備が進んでおると私は思いますが、基本法の所管官庁である経済企画庁は、このたびの国会にどのようなこの基本法に基づく法改正が提案されようとしておるのか、この点について概略御説明を最初に承りたいと思います。
  62. 八塚陽介

    八塚政府委員 私どもの消費者保護基本法に取り組みます基本的姿勢につきましては、政務次官からお話しいただくことが適当だと思いますが、一応事務的に申し上げます。  昨年の六月に消費者保護基本法が成立いたしまして、私ども政府行政機関としては、いわば従来の姿勢に活を入れられたようなかっこうになったわけでございます。その後、私どもその審議の過程をも十分体得いたしておるつもりでございましたので、関係各省とも、それぞれ自分たちの分野におきまして消費者保護基本法の精神あるいは附帯決議の御趣旨の実現に努力をしてまいっておるつもりでございます。  一つは、いまお話がございました食品関係になるわけでございます。たとえば農林省におきましては、農林物資規格法の一部改正を意図して、現在関係各省と具体的折衝に入って一おります。私どものほうにもすでにその趣旨なり調整方について連絡があるわけでございます。  それからまた建設省におきましては、例の積み立て式宅地建物の割賦販売業、これに関連する法案の準備を進めておりまして、いま宅地制度審議会等で審議をいたしておる段階でございます。その答申を待って法案作成作業に入りたいということでございます。  それからガス事業法につきましても、保安規制の強化であるとかあるいはガス用品等についての規制ということを考えまして、現在通産省において法案を提出すべく検討を進めております。  それから、ほぼ確定的と言っていいのは地方自治法の一部改正でございまして、地方公共団体のいわば固有事務として消費者保護に関することを地方自治法上明記したいという運びになっております。  それから食品衛生法につきましても、ここに環境衛生局長おられますから、あるいはお話があるかと思いますが、国民の健康、保健という観点から危害の防止ということを考えまして、現行法の改正について検討をされております。  それからやはり厚生省関係でございますが、これは現在消費生活協同組合法の一部改正ということに取り組んで、現在私どものほうにも改正案の内容等について御連絡がある状況でございます。その他の関係各省と調整を進めておられるという段階になっております。  ただいまは法令の関係について申し上げました。  予算に関連いたしましては、あるいは不十分であるというおしかりを受けるかもしれませんが、それなりに昨年に比べましてそれぞれ相当努力をいたしたつもりでございます。生活センター等も決議の中にあったわけでございますが、芽を出したというふうな状況になっております。
  63. 武部文

    ○武部委員 お聞きいたしますと、JAS、割賦、ガス事業、自治法、食品衛生法、生協法、こういうような点についてのお話がございましたが、私の承知するところでは、いまのところ法案として出てくる可能性がほとんどないと言っていいのじゃないか。これは誤りであればあとで具体的に御指摘いただければけっこうです。聞くところによりますと、三月十七日ごろまでに法案についての最終決定がなければ今国会の成立はむずかしい、自民党としては法案の提出はできぬ、こういうようなことを私ども聞くわけであります。すでにきょうは三月六日であります。あと十日ばかりのうちに、一体、いまお述べになったような法律案が政府の手によって国会に提出されてくるかどうかについては、私はたいへん疑問に思うのであります。  そこで、具体的な問題に入らないといけないと思いますから、具体的な中にこれから入りますが、その前にお尋ねをいたしたいことは、きょうも午前中に資料の要求がございましたように、物価関係予算というものが非常に少ない。また、私どもが当委員会で消費者保護の立場からいろいろ論議をいたしまして、特に企画庁は今回生活センターを五カ所設けたい、一億円の要求をされました。これが半分になっておる、五千万円であります。この金額が非常に微々たるものであって、当初、当委員会でこの基本法が成立した際、総理みずからが、この基本法の精神にのっとって十分努力をする、あるいは前経済企画庁長官も同様にお述べになった。残念ながら、今回の予算案には私どもが期待をしたものがほとんど入っていない。私どもはまことに遺憾にたえないところであります。一つの例が、いま生活センターのことを言ったわけでありますけれども、これから逐次、たとえば公取の問題にしてもあるいは厚生省の問題にしても、私は具体的に例をあげてひとつお伺いをいたしますので、その際に譲りたいと思います。  そこで、各関係省庁においでいただいたわけでありますから、最初に農林省についてお伺いをいたしたいのであります。きょうも私、こちらへ来る前に新聞を見ましたところが、「消費者を守る立場で」「食品表示めぐる論議」という記事が載っておりました。これは厚生省と公正取引委員会と農林省、三つに関係する問題ですから最初にお伺いをするわけであります。農林物資規格法の一部改正が今国会に提出されるという案件の中に入っておるわけでありますが、この提出案件は消費者保護基本法のこの附帯決議に基づいて提出を予定されたものであるかどうか、最初にそれをお伺いしたい。
  64. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 先生指摘のとおり、消費者保護基本法の際の附帯決議に基づきます法案でございます。
  65. 武部文

    ○武部委員 この農林物資規格法その他の論議をいたしました際に、砂田君は次のように述べたのであります。表示方法については食品衛生法と農林物資規格法とでうまくやっていただきたい。特に官庁のなわ張り争いというようなことで、お互いが譲り合ってみたりあるいは取り合ってみたりして、まん中に玉がすとんと落ちるようなことがあっては困るということまでたとえに出して、砂田君は発言をいたしておりました。したがいまして、この農林物資規格法の一部改正を御提出になるについては、そういう点についての配慮が当然なされ、厚生省なり、あるいは表示関係も若干含んでおるようでございますから公取と十分連絡をとった上で、私どもが手元に持っておりますこの農林物資規格法の一部を改正する法律案、こういう形になって出たものかどうか、その点をひとつ……。
  66. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 法案につきましては、消費者保護基本法の附帯決議を可能な限り実現いたすということで成案を進めておるわけでございますが、先生お手元の案につきましても中間の検討の素材でございますことをお断わり申し上げます。  表示制度につきましては、公衆衛生からいたします食品衛生法の諸般の問題及び計量法に基づきます表示の適正化の問題というものについて相互相関連いたしますので、制度としても矛盾するところなく、それぞれの制度が本来の機能を発揮するような十二分な配慮をもちまして、最終の案を作成中でございます。
  67. 武部文

    ○武部委員 私の手元にありますこの法律案の新旧対照表、これは相当検討を加えたものだと、私は一読をいたしましてそのように感じました。いまお尋ねいたしておるのは、基本法の附帯決議の中に、食品の問題については特に一項目、別項としてあげたわけであります。「食品衛生法、栄養改善法、農林物資規格法、不当景品類及び不当表示防止法を通じて食品の表示制度が海外諸国に比しても立ち遅れており、かつ、最近の消費生活の実態にも適合しなくなっていることにかんがみ、統一的な観点から食品の表示に関する制度のあり方とその運用について根本的な再検討を早急に行なうこと。」これを一項目つけ加えたのであります。これから私が申し上げるのはこのことについてであります。  それではひとつ農林省にお伺いいたします。今度改正の案としてお出しになる法律の名称は何でしょう。
  68. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 政府部内で検討中でございまして、法制局審議その他を経るものでございますので、最終の確定した法案の名称はあれでございますけれども、農林物資の規格及び表示に関する法律という法案の題名を予定しております。
  69. 武部文

    ○武部委員 「表示」というのはあらためて入ったことばですね。
  70. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 おっしゃるとおりでございます。
  71. 武部文

    ○武部委員 私どもはここに問題があると思うのです。農林物資規格法が農林物資の規格及び表示に関する法律として出てくるところに私は問題があると思うのです。それは先ほど申し上げるように、この附帯決議の中の、四つの法律について、統一的な観点から食品の表示に関する制度のあり方とその運用について根本的に検討を加えること、こういうことになっておるからであります。本来、農林物資のJASの改正をやるなら、われわれはこの農林物資規格法の持っておるところの規格基準の引き上げ、さらには対象品目の拡大、これは私どもは輸入食品もこれに加えるべきであるという指摘をいたしました。さらに、公正競争規約にも見られますように品質を高める、こういう点についても現行JASの中にはいろいろ問題点がある、こういうことをやるべきではないか。そういう点を消費者保護の立場から、この農林物資の規格法の法改正を私どもは求めておった、こういうことであります。  特に私はこの機会に申し上げたいと思うのでありますが、いま問題になっている果汁の問題であります。たとえば果汁の問題にしても、その果汁の含有率が一〇%ないし四五%未満のものは一〇、二〇、三〇とさせて、パーセントもついていない、これは御存じのとおりです。これでは業者はおろか消費者も何のことやらわからない。加えてその四五まで品質が落ちてしまうのであります。四五というのが最高であります。さらに、JASをつけると免税措置がある。ところが一方、蔵出し価格は、百ミリ当たり七円以下であればこれは免税であります。百シリ七円というようなそういうジュースは、果汁なんか入っておるわけがないですよ。これは子供が飲むものなんです。そういうものが免税だから七円というようなものになっておる。栄養価なんというものは全くない。  私はこういう点を考えると、三千五百もあるようないわゆるジュースメーカーのうち九割までが中小であって、認定工場になっておるわけです。したがって、中小企業零細企業のメーカーは、めんどうな手続や金をかけてJASのマークをとるよりも、いま申し上げたような七円以下の品質の悪いものをつくっていかざるを得ないという結果になるのです。これを見ても、いまのJASというものがいかに大企業に有利であって、中小零細企業には不利だということが、一目瞭然おわかりだろうと思うのです。このいまの七円という問題を取り上げてみても、免税措置の問題を取り上げてみてもそうです。  したがって、農林省が規格規準の引き上げ、そういう努力を常に怠らずに、皆さん自身が行政の中において法律の改正、特に省令の改正、告示の改正、そういうものによって農産物の規格基準の引き上げ、あるいは中小零細企業が品質のよい製品をつくるというような、そういう日常の活動を行政の中において当然努力をしなければならぬ。そういう点で、私どもとしては消費者保護の立場から、この農林物資規格法の法改正なりあるいは省令、告示の改正を求めたのであります。ところが出てきた法律は、農林物資の規格という点に加えて表示の問題まで出てきた。われわれはここに問題があると思うのです。  これについて、農林物資規格法の目的というものは一体何か。これは私が申し上げるまでもなく、品質の改善や生産の合理化取引の単純公正化でしょう。こういう問題についていまだ農林物資規格法の中には非常に多くの矛盾点があるから、それを改正してもらいたいということを要求したはずであります。この点についてはどうでしょう。
  72. 帆足計

    帆足委員長 御出席の関係当局に申し上げますが、武部委員からの質問は、きょうは六日です、十六日までに準備しなければ、それぞれの措置が、せっかくの委員の御努力にかかわらず空に終わるということを憂慮され、現在国民の大多数は果汁と錯覚して染料とインクを飲んでおるような日本の現状でございますから、真剣に御考慮くださり、連絡をよくし、そして深くお考えになって責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  73. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 先生指摘の点でございますが、附帯決議におきます農林物資規格制度の充実の問題につきましては、運用の問題を含めまして、附帯決議の趣旨に沿って実現につとめるというふうな内容を予定しております。たとえば、具体的な御指摘でございますが、ジュース問題等につきましても、農林物資規格法に基づくJASの規格標準について相当程度の引き上げということで現在改正を準備中でございます。そして表示問題につきましては、食料品についての生産、流通、消費につきまして一般的な責任を持ちます農林省といたしましては、消費者保護、消費者の経済的利益の確保という視点から一歩前進すべき段階になったということで、今回制度改正を準備中でございます。
  74. 武部文

    ○武部委員 それならば、「表示」ということをことさらに今回第三章に入れた理由をひとつお述べください。
  75. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 附帯決議第三項にも、農林物資規格制度関連の表示制度の充実ということでございますので、農林物資規格制度から接近いたしまして表示制度の充実をはかるということでございまして、あとは法文のテクニカルなと申しますか、技術的なあれとして新しい章を起こしたわけであります。
  76. 武部文

    ○武部委員 それならば、このことについて公取なり厚生省と意見の一致を見ておりますか。
  77. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 本来、われわれが現在準備中でございまして最終成案を急いでおります法案におきましては、食品の品質向上と表示の適正化を通じまして、一般的な消費者の経済的利益を確保するという視点から表示制度に接近しております。したがいまして、制度の立て方におきましても、厚生省の食品衛生の制度あるいは公正取引委員会の所掌なさっております計量制度等に、制度としても矛盾するところがないような立て方をいたすということで検討中でございまして、案につきまして現在鋭意お話し合いを続けておりまして、その基本的な点についてはほぼ話し合いを了承しておる関係省もございます。
  78. 武部文

    ○武部委員 この、原案の原案かもしれませんが、これを見ますと、食品の表示についてもこの改正によって取り締まることができるように、これは解釈できるわけです。何べんも言うわけですが、附帯決議は、一つの法律によって、一つの省によって、ということになっていないのです。これは何べんも言うように「統一的な観点から食品の表示に関する制度」で、当然、公取なりあるいは厚生省と十分連絡をとって、その中で食品法は一体、食品に関する規制、表示はどうするかという点についての政府としての見解を取りまとめてもらいたい。それに基づいて法律改正なり新法をつくるなりをしてもらいたいということを述べておるのです。ただ単に農林省だけに、少なくとも現在これだけ問題になっておる食品、ごまかし、インチキ、危険、こういう食品を農林物資規格法において取り締まるということを、私どもとしては附帯決議に載せたものではないのです。その点はどうですか。
  79. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 附帯決議第三項の御趣旨は先生のおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、統一的な表示を中心といたしました統一的な食品制度ということは、最も望ましい形であるということもお話しのとおりでございます。ただ、これにつきましては、行政権限なりあるいは組織とか諸般の角度から、おそらく関係省をあげての検討ということも要するものであるというふうに私ども考えておりますので、われわれの与えられた制度で、食品につきまして一般的な生産、流通、消費の改善という点について与えられておりますわれわれの職責に照らしまして、われわれの与えられた制度から一歩前進をいたしたいという点で今回の改正を準備したわけでございます。
  80. 武部文

    ○武部委員 附帯決議に基づいて自分の省でできるものはやろうという、そういう努力はよくわかります。よくわかりますから、努力をせぬ官庁に今度は文句を言わなければならぬようになるのです。努力することはよくわかるが、そのことが附帯決議の精神から、はずれてしまっては何にもならぬのです。私が言っているのは、この四つのものが相関連して、その中で特に食品の表示問題については抜本的な改正をしなければならぬということ、この議事録を読んでみてもそのことがずっと貫かれておるのです。それならば、今日まで農林物資規格法の中で表示がなかったということなんですよ。あの木へんの標示という制度があるのです。あなた方の条文の中にあるのです。それをことさらにこの表示制度ということをここへ持ってこられたということについて、あなた方は一歩前進だとおっしゃるけれども、運用のしかたいかんによっては、そのことによって食品問題がすべて農林省によって処理されるということになりかねないのですよ。そこを私ども心配するから、以下今度は厚生省なり公取についてお伺いいたしますが、少なくとも食品の品質等の表示は厚生省、公取が取り締まる、規制する、こういうものであって、なわやむしろやかますと一緒にこの食品を表示問題として取り締まろうということすら、私どもはちょっと奇異に感ずるものです。  ですから、そういう観点から次に進んで御意見を伺いますが、三月一日、つい先日ですね、国民生活審議会の消費者保護部会というものが開かれたはずであります。ここは委員八人中五名の人が出席をいたしました。これによると、成立をしませんで懇談会という形になったそうであります。この懇談会で出た意見は、当面は食品衛生法を省令、告示等て運用を強化すべきである――これはちょっと私は意見を異にいたしますけれども、また景表法の運用強化、これはもちろん、景表法第四条の三号、これは公取関係でありますね。「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの」、この四条の三号によって公取は指定をすみやかにすべきであるという意見を出しておる。私の承知するところでは、この四条三号によって現在公取が指定しておるものがないように思いますが、どうでしょうか。
  81. 山田精一

    山田政府委員 御指摘のとおり、現在第四条第三号の指定をいたしたものはございません。ただし、私どもといたしましては、第四条第三号を十分に活用いたしますために準備を整えております。どういうことを指定いたすかという内容の例を次に申し上げますと、たとえば商品の種類がまぎらわしい場合の品名、それから主要原材料が不明な場合の原材料、あるいは鮮度等が不明な場合には製造年月日、有効期間が不明な場合には有効期間、内容量が不明のものは内容量、たとえばこういうものを表示させるために第四条第三項を運用してまいりたい、かようなことで検討を進めております。
  82. 武部文

    ○武部委員 さらにこの会議では、農林物資規格法の一部改正の中に表示を入れるべきではないという意見の一致を見ておるのであります。さらに、関係官庁の連絡を密にして監視に万全を期せよ、こういう懇談会の意見の一致を見ておるということを承知しておるのであります。このように、消費者保護部会の中においても農林物資規格法の改正の持っておるところの内容について非常に疑問を持っておる、こういうことが明らかになってまいりました。  そこで、もう一つこの機会にお聞きしておきますが、JASは任意規定ですか、あるいは強制規定ですか。
  83. 八塚陽介

    八塚政府委員 私どものほうで国民生活審議会の消費者保護部会のお世話をいたしておりますので、若干経過を申し上げておきます。  ただいまのような御意見が消費者保護部会の委員の中にあったことは事実でございますが、消費者保護部会としてまだそういう形で意見をまとめられたということにはなっておりません。その点だけはひとつお含みおきいただきたいと思います。  なおその際、私どものほうとしまして、まあ私はこんなことであまり保護部会に出ておりませんからあれでございますが、法律の解釈の問題あるいは実態についてのいろいろな御意見等があったようでございまして、特に法律の解釈の問題につきましては、行政各部内において意見相違があってはまずいということで、そういう点についての関係各省の意思の調整をはかっております。なお保護部会とは別に、いまのお話しの問題につきましては、経済企画庁としてはいろいろ関係各省とお話を具体的にして、調整をはかるというふうに考えておりますことを申し添えておきます。
  84. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 農林物資規格法に基づきますJASの制度は任意の制度でございます。
  85. 武部文

    ○武部委員 そのJASについて、これは強制規定に改正する意思はありませんか。
  86. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 農林物資規格制度は、国が望ましい品質規格を設定いたしまして、事業者がその規格にのっとった製品をつくる、それによって消費者の利便にも供しますし、事業者としての利益にもなるという視点でございまして、この一定の品質規格を強制いたしますことについては、実はわれわれもいろいろ検討した過程はございますが、法律上憲法的な問題に多少関連するというようなことがございまして、これはやはり自主的な制度として位置づけるというふうにしたわけでございます。
  87. 武部文

    ○武部委員 そうすると強制規定に改正する意思はおありにならないようでございます。先ほど私は食品の問題を申し上げておるわけですが、事食品に関しては、消費者保護のためには業界の公正な秩序維持、そのために最も今日まで努力をしてきたものは、私は公正取引委員会だと思うのです。いま私が以下申し上げるような食品に関する公正競争規約、たとえば牛乳、加工乳、乳飲料あるいはかん詰めとかマーガリンとか食用ノリ、ゆでめん、清涼飲料、粉ワサビ、観光みやげ、ほとんどが農林物資規格法に該当するのですね。これについて公正競争規約をつくって、大体業界もこれに従っておる、こういう状況です。そこへもってきてこの農林物資規格法の中に表示を入れるということは、全くそこへ横やりを入れるようなことだ、私はそう思うのです。さらに、いま公正取引委員会でこの公正競争規約の検討中のものが、一つ一つ言いませんが、ビスケットだとかあるいは食酢とかハチみつとか、十四か十五あるようです。こういうふうに消費者保護のために公正競争規約をつくって、業界自身もそういう規制については一〇〇%賛成はしていないけれども、そういうものについて協力しなければならぬという立場で、消費者も公正競争規約がつくられてインチキ商品というものも排除されるということから一応安心する、そういう傾向になっておる。これは私は喜ばしいことだと思うのです。これに対して今回の改正案というものは、先ほど言うように横やりというか水をかけるというか。そういう結果に私はなるような気がしてならぬのであります。したがいましてこの機会に申し上げたいことは、この法律改正案の全部に反対をするのではないのです。第三章の表示について、これを撤回してもらいたい、これは撤回すべきだ、こういう意見を持っておりますが、どうでしょう。
  88. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 飲食料品、特に加工食品等につきまして表示の適正化をはかりますことは――生産なり流通あるいは消費という視点から一般的な責任を持っております農林省といたしましては、表示の適正化を通じて消費者の経済的利益を守るという責任を持っておるわけでございます。したがいまして、その指導的な行政のさらに裏づけとして、この表示制度を整備いたしたいという考えを持っておるわけでございます。したがいまして、先生だんだんの御指摘でございますが、たとえば景表制度等におきましても、御案内のように公正競争規約は、業者の自主的な規約を前提として公正取引委員会が処置なさるというような制度のたてまえになっております。したがって、やはり一般的に事業者に対して指導の裏づけといたしまして表示義務制を導入するということは、今日の消費者保護の強い要請にこたえるものといたしまして、われわれは不可欠のものであるというふうに現在考えておるわけでございまして、他の諸制度との、制度上法律上の調整なりあるいは運用上の調整等につきましては、現在立案の過程でございますので、十二分に御指摘の点を配慮いたしまして成案を得たいというふうに考えております。
  89. 武部文

    ○武部委員 公正競争規約についてお話がございましたが、この附帯決議の中には、第七項に「公正競争規約に関連のある業界に対し必要な場合に一定事項の表示を義務づけうるよう」、この点は公取に私どもは要請をしておるわけであります。これはあとで申し上げます。そういう点があるから申し上げたのであります。さらに、ごまかしやインチキや、そういう危険な食品が横行する今日、少なくとも食品衛生法では害がなければ取り締まれぬということになっておるのですから――これは質疑の中で明らかになったことであります。害がなければ取り締まれないのであります。不衛生、こういう点だけであります。これでは困るということで、この附帯決議で指摘をしたわけであります。  そこで今度は、あとで農林省にも申し上げますが、厚生省について質問しなければならぬのであります。そうなってくると、厚生省は、私ども指摘をしたように、害がなければ取り締まれない、こういう衛生上だけでは消費者を保護することは私はできないと思うのです。そういう意味で、この食品衛生法の改正については一体どういうお考えをお持ちになっておるのか、これを今度は厚生省からお伺いいたしたいのであります。
  90. 金光克己

    ○金光政府委員 食品衛生法の改正の問題でございますが、これにつきましては消費者保護基本法の附帯決議に基づきまして、食品衛生全般につきまして体制を強化しようということで、昨年来いろいろと検討してまいっておる次第でございます。そういうことでございまして、一つには現行法が、ただいま御説明ございましたように、危害防止というのが中心になっておるわけでございます。そこで次に考えるべき問題は、危害防止に加えて健康増進と申しますか、国民保健全般の立場からこの食品衛生法を改正するという問題があるわけであります。さらには国民保健以外の、偽和食品についてもこの食品衛生法で考えていくかという問題があるわけでございます。  そういうことでございますが、少なくとも厚生省といたしましては、国民保健という立場におきましては、法律本法あるいは政省令の改正によりまして強化をはかってまいりたいということでおるわけでございます。さらに、いわゆる保健以外の偽和食品につきましては、これは先ほど来お託が出ておりますように、公正取引委員会あるいは農林省等との関係もございますので、これは経済企画庁に中心になっていただいて協議して改正庁きめるべきだ、かような考えで従来進んでまいっております。  そういうような考えでまいっておるわけでありまして、現在までの段階におきましては、危害防止プラス国民保健という立場から、表示の問題のみならず、営業許可業種の整備の問題、整備と申しますか、必要なものを許可業種にあげていくという問題、あるいは食品衛生管理者の体制を強化してまいる、食品衛生管理者設置制度をさらに強化していく。第三に表示制度の充実、第四に規格基準の設定の強化、その他添加物等の検討というようなことで進んでまいっておりまして、今国会に提案しようということで現在までいろいろ検討してまいっておるのでございますが、いまの時点におきましてはまだ決定的な段階にはなっていないということでございます。
  91. 武部文

    ○武部委員 食品衛生法の改正については検討をしたけれども、最終的な結論がいまのところ出ていないので、法律案として今度の国会に出すかどうかについてはいまのところわからない、こういうふうに理解をするのですか。金光政府委員 極力今国会に提出したいという気持ちではございますが、実際にいまの段階におきましては、きょうすぐ提案できるという状態にはないということでございます。
  92. 小笠公韶

    ○小笠委員 ちょっと速記をとめて……。
  93. 帆足計

    帆足委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  94. 帆足計

    帆足委員長 速記を始めて……。  企画庁並びに関係政府委員並びに説明員に申し上げますが、先ほども御注意申し上げましたように、本日の議題は、超党派的に全会一致で表現をいたしております消費者保護強化に関する件に基づくものでございますから、したがいまして、ただいまのようなあいまいな御答弁では現委員も並びに委員長も満足できません。したがいまして、腹をきめて、御熱心に、消費者の利益を守るという観点から御答弁を願います。これにつきまして、登坂政務次官から責任ある御答弁を、いま小笠委員の警告に対しまして御答弁を願いたいと思います。
  95. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 私どもとしては、消費者保護基本法の精神にのっとって、主管庁といたしまして十分責任を痛感いたしておるのでございまするが、各官庁にわたっておるわけで、農林省及び厚生省等が中心になって、経済企画庁の国民生活局が中に入りまして折衝中で、なるべく早く国会に法案を出すべく目下検討中であるということを聞いておりますが、今後なお事務当局を叱咤激励して、御趣旨に沿うべく努力させてまいりますが、いつ幾日ということはまだこの場において言明はできませんけれども、厚生省のほうの食品衛生法の一部改正がその緒についており、しかもまた審議会のほうからの中間意見も出ておるようでございまするから、早急に御趣旨に沿うように努力いたしますが、期間のこと、いつ幾日ということは検討させてもらいたいと思います。
  96. 武部文

    ○武部委員 私がしつこく言うのは、非常に長い時間かかって、与野党とも消費者保護の観点から努力をしてあの基本法ができたのです。その過程で一番問題になったのはこの食品問題だったんですよ。これは非常に長い時間をかけてやっておるのです。今日食品について国民が非常に多くの迷惑を受けておる。こういう点から何とかひとつ法律改正ができないものかという点で、私ども意見の一致を見て、附帯決議をつけたわけであります。あれから一年かかっておるのであります。少なくとも、いまの答弁のように、一応考えたけれどもまだ成案に至っていないとか、あるいはできるだけ努力をしますとか言ったところで、さっき言うように、党のほうは十六日か十七日に出ないと締め切る、こういうことになっておる。ここにも問題がある。ですから、食品衛生法について私どもは今回ある程度改正してもらいたい。そのあとのまだ主張がありますが、少なくともいまある法律を何とかこの附帯決議に基づいて改正してもらいたい、こういう希望を持ったのであります。特に食品衛生法、これは栄養改善、特殊栄養食品を含めて、この問題について一番強い関心を持ったのであります。そのものの改正が全然出されずに、農林物資規格法の中に食品の表示問題までひっくるめて出てくるところに、私どもは問題があると指摘しておるのです。農林省の努力を全然私どもは否定いたしませんよ。皆さんが努力しておることは認めます。認めますが、本来これは、これから申し上げる食品法なら食品法、そういう統一的な食品法の中においてこれは解決すべきものだ。しかしそれができるまでには相当時間もかかるだろう。そこで公取あるいは農林、厚生、これとよく話し合っていただいて、その音頭を企画庁がとって、当然今回お出しになるだろう、こういう期待を持って私どもはおったんですよ。それがいまの答弁のように出るのか出ぬのか、それがわからぬ。出ぬなら出ぬで、はっきりここでしてもらえばけっこうです。
  97. 八塚陽介

    八塚政府委員 いま武部先生お話しになりましたとおり、私どもも附帯決議の第二項の第三に基づきまして、食品の表示について統一的な観点から種々考うべき点がある。まあ食品だけではございませんけれども、統一的な表示あるいは徹底的な表示ということにつきましては、具体的に食品についてそういう附帯決議がございますし、私どももそういう問題を持っておるのでございますが、やはりお話にありましたように、やや根本的な相当長期の検討を要するということで、企画庁といたしましては、たとえば国民生活審議会の保護部会に対しましても表示に関する基本的な考え方について御諮問をいたしておる、等々ございまして、今回は、やはりいまお話がありましたように、具体的な法律をそれぞれの目的に応じて改正していく、そうしてその関係でいろいろな調整をすべき問題が出てくれば、私どもとしては積極的に調整をしてまいるという態度で従来もまいったわけでございます。まあ現在の段階は、必ずしも各法律の意図するところは同じペースで改正の道を歩んでおりませんけれども、私どもとしましてはいまのようなお話も十分に体しまして、これからさらに精力的にその調整に入りたいというふうに考えております。
  98. 武部文

    ○武部委員 いろいろいま回答いただきましたが、結果的に申し上げたいことは、今度の国会にはこの法律改正は間に合わない。間に合わないというよりも出ないというふうに、私は理解せざるを得ないと思うのです。  そこで、いわゆる先進諸国の中で食品法を持たないのはわが国だけだと思うのですが、先進諸国の食品法について厚生省は研究調査したことがありますか、しておりますか。
  99. 金光克己

    ○金光政府委員 外国におきましては食品医薬法と申しますか、食品法と医薬法と一緒にしておるところが多いようでございまして、大体食品衛生法というよりは食品法ということでいろいろのものを含めて扱っておる、かように承知いたしております。たとえば英国が食品薬品法、オランダが食品法、デンマークが食品法、スエーデンが食品法、アメリカが連邦食品薬品化粧品法、かような形になっておるわけであります。
  100. 武部文

    ○武部委員 いや、名前を聞いておるんじゃないですよ。そういうことについて調査研究をしていますかということを聞いているんですよ。
  101. 金光克己

    ○金光政府委員 これは当然調査研究いたしております。
  102. 武部文

    ○武部委員 四十二年五月三十日参議院の社会労働委員会で厚生省の前の舘林環境衛生局長が、色もの牛乳問題がやり玉に上がったときに、次のような答弁をいたしております。食品の表示が成分内容と異なるときは、公正取引委員会で監視しているが、現在の食品衛生、特別栄養添加物などの法律では規制できない。名称と内容が一致する食品法ともいうべき総合的な新しい法律を設けて、国民が誤解しないよう検討しておるという、こういう趣旨の答弁をいまから二年前におやりになっておる。加えてきょうまでの間に、中間に基本法の討議を通じてこの附帯決議がつくられたわけであります。厚生省としては、このような経緯から、当然食品法について何らかの具体的な案をお持ちであろうと私は思いますが、いかがでしょう。
  103. 金光克己

    ○金光政府委員 ただいまの御説明のありましたことにつきましては、私も議事録を読んで十分承知いたしておるわけでございます。食品衛生法の改正によりましてこれを大きく範囲を広げていくという問題でございますが、これにつきましては先ほど来申し上げましたように、第一には、現在の危害防止という観点のものを国民保健ということに広げていく。第二には、さらにこれは国民保健以外の問題、たとえば表示につきましては偽和食品等の問題につきまして含めていく、これがいわゆる食品法ということになろうかと思うのでございます。こういうことにつきましては、従来非常に研究、検討はいたしてきておるわけでございまして、決していままでに怠慢であったということでないのでございまして、全国の各県の意向等も各ブロック会議を開いていただきまして、いろいろと検討していただき、その資料等もいただいて、御意見等もいただいて、いろいろと検討をしてまいっております。  第一番の問題としましては、現在の法律におきましても、省政令を改正いたしまして、食品衛生体制の強化というのはかなりできるわけでございます。これを現実の問題といたしましてどの程度にするかということをまず詰めてまいりました。それからもう一つ国民保健という立場でございますが、これにつきましては、やはり危害防止に加えての国民保健という立場になりますと、食品につきましては、国民の立場に立ちまして、健康を守る上からいいまして、かような表示がほしい、かような規制がほしい、かような問題でございます。それにつきましては具体的にいろいろと検討いたしてまいっておりますが、どの程度までの範囲を取り上げ、規制をしていくかということは、実体的には非常にむずかしい問題があるということで、非常に今日まで時間がかかっておるわけでございます。  そういうことでございまして、それに加えて食品法、いわゆる国民保健以外の食品法という立場に立ちますと、これはやはり、先ほども申し上げましたように、公正取引委員会あるいは農林省といった関係あるいは経済企画庁という関係がございます。これは経済企画庁が中心になって御検討いただいて、食品衛生法を改正して食品法をつくるか、あるいは現行法、食品衛生法は保健という問題を入れた範囲において、国民保健の立場の法律にするかといった問題があります。この点につきまして、現在最終的な結論も出ていないということにおきまして、厚生省としましても、先ほど、まことに申しわけないことでございますが、検討中だ、かような御答弁をせざるを得ないということでございます。
  104. 武部文

    ○武部委員 食品法についていろいろお述べになまりして、怠慢じゃないとおっしゃるけれども、先ほどの食品衛生法の改正についての、いまの厚生省の御意見を聞いておりますと、そういう点についてはちょっと信用ができないのであります。少なくとも食品法を制定する前段としては、食品衛生法の改正が前段の行為でなければならぬと私は思うのですよ。食品衛生法の改正、農林物資規格法の改正、不当景表法の改正、これが足並みをそろえて、その中から食品法というものの制定に向かって、ある程度日にちはかかるでしょうが、そういうかっこうにならなければいかぬのです、この三つが。ところが、農林省だけ片一方に進んでしまって一この点あとで公取にも聞きますか、特に厚生省に至ってはこんな程度で、これで食品法など制定する努力をしておるなんて、そんなことは通りませんよ。私はそう思うのです。ですから、いまのあなたはそういうふうにおっしゃるけれども、今回食品衛生法の改正ができなかったというと、背景に、厚生省としてこの消費者保護基本法に基づく私どもの附帯決議を全く無視しておる、こう言わざるを得ないのですよ。そうなってくると、この消費者保護基本法というものは、私どもが議員立法でつくったものであります。したがって、一般消費者を保護するため、さらには食品業界の適正な発達を願い、さらには日本農業の発達、こういうことを考えると、皆さんがおやりにならぬなら、われわれは少なくとも議員立法をとらざるを得ないのです。野党三党においてはその話を進めておるのですよ。おそらく自民党の皆さんもこれに同調していただけると思う、この消費者保護基本法は四党でつくったものですから。あなた方がそういう態度でおやりにならぬなら、私たちはこの食品衛生法の改正なり食品法について議員立法で、むずかしいかもしれぬけれども考えざるを得ない。いままでの答弁を聞いておって、全く皆さんの答弁については誠意がないのです。加えて、農林省は一生懸命やっておるとおっしゃるが、農林省がもしかりに原案のままでこれを通過させるならば、表示問題については農林省において自由にできると思うのです。ここが問題なんですよ。こういう点について私は、先ほど申し上げたような、野党においてはそういう態度をとらざるを得ない、自民党の皆さんの同調をぜひいただきたい、こういう気持さえ持っておるのであります。食品法について経済企画庁が音頭をとって、そうして公取、農林、厚生、こうしたものと十分連絡をとりながら、附帯決議のこの項目にあるような統一的な、食品問題について将来食品法をつくる、そういうような取り組みをおやりになる意思があるかどうか、それを聞きたい。
  105. 八塚陽介

    八塚政府委員 先ほども申し上げましたが、私どもも、食品については多方面からの関係がございますし、その意味においては、消費者は最終的に一人でございますから、やはり総合的統一的に食品に関する表示の問題が運営されることは好ましいことだというふうに考えますので、今後そういう点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、国民生活審議会等にも御諮問をいたしております。一方、関係各省お集まりを願いまして、さらに研究を進めるということは必要であろうかと思います。ただ、武部委員も御指摘になりましたように、問題はなかなか広範にわたっておりますし、深うございます。具体的には日本行政組織その他等も十分勘案しなければいけませんので、なかなか問題があろうかと思いますので、時間がかかるだろう。そういたしますと、とりあえず関係各省がそれぞれの立場で、消費者保護の立場で法令なり運用なりを強化していくことが必要であろう。ただ、その過程において、法案の構成あるいは実際上の制度の運用等において――もちろんそのどこもやらない、穴があく、すき間があるということよりも、若干は重複してもそのほうがむしろ次善の策としてはいいと思いますが、しかし国の行政として、そういう関係で重複したりするということは、これはもちろん望ましくございませんので、私どもも微力ではございますが、将来の食品法というようなものはもちろん研究を進めていくといたしまして、現実的にそれぞれの仕事を進められるように調整を極力はかりたいと思います。先ほど来お話がありましたが、時間的にかなり制約をされておりますので、さらに一そう努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 武部文

    ○武部委員 厚生省の話は以上で終わりますが、もう一点、この基本法が制定される過程を通じて、危険な食品であるとか、ごまかし食品であるとかいうような点について、厚生省に十分ひとつ監視体制なり、常時地方において保健所職員がそういう取り扱う事業場を巡回をしてもらわなくてはならぬ、こういうような点についていろいろ実情を聞きましたところが、二百数十万件の食品を取り扱う場所があるにかかわらず、ほとんどそれを巡回することは困難だ、こういう話がありました。政令で定められたとおりやるならば、いまよりも四千人から五千人この監視員をふやさなければならぬ、こういう話も聞いたのであります。一ぺんに四千人、五千人増員はとても困難だということは私ども百も承知であります。さらに、輸入食品の監視体制についても、十一の港にわずかに二十名しかいない。こういうことでは、一年に十二万から十三万件も入る輸入食品を一体どうしてチェックするのか。こういういろいろな役割りをする中で、わずかに見るのは七千件ぐらいの本のだというような話がありました。こういう危険な食品がどんどんわが国に入ってくる体制について、二十名ぐらい十一の港におって、一体これで義務が果たせるのか。こういう点について、当然これは増員すべきである、こういう要求もして、厚生省も増員をするという約束を当委員会でされました。結果的には、私どものいただいた資料によると、一名も増員していないのです。二十名そのままであります。こういう点を考えると、何か厚生省の中において消費者保護行政について熱意が欠けておるのではないだろうかというような気持ちがしてなりません。先ほどの食品衛生法の改正問題についてしかりであります。今日いまこの段階で二十名を二十五名にしろと言ったところで困難でしょう。しかし、少なくともそういうような消費者の保護行政のあり方では、国民の期待に沿うことはできないと私は思うのです。ぜひひとつきょうの私の発言にこたえていただいて、こうした予算の面や人員の面で今後さらに努力をしていただきたい、こう思います。これは要望だけにとどめておきたいと思います。  たいへん時間が経過をいたしましたが、次に公正取引委員会にお伺いをいたしたいのであります。  附帯決議によりますと、農林、厚生とともに、公取に対しては食品の表示制度について景表法の改正及び運用の強化を求めております。公正取引委員会は、今度の国会にこうした問題について法律の改正を出す意思がおありでしょうか。
  107. 山田精一

    山田政府委員 附帯決議にお示しになりました事項は、現行法のもとにおいてやっていけるという考え方に立ちまして、運用を一そう強化してまいる、こういう考えでおります。
  108. 武部文

    ○武部委員 具体的に言うと、排除命令を強化していけば大体この趣旨にのっとってやっていける、こういうことですか。
  109. 山田精一

    山田政府委員 この決議で御指摘になりました項目は三点あるかと思うのでございます。  第一点は「表示に関する公正競争規約に関連のある業界に対し必要な場合に一定事項の表示を義務づけるようにする」、この点でございます。先ほども指摘のございましたように、公正競争規約は、食品につきましてすでに八件、食品以外のものにつきまして五件できておるわけでございますが、これを認定いたしますにあたりましては、表示連絡会を開きまして、一般消費者、関係官庁、それから関係業界、学識経験者の意見を聞きますのみならず、アムトサイダーや関連業界とも十分協議をいたしまして、公正競争規約を認定、告示をいたすわけでございます。それが一たんきまりますと、業界においては相互に監視をし合いまして、この自主規制を守っていくわけでございます。もし、アウトサイダーについてこの公正競争規約に抵触する事実がございました場合には、これが公取に申告があることになっております。公正取引委員会といたしましては、これを業界一つのルール、正常な商慣習といたしまして、アウトサイダーに対しましても排除命令をもって対処いたしてまいる、かような考え方をとっておるわけでございます。  それから、第二点としましては「都道府県知事が公正取引委員会に対し不当表示についての処分請求を行なえるよう検討する」、こういう御指摘でございましたが、これは現在、事実上私のほうも、役所の地方支部と各都道府県との間に随時連絡会を開いておりまして、相互に通報し合いまして、事柄の処理につとめておるわけでございます。  第三点といたしましては「懸賞による景品類の提供については、商品購入を条件としないものについても規制しうるようにすること。」とございます。これは、先般公聴会を開きまして、近日公示されますところの懸賞による景品類の提供に関する件という告示によりまして、従来より強化をいたした点が二点ございます。第一点は、絵合わせ、文字合わせのたぐいの懸賞を禁止いたしましたこと。第二点は、直接商品の購入を条件とはしておりませんけれども、一応官製はがきなどの応募も認めてはおりますが、商品を購入いたすほうが有利な、いわば脱法的な懸賞、これを規制いたすこととし、これを含めました告示の改正をいたすことになっておるわけでございます。
  110. 帆足計

    帆足委員長 粟山政務次官おいでになりましたが、お聞き及びのとおりのことが問題になっておりまして、武部委員から熱心にいま、染料、インク同様、または毒物同様のものが果汁と間違えられ、錯覚せられ、果汁類にまぜられ、食料にまぜられて国民の飲料となっておりますが、これらを規制する法案の準備が遅々としてはかどっていないことについて警告があり、なお、小笠委員から適切な警告がただいまございました。したがいまして、それに対しまして登坂政務次官並びに粟山厚生政務次官から責任ある御回答をお願いしたいと思っております。
  111. 粟山秀

    ○粟山政府委員 おくれて参りまして、たいへん失礼いたしました。  私の出席いたしませんでした間の御質問に対しては、局長も見えておりますので、後ほど御意見のことをよく聞くつもりでございます。  なお、私が伺いました時点で、厚生省がたいへん熱意がないようなおしかりでございましたが、そのような印象を武部委員にお持たせしたという事実については、私も非常に遺憾に存じます。したがって、御意見は重々ごもっともだと思われるのでございますから、今後御要望に沿うように、これはまだ結論が出ておりませんので、早急に各省ともお話し合いを進めまして、厚生省は手ぬるいという印象をぬぐいたい、そういう覚悟でやってまいりたい、そう思っております。
  112. 武部文

    ○武部委員 公取委員長、なるほど衆議院の附帯決議にはそのようになっておるのですが、参議院の附帯決議も御承知だと思うのですよ。参議院の附帯決議は、衆議院のときと同様に、四つの法律を通じて食品の表示制度について検討する。さらに「商品の原料製造年月日の表示の内容及び方法の改善等につき、根本的な再検討を行なうこと。」こういう附帯決議をいたしておるのであります。さらに参議院では、公正競争規約に関して「一般の業種に対しても同様の措置を講じうるよう検討すること」、これは表示の義務づけですね。これをつけ加えているわけですが、これについてお聞きいたします。
  113. 山田精一

    山田政府委員 御指摘のございました参議院の、原料製造年月日、等級別規格等の表示に関しまする件は、先ほども申し上げましたが、景表法第四条第三項、これを活用いたしまして、品名、原材料製造年月日、有効期間、内容量、合成甘味料、合成着色料の使用あるいは製造方法等につきまして、表示を義務づけるようにいたしてまいりたい、かように考えております。
  114. 武部文

    ○武部委員 そうすると、私が先ほど申し上げた四条三項を活用していこうということですか。
  115. 山田精一

    山田政府委員 そのとおりでございます。
  116. 武部文

    ○武部委員 それではちょっとお伺いいたしますが、農林省の農林物資の規格及び表示に関する法律という案について、公正取引委員会はどういう御見解をお持ちでしょうか。
  117. 山田精一

    山田政府委員 この表示につきまして、抵触あるいは重複、あるいは基準が区々になるようなことに相なりましては適当でございませんので、そういう点について十分検討し、関係官庁とも意見を調整してまいりたい、こう思っております。
  118. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、農林省の出しておるこの法律の原案について、公取としてはいろいろ、特に表示ですね、その問題については意見を述べ、調整をしたい、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  119. 山田精一

    山田政府委員 そういうようにいたしたいと存じます。
  120. 武部文

    ○武部委員 それでは再度厚生省にお伺いいたしますが、厚生省は、この農林物資の規格及び表示に関する法律の表示の問題については御意見がありますか。それともこれについては賛成ですか。意見があれば、農林省と十分相談をして、食品問題に関してお互いがその中に入りまじるような問題について、十分検討を加える用意があるかどうか、その点お伺いいたします。
  121. 金光克己

    ○金光政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げましたように、一つには、食品衛生法とは区別をはっきりしてもらいたい。ことに国民保健という立場で食品衛生法の問題も検討しなければなりませんので、その点の区別は明確にしてもらいたい。  もう一つは、国民保健以外の問題があるわけでございまして、そういったようなものの表示につきましては、やはり経済企画庁を中心として協議をいたしまして、その上に立ってきめていただきたい、かようなことで協議をいたしておるわけでございます。
  122. 武部文

    ○武部委員 何べん言っても同じことですからやめますけれども、食品衛生法と区別を明確にしてくれと言ったところで、自分のところに法律がなくて相手のことばかり言って、相手にできてしまったら、あなたのほうはないのだから、こちらの法律が、表示問題の原案が通ったとしますか、食品問題についての表示がこれでいろいろ規制される。これは食品全部入るのですよ。そのときにあなたのほうで、これは食品衛生法だからかまってもらっては困ると言ったって通らぬじゃないか。これは何べん言ったって同じことだ。そういう点で、食品衛生法とこの農林物資規格法との間にいろいろ問題があると思うのですよ。これはあるはずなんですよ。だから新聞だって書いてあるじゃないですか。「農林省案、手ぬるい公取委が“待った”かける」と、大きな記事が出ております。どこがほんとうか知りませんが、こういう問題が起きております、現実に。そこへもってきて、この原案は相当前からつくられて、私どもの手元に入っておるのです。ですから十分ひとつ検討を加えていただきたい。しいて言うならば、この第三章を農林省は削除してもらいたい、こういうふうに私は思いますが、農林省として削除する意思がありますかどうか。もう一つ言います。この機会に言っておきますか、第十二条、登録格付機関の問題で四つ出ておりますね、この四点については非常に問題があるのです。この登録機関の格付について、これを削除する意思がおありかどうか。この二つだけ。
  123. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 先ほど来いろいろ御質疑がございましたが、食品につきましての表示制度を農林省の与えられた領域から充実いたすという点で、表示制度についてはわれわれのほうとしては関係省の調整がほぼついてきた段階でございますので、ぜひそれを含めて提案をいたしたいというふうに考えております。表示制度の問題につきまして……。
  124. 武部文

    ○武部委員 含めてということは、削除せぬということですね。  そこで最後に資料を要求しておきたいと思います。食品表示についての厚生省、農林省、公正取引委員会の規制の状況、これを示す資料をひとつお出しいただきたい。委員長お取り計らいいただきます。
  125. 帆足計

    帆足委員長 ただいま武部委員から要請されました各資料につきましては、きわめて重要な資料要求でございますから、政府委員並びに説明員において御連絡くださいまして御善処お願いいたします。
  126. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  127. 八塚陽介

    八塚政府委員 ただいまの資料につきましては三省にまたがっておりますから、私どものほうである程度、様式であるとかそういうことを取りまとめて、御便宜をおはかりしたいと思います。
  128. 戸叶里子

    戸叶委員 武部委員質問に関連いたしまして、一、二点だけ伺いたいと思います。  消費者保護基本法を、消費者を守るために非常に必要であるという観点に立って超党派で出し、しかも附帯決議がつけられておるわけですけれども、先ほど武部委員が言われたように、附帯決議がほとんど何にもされないということはまことに残念でしかたがない。いま武部委員がいろいろと追及されまして、厚生省は、大体この国会に間に合うようには食品法の改正はできない。それから農林省のほうは、何とかいまJASの改正を出そうとしておる。しかしその中で、各省ともいろいろな調整をとった上で出したい、こういうようなお話でありました。そして今度は企画庁のほうの八塚局長は、やはり統一的な食品法というものは出さなくちゃならないのだ、将来は出さなければならないと思います、そういう目的に向かって努力はいたしますというようなことを言っていらっしゃったものですから、私もその点をぜひ考えていただいて、なるべく早く統一的な食品法という方向に持っていっていただきたい。それもどのくらまでと、人間は目標を定めなければできないと思うのです。ですから、大体どのくらいの目標で努力してくださるかということをひとつ伺いたい。  それから、そういうふうなことをおっしゃりながら、先ほど、そうかといっていろいろな穴があって、その穴をそのままにしておくことができないから、各省でいろいろ考えていることをどんどんやっていただくのだ、こういうふうにおっしゃった。厚生省が出さないとなると、農林省が出すのか出さないのか、さっきちょっとわからなかったのですけれども、その間の調整をどういうふうにしてくださるか。  この二つをまず伺いたい。
  129. 帆足計

    帆足委員長 この問題につきましては、女性は最も理解のある問題でありますし、各省間で意見相違があるかのように委員長には理解されますので、まず粟山厚生政務次官から意見を承って、それから大河原説明員の意見を承って、それから八塚国民生活局長から承って、また目標については、小笠委員の御所見に対して明確な返答がありませんでしたから、重ねて登坂政務次官から御意見を承りたいと思います。こういう御順序で、粟山厚生政務次官
  130. 粟山秀

    ○粟山政府委員 戸叶委員のおことばでございましたが、厚生省といたしましても法改正をしたいということで、まだ話は詰まっておりません。私どもといたしましても、各省の担当の方たちとよく話を煮詰めまして、そして厚生省としてもできるだけ今国会に出したいという姿勢で、至急進めていきたいという考えでございます。ここにすわっておりまして、まだちょっと私どもの折衝の余地があると思っておりますので、至急にこれもやる覚悟でございます。意見相違があるとは思っておりません。ですからこれは詰められる、そう思っております。
  131. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 私どものほうは、すでに法案提案について相当の検討と準備を進めてまいりまして、各省と最終的な調整に入っております。御議論になりました、たとえば食品衛生法との関係につきましても、公衆衛生法に基づきます権限は明らかに厚生大臣に確保いたすというように、法文上も明確な規定を用意したいというふうに考えております。  それからなお、公正取引委員会の御所掌なさいます景表法につきましても、その一般的な指導業務の延長という点から制度を組み立てまして、排除命令なりその他、景表法の本来働く領域はそれでお願いいたすということで、制度の脈絡関連を重ねまして提案をいたしたいというように考えております。
  132. 八塚陽介

    八塚政府委員 まず食品法の問題あるいはそのめどでございますが、先ほども申し上げましたように、表示というものは範囲が非常に広うございます。私どももいま国民生活審議会に、いわば基本的な観点からの検討をお願いしておる。これが大体私どもといたしましては来年一ぱいはかかるであろうというふうに考えます。  一方、しかしその御議論とは別に、行政官庁相互に研究会のようなものでもつくりまして、食品法というようなものの可否あるいはどういうことになるのかというようなことを取り進めたい。ただ、現在食品法というふうに一般的にいわれております場合に、目的はわりにはっきりいたしておるわけでございます。消費者にとって、いろいろな多方面の関係のある食品をばらばらにやっておってはいけないじゃないかという意味では、これはわりにはっきりいたしているわけですが、具体的に関係各省が、衛生の立場あるいは独禁法の立場、あるいは一般的な行政指導の立場ということで、それぞれやっております日本の風土における統一的な食品法というものがどういうふうになるかというのはかなり問題がある。逆に言いますと、簡単に、各省がやっておるのをただ一つの法文に書けばそれで足りるというならば、これは場合によってはできると思いますが、それならばパート、パートは結局また各省現状でお願いするということにもなりますので、イージーな形でやるということではおそらく御質問の趣旨ではないだろう。そういう点につきましては、いますぐいつごろめどをつけるというようなことをちょっと申し上げかねるわけでございますが、今後ともしょっちゅう御鞭撻願う機会もあると思いますので、そういうことで努力いたしたいと思います。  そういたしますと、やはり現実行政に足らざるところがあればそれは積極的に解決をしていく、そうして将来そういうものをアウフヘーベンしていくような形で――ここで私とも、これだけの附帯決議をいただきまして、だんだんおしかりを受けておるわけでございますが、これに関連するかなり重要な法案の一つも出なかったということになりますと、これは私としても実は立つ瀬がない、そういう意味でもございまして、できるだけ現実化したいということで、もうしばらく努力を続けたい、そういうふうに考えております。
  133. 帆足計

    帆足委員長 御苦心のほどはお察しいたしますが、本日は六日で、十六日が目標だということですから、登坂政府委員、これを空の空なるものになさっても差しつかえないか、立つ瀬があろうがあるまいが、国民の利益のために必要なことですから、御決意のほどを大所高所から承っておきたいと思います。
  134. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 武部委員の切々たる御要望並びに政府に対する叱咤激励、またわれわれとしても当然これは国民衛生保健上しなければならぬと思っておるわけでございます。そして、ただいま厚生政務次官とも話したのでありますが、せっかく農林省が中心になって表示法をおつくりになっておる、これを総合的によりよいものにいたしまして、一人たりといえども国民の衛生保健を守ることは政府の責任でございますから、そういう方面に向かって鋭意努力いたしまして、本国会に提出すべく最善の努力をお誓い申し上げます。
  135. 戸叶里子

    戸叶委員 いまの政務次官の御答弁、ちょっと了解しかねたのです。たとえば厚生省のほうで出すようにするとおっしゃったのですが――私関連ですからあまり時間をとりたくございませんから質問だけ申し上げますと、先ほど農林省のほうが大体案をつくって出そうとしている、各省とも調整をとろうとしているということをおっしゃったわけです。そうすると企画庁のほうとしては、これが出せるような調整に入って、そしてお出しになるかどうか。農林省がお出しになることでしょうが、企画庁はそれに対して調整にお入りになって、何とかまとめようとなさるかどうかということが一つです。  それからもう一つは、粟山政務次官がいらっしゃる前にあったことで、粟山政務次官の先ほどの御答弁の御熱意のほどはよくわかりますけれども、あまり局長がいろいろ調整中、調整中とおっしゃったものですから、大先輩の小笠さんが業を煮やされて、速記をやめさせて、そして、努力も検討もいいけれども、この国会に間に合わないのにその場つなぎみたいな答弁はよしなさいということで、そういう一幕もあったわけです。私どもとしましては、出していただこうとする努力はわかりますけれども、いつまでという限界があるのですよ。ですからそういうこともお考えになって、そして御努力をしていただくなり、御答弁をするなりしていただきたい、こういうことが一つなんです。これはよろしゅうございますから国民生活局長にひとつ伺いたい。  それからもう一つ、これは違う問題で恐縮ですけれども、時間がありませんから続けて伺いますと、消費者保護基本法の中で消費者保護会議というのがあるわけですね。それはいままでに何度くらいやられているかというのが一つ。  それからもう一つは、その内容なんですけれども、私たちがこれをつくりましたときには、物価の問題を扱うことはできない。物価の問題は消費者保護基本法で直接にどうのこうのということはできないけれども、しかし公共料金くらいはあそこである程度チェックできるように、しかも権威のあるものにしよう、こういうことで消費者保護会議というものを私は考えたつもりでございます。そこで、今度運賃値上げの問題等も出ておりますが、運輸省のほうはおそらく運賃を値上げしろということをおっしゃると思うのです。しかしほかの省が出ていって、それはちょっとまずいのじゃないかという、チェックになるようにという意味であの消費者保護会議というものをつくっておきたいというので、みんなが相談しましてつくったと思うのです。ところが運賃値上げの問題等が目前に迫っておっても、消費者保護会議が開かれたようにも聞いておりませんので、ではこれまで何回くらい開かれたか、そしてその問題が討議されたか、今後討議されるか、討議された場合には企画庁は一体どういう態度で臨まれるか、これだけを伺っておきたいと思います。
  136. 八塚陽介

    八塚政府委員 最初の調整の問題でございますが、先ほどるる私の気持ちを申し上げました。いずれにしても一つの省からこれを出したいと言われたときに、よほどのマイナスがなければ、私どもとしてはやはりくみ上げて、それの積極的な意味の調整をするというのが大体の立場だと思っております。そういう意味におきまして、先ほど来お話がございましたが、中身についてはもちろん農林省等もさらにお考えいただくこともあるだろう。関係各省についてもさらに具体的な問題を煮詰めていただく必要がある。私どもといたしましてはそういうことを踏まえまして、やはり最後的に努力をいたしたいというふうに考えております。  それから第二の御質問の保護会議でございますが、保護会議は御承知のように関係各大臣で構成いたしておりまして、開催いたしましたのは昨年の八月でございます。そのときにただ非常に包括的にやりまして、ただいま問題になりましたような農林物資規格法の改正あるいは食品衛生法の改正の検討とか、あるいは建物の割賦の問題とか、いろいろな方針を各大臣がおきめいただいたわけであります。したがいまして、それ以後は、それぞれ各省のいわばコースが定められたわけで、各省ごとにずっと検討、具体化をはかっておるということで、いわば総合的な保護会議はそういうことで一回だけでございます。  ただ、ただいまお話しになりました運賃の問題でございますが、これはあるいは立法なさいました御趣旨とは若干私ども違った扱い方をしたかと思いますが、物価については臨時物価対策閣僚協議会というのが特にございます。その際に関係閣僚がそれぞれ御議論なさる。ただ運賃につきましては、今度の場合は国鉄でございまして、特にそういう形で議論されずに、各省大臣がそれぞれの立場で非常に強く御議論をされた。したがいまして企画庁長官は、いろいろ新聞等で御承知だと思いますが、物価の観点から十分意を発表されたと思っております。それから、たとえば公共割引の点につきましては、通産大臣、農林大臣がそれぞれ国鉄運賃についても御発言があって、結果において上げなかったというようなことにもなっておりますので、御趣旨からいたしますとあるいは必ずしもその線での処理ではございませんでしたけれども公共料金というものについては物価対策閣僚協議会、あるいは国鉄、米等については各大臣の非常に激しい御論争の結果ということでございますので、政府部内における最高の方々の意思というものはいわばそういう場で決定するというふうに御了承願いたいと思います。
  137. 戸叶里子

    戸叶委員 もう私はこれでやめますが、消費者保護基本法ができたからには、やはりその内容々充実させていっていただかなければ消費者の保護にならないと思うのです。消費者の保護をしたいという熱意からこの法律をつくったわけでして、附帯決議の中の一つの法律の改正もできないというような今日の状態では、ほんとうに私たちは残念でたまらないわけです。これからも十分監視いたしますから、どうぞ実のあるものにしていただきたい。消費者をほんとうに守るものにしていただきたいと思うわけです。  消費者保護会議の問題も、いまのような御答弁ではこんなものは要らないじゃないかというふうに、前に議論したのと同じようになってくるわけです。だから、消費者保護会議というものは閣僚級にしておいて、権威あるものにして、そこで公共料金なんかが出た場合には十分議論をしていただきたいという、こういう願いを込めてつくった会議でございますから、企画庁ももう一度その点を思い起こして、そして一年に一回、一年以上たっても一回しかないなんというようなことのないように、どうぞしていただきたいということを申し上げまして、私、関連質問ですから終わりたいと思います。
  138. 帆足計

    帆足委員長 村肝重武君。
  139. 有島重武

    ○有島委員 初めに私は、いま証拠になっておりました消費者保護基本法について、同じ立場から一言御質問しておきたいと思います。  いま戸叶さんからだいぶお話が出ましたけれども、食品衛生法を今国会に出したいということは、いままでのお話の経過を聞いてみると、これは無理じゃないかと思います。少なくともことし中には目鼻をつけるとか、そういった期間的なことはしっかりしておかないと、私どももこれは議員立法しなければならぬじゃないか、そういうことは考えているわけなんです。それで、手をつけてみれば非常に膨大で、むずかしいことは痛感するわけでございますけれども、大体のもう少しのめど、それを伺っておきたいと思うのですが、これは国民生活局長に伺いたいと思います。
  140. 八塚陽介

    八塚政府委員 私ども、もちろん消費者保護基本法をお世話する中枢だというふうに思っております。その法律の通りました際の附帯決議の一つの大きな問題が食品衛生法でございますから、この関係の法令の改正なり制度の運用なりが一刻も早く充実するということは、当然企画庁としても望ましいと思っております。したがいまして、先ほど来、食品衛生法の今国会における取扱いに対してはすでにいろいろ御議論があったわけですが、いずれにいたしましても私どもといたしましては、今後ともこの関係の法令、制度の整備あるいは運用の充実ということで、いろいろやっていただくことがたくさんあろうと思いますので、なお厚生省等のほうの御努力をお願いするとともに、私どももいろいろ、できますことならばお手伝いを申し上げて努力をいたしたい。そこで、今年中にどうなるかというようなことにつきましては、私どもとしてはせっかくのことでございますから、具体的に今年中、ということは逆にいうと今国会はだめだという前提のお話かと思いますが、そういうこととは別に、あらゆる機会をつかまえて厚生省のほうで御努力を願いたいという、ふうに考えております。
  141. 有島重武

    ○有島委員 あらゆる機会をつかまえてということでございます。あらゆる機会をつかまえて、それから基本法の第十八条でございましたか、いまの消費者保護会議のことでございますけれども、これを、いろいろお話しになっていた問題に関連して速急に開いていただくべきではないか。企画庁の側が幹事をしていらっしゃるわけですから、そういう積極的な姿勢を示していただきたい、そう思うわけでございますけれども、その点についてひとつ決意を伺いたいと思います。
  142. 八塚陽介

    八塚政府委員 消費者保護会議は、大臣、各関係行政機関の長が構成される会でございます。したがいまして、関係行政機関の長としては、その省の意思決定なり何なりを体しておやりになるわけでございます。したがいまして、消費者保護会議でまず議論をして、そうしてそれぞれの省が動くというふうには、なかなか実際問題としてまいらない。つまり、学識経験者としての委員ではございませんから、行政機関の長としての大臣方がお集まりになるわけでございますから、ただいまのような問題をつかまえて、そうして保護会議でまず話をきめてということは非常に無理であろうというふうに考えます。ただ、消費者保護会議というのは、関係行政機関の長としての各大臣がお集まりになっておりますから、総括的に、この法文にありますように、保護行政を一歩進めるためには非常にいい機会でございますので――私とも確かにいろいろ御指摘になりますようにあまり回数は、あまりと申しますか、一回だけでございますから申しわけないのですが、今後とも機会をつくって保護会議をできるだけ開催いたしたい。ただ現実問題として、国会開会中は各大臣にお集まり願うことがなかなかまいりませんことが一つ、それから具体的な法案をそれぞれかかえておりますから、一般的なお話し合いを各大臣方にお集まり願ってしていただくことは非常に無理だというふうに感じられるわけでございます。
  143. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話だと、保護会議というものは各省のある程度の決定があって、それでもってやるというようなお話で、そうでなかったら開かれないようなお話でございますけれども、それだけに、いま話題になっておりますし、各省庁がほんとうに足並みそろえて進んでいかなければならない、そういうような一つの現状認識といいますか、それからおのおのの仕事の進捗状態といいますか、そうした足並みをそろえるということ――これが、まず一番上のほうでもって話し合いが一ぺんあって、それでこまかい内容をきめてからそれを突き合わせるというのでは、これは動きのつかない会議で形式的になると思うのですよ。むしろこれは消費者保護基本法というものを実のあるものにして、これを推進していくために設けられたのではないかと思うのです。  それから、その具体的な方法で、そのたびに一々大臣がお集まりになることはたいへんだとおっしゃるけれども、実際的には閣議とほとんど同じ形で、閣議から要らない人、防衛庁長官がいなくなればいいわけですから、やろうと思えばいっでもできるわけだろうと私は思うのですよ。ただそこに、なかなか開かれないということは、消費者保護という政策についての軽視といいますか、軽んじておられ過ぎるのではないか、私どもはそういうように思いたくなるわけです。ですから、これは経済企画庁のほうの御熱意でもって近々中に、今国会中にでも開いていただきたい。それはいかがですか。
  144. 八塚陽介

    八塚政府委員 私の先ほどのことばが若干不十分といいますか、話が正確でなかったところがあるように思います。  各大臣がそれぞれ下できめたものをただお持ち寄りになって、それで初めて開かれるんだ――私、そのつもりではなかったのですが、そういう受け取り方になったような表現をいたしたかと思いますが、もちろんそういうことではございません。ございませんけれども、各大臣が行政の責任者でございますので、相当具体的に話が煮詰まって、その考え方なり構想をお持ちになったときに初めて動く。しかも保護会議は各大臣が集まるところに意義があるわけでございますから、テーマとしましては総合的、包括的な問題になってくるというので、昨年の八月に、本年度、四十四年度にかけての消費者保護に関するレールを敷いていただいた。そのレールを必ずしも各省が同じペースで歩いておりませんで、若干おそかったり早かったりいたしておりますけれども、そのときにきめていただきました。たとえば建設省方面の検討等もそれぞれの省で御努力になっておりますから、その意味で、八月六日に総理大臣が号令をおかけになったことは、消費者保護会議としてはそれなりに各省の事務に対する方針の確立であったというふうに考えております。  それで、近々にということでございますが、近々にということになりますと、現在たとえば具体的に問題になっております農林物資規格法の改正の問題あるいは食品衛生法の改正の問題等は、これは一般的というよりも、とにかくもう事務的に煮詰める段階になっております。しかし、考えようによりますと、もう少し大所高所からながめ直さなければいかぬというような場合ももちろんあろうかと思いますので、そういう場合には、場合によっては単なる事務的ということでない解決のしかたということは考えなければならないと思いますが、それにいたしましても、問題のテーマか、やや焦点が合ってきておりますので――きょう参議院の予算委員会その他ありまして、各大臣なかなか時間のとれないときにそのことをちょっとお約束するわけにはまいらないと思いますが、しかしいずれにいたしましても、私ども窓口になっておりますので、たいへん負担に感じておりますから、できるだけ機会をつくってやりたい。もし、保護会議というものが大臣方という段階だからというので物理的にできにくければ、幹事会というようなことで、各省次官にでも集まってやってもらったらどうかということも考えておるわけであります。私どもとしては、保護会議の運営について十分でなかったことはおわびをいたしたいと思っております。
  145. 有島重武

    ○有島委員 手続だけちょっと伺っておくんですけれども、われわれが保護会議を開いてもらいたい、そういった要望は、会長である総理のほうに申し入れをすればいいわけなんですか。それとも企画庁のほうでもって、いまの八塚さんのお答えですが、近々になさいますか。
  146. 八塚陽介

    八塚政府委員 保護会議の事務は私どものほうでやっておりますが、保護会議は会長が招集するということになっております。
  147. 有島重武

    ○有島委員 いま私の伺ったのは、われわれが早くそれを開けという要望は、これは八塚さんを通してやればそれでもってちゃんと通じるか。通じると思いますけれども、それとも会長である総理にわれわれが申し入れをするという段を踏んだほうがいいかということです。
  148. 八塚陽介

    八塚政府委員 私どもが庶務をやっておりますから、どういうテーマでどういうことをという、いわば、保護会議はその「保護に関する基本的な施策の企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進する事務」ということになっております。そういう趣旨に沿った会議をやったらどうだというお話がありましたら、実質上いろいろ私どものほうでお世話をするということになると思います。ですから、いわゆる形式的に何人の申し出があったら開かなければならないとかというような規定はございませんので、実質上の話し合いになる、かように考えます。
  149. 有島重武

    ○有島委員 わかりました。その辺にとどめます。  先ほどいただいた資料のことについてちょっと伺っておきたいのですけれども日本の場合には昭和四十年、一九六五年を一〇〇としての表になっておりますね。諸外国の消費者物価指数は日本アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリアとありますが、日本は四年でもって一一五・二%ということになっておりますね。六五年を一つのラインとして日本はやっているわけなんで、これに諸外国のほうをそろえていうとどういうことになるんでしょうか。アメリカの六五年度を一〇〇として表示し直すとこれは幾つになりますか。
  150. 八塚陽介

    八塚政府委員 計算をすればできることでございますけれども、すぐと言われますとちょっとあれでございますが、ただこの場合にごらんいただきたいのは、たとえばその右のほうに対前年の上昇率がございます。ですから、たとえば五年なら五年あるいは十年なら十年、年率平均してどのくらい上昇したかということになりますと、これを平均していただくなり通算していただきますと、各国のいわば動きがわかるわけでございます。ただ、日本は、もしちょっと時間をかしていただければ計算をし直しますけれども、ちょっといま暗算でといわれますとあまり正確には申し上げられないと思います。
  151. 有島重武

    ○有島委員 たいへんおそれ入りますが、それじゃ教えていただきたい。これは世界における日本の情勢を知る、そういった数字だと思うのでございますけれども、そのほうがぼくたちにわかりやすいと思います。  特に日本のときに東京都の区部でもっての数字が出ておりますね。四十三年度五・六%というふうに出ておりますけれども、特に東京都を選ばれたというのはどういう根拠ですか。
  152. 八塚陽介

    八塚政府委員 実は一九六八年、これを作成いたしましたときは――ちょっと前後いたしますが、消費者物価指数の総理府の発表は、東京都区部が一カ月早いわけでございます。したがいまして、現在わかっておるのは、二月の東京都区部と一月の全国というふうな関係になるわけでございます。そこで、一九六八年というのは昨年でございまして、これを作成いたしました二月の当時には、一九六八年の数字東京都区部のほうが一カ月早くわかったために、東京都区部をとったと思いますが、もちろん現在の段階では全国もとれると思います。ただ御承知のように、各国の過去へさかのぼりますと統計の作成上どうなるか。これは東京都区部でなくてももちろんやり直し得ると存じます。ただ、対象としては、一カ月一カ月は多少動きが違いますけれども、年度間を通じて対象としてごらんいただく限りでは、それほど判断を狂わせるというような数字ではないというふうに考えております。やり直します、その点は。
  153. 有島重武

    ○有島委員 大体言われておりますように五・四か五・五くらいになるわけだと思うのですけれども、当初見込みが四・八だったと思います。毎年これは見込み違いのようなことが起こるわけでございますけれども、この見込み違いの責任というのですかね。大体今年度五%の見込みであるということになっておりますけれども、これは観測的な話なのであるか、あるいは、毎年企画庁長官がよく努力目標ということを言われましたけれども、努力目標なのであるか、その指数の意味ですね、それをどのように思っていらっしゃるか、伺っておきたい。
  154. 八塚陽介

    八塚政府委員 経済見通しの全体の性格にも関連いたすわけでございます。つまり物価だけではなくて、その他の国民総生産の数字であるとか、あるいは設備投資の数字であるとか、消費支出の数字であるとか、経済見通し全体の性格にも関連いたしますけれども物価に関しまして特に申し上げますならば、私どもといたしましては、やはり過去の趨勢なりあるいは三百何品目それぞれのできるだけの来年の見通しなりを勘案いたしまして、できるだけそれが実際に近い数字の見当をつけるわけでございます。しかし、それにいたしましてもやはり政府の見通しでございますので、いわば努力目標計算をいたしたり、見当をつけまして、そしてその数字が幾つかあった場合にどれをとるか。それじゃひとつ目標としてシビアーなハードルをやろうというような判断、あるいは少し楽な目標にしておこうというような場合もあり得るわけでございますが、四十四年度の五%は、私どもとしましては相当ふんどしを締めて、そしていろんな施策を今後ともやっていくことによって達成できる、いわば努力目標という感じが強い数字であるというふうに現在の場合は考えております。
  155. 有島重武

    ○有島委員 これは予算委員会の中でもってずいぶん議論されましたけれども、たとえば国鉄運賃の値上がりがある。これはそれも見込んだ上の五%なのであるのか。それから〇・二%が、私鉄に及ぼすとこれが〇・三%になる場合もあるであろうという話も出ております。そういうものがはみ出してしまうことになるのか、こういったことをずいぶん論議されて、これは国民全体が非常に心配している点であると思うのです。もし努力目標と言われるならば、これは経済社会発展計画の三%というものが示されておるわけでございますが、ところ経済社会発展計画のほうは、これは再検討するなんという話になってしまった。こうなりますと、これは現在の長期見通しにおける一つの目標というものがあるのかないのか。それとも、これはもう客観的にこうだ、原則はこうだ、その中でもってなるべくシビアーな数字をとって、これを努力目標としていくんだ、そういったような、何といいますか、成り行きにまかせたような印象をわれわれは受けてしまうのですけれども、いまの発展計画というほうは、あれはどうなっているんですか。
  156. 八塚陽介

    八塚政府委員 私ども、いわゆる計画的な見通しと毎年度の見通しとの関係が、かなり根本的にあるわけでございます。計画的と申しますか、あるいは長期の見通しになりますと、結局過去の構造の中から過去のデータをもとにしてある程度式をつくっていく、そうして将来にそれを投影していく。したがって、その前提になります条件が変わってまいりますと、やはり過去のやり方を前提にしたものでは狂ってくるということがあるわけでございます。しかし、長期的にはそういう構造というものがあまり変わらないといたしますと、一応先が見通せるという前提に立っておるわけであります。たとえば物価について申しましても、経済成長率と物価というものは、因果関係は、いろいろ御議論があるにいたしましても、長期的には関係があるというふうにも考えられるわけでございますが、具体的な年でどうということになると、かなりブレがある。そういう意味におきましては、毎年の見通しということになりますと、もちろん長期的なトレンドなり、あるいは将来の見通しなりというものを頭には置きますけれども、もう少し具体的な見当をつけて作業を進めていくということで、本来ずっとなだらかに行くならば、長期の見通しと年々の見通しは必ずあまり大きな狂いなく、一致しなければおかしい。そこまではなっておりませんので、そういうふうに計画あるいは過去の趨勢、構造から推した数字とは違っております。いずれにいたしましても、別の問題といたしまして、経済社会発展計画でございますが、これについては、実は私所管ではございませんけれども、現在そういう物価の安定であるとか、経済の効率化であるとか、社会開発というような主要な目標については、根本論に問題はないといたしましても、計数等は相当狂ってきております。計画とはそもそもどういうものであるか、どういうふうに今後計数的につくり直していったらいいかというような作業にある程度入っておるという段階でございます。しかし、いま申しましたように政策の基本目標というものは変わっておりませんので、当然に物価の安定、あるいは経済の成長というようなものについての両者の調和的な関係というものを確保するということは、現在でも努力をいたさなければならない。計画がそういうふうに問題になっておりましても、努力はいたさなければならないことだと考えております。
  157. 有島重武

    ○有島委員 何だか言っていらっしゃることがあまりよくわからないのですが、大体経済企画庁というお役所は、物価の測候所であるわけじゃないと思うのです。やはり物価安定ということを推進していくのが目的だと思うのです。いま伺っておるのは、発展計画は一体それではどうなったのか、どのように検討していくのか。いまの八塚さんのお答えの範囲の中では、あの基本は大体あのままで、数値上のことをやや変更すればあのままでもっていいのだというようなふうにも受け取れるわけです。その結論は一体どうなっておるのですか。
  158. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 経済社会発展計画をつくったのは昭和四十一年からでございまして、ちょうどそのときは日本経済が非常に落ち込んだときでありまして、過去の経済情勢並びに世界の経済情勢が非常に落ち込んでおりまして、この四囲の関係上、いろいろの指標の取り方がやや控え目であった。これはそれを目標にして昭和四十六年度まで五カ年計画を想定し、策定して、日本のいわゆる経済の効率化、社会の開発、物価の安定、そういう三大目標については、き然としていまなお持続されるべきものである。こういうふうな政府は見解をとっておるのでありますが、いかんぜん、その後の世界の情勢が非常に急激に拡大いたしまして、経済社会発展計画では大体年率八・二%くらいな実質成長でいったのでありますが、その後、日本経済が非常に生産基調が強うございまして、国民の消費も非常に堅調に伸びたので、年率一二%くらいに及ぶんだ、そういうことで早く所期の目的に達してしまうというような状況になったので、ここにおいて政府としては、経済社会発展計画の基本的態度は同じでありますが、いずれにいたしましても日本経済の指標、根幹でありますから、ただ数字が違ったからそれでいいんだというわけにはいかないので、ここで日本経済の現在の基調はどうであろう、そういうことを本年度一年ぐらいかかりましてもう一ぺん検討していただく。計数的に置きかえるものがあるのかどうか、また世界の経済情勢ともにらみ合わせ、また過去の日本経済の推移等を勘案いたしまして、年間何%にとどめたらいいか、そういうことをもう一ぺん洗い直してみようというのが経済社会発展計画に対する、経済企画庁としてはこれを補正と申しておるのでありますが、いずれにいたしましても、もう一ぺん検討し直さなくてはならないんじゃないか。経済の効率化、物価の安定、それから社会開発の推進、この三大目標はき然として変わらないのであります。そういう態度で、年率三%に昭和四十六年度には国民物価指数を引き下げようというわけでありましたが、八・二%という経済目標が異常に数値が違いましたものでありますから、それに伴い多少の物価の指数が違ってまいりましたし、その後の日本経済の基調も大きく変わってまいりましたものでありますから、今日の段階で基本的な目標に向かってもう一ぺん、どうあるべきかというのをただいま経済審議会に検討をお願いした、こういうわけでございます。
  159. 有島重武

    ○有島委員 私の伺っているのは、そういった経過やそれから諸情勢を伺っているわけじゃないのです。いつごろまでにできるのか、それを伺っているのです。
  160. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 できるだけ早いのが望ましいのでありますが、日本経済という大きなもの、経済社会発展計画という基本的態度でありますので、できれば本年中にしたい。本年中、一年ぐらいの予定をいたしておるわけであります。
  161. 有島重武

    ○有島委員 あれは四十二年から始まって五年計画であったと思いますけれども、こちらの受ける印象は、とにかく一つの目標を立てて国民の承認を得て仕事が始まった、三年にならないうちにあまりにそれと違うものが明らかになってきたものだから看板をおろしちゃった、そういう印象を受けるわけです。そうすると、それじゃその看板をおろした期間はどういう目標に向かって、一体どうしているのか。いま検討している間は、ただその場の成り行きといいますか、そういうようなことになっておるのじゃないか、そう思うわけです。
  162. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 昭和四十六年を目的とする五カ年計画の経済社会発展計画を樹立したのでありますが、基調を四十一年度という、世界にとってもまたわが国にとっても一番不況と申しますか、経済の落ち込んだときの資料を基礎にしたために、そういう見通しについても今日の想定ができなかった。しかし、それは依然として昭和四十六年度まではまだ最終目的があるのでありますから、いまの段階において四十六年度を一応念頭に置きながら、さらに中間の今年度におきまして検討に入ったわけでございますから、依然としてまだ昭和四十六年度の目標の態度には変わりはないのであります。
  163. 有島重武

    ○有島委員 それでは全然そのあれを次のができるまでは撤回したわけではない、そういうように了解していいのですね。
  164. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 さようでございます。
  165. 有島重武

    ○有島委員 それから次の計画については今度は今年中にはつくる、そういうことですね。
  166. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 さようでございます。
  167. 有島重武

    ○有島委員 それでは公正取引委員会にお願いします。  合併問題について午前中にいろいろなお話がございましたけれども、私も二点ほど伺っておきたいことがあるのです。  第一番は統一見解のことについてなんですけれども、統一見解というものは、あれが出されるまでは第十五条というものはどんなふうに解釈されておったのか。この間の統一見解というのは、これはもう永続性を持つものかどうか、そういったことについて伺いたい。
  168. 山田精一

    山田政府委員 午前中竹内委員から御要求がございまして、いわゆる統一見解を書面にいたしましてできるだけお目にかけたい、かように存じます。  第十五条は、従来普通に運用いたしておりまして、さほど非常に大きなケースというのはいままでございません。申すまでもなく、合併の件数ま一年間に一千件をこえる件数がございますが、の十五条を適用いたしてまいったわけでございます。統一見解と申しましても特に事新しいわけではございませんで、午前中も申し上げましたが、大体東宝・新東宝事件に関する東京高裁の判例、これに基づいたものでございまして、従来と特に変わったということはないわけでございます。
  169. 有島重武

    ○有島委員 それでありますと、市場の占拠率であるとか、企業数であるとか、規模の順位であるとか、あるいは生産力の比較であるとか、代替品との競争関係、そういった七項目か八項目くらいの総合的な判断の基準がございますね。これについては全然変更はない、そういうふうに理解してよろしいわけですね。
  170. 山田精一

    山田政府委員 占拠率とか、それから企業の順位、そういうものは、これは一応参考にはいたします。従来とも一応の警戒ラインとして三〇%程度を目安とするということになっておりまして、これを算術的機械的に適用するということは従来ともやっておらないわけでございます。占拠率、それから競争業者、同業者牽制力、それから新規参入の可能性、それからユーザー側、需要者の地位、あるいは御指摘のございました代替品関係、輸入の関係、これらを総合的に勘案いたしまして、一定取引分野における競争が実質的に制限されることとなるかいなか、これを判断いたしておるわけでございます。
  171. 有島重武

    ○有島委員 統一見解が出たものだから、判断の基準が非常に狭められているのじゃないかというような印象をこちらは受けているわけなんですけれども、そういったことはあるのかないのか。
  172. 山田精一

    山田政府委員 狭められたとは考えておりません。
  173. 有島重武

    ○有島委員 最初の、一定取引分野というのがございますけれども、実際に商取引が行なわれている条件というふうになるのかと思うのですけれども、これは完成されたものについては取引というものがあるわけですね。未完成なものについて、これは一体どうなるのでしょうか。
  174. 山田精一

    山田政府委員 結局、一定取引分野と申しますとむずかしいように聞こえますけれども、それは裏返しますと、競争の行なわれる場、こういうふうに御理解願えばよろしいかと存じます。大体におきまして、取引の行なわれるということになりますと、中間材、自分の会社の中でまたさらに二次製品にいたすというものは含まないのが従来の扱い方でございます。
  175. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、商取引が行なわれていなくても、これは原材料として使われている以上、どちらを選択していくかというようなことでもって何らかの競争、選択ということは行なわれているのじゃないでしょうか。
  176. 山田精一

    山田政府委員 最終製品と申し上げますと、ちょっとこれは不適当かもしれませんが、たとえば鋳物用銑鉄なんというものは、原料ではございますけれども、これは一定取引分野として見ておるわけでございます。
  177. 有島重武

    ○有島委員 わかりました。  競争の実質的制限ということでございますけれども合併企業が市場支配力を発揮して、他の企業が好むと好まざるにかかわらずこれに追随せざるを得ない状態、こう非常に厳密に規定しているわけでございますけれども、こういうことも事前に的確にほんとうにわかるのかどうかということですね。これはまだやってみなくちゃわからない部分というふうなのがかなりあって、だから、その辺の判断の基準と申しますか、あいまいさと申しますか、それをどういうふうに扱っていらっしゃるか。
  178. 山田精一

    山田政府委員 午前中に申し上げたのでございますが、判例の用語は、私は的確に記憶はいたしておりませんけれども競争の実質的制限とは、競争が減少し、特定の事業者もしくは事業者集団が、ある程度自由に価格、数量、取引条件等を決定することによって市場を支配し得る状態となること、言いかえれば、競争業者が、当該事業者の意思にかかわることなく、自分の自由な判断で価格、数量、条件等を決定して、十分な収益をあげて企業を存続させることがほとんど望み得ざる状態になること、こういうことになっておるわけでございます。むろん、ただおそれがあるということではいけないわけでございまして、経済合理的に考えまして、そういう蓋然性がはっきりとわかるということでないとぐあいが悪い、こういうふうに考えておるわけでございます。
  179. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、これは単なる可能性というのとは違う。どうしてもその必然性が強く認められるという意味でございますか。
  180. 山田精一

    山田政府委員 単なる可能性ではいけませんので、いわゆる蓋然性、けだししかるべし、こういう関係が予見されないといけない、こういうふうに考えます。
  181. 有島重武

    ○有島委員 そこに、狭くその範囲をやってしまいますと十分漏れる可能性はあるんだけれども、蓋然性とおっしゃいましたね。そこまではきめ切れないというようなものがほとんど全部フリーパスになってしまうわけですね。だから、このようになったいきさつといいますか、こういうような解釈になったというのですが、その経過というものを説明していただけますか。
  182. 山田精一

    山田政府委員 ただいま、十分可能性があるという表現をお使いになりましたけれども、十分可能性があるということは、おそらく蓋然性があるということになるのじゃないかと思います。ただ可能性と申しますと、そうなるおそれがある。たとえば最初制定されました独占禁止法では「競争を実質的に制限することとなる虞がある場合」と、これははっきり書いてあったわけでございます。あれはその後の改正によって「虞」が削られておるわけでございます。したがって、万に一つそういうおそれがあるというだけでは十五条に該当しない、こういうことになっておるわけでございます。
  183. 有島重武

    ○有島委員 それで、統一見解というものが特にどうしてもこの際必要であったのか。あれが出されたことによって、何か事前にどんどん事が運んでいくのに非常にやりやすい手がかりを与えているんじゃないか、そんなふうに思うのですが、どうしてもああいった統一見解というものが必要だったわけですか。
  184. 山田精一

    山田政府委員 特に変わったわけでございませんで、再確認をした、この程度の意味でございます。
  185. 有島重武

    ○有島委員 伺いたいのは、どうしてあの場合再確認をしなければならないというはめになったか、その経過をちょっと聞きたいのです。
  186. 山田精一

    山田政府委員 当面の問題を審議いたしてまいります経過において、派生的にそういう見解を確認した、それだけのことで、ほかの意味はございません。
  187. 有島重武

    ○有島委員 できれば、いまおっしゃった派生的にという、その脈絡のところをちょっと伺っておきたいのですけれどもお話しいただけますか。
  188. 山田精一

    山田政府委員 当該案件について調査をいたしました事実に法律を適用いたしてまいるわけでございます。具体的に法律の一つ一つの概念を適用いたしてまいるわけでございますが、その過程において出てまいった、それだけのことでございます。
  189. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、必ずしもあの統一見解は必要ではない。だけれども、まあ出した、そういうことなんですか。
  190. 山田精一

    山田政府委員 これが委員会一つの意思決定として確認をいたした、こういうわけでございます。
  191. 有島重武

    ○有島委員 ですから、必ずしも必要ではなかった、なくても十分いけるんだ、そういうことでございますか。
  192. 山田精一

    山田政府委員 おそらく、確認をいたしませんでも、五名の委員が法律を適用してまいれば同じ結果になったであろう、そう思います。
  193. 有島重武

    ○有島委員 はい、了解しました。  それから、事前審査についての問題でございますけれども、これもずいぶん論じられてきたのでございますけれども、これは公正取引委員会としては、やはり正式に届けを出してきて、それからその正式な判断を下していくというたてまえになっておると思うのです。判断の基準になる資料というものは、これは大きい企業のことでございますから、それほどの、いままで公表されているものでやっていいと思うのですけれども、実際に入り込んでの詳しいデータということは、これは事前には、まだ公正取引委員会としては、立ち入ってそのデータを調べていくという権限はお持ちにならないのじゃないか、そんなことを思うわけでございますけれども、その点は事前審査の段階で、まるでそれがそのまま正式決定にずうっと連続につながっているような印象、これは報道のしかたがそうなのであるかわかりませんけれども、これは何かそこにあまり公正ではない印象を旧民の側は受ける。その点についていかがですかね。これは何かまずいんじゃないかというふうにわれわれは思うのです。
  194. 山田精一

    山田政府委員 事前審査の性格は、これは一種の行政相談、たとえば税務署などにおきましても、毎月五の日は何か税務相談という窓口をつくっております。あれと同じような性質でございまして、事前に当事者といたしましても、各種の手続を取り運びます前に、一応こういうことでどうであろうかという判断を求めてまいる。それに対しまして役所といたしましては親切に相談に応じる、こういう必要があると存じます。それがまた、独占禁止法の精神を一般社会の方々に理解していただく上においても必要でございます。  それからまた、逆の面から見ますというと、公正取引委員会といたしましては、法律に違反する事実があるということを探知いたしました場合には、これは進んで調査をしなければならない義務もありますし、権限もあるわけでございます。それを、強制力は使いませんで、任意の協力によって資料調査をいたし、いわば予備調査をいたしたわけでございます。これはもとより、当事会社だけではございません。その製品のユーザー需要家のほうからも、あるいは同業者のほうからも、自発的な協力のもとに十分な資料の提供を求めて調査をいたしたわけでございます。
  195. 有島重武

    ○有島委員 これは窓口のその一つのサービスとして当然である。いままでもそうやっていらしたのでしょうけれども、今度の大型合併のことになりますと、それがほんとうにストレートにずうっと向こうにつながっていくような印象を受けるような報道というのが――あれはそれじゃ公正取引委員会としてはちょっと迷惑である、そういうふうに思っていらっしゃいますか。
  196. 山田精一

    山田政府委員 どこまでも内相談の結論というものは現在の段階においてでありまして、正式の届け出がございますかいなか、これは私どもの関知するところではございませんが、正式の届け出がございますれば、法律の定める手続に従いましてこれを審議をいたす、かようなことに相なることと存じます。
  197. 有島重武

    ○有島委員 今度は、いま内示ということになっておりますね。これもどういう資料に基づいているのか。これはもう任意的な資料提出ということになっておりますね。その範囲での返答ですね、いまのところは、これは正式な届け出があると、さらに厳密な審判が行なわれるわけですね。
  198. 山田精一

    山田政府委員 いま審判というおことばがございましたけれども、これは法の第四十九条によりまして、四十八条を使ってまいりまして、「第十五条」云々と、たくさん法条がございますけれども、第十五条に違反する事実があると認めた場合において、公共の利益のために必要である場合には審判を開くことができる、かように書いてあるわけでございまして、それは審査をいたしました上で委員会が決定いたすことでございます。
  199. 有島重武

    ○有島委員 一つ段階を飛ばして言ってしまいましたけれども、そうすると、正式に申し込みがある、それから正式な審査が始まる、そういう段階をこのたびもきちんとお踏みになるわけですね。それで、それ以前にかなり重要と思われるようなああいうような決定というものは――決定というふうにわれわれは受け取ってしまうわけですけれども一つの見解と申しますか、そういうものを出されるということは、これは適当でないのではないか、そういうふうに思いますが……。
  200. 山田精一

    山田政府委員 決定ということではございませんで、相談を受けた案件についてはこれこれの点において法に触れるおそれがある、かように指摘をいたしたわけでございます。
  201. 竹内黎一

    ○竹内委員 関連。ただいま有島委員から、いわゆる事前審査の性格について非常に疑義があるという立場からの質問があるわけでございます。実は私も認識を同じくしているものの一人でございます。  そこで、いまお話審査の段階に移っておりますが、あの内示の発表のあった日の記者会見の報道を読みますと、委員長質問に答えまして――こういう質問でございますね、対応策に対する審査は正式審査の場に移すのか、やはり前相談の形かという質問に対しまして、それは先方の出方いかんであるが、いわゆる内相談であれば内相談で扱います、こういう御答弁をされたように報道されておるわけです。私ども、今回の事前審査の性格を考えてみますと、あるいは表現が悪くて不快の念を持たれるかもしれませんが、どうも学校の試験官が試験問題を事前に漏らしているかのような印象を持つわけであります。それをさらに内相談であれば内相談で受けますということになると、ますますそういう印象を強めざるを得ないわけでございますが、ひとつこの点についての委員長の見解を承りたい。
  202. 山田精一

    山田政府委員 試験問題を事前に漏らすという例をお引きになりましたが、これは私は本質的に違う問題であると考えております。たとえば、私ども役所で、ある業界において違法のカルテルをどうもやっておるらしいという疑いを持ちまして、それで立ち入り検査をいたします前に、こういうことをやっていはしないかとか、こういう問題点が法に抵触するおそれがあるとかいうことを先方に、もしかりに漏らしたとすれば、これは御指摘のとおり入学試験の問題を事前に漏らしたことでございまして、とんでもないことだと考えます。ただ、いわゆる合併の場合は、将来においてこういうことをしようと思うがどうかということでございまして、例は適切であるかどうか存じませんけれども、たとえば環境衛生法によって、ある料理店を経営するには調理場なり何なりこういう衛生設備がなければいけないというような規定がございます場合において、いきなり店を建ててしまってから保健所に行きまして、これでいいですかといって、そこでもってまた直したり何かさせられることよりは、事前に設計図を持ってまいりまして、これでもって保健所が通りますでしょうかと相談する、これは入学試験問題を漏らすというものと本質的に違うと私は考える次第でございます。
  203. 竹内黎一

    ○竹内委員 それは、おことばを返すようなことになるかもしれませんが、これから当該の関係会社が用意せられるところの対応策――これはわれわれも非常に注目するところでありますが、その対応策――それでは公取指摘に対してはこういうような対応策を用意いたします、それなら合格しますかというような聞き方になると思うのですね。そういう意味におきまして、どうも私どもはこの前相談――公取のサービス、行政相談もけっこうですけれども、どうも少し念の入り過ぎた前相談になってはしないか、こういう感じがどうしてもぬぐえないわけです。もう一度見解をお伺いしたいと思います。
  204. 山田精一

    山田政府委員 俗に新聞紙上などで、当事者も使っておりますが、対応策ということばが使われておりますけれども、何が対応策か、どういうことが対応策なのか、それは私ども役所の関知するところではございませんで、私どもの判断は、法律に抵触するかあるいはしないか、このいずれか一でございます。したがいまして、いわゆる対応策なるものは、先方の責任において、つまり相談の内容を変えてくる。前と同じような内容であれば、これは抵触するおそれがあるということを申したわけでございますから、おそらく通ることはないと思います。何か内容を変えてまいることであろうと思いますが、それは先方の当事者が自分の、経営者としての責任において内容を変えてくるということになる。私どもがそれについてどうしろこうしろとか、こうすれば通りますよとかいう筋合いでは全然ありません。また、いわゆる新聞紙上などでごらんになりますと、何かネゴシエーションをやるような印象をお持ちかもしれませんが、そういう気持ちは毛頭ないわけでございます。
  205. 竹内黎一

    ○竹内委員 私、関連ですから、またこれ以上質問すると、おそらく有島君が聞きたいこととダブるかと思いますので、一応これでやめておきますが、私ども事前審査について持っておるこういう危惧の念というものは、あえて私個人だけでなくて、かなり広く持たれておることはおそらく委員長も御存じだと思います。たとえば近経学者のグループもこういう点を強く指摘しておるわけでございますので、どうも、その対応策ということを、あえて公取は関知しないとおっしゃるわけですが、これは何といっても私は対応策だと思います。いまの三・五と評価すべきか三と評価すべきか、クロと判定されたものについて会社側の準備をしたものを、新しい内容を持ってくるわけですから、これは当然対応策なわけでございます。これから先へ議論を進めますと有島君のじゃまになってもいけませんので申しませんが、とにかくこの事前審査の運用というものについて世間では相当疑義を持っている。その点、先ほど有島君が飛躍しましたように、あるいは審判に持っていくべきものではないかという理論構成も出ているわけでございますので、ひとつ私どもが希望いたしたいことは、審査の段階におきまして十分な各方面の意見が聴取できるように、対応策を持ってきて、それを見たら問題がなかったから審査も要らないのだというような始末のつけ方だけはひとつしないように希望申し上げまして、関連ですからこれで終わります。
  206. 山田精一

    山田政府委員 御指摘のとおり、従来とも各方面の意見を、先ほど来申し上げましたごとく、十分聴取いたしてまいったのでございます。正式の届け出が出ますれば、法律の定めるところに従いまして十分各方面の御意見を承って、法に従った調査をいたしたい、かように考えております。
  207. 有島重武

    ○有島委員 いまの関連質問で私の聞きたいことはほとんど尽きておるわけでございますけれども山田公正取引委員長が最後になると、法律第一主義のところにすぱっと入っておしまいになるわけです。合併するか合併しないかということですね。まあ合併するよりは別々になっていたほうが当然競争ということからいえばいいので、その競争の可能性というのはずっと強くなるということは、これは常識的なことだと思うんでございますけれども、それになるべく抵触しないようにという配慮がいま問題になっておるんじゃないか、そう思います。ところが、さっき入学試験と建築の例を出されましたけれども、入学試験の場合は、なるべく入れてやろうという意欲が働いておるわけですね。建築の場合は、なるべくそれが法に触れてはいかぬ、そういう意欲が働いておるわけですね。法律第一主義というのは確かに表面には出てまいりますけれども、裏には意欲があるわけですね。こういうふうにしていきたいという意欲というものがある。それは八幡富士のほうは、やっぱり合併していきたいという意欲が非常に働いておるわけですね。それに対して、公正取引委員会としては、これをやはり試験になるべく通してやりたいというような親心的なことであるような印象をわれわれは受けてしまうわけですよ。これは非常にまずい。それで、普通の裁判ですと、検察側というのがいるわけですね。公正取引委員会の場合は、検察側と審判とを兼業していらっしゃるような形になっておりますね。そうしますと、検察側の働きというのが非常に弱い。そういう検察側というような立場に――まあ多くの企業がいまあるわけですが、国民がそういった目で見ているわけですよ。ですから、ことばをちょっと言いかえるわけですけれども、検察側のそういう立場というものを堅持していただきたい。それで先ほど審判ということばが出てしまったわけですけれども、そういうことを私は要望したいと思うのです。
  208. 山田精一

    山田政府委員 入学試験に関連して、何かぜひ通したいという意欲を持ってやったのではないかという御指摘がございましたけれども、私どもは、この合併を認めたいとか、あるいは認めたくないという予断は一切持たなくていままでやってきたわけでございます。法律を厳正に適用してまいる。それに尽きておるわけでございまして、どうしたいとか、どうさせたくないとか、そういうような予断は全然持っておらなかったことをここにはっきり申し上げておきたいと思います。  それから、検察的な態度をもっと強化せよという御指摘でございましたが、これはどこまでも法律の適用者として法律を厳正に適用してまいりたい、こういうことを一そう心がけてまいりたい、かように考えます。
  209. 有島重武

    ○有島委員 ではこれで質問を終わりますけれども、こっちにプラスの力があるわけです。公取委員長さんはゼロで受けとめると言う。それだったら、もうプラスが勝つにきまっているのですよ。ですから、こっちに一の力がある、こっちにもやはり一の力があって、そこのギャップの上にもう一ぺん見ていく、そういったようなことがなければ、これはもうどんどんそっちの方向へ追いやられてしまうのではないか。そういうことを心配するわけです。
  210. 山田精一

    山田政府委員 先方が一の力で来るのにこちらがゼロの力でという例をお引きになりましたけれども、綱引きや押しくらをしておるのと違いまして、やはり国会でおきめ願いましたところの法律、その力というものは非常に絶大なものだ。先方がプラスの力を持ってまいりましても、法律という力でこれに対処いたしますならば、いかに私ども法律を運用する者が無心、予断を何ら持たないで、白紙でもってこれに対しましても、法律の力というものは十分にこれに対処し得るもの、かように考えております。
  211. 有島重武

    ○有島委員 議論はこれでもってとどめますけれども、厳正な審査公取要望をいたします。これが一つの大きな前例になるわけでありますから、日本経済の方向を一つきめてしまうような問題でございますから、反対側の意見もほんとうに十分にお調べになって、それで取り扱っていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
  212. 山田精一

    山田政府委員 十分各方面の意見を聞きまして、公正な取り扱いをいたしてまいる決意でございます。御鞭撻のおことばに対しまして、厚くお礼を申し上げます。
  213. 帆足計

    帆足委員長 本日はこれまでといたしまして、次回は公報をもちましてお知らせすることといたし、これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会